菊川剛の名言

菊川剛のプロフィール

菊川剛、きくかわ・つよし。日本の経営者。オリンパス社長。愛媛県出身。慶應義塾大学法学部卒業後、オリンパス光学工業に入社。アメリカの販売子会社オリンパス・カメラ・コーポレーションに出向、ロサンゼルス、ニューヨーク州ロングアイランドなどに赴任。同社社長を務めたのち、本社第一営業部副部長、宣伝部長、広報宣伝部長、DIプロジェクト部長、常務、オリンパスUSA社長などを経て本社社長に就任。

菊川剛の名言 一覧

歴史上の人物の言葉や辞世の句が好きで、なるほどと感心するものがあると、すぐ手帳に書き写しています。第二代住友総理事を務めた伊庭貞剛が1904年に54歳で職を辞する際に述べた「事業の進歩発展に最も害するものは、青年の過失ではなくて、老人の跋扈である」という言葉もそのひとつです。


私が社長になってからスピードが最優先だと常々言ってきました。実際、経営でもスピード重視でやってきました。


次期社長にマイケル・ウッドフォード執行役員を昇格させる人事を発表しました。イギリス人ということで、ずいぶん話題になっているようですが、最初から外国人を社長にしようと思って選んだわけではありません。たまたま次期社長に最もふさわしい候補を選んだら、結果的にイギリス人だったということです。


海外の拠点のトップは当初こそ日本人が務めましたが、早い時期から完全に現地の人々に任せています。たとえば欧州では20数カ国に現地法人がありますが、すべてトップは現地人です。法律、文化、習慣はもちろん、ものの考え方に至るまで、現地のことは現地人が一番よく知っていますから。


日本人だけ集まって、日本人だけで考えて、日本人だけでモノを作って売るという発想では通用しないと思います。


英語を学ぶことは素晴らしいことですが、薄っぺらな人間ではいけません。いわゆる外国かぶれになってしまうのは最悪です。異文化と上手に付き合っていくうえでも、社員にはとくに若いうちにリベラルアーツ(一般教養)を勉強してほしいと思っています。語学力を高めるだけでなく、教養も同時に身につけて欲しいものです。


以前、飛行機で永守さん(永守重信、日本電産社長)とご一緒しました。永守さんは座席でずっと仕事していました。私がウトウトひと眠りして目を覚ますと、まだ仕事をやっているのです。


イギリス人社長を迎えることで、何よりも日常の業務を通じて社員は意識改革を迫られるでしょう。意識を変えなければ、一緒に仕事がしにくくなりますから。これは単に英語力が求められるといったレベルではありません。まずスピード感が大きく変わるでしょう。グローバルなスピード感なり、働き方が確実に求められるようになるはずです。


日本人同士の会議なら、あえて苦手な英語でやる必要はないと考えています。もっと的確に伝わる日本語でやればいいと思います。


これは我が社の悪いところで、何でも「社長、社長」と言ってくる。些細なことで来るなと言っているのですが、社長の耳に入れておきたいということもあるのでしょう。とにかく飛び込みのアポイントが非常に多い。だからアポイントの内容を秘書に早め早めに伝えてもらって、「来週の火曜日に会いたいと言っているけど、この内容なら一週間はのばせるな」などと私にとっての優先度で判断します。


他社の新製品を後追いしているようでは話にならない。「バスに乗り遅れる」のは言語道断であって、バスの前を走ろうという発想が必要。私は「オリンパス行きのバスを仕立てて、お客さんを全部乗せろ」と言っています。


スケジュールを調整しながら、1週間のどこかの半日は一切アポイントを入れないで、自分自身の仕事や考え事に集中する時間をとるようにしています。


社長方針として社内に向けて常々言っているのは「スピード最優先」ということです。あらゆることをスピード最優先で進める。意思決定はもちろんのこと、技術開発、商品開発においてもスピード最優先。他社の新製品を後追いしているようでは話にならない。


出社して、資料集めなど人に依頼する仕事をメールなどで全部指示し、その後に自分の仕事にとりかかる。そうすれば自分の仕事をしている間に、依頼しておいた仕事も片付くという寸法です。


月一回、社長メッセージを日本や世界各地にある事業場・現地法人に配信していますが、これに対する感想や要望が世界中から私のアドレスに入ってくる。これも全て目を通します。一度、ある事業場の社員から「医療機器メーカーなのだから全社禁煙にしたら」という要望が来て、直接、その事業場を訪ねて当人の話を聞きに行ったことがあります。どんな問い合わせであっても黙殺することはありません。要望や意見に対してはメールで返信をしたり、可能であれば、できるだけ直接会う機会をつくります。


社員にスピードを求める以上、トップである私自身がそれに応える仕事をしなければなりません。会議や打ち合わせの資料は出勤や出張の移動時間を使って読み込むようにして、時間を無駄にしないように努めています。


あらゆる業務でスピードが要求されますから、我が社の会議や打ち合わせでは資料は事前配布が原則です。参加者は事前に配布された資料に目を通し、あらかじめ質問を考えておく。会議や打ち合わせの時間はあくまでQ&Aと審議に使って一定の結論を出すべきであって、資料の説明に時間を費やすのは時間の無駄でしかない。徹底することはなかなか難しいですが、そういう指導を続けています。


新技術なり新しい販促計画なり、他社より先んじて動いた結果、仮に失敗したとしても、それでレッテルを貼るようなことは絶対にしないし、敗者復活の機会は与える。とにかくスピードを優先せよ。


ダラダラと仕事するのではなく、常にスピードを念頭に置いて、社長以下の社員一人一人が時間を有効に活用していく。これは我が社が掲げるワーク・ライフ・インテグレーション(仕事とプライベートの両立・統合)の理念にもかなうことだと思っています。


来客だけでなく、こちらから出かける用事も多いのですが、来客や外出の合間を縫って仕事するのは効率が悪い。来客や外出は、なるべく一日に集中してこなすようにしています。


夜の会食は週2回と決めて、それ以上は入れない。やはり疲れますからね。それも月曜日に会食したら、次は少なくとも水曜日というように、2日連続の会食はしないように心がけています。


失敗といっても、さぼっていたわけではなく、一生懸命やった結果なんです。だからその過程を経営者が見ていて、これ以上続けてはだめだと思ったらスパッと止めるのは当然です。見極めを付けられないでいると、どんどん傷口は大きくなってしまう。あのとき、早く止めてよかったとつくづく思います。
【覚書き|第一営業部副部長時代、担当していたビデオ事業の撤退が決まったときを振り返っての発言】


これまでのビジネスマン生活でつらかった経験というと、日本でビデオ事業から撤退した時のことです。85年に日本に帰国して、第一営業部の副部長に就任後、ビデオ事業を担当したんです。ビデオ事業は他社からOEMを引き受ける形で行っており、オリンパスとしての付加価値がつけられず、差別化ができなかった。当然、価格競争にも勝てなかった。最後はもう、叩き売るしかなくなったんです。


社長以下常務の面々が顔をそろえる常務会議の席上、各部のビデオ事業担当者が順々に撤退理由を述べましたが「本当はやめたくない」「続けたい」という気持ちが捨てきれず、私は無念さと悔しさに涙しました。当時の下山社長に「泣くな。この経験は必ずあとから生きてくる」と言われました。でも、あの時にやめておけばよかったんです。止めるときはスパッと止めなければいけません。そこで情を入れたら駄目なんです。
【覚書き|第一営業部副部長時代、担当していたビデオ事業の撤退が決まったときを振り返っての発言】


大切なのは、苦い思いや失敗をしてもまた違う仕事に就くわけですから、経験を生かして新しい仕事で必ず頑張るということです。マイナスをバネに変えて、励みにする。そうすれば必ず機会は与えられる。次のチャンスに頑張ろう。リベンジしようという意識を持たなければいかんのです。


私は週に一度、半日ほど打ち合わせや接客などの予定を一切いれず、考えることに集中する時間をつくるようにしています。その際には手帳を開き、これまで記してきた数々のメモに目を通しながら考えを巡らせます。


手帳の使い方を工夫することで、仕事とプライベート両方の時間を充実化させ、人生を豊かなものに塗り替えていくことが十分可能になるのです。


一週間後、一か月後の予定がわかっていれば、自然と頭の中で仕事の優先順位をつけられるようになってきます。また、退社するまでに明日の仕事に必要な資料の整理などの事前準備もするようになって、仕事の効率が格段にアップするものなのです。


手帳での時間管理をフルに活かすために大切にしているのが、会議の予定や来客のアポイントなどを、自分で手書きするということです。もちろん、秘書が日々のスケジュールをパソコンで管理しています。それでもあえて手書きをするのは、自分の先々のスケジュールを頭の中にインプットし整理できるからなのです。


手帳に記す内容は多岐にわたっています。新聞、雑誌や本を読んでいて琴線に触れる言葉があれば、すぐ書き写します。手帳を持ち歩かないオフのときは、小さなメモパッドをポケットに入れたり、傍らに置いています。


一般向けデジタルカメラへの参入について、私には勝算がありました。マーケティング調査のデータも有力な根拠でしたが、手帳にそれまでメモし続けてきた数々のビジネスのヒントや自分の考えをつなぎ合わせると、デジカメ市場の将来性が導き出されていたのです。


私がDI(デジタル・イメージング)部長に就任し、デジタルカメラを新しい事業の柱に育てようとしたとき、「コンシューマー向けはリスクが高い。業務用に特化すべきだ」と社内から大反対の声が上がりました。ライバル会社がこの市場に参入済みで、熾烈な価格競争に陥ることが懸念されたのかもしれません。しかし、ひとつの事業として立ち上げるためには最低でも年間100億円の売上高が必要であり、そのためにはマスマーケットが不可欠と私は確信し、社内を説得しました。


菊川剛の経歴・略歴

菊川剛、きくかわ・つよし。日本の経営者。オリンパス社長。愛媛県出身。慶應義塾大学法学部卒業後、オリンパス光学工業に入社。アメリカの販売子会社オリンパス・カメラ・コーポレーションに出向、ロサンゼルス、ニューヨーク州ロングアイランドなどに赴任。同社社長を務めたのち、本社第一営業部副部長、宣伝部長、広報宣伝部長、DIプロジェクト部長、常務、オリンパスUSA社長などを経て本社社長に就任。

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