矢野龍の名言

矢野龍のプロフィール

矢野龍、やの・りゅう。日本の経営者。住友林業社長。満州出身。北九州大学外国語学部卒業後、住友林業に入社。のべ10年間アメリカで勤務。海外事業本部第一部長、取締役、事業開発本部副本部長、常務、専務、営業本部長、住宅本部長などを経て社長に就任。

矢野龍の名言 一覧

『イソップ物語』の「アリとキリギリス」ですよ。最後にはアリが勝つ。ライバル以上の努力をすれば必ず結果が出るのです。


私の最初の赴任地は米国です。意識したわけではありませんが、結果として当社の今の役員は皆、駐在員経験者が多いです。やはり海外駐在で苦労をすると、日本という国、日本人を第三者的視点で冷静に見ることができるのが大きいですね。


森林にはCO2の吸収や土壌流出の防止、水源の涵養(かんよう)、生物多様性の保全など様々な機能がある。森林は地球上のあらゆる動植物が生きていくうえで欠かせない公共財。


大自然を相手に仕事ができて、会社には感謝をしています。私は、当社の中で海外市場を開拓していったパイオニアの最後の世代です。入社後の最初の2年間は、日曜日に2回休んだだけで、毎日日記を付けていました。厳しい環境だったのかもしれませんが、24~25歳の時には本当に仕事が楽しくて仕方がありませんでしたね。


我々住友グループは常に住友の事業精神を意識しており、事業は天下国家社会国民のためという考えを持っています。戦前に住友林業は朝鮮半島、インドネシアで植林をしたり、技術指導を行っていました。そういう歴史と伝統を背負ってやってきております。


当社は山の手入れは徹底的にやっていると自負しています。森林だけで捉えると収益性は高くありませんが、それでも山林部には30名以上が在籍するなどヒト、モノなど全て維持し続けています。もちろん、それなりの出費ですが、創業当時からの当社の伝統でありミッションです。


私は「集中」を「のめり込む」のとは異なるものだと考えています。集中するときは一点に集中しますが、ずるずるとのめり込まずに切り替えも必要です。一日の中でも自分で時間を意識的に切り替える工夫をしています。重要な会議はなるべく頭が冴えている午前中にセットしてもらう。夜はほとんど仕事がらみの会食なので、午後4から6時の間はなるべく自分の勉強時間として確保する。週に一度は、その時間帯を会社近くのスポーツジムで汗を流すのにあてています。そうして大切な会合に臨んだ方が、頭も冴えて話もうまく進みます。こうした割り切りは大切です。


我が社には「2時間ルール」というものがあります。工場での事故、台風や地震によるお客様の住宅被災、コンプライアンスに反する事態の発生……マイナス情報は必ず2時間以内に社長に直接入る態勢になっています。何か起きたとき、大切なのは初期動作です。放置せずに、すぐ動く。すぐ動けば、すぐ済む。だからお客様相手の24時間相談受け付け体制も、我が社が業界で初めて作りました。お客様相談室長は社長直轄で、全権限をもって問題に対応しています。


多忙な身で時間をどう有効に活用するか。私の哲学は「すぐする。すぐ済む」です。「課題が目の前に立ちふさがる」という言葉がありますが、私に言わせれば、課題が見つかったらしめたものです。糸口を見つけて取り組めば、解決につながるはずだからです。だから、すぐ動けばいいのです。


森林の育成と同じで、何事も時間をかけた積み重ねが大切です。地道ですが手書きメモを続けていることが、経営上の発想や判断にもつながっていると思います。


ワークライフバランスに関しては、社員にも「時間の使い方を工夫して、家族との時間を大切にしなさい」と日ごろから言っています。営業マンの休みは火曜と水曜。たとえば、毎週水曜の午前中を、家庭について夫婦で集中的に話し合う時間と決めておけばいい。その積み重ねがいい家庭づくりにも結びついていくでしょう。


クレームの原因を探っていくと、営業マンはたいがい「私はちゃんと説明した」と言います。しかし、説明するだけでは駄目です。説明し、理解してもらい、納得してもらい、その納得に基づいて行動を起こすのが我々の仕事です。誠意と努力と勇気の3つがあれば、お客様は心を開き、大概の問題は解決します。


お詫びは自分自身と本音で向き合い、自分が間違っているかどうか納得したうえでするものです。中途半端な気持ちで詫びても相手に通じないし、表面だけの解決は絶対にすべきではありません。


クレーム対策の基本は2つあります。ひとつ目は、1%でも原因が我が社にあるなら、一も二もなくお詫びします。ふたつ目は、お客様と徹底的にコミュニケートして解決の糸口を探ることです。


人間は失敗する動物です。木造住宅トップブランドの我が社といえど、不具合や連続不徹底によってお客様の信頼がクレームに転じるケースがあります。お客様だけでなく近隣からのものも含めると、苦情ゼロは難しいのです。


やはり、CO2を吸収・固定する資源は森林くらいしかありませんから重要です。今は引き続きインドネシアやミャンマーなどからも(植林や技術指導の)依頼が来ています。ミャンマーも森林国ですが、軍政時代に山が疲弊してしまいましたから、手入れが必要なのです。我々の事業は慈善事業ではありませんが「国土報恩」の発想で取り組まなければならないと考えています。直接の収益にはつながりませんが、収益だけを考えていては、この事業はできません。


20年ほど前、海外のファンドが当社の森林資産を買いたいと言ってきたことがありました。安く買って短期に高く売ろうと考えたのでしょうが、私は「安く買えるけど、九州の山奥のヒノキを買っても、すぐには買い手はつきませんよ」と伝えました。彼らは納得したらしく、最後は非常に感謝されました。森林の仕事は30年、40年のロングスパンです。当社の株主の多くはその視点で見てくれています。


大造林計画(鉱山周辺の森林再生事業)は、後の第二代住友総理事で別子支配人を務めた伊庭貞剛が掲げた「国土報恩」の精神に基づいています。今、SRI(社会的責任投資)、ESG(環境・社会・ガバナンス)が叫ばれていますが、当社はこれまでも環境共生、社会貢献、そして財務健全化を自然に行ってきているのです。


住友林業は1691年から営々と森林を守り、自然環境の保全に貢献していることを誇りに思っています。それ以前には銅山開発、銅製錬で山は荒廃してしまいましたが、大造林計画で100年かけて森林を復元することを決めました。銅山開発で、森林資源を復元したのは世界的にも稀なケースだと思います。


アラスカにはシルバーグリズリーという巨大な熊がいますが、私はこれに遭遇して3回死にかけています(笑)。アラスカで山を見に行く時には四輪駆動のジープで行くわけですが、雪崩などで途中の橋が流されていることもあります。現地は午後3時~4時くらいには暗くなりますが、車は動けないですから現場まで7~8時間歩いて、ロッジに着くのは夜中の2時~3時です。そうすると食べ物はありませんからエスキモーの人達のキャンプでご飯を食べさせてもらっていました。


先日も小学校、中学校でお話をしてきましたが、そうした日本の将来を担う小・中学生と、彼らを教える先生方が森林のことをあまりご存じないというのが現状です。先生方に森林の大切さを知ってもらわなければならないという思いで講演をしてきました。また、国立大学で住宅政策と森林の大切さについて講演してきましたが、東京大学や大阪大学など、日本を背負う学生さんですら、森林には興味がないというような顔をしていました。それでも私は一所懸命訴えているんです。


住友グループは約400年の歴史がありますが、家祖である住友政友の教えを基礎とした「事業を行う時は天下国家、社会、国民のためになる事業であるべきだ」という住友精神を大事にしてきました。当社は創業以来、森林を守り、自然環境を大切にしながら事業を拡大してきました。私はこれを誇りに思っており、DNAとして末永く次世代にも繋げていきたいと思っています。


皆さん、そこに木があるからと安心していますが私はもっともっと森林の大切さを伝えていきたい。2000年以上の文化の中で、日本人ほど木を大切にし、愛着を持った民族はいないと思います。しかし「鎮守の森」から始まって大切にしてきた森林は今、荒廃しています。そこで今から5年前、日本商工会議所会頭の三村明夫さんと「林業復活・森林再生を推進する国民会議」を立ち上げました。当社の経営は社長以下の経営陣に会社を支える人材も揃っていますから、私は役員をリタイアしたら「森の伝道師」になろうと思っているのです。どれだけできるかはわかりませんが(笑)。要するに「森林を大切にしましょう」という活動です。今もいろいろな方から講演を頼まれます。


これは私なりの考えですが、古代文明はメソポタミアやエジプトから始まりましたが、なぜそこで栄えたかといえば森林があり、水があったからです。ただ、残念ながら木を伐採して活用した後に、もう一度木を植えて育てて、収穫してという我々の言葉でいう「保続林業」、サスティナブルな形にしなかったことで古代文明は滅びました。木は、地球上で唯一再生可能な「太陽エネルギー資源」です。数億年かけて蓄積されたものは地下資源ですが、再生可能な森林をきちんと手入れせずに、世界全体が地球上でこの先、百年、千年生きていけるでしょうか。


矢野龍の経歴・略歴

矢野龍、やの・りゅう。日本の経営者。住友林業社長。満州出身。北九州大学外国語学部卒業後、住友林業に入社。のべ10年間アメリカで勤務。海外事業本部第一部長、取締役、事業開発本部副本部長、常務、専務、営業本部長、住宅本部長などを経て社長に就任。

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