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高岡浩三の名言

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高岡浩三のプロフィール

高岡浩三、たかおか・こうぞう。日本の経営者。ネスレ日本社長。大阪出身。神戸大学経済学部卒業後、ネスレ日本に入社。乳幼児栄養食品事業プロジェクトリーダー、ココア・ミルク&ニュートリションビジネスユニットマネジャー、子会社の製菓会社ネスレコンフェクショナリー(のちにネスレ日本に吸収)プロジェクトディレクター、同社マーケティング本部長、同社社長、ネスレ日本副社長飲料事業本部長などを経て、ネスレ日本社長兼CEO(最高経営責任者)に就任。

高岡浩三の名言 一覧

私は「問題解決」より、「問題発見」を重視すべきだと常々主張しています。日本が、企業や教育の現場で問題解決能力ばかり重視してるのは、ハッキリ言っておかしいですよ。だからイノベーションが起こらない。顧客の問題発見こそが「仕事」で、ほかのすべて「作業」にすぎないと考えて欲しい。


ネスレでは報告書はありません。報告書を作成するくらいなら新たな問題発見に時間を割くべきだからです。社長に就任してから日報も廃止しました。売り上げなどの数字があれば、報告すべきことはそんなに多くないでしょう。


経営者自身がマーケティングに興味を持ち取り組む必要がある。


お客さんが気付いていない問題を発見するには、「新しい現実」というのを見にいかなきゃいけない。新しい現実が、新しい問題を連れてくる。


たとえグローバルとローカルで商習慣が違っても、「勝てば官軍」だ。世界中のどんな場所でも、結果を出した者が正しい。


相手が何を望み、何に困っているかを考え、それを解決する方法を伝えなければ、人を説得し、動かすことなど到底できない。


どんなことでも深く考えれば、仕事に役立つ。


より大きな仕組みやルールを変えたいときは、焦らずに力を蓄えて、「ここぞ」というタイミングで動くという戦略も必要になる。


本当に必要とされているのは「顧客が認識していない問題」を発見すること。それを解決することで生まれる成果が「イノベーション」。


顧客の問題を発見することからマーケティングは始まる。


「顧客が認識している問題解決」から、「顧客が認識していない問題解決」へと、「問題」の定義そのものを早急に切り替えなくては、日本企業が世界で勝ち残るのは難しい。


イノベーションを生むには、それを見極める目を持ったリーダーの育成が必要。


グローバル人材とは、「グローバルに考え、ローカルに行動する」ことができる人。


リーダーにとって不可欠なのは「勝ち方を知っていること」。どんな状況でも結果を出すから、人はついてくるし、動いてくれる。


「グローバルな視点で物事を考え、日本の問題を発見し、そこから新しいアイデアを生み出していく人」こそ、世界と戦う最低条件。


当たり前の事実を疑い、考え抜くことで、物事の本質が見えてくる。すると、常識や既成概念が、いかにおかしなものであるかにも気づく。


「勝ち方」を知るには、「小さな実験」を繰り返し「失敗」の経験を積むこと以外にない。


上司に言われても、上司や先輩が上手くいった方法があっても、もっと上手くいく方法はないかと考え続けることが大事。


相手の「心の問題まで考える」ことは、これからのビジネスに欠かせない。


私がマーケティングで大事にしているのは、「顧客は誰なのか」「顧客が持つ問題は何か」「その解決法は何か」の3つ。


ヒット商品作りの秘訣とは、解決すべき問題を探すこと。それを見つける経営の視点こそが全て。


マーケティングとは、突き詰めれば、お客様の問題解決。


新たなセグメントが消費者に浸透するまでには、10年単位の時間が必要。しかし、焦っても仕方がない。


ロングセラーをつくる唯一の鉄則は、イノベーションで新しいセグメントを創造すること。なぜなら、ライバルが出てくるまで、そのセグメントを独占できるから。


経営者は、イノベーションの原石を見いだし、それを大きく育てる能力が求められる。


これまでのやり方では、従来のように売ることはできない。


いいマーケターというのは、極端な言い方をすると育てられないと思うんですよ。育てるよりも、育つ環境をどう作るかしかない。


大きな組織の中にいると、失敗は避けたいという力が働きます。経営者も含めてサラリーマンですから。


会議は30分以内、会議資料は3枚まで。報告事項は口頭で的確に伝えるのが基本。


私がなぜ部下に細かいところまで報告をしてもらうかといえば、自分自身も学べるからです。必ずしも部下より上司のほうが100%勝っているわけではありません。


下の人間から気づきを与えられることもある。


お客さんも気づいていない問題を発見するために考え抜き、解決策を提案するのが、リーダーの仕事。


ストーリーがわかりやすく面白いものであれば、スライドなどの視覚的な補足がなくても、聴衆にはきちんとメッセージが伝わるものだ。


自分のことを嫌っているからといって、その相手を遠ざけるのは並の上司がやること。自分を嫌っている人や周囲から仕事ができないと思われている人を率いて成果を出してこそ一流のリーダー。


生産性を上げるために重要なことのひとつは、「緊急性があり、なおかつ難しい仕事から先にやる」こと。難しい仕事ほど現状を大きく変えることができ、短時間でより大きな成果が得られる。


アイデアは「出すのが2割、それを実行する力が8割」。いけそうなアイデアを思いついたら、すぐに信頼できる誰かに話してみて、必ず実行してみる。その繰り返しこそが勝ち続ける秘訣。


ビジネスチャンスを掴めるかどうかは、マーケティングを理解し、それをもとに目の前の課題をいかに考え抜くかにかかっている。


お客さんが全然気が付いてない問題をこちらが先に発見して、それを解決したときに初めてイノベーションが生まれる。一方、お客さんが認識している問題を解決することで生まれる成果はリノベーション。


新しい商品やサービスに求められるのは、イノベーティブかどうかというただ1点。そこで社長就任直後から社内で始めたのが「イノベーションアワード」です。年に一度、全社員から自ら実践した「イノベーション」をA4・1枚のにまとめて応募してもらう。今では年間5000件近い応募が集まります。


イノベーションアワードの応募フォーマットと、一般的な企画書とでは何が違うのか。それは、頭の中で考えたアイデアやプランだけを出すのではなく、自分で実際にやってみた結果を、実行した過程とともに記載してもらい、提案してもらっているところです。


コーヒーの味をよくしよう、価格を抑えようというのはリノベーション。もちろん改良は大事ですが、結局は競合との価格競争に陥ってしまう。対して、私が考える破壊的なイノベーションとは「新しい現実」の中で「顧客が抱える問題」を発見し、「解決策」を示すことです。そうして世の中になかった付加価値の高い商品やサービスを生み出す。


「新しい現実」を見つけること自体は難しくありません。なぜなら、現前とそこにあるわけですからね。難しいのは、「顧客が抱えている問題」を発見することです。顧客すら気付いてない、もしくは諦めてしまっている問題を発見する――それさえできれば、イノベーションはほぼ達成しています。


今、短時間で生産性を上げる、働き方改革が国を挙げて推進されています。企画書にしろ、報告書にしろ、目的が不明確で時間を奪うだけならば、一度やめてみてはいかがでしょうか。


私にとっては、父の早い死そのものが「人生は有限なのだから全力で活きよ」という貴重な遺言だったんです。


他人より短い人生であるならば、他人の2倍の速さで人生を駆け抜けよう。
【覚書き|祖父、父がともに42歳で亡くなっており、遺伝的に短命なのではないかと思い至ったときに誓った言葉】


日本は少子高齢化と人口減少が同時に進む世界でも初の成熟市場になっていきます。そんなマーケットでも工夫次第で成長の余地があると証明したい。国内では高い利益率を確保できないという業界の常識を壊したい。


良くも悪くも、何事も思いついたら、とりあえずやってみるのが自分の信条です。人生はずっと42歳までと本気で思っていたから、「あとでやればいい」という選択肢がもともとないんです。


資格があるかはともかく、自分はリーダーとして人をまとめることが好きだと気づいたのはこのころからです。
【覚書き|大学生時代、大規模テニスサークルの幹部をしていた当時を振り返っての発言】


ずっと業績が悪ままのチームのリーダーがどんなに言葉を重ねたところでメンバーの心は動かない。百の言葉よりも「勝ち続けること」が何よりも部下のモチベーションを上げる。


部下の能力と上司の能力をすりあわせなければ、イノベーティブな仕事を創り出すことはできない。そのためには、プロセス全体をチェックすることが大事。


上司がやるべき仕事は、部下に課題を与え、イノベーションにつながる発想を促すこと。出てきたアイデアの中から可能性の芽を見つけ、そこにプラスアルファしたり、ブラッシュアップしたりして、本人が考えているよりも大きく育ててやること。


なぜ作業を抱え込む管理職がいるのかといえば、楽なんですよね。考えなくていいから。何か仕事をしている気にもなれる。だけど、それでは本来の管理職の役割を果たしていない。面談などで注意をしても改まらないとすれば、替えるしかない。


部下に任せ、彼らを育てるために最も重要なのは、「考える時間」を増やすことです。そのためには、「作業」を減らさなくてはなりません。まずは弊社が実施したように、一日をどのように使っているか、洗い出してみることが有効でしょう。


まずは「作業」と「仕事」を区別しておかなければなりません。「作業」とは、すでに決まっている手順や事務処理を繰り返すこと。「仕事」とは、正解のないものにチャレンジしながら、これまでに存在しなかった新しい価値を創り出すこと。上司やリーダーという立場にある者に求められるのは、本来、この部分なんです。


日本人は「相手の立場に立つ」というと、誠意を尽くして説明するとか、何度も訪問して熱意を伝えるなどと考えがちだ。だが本来、売り手も買い手も対等なビジネスパートナー。むしろ考えるべきは「何が相手の利益になるか」である。それさえあれば、言葉のテクニックに頼ることなく、相手を説得することができるはずだ。


どの国や組織で働いていても、「相手が何を求めているのだろうか」という視点を持てば、必ず相手が納得する答えを見出せる。そんな人こそが「真のグローバル人材」と呼べるのではないだろうか。


重要なことは、論理を積み重ねて説得するよりも、たった一つの事実を示すこと。あれこれロジックを並べるより、「実際に販売したら、これだけ売れました。在庫リスクも返品リスクもありません」と事実を淡々と告げればいい。本社も、自社の利益になることに反対するはずがない。


日本のホワイトカラーの生産性は海外諸国に比べて圧倒的に低い。その原因は主に、マネジメント層にある。管理職が部下に余計な仕事をさせるから、いつまで経っても生産性が上がらないのだ。


パワーポイントによる資料作りも無駄の典型。手間ひまをかけて資料を作っていると、つい一生懸命に仕事をしているような気分になってしまうが、資料作りは仕事ではなく単なる「作業」だ。


不毛な状況を変えるために、管理職の皆さんには、「そもそも仕事とは何か」を考えてもらいたい。仕事ではないことは単なる「作業」にすぎない。私が考えるホワイトカラーの仕事とは、「顧客の問題解決をすること」だ。


ビジネスの勝ち方を知るには、まず行動するしかない。アクションを起こせば、結果が成功でも失敗でも、必ず得るものがある。しかも、それが難しい仕事であればあるほど、学びの質やレベルは高まる。


多くの人は、「問題解決には、まずデータの収集や分析から」と考える。だが、顧客の問題を設定しないうちに、むやみに膨大なデータを集めることは、「仕事」ではなく何の役にも立たない「作業」だ。


生産性が高い人は、「解決すべき顧客の問題は何か」をまず設定し、そこに集中して結果を出す。一方、生産性が低い人は、解決すべき課題を設定せずに仕事を進めるため、「仕事ではないこと」に無駄な時間を費やしてしまう。


私は社長に就任したとき、「ミーティングは30分以内」というルールを作った。同時に、「説明用の資料は3枚以上持ってこないように」とも伝えた。要点を絞って簡潔に説明すれば、今まで1時間以上かかっていたミーティングが10分や15分で終わることもある。これが「生産性の高い仕事」だ。


残業削減がうまくいかない会社が多いのは、単にルールを作るだけで終わっているからだ。「ルールを守れ」と言われても、つい破ってしまうのが人間というもの。それよりも、目指すべきゴールを明確にし、達成しない者は不利益を被る仕組みを作ったほうが効果的だ。そうすれば、あとは社員一人ひとりが、「どうすれば残業せずに済むか」を必死に考え、より効率的で生産性の高い仕事のやり方を生み出すようになる。


マーケティングの思考や行動を身につけられるかどうかは、顧客の問題についてどれだけ深く考えられるかによって決まる。常に自分の頭で一生懸命考えていれば、そのぶんだけ顧客の問題を発見できる確率は高まる。持って生まれた能力は一切関係ない。


なぜ日本企業がグローバルで苦戦しているかといえば、国内での成功事例をそのまま海外に持ち込もうとするからだ。国内で成功できたのは、日本の顧客の問題を解決したからであり、海外でビジネスをするなら、現地の顧客の問題を解決しなければいけない。


ビジネスで勝つためには何が必要か。その答えはズバリ、「マーケティング」。厳しいビジネス環境の中で勝ち方を知り、リーダーシップを発揮するには、マーケティングをきちんと理解し、実践することが不可欠。


「顧客の問題を特定し、解決する」というマーケティングのプロセスを常に意識していれば、どんな分野でもグローバルで勝負できる。海外赴任や留学をしなくても、世界に通用する働き方ができるようになるはずだ。


世のビジネスパーソンたちは、口を揃えて「忙しくて考える時間を捻出できない」とこぼす。であれば、自身の働き方を見直し、無駄な仕事を減らすべきなのではないか。それでなくても、日本は海外に比べて労働生産性が低いと長年指摘されているのだから。


顧客の問題について考えるときは、まずはできるだけ大きく問題を捉えるとよい。一般的に、マーケティングにおいてはターゲティング(顧客層の絞り込み)が重要だと言われるが、最初から問題を絞り込む必要はない。少なくとも私は、ターゲティングから入ることはない。それよりも、今、世の中で起こっていることを俯瞰で捉え、大きな問題設定から入ることがほとんどだ。たとえば現代の日本なら、「高齢化社会の問題とは何か」を考えてみる。


ネスレでは、どこまで相手の気持ちになって考えられるかということを若い時から言われてきました。相手の立場で考えて、ハードルをどう潰すか考えるのが基本的なやり方。抵抗する人が抵抗する理由を考えて、それらを全部取り除いてやることが大事なんです。


僕が社長になった4年前から日本独自にイノベーションアワードというのを社内で実施してきました。アイデアだけではなくて、実際に何か行動を起こした人を表彰しています。徐々に、その中で出てきたアイデアが会社の売り上げにも貢献するようになってきました。


僕は最初、一番弱小の「マギー」というブイヨンを担当させられました。だから、社員にも、弱小で売りにくいと思われている商品を売ることができて初めて、一人前だと言い続けています。主力ブランドの担当だからエリートだという考えは違うよと。


「カフェ・イン・ショップ」はスーパーの中にネスレのコーヒーマシンを使ったカフェを作る取り組みです。最初に秋田県のスーパーに提案したのは、ある女性の契約社員です。買い物客の7割が70歳以上というスーパーで、買い物に来ると一回腰を下ろして休まないと帰れないという人が多かった。彼女はそこに着目。そのアイデアが今や全国1800店舗に広がっています。


僕が何でうまくいったかというと、基本的には本社の承認を取らないで、まず小さなレベルで成功して実績を作り、後で認めさせているんです。「キットカット」も「きっと勝つ」なんていうマーケティングが通用するのは日本だけですし、(新しい技術で作った)「レギュラーソリュブルコーヒー」には本社は反対でした。ようするに「インスタントコーヒーをやめます」という話ですから、その事業で出世してきた人はプライドが許さない。だから、先に小さく始めて実績を作り、抵抗勢力が文句を言えないようにする必要がありました。


良いと思うアイデアがあれば、まずはやってみる。成功すれば、それが勝つ方法なのだとわかる。失敗したら、「なぜダメだったのか」を考え、また別のアイデアを実行する。百万の言葉を尽くすより、まずはやってみることだ。


リーダーシップのスタイルは人それぞれ違っていい。饒舌なリーダーもいれば、寡黙なリーダーもいるし、厳しいリーダーもいれば、優しいリーダーもいる。正解はなく、その人の個性を活かしたリーダーになればいい。


誤解されやすいのだが、リーダーシップは経営者や管理職だけに求められる能力ではない。一般社員でもアイデアを実行して結果を出すには、周囲の協力を得たり、社外の人を説得するなど、人に動いてもらう必要があるからだ。


実際に行動した結果を示し、「これが勝つ方法なのだ」と証明できれば、周囲はそのアイデアについてくる。これがリーダーシップというものだ。「どうせ上がOKしないから」などと言い訳して、行動を起こす前から諦めてしまう人は、肩書きがあってもリーダーとは言えない。


イノベーションは会社のどんな部署、どんな仕事についていたとしても生み出せる。そのとき大切なのは「当たり前の前提」を疑い、本質的に思考すること。


私自身、これまでの仕事でさまざまな実験を行い、そのうち9割は失敗してきた。しかしその実験と検証を繰り返した経験によって「このような市場の状況のときには、この手が有効なはずだ」と、机上の論理ではない本質的なマーケティングの感覚が身につき、戦略の力を磨くことができた。


リーダーが具体的な戦略、つまり「勝ち方」を示すことで、初めて部下は「この高い目標は実現可能なんだ」と感じ、各々の持ち場でリーダーシップを発揮してくれる。


私はスイス本社から目標数値が与えられたら、常にそれをはるかに上回る目標を自分のチームに設定してきました。そしてどうすればその目標が達成できるか必死で考え、具体的な戦略を立ててきました。


周囲から「高岡は左遷されたな」と見られるような厳しいプロジェクトを任され、そこで会社の期待を上回る成果を出し続けてきたことが今につながった。私がネスレで最年少の部長に抜擢されたのは30歳のときです。それから20年以上、目標の数値を割ったことは一度もありません。


ネスレ日本では、売り上げに貢献した優れたアイデアを表彰する「イノベーションアワード」を実施しています。企業が大きくなると、イノベーションが起きにくくなる大企業病に陥ります。それを克服するには、ベンチャー精神が欠かせません。アワードへの参加を人事評価にも反映するようにしたことで、明らかにイノベーションが活性化しました。


消費者が気が付いている問題の解決と、そうではない潜在的な問題の解決の2つがありますが、どちらが重要かと言えば、後者です。前者は、市場調査をすれば誰もが気が付くもので、すぐにライバルにマネされてしまう。だから、私は市場調査が嫌いで、「コンシューマーインサイト」と称して市場調査の結果から分かった気にはなってはいけないと、社内で強く言っているのです。


期間に縛られない限定品は何だと考えて、主に土産物ショップなどで販売する地域限定商品を始めました。今では約20品目に拡大していますが、これが一番、利益率が高い。値引き販売はありませんから。そのため長続きしている。


新製品を出しても、コンビニの棚では3カ月とか半年しか持ちません。だから、キットカットは2000年に3カ月限定の商品を出しました。コンビニに切られた在庫の処分が利益を圧迫するので、それなら最初から期間を限定して「売り切れゴメン」という状態にしておけばよいと考えました。


発売当初に欠品するほどたくさん売れても、その時は広告などに多額の投資が必要でほとんど儲かりません。大きな利益を稼げるのは、そうした投資が必要なくなって、商品が十分に認知されてからです。つまり、ロングセラーになってから。そのため、ネスレ社内では、そうなるまで「ヒット商品」とは呼びません。


食品だけでは競合他社に必ず真似されますが、絶対に真似されないような仕組みを作ります。


高齢化社会では、日常生活を支障なく過こ守せる健康寿命をいかに延ばすかが大切です。ネスレはこれを独自のビジネスモデルでサポートしていきます。


マーケティングは経営そのものです。経営で最も重要なことは、いかに新たな価値をイノベーションで創り出し、それをどのように顧客に届けるかを考えること。ですが日本はこれまでマーケティングが不在でした。言い換えれば、ずっと新興国モデルのままでした。「製品」を作って「広告」で売るモデルから抜け出せていなかったのです。


広告は新興国ではまだ有効ですが、先進国では効かなくなってきています。日本でも高度経済成長期にはテレビ広告が有効でしたが、今はそうではない。「セレブ」を起用して商品の良さを伝えようとしても、何の説得力もない。


キットカットの立て直しをするとき期間限定商品を発売しました。きっかけは、コンビニエンスストアの台頭でした。コンビニでは売れなければすぐに販売を打ち切られてしまいます。それなら、切られる前に自ら販売期間を切ってしまえと考えたわけです。これによって、キットカットのプレミアム化が進みました。当時はデフレの真っ只中でしたが、ご当地ものや期間限定ものなど、比較的値段の高い商品をヒットさせることができました。


私がキットカット事業の立て直しを命じられたのは1999年のことです。当時、キットカット事業の利益率は2%程度しかありませんでした。それを5年以内に2ケタにしろと言うのです。本当に厳しいターゲットでした。まず、年間30億~50億円かけていた広告を一切やめました。既にキットカットの認知度は100%に達していたので、いまさら広告を打つ意味がないと判断したのです。その一方で、ニュースを作って記事として取り上げてもらう作戦を実行しました。


私たちはコーヒーを売っていますが、1杯の価値はコーヒーそのものだけではありません。そこには、リラックスできるなど様々な価値があります。成熟した先進国で稼ぐには、そうした潜在的な価値を見いだし、ビジネスとして提供する仕組みが欠かせません。


社内ではよく、「“マーケティング・マイオピア”にはなるな」と言っています。「マイオピア」とは目先のことばかりを考える近視眼的な状況を指します。


最近までグローバル企業の成長は新興国の伸びが牽引していました。しかし、この先20~30年を見据えると、新興国の成長は必ず鈍化して先進国のようになっていきます。今のうちに、先進国で圧倒的なパフォーマンスを出すビジネスモデルを作っておけば、今後も大きく成長できる。私はそれを日本で示したい。


CMO(最高マーケティング責任者)を任命するだけでは駄目だ。会社の事業の真ん中にマーケティングを置く必要がある。マーケティング出身者が経営トップになるような位置付けにしないといけない。


企業のマーケティング力を高めるには消費者が抱えている課題は何であるかを重要視することだ。消費者自身も認識していない課題を見つけ出し、解決するような製品やサービスを提供することができれば必ず求められる。のっとっている規格やブランド名は正直に言って関係ない。


製造業ほど圧倒的な競争力を持たない日本のサービス業を伸ばすには、マーケティングが最も重要な戦力になる。


日本企業のマーケティング力が弱い原因は、労働力の質が高く、国内市場の規模も大きかったからだ。日本のモノ作りの生産効率は世界で最も高く、製品のコスト競争力が十分にあった。高度経済成長期には人口が年平均100万人のペースで増えていた。これらのおかげで日本企業は、1945年の終戦からバブルの崩壊まで、特にマーケティングに力を入れなくても成長し続けることができた。


マーケティングとは何かと社員に尋ねられた時に、私はいつも「課題に対するソリューション(解決策)だ」と答えている。多くの企業はマーケティングの強化というと、商品の販売促進のことだけを考えてしまう。しかし、それでは全く意味がない。


問題を本質的に考えるためには、もっと考える時間を増やす必要があるでしょう。日本のビジネスパーソンは作業に追われすぎです。そして、与えられた課題を絶対に達成する強い意思があってこそ、深くまで考え抜けるのだと思います。


今後は、顧客がまだ気づいていない問題を解決するイノベーションが必要。「そうそう、こんな商品やサービスが欲しかった!」と言ってもらえるよう、顧客自身の潜在的な欲望を形にするマーケティングをしなければ生き残れない。


当時すでに、いずれ乳児の数が減っていくのがわかっていたこともあり、これ以上やる意味がないという結論に達しました。そして本社を説得して、2年かけたプロジェクトを断念。今となっては正しい判断でしたが、当時は挫折感がありましたね。
【覚え書き|粉ミルク事業から撤退したことを振り返っての発言】


「キットカット」は私が子供の頃からある、誰もが知っている商品。ただ、私がマーケティング本部長として異動してきたときには、利益率がわずか数%しかなかった。そこで「なぜ」を考えるわけです。すると、広告宣伝に無駄があるという考えに至りました。すでに名の知れたブランドにいくら広告宣伝をつぎ込んでも、売上げが伸びる時代ではなかったのです。そこで代わりに、広告をやめてPRでニュースを作るという発想が生まれました。


30歳で部長職に就いて以来、私の仕事相手の多くはネスレのスイス本社にいる外国人でした。彼らからは、日本についてあらゆる質問を投げかけられます。たとえば、「なぜ、他の国々で成功した方法が日本で通用しないのか」など。何千、何万という質問に答えるうちに、常に「なぜ」を問い続けるクセが身についてきたのかもしれません。


マーケティングとは、顧客の問題を解決すること。だからこそ、「問題の本質は何か」「なぜ、そうなのか」を問い続けることが大切。そこが明らかになって初めて、本当の解決策が見えてくる。


ビジネスがうまくいっているなら、それでいい。私が報告してほしいのは、うまくいってない場合。なぜうまくいっていないのか。報告は、口頭で30秒や1分で伝えるようにと言っています。結論や問題の要旨はその時間で十分説明できます。1分あっても伝えられないのは、報告者自身が、何が問題かわかっていないから。「帰れ!」と言って終わりです。


私が新人時代に千葉支店で営業をしていた頃の話だ。担当していたスーパーの中に、シェアも売上げも競合に大きく差をつけられている店舗があった。売り場担当者がネスレに好意的ではないこともあり、苦戦を強いられていた。だが私はあえて、そのスーパーへの営業に時間を割いた。ネスレのシェアが低い店舗でやるからこそ、大きく売上げが伸ばせると考えたからだ。すでに自社商品のシェアが80%の店舗では伸びしろはほとんどないが、シェアが30%しかない店舗を80%にできれば、大きく売上げを伸ばすことができる。


管理職が部下に「働き方を変えなさい」と言うだけでは何も変わらない。必要なのは、具体的なゴールを設定することだ。ネスレ日本では、19時以降の残業を原則的に認めていない。つまり「19時までに帰る」というゴールを設定した。人事が毎日オフィスを点検し、特別な許可を得ずに残業をしている者がいたら会社に報告され、そのチームの管理職の評価に反映する仕組みも作った。


ムダなデータ集めは、今に始まったことではない。小売業界ではPOSデータの導入を進めてきた。ところが、「何のためにPOSデータを集めるのか」という目的が明確ではなかったため、多大なコストをかけて導入したにもかかわらず、誰もPOSデータを有効に活用できていないのが実態だ。今、注目を集めているビッグデータも、「それを使ってどんな問題を解決したいのか」を明らかにしなければ、無用の長物になってしまうだろう。


「ウォークマン」の登場により、「そういえば、これまで外で気軽に音楽を聴けないのは不便だったな」と多くの人が気づいた。これぞまさに「顧客が認識していない問題」を解決した代表例であり、日本の歴史に残るイノベーションと言える。一方、ヒアリングなどの消費者調査で把握できるのはあくまで「顧客が認識している問題」であり、それを解決することで生まれる成果は「リノベーション」である。イノベーションとリノベーションは日本では混同されやすいので、その違いを明確にしておきたい。


マーケティングとは、「顧客の問題を発見し、その問題を解決すること」。「顧客」と聞くと、直接の取引先や一般消費者をイメージするかもしれない。しかし実際は、どの部門で働く人にも顧客は存在する。たとえば人事部門なら、同じ会社で働く社員が「顧客」となる。採用担当者なら、学生や他社で働く転職希望者が「顧客」となるだろう。だからまずは、働くすべての人が「自分は誰のために仕事をしているのか」を明確にしてほしい。それがすなわち、あなたにとっての「顧客」となる。


現在は、大量にものを作れば売れる時代ではない。企業は、「今までにない価値を生み出すこと」が求められている。それを実現するには、マーケティングが必須。この能力はマーケティング部門の人間だけに求められるものではなく、営業も人事も財務もサプライチェーンも、働くすべての人に必要である。


トップの意思が固くないと社員はついてきません。返品拒否を新聞で発表した時は随分いろいろな方が社長室まで押しかけてきましたけどね。でも、この出来事によって社内は変わりました。それまでは古い慣習からお客さんに非合理的な要求をされても、イエスと言っていましたから。でも、そういう場合、僕は断固として断ります。日本的経営のいい部分もありますが、価値を生まないものに対しては、すべて正していこうと思います。


私は、自分の裁量内での小さなトライアルなら、失敗したところで大したダメージにならないと考え、まず北海道限定で「ストロベリー味」を試験的に販売。結果的にはこれが大ヒットとなり、2か月の予定が1か月で品切れに。スイス本社には結果を事後報告し全国展開を求めたところ、誰からも反対はされなかった。


「キットカット」の期間限定商品のアイデアが生まれたのは、コンビニのビジネスモデルに対応するためだ。コンビニは商品の回転が速く、新製品を出しても2か月で売上げのピークを迎え、早ければ3か月で棚から外れる。そこで私は、このサイクルを逆手に取り、様々な味の「キットカット」を2か月間の期間限定で発売していくというアイデアに辿り着いた。


ネスレ日本では、2013年から新卒一括採用を廃止し、学歴や年齢、国籍を問わず、通年でエントリーを受けつけている。いわゆるエントリーシートも廃止した。応募者はまず答えのない難解な課題に取り組み、自分なりに考えて回答を提出しなければならない。その後の選考過程でも、「ネスレチャレンジプログラム」という研修に参加し、丸2日間かけてさまざまな課題に取り組んでもらう。履歴書と面接のみの採用に比べれば大変だろうが、これなら最初から本気の学生だけに絞り込んで、イノベーションを創出できるような人材を発掘することができる。


私は人事担当者に、「ネスレ日本は学生の就職人気企業ランキングには入るな!」と伝えている。私たちが求めるのは、イノベーティブでリーダーシップを持った学生だ。「人気企業だから、とりあえずエントリーしておこう」という程度の考えで応募する学生が増えたところで、人事担当者の負担が大きくなり、余計なコストがかかるだけだ。


私は30歳で部長になったため、早い時期からスイス本社の外国人たちと直接議論する機会に恵まれた。しかし、矢継ぎ早に浴びせられる質問に対し、論理的な答えを返して相手を納得させるのはとてつもなく難しい。当初はこうした質問にすぐには答えられず、何度も悔しい思いをした。だが、元来負けず嫌いの私は、一つひとつの質問について考え抜き、必ず答えを出すようにした。


私は外資系企業であるネスレ日本に入社して33年になるが、ずっと日本を拠点に働いている。私の経歴を知る人からは、「なぜ日本にいながら、グローバルに考える視点を持てるのか」と聞かれる。その理由は、日本を知らない外国人からの質問に答えるため、自分の頭を使って必死に考え抜いてきたからだ。


アイデアを思いつくと、私は必ず妻に「こんなことを考えたんだけど、どう思う?」と話すことにしています。仕事とは無関係の妻だからこそ、遠慮のない一般人の意見を気軽に聞くことができる。その妻が「ピンとこない」「買わないと思う」と言ったら、きっと多くの人々もそう感じるだろうと判断します。逆に妻が少しでも興味を示せば、どんなに小さなアイデアでもすぐに実行することにしています。


「相手の立場に立つ」ということは、説得に限らずあらゆる場面でのコミュニケーションにおいて、私が心がけていること。たとえば、私は記者発表会や講演会でプレゼンテーションをする機会があるが、その場合も「相手の立場に立つ」という基本は変わらない。自分が話したいことではなく、聞き手が何を知りたいか、何を疑問に思うかを考える。そのうえで、頭の中で絵コンテのようなストーリーボードを組み立てていく。その際、相手が興味を持ちそうな事例や数字を入れるようにする。


「イノベーションアワード」は従業員全員が1年に最低1つのアイデアを行動に移して、それが正しいかどうかを証明するというもので、今年は2千件集まりました。キットカットを焼いて食べることを提案する「焼きキットカット」やスーパーマーケット内カフェの「カフェ・イン・ショップ」も、そこから出てきたものです。最初の2年くらいは、私が選ぶものと他の役員が選ぶものは全然違っていました(笑)。「焼きキットカット」を、イノベーションアワードの大賞に選ぶ人間なんて僕以外にはいなかったのに、やってみたらすごい大ヒットになった。つまり、以前はそういうすごいアイデアをつぶしていたということなんです。


経営者の大事な役割は後継者の育成とよく言われますが、うまくいっているケースはほとんどありません。でも、後継者が生まれる仕組みはつくれます。後継者には、僕がやってきたことを否定するような人に出てきてほしいと思います。ネスレでは、前任者のやってきたことをきちんとした論理に基づいて変えようという人間しかトップに登用されません。僕がやってきたことを引き継ぎますなんて、生っちょろい人間はまず選ばれません。こういう部分は、グローバル企業として非常にガバナンスが効いていると思います。


本質的な深い考え方をビジネスに生かすということですね。ネスレのように150か国以上の国や地域で展開していると、各国、宗教や文化の違いがあり、独特のやり方が生まれている。多国籍企業というのはそれを常に理解しようとするクセがついています。昔は良くても、今は価値を生まなくなったらなぜ変えないのか考える。それは常に叩き込まれてきました。


以前は、売れ行き次第で商品が入れ替わるコンビニエンスストアからの返品に応じるのが菓子業界の慣習であり、出荷した商品が、2~3日でまるまる返ってくることもありました。しかしながら、いったん手から離れたら、商品がどのような状態でも、すべて廃棄しなければなりません。だから問屋さんに対して、コンビニエンスストアから返ってきた在庫はほかの取引先に売ってください、その販促費用や経費については弊社が出すから、と提案しました。返品すれば単に売り上げが減るだけですが、売り切れば逆に儲かりますよと。誰も損しないはずですが、やったことがないからみんな抵抗感があります。でもこちらには、グローバル企業として、世界で10億人が飢餓で苦しんでいるなか、十分に食べられる食品を無駄にできない、という大義名分がありました。結果的に、ほかのメーカーさんも追従しましたしね。


新たな発想を生むコツがあれば社員にもとっくに伝授していると思います(笑)。ただ、創造的にああしようこうしようと考えている時間が、たぶん他の人より圧倒的に長いんじゃないかとは思います。基本的には、会社にいないときのほうが多いですね。完全に現実世界の感覚でアイデアを夢で見て、起きてすぐにメモするということもあります。例えば、営業が地方に行くと店舗間の距離が長くて1日の3分の1~4分の1が運転時間だと言う。でも、そういう時間を使えれば、相当いろいろなアイデアが出ると思うんですね。


高岡浩三の経歴・略歴

高岡浩三、たかおか・こうぞう。日本の経営者。ネスレ日本社長。大阪出身。神戸大学経済学部卒業後、ネスレ日本に入社。乳幼児栄養食品事業プロジェクトリーダー、ココア・ミルク&ニュートリションビジネスユニットマネジャー、子会社の製菓会社ネスレコンフェクショナリー(のちにネスレ日本に吸収)プロジェクトディレクター、同社マーケティング本部長、同社社長、ネスレ日本副社長飲料事業本部長などを経て、ネスレ日本社長兼CEO(最高経営責任者)に就任。