澤上篤人の名言

澤上篤人のプロフィール

澤上篤人、さわかみ・あつと。日本の投資家。日本初の独立系投資信託会社さわかみ投信創業者。愛知県出身。スイス・キャピタル・インターナショナルや山一證券のファンドアドバイザー、スイスにある世界最大級の資産運用会社ピクテ銀行の日本代表などを経て、さわかみ投資顧問株式会社を設立。その後、さわかみ投信を創業。テレビの投資番組のコメンテーター、投資雑誌のコラムニストなども務め、投資関連の多数の著書を出版している。

澤上篤人の名言 一覧

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変化を予測する力をつけるには、イマジネーションとロジック、つまり「推」と「論」を働かせ、いくつも仮説を立て続けることが重要。


儲かる気満々だと、投資は得てして失敗します(笑)。株価が上がっていけば、もっと儲けたくなってさらに買ってしまい、ドーンと下がって大損するのがオチです。


株価が上がれば嬉しいし、下がれば悲しい。しかし、長期的に資産を増やしていきたいなら、下がったときは安く仕込めるので喜ばしい。


買うべき企業の選別さえ事前にしっかりやっておけば、パニック売りは絶好の買い場となる。


儲けようとするから、さっぱり儲けられないのさ。



もう会社も国も当てにならない、それはわかってきた。だったら、自分で何とかするしかないよね。


多くの投資家は景気回復を見て買いを考えるが、それでは出遅れだ。


我々長期投資家は株価低迷時も逃げることなく、しっかり選別投資していた。ずっと買っていたから、とんでもない追い風を背に運用成績を一気に伸ばすことができた。


普通の人の感覚を失ったら、投資家は駄目になる。


驚かれるかもしれませんが、その企業が成長するかどうかはあまり重視していません。それよりも、どれだけ社会に貢献しているのかのほうが大切ですね。


言葉にはしていなくても、素晴らしい成果を残す経営者もいます。私は経営者の人柄や言葉ではなく、数字でしか見えてこないものを重視します。


事業というのは、基本的に大変なもの。大事なことは大変かどうかではなく、やるかやらないか、やらなければならないと強く感じるかどうか。



自分だけが儲かるのではなく、多くの人とより良い世の中をつくっていくことが大事。自分1人で飲む高級なシャンパンよりも、みんなで楽しく飲むカップ酒のほうに価値を感じる。


マーケットが過剰反応して大きく売り込まれたときは、長期投資家にとっては「ゴキゲンの買い仕込み」となる。


我々長期投資家はマーケットの動向など軽く横から眺めるぐらいにしておこう。それよりも、世界経済は何があっても成長しているということを常に念頭に置いておくことだ。


本来、投資は未来を創ること。投資することで「どういう社会を創ろうか」と夢や意欲が出てくる。これは事業家が事業を展開することとまったく同じこと。


我々投資家にとって、過去のことはどうでもよい。大事なのは、これからだ。


秘訣というほどのことはありません。安いときに買っておいて、高くなったら売る。投資の基本を忠実に実践しているだけのことです。


現在の業績はあくまで過去の投資の結果。未来は別物だと考えたほうがいい。


大事なのは、現在の状態を基準に考えないで、「10年後、20年後はこんな世の中になっているのではないか」という想像力を働かせること。


私自身、企業をリサーチする際には、消費者感覚というものを最も重視し、時に家電量販店に行ってみたりと、定期的に定点観測を行なっています。


株式投資を短期間で儲ける手段だと思い込んでいる人が世の中には多すぎる。


底値や天井を狙ってマーケットを追いかけると、逆に引きずり込まれて本来の投資ができなくなる。


注意したいのは、底値で買って天井で売ろうなどとは考えないこと。どこが底値でどこが天井かなんて、それこそ神様しかわかりません。


ぜひ考えることを面白がってほしい。私自身、この仕事で一番楽しいのは、「○年前に予想したことが、最近になって現実になったよなぁ」と思う瞬間です。


やるべき時は全力で取り組んでほしい。


投資して利益を上げるだけなら、安く買って高く売るだけですからマネー転がしにすぎない。それだけではなく応援したい企業を見付けるのが一番大切なこと。


私は各種の経済誌などはあまり読みませんが、科学雑誌などには興味深く目を通します。それは問題意識を持っているからですね。


株式投資って株を買うのではなく、企業の株主になることである。だから追いかけるべきは、株価の値動きとか相場ではなく、その企業が生活者投資家として応援できるかどうか。


投資なんて皆が売っている安いときに買っておけば楽なもの。ちょっと株価が戻るだけで、すぐ利益が出る。


不安材料の行き着く先をよく観察してみると面白い。その時々で色々不安材料だ、リスク要因だと大騒ぎするが、そういった不安が現実となることはほとんどない。


石油ショックの頃の混乱に比べれば今のショックなど可愛いもの。


我々長期投資家は、生活者と企業とが強力な二人三脚を組んで、良い社会を築いていこうとする図式の主役である。


暴落時に一度買ってみることが第一歩。株価が少し戻っただけで、利益が出る。「長期の株式投資はこんなにもラクなのか」と実体験することが重要。


株価が強い上昇トレンドにある時などでは、地政学リスクなんて誰も口にしない。そんなことを気にしているよりも、一刻も早く買って上昇相場に乗った方がいいとなるからだ。


天変地異や突発的な事故でドスンと下げても、また「戻ろうとする」のが経済なんです。これは人間の欲や生活がある限り、自然の摂理だともいえます。そう考えれば、目先の数字の変化にオドオドする必要はありません。将来、どう生きていきたいのか、方向性さえキッチリ見定めれば、ゆったり長期スパンで投資すればいいのです。


投資は将来を見るものなんです。だから、過去の一時期の数字だけでいい会社を判断できますか?どうしてもROE(株主資本利益率)を使いたいなら、自分で予想財務諸表をつくって、将来のキャッシュフローの予測や予想ROEをはじき出すぐらいまでやらなくちゃ意味がありません。


私たちは、電卓がない時代から、時間をかけながら数字と戦ってきました。だからこそ、数字に目を奪われるリスクが痛いほどわかります。数字の裏に何があるのか、社会現象、経済現象、ひとりひとりの生活、心理、すべてがあります。それらを織り込んで考え、数字をうまく使いこなすことが大事なんです。


プロだって為替相場を予測するのは難しい。グローバルに活躍している日本企業に投資する方がいい。結果的に国際分散投資が可能になるわけですから。


良い投信を見分けるのは簡単です。純資産総額がコンスタントに増えているかどうか。それだけ見ればいいのです。成績がよくないと、購入者も減って解約も増えます。成績が良くなれば信頼も高まって、お客さんも増える。純資産総額は、資金流入と運用成績が合わさったものです。1から2年ではなく、5年間ぐらい継続的に上がっているものならいいでしょう。でも、そういう投信がいくつあると思います?少し前に調べてもらったら、2800本ある投信のうち、純資産総額が毎年増えていたのは8本だけでした。


実力も何もわからない上場したての会社なんて簡単に買うべきではありません。我々は上場して5年ぐらいは、経営者や会社が何をするか観察しています。六本木ヒルズに本社を置いただけで浮かれているような企業は駄目でしょう(笑)。企業の力量を見るには、5から10年は必要です。


そもそも株式のデータベースに頼ること自体がまずい。私たちは、電卓もない時代からやってきたわけです。過去10から15年分の財務諸表を洗い直して、裏紙に手計算で分析してきました。そうやって原データを丹念に読み込んでいくと、小さな項目の変化も見逃さなくなります。


私はスクリーニング(利益などが一定の条件を満たすかどうか検索し、投資対象になるか振り分ける方法)は絶対に使いません。そんな荒っぽいいことはできません。たとえば、株主資本利益率(ROE)で検索するとします。でもいま手に入るのは、3月決算なら6か月も前の数値です。
【覚書き|ある年の9月の発言】


昔は本社ビルを建てたら、会社が斜陽になると言われていました。本社ビルの立地や見栄にお金をかける。規模の拡大とともに、会社の体裁を気にしだしたらコストに鈍感になっている証拠です。危ない兆候です。製造業なら工場や設備に投資し、余分なところにお金をかけない。そんな企業となら、信用して付き合えます。


コストを引き下げる努力をしているかどうかが大事です。企業経営で唯一将来を計算できるのはコストだけです。売上やリターンは予測できません。売上は消費者あるいは需要サイドの意向によって、どうにでも変わります。当てにならない売上に頼ってコストを上げていったら経営が立ち行かなくなります。


確認作業として、その会社の貸借対照表(B/S)を10年間分ぐらい横に並べてみるといいでしょう。大事なのは主要項目の変化を視覚的に追うことです。B/Sには会社の経営の意図や力量がハッキリ出ます。各項目の変化が、結果として損益計算書(P/L)にどう表れているか、時間のズレはどうなのか、会社の利益成長パターンが見えてきます。そうすると、短期的に数字が悪くなってもオタオタしないですみます。


大前提は、自分たちが10から20年先にどんな社会を築きたいかを考えることです。世の中にとって、どんな企業が必要なのか、どんな企業に頑張ってほしいのか、そこをしっかり見極めていないと、目先の数字(現在の業績や株価)に踊らされてしまいます。10年も付き合うなら、数字よりも相性です。人間関係と同じで、よっぽどその会社が好きじゃなきゃ長続きしません。


毎月分配型投信が売れていますが、それは4年にわたって円安、低金利が続いたことがラッキーだっただけです。こんな平穏な状況が続くのは滅多にありません。今後円高に振れて、金利が上がりだしたら逆になります。投信ブームは一回冷えるかもしれません。


購入者が飛びつきそうなテーマ、たとえば環境、エネルギー、新興国など、販売サイドが売りやすいテーマのファンドをつくる。手数料も稼げるし、ビジネスとしてはやりやすい。しかし、流行が終わったらおしまいです。成績も下がるし、純資産総額も下がってしまいます。こういう投信ではなく、今後は長期保有型の投信が主流になるだろうと私は考えています。


わかりやすい例だと、減価償却の計算方法を変更する。そうすると表面上の利益が出やすくなります。経営内容が悪化してきている表れです。そういう小さな変化こそが大事なのに、それはスクリーニング(利益などが一定の条件を満たすかどうか検索し、投資対象になるか振り分ける方法)やデータベースだけじゃ見えてきません。



長期運用をしていると、会社の行動や社風が最初とは変わってくることもあります。注意深く観察していいると見えてきます。数字は、その確認材料として使うものなんです。だから、機械的に数字で銘柄をはじき出すスクリーニング(利益などが一定の条件を満たすかどうか検索し、投資対象になるか振り分ける方法)なんかは一番ダメです。


人間もそうですが、会社も1年、2年の数字(業績や株価)じゃわかりません。長期間の推移を見ればごまかしがききません。真の性格がわかります。そうやって見ていると、目立たなくて不器用だけど味がある、そんな会社もあります。


人は毎日、そんなに合理的に生活しているでしょうか?給料日前でもつい飲みに行く。酔った勢いでもう一軒行っちゃう。経済って、そういう人間の不合理な行動の集合です。だから、経済も企業の業績も株価も上下にうねる。数字(現在の業績や株価)の前に、人間の欲求や生活ありきです。


我々がやっていることは、数字(現在の業績や株価)が悪い時点で、将来の数字をイメージする。投資価値ありと判断したら、数字の悪いときにこそ買いに行きます。私は鉄鋼会社が赤字で斜陽産業と言われていた頃に鉄鋼株を大量に買っていました。投資をする裏づけとして業績や相場の数字に頼るのは、気持ちの弱さの表れです。


逆説的な話になりますが、大半の人は「数字」を見て動いてしまいます。企業の業績向上を見ると、わっと買いが群がる。業績が低迷すると売りが殺到する。でも、業績向上というのはあくまでも結果。その前に苦しい先行投資があったことを忘れてはいけません。


われわれ長期投資家は生活者の観点で、「なくなっては困る」と思える企業の応援株主になろうとする。大事な虎の子だ、どうせなら価値のある働きをしてもらわないとね。生活していく上で、なくなってもらっては困る企業なら、日々の生活で売り上げに貢献しているから、何があっても潰れっこない。つまり、投資先としても抜群に安全である。不安など、どこにもない。次に、応援しようというのだから、株がボロボロに下げているときに買いを入れる。その姿勢さえ崩さなければ、投資で最も重要な「安く買う」ができてしまう。


やることをやっておいた実りを楽しみに待つのが長期投資。


相場に勝負を挑む短期投資なら、あれこれ手を打てる。しかるに、長期投資は上昇相場の波が押し寄せてくるまでは、何もすることがない。何せ、ここまでの下げ相場でたっぷり買い仕込みをしてある。今は、ただ待つのみ。


強い上昇相場を確認してから、「早めに買っておきましょう」ではもう出遅れ。相場なんていつも上がったり下がったりしている。強い上昇を確認してたら、もう株価は相当に上がってしまっている。そんなところから、ノコノコ買ったところで、どれだけ上昇余地が残っているものか。


長期投資ってすごいもので、将来の不安などこれっぽっちも感じなくなるよ。長期投資を続けていると、自分の財産がじっくりと積み上がっていくのを実感できる。きちんと長期投資していけば、少し時間がかかってもお金はしっかり増えていく。


有力誌ビジネスウィークが「株式の死」と題した大特集を組むほど米国の株価が長期低迷した時代。1960年代に始まるボックス相場でダウが700ドルから1000ドルの間を行ったり来たりした16年半においても、個別企業を選別する我々長期投資家は、そこそこの運用成績をあげていた。


財務諸表を1年分だけ見ても会社が成長するかどうかはわかりません。しかし、例えば10年分を横に並べてみると分かってくるでしょうね。バランスシートの変化を見ていると、経営の意志が見えてきます。


ウォーレン・バフェットは世界でも最高の投資家の1人でしょう。しかし、私との違いで言うと、彼は投資マニアで、投資して利益を出すことが最大の目的です。一方、私は利益も大事ですが、応援したい会社にしか投資しない。目的がそもそも違うんですね。


自分がバリバリと働きたい、成長したいという気概があるなら、一度、めちゃくちゃに勉強して、めちゃくちゃに働いてみろといいたい。世界には信じられないほど勉強して、働いてトップに登りつめていこうとしている連中がいっぱいいます。そこで競争するとものすごい成長ができます。


正直、ネットではあまり調べません。デマも多いしそもそも表層的な情報ばかり。一番いいのは図書館です。うちのリサーチャーもネットで情報収集はしますが、それだけには頼らない。目先の情報を追い回すのではなく、広く深く遠く調べるのです。


今安いと言うことは、評価されていないということです。そんな会社の株を買うと言ったら「なにを言っているんだ」と言われます。つまり、不納得なんです。みんなが納得する企業の株価は既に高い。誰も評価しない株を買っておくからこそ、投資収益を出せるのです。これは短期投資家にはできない芸当です。


私がスイスで働き始めた頃は、本物の長期投資家がたくさんいました。当時、日本では投資は博打のようなものでしたが全く違う。あちらでは誰も教えてくれないので自分で盗み取るしかない。私はそこで長期投資のなんたるかを自分に叩き込みました。


営業はしていません。どうせ知られていないし、説明してもなかなか理解されません。そもそも、運用は営業で資金を集めるものではなく、運用成績がすべて。きちんと運用して利益を出せば、自然とお金は集まってきます。


私は長年、長期投資の世界で働いてきて、その良さについて熟知していました。それが日本では全くといっていいほど知られていませんでした。良いものを世に届けたい、それだけでした。


自分で考えて調べ尽くして、その確認のためにインタビューに行くんです。会社の分析に割くエネルギーは全体の20%、周辺の業界や競合の調査が30%、残りの50%は世の中の流れ、顧客の購買行動の変化、心理動向などの調査などです。そこまでやって、投資先を決めます。


マスコミ報道やマーケットの動揺だけを追い掛けていると、世界経済は成長どころか大きく落ち込んでいくかのような印象を受ける。ところが実態は、成長スピードがほんのちょっと落ちているだけ。


100年ぐらいの時間軸で見てみると、世の中で何が起こっても変わらないトレンドが幾つかある。そういったトレンドをしっかり押さえた上で、新しい流れを先取りしていく。


我々の長期投資は「こうしておけば安心」といった、物事を固定させる考え方はしない。いつでも大きな変化を先取りしつつ、それでいてドタバタしない、しなやかな生き方を心掛ける。そして、30年40年たってみれば、結構な財産造りができたなと実感する。それぐらいで丁度いい。


投資先を決める際、経営者よりも、会社が持っているDNAが大事。DNAは、一朝一夕に確立できるものではありません。会社としての方向性を見失わずに経営を続け、代々積み上げられていくものです。創業時期が古く、地道にやっている会社の中には、独自のDNAを育んでいるところが多いように思います。


投資なんて安く買って高く売るだけのこと。どんなに立派な理論やテクニックを学び、精緻な業績予想を立てたところで、暴落相場の安値を買えなければ話にならない。そう、暴落相場を「待ってました」と買えるかどうかだよ、大事なのは。


企業なんてものは、売上がコンスタントに増えていれば、よほどのことがない限り潰れっこない。業績だって、少しずつ追っ掛けてくる。


本格的な長期投資をやっていくのなら、目先の業績よりも企業の生き様の方を重視したい。何しろ、我々生活者から見て、絶対になくなってもらっては困るというぐらいの企業なら、毎日の生活消費で売り上げに貢献し続けている。


長期投資家は5年先10年先にますますビジネスを拡大させているであろう企業のみを選別する。「今株式市場で話題となっているが、3年先もこの勢いが続いているかというと、ちょっと怪しい」と思えるならば、そういった企業は長期投資の対象からキレイさっぱりと外してしまう。


われわれ本物の長期投資家は、相場などあれこれ考えない。安ければ買うし、高くなれば売るだけのこと。そこで大事になってくるのが、将来に向けての投資価値の高まりを、しっかり押さえているかどうかだ。


将来の大きな調整が予測される時は、意外と相場は下がらないもの。もちろん売りはどんどん出るが、そういった売りは低迷している株価全般の中で吸収されていく。そして、次の上昇局面が着々と準備される。これが相場というもの。


儲けよう、儲けようで眼をつり上げている銭ゲバ投資家からすると、暴落相場はどう見ても儲かりそうにない。だから、買っておこうなんて気持ちは、全く湧いてこない。投資なんて、「安く買って、高く売る」だけのこと。その一番大事な「安く買う」ができないのは、何ともお気の毒と言ってあげたいよね。


いつの上昇相場でも、調整局面は欠かせない。ちょうど竹が節を作りながら大きく育っていくように、本格的な上昇相場は幾度となく根固め局面を経ながら、どんどん筋金が入っていくものだ。


ビジネス分野は成熟していて株式市場などで大騒ぎされないが、しっかり利益を積み上げている企業なら安心して長期投資できる。何しろ新規参入はないし競争も限定的だから、その企業の収益基盤は相当に安定しているはず。


長期投資では、同じ銘柄を「安くなったら買い、高くなったら売る」を単純に繰り返して構わない。あれやこれやと銘柄を取っ換え引っ換えするドタバタは、むしろ避けたい。それよりも、長期的に見て「投資価値を高めていってくれる企業かどうか」が決定的に重要である。やはり、5年10年にわたってビジネスを拡大していけそうな企業を見定めることだ。


相場を読もうとしても当たったり当たらなかったりで、そうビシッとは決まらない。そんなことに神経をすり減らすよりも、大きな下げ相場でさっさと買ってしまうことだ。安く買っておけば、後はどうにでも料理できる。


長期投資家にとって大事なことは、3年とか5年あるいはもっと長い期間でも、平気で持ち続けられる銘柄を選ぶこと。3年でも7年でも持てるぞと思うからこそ、低迷相場や暴落相場でも平然とした顔をして買える。


この先どうなるか分からなくなればなるほど、マーケットを追いかける投資家は怖くなってしまう。一方、個別企業を丁寧にリサーチする長期投資家には、よりどりみどりの買い場到来となる。


多くの投資家は現状をベースにして投資シナリオを組み立てようとする。それに対して、我々長期投資家は視点の時間軸が違う。先々の可能性を考える。


世の中で何が起ころうと、企業活動は続いている。そういった企業活動の現場を観察し続けると、マーケットでの価格変動など気にならなくなる。まさに企業リサーチは長期投資家の命であり、自信と冷静さの源である。


1971年8月のニクソン・ショックの時は、まだ経験も浅かったから、「スゴイことが起きている」と感嘆することしきりだった。しかし、周りの先輩たちは落ち着いたもの。筋金入りの長期投資家らしく、安値に買いを入れると同時に、新規の組み入れ候補の銘柄のリサーチを淡々と進めていた。


私は投資の究極の目的とは、「今よりもいい世の中を作る」ことだと信じています。そんな理想をともにする企業に投資し、お金だけではなく、より暮らしやすい世の中も手に入れる。このほうがよほど多くの利益を得られるじゃありませんか。


応援すると決めたら、何があっても応援し続ける。相場が暴落して株が二束三文で売られようが、動揺することはありません。むしろ、そういうときこそ真打ち応援団の出番との心意気で、積極的に買いを入れます。逆に、人気が高まって株価が上がっているときは、他にも応援者がたくさんいるということ。そんなときには応援を彼らに任せて、これまでの投資収益を確保し、次の暴落相場に備える。これが安く買って高く売るということです。


ある企業の将来を予測するには、決算書よりもずっと「肌感覚」のほうが重要だと思います。つまり、その企業の製品やサービスを享受する消費者としての実感です。「あれ、いつも使っているこの商品、最近ちょっと質が落ちたな」「最近出た他社の商品のほうが使いやすいぞ」――普段、商品を使っていると、そんなことに気づくことがありますよね。こういう感覚は必ず企業の業績に反映します。それは当たり前のことで、生活者の消費こそが、経済を作っているわけですから。


「この業界が伸びる、この業界が衰退する」という発想自体が前時代的な考え方。日本経済はすでに成熟段階に入っており、必要なものは人々の間に行き渡っています。こうなると、成長できるのはイマジネーションとロジックで将来の消費動向を読み、需要を掘り起こした企業だけ。この業界だから安泰、この業界だからダメ、ということは、もはやあり得ないのです。


多くの投資家は、当社のように10年、20年単位のゆったりとした長期投資をしようとせず、1年はおろかごく短期間で結果を出そうとする。それは投資ではなく、相場の上げ下げを追いかけるトレーディングにすぎません。こんなギャンブルみたいなことをやっていれば、損をするのも当たり前です。


直近の数字が抜群に良くて、マスコミに注目されている企業であっても、経営者がどうやって儲けるかしか頭になく、目先の利益ばかり追いかけているようなら、投資は見送ります。また、経営者のビジョンに共感できなかったり、社員のモチベーションが低く社長の意欲だけが空回りしているような企業も対象外です。


個人投資家が長期投資をする場合は、生活者あるいは消費者としての立場から応援したい企業を選別するはず。そう、毎日の生活消費で売り上げに貢献している企業群だ。ちょっとやそっとでは潰れっこない。安心して買える。これが一般の株式投資のように、「もうかりそうな株」を追いかけると話は違ってくる。儲かりそうな株というのは、株式市場で人気を集めそうな企業のことであって、しょせんマネーゲームの延長線上でしかない。マネーゲームの先では、実体を伴わない投資も日常茶飯事となる。つまり、潰れる企業も頻繁に発生することになる。その点、生活者株主として応援しようという長期投資は実体経済の上に立っており、浮ついたところは何もない。だから暴落時も平気な顔して買えるわけだ。


本格的な長期投資をやれるのは個人の特権であって、機関投資家にはできない話。何しろ、これはと思う企業を個人投資家なら5年でも10年でも平気で応援できるのだから。たとえ、5年持ってようやく2倍になっても、年率では14%の成績となる。それで十分だろう。


長期投資家にとって調整局面は、ごきげんの買い増し場面となる。銘柄選別さえしっかり進めておけば、買いをためらったり怖れたりすることは何もない。


どんな上昇相場でも、幾度となく調整局面を経ながら、より大きな相場に育っていくもの。一本調子の上げ潮なんてのは長続きしない。ちょうど、竹が節をつくって強くなっていくように。


多くの日本の投資家は、相場が下落に転じると「損したくない」「もっと下がりそう」で、もう売り逃げることしか考えない。我々長期投資家は彼らが大慌てで売ってきたところを、「ありがとう」と言って安値買いさせてもらう。


「投資なんて安く買っておいて高くなったら売る」だけのことだ。投資対象さえしっかり選べば、下落相場を買いにいって悪いことは一つもない。むしろ、投資で成功する王道である。


株価が暴落したとき、多くの投資家が真っ青になって売っている。だから、株価は安いに決まっている。投資は安く買うのが基本のはずなのに、誰も買えない。一度試しに、もう「ダマされた」と思って買ってみよう。怖いもの知らずで、買ってみるのだ。何も考えなくていい。ただ応援しようという気持ちだけで。とにかくほんのちょっと買ってみなよ。買ったら、分かる。暴落相場はそう長く続かない。そのうち、株式市場に落ち着きが戻ってくる。すると、暴落時に買っておいた株は「あれっ、こんなにも上がるの?」と驚くほどに上昇しているはず。そこから先は、どこで売っても利益が出る。


「この相場をうまく捉えて」ばかりを意識し過ぎると、相場追い掛け型の短期張り投資家になってしまう。一度、相場追い掛け型の株式投資に染まると、株価が上値を追っているときしか買えなくなる。下げ相場や長期低迷相場では、手も足も出せない日本の一般的な投資家と同じになってしまう。


生活者として何が何でも応援したい企業の株を相場暴落時こそ断固たる応援買いに登場する個人投資家になっていきたいものだ。そうでないと、本物の長期投資家にはなっていけない。せいぜい、相場を追いかけては売買を繰り返す短期投資家と五十歩百歩となってしまう。


「人々が生きていくうえで必要不可欠な商品を作る会社」は、どんなに株価が上がろうと必す買われます。もし彼らに頼まなければその商品や技術が手に入らないとなれば、大枚をはたいてでも買う客がいる。だからこうした会社は、10年、20年先も隆々と生き残れる。


これからはどんな大企業でも、経営がまずければバタバタ倒れていく。逆に無名でも、頑張り次第で一気にのし上がれる。だから株を買うにしても、もうブランド買いはやめた方がいい。きちんと経営内容を見ないと何が起こるかわかりません。逆にきちんと見極められれば大きなリターンになる。


マーケットはいつも悪材料とか消化不能の現象に過剰反応する。だからといって、国民の毎日の生活が消えてなくなるわけではない。人々の生活を支える企業生活も続いている。株価だけ大きく下げたならば、ありがとうと思って買っておかない理由はない。


株式市場全体が暴落している時なら、間違いなく安いはず。しかし、暴落相場に直面すると、多くの人はもう投資どころではなくなる。「どこまで下がるか分からない、こんなところで買っても損させられるだけだ」といって市場から逃げ出してしまう。それは儲けたいという気持ちが強すぎるから。銭ゲバ投資家たちが買うのは、「この先、株価は上がっていくだろう」という気配が、マーケット内で高まってきてからとなる。あるいは、株価上昇の動きが強まってきて、「ここで買わなかったら、いつ買うのだ」と、飛び付き買いをしたくなってからだ。儲けようとするから、儲かりそうだと思えるところでしか買えない。結局のところ、銭ゲバ投資家たちは安くは買えず、高くなってから慌てて買いに行くことになる。


長期投資はお金の増え方もすごく健全なのよ。世の中や社会から喜ばれて、「ありがとう」という言葉とともにお金が増えて戻ってくるんだ。一般的な投資だと、「儲けてやろう」「稼いでやろう」で、皆が目を血走らせる。そこはバクチ場と似たりよったりで、お金を取るか取られるか。いかに自分だけいい思いをするかしか考えない。「ありがとう」なんて誰も言ってくれない。ところが長期投資だと、お金が優しく働いてくれる。世の中のためとか、社会に良かれといった、青臭い言葉が平気で飛び交う。それが、長期投資の世界なのよ。


読書では、どんな本を読めということは一切言いません。自分で面白いと思う本を見付けて、そこから次に読む本を見付けていってほしい。私自身、大人になってからの話ですが、投資の世界は戦争だと思ってクラウゼビィッツなど戦史を勉強しました。そこから心理学も大事だと思って心理学の本、さらには哲学書まで広がっていきました。そういうテーマを自分で見付けてほしいですね。


世界の市場でファンドマネージャーが10人いたら、10年後に生き残っているのは1人か2人です。15年たったら、1人生き残っていたら良いほうです。淘汰されたファンドマネージャーたちを観察していると、1つの真理が見えてきました。それは「運用をする人間は贅沢をすると駄目になる」ということです。どんなに優秀な投資家も、贅沢を覚えると脱落します。そうなる前に引退するか、贅沢をしない、あるいは引退してから贅沢をするしかありません。


2000年頃の不景気の時、住友金属やクボタ、コマツ、住友重機などは、経営が悪化し、中には潰れてしまうかもしれないという人もいました。しかし、それらの会社は、オリジナリティーあふれる技術があり、実績も確かです。事業の軸もぶれていない。こんな会社が潰れるわけがない。あまり知られていませんが、新幹線の車輪はすべて住金が手掛けています。それだけの信頼と技術を持っている。そんな会社の株価が下がっていたらこれは買いです。必ず将来上がる。日本経済を支えている優秀な企業ですから、応援したいじゃないですか。日本経済を応援する手段として、投資はとても有効な手段なんです。


よく会社は経営者で変わると言われますが、私は投資の判断の際に経営者はあまり見ません。経営者は2期4年とか3期6年で変わりますが、経営はそれで終わるわけではない。長期投資は10年、20年という単位で考えます。だから企業分析の際に経営者の言葉はあまり気にしません。そもそも本当のことを言っている保証もないですから。


供給過多は値下がりを招く。それが経済の大原則。債券市場とて例外ではない。これだけ国債を大量発行してきているのに、国債価格は天井圏に張り付いていて値下がりの気配もない。我々長期投資家から見れば、異常な価格形成は必ず是正される。より適正な価格を見つけだそうとする、経済合理性の働きを最も大事にするのがマーケット。そのマーケットがいつまでも、リスク回避で国債に集中したがる投資家に支配され続けるはずがない。


これから起業する人は、最初の夢や意欲を失わないようにしてほしい。男性に多いのが、会社を大きくしようと意識しすぎて、最初から経理や営業担当などのメンバーを集めて組織を固めるタイプ。しかし、スタート時に固定費を膨らませると、それに見合った売り上げを求めるようになる。短期の利益を追い、それが無理につながり起業時の夢や意欲も薄れてしまう。事業をやりたいのは誰なのでしょうか。やりたいことがはっきりしていれば、仲間なんか要りません。


私は1999年、日本で初めて独立系の投資信託として、さわかみ投信を立ち上げました。個人の資産形成を促して、経済的自立をお手伝いしたい。そのために、まともな投信を立ち上げようという一心でした。金融ビッグバンによって投資信託事業が免許制から認可制へと緩和されました。預かり資産3000億円などの高い障壁も緩和されたため、さっそく大蔵省に認可を求めに行きました。しかし、「何しに来たのか」と相手にされません。販売網もなく、大手企業などの母体も持っていない独立系の投資顧問会社が投信ビジネスの認可を求めて来るとは思っていなかったのでしょう。それでも3か月間、毎日のように通い詰め、熱意が通じてようやく許可してくれました。


長期投資の対象となる企業かどうかは、暴落相場で平気な顔して買えるかどうかで判断するといい。株価全般が大きく下がった時に、「この企業なら屋台骨が崩れることはなかろう。むしろ、絶好の買い場だ」と思えるかどうかだ。この判断基準でもって、自分の応援企業を見つけていくといい。いざ株式市場が暴落症状を呈している時に買える企業はどれかとなると、対象企業は恐ろしく限定される。つまり、あれこれ悩むことなく、自分の長期投資対象企業を見つけられるわけだ。


成長産業や急成長企業というのは、意外と長期投資の対象とならない。理由は簡単で、成長産業であるが故に新規参入してくる企業が後を絶たず、常に激しい淘汰が繰り返されているからだ。そんな中で、どの企業が勝ち残っていくのか、なかなか見極めがつかない。つまり、その時々で勝者がどんどん入れ替わっていくので、どっしりと腰を下ろした長期投資など、とてもやっていられない。


今、株式市場で話題となっている企業、あるいはすごいと騒がれているビジネスモデルが、5年先10年先も変わらずに盛況を保っているかどうかは、誰にも分からない。というよりも、一時のはやりで消えていくケースが圧倒的に多い。それより、「イエスタデイ産業」といわれる古い産業でも十分に面白い。そこで、地道にシェアを伸ばしていっている企業は、長期投資対象としてうってつけである。何しろ、その産業が消えてなくなることはないし、そこで安定的にビジネスを伸ばしているのだ。安心して長期投資できる。


サラリーマンの財産づくりといっても、難しいことは考えなくていい。ある程度の規模があって、ビジネス基盤のしっかりしている企業を5社から7社ほど選んでおく。そして、暴落相場を待っては買い仕込む。後は値上がりを待って、その一部に利益確定の売りを出していく。そして、次の暴落相場でまた買うのだ。この繰り返しを淡々と続けていくのが長期投資である。そのうち複利効果が出てくることから、とんでもない財産づくりができてしまう。


大事なのは、早め早めに上昇相場を捉えて、リズム良く投資リターンを積み上げていくこと。一度の上昇相場で腹いっぱいもうけようとはせず、毎回そこそこの利益を積み上げるので構わない。それらが、複利効果をもたらしてくれるにつれ、とんでもない財産となっていく。避けなければならないのは、相場を意識し過ぎて後手後手の投資を繰り返すことだ。


技術株の銘柄選定をするときは、自分の興味ある技術分野を絞り込んで、そこを重点的に調べる。調べるといっても、企業のホームページをネット検索するぐらいでは駄目。よほど真剣に技術論文を読むとかしない限り、薄っぺらな情報しか手に入らない。それよりも、近所の図書館を利用しよう。科学や技術に関連する月刊誌などを開いて、狙っている分野を徹底的に洗ってみるのだ。グラビア写真や記述を追っていると、いろいろな企業が驚くほど先進的な技術開発を進めていたり、早くも実験プラントを手掛けていたりすることが分かる。この作業を継続的かつ意欲的にやっていると、これはすごいと思える「技術こだわり企業」が浮かび上がってくる。


「何とかショック」というのに襲われると、マーケットも投資家も世の終わりといった反応をする。いつも言うことだが、「世界経済は大変なことになったと大騒ぎしているあなたたちも、飲んだり食ったりしているよね。そういった生活を企業活動は休むことなく支えてくれている。ショック、ショックと騒ぐが、企業活動は何も変わってはいない。ただ株価が下げただけじゃないの」とね。


お勧めするのは、自分が好きな企業を応援する意味で投資すること。世の中にずっとあってほしい会社に、長期投資するのです。その会社がみんなにそっぽを向かれているとき、つまり株価が暴落しているときは大きく買い増す。逆にみんなにチヤホヤされているとき、つまり高騰しているときは、一時的に応援を任せて自分は売る。このリズムを覚えれば、仮に毎月3万円を投じていくだけでものすごい財産となります。


「絶対になくならない分野」かつ「応援したい会社」の株を、みんなが売っているときに買い、みんなが買っているときに売る。それさえできればひと財産築けます。だけど底値ギリギリで買って天井で売ろうと思ったら失敗する。ある程度大雑把にやったほうがたいていうまくいきますよ。みんなが売っているときに買うには、「好きで応援したい会社」であることも重要なポイント。


澤上篤人の経歴・略歴

澤上篤人、さわかみ・あつと。日本の投資家。日本初の独立系投資信託会社さわかみ投信創業者。愛知県出身。スイス・キャピタル・インターナショナルや山一證券のファンドアドバイザー、スイスにある世界最大級の資産運用会社ピクテ銀行の日本代表などを経て、さわかみ投資顧問株式会社を設立。その後、さわかみ投信を創業。テレビの投資番組のコメンテーター、投資雑誌のコラムニストなども務め、投資関連の多数の著書を出版している。

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