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黒川光博の名言

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黒川光博のプロフィール

黒川光博、くろかわ・みつひろ。日本の経営者。虎屋17代当主。東京出身。学習院大学法学部卒業後、富士銀行に入行。その後、家業の虎屋に戻り、副社長を経て社長に就任。伝統を継承しつつも「TORAYA CAFE」を開店するなど新しい分野にも挑戦した。そのほか、全国和菓子協会会長、社団法人日本専門店協会会長、全日本菓子協会副会長などを務めた。著書に『虎屋 和菓子と歩んだ五百年』。

黒川光博の名言 一覧

味だけではこんなに長く続きません。人を大切にしてきたという歴史がある。


過去のやり方にこだわるより、今が一番大事。だから今に集中して頑張っている。


変えていけないものと、変えても良いものというのは、その時々でも変わる。


過去の歴史云々よりも、今が一番大切。


社長の私がどれだけ社員と直接、語り合えるかが非常に大きいと思いますので、社員との対話の時間を設けて、接点を持つようにしています。


今、虎屋が作っている菓子の特徴を言葉で表現すると、「少し甘く、少し硬く、後味良く」となります。この言葉を社員皆で共有し、菓子の製造や開発をしています。


価値観やライフスタイルが多様化しているいま、自分で考えて行動する「個の力」でお客様に対応しなければなりません。


菖蒲(あやめ)の図柄を描いた菖蒲饅という菓子があるのですが、ひとつひとつ職人が手で葉を描きます。筆を上から入れても下から入れても見た目は変わりません。でも本物の葉は下から上に伸びるものです。それなら下から上に元気よく描くべきです。誰も見ていなくとも心を込めてそれをやる。そこに虎屋の存在価値があると社員に伝えています。


若い人たちに虎屋のことを知っていただいただけでも、新しい店(TORAYA CAFE)を開いた意義は十分にありました。さらに「餡子って意外においしい」「赤坂の本店にも行ってみます」と言って下さる方がいて、改めて私たち自身、和菓子と餡の魅力に気づきました。


虎屋には代々伝わる家訓のようなものがあるのだろうと思われているかもしれませんが、そのようなものはありません。社長を継ぐまで先代の父を手伝ってきましたが、いざ継ぐとなると責任の重さを改めてひしひしと感じたものです。虎屋をどう導いていくべきか、私はひとつの考えに至りました。「家訓がないということは、何をやってもいい。時代を読んで自由にしっかりやれ」という意味だろう、と。


いままで虎屋は、菓子の原料や、菓子を贈る際のしきたりなどについてお客様から尋ねられたらお答えしてきました。でもこれからは例えば最新のレストランや、話題の美術展についてもお話しできるくらいでなければいけないと思うのです。もしお客様が何もお買い求めにならなくても、店でいい時間を過ごし、虎屋や接客した店員に好意を持ってくださればそれでよしとする。会社の奥深さや豊かさを感じていただければいい。そうやって企業文化を発信すれば、売上は後からついてくると思っています。


さかのぼれば、天皇家とともに虎屋が京都から東京に移ってきたのも、時の当主が時代を読んで決断した結果だと思うのです。


過去があるから今日があることはよく理解しておりますが、私が考えなくてはいけないのは、今、皆様が求めて下さっているものは何かということです。


500年の伝統を踏まえつつ、今を大事にするのが虎屋の経営です。その社風は「製造を原点とする不器用なまでの真面目さ」と表現できるでしょう。愚直に菓子を作る。安全面や衛生面に配慮し、原材料の管理や流通など地味な業務もひたむきに取り組む。こういう気風が浸透しています。


お客様に「喜んで」いただくためのサービスも時代とともに変わっていくものだと思います。お客様の価値観が変化するからです。私たちも経営理念の実現のため、時代の変化に常に敏感でいなければならないと肝に銘じています。


500年続く企業を率いていると、「伝統が大切ですね」と皆さんおっしゃいます。もちろん伝統は大切です。けれど一番大切なのは「今」です。今、生きている皆さん、今、買い物に来てくださる皆さんに最大限の気を配り、おいしいと思っていただける菓子を作らなくてはならない。伝統だけでは今日の仕事はできません。


虎屋の経営理念は非常にシンプルなワンフレーズ。「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」です。言葉として理念を作ったのは1985年ですが、社内ではそれ以前もずっとこういう内容のことを言い続けてきました。


経営理念とは社員全員が共有するものです。「うちの会社の経営理念は何だっけ……」と考え込むようなものではなく、すぐに思い出せる言葉であることが重要です。その点、ごくシンプルな虎屋の理念は入社したばかりの新入社員もすぐに覚えてくれます。


老舗の場合は特に、「昔から変わらない」「ずっと守られてきた味」という点に評価を頂きます。しかし実際のところ、味は時代によって変わるものだと思います。私は社員にも「味は変えていい」と言っています。味は不変ではないのです。


原材料を何より大切にしています。長年、虎屋のおいしさを追求してきたベテランの職人に「おいしい和菓子を作るにはどうしたらいいだろう」と聞いたことがあります。彼は「それはやっぱり原材料を厳選することです」と即答しました。


商品の包装に対するニーズも大きく変化しています。以前は贈り物にした時に見栄えが良いよう豪華に仕立てることが好まれました。しかし、今は簡素でありながらも相手に喜んでいただけるようなひと工夫を施したものが求められます。


ある時代まで、和菓子に関しては作り手、売り手である我々の方が多くの知識を持っていました。大変失礼な言い方をすれば、お客様に「お教えする」立場で商売をしてきました。しかし今は、お好きな方は我々よりよっぽど多くの和菓子を召し上がり、知識を豊富にお持ちです。謙虚に、お客様から教えていただくという姿勢で接することができるかどうかが問われると思います。


安定性、持続性が求められる作業には機械を導入。均一な品質の製品に仕上げるために科学技術の力も借りています。ただし、最終的に重要なのは「人の目」です。火入れや仕上げなど最適なタイミングは熟練者の目で判断します。ばらつきのある天然の原材料を使い、気温や湿度の影響を受ける菓子作りでは職人の経験と五感がものをいいます。


世の中には、人の目につく派手な活動を好む人もいます。けれど、虎屋の社員はそうではありません。「人が見ているから」「自分に注目してほしいから」という理由でやるわけではない。目立たなくても、会社のために真面目にひたむきに働くことを生きがいだと思ってくれる人が多くいます。虎屋はこういう人たちに支えられています。それによって500年の歴史が続いてきているのです。


出来上がった製品は必ず、作った社員たち自身が毎日、順番で試食します。それもお客様が召し上がるシチュエーションを考えて、午後3時に、漆の皿に載せ黒文字(和菓子用爪楊枝)を使って、1つの和菓子を食べます。お客様が和菓子を召し上がることの多い時間帯に、同じように椅子に座り、1つ食べきることこそが試食だという方針からです。時に、朝作った製品は時間がたつとボソボソしてしまうとか、黒文字では食べにくいといったことが分かります。自分たちでは「ちょうどいいサイズ」と思っていたけれど、実際に1個食べてみると「大きすぎる」とか「甘さが強すぎる」と感じることもあります。試食の際の意見をフィードバックし、改良の糧にしています。


和菓子の原材料は小豆、寒天、和三盆糖など。私たちの取引先には、手作業で丹精込めて作ってくださる生産者の方が多くいらっしゃいます。虎屋では原材料について知識や理解を深めるため、製造に関わる社員を対象に、現地で「原材料体験研修」を実施しています。マイナス10度ぐらいになる冬の寒空の下、手作業で行う寒天作りを手伝ったり、西表島でサトウキビの刈り取りを行ったりしています。


虎屋は和菓子屋ですから、当然「おいしい和菓子」を作ることが大切です。加えて、その和菓子を「喜んで」召し上がっていただきたい。おいしい和菓子を心を込めて作っても、お客様がお買い求めになる時に、「店員の対応が良くなかった」とお感じになれば、喜んで召し上がってはいただけません。店頭に立つ人間が心を込めて商品をお渡しすることも同様に大切であるという思いを、経営理念に込めています。


黒川光博の経歴・略歴

黒川光博、くろかわ・みつひろ。日本の経営者。虎屋17代当主。東京出身。学習院大学法学部卒業後、富士銀行に入行。その後、家業の虎屋に戻り、副社長を経て社長に就任。伝統を継承しつつも「TORAYA CAFE」を開店するなど新しい分野にも挑戦した。そのほか、全国和菓子協会会長、社団法人日本専門店協会会長、全日本菓子協会副会長などを務めた。著書に『虎屋 和菓子と歩んだ五百年』。