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遠藤功の名言

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遠藤功のプロフィール

遠藤功、えんどう・いさお。日本の経営学者、経営者。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授、コンサルティング会社ローランド・ベルガー会長。早稲田大学商学部卒業後、米国ボストンカレッジでMBAを取得。三菱電機、アメリカ系コンサルティング会社勤務を経て、ドイツを本拠地とするヨーロッパ最大の経営戦略コンサルティング会社ローランド・ベルガー日本法人の会長と早稲田大学教授となる。専門は経営戦略論、オペレーション戦略論。

遠藤功の名言 一覧

経営者が短期志向ではなくて、中長期的な視点で自分たちの独自価値を常に追求していく姿勢を貫いていると、現場力もついてくる。


ポイントは諦めないこと、そして当事者意識を持つこと。それさえあれば逆境はいくらでも跳ね返せるはず。


明日がどうなるかも予測できない環境では、スピードと柔軟性が生き残りのカギになる。


現場力を復活させるにはQCサークルの復活など地道な活動で、愚直に現場を鍛えることが肝要。10年単位の長期計画で臨むしかない。


現場が何とかすると考えている経営者は無責任だ。まずは経営者は原点に返って現場に興味を持ち、現場を知ることが大切だ。


現場力を鍛えるのに特効薬はない。現場は例えるなら企業の筋肉。筋肉を鍛えるには地道に筋トレをする以外方法はない。


人はポストで成長するのではなく仕事で成長する。


「現在携わっている仕事より難易度の高いものを全面的に任せ、ギリギリまで追い込み、最後に支援する」。これが人を育てる原則だ。


組織やチームでしかできない仕事をしているからこそ、会社で働くことに価値がある。


特定の「誰」かが言うからやるのではなく、「何々」を大切にするためやるのだという姿勢を現場に意識させることが必要。


今後は消費者に近い店舗で工夫や改善を進めなければ成長できない。


経営資源が無尽蔵にあれば「フォーカス」する必要性はないが、ヒト、モノ、カネが限られていれば、どこかに集中しないと勝てない。


目先の価格ではなく付加価値で勝負するという考えに基づき、自信を持ったビジネスをしなければならない。


すぐに花が咲き、実がなることは稀だ。でも、種を蒔かなければ、絶対に花は咲かない。必ず花が咲くと信じて、動き続けたことが実を結んだ。


逆境を経験するから、人は強くなる。そして、謙虚になれる。真の力をつけるとはそういうことなのだと今は思っている。


仕事とは「壁」そのものだ。壁と感じないような仕事はそもそも仕事などではなく、単なる作業にすぎない。きっちりとした仕事ができるような人間になりたいと思えば、その壁を乗り越えていくしかない。


スピードが遅いビジネスマンは必要とされなくなる。


そのときは重要に思えなかったことも、あとから読み返すと興味深く思えたり、新たな発見があったりする。こうして手軽に見返すことができる一覧性の高さも、ノートのメリットです。


お金がないのなら知恵を絞ればいいのです。


人気になった仕事は要注意だ。未成熟で、確立していない仕事だからこそチャンスなのであって、「人気稼業」となってからでは競争に打ち勝つのは容易ではない。


どんな仕事であれ、仕事ができる人に共通するのは「好奇心」が旺盛なことである。彼らは自分の身の回りのことからいろいろなことを感じたり、小さな変化に気づく。そして、そこから発想を膨らませたり、新たなアイデアを生み出すことに長けている。


デジタル全盛の時代だからこそ、アナログが武器になる。


中国企業は規模で向かってきます。だから、「体格」で勝負してはいけません。日本企業は「体質」で勝負すべきです。体質を磨いていくことこそが、「日本らしさ」のベースだと思います。体質の劣化を招くような体格の追求はとても危険だと感じています。


コストを下げなければならないといった課題がある中で、10%コストを減らしましょうといったレベルでは、もはや世界の競争に追いつけません。全体を抜本的に見直し、コストを半減しなければならないといったレベルに挑戦しなければならないのです。


ハードルの高さを自分たちで下げてしまったら、日本のものづくりは根本から駄目になってしまう。他国であれば、そこまで要求レベルは高くないかもしれませんが、あえてそこに挑戦してきたことで日本のものづくりは強くなってきたのです。


悩んでもいいから、常に未来志向であるべきです。


どんな状況でも、まだ戦えるぞというファイティングポーズをとり続けることが逆境の克服につながります。


困難に苦しんでいるとき、人はよく「もうダメだ」と言います。しかし、どんな状況でも100%ダメということはまずありません。どこかにいいところがあるはずです。そこを見つけて、クローズアップすることが必要なのです。そのなかにこそ、事態の打開策があるからです。


社長就任時、「外資系コンサルティング会社の三強の一角に食い込む」という目標を立てました。知名度も実績も皆無の当時、それは途方もない夢でした。いわば大ぼらですね。でも成功体験がないときこそ、大きな目標が牽引力になります。


常に顔を上げ、目標を口にし、やれることをやりきろう。屈しないメンタルをもって、できることの領域をどこまでも押し広げていくこと。それが成功というものだと私は思っています。


頑張っても成果が出ないときは、クヨクヨしたっていい。でも、同時に自分がそもそも何をしたかったのか、目標を思い出してほしい。そして、それを紙に書くなり、口にするなり、とにかく言葉にして外に出す。そうすれば、現在の苦労は目標達成までのプロセスに過ぎないとわかるでしょう。


スマートに少ない労力で大きな成果を得る方法は、所詮表面的な成功しかもたらさないと私は思います。スポーツでいうなら筋肉増強剤のようなものです。本当の強さを得るなら、やはり筋トレが一番です。できることを片っ端からやることは、一見、回り道のようでいて、実は最も実力が身につく方法です。それは同時に、自身や胆力、心の強靭さをもつくりあげてくれるでしょう。


部下に「君にできることは、本当にそれだけか?」と問い続けると、自分のアイデアも活性化します。自分と相手、両方のモチベーションが上がるんです。あとは、それを実践するのみです。その中で道が開け、自分とチームの能力も高いものになっていきます。


「うちの会社は雰囲気が悪いから」と嘆いていないで、まず自分から大きな声で挨拶をすればいい。「うちは知名度がないから」も、口にする人が多いセリフです。10年前、私の部下たちもよく言っていました。それなら知名度を上げればいいじゃないかと呼びかけた私は、知名度を上げるために書籍を出そうと決めました。他にもセミナーを開いたり、ニュースレターを出して若い社員にも記事を書かせたり、考えつく限りのことを実践しました。


「社長があんなだから」「部下が言うことを聞かないから」「あの失敗がまずかった」などと嘆くのは無駄です。他者の人格や過去の出来事はコントロールできない領域ですから。そのエネルギーを、自分ができることに注がなくてはいけません。


仕事には、自分でコントロールできることと、できないことがあります。そして、それをするか、しないかという選択肢があります。コントロールできることを片っ端からやりきる。これが、大きな目標をホラでなくす方法です。


大事なのは目標を口に出し続けること。すると必ず共感者が集まります。志を共にする仲間が増えるのです。我々のもとにいい人材が集まってきたのも、夢を熱く語り続けていたからだと思います。


会社に与えられた目標とは別に、自ら立てた目標を持つことはとても大事です。管理職たるもの、自分のゴールは自分でもたないといけません。目標に対してオーナーシップがあれば、目標に到達すると上の苦労は乗り越えられます。


組織人として、会社の目標を否定することはできません。しかし、滅私奉公になるのもよくないです。できる中間管理職なら、上手に上司を説得して、遂行する業務の中に自分の意志を反映させるでしょう。つまり、会社という場を使って自己実現するのです。


社長就任後の最初の数年は苦しかったですね。知名度がない、優秀な人材は採れない、業績も伸びない。でも、そんなときこそ、明るい側面を強調しました。そんな中、ある世界有数の企業の仕事を縁あっていただくことができました。金額は小さかったのですが、「大した仕事ではない」とは言わず、「あんなすごい会社から仕事をもらったのは俺たちに力がある証拠だ!」と言い続けました。そうした働きかけを続けること10年あまり、いまはコンサルタントの数も100名近くとなり、知名度も業績も急伸しました。


メンタルを鍛えるには、実はフィジカル(肉体)に着目することが大切だと思います。ただ心を強く持てと言われても難しいでしょう?だから、まずは体に働きかける。すると、心も変わります。


私は、自分自身でコントロールできない仕事の結果を失敗とは考えません。本当の失敗とは、自分でコントロールすべきことを、コントロールしなかった結果をさします。


失敗の原因はコントロールできる部分をコントロールしようとしなかった自分の側にあります。本当に失敗したくないのなら、手持ちの中でも一番難しい要素から手に取らなくてはいけません。


新しい仕事に取り組む際、押さえるべき要素をすべて洗い出していきます。この洗い出し作業を怠ったまま仕事をしているビジネスマンは、失敗しても誰に文句を言うこともできません。むしろ、失敗以前のレベルといってもよいでしょう。さらに、必要な要素が出そろった場合、次に着手すべきことは、最も難しいと思う要素から埋めていくことです。これが一番手間を取り、失敗の最大の要因となる可能性が高いからです。


仕事の失敗というのは10個あるピースのうち9つまでをパズルに埋めたとしても、最後のひとつが埋めきれなかったために起きるのです。失敗しないためには、最後のピースを確実に埋めなくてはいけません。新しい仕事に取り組む際、まずパズルを完成させるために必要なピースをすべてピックアップすることから始めるべきです。


忘れてはならないのは、ITはあくまで道具であり、大事なのは使う人間の意識だということです。仕組みを作ったからと安心してしまってはいけません。何を目的として、どう使うかを明らかにする必要があるのです。


強い企業体質へと進化するには、相応の時間が必要です。


経営者は何とかなるだろうと思い、社員も誰かがなんとかしてくれるだろうと思っている。そうした見えないことに流されている企業は、いつの間にか落とし穴にはまってしまうことになりかねません。


企業競争力の源泉は、現場力にあると私は考えています。現場力とは企業の各現場が自律的に問題を発見し、解決する能力です。


どのくらい儲かっているのか社員には知られたくない、というのは経営者のエゴ以外の何ものでもないでしょう。当たり前のことですが、社員が力を出せてこそ業績は伸びるもの。一方的に見られるだけでの環境では、社員の士気が上がるわけがないのです。


営業情報の価値は鮮度にある。ライバルの値下げの動きといった予兆をとらえることができれば、先回りして策を講じることが可能なのです。鮮度の落ちた情報は、腐った果実であることを意識すべきです。


企業の規模がさほど大きくなければ、社内のことは実際に見ることができるかもしれません。しかし、一番見えていないのは、顧客や市場、競合他社の動向など外部の要素です。


通常、人を動かすにはコミュニケーションという手段をとるのが一般的です。必要な情報を与え、行動を促すよう動機づけしていく。こうした一連のコミュニケーションが人を動かし、成果を上げる方法であることは確かです。しかし、人間が行動を起こすのはコミュニケーションを通じてだけではありません。人間は本来、自律的に物事を判断し、適切な行動をとるという能力が備わっています。事実が顕在化し、問題点が明らかになれば、誰に言われなくても必要なアクションをとって対策を講じるものなのです。


営業で大事なのは個人の力に頼るのではなく、組織としての力を高めていくこと。ライバルに顧客をとられてしまったら、その原因をみんなで検討し、解決策を考えなければいけない。学習する組織は、次の一手を俊敏に打てるものです。


営業活動を行っていれば、現場で発生する問題点や事故、クレームや不良在庫、スケジュールの遅れ、案件の不成立など、悪い情報は必然的に生じてきます。こうした情報は本来見せたくないものであり、心理的な抵抗感があるため、放っておくとまず見えません。しかし、手遅れになる前に手を打つには、悪い情報こそ、できるだけ早く発見、共有しなければなりません。悪い情報の犯人探しをしたり、社員に処罰を与えるのは論外。経営者は「早く提供してくれてありがとう」という気持ちで、社員が安心して情報を提供できる環境づくりを心がけるべきです。


私は営業の基本は営業日報にあり、営業日報こそ見える化のための最良のツールだと考えています。ほとんどの企業は営業日報を書かせていますし、最近ではイントラネットなどを活用し、情報として共有する企業も増えてきました。にもかかわらず、成績が上がらないという経営者の声や、書きたくないけど義務だから書くという営業担当の本音も聞こえてきます。せっかくの貴重な情報が活用されない。優秀な営業担当のノウハウやスキルが生かされないようでは大きな損失です。


私は仕事柄多くの経営者にお会いしますが、率直に言って「会社や業務のことは俺が一番わかっているから大丈夫」と、思っておられる経営者が多い。しかし本人は見えているつもりでも、じつは見えていないというケースは想像以上に多いのです。


人間は、情報の8割を視覚から得るといわれているほど、目は重要な感覚器官。行動を起こすとトリガーとなる最も重要な入口です。この目のメカニズムをうまく活用し、情報が目に飛び込んでくる状況をつくってしまうことが、現在多くの企業で重要な課題になっている「見える化」の肝といえます。つまり「見える化」とは、目的を明確にしたうえで、「見せる化」を実行することなのです。


大正製薬の創業者、上原正吉氏は、当時100人ほどいた営業担当の営業日報を毎日FAXで送らせて、それに逐一目を通すことで市場の状況や顧客の声、また売れ筋商品などを見極めていたといいます。


一人一人の部下を丁寧に支援していけば、上司を慕う人が増えてきます。やがてそれは信頼の連鎖を呼び、チーム全体にいいムード、ノリが生まれてきます。ここまでいけば、いうことなし。あとは自動的にものごとが上手く回るでしょう。


苦手な部下との接触を避けて、気の合う部下ばかりに仕事を頼む課長は多いですが、苦手な部下を動かせないようでは管理職失格です。気難しい部下や仕事ができない部下がいたら、「絶好のチャンス」と捉え、積極的に接触しましょう。このような部下の心を動かして、戦力化できれば、人心掌握のための引き出しが増えるし、大きな自信となります。


長野県の優良企業である天竜精機(株)では、管理職のことを「支援職」と言い換えました。課長に求められるのはまさに支援というスタンスなのです。自分が前に出るのではなく、部下を主役にして自分は陰でサポートするというわけです。平社員時代にスタープレイヤーだった人ほど支援の感覚を持てないようですが、課長になったからにはパラダイムの転換が必要です。


部下を支援するためには聞く能力が必要です。部下一人一人とこまめにコミュニケーションをとって、将来の目標や挑戦してみたい仕事、いまの仕事の悩みなどを聞いていく。そうして、個々の考えや求めていることを把握することで、初めて個々の部下に合わせた支援ができます。


課長になると失敗を恐れて創造・変革に及び腰になりがちですが、無難に仕事をしているだけでは、いつまでたっても会社からの評価は上がらないでしょう。決められたことをきちんとこなすことが重要な部署もあるので、程度の差はあるとはいえ、どの部署でも創造・変革が必要なことは変わりありません。


「創る」「変える」「挑む」を成し遂げることは、一人の力では不可能です。多くの人を巻き込んでいく必要があります。


部下を動かすためには、まず上司の方から、部下が求めるものを提供する必要があります。いまの若い社員が最も求めているのは、自らの「成長」です。部下が成長する手助けができれば、信頼関係が生まれ、上司についてきてくれるようになります。もちろん、部下の能力が伸びれば、チーム力が上がり、そのチームのトップである上司の会社からの評価も上がるはずです。


経営者は現場の頑張りに甘えることなく強力なリーダーシップを発揮して、非凡な現場を作る努力を今こそすべき。


筋トレは多くの人が経験していると思うが、決して楽しいものではない。それでも続けることで体力がつく、体調が良くなる、仕事がはかどるなど効果を実感できれば、続けるモチベーションが上がってくる。筋トレをしないと気持ちが悪いというレベルまで達して初めて習慣づけることができる。


日本は島国なのだから、無理に大陸的な発想にならなくてもいい。島国の良さを生かした個性にすればいいと思います。謙虚というのも個性。日本人であることを自分で選んだわけではありませんが、個性を最大化しつつ、外の世界をリスペクトしつつ、私たちは生きていくわけです。


日本の組織は革新的には変わりません。サステイナブル(持続可能)な形で変わっていくしかないのです。


多くの企業は資源配分を思い切って傾斜できていません。できる経営者はそれができています。いまはそうすべき時期なのです。リスクテークできる人でないとCEO(最高経営責任者)の仕事は難しい。無難にやっていてはチャンスをつかめません。過去の成功体験を引きずっている人は、こういう環境に対応できていません。


いまはグローバル戦国時代です。戦国時代に活躍するのは若武者です。若武者が出てこないと勝てないのです。


もっと若い人にやってもらうしかありません。海外でも30代、40代が主戦力になるべきです50代後半の過去の成功体験を引きずった人では、自己正当化に走ります。もっとダイナミックに新陳代謝をしないと。


私は企業にコンサルティングをする際、最近は「ミッション別組織」にするようにアドバイスすることが多い。それぞれの部門のミッションをできるだけ明確にして、シンプルにする。できればシングルミッションが望ましいですね。あれもこれも望むのは、この動乱期には望ましいことではありません。


「権限のない現場、情報のない本社」、これが日本の組織運営を悪くしています。進出先の実情を分かっている現場に は権限がないから、決められない。権限はあるが、肝心の情報がない本社が悪さをしている。この構造を変えていかなくてはいけません。本社は何をするところなのか。現場は何をするところなのか。その役割分担を明確にすることが求められています。


単にモノを売るというより、より大きな価値を提供するためにモノを生かすと考えることが、海外で勝負するためには不可欠。


日本企業の緻密さ、こだわりが生きる領域こそが「戦う土俵」。


競争相手との相対的な関係を見て、自分たちの経営資源が一体どれくらいあるのか、戦う領域をどこまで狭めるのか判断するのが経営者の重要な仕事になる。


わからないことはわからないと正直に言うことが大切です。想定外のときにかぎって、変に格好つけて、薄っぺらいことをいったり、変な口約束をしたりしがちですが、それで信頼関係が一瞬で崩れることもあります。たとえ「そんなことも知らないのか」と相手にいわれても、自信のないことは口にしない。「すぐ調べます。持ち帰らせてください」と対応したほうが、信頼関係は高まるでしょう。


最も大切なのは、数字やお客様の声といった「ファクト」です。「他社が先行して発売しているライバル商品はこれだけ売れている」「複数のお客様からこういう声が出ている」などといったファクトを示せば、多くの人は、ロジックを滔々(とうとう)と述べなくても、納得してくれます。


ロジックはひとつではありません。一人一人に、その人なりのロジックがあります。ロジック偏重の人は、こういう視点が抜け落ちているのです。


ロジックを組み立てることは、必ずしも悪いことではありません。ただ、「ロジックが大切」「論理的に話すことが大事」ということばかりを意識して、相手のことをまるっきり考えず、自分のロジックを押しつけようとする人が多いように思います。たとえば、商品を欲していないお客様に対して、「他社製品と比べて、品質が格段によくて、価格もリーズナブル。だから、あなたはこれを買わなければ損」というロジックで、買わせようとする。自分にとっては正しいロジックかもしれませんが、相手からみたら自分勝手な屁理屈に過ぎません。にもかかわらず、理詰めでいいくるめようとする……。これでは相手の心を閉ざすだけ。聞き入れてもらえるはずがありません。


話し方というと、「伝える」という言葉がよく使われますが、私は「伝える」意識は捨てるべきだと思います。「伝える」意識が強い人は、相手の都合を考えないで、一方的に自分の言いたいことを押しつけがちだからです。相手の心が開けば、押しつけなくても、自分のいいたいことは自然と「伝わる」もの。まずは「伝わる」状況をつくり出すことを考えたほうがいいと思います。


プレゼンや営業、会議、講演などで、初対面の人の多くは、あなたに対して、心を開いていないはず。その状態のままでは、相手に有益な情報を言ったとしても、聞く耳をもってくれないでしょう。そこで、できる人は、初対面の相手に対しては、本題に入る前に心を開いてもらえる工夫をします。いわばウォーミングアップのようなものです。笑いがとれれば最高ですが、それは普通は難しいですよね。素性がわかるだけでも十分です。


最近、プレゼンや発表などを聞く場で、変な話し方をする人をよくみかけます。オドオドしてちゃんと話せていないのに、すべての聴衆と一生懸命目を合わせようとする。必要以上に声が大きい……。先日は、外国人気取りでポケットに手を突っ込んで、壇上をあちこち歩きながら話している若者がいました(笑)。誰かに教えてもらったのかも知れませんが、表面的なテクニックばかりに走っていては、薄っぺらい人だと思われるだけです。


大なり小なり人は思い通りにいかないことを体験し、逆境に晒される。壁にぶつかり、壁にはね返され、無力感に襲われ、打ちひしがれる。大事なのはそこからだ。


小さな予算に合わせた片手間の仕事しかしていなかったら、大きな仕事をもらえるチャンスはこなかっただろう。


小さな予算しかもらえない仕事でも私は手を抜かなかった。時には、予算をはるかに超える数のコンサルタントを投入して、自分たちの仕事ぶりや能力をアピールした。そのうちそれまでに行った小さな仕事が評価され、大きな仕事に結びついた。


一番変わらないと思っていた人が変わるのは組織改革にとって強烈です。頑張っていない人を頑張らせることは重要なことです。各部門にぶら下がっている社員を固有名詞ベースで出させる。そうした社員を何に使えばいいかを考える。全社のメッセージとして送っても響きません。経営者は、該当者に直接、「君たちが変われば会社が変わる。君たちはもっとできる」とメッセージを送ることが求められています。


もう余剰人員を抱えているだけの余裕はありません。「ぶら下がり社員」を戦力に変えていくしかない。それを断行するくらいの社長が出てきてほしいのですが、実際には社長は諦めてしまって、「ぶら下がり社員」はコストとして、ほかの人間が稼げばいいと思っています。それはよくありません。嫌な仕事でもやってもらって稼いでもらう。CEOはそういう厳しいメッセージを出さないといけません。


日本企業は現場力が突出しているように見えますが、現場力と本社力はワンセットだと思っています。いまは本社力が問題です。本社力が弱いのです。ガバナンス(統治)は利いていないし、会社の方向性が示せない。だから、現場力が浮いて、劣化してしまう。


大きなイノベーションを生み出すためには、リーダーの構想力が必要となります。小さなイノベーションを大きなイノベーションに変えていくデザインカ、プロデューサーとしてのリーダーが求められています。


日本からイノベーションが生まれてこないと言われますが、実はひとつひとつは小さくても、こんなにたくさんのイノベーションが生まれている国はありません。例えば、東京駅の大丸の地下に行くと、いろんな弁当が山のように並んでいる。ひとつひとつがイノベーションで、すごいクリエーティビティーです。弁当の山からお客さんは皆、必死で選んでいます。こうした小さなイノベーションは日本の得意技でしょう。現場がすごいエネルギーをかけて作っています。こんな国はほかにはない。「小さなイノベーション」を数多く作れるのが日本。それは現場の人たちが懸命に取り組んでいる。インスタントラーメンやトイレに命をかけている。大きなイノベーションが生まれるに越したことはありませんが、小さなイノベーションを卑下することはありません。


ビジネスの第一線で責任を背負い、一皮むける体験をしないと、本当のリーダーの器になりません。成功しようが失敗しようが、辛酸を舐めるといった経験をするのが日本人には一番いい。若いうちから、できれば30代のうちに子会社の社長をやらせるといったことを思い切ってやることが必要だし、現実的なリーダー育成法だと思います。


MBA(経営学修士)教育ではリーダーは育たないというのが私の持論です。リーダーシップに関する授業はありますが、そういう授業を取っているような人間はリーダーには育たない。リーダーシップは教えられても、リーダーをビジネススクールで育てることはできない。


米国の場合、やる気のない人はすぐにクビになって人材が新陳代謝するから、基本的には組織にはやる気のある人しかいません。また、クビになるリスクを感じているから一生懸命仕事をする。日本企業も「ぶら下がり社員」がいなくなって、やる気のある社員だけでやればマネジメントの質も良くなり、必ず浮上します。ただしソーシャルセキュリティーのネットワークがないから、大企業が余剰人員を切るようになれば、失業率は2ケタに跳ね上がるでしょう。これが根本的な問題だと思います。


本当にダメな会社はダメです。一言で言うと、活気がない。活気がないから業績が悪いのか、業績が悪いから活気がないのか分かりませんが、当の会社の人に聞いてみると、一番の問題はそういう会社には、「ぶら下がり社員」が多いことです。それが会社の雰囲気を決めています。クビにできずに抱え込んでいるのです。


米国ではリーダーは「仕事」になっています。自分がこのミッションを遂行することがリーダーの仕事だと考えるわけです。日本ではリーダーは単なる「役割」だと思っている。みんなでやっている中で、「たまたま俺はまとめ役で、何でも自分が決めるわけではない」と思って主観を出してはいけないと考えている。若い時からリーダーは「仕事」だということを教えないと、うまくいきません。リーダーは「役割」という考えに染まった人に、リーダーの概念を教えても受け止めきれないでしょう。


大きな組織にはリーダーが必要です。日本の大企業がうまくいかないのは、大きな組織を牽引できるリーダーがいないからです。ではどうすればいいか。ひとつの選択肢は、スポーツでたとえるなら監督ではなくキャプテンで回せるサイズの組織にすればいい。その方が日本らしさが出る。


日本には優れたリーダーはあまりいませんが、優れたキャプテンは結構います。サッカー日本代表の長谷部誠選手のようなチームを束ねることができるキャプテンです。キャプテンなら日本人の力量でもできる。ほかのメンバーと一緒に汗を流してやっていくキャプテンは日本人に向いているのでしょう。しかし、良いキャプテンが良い監督かというと、必ずしもそうではありません。


日本でリーダーシップ教育を重視してこなかったのは事実でしょう。日本は、意図的にリーダーを育ててこなかったし、重視してきませんでした。きちんとした実務家を育てることはしてきましたが、実務家は必ずしもリーダーではありません。だから、実務家としては何とかなりますが、先天的にリーダーシップの才能を持っている人以外は、リーダーのポジションになるとダメになってしまう。つまり突出した人間を作ることを嫌がってきたのです。


現象面で現状を見ると、大規模な会社はダメで、中堅企業は比較的元気。実は、これは偶然ではありません。数千億円、数百億円規模の会社なら日本人のリーダーでも回せます。しかし、数兆円規模の会社になると、普通の日本人のリーダーでは回しきれない。


この時代環境の中で国の成長に依存し、それに乗っかっているだけの会社はダメになっていきますが、自分で成長や需要を作れる会社はどんな環境にあっても生き延びられる。成長創造型の会社しか勝ち残れない環境にいるわけです。


私は日本企業が総崩れだとは思っていません。ダメな企業とそうでない企業に二極化しているということです。実際、厳しい環境にもかかわらず、最高益を上げている企業、成長している会社もあります。日本企業が全部ダメというわけではありません。


とかく経営は理か情かという話になりますが、そうではないと。今までどちらかというと、理ばかりを追求してきたわけですけれども、実は理ばかり追求していても、あまり良いことがない。むしろ、情に火を点けたところが最も合理的な結果を導き出しているわけです。


大企業も最初から大企業だったわけではありません。中堅企業として成長し、もしくはリスクを取って挑戦して大企業になった。この中堅企業を育てていくという発想が日本の経済をドライブする上で、とても大切だと思います。


今の20代、30代を海外に送り込んで、そこでとにかく苦労させるというのが最大の人材育成。海外には修羅場の経験をさせるだけのチャンスがあるからです。


経営者には「理」と「情」のバランスが求められると思います。理がなかったら経営は成り立ちません。そういった意味で、理というのは合理性を追求していくことになります。しかしながら、やはり情の部分も必要になると思うのです。


すごいチャンスだと思うのは、否が応でも海外に日本企業は進出し、富を生み出していかなければならない時代になりました。ということは、若い人をどんどん海外に出して、新しいことに挑戦させる絶好のチャンスが目の前にあるわけです。


商品やサービス自体はカスタマイズしなければなりませんが、自分たちが大切にしている理念や考え方を妥協してまで現地に迎合すると、かえってうまくいかなくなる場合が多い。


先の読めない時代に机上でいくら考えても、わからないものはわかりません。だったら、とりあえず実験的にやってみて、その結果から学習することで、より的確な判断ができます。素早く軌道修正ができるので、仕事の質も上がります。


ひと昔前は「考えてからやる」が普通でしたが、それでは遅すぎる。最近は「やりながら考える」が推奨されていますが、私はそれでもまだ遅いと考えています。グーグルなどが実践しているのは、「やってから考える」。


現在のように不確実性の高い時代には、会社の指示が正しいとは限りません。現場の一人ひとりが、ミッション達成のためにすべきことを、変化する環境に柔軟に対応しながら判断しなければ、成果が出せない。


足跡さえ残さない素早さで行動し、臨機応変さを持って確実に任務を遂行する忍者こそ、今の時代に企業が目指すべき姿。もし動きや判断の遅い忍者がいたら、一発で敵に仕留められてしまうでしょう。それと同じく、スピードが遅い会社は絶滅するしかありません。


日本人は、とかくネイティブのような完璧な英語を話そうとして挫折する傾向にあります。私に言わせれば、努力の方向が間違っているのです。今さらネイティブのようにペラペラ話せるようになるのは無理な話です。使える英語で必要なのは、コミュニケーションを取ろうとする「姿勢」、研ぎ澄まされた「コンテンツ」、伝えるための「ツール」としての英語なのです。


いくら英語がペラペラでも、コンテンツを持たない薄っぺらな人とは誰も話したいとは思わないでしょう。日本人としての意見をしっかりと持つことのほうが、綺麗な発音にこだわるよりも重要だと私は思います。


英語が使えないという日本人の最大の問題点は、英語が上手か下手かということではなく、相手とコミュニケーションを取ろうとする「姿勢」を示せていないことでしょう。


会社の縦の関係こそが人を育てる装置だ。中間管理職がいてこそ経営者の思いが現場に伝わる。一時期流行した「フラット化した組織」では、誰も人を育てなくなる。


大切なのは「微差」を追い求めることだ。トヨタのカイゼンもいわば微差の積み重ねだ。現場では微差こそが決定的な差になる。ノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏の青色LED(発光ダイオード)開発にしろ、東レの炭素繊維にしろ、小さな努力を積み上げた結果生まれた。


今の現場が昔とは様変わりしていることを理解していない経営者が多い印象がある。現場は疲弊しつつも、ギリギリのところで耐えて何とか頑張っている。かつて優秀だった現場が平凡以下になっているならば、それはマネジメントの責任だ。


ノートを書くことそのものが目的化しては意味がない。いくら詳細にお客様との会話をメモしても、それを新規開拓にどうつなげるかということについて考える時間を作らなくては、仕事で成果は出せない。


「3か月後までに、A社を新規開拓する」といった目的があるから、そこから逆算して必要な情報をインプットし、考えを整理して、アウトプットを出せる。


良いアウトプットは、良いインプットからしか生まれない。いくら机にしがみついてパソコンで検索しても、ありきたりなインプットしか得られません。自ら行動し、自分の足で稼ぐからこそ、他の人が得られないような新鮮で独自性のある一次情報が手に入る。


現場を歩き回り、人と話しながらメモするには、軽くて持ち運びやすく、立ったままサッと書き込めるノートが断然使い勝手がいい。その点、パソコンやスマホは不便。


接待離れと言われる昨今、記憶に残る接待を演出することで差をつけることもできます。接待とは気配りであり、センスであり、その人そのもの。上手な接待ができる人こそが「仕事ができる人」なのです。


相手との会食が2、3回と繰り返されるようになったら、「サプライズ」を織り込むことを考えるべきでしょう。先日私はあるグルメな社長を、五反田の小さな、知る人ぞ知る焼き鳥の店にお連れしました。有名店は知り尽くしているので、あえて「外して」みたのです。まさに赤提灯という言葉がふさわしい店でしたが、社長は喜んでくれて、以後、顔を合わすたびにそのときの話になります。店選びそのものがサプライズなのです。


接待に対する大きな誤解のひとつに「自分の好きな店に連れていけばいい」というものがあります。もちろん、接待に使える自分のなじみの店を作っておくことは大事です。ただ、あくまで大事なのは相手目線。たとえば、酒が飲めない方をこだわりの銘酒の店に連れていっても先方は喜びません。そして、店を選んだら再び秘書の方に「この店に行ったことがありますか」と聞いたうえで決定することが必要です。


接待をする以上、相手の印象に残らなければ意味がありません。その際に大事なのは「I CARE YOU」の精神。相手の目線に立ち、「気を遣ってもらっているな」ということが相手にさりげなく伝わるよう準備をすることです。店選び、料理選び、酒選び、手土産選び、すべてこの「I CARE YOU」が基本です。だからこそ、事前リサーチは必須です。私も初めての方を接待するときは必ず、相手の好みをリサーチします。その方の秘書に連絡を取って、好みや酒量などを確認します。


偉い人ほど決まって時間より早めにいらっしゃるもの。だから私は必ず15分前、できれば30分前には到着するようにしています。遅刻は言語道断ですが、早く着いていれば、事前に座る場所をチェックして、下座のほうが景色が良いからあえて下座に座っていただく、などの工夫もできるというものです。


接待の際にはまず大前提として、「相手の貴重な時間をいただいているという意識を持つ」ことです。会食の時間が2時間だとすれば、相手は別のことに使えたその2時間を、自分たちのために割いてくれている。それに対する感謝の気持ちです。


若い人は、接待なんて古くさい、意味のないものだと思っているかもしれません。しかしそれは大きな勘違いです。どんなビジネスでも決め手となるのは信頼関係。頭の善し悪しで仕事が決まるわけではありません。信頼関係を築くには、自分を知ってもらい、自分を売り込まねばなりません。接待の場はその最大のチャンス。つまり接待とは、会議室では築けない深い人間関係を構築する場なのです。会社のお金で飲食する場だと思っていたら大間違いです。一方で、だからこそ厳しい場でもあります。その人の人間性やセンスがさらけ出されてしまいます。中途半端な接待なら、やらないほうがマシです。


外資系コンサルティング業界では「Up or Out」とよく言われる。「2年で実績を残し、昇進できなければ、去れ!」という意味だ。外資系コンサルティング会社に転職してからの2年間、私はプライベートをほぼ100%犠牲にして、仕事漬けに徹した。他のことを考える余裕はまったくなかった。幸い、私は2年で放り出されることもなく、なんとか生き残り、マネジャーに昇格した。同期で入社した中途採用者の中には、生き残れずに転職を余儀なくされた人が何人もいた。しかし、25年経って、彼らのその後を追ってみると、著名な外資系事業会社のトップにまで登り詰め、大成功している人が何人もいる。「Up or Out」と言いながら、実は「Up or Up」になっていた。コンサルタントとして成功するか、他の世界で成功するかの違いはあるが、あの濃密な2年間が私たちを「仕事師」として徹底的に鍛えてくれたのは間違いない。


「仕事師」として生きようとすれば、仕事の「技」を常に磨き続けることが不可欠。


私が経営コンサルタントという仕事を25年も続けることができた要因のひとつは、まだ未成熟段階の仕事を選択したことにある。未成熟にリスクは付き物だが、だからこそチャンスも大きい。仕事を選択するうえで、「成熟度」の吟味はとても重要である。


仕事は時代の要請とともに変わっていくものである。新しく生まれる仕事もあれば、消えてなくなっていく仕事もある。なくならないまでも、仕事の価値が目減りするものもあれば、逆に高まるものもある。


仕事で成果を挙げ続けるためには、仕事の「価値の進化」を常に意識し、自らの能力やスキル、知識を継続的にブラッシュアップしなければならない。


大手電機メーカーに勤めていた頃、「大組織という庇護の下で自分の好きな仕事を選ぶ」なんていう考え方がいかに甘いかを痛感した。サラリーマンという「安定」を求めたのであれば、「やりがい」という自己欲求はある程度犠牲にせざるをえないのが現実だ。仕事を選択する際の基準である「やりがい」「安定」「報酬」の三要素はトレードオフの関係にある。


私は32歳のときに、大手電機メーカーから外資系コンサルティング会社へ転職した。今思えば、これが人生の転機だった。成功するという確証はまったくなかったが、「外から会社を変える」という仕事に魅力を感じ、挑戦したいという渇望を抑えることができなかった。それ以降、会社は三度転じたが、コンサルタントという仕事を25年も続けている。プロ野球やサッカーの選手がチームを変えるように、自分が最も活躍できる「場」を求めて、移っただけだ。


どうしたら、自分の頭で考え創意工夫しながら知恵を生み出す「ナレッジワーカー」を生み出せるのか。その一つの方法が、「現場への権限委譲」です。


自分の頭で考え、創意工夫しながら知恵を生み出す「ナレッジワーカー」が現場にいなければ、微差は生み出せません。


商品がコモディティ化するほど、微差が大きな強みになる。隣の商品と99%は同じでも、「この手触りはちょっと違うな」「この香りは他にはない」という残り1%の違いが、「買う・買わない」を決める。微差こそが決定的な差となるのです。


「企業の躍進にはイノベーションが不可欠」とよく言われますが、正直、私はこの言葉に少々食傷気味です。イノベーションが大事なのは確かですが、口で言うほど簡単なものではありません。そもそも、最近のヒット商品に真の意味で「イノベーション」と呼べる商品など、どれほどあるでしょうか。むしろ競争力を高めるのは、ちょっとしたこだわりや工夫だったりするのです。


すでに経験や実績を積んだ人なら成功できるのかといえば、そうでないことは日本企業の現状を見れば明らかです。「経験のない人間だからこそ、挑戦させるのだ」と会社全体が意識を変え、若い力で未来を切り拓いていくことが必要です。


大胆に機会と役割を与えれば、個人の能力は一気に伸びます。もちろん失敗もあるでしょうが、元気なミドルたちにはそれを乗り越える突破力がある。さらに、この世代が活躍するのを見た20代の若手たちが、「俺もやってやろう」と影響を受けるので、組織全体が活性化していくわけです。


今、伸びている企業に共通する点の一つは「ミドルがイキイキしている」こと。業績の良い企業では必ずと言っていいほど、30代から40代のミドル世代に活躍のチャンスと大きな権限を与え、本人たちもノビノビと仕事をしています。


観察対象を変えることによって、新たな刺激を得ることもできる。私はできるだけ同じ道を通らないようにしている。いつも降りる駅のひとつ手前やひとつ先で降りて、歩くこともよくある。電車ではなく、バスに乗ることもある。こうした行動は、異なる環境に身を置くことで、異なる観察対象と出会い、異なる刺激を得ることが目的である。アンテナを高くすることも大事だが、対象物がいつも同じでは、同じものしか知覚できない。


何かを感じ、気づくことが起点となり、問題意識が生まれ、疑問を持ったり、「なぜだろう?」と考え始める。そして、それが自分にとっての新たな「発見」となり、「発想の芽」となる。


何かを感じれば、そこから頭が回り始める。なぜこうした事異象が起きるのか、なぜ変化しているのか。何も感じなければ、問題意識は生まれず、思考は始まらない。


持って生まれた才能で、ユニークなアイデアを次々に生み出す人も稀にはいる。しかし、多くの凡人は日頃の鍛錬なしにはナレッジワーカー(知識労働者)にはなりえない。その第一歩は、感じる力、すなわち「感知力」を磨くことである。ナレッジワーカーとは新たな知恵やアイデアを生み出すことができる人材のことである。そして、知恵やアイデアの源泉は、人間の持つ感じる力である。


今後の地方活性化においては、スピードとスローをいかに組み合わせるかが求められます。たとえば現地までは新幹線でスピーディに行き、現地に着いたらゆっくり過ごす。地方にミニ都会を作るのではなく、いかにスローの魅力を提供できるかが問われるでしょう。


どんな絶景もユニークな文化も、それを毎日見ている地元の人にとっては日常に過ぎず、そのすごさに気づかないものです。地元の人は観光客が来て初めて「実はすごかったのか」と再発見する。すると、地元に対するプライドが生まれる。このサイクルをいかに生み出すかが、日本全体にとって重要。


会社が生き返るにはどうすればいいのか。それは、組織が質的な変化を起こすことです。まずは、組織の老廃物や贅肉を大胆に代謝することから始めましょう。意味を失った仕事をやめ、価値のない事業を切り捨てる。そして、徐々に新しい人材や価値観を取り入れていけば、閉鎖的な共同体から、一体感を残しつつも多様性のある力強い共同体へと変わっていくはずです。


中国という市場にはとても大きな可能性があります。しかし、中国の企業と真正面から戦うべきではありません。日本企業が考えるべきことは、自分たちにしか提供できない価値とは何なのかを見極めることだと思います。中国企業がやっていることを後追いしても絶対に勝てません。


中国メーカーと同等のコストで安かろう悪かろうの製品を作っても意味はありません。価格は高いけれどもトータルで見たときにメリットがある付加価値の高い製品を作ることが大切です。そうすれば、お客さんは必ず戻ってくる。お客さんから見たときの価値と価格のバランスです。これを「バリュー・フォー・マネー」と言います。価格は価値とのバランスの中で決まっていくものです。


日本企業はこれまでは、非凡な現場力で何とか対応してきました。ところが、難易度の高い挑戦に加え、一方で早く出荷して売り上げを上げろ、利益も上げろ、という強烈なプレッシャーがかかってきていました。その結果、現場は本来なら出荷してはいけないようなものを出さざるを得なくなってしまった。データを偽造・改ざんして出荷するという行為をしてしまったわけです。現場をそこまで追い込んでしまった背景に目を向けるべきです。


私にとってノートは「落書き帳」。書き方にルールはなく、とにかく思いつくままなんでも書き殴るので、汚れたり書き損じたりしても気にならないキャンパスノートがベストです。年に約5冊のペースで使い切り、今までに書き終えた数十冊のノートは、大事なデータベースとしてすべて保存してあります。「前回あの人に会ったとき、どんな話をして、何を感じただろうか」と振り返りたいときも、ノートをさかのぼれば、自分の思考を辿れます。


私は自分の頭の中を「見える化」する道具として、ノートを使っています。思い浮かんだことや現場で見たこと、人から聞いた話などをノートにすべて書き出して言語化する。そして何度も読み返し、マーカーで線を引いたり、赤ペンで書き足したりして、どんどん上書きします。こうして思考を整理し、深めることが、良いアウトプットを生むには欠かせません。


現場力そのものも進化しないといけないと考えています。これまでの現場力は現状改善型の「現場力1.0」と言えます。現状をより良くするために、小さな改善をコツコツと積み重ねるというものでした。現状改善そのものは、とても大切です。足元の改善によって人も育ちます。しかし、今求められているものは、それだけでは実現できない。現状を破壊するくらいのものが求められているのです。私はこれを現状破壊型の「現場力2.0」と呼んでいます。現状を否定し、大胆かつダイナミックに改革を推進することです。


付加価値が高く、他の会社が作れないものを作ることは、日本のものづくり企業にとって生命線です。これまで日本企業は、そこを何とか現場力で対応してきました。非凡な現場にはプライドがありますから、絶対にそんな(基準に達しない)ものは出さなかったのです。それが出さざるを得ないほど、現場は大きなプレッシャーを感じていた。私は数多くの会社の現場に赴き、面談をしましたが、日本企業の現場の多くはギリギリのところで戦っています。どこの会社も同じような落とし穴(データを偽造や改ざん)に落ちてもおかしくない状況です。そのくらい現場に余裕がなくなっているのは事実です。今回の件は日本企業が進むべき道の途上で起こるべくして起きた問題だと思います。単純に現場が手を抜いているという話ではありません。高付加価値戦略を実現する上での課題が突きつけられたのです。


遠藤功の経歴・略歴

遠藤功、えんどう・いさお。日本の経営学者、経営者。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授、コンサルティング会社ローランド・ベルガー会長。早稲田大学商学部卒業後、米国ボストンカレッジでMBAを取得。三菱電機、アメリカ系コンサルティング会社勤務を経て、ドイツを本拠地とするヨーロッパ最大の経営戦略コンサルティング会社ローランド・ベルガー日本法人の会長と早稲田大学教授となる。専門は経営戦略論、オペレーション戦略論。