福地茂雄の名言

福地茂雄のプロフィール

福地茂雄、ふくち・しげお。日本の経営者。アサヒビール社長・会長、日本放送協会(NHK)会長。福岡県出身。長崎大学経済学部卒業後、朝日麦酒(のちのアサヒビール)に入社。営業畑を歩み、京都支店長、本社営業部長、取締役、大阪支店長、専務、営業本部副本部長などを経て社長、会長を務めたのち、日本放送協会会長に就任。そのほか、社団法人メセナ協議会理事長、東京芸術劇場館長、財団法人新国立劇場運営財団理事長などを務めた経営者。

福地茂雄の名言 一覧

変える勇気と変えない勇気を持たなければならない。創業の理念、経営理念は変えてはいけないが、それ以外はすべて変えても良い。


自分が納得いかないものを、お客様に出すべきではない。


物事を考えて迷った時には、「お客さまにとって何が一番良いのか」を判断の拠り所にする。


結論を出すまでには考え込むほうですが、結論はスパッと出さないと現場が混乱する。


トップに立つ人間は、いつの時代でも縁の下の力持ちへの感謝の気持ちを忘れてはならない。


全員は主役になれないが、助演がいいと舞台が光る。主演だけでは舞台は成り立たない。


いまの時代は専門性を求められますから、やらせてみる度量を持って、下の能力を伸ばすことが必要です。


物事を判断するときは「顧客満足」でふるいにかけるのが、私のひとつの信念です。


意識改革について同じ言葉を何度も繰り返す日々にしんどい思いもしましたが、職員の意識が徐々に変化していくのがわかりました。


私のように外からやってきた者の方が、内部にいた人よりも、従来の仕組みを大胆に変えられるという利点があります。


長い過去も、これからの行動いかんによって評価される。輝かしい過去ではなく、これから先の仕事によって、経営者としての評価が変わっていく。


アサヒビールグループの経営理念は、「顧客満足」に尽きます。NHK、東京芸術劇場と、お客様や組織の形態は違いますが、私の経営判断の柱はつねに顧客満足です。


ビールだけに詳しいとか、ひとつのことだけしか知らないというのでは、これからの時代やっていけません。幅広く、様々なジャンルのことに興味を持ち、感性を磨く必要があります。


「昼間は向かい同士で仕事をしろ。夜は背中合わせで飲みに行け」と私は昔から言っています。同じグループの人とだけ付き合っていてはダメ、違う仕事をしている人と交流を持つことが大事ということです。


改革に頂上はないのかもしれません。お客様というのは決して満足しません。ひとつ満足すると、その次はその満足が不満足になっていくからです。私自身、視聴者満足とは、視聴者の不満足をひとつひとつ消していくエンドレスな仕事なんだということを、肝に銘じながら経営にあたっています。


誇りを持って仕事してほしい。番組をつくることができるのは、熱い血の通った人間だけです。だから誇りを持って仕事をしてほしい。ただし、誇りを持つことと威張ることは違う。誇りは高く、姿勢は低く、謙虚に。


マニュアルや仕組みなどの形は立派でも、それだけでは駄目で、形の中に心が入っていなければいけないのです。形に心を入れるにはどうすればいいのか。考えついたのが、職員たちとの対話を徹底するということでした。


どの組織も、指揮命令系統である上下のコミュニケーションはとれています。しかし、左右方向のコミュニケーションは意識してやらないと円滑に運びません。


風任せ、潮任せの経営をするわけにはいきません。もし計画なしにNHK丸を出港させれば、3年後にはとんでもない港に着いているかもしれません。そこで、3年先にどこの港に船を着けるのかという目的地を中期計画ではっきり示し、毎年の年次計画では、その航路から外れていないかどうかをチェックすることにしました。


NHKに入ってから早くも2年目になります。「改革を山登りにたとえると、何合目くらいになりますか」という質問を受けるようになりました。しかし、山を登っている人には頂上は見えません。登山者は、いま何合目にいるかわからないのです。それが見えるのは、山頂から見ているお客様です。


平均点思考が通用しなくなってきています。業界全体がよくなったり悪くなったりするのではなく、たとえば業界全体のパイが1割減るとしたら、業界を構成するすべての企業が売上を1割落とすわけではありません。業界全体の趨勢とは別に、売上を伸ばす企業もあるのです。すると、何年かの間に下位企業から脱落していくことになるでしょう。勝ち組と負け組との二極化現象が進むのです。


右肩上がりの時代であれば、判断基準は常識もしくは経験則でよかったのです。しかし、いまはスパイラルの時代です。今回は前回の繰り返しではないので、経験を参照することができません。つまり成功体験が役に立たないということです。また年度によって業績が上下しますので、定量的な経験則も成り立たないのです。


いまはあらゆる分野に変化が起き、しかも変化の奥行きが深く、スピードも速いという三次元の変化の時代です。私たちは変化に流されることなく、適応していく必要があります。流されることと適応することとは大きく違います。適応するためには、確固たる判断の軸足を持っていなければなりません。


異業種に飛び込むことになったので、多くの人が「大変じゃないか?」と心配してくれました。しかし、考えてみてください。私がビールをつくっていたわけではないし、番組をつくっているわけでもありません。経営の仕事とは、職員に気持ちよく働いてもらうことと経営資源を適切に配分することです。業種が多少違っても、することに変わりはありません。


会長就任から2年間、私は「変えないのは視聴者目線で番組をつくろうという一事だけ。それ以外は全部変える」と宣言し、全力で経営にあたってきました。部下にはいつも「何を変えるか」ではなく、変えることを前提に「どう変えたらいいか」から考えてくれと言っています。


日本は国家という形は立派にあるけれど、国家としてのアイデンティティがない。日本という国に対する心がぜんぜんない。企業も、世界に冠たる大企業であっても、CSR(企業の社会的責任)をどこかに置き忘れている企業が多い。企業に心が求められていると思うんです。


日本人は立派な家に住むようになったけれど、家族は崩壊している。家族の絆というものがない。てんでばらばらです。ある外国人が本に書いていましたけれども、台湾や中国の家庭では、おじいちゃんの誕生日には世界中から家族が十人、二十人と集まってくるという。だけど日本では、おじいさんとおばあさんが二人で誕生祝の食事をしている。心の問題というものを、今一度考えるべき時に来ていると思うんです。


最終的に(発泡酒「本生」の)販売に踏み切りましたが、この時に決断の拠り所にしたのは「顧客満足」の経営理念でした。アサヒビールの経営理念は「最高の品質と心のこもった行動を通じて、お客さまの満足を追求し、世界の人々の健康で豊かな社会の実現に貢献する」というものです。ここに書かれた顧客満足の精神に則れば、出すべきというのが私の結論でした。


これまで経営者として大きな決断をいくつか下し、実行してきましたが、それらは私1人では不可能でした。どんな成功者も、「天の時、地の利、人の和」に恵まれたから成功できたということを忘れてはいけません。


一番大切な経営資源は時間。経営資源である人、モノ、カネはいくらでも増やせますが、時間は1日24時間に限られています。ですから、時間を大切に使っていただきたい。


「時を告げるより時計を作れ」という言葉があります。カリスマ経営者は自ら時を告げる役割を担いますが、時計を作っておけば、カリスマがいなくなっても時を告げ続けてくれるのです。会社にとっては、ガバナンスをしっかりさせることが時計を作ることに当たります。


管理職には、「部下に顔色を読まれるな、信念を貫き通す真っすぐな背中だけを見せろ」と言ってきました。部下は背中、つまり生きざまが尊敬できる上司についていきたいと思うものです。一方、上司の顔色ばかりうかがっている部下は、やがて離れていきます。


人間は背骨が弱くては長く立っていられません。同様に企業も、背骨、つまり縦軸の組織が強ければ強いほどいいと私は考えます。ただ、強い背骨(縦軸)にあばら骨(横軸)が入らなければ、縦軸の強さが生かされません。部門、業界を超えたコミュニケーションを図り横軸を強化することが大切なんです


グループ会社も含め、ひとつのフロアに一緒にいれば、商品の売り方も柔軟になります。たとえば、ビールテイストのノンアルコール飲料はアサヒビールが販売していますが、飲料部門からもよい提案が出るかもしれない。また、飲料部門の主力商品「三ツ矢サイダー」から派生した「三ツ矢サイダーキャンディ」は食品部門が取り扱っていますが、相乗効果がもっと出るかもしれない。オフィスの壁と同時に心の壁を取り払い、組織文化を共有することが、強い会社を生み出します。


アサヒビールの東北統括本部を視察したとき、8つのグループ会社がひとつのフロアにあって、「これはいい!」と本部長を褒めたことがあります。アサヒビールの営業、経理、総務だけでなく、グループ会社もついたてで仕切っただけで同居しています。まさに垣根がないのです。


アサヒビール社長時代、コンビニエンスストアの社長と話をしていて、「一番の売れ筋商品は何ですか?」と聞くと、「おにぎりです」という答えでした。同じ日に外食チェーンの社長に会ったので同じ質問をすると、「おにぎりです」と同じ答えが返ってきました。まったく異なる業界で同じものが売れている。面白い現象だと思いました。ひとつの業界だけを追っていては見えないことがあります。売れ筋がおにぎりというのも、情報を共有して初めてわかることです。そうすると、「食べる場所が異なっても選ばれるのはおにぎり。では、どのようなおにぎりを開発すればいいのか」という視点から商品開発ができます。ここにビジネスチャンスがあります。縄張り意識が強くては発見できない事象が増えているのです。


どのポストにあっても、私は疑問があるとすぐに現場に出掛け、自分で確認するようにしています。NHKでは、解説委員室でどんな議論がなされているのか、選挙の開票速報に欠かせない出口調査はどうやって行っているのか。知らないことがあると現場を訪ね、自分で確認するようにしていました。これは職員たちを信用している、していないの問題ではなく、自身の目で見て、現状のやり方でいいのかどうかを自分なりに判断したいからです。現場主義で行動して自分なりの見解を持っていれば、何を言われようと確信を持って答えることができます。「~と聞いていますよ」じゃ説得力がありませんからね。


意識改革のためにはトップが職員に直に会って、コンプライアンス(法令順守)の大切さ、重要さを説く必要があると判断し、各地の放送局や部局を回りました。


NHK会長に就く直前、記者によるインサイダー取引事件が明らかになり、NHKへの信頼は地に落ちてしまいました。コンプライアンス(法令順守)の体制確立と職員の意識改革が喫緊の課題でした。倫理委員会や倫理規定などの形を整えても、心に落とし込まない限り何も解決しません。


王貞治さんは4番バッタ-でしたが、監督になれば打撃だけを見ればよいというわけではない。監督になった以上はすべてのポジションに対して一流を求める。人を育てるというのはそういうことです。


上司から求められれば、部下は何とか達成しようと成長します。上司の私ができることしか求めないのでは、部下は私以上に成長することはないのだと名古屋支店時代の上司から教えられました。これ以降、私は出藍の誉れ(弟子が師より優れること)を意識して、バトンを渡せる人材を育成することが大事だと考えるようになりました。


好きな言葉に「心は形を求め、形は心を進める」というものがあります。仏教の有名な教えのようで、電車通勤をしていたとき地下鉄の駅に掲示されていた仏壇店の広告看板で知りました。通勤で毎日眺めているうちに、いつしか心に残る言葉になっていました。私の父は熱心な日蓮宗の信者で、お経をあげることにかけてはプロであるお坊さんより上手なほどでした。一方、母が仏壇の前でお経をあげている姿を見たことはありません。ですが毎日欠かさずに朝4時前にお供えをしていました。先祖を大切に思う気持ち、心身の気持ちは父母ともに変わりはなく、父は「形」から入り、母は「心」から入る。表裏一体だったわけです。


指導者を育てる場合は、カミソリではなくナタを意識したほうがいい。カミソリは身近にあってよく切れるから重宝されます。ですが、木は切れません。ナタは重くて使いこなすのが大変ですが、木を切り倒すことができます。大きな仕事を任せられるのは、こうしたタイプです。少々不器用でも、最後は仕事を成し遂げる。会社を変革できるのは、カミソリでなくナタなんです。管理職は、その人材がカミソリなのかナタなのかを見極めて、育て、使いこなさなければなりません。


総論と各論を使い分ける管理職も、部下は離れていきます。総論ではかっこいいことを言っておいて、その時々において各論を変えるような人の背中には、安心してついていけませんからね。


30代中ごろ、名古屋支店で課長に就き、初めて管理職になったとき、尊敬していた名古屋支店長とのやり取りを今でも鮮明に覚えています。喫茶店で支店長から課長としての抱負を聞かれ、「自分ができることは、部下にも徹底して求めます。自分ができないことを部下に求めるのは卑怯だと思うのでできません」と答えました。すると支店長は「それでは管理職としては落第だよ。君のコピーばかりになってしまう」と私を叱りました。自分ができないことを部下に求めてもよいというのが課長の意見でした。


福地茂雄の経歴・略歴

福地茂雄、ふくち・しげお。日本の経営者。アサヒビール社長・会長、日本放送協会(NHK)会長。福岡県出身。長崎大学経済学部卒業後、朝日麦酒(のちのアサヒビール)に入社。営業畑を歩み、京都支店長、本社営業部長、取締役、大阪支店長、専務、営業本部副本部長などを経て社長、会長を務めたのち、日本放送協会会長に就任。そのほか、社団法人メセナ協議会理事長、東京芸術劇場館長、財団法人新国立劇場運営財団理事長などを務めた経営者。

他の記事も読んでみる

斎藤敏一

なんでも自分の言いなりになる上司は、メンター(師)ではありません。私も、メンターから逆に試練を与えられたこともあります。そういう人だからこそ、困ったときに判断を仰ぐに値するのです。


朝比奈一郎

いまのところ、青山社中の活動を通して大成功したわけではないし、うまくいっていないわけでもありません。そんな状況を耐え抜いていく途上。ただ、僕のやるべきことは見えています。地道にやっていけば、道は開けてくると信じています。


山名昌衛

これだけ目まぐるしい時代の変化に対応するためには、日本人が日本で考えて海外に持っていくというやり方では遅い。最初から海外のことは海外で戦略を考えるべきですし、それがいち早く時代の変化に対応するということ。


出雲充

検討に時間を使うことこそがリスクになる。なぜなら、デジタル時代の現代では情報がすぐ広がってしまうから。当社のように、新規性やアイデアで勝負しようとする場合、「A」と「B」の2つの案件でどちらをやるべきか迷って時間が過ぎてしまうくらいなら、どちらでもいいから動くべきなのです。Aで試したら70点の結果だったとしても、「結果」と「経験」とが残ります。それを生かしてBに着手すれば、110点の結果が得やすくなる。


池森賢二

文章を上手に書けるようになるには、人の文章を注意深く読むことも大切。


宮本亜門

正しい生き方なんてないのだから、固定観念に縛られないで自分という過去をつくっていくことが大事です。それができれば、いつまでも魅力的でいられるのではないでしょうか。


ダン・ケネディー

専門知識をタダで与えてしまえば売り物にはできない。私の経験から言っても、アドバイスやアイデア、情報、サービスをタダでもらってしまうと、人はそれを十分に生かせない。きちんと金を請求した方が相手のためでもあるのだ。時間を割いた以上は、金を請求する。この姿勢を貫けば貫くほど、商売は繁盛するようになった。


石川康晴

イノベーションを起こせる経営者だけが、イノベーションが起き続ける会社だけが、事業を継続できる。


小路明善

私たちの商品を売ってくださる小売店や飲食店の方たちは、消費トレンドを非常に敏感に捉えている。その方たちが「これを売りたい」と思うような商品であるかどうかは、重要な判断基準になります。


押切もえ

年齢的にもみんなを引っ張っていくことが求められるようになってきて、もっとリーダー資質を養いたいのですが、なかなかできずにいます。ただ、逃げていてはダメだなと思っています。みんなを引っ張っていくには、やはり視野の広さが必要ですよね。


藤田晋

大事に育てた社員が辞めるのは、社長として残念ですし、寂しい気持ちもあります。ですが、社員が辞めることによる利点もあります。辞めた人が新天地で活躍すれば、多くの後輩たちにとってキャリアアップの1つの形として良いロールモデルとなります。「今の会社でずっと働く」以外にも将来の選択肢が増え、結果的に今の仕事に安心感が持てるわけです。また、誰かが会社を辞めれば当然ポストも1つ空きます。そこで若手が抜擢のチャンスをつかむこともあります。基本的に、残った社員に悪影響がない、もしくはプラスに働くと思えば気持ち良く送り出します。


戸塚隆将

世界中で成果の出せる人に共通しているのは、「独自の意見」を持っていること。どんなテーマに対しても「こうしたい」「こうあるべき」といった絵が描けている。そうした人々はAIを脅威とは感じません。AIを動かすプログラムを考える、つまり機械に指示する側に回れるからです。


松尾均

チェック式のアンケートは、お客様の満足度を数字に置き換えて集計することができます。しかし、その数字にはあまり意味がありません。むしろ、情報をデジタル処理することで、一人一人のお客様の顔が見えなくなる危険性が高いのです。弊社のアンケートはがきは、「旅行」と「サービス」という2つのテーマだけを設け、あとはお客様に自由に記述していただく形にしています。お客様に自由に書いていただくことを重視しています。


田中通泰

社外取締役を増やしている狙いは、誤差を埋めてもらうことにあります。いつも言っているのは、「僕が偉そうなことを言っていても、3割は間違っているんだ」ということ。その3割の誤差を埋めてくれるのが、社外取締役だと思っています。


小濵裕正(小浜裕正)

カスミでは、組織を刷新して、本社が販売促進から品ぞろえまで全て統制するチェーンストアの理論から脱し、店長と従業員が自由に考え行動する店舗主導の経営に舵をとり、推し進めてきました。東日本大震災がきっかけでした。被災した店では、全て店長に任せざるを得なかったのですが、想像以上に早く復旧できました。もっと店長を信頼すべきだと、そのとき決心しました。


ページの先頭へ