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豊竹呂太夫・6代目の名言

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豊竹呂太夫・6代目のプロフィール

豊竹呂太夫、とよたけ・ろだゆう。文楽太夫。大阪府出身。高校卒業後、3代目・竹本春子太夫に弟子入り。文楽協会賞、国立劇場文楽奨励賞・文楽優秀賞、JXTG音楽賞(邦楽部門)を受賞。著書に『文楽・六代豊竹呂太夫:五感のかなたへ(共著)』。

豊竹呂太夫・6代目の名言 一覧

迷いながらも、文楽を続けることができた理由の一つは、「今の自分は仮の姿で、本当の自分ではない」と言い聞かせていたことです。自分は小説家になる過程として今、文楽の世界に身を置いているのだと思うことで続ける意義を見いだしたのです。


天は本当に耐えきれない苦しみをお与えになることはない。実は私はクリスチャンなんです。キリスト教の教えでは神は試練と共にどこかに解決の道、逃れの道をお与えになってくれるというのです。辛い時に「逃れの道をお願いします」とお祈りしていると、光が見えてくるのです。


私は70歳を間近にして文楽の型が何となく分かってきました。型とは老若男女や正義漢か悪漢など登場人物の姿に合った語り口のことです。この基本ができて細かい感情を表せるようになるのです。この世界に入った頃から「感情勝負になれば自分の本領が発揮できるのでは?」と漠然と考えていました。70歳になって、その時が来ました。続けてきたからこそ到達できる境地があるんですね。


そもそも人間はアンビバレントなんです。例えば私の祖父は毎朝、神棚に向かい、食事を取れる感謝を示していました。そんな祖父が夜ともなれば芸妓の元に出かけていくんですよ。その姿を見ながら、清らかな心を持った朝の祖父はどこにいったんだろうと眺めていました。でもそうやって祖父はバランスを取っていたのだと思います。今の社会は、自分の良い面ばかりを見せようとし過ぎる傾向が強いように思えます。非難されるのを恐れて、嫌なことも我慢してしまう。これでは精神のバランスを保つのは難しい。もっと自分の感情をさらけ出していいと思います。


文楽の魅力とは前衛的で、理性の支配を超え、また意識下の世界を追求するシュールレアリズムの芸術であることです。普通では理解できない複雑で奥の深い世界が表現されているんですね。江戸時代の庶民の風景を描いた世話物には、こういうものがあります。夫を愛するが故に、夫の愛人さえも赦し愛するという妻の話です。私が迷いを持ちつつもこの世界で生きてきたのは、文楽が持ち合わせるアンビバレントな感覚に引かれていたからです。


豊竹呂太夫・6代目の経歴・略歴

豊竹呂太夫、とよたけ・ろだゆう。文楽太夫。大阪府出身。高校卒業後、3代目・竹本春子太夫に弟子入り。文楽協会賞、国立劇場文楽奨励賞・文楽優秀賞、JXTG音楽賞(邦楽部門)を受賞。著書に『文楽・六代豊竹呂太夫:五感のかなたへ(共著)』。

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