名言DB

9,553 人 / 112,978 名言

田中芳樹(小説家)の名言

Facebookボタン  Twitterボタン  はてなブックマークボタン  新着 名言

田中芳樹(小説家)のプロフィール

田中芳樹、たなか・よしき。日本の小説家。熊本県出身。学習院大学文学部国文学科卒業、同大学院博士課程修了。『緑の草原に…』で幻影城新人賞を受賞しデビュー。代表作に『銀河英雄伝説』『創竜伝』『アルスラーン戦記』。『銀河英雄伝説』で星雲賞日本長編部門を受賞。

田中芳樹(小説家)の名言 一覧

私自身は、これを読者のみなさんにお伝えしたい、ということはないんです。お一人お一人が、それぞれのご感想、ご意見を持ってくださればと思います。強いていえば、ただもう面白く読んでいただければそれで十分です。それ以上のことは何も考えていません。


なぜ歴史が好きなのか、そればっかりはわからないですね。好きだからとしか言いようがない。でも歴史と人間の関わりを見ていると、ある人物がAではなくBの判断をしていたらどうだったろうと、だんだん妄想が広がるんですね。全然別の歴史ができたかもしれないし、結局同じような歴史になって、ただ固有名詞が変わっただけかもしれない。いろいろ考えると面白い。


世間で信じられているイメージをひっくり返してみるのが好きなんです。たとえば昨年完結した『アルスラーン戦記』は、貴種流離譚をひっくり返したものです。王位簒奪者の息子であるアルスラーンを主人公にして、常識的物語ならば主人公になるはずの正統な王子・ヒルメスを敵役にした。物事の見方を少し変えただけで、まったく新しいお話ができあがってくる。そういう物語の作り方ならいくらでもできるんじゃないかと、その点だけは自惚れているんです。


大切なのはキャラクターの身になって考えることですね。ちょっとかっこつけた言い方になってしまいますが(笑)。キャラクターに乗り移るというか、乗り移られてしまう。ラインハルトを書いているときは彼になるし、反ラインハルト派の貴族を書いているときはいかに彼を殺そうかと本気で考えている。自由惑星同盟側にしても、ユリアンから見たヤン、シェーンコップから見たヤンはそれぞれ違って、またそれはどう違うのか。なるべく多角的な視点でものを見たいんですね。でも実際に書いている最中はそこまで意識しているわけではなくて、自ずとそうなります。


登場人物は「チーム」で考えるんです。プロ野球チームの監督みたいなものです。足が速くて守備範囲が広いからショート、ずんぐりして足は遅いけど肩は強いからキャッチャーというように、関係性と役割で人物を置いていく。子供の頃『ロビンソン・クルーソー』を読みましたけれども、フライデーが登場して俄然面白くなる。やっぱり人間関係があって初めて面白さが生まれるんですね。Aという人物は気が短い。でもAより気の長いBが存在しないと、具体的にその性格が伝わらない。人物同士の関係性と比較がないと、キャラクターというものは生まれてこないと思うんです。また、人物に役割を持たせていると、その役割が果たせなかったときにそれぞれの反応が違ってきます。そういう具合にまずチームで作り、そこから個人を粘土細工のように練り上げていくイメージでしょうか。


私はスペース・オペラを、「未来を描いた歴史小説」ととらえているんだと思います。歴史というのはつまるところ人間の動かすもので、人間の思想、感情、置かれた状況が歴史を回転させている。また一方では、その回転に巻き込まれる人間がいる。スペース・オペラは単体で存在しているのではなくて、ほかのジャンルと重なりあって広い小説世界を形成しているんじゃないでしょうか。


『銀河のチェスゲーム』は、超能力者が出てくる気楽なスペース・オペラだったんです。かなり力を入れて前史を書いていたら、編集者がそこに出てくるラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーの話のほうが面白そうだと。一応そのときには、二人を主人公にして書けるくらいの蓄積はできていました。

【覚え書き|『銀河英雄伝説』が生まれたきっかけについて】


中国の清代に明亮(ミンリャン)という将軍がいたんです。非常に優れた戦績を上げているんですけど、宮中に入るとすぐ喧嘩して辞表を出す。で、田舎に帰って絵ばかり描いていてまた戦局が厳しくなると呼び出される。その繰り返しなんです。『アルスラーン戦記』のナルサスにも通じますね。明亮みたいな興味深い人たちが歴史のあちこちには埋もれている。そういう人物の類型があれば、キャラクターはそれをちょっとずらすことでいくらでも作れるわけです。って、なんか偉そうですけども(笑)。


専制君主制と民主主義は制度にすぎませんから、制度自体に優劣はないと思っています。民主主義だからというだけで優っているわけではない。たとえば歴史上、独裁者を倒した後に国がより酷い惨状に陥ってしまう、独裁者を排した英雄が新たな独裁者になってしまう、ということは度々起こってきました。ですから制度そのものを絶対視することは変だなと思うんです。結局、制度を動かすのは人間です。制度ではなく人間が問題なのであって、私はその人間を書きたいと思っています。


(『銀河英雄伝説』のキャラクターは)先にラインハルトから出てきました。野心家、というのが彼のキャラクターの出発点です。野心があまりに普通の人の感覚とかけ離れていると、ただの夢物語になってしまうので、金持ちではなく貧乏貴族に。それと、非常なこだわりを一つ持たせたかった。野心を抱く原因として、復讐というと大げさですが、失った幸福を取り戻したいという願いがある。その気持ちが、読者の皆さんの共感を得られるのではないかなと思ったんですね。


『銀英伝』は、なんというか、私に小説の書き方を教えてくれた本ですね。結構実験的なこともやっていまして、そういうことをしても大丈夫だと感じられました。逆説的にいうと『銀英伝』で書けなかったことがやはりあって、それをほかの小説で試してみようとも思えました。それから、意外なところで読者の方々の支持をいただいてびっくりしたり。何気なくオーベルシュタインが老犬を飼っている設定を出したんですけど、これが受けまして(笑)。逆に、受けを狙って書くと駄目なんですね(笑)。だから結局自然に書いて読んでいただくのが一番かなと思いました。そういうふうに、本当にいろいろな意味で先生なんです。


歴史の本を読んでいて、生意気ですけれど、私は少し物足りなさを感じてきたのかもしれません。『三国志』を子供の頃初めて読んだときには、普通に蜀びいきの諸葛孔明好きだったんです。でもあるとき、なぜ漢王朝の復興が正義なのかとふと疑問に思ったんですね。当然、中国には漢以前にも秦や春秋戦国時代の国々があったわけで、漢だけが絶対ではないはずなのに。その辺りが歴史の興味への入り口でしょうか。それと『史記』もすごく好きです。『刺客列傳』といういわゆるテロリストのお話が収められていまして、のちの正史にはこういうものはないですから。


あの頃(『白夜の弔鐘』を書いた頃)はテレビを見ても小説を読んでもアメリカのCIAが善でKGBが悪でしたが、私はKGBだって人間の組織である以上は、いろんな事情がそこにあるだろうと思ったんですね。でも、本を読んだ知人から「田中さんはソ連が好きなの?」と言われて(笑)。そんなこと一言も書いてないんですが(笑)。ただ、そういう考え方をする人がいるならば、私は物書きとしてやっていけるかもしれないなとそのとき思ったんです。つまり、知人はソ連とKGBを悪と決めつけていた。つくられたイメージ通りに信じ込んで、そこで思考停止。ならば、僕は生まれつきひねくれているから、ほんのちょっと違った角度の視点を与えられる。小説家として、新しいというか変わっているというか、ほかにないような存在になれるんではないかなと、まあそのとき思ったんですね。


『銀河英雄伝説』にはスペース・オペラについて思っていたこと、抱いていたことのすべてを注ぎ込みました。『宇宙船ビーグル号の冒険』や『レンズマン』シリーズをよく読んでいました。『レンズマン』は主人公が士官学校の超優等生なんですが、僕はむしろ劣等生のほうが面白いじゃんと思って。まあそれで、ラインハルトはともかくヤンは全然優等生じゃないわけですけども(笑)。初めての小説は、基本的には『宇宙船ビーグル号~』だったと思います。宇宙版『西遊記』ですね。何級生たちに見せたら早く続きが読みたいと言われて、真面目に連載を続けたのはあのときだけです(笑)。


田中芳樹(小説家)の経歴・略歴

田中芳樹、たなか・よしき。日本の小説家。熊本県出身。学習院大学文学部国文学科卒業、同大学院博士課程修了。『緑の草原に…』で幻影城新人賞を受賞しデビュー。代表作に『銀河英雄伝説』『創竜伝』『アルスラーン戦記』。『銀河英雄伝説』で星雲賞日本長編部門を受賞。

他の記事も読んでみる

山田隆持

世の中にデッド・エンドはないんです。完全な袋小路に陥っても、努力を続けていると環境の方が変化してきて、必ず光がさしてきます。その光に向かって歩き続ければいいのです。


上田彩子

「初対面なのになぜか自分のことをぺラペラと話してしまった」。そんな経験が誰にもあるでしょう。「相手が褒め上手で話術に長けていたから」と思うかもしれませんが、その要因は実は相手の表情にあります。相手の言葉や意見を頭で理解して心が動かされるよりも先に、相手の表情を見て自動的に脳が「心を許して大丈夫」「信じていい人だ」と判断することがあります。そのとき相手は、表情で人の心をポジティブに変えたと考えられるのです。


小柴満信

当社はこれまでも、他社はまだ手がけていない新しい事業に着手し、「夜明け」を待つことを繰り返して成長してきました。


森澤篤

驚くだけでは不十分だ。「おや」と思ったことをそのままにせず、何かに結び付けて考えてみよう。例えば「インターネットはすごい」と思ったら、これが何に使えるかを考える。近くの店がいつの間にかに閉店していたことに気付いたら「自分がいまこのスペースを手に入れたら何をするか」を考えてみる。実はこの「新しい結び付け方」こそビジネスで最も必要な能力かもしれない。


羽生善治

将棋の対局は時間が長いので、何かアクシデントが起きて心が乱れても、わりとリカバリーしやすいです。テニスの試合を見ていると、不利な場面で審判にクレームをつけて試合を止める選手がいますよね。なぜ判定が覆らないのに文句をいうのか。あれは心を落ち着かせるための時間稼ぎでしょう。心がざわついても、時間が解決してくれることは多いと思います。


野口悠紀雄

重要なことを見つけ出すという積極的な姿勢で本を読めば、問題意識が高まって、おのずと自分が読むべき本も選べるようになります。そうやって選んだ本が新しい知識を与えてくれます。そしてまた、その新しい知識が問題意識を高めていく。知識と問題意識は、そのように循環的に増えていくのです。


浜矩子

残念ながら、日本の会議の多くは、考える力を鍛える場になっていません。会議は本来、結論が見えない中で出席者がお互いに良い質問と良い答えを出し合い、そのプロセスを通して問題解決したり、新しいアイデアを創っていくものだと思います。ところが、日本の企業で行なわれている会議は、最初から落としどころとしての答えが用意されていて、関係者の合意を取り付けるための場になっていることが少なくありません。


辻本憲三

どんな商品でも、世界のトップクラスでなければいけません。トップに入るような商品は、必ずどの分野でも5つ、6つはありますから、それらと比較して負けるようなものはつくらない。たとえ日本でトップであっても、世界は関係ない。世界で売れるような商品を開発し、マーケティングをしていこうということですね。


阿部寛

40歳を過ぎ、面と向かって怒ってくれる人も少なくなってきました。だから、自分で自分に厳しくなるしかない。毎回新しいチャレンジ、試練のつもりで現場に臨んでいます。


堤浩幸

何事も4倍速で取り組め。倍速の精神では遅れてしまう。


吉田博一

需要の伸長にあらかじめ対応できるよう、生産体制の拡充を進めています。装置産業では、需要が生まれてから基盤を強化しても競争に勝つことはできませんから。


宮本恒靖

中学、高校時代、学校とサッカーを両立させるために、今やれることは今やる。集中する時と、休む時とのメリハリをつけることの大切さを知りました。そういうことが、今に至るベースになっているように思います。