永守重信の名言

永守重信のプロフィール

永守重信、ながもり・しげのぶ。日本の経営者。「日本電産」創業者。京都府出身。職業訓練大学校(のちの職業能力開発総合大学校)卒業後、日本の音響機器メーカーのティアック、機械メーカーの山科精器を経て、日本電産を創業。社員3人とともに会社をスタートさせ、同社を世界シェアトップ製品を持つ会社に成長させた。また、数十社の経営再建を成し遂げた。

永守重信の名言 一覧

困難さんは、解決君と一緒にやってくる。
解決君だけ先にやって来ないのが厄介である。

結局、他人の評価なんてあまり気にしないほうがいいということです。気にすると「あれを言ったらいかん、これも言ったらいかん」とガチガチになる。日本人には、自由闊達な物言いが足りないと思います。

経営は「頭」ではないんです。だって頭のいい人が経営をできるなら、日本の大企業はもっと発展しているはずですよ。でもそうはなっていない。やはり気概と執念がないとダメなんです。やり切るとか、すぐやるとか、できるまでやるとか。そういうことが大切です。

私は創業した時から、我が社は零細企業ではなく「兆円企業の卵である」と言っていました。皆さん、びっくりしてましたけどね(笑)。

一生懸命説明すると、それを理解してくれる人が必ずいる。だから、諦めずに、できることはやろうという心境でいます。

世界にないものを開発する時は、まずは精神論から始まるんです。創業当時、実現できるかどうかわからない技術を目の前に、全社員で「できる、できる、できる」と千回言い続けた。すると、何となくできる気になってくるんですね(笑)。そんなもんです。できる、できないは、能力とは別の問題です。

周囲からは「永守さん、あんたが思うてるほど簡単なことではないよ」と言われますが、新しいことをやる時は、皆さんたいてい否定から入る。私が日本電産を立ち上げた時も「オイルショックの時期に会社なんかつくったら失敗する」と言われた。これはアドバイスではなく、変革を拒む気持ちの表れでしょう。

技術に挑戦する人材がいるかどうかが問題。考えて工夫して試作して、うまくいかなかったらもう一度やり直す。何回もですよ。それを繰り返す人がいてはじめて、ようやく技術革新にたどり着く。もう無理だと諦めてしまう人材では、それで終わってしまうんです。だからこそ、頭のいい人材だけでなく、できるまでやり切る人材が必要なんです。

何か問題が起きたらそれを小さく切り刻め。難しそうでも、小さく切り刻んで対処していけば、問題解決の糸口は見つかる。

バッドニュースが上がってこないのはトップの問題。製造過程で不正が行われたり、品質管理がずさんであったりすることはメーカーにとって死活問題のはず。そんな重要なことが上に伝わらないのは、経営者が現場に足を運ばず、実態を把握していないからだ。

売り上げは企業にとって、人間に例えると血液。まず売り上げが先行しないと利益は出てこない。利益率を上げれば、利益が上がるという意見もあるが、売り上げを先行して伸ばすことが全体の業績回復のキーになってくる。

現在の日本の偏差値一辺倒の教育には問題がある。大学名やブランドなど関係ない。人は教育次第でいくらでも良くすることが出来る。

最も基本的なことだが、世界的な企業になるには社会の役に立つ、そして認められる存在にならないといけない。

経営者に大事なことは、仕事をエンジョイしていることだ。努力して、工夫して、改良・改革して技術や製品をよくしていく。あるいは、ビジネスモデルを変えていくことが楽しくて仕方ない、という思いを持つことだ。

従業員の気持ちは不満の山だと言ってもいい。人は必ず不満を持つもの。その前提に立って不満を解決し続ければいい。それは経営者の役割だ。

経営はコミュニケーションそのもの。

大事なのは上司が部下を成功させるようにしているかどうか。上司の役割の多くは部下を成功させることだとさえ言っていい。

利益を2倍にしようと思ったら、2倍の努力では足りない。2乗倍の4倍の努力が必要。利益を3倍にしようと思ったら、9倍頑張らないと。

人の教育は「千日言行」です。同じことを繰り返し千回は言わないと、社員は育たない。

会社の経営理念に根ざすものは変わらないが、上に咲かせる花は、会社の規模や入ってくる人材によって変わってくる。

やはり何でもすぐにやらなければいけないし、できるまでやらなければいけない。

私たちの会社は「1兆円企業」になった。世界で勝てる「10兆円企業」を目指すなら、変わらなければならない。脱皮しない蛇は死ぬ。

仕事のやり方も日々、見直しています。長年やってきた仕事のやり方の「無駄の多さ」に、愕然とする日々です。

国は人を裏切り、人は人を裏切るが、努力だけは人を裏切らない。

「プロフェッショナルであること」が大切。特に35歳くらいまでは、何か1つ、「これだ」と思う専門性を磨き、強みにしていくことに注力した方がいい。

自分と真剣に向き合って、「今どんな経験が自分に必要なのか」を日々問いながら、毎日を過ごす。そして「これこそ我が人生」と思える日々を過ごしてください。

働き方改革には投資が必要。カネも出さずに改革なんてあり得ない。確かに、支出せずともできる「小さな改革・工夫」はたくさんある。ただ、そうした工夫だけでは、限界がある。

改革はすべてトップダウンで行うのが日本電産のやり方。「残業ゼロ」もトップの私が率先することで、会社全体に範を示していく。

経営とは詰まるところ、「予測」「準備」「実行」「振り返り、作り直し」である。この基本を徹底するだけだ。

日本人はとかく物事のマイナス面に目を向けたがり、悲観主義に陥りがちだが、それでは意味がない。マイナス面はある。しかし、プラス面だってある。

苦しいときこそチャンス。だから常に怠りない準備をして、必ず実行することが大事。こう考えていけば、目先のショックに怯える必要はどこにもない。

どこかで苦難とまではいかなくても大きな転換をする時期がないと次の成長の基盤構築ができない。成長の踊り場があったほうがその後に伸びる。

小さな事業で成功して満足したり、長期政権が不必要に続いたりすると、経営がマンネリに陥る。このマンネリが会社を潰す。

下の人間が動くかどうかは、上の人間次第。

世界中で儲かっているどの会社を見ても、みんな状況変化に対する反応が速い。競争に勝つには、意思決定のスピードを上げるしかない。

経営者として考えるべきことは、どんな問題が起きても対応できるように、リスクを減らす仕組みをつくること。たとえば徹底した地域分散。

重要なのは、背景で起きている変化を感じ取ることだ。

リスクに見舞われたときこそ、経営者は前を見ないといけない。大局観を失わず、恐れずに動くべきだろう。

リスクの裏側には、チャンスが張り付いている。それを忘れたらダメだ。

死ぬ気でやれば、そこそこの人間でも相当の人材になれる。

「1兆円になったばかりの会社が10兆円なんて、おかしいですよ」と笑う人もいます。おかしいと思うならそれでいい。創業社長なんて、みんなおかしいものです。

他人が何と言おうが、そんなのはどうでもいい。人の言っていることを気にしていたら、会社経営はできない。

経営って難しいと思ってるだろう。でも一番簡単なのが経営だ。理屈通りにやれば、誰でも利益が出せるから。

血のにじむような努力をした人が上に上がっていく。ごく普通の努力ではダメ。

一番大事なのは社員の士気です。利益を絶対に上げるという。

経営者はジャッジと挫折の回数で磨かれる。

短期的にリストラして業績を上げるのは簡単。雇用を守って、投資もして、その上できちんと利益を上げるのがプロの経営者。

起業家に大事なのは、人より早く、そしてどんなことがあってもやり抜くガッツだ。土曜も日曜も朝も夜もない。人の何倍も働く心がないとダメだ。

起業家側はとにかく独自性を出そうとして、最初からニッチなところに行きすぎることが多い。

経営者と社員の士気の高さこそが、企業にとって最大の財産。不安なときこそ、それを思いだした方がいい。

「努力」というのは、チャンスをかぎ分ける嗅覚を身に付けるためのものでもある。

人生とは、チャンスをどう見つけるかという戦い。

大きな夢を持って努力せよ。努力は絶対に人を裏切らない。

一生懸命に頑張るからこそ、いまがチャンスというタイミングがわかる。

若者も中高年もわくわくして生きよう。

幸運の前髪をつかめ」といわれる。普段から夢を見て努力し続けてこそ、それは可能になる。

皆、夢を見なさすぎだ。大きな夢を見て、一心不乱に努力する。そうすればここぞと思ったら掴みかかることができる。

開発でも研究でも、諦めずにずっとやり続ける人間が必ず成功するんですよ。創業した頃の我が社は知名度がなかったから、偏差値の低い大学の学生しか採用試験を受けに来なかった。しかし、そんな人材が我が社の基礎研究や開発を全部やってくれた。そして今や、みんな重役クラスになっていますよ。

嫌なことも悲しいことも経験すればその分喜びも大きくなる。

危機に強い人間とは、挫折を経験した人間。

失敗だけが人間の筋力をつくります。精神力を付けて人間の幅を広げていく。人間の器を大きくする。成功ではなく失敗が器を大きくする。

成功への道には挫折はつきものです。若いのだから失敗してもやり直せる。思い切ってやるべきです。

一流大学を出て大企業に入って、そんな人生でいいのか。何かチャレンジしましょう。

政治がいい加減なんだから企業がしっかりしないと!

若い人(起業家)は誘惑に乗らずに仕事してください。働かずに会社を伸ばすのは不可能です。

最近、成功するベンチャーは地方が多い。東京ではちょっと成功すると寄ってたかって遊びに行くけど、地方は誘惑が少ないですからね。

企業の本当の強みは風土であり、スピリッツだ。

どんな規模になっても、経営者の仕事は人をつくること。

企業というものは、社風や精神に支えられていると思う。

必要なのは、失点の少ない人材ではない。当社でいえば、「泣かない、逃げない、やめない」スピリッツを持つ人材である。

企業というものは、一体いつから弱くなるのだろうか。それは、成長の過程で社員が創業の精神や理念を忘れて官僚化が始まるときからだろう。

中途採用の人も含めて、人材はやはり手ずからつくらないとダメだ。

成長期という慢心しやすいときに、もう一度原点を見つめ直して創業以来のスピリッツを取り戻すことが大切。

日本電産らしさは「泣かない、逃げない、やめない」スピリッツである。

理論を鵜呑みにしても何も見えてこない。

古いと思っていた業界にもまだチャンスがある。掘り起こせばまだ伸びる。

ホラを吹き、夢を語る。会社や世の中をもっと良くするんだと楽観的に考えていかないといけない。私は役員会では厳しいことを言って危機感を持たせますけど、社員には夢しか語りません。

経営は気概と執念。絶対に成功させようとか、勝とうとか、いいものを作ろうとか、そういう気概と執念がないと成功しませんわ。

経営能力は判断の回数と挫折で決まります。失敗したら反省して、次の決断に生かす。その積み重ねが経営者を磨くわけです。

経営は半分近くが失敗ですわな。8勝7敗、9勝6敗で勝ち越した会社が生き残っているだけです。だから減点主義で人を見れば、ほとんど失格になる。

我々の業種は世界で一定のシェアを取っていかないと健全な利益が出ないんです。最近はグローバルな供給体制が求められているので、小さな会社でいいということはあり得ない。

自分たちにずばり合った会社を探すのは難しいですよ。少し合わなくても、時間をかければ変えられそうな会社を選ぶしかない。

大事なのは「常に」、そして「徹底して」経営を動かし続けること。

人は任せられれば頑張ります。有能な人ほど任せると、意欲を出します。

若い時の失敗、挫折の経験が立派な経営者をつくる。

立派な経営者になるためには出来る限り多くの挫折の経験とジャッジ(決断)の回数が必要です。

若ければ、いくらでもリカバリーショットが打てます。私もいろんな冒険をしてきましたが、この年になると、だんだん出来なくなるものです。若いうちに固まってしまうのはダメですね。

人を育てて本体をしっかりさせないと、M&Aも成功しません。

最も重視する能力は一生懸命働く意識の高さですね。ウサギとカメと同じですよ。仕事が楽しいと言っている社員は本物です。

組織というものは同じ目標で動いている以上、思考も同じ傾向になりやすい。

良い経営者になるためには、何度も決断を繰り返すと同時に挫折の経験をすることが必要だと思う。

日本電産はこれまでの歴史で常に、「新製品」「新市場」「新顧客」の開拓に力を入れてきた。これを「スリー新」活動と言い、本業がどんなに好調でも新たな分野を目指すというものだ。

大きな挫折を経験した人間は、再起のチャンスが巡ってくれば同じ失敗はしないし、並々ならぬガッツで勝ち抜くものだ。

負けには必ず理由があり、そこから学べる。

負けだと認めなければ、負けではない。

その時点では実現不可能なことをまず言ってみることが大切。

企業の理念や行動原理は、戦略や戦術と一体のものであり、「なぜ、こうした方がいいのか」を理解させずに人を動かすことはあり得ない。

企業としての考え方、行動原理を押しつけるのではなく、分かってもらうところから始めることが、いまは必要になっている。

現状に満足している人にバトンを渡したらまずい。私は会社をもっともっと大きくして世界的企業を遺したい。それを引き継いでくれる人でなければいけない。

企業にとって重要なことは、時代の変化に順応していくこと。脱皮しない蛇は死ぬのと同じように、その時、その時の服装に着替えないといけない。

大事なのは社員の意識だ。社員が「会社をもっと強くしよう」「もっと大きくしよう」と自ら意識を持つようになって初めて企業は強くなる。

やる気、モチベーションの高さこそが大事なのだ。私は企業を強くするのは、一にも二にも社員の意識だと思っている。

企業とは社員の意識の集合体であることを忘れてはならない。

効率よく働いて早く仕事を終え、余った時間でスキルを磨く。そうすれば社員の能力もモチベーションも高まり、会社も成長していくという好循環が生まれるはず。

いろいろやったらヒトもカネも分散します。(多角経営は)小さな会社ではうまく行きません。

その会社の10年分の利益で買えないような企業は高すぎて買う価値がない。

資金は稼ぐだけではなく、どう使うかだ。財務戦略は経営の重要な根幹であることを忘れてはダメだ。

資金を徹底的に生かし切る思想がなければ企業を強くすることはできない。

世の中の動きを、30年ぐらい先を見ないといけない。

僕は、講演時間の半分以上は質疑応答にしているんです。一方的に聞かされるより、本当に知りたいことを聞けるでしょう。

企業買収は、全体を100とすると買収時点ではまだ20なんですよ。残りの80はPMI(買収後の一体化)。それを考えないとダメ。

やっぱり明るい人間でないとダメですね。昔はネクラな人材は経理に回せなんて言われていましたが、今は経理も明るくないといかん。明るいということは、前向きだということですから。

メーカーがモノづくりを捨ててはいけない。

社員の意識が変われば会社も変わる。

悪いことは、それをきっかけに業務全体を改革できるチャンスでもある。

世の中は何があるか分からない、それに対処して問題を解決するために経営者がいる。

京都にもたくさんの創業社長がおりますが、業績悪化を誰かのせいにするような人はいません。自分の会社は自分で守るしかない。

目標を示さない経営者はいない。しかし、言葉を発するだけで現場を知らず、まして行くこともなければ、経営者の掲げる目標を自分たちとは遠いものとしか現場はとらえない。だから、自分たちの論理で慣れ、甘え、疲れ、タコツボ化に陥り、不祥事が起きてしまう。

将来を予測するのは簡単ではない。私にとってもそうだ。もし考え方の指針になるものがあるとすれば、それは歴史に学ぶことではないか。

私は、事前には可能性が低いと予想されていたブレグジット(イギリスのEU離脱)についても、実際に起きた時にどんな影響が出るのかを予測し、プラスとマイナス面を徹底して調べていた。

異能・異才の社員は磨かれるうちに出てくる。

大切なのは、揺さぶることです。テーマの研究が進んだり行き詰まったりしたときに人を組み合わせたり、移動させたりして揺さぶる。その刺激が新たなものを生み出します。

社員の中で成果を上げるのは、やはり自己管理のできる人です。まず大事なのは自己管理をする気のある人材を採ることです。

1人の天才より100人の凡才。当社にとって何より重要な柱は、社員が高い士気をもって仕事に取り組むこと。

海外進出にリスクはつきもの。なくすことはできません。でもコントロールはできます。恐れるばかりではダメ。経営者自らが前に出てリスクを手なずければいいのです。

大事なのは、社内の人材が私の考え方を理解しているか、理解できる素地があるかどうかを把握すること。

企業は利益率15%以上あげて当然。それができないのは経営がおかしいからだ。

グローバルで戦っていかなければいけないので、海外企業がやっていることを学んでいくことが必要。

当社には10兆円企業にするという目標があり、そのために必要なことを全部やっている。その軸がブレない経営を続けてきたことが誇りだ。

経営者は本来、会社を良くし、成長させるために全力を尽くすべき存在なのだから、健康に留意するのは当然。

経営者はみんなから見られていることを意識しないといけない。経営者は、良い意味で影響を与えられるようにしないといけない。

脱皮しないとヘビは死ぬ。根っこは変えないけど、葉っぱは変える。

社内にも後継者候補はおるよ。数人。大事なのは、会社に変化を起こせる人、会社を大きくしようという強い意志を持った人。

創業者が引退したら成長のスピードは必ず遅くなる。だから行けるところまで行く。

大きな目標は、「大ボラ」から始まって「中ボラ」「小ボラ」にして「夢」にするのが僕のやり方。夢とは、自分の中では実現可能性がかなり高い段階。

トップに必要なのは「泣かない」「言い訳しない」「他責にしない」。

心構えはすぐには変わらんよ。「千回言行」と呼ぶんだけど、要は千回言う。飽き飽きして辞めていく連中もいれば、理解してくれる人もいる。

昔は築城3年、落城1日。いまは築城3年、落城3時間。

危機ほど楽しいものはない。困難と出合うたびにそう思う。克服することで、会社がますます強くなるからだ。

どのようなビジネスも永遠に成長することはなく、いつか必ずピークアウトする。したがって、新しいビジネスが軌道に乗ったら、その瞬間に次の転進先を想定し準備に入るのが望ましい。

「いまのような順境は絶対に続かない」この感覚が私たちの中にはある。伸びるときがあれば縮むときがある。縮んだときに、どれくらい持ちこたえられるかが企業の命運を左右する。

年齢は関係ない。会社に対して、燃えるような情熱があればいい。

創業家と企業が手を携えてやっていくにはいくつか大事なことがあると思う。最も大事なことは、共に志を持つことだ。

学ぶ機会、場所はどこにでもある。起きていることをボヤッと見過ごしてはダメだ。その裏に何があるのか、どうしてそうなるのかをいつも考えることが必要だ。

分からなければ、さらに学ぶ。その繰り返しだ。

柳井さん、ゴルフなんか時間の無駄だからやっちゃ駄目だ。土日も仕事しなさい。
【覚え書き|ファーストリテイリング柳井正会長への言葉】

脱皮しない蛇が死ぬのと同じ。いつまでも1つの事業にしがみついていたら駄目。ある事業が儲かっていても、いつまでもこの事業は続かないと思って、新しい分野に出て行くことが必要。

まだ今から落ちるかもしれないというピークに近いところでビジネスモデルを転換するのが一番良い。

創業当初、私は生き残るために他社が敬遠するような難しい仕事ばかり取ってきた。

私は毎日、手帳にやるべきことをすべて書き出した紙を挟み込み、そのすべてが終わるまで帰らないようにしています。

私は「一番以外はビリだ」と思って生きてきました。二番でもいいなんて言う考え方は駄目です。それから、異端者を評価しない会社も問題です。ちょっと変わった人間が世の中にないものを生み出している。

僕は会社の業績というのは80%が社長だと思っとるんです。その他、会社が持っている技術力から何から、ありとあらゆるものを全部足しても20%だということです。

小さなことをないがしろにする行為に対しては、徹底的に叱責するという風土を根付かせています。

大きな変化は、大きなビジネスチャンスを連れてくる。

経営には先読みと、ときには時間をカネで買うような決断が不可欠です。

人減らしをして固定費を削れば短期的には回復も早まるでしょう。しかし、一度首切りをすれば従業員の心に傷が残ります。次の好況期、会社に対する求心力がどれだけ働くでしょうか。

ハーバードビジネススクールを出たから立派な経営者になるかというと、そうではないんですね。そういうところでは学べないこともたくさんあるんです。

私は一時、「NIDEC(日本電産)ブランドの電気自動車をつくる」と公言していましたが、この計画は撤回したい。一兆円レベルの完成車メーカーをつくるより、全メーカーに車載モーターを提供する方がビジネスになるからです。

いまはグローバル化の時代です。世界が相手である以上、お上の言いつけに従っていれば間違いない、という昔ながらの意識で戦ってはいけません。日本人は口癖のように「政府が悪い」「社会が悪い」「親が悪い」といいますが、自分の努力で道を開くという気概がなくてどうするのか。日本人は依存心をなくし、独立心を持たなければなりません。

09年、日本電産は家電や自動車の技術者を中心に例年の3倍にあたる300人を中途採用しました。新卒ではなく中途採用に力を入れるのは、即戦力が不足しているからです。他社が人減らしをしている時期だけに、採用側には非常にいいタイミングだと思っています。また、新卒であれ中途であれ、採用時に重視するのは「世界中のどこへ行っても活躍できる人材か否か」です。

私なりに整理してみると、今後伸びていくのは「省エネ」「エコ」「軽薄短小」「ハーフプライス」の4つのテーマいずれかを満たすものでしょう。逆に、これらのテーマを裏返した(エネルギーをたくさん使う、地球環境に悪影響をもたらす、重圧長大、値段が高い)ものは廃れていくでしょう。別の言い方をすれば、浪費、無駄遣いが徹底的に嫌われる世の中になってくるのです。

変わってほしくない立場にある人は、変化のスピードをどうしても甘めに評価します。ここは注意して見ておかなければなりません。デジタルカメラが出始めたころ、大手フィルムメーカーのトップは「デジタルがフィルムと置き換わるには10年かかる」と公言していました。しかし、実際には3年くらいしかかかりませんでした。

現場従業員の気持ちをつかまなければ、メーカーは絶対に強くなれません。だから現地語の習得が不可欠なのです。望ましいのは日本人社員が現地語をマスターすることです。それが無理なら、相手国から日本への留学生を採用してオペレーションにあたらせます。このことは絶対に疎かにできないと思っています。

最近の若手は海外勤務を嫌がらず、むしろ心待ちにしているようなのです。彼らの姿に接し、私は日本電産が将来ますます強い会社になると確信しています。もっとも、日本全体を眺めると、こうしたアグレッシブさはずいぶん薄まってきているように思われます。この意識を変えなければ、急激な国力の低下は押しとどめようがないでしょう。

貧しい農家で育っただけに、私は社員の誰よりも人の苦しみを知っています。一般の従業員がどれだけ解雇を心配しているかもよくわかります。だから、そんな恐ろしいことを私は絶対にしません。堀を埋められ城壁を壊されても、雇用だけは守り抜きます。当社にとって雇用は「天守閣」なのです。

生き残るための大前提は、生産性を上げることです。いまの日本企業は残業体質に陥っています。生産性の低い人ほど長時間残業しているので収入が多いというのはおかしな話です。フランスの会社(ヴァレオ)を買収してみて驚きました。5時過ぎに会社を訪ねると、従業員はみんな退社していました。彼らは時間ではなく成果で評価されます。だから定時に帰り、家族で夕食をとったあと、持ち越した仕事があれば自分の部屋で片付けるそうです。

私はこれまで「赤字は罪悪」と公言してきましたが、今回の不況で赤字はさらに深刻な意味を持ち始めました。倒産の引き金と断言してもいいと思います。実際、昨年の大型倒産のなかには、決算は黒字でもキャッシュフローが赤字になり、資金繰りがつかずに破たんした実例があります。

仕事を離れても無駄なことは一切しません。経営に集中するために45歳で酒はやめました。ゴルフや囲碁など時間のかかる趣味もあえて遠ざけています。そのかわり、健康維持のために週4万5000歩以上必ず歩きます。そして、目覚めたらすぐフル稼働できるように、夜12時から12時半には床に就き、熟睡します。

ウィークデー以上に集中力を発揮できるのは休日です。土曜日は役員会の日と決めているので、電話も来客もない午前中はとくに貴重です。長時間かけて、社内情報や講演などの原稿を書きます。

午前中は頭脳の働きが冴えているので、稟議書などの書類を読み込んだり、難しい文書を作成したりという仕事にあてています。集中力が落ちてくる午後には、人と会って刺激を受けます。それが4時半までです。5時を過ぎると再び集中力が高まってくるので、またデスクワークに専念します。退社時間は、20代のころは夜12時と決めていましたが、60代のいまは8時に切り上げています。

私は欧米流の経営よりも終身雇用・年功序列の日本的経営の方が優れていると思いますが、こと生産性に関しては、欧米のやり方を参考にしてもいいのではないかと思います。

世界経済に大嵐が吹いている。そのなかで経営のかじ取りをしていくには、何をおいても気力の充実が必要です。そして気力を支えるのは体力です。私は以前から気力、体力を維持するために規則正しい生活を心がけています。

私の教育は「叱って育てる」スタイルです。部下にメールを送るときも、褒めるよりも叱るケースが圧倒的に多いです。しかし、叱られるのは、その人が積極的にチャレンジしている証拠です。社内では「社長に叱られるほど偉い」というイメージが出来上がっています。

息子にはよく「携帯情報端末を使えばいいじゃないか」と言われますが、私はあえて手帳とメモだけは手書きにこだわっています。文字を書くという行為には記憶に定着させ、次の発想を呼び起こす効果があるからです。

「感情的に部下を叱ってはいけない」と教える人がいるようですが、それはおかしい。感情がこもっているからこそ、こちらの熱意が伝わります。もちろん褒めるときも同じです。

最も大切なことは、メール本文は簡潔に、感情をこめて書くということです。海外から英文の手紙をもらうたびに実感しますが、トップからの手紙はわりあい簡単に理解できるのに、スタッフ任せの手紙を読むときは英和辞典を手放せません。つまり優秀な人ほど平易な単語や言い回しを使い、簡潔に表現することができるのです。この事情は洋の東西を問いません。

同じ相手に複数の用件を伝えるときは、内容ごとにメールを分割するようにしています。連続3から5本送ることも珍しくありません。手紙を書くときも、用件は一本につき「3つまで」と決めています。たくさん詰め込んでも覚えきれないと思うからです。

僕らは売りたくない客には売りません。客も仕入先も選ぶ。選んで、自分たちのひとつのベクトルに合ったところに会社を持っていく。それが私企業のあり方だと思うんです。こういう業者とはもう取引しないとか、そういう経営方針は明確に持っています。

日本人は農耕民族なんです。農耕民族の最大の欠点は、緊張感がないと怠けることです。経営者に一定の緊張感を与えるためには普通株しかない。農耕民族は緊張感をなくすと、田植えもしないで昼間から寝るようになる。だからといって、日本の社会の中に狩猟民族の考えを持ってきたら、今度はみんな恐れてぜんぜん働かなくなる。だから日本の場合は、安心感と同時に適度な緊張感が必要だと思います。

僕の場合、目標を達成できると思うから自社の株をたくさん持って、さらに買い増ししています。だから投資家に対しても「あなた何株持ってるの?私はあなたの10倍持ってる。あなたが損する場合は、私はもっと大損する」と言える。これが一番説得力があります。

立派な会社の社長さんが、海外の投資家説明会に出たときに「あなたはどうして株を持っていないのか」と聞かれる。その社長はほとんど株を持っていないんです。買わないのはなぜかといえば、いまこの場ではバラ色の見通しを述べているけれど、本当は達成できないと思っている。そう判断されても仕方ないですよ。

一番時間がかかるのは技術の蓄積だから、技術力のある会社を選んで買わないかんとは思っています。そのほかのところならどんな問題があっても、解決できると思って買っています。

経営の素質は、ある程度は持って生まれたものなんです。トレーニングで変わる部分は半分以下ですよ。

僕が買収する会社は何期も赤字が続いているような会社です。普通ならその経営者は辞めさせられます。でも、僕はそんな考えはまったくありません。しょせん、誰にやらせても一緒なんです。むしろ、いままでずっとそこにいて、失敗してきた人の方がまだ改革しやすいと思っています。残ってくれた人に対しては、辞めてくれとは言いません。私どもと同じ考え方へ意識を変えてもらいさえすればいいんですよ。これまで瀕死の会社を20数社譲ってもらって、全部優良企業に変わったのは、その意識改革があったからです。

アメリカやヨーロッパでも、本当にうまくいっているM&Aは、そこそこ雇用を守っているんです。敵対的買収がすべて悪いとは思いませんが、それが長い目で見て企業価値を上げることになるのかは疑問です。

(日本電産が買収した)三協精機は、もともと600人辞めさせることが前提の再建計画でした。僕はひとりも切らずに、逆に3年間100人ずつ採用した。それで、閉めると言ってた工場がいま一番儲かってるんだから。従業員に一生懸命に働いてもらって、そのぶんのペイ(報酬・給料)はちゃんと払って大事にすることが、結果的には株主にとっても利益になるわけです。

リターンを早く求めたいからすぐ首を切る、資産を売却する。そうすることで企業価値は確かに上がるかもしらんけど、多くの従業員の生活が犠牲になる。従業員の首を切ってまで利益を上げなくてはならなかったら、僕は辞めます。

日本では嫌な相手に買収されるくらいなら、月給を倍にしてくれても辞めますと言う人もいる。会社のオーナーが誰かということは極めて大事なことなんです。もちろん、会社は誰のものかといったら、本来は株主のものです。ところが従業員が辞めていなくなってしまったら、会社の存続が危うくなる。日本人の国民性が変わるなら、企業買収のあり方も変わってくるでしょう。

最近はそこそこの企業に対して敵対的買収をしかけるのが流行りのようになっています。しかし、ああいう手法で成功する確率は、日本においては限りなくゼロに近いと僕は思うんです。というのは、日本人は農耕民族です。昔から近所の農家同士が、人手や農機具を融通しあいながら米や野菜をつくってきた。弱肉強食の狩猟民族の論理とは違うわけです。

ここに5個だけつくる製品サンプルの設計図があるとします。そこにちょっとしたミスでもあれば、私はそのミスを指摘して技術の担当者を徹底的に叱りつけます。こんなとき、たいてい本人は不満そうな顔をします。それでも、私はこんなことが2度とないようにしつこく厳重に注意を与えます。これで会社が損をしたとしても、たかが5万円程度のものでしょう。だからこそ、私はこれ以上がないほど叱るのです。

持って生まれた優れた長所を伸ばす教育をしなければ、リーダーは育たない。闘争心、競争心を潰すような教育をしてはいけません。たとえば小学校の運動会の徒競走で全員が一直線に並んでゴールのテープを切るような勝ち負けのない競争はおかしい。

各国の若者に人生の目標は何かと質問した調査結果で日本の6割の若者が「人生を楽しみたい」と言って競争を放棄しているわけだから、ちょっと頑張ればすぐにトップになれる。世の中にないものを発想できる異端者も出やすい。そう考えるとこんなに明るい時代はない。

各国の若者に人生の目標は何かと質問した調査結果を見て、私は愕然としました。アメリカの若者は「高い地位を得たい」「偉くなりたい」を上位に上げているのに対して、日本の若者の6割が「人生を楽しみたい」をトップに挙げている。私たちが社会に出たころは、もっと競争心があったし、向上心もありました。しかし、悲観してばかりいないでこれをチャンスととらえることだと私は強調したい。

100人中80人の人が他人の擦ったマッチで燃えられる人です。マッチを持ってもいないし、誰かが燃えても自分は燃えられない人が100人中17人くらいいます。マッチを持っている人はどんどんマッチを擦り、檄を飛ばし、人を燃えさせなければならない。せっかく手中にあるマッチも、ポケットに入れたままにしておいては、湿って使い物にならなくなってしまいます。

人間は3つのタイプに分かれていると思う。自分でマッチを擦って火をつけられる人。マッチは持っていないけれど、人が擦ったマッチで燃えられる人、マッチを擦られても燃えない人です。自分でマッチを持っていて自分で燃えることのできる人は100人中3人くらいしかいない。

当社では始業時に全員で数分、社内の掃除をしている。細かいことを言えば、これも給料の一部だから、清掃会社に頼んだ方が安い。それでもやるのは、職場を自分で整理整頓すれば、無駄の発見にもつながるし、事務用品や向上の治具(じぐ)にしても効率のいい置き方とは何かを分かってもらいたいからだ。だから、ただ掃除をするのではなく、なぜ掃除をするのかを説明する。それも、一度理解してもらったらそれでよしではない。毎日それをやっていく。いったん頭で分かっても、それが行動になるには時間がかかるからだ。

私はいまの若者には、彼らに適した教育方法があるように思う。ひとつは理詰めで理解してもらうこと。もうひとつは日常の中に教育の仕組みを埋め込むこと。

知識や知見が重要なのは言うまでもない。だが、それだけでは企業の強みにはならない。知識や知見は、企業固有の理念、行動原理と一体となってこそ強さになる。

以前はそれほど優秀な人材が集まらなかったので、倍働いて時間で勝負していました。しかし今は優秀な人材が入ってくるので、今度は生産性を上げていきます。残業ゼロばかりが注目されますが、残業ゼロは手段であって、あくまで目的は「生産性2倍」なのです。

生産性向上の運動を始めて1年半ほどで残業は半分ほど減った。かなり無駄なこともやっていましたから、半分は減る。しかし半分からゼロにするには少し時間をかけないといけない。いろんな投資もしていかなければいけない。

本体だけでなく、グループ会社のトップも含め、ロングタームで育成していかなければいけない。100年先まで伸びている会社をつくろうと思ったら、20年先ぐらいまでの人材が揃っていないと駄目。

残業ゼロのほうが、社員にとって厳しいですよ。5時半で終わらないといけないので、時間内に仕事ができる優秀な人が勝ちます。残業ゼロ体制は弱者にとって厳しいです。ですから体制の変更は時間をかけてやらないといけません。

グローバル化の時代、経営者は「外に目を向けよ」と常に言われる。しかし、私は、経営者は一方の目で外を見ても、もう片方の目では同時に内(社内)を見ていないといけないと思う。

人生のゴールは人それぞれで、豊かな生活や成功を望まないのであれば、それはそれでいい。ただ、後から文句は言ってはいけない。今、周りの同世代を見渡すと、努力しなかったことを後悔する人はたくさんいます。しかし、「こんなに頑張ってきたのに」と、悔いる人はほとんどいない。

日本型の評価システムは転換期に来ていますね。欧米では組織管理する「マネジャーコース」だけでなく、専門性を追求する「プレーヤーコース」がキャリアの選択肢になっていて、給与格差も日本ほどない。「出世=管理職になること」という給与体系を変えることも、生産性向上に関わることです。

若い時にしっかりと自分と向き合い、長い人生のキャリアプランを立てるべし。「満足できる人生とはどんな人生なのか」を明確に描き、それを実現させるための計画をきちんと立てる。そして、自分で選んだ道には責任を持ってほしい。

「若い頃にいろいろなことを経験させてから、専門性を深める」という考え方が日本には根強いようですが、私は逆がいいと思っている。まず深掘りしてから、広げていく。海外ではそれが主流です。私自身も20代は、ひたすらモーターの研究開発に没頭し、それが今の発展の礎となった。

若い時はなりふり構わず一生懸命働いてもいいと、私は思う。そう言うとまた「ブラックだ」なんて言われそうですが、「一生懸命に」働くことはそんなに悪いことではない。自分のやりたいことを見極めて、自分の力が伸びると感じられる環境には、給与の額など気にせず身を置いて、一直線に頑張ってほしい。

残業ゼロでできた時間は、自宅にトレーニングジムを作ったので、そこで体を鍛えています。食事を取った後に運動してから床に入ると、実によく眠れる。朝起きると、頭の中が冴えています。午前中の仕事の能率が格段に上がる。

残業ゼロについて従業員にアイデアを募集したところ、800通を超える意見が集まった。これまで行った意見募集の中で、最も反響が大きかった。素晴らしいアイデアには表彰をし、実現可能な改革はすぐに実行することも決めた。

初めに着手したのが私自身の「CEO改革」だった。従業員の声を集めた時に目立ったのが「上司が帰らないから自分も帰れない」という不満でした。私はこの会社のトップですから、率先して早く帰らないといけない。帰宅してから部下に指示メールを送ることも、緊急時以外はやめました。

当社が目指すのは残業ゼロではない。残業ゼロは「手段」であり、目的は「生産性を世界のトップレベルまで高めること」だ。その結果、競争力が高まれば、利益が増える。利益が増えれば、給料もボーナスも上がる。むしろ、従業員の収入は上がる。残業代で稼げる額の比ではない。

「目標1兆円と言ってその半分しか達成できませんでした」というのと、「千億円が目標と言ってそのとおり達成しました」というのでは前者のほうがいいに決まっている。小さくまとまるな。

失敗も大変貴重な経験。私もたくさんの失敗してきています。会社が潰れるほどではなかったですが、それに近い経験はしています。そういう経験者が次にやるから強い会社ができるわけであって、失敗した人を干して終わりみたいな社会は良くない。

米国では失敗してもまだチャンスは何度もあるわけですが、日本の場合は一度失敗するとほとんど終わり。これが日本でプロの経営者の育成を遅らせている要因。

学生は、情報技術やソフトウエアなど華やかな分野に行きたがるものです。だからだんだん大学からモーターの講座がなくなってきています。しかし華々しいところが必ずしも良いわけではない。私が今やっていることは100年後も残っていると確信しています。

今でも当社は分散していない、必ず同じ方向に向かっています。ただし、応用製品などモーターに関連する商品は広げていく。あくまで基本はモーターで、1兆円企業になるところまで来ました。多角化は必要ありません。今後もモーターのマーケットはどんどん広がっていきます。

起業当時、日本の場合は、最初にどんな製品かを間きません。私の歳がいくつだとか、会社が創業何年目だとか、資本金がいくらとか、従業員は何人かとか、そういうことしか聞きませんでした。その時点でビジネスになりませんでした。しかし米国の場合は、どういうメリットを自分に与えてくれるのかということしか聞きません。当時から既に米国はベンチャーの盛んな国でしたから、日本のベンチャーということで、良い製品を持って行けば、受け入れてくれました。

ビジネスを展開するにあたって、まず米国に出かけていきました。最初の顧客はみんな米国の会社で、米国で成功してから日本に来ました。日本の会社は、小さな会社はなかなか相手にしてくれません。米国で成功してから、日本の会社が付き合ってくれるようになりました。

起業の時に考えたのは、どうしたら今から勝てるかということでした。大会社と比べて、ヒト、モノ、カネのどれをとっても勝てるものはありませんでしたが、1つだけ平等なものがありました。それは1日24時間ということ。時間だけは平等でした。それなら普通の会社が1日8時間しか働かないところを我々は倍働こうということです。それで競争相手の半分の納期を実現しました。

私は小学校の理科の授業で、キットのモーターを作らせる時間がありました。クラスごとにモーターを作らせて、よく回るモーターを競っていて、私は一番になりました。普段は私のことを褒めない先生がものすごく褒めてくれました。それは動機づけとしては強烈で、モーターに関心を持つようになりました。将来は是非、モーターの技術者になりたいと考え、高校、大学と進む過程で、一貫してモーターを研究しました。

井戸は次々とくみ上げないと新しい水が湧いてこない。経営の改革・改善のためのアイデアも同じです。くみ上げ続けると必ず、出続ける。これだけアイデアを出したからもう終わりということはなく、くみ続けることが大事です。

利益を上げれば次の投資や開発につながるから顧客のためになるし、最後は自分たちの給料にも跳ね返る。そのためにも、ムダはなくさないといけない。ムダは悪だというくらいの気構えが必要です。

叱り8割、褒め2割。場合によっては9対1。褒めて育てるみたいな本を書いた人がいるけれど全部ウソ。僕は、震えるほど叱る。叱るけれど、厳しく叱ったら抱か(フォローし)ないといかん。子供はなぜ父親より母親の方が好きなのかというと、母親は怒る時はバシッと言うけれど、抱きもする。おやじは帰ってきて、ガタガタ言うだけで、抱かない。やっぱり抱かないといかんね。

創業者とサラリーマン経営者の違いは、「この会社を何とかしないといかん」という理念とか、職業観のようなものかもしれない。サラリーマン経営者の中にも、立派な経営者もおられるから全部がそうとは言いません。でも創業者には、自分の出世のためという思いはない。「世の中はこうなる」「こう変わっていく」「だからこれをやりたい」という強い思いだけがある。

創業者は臆病なんです。僕なんか昔からそう。三協精機を買収した時も、最初は40%しか出資しなかった。大赤字でしたからね。その後45%、50%と増やして最後は100%にした。株価が安かった時になぜ完全買収しなかったのかという人がいるけど、それは結果論であって、再建できなかったら日本電産本体もなくなってしまう。

家計簿経営は、収入に見合った生活をするという、家庭の主婦がやっているのと同じです。不景気が来て旦那の給料が減ったら、晩酌でビールを2本飲んでいたのを1本にしてもらって、支出を減らす。でも子供の教育とか、家を持つといった将来の備えや資産形成は苦しくても頑張る。経費を収入の範囲内に収めつつ、投資にも目を配る。これが家計簿経営。

創業者の発想から言えば、会社は絶対に潰してはいけないという思いが非常に強い。自分で作った会社ですから、潰れるようなリスクには近寄らない。ここまでなら潰れないという一線がありますわな。ギリギリまでは行くけれどそれ以上は近づかない。

京都には創業者が多いけれど、ちょっと変わったのばかりですよ(笑)。京都の創業者が集まると、お互いに「あんた変わっている」と言い合うことになるんだけれど(笑)、皆自分で考えた「こういう時代が来る」という将来を信じて疑わない。一方で、足元では家計簿経営のような細かいことを徹底する。

私は創業した時に、経理の専門学校に夜通った。技術者出身だが、経理・財務が分からなければ経営はできないと思ったからだ。だから今でも会計の仕訳はできるし、資金繰りの試算表も作れる。キャッシュがどう動いているかは体感で分かると言ってもいい。

業績が悪化する企業に共通していることは、危機感のなさです。大赤字を出していても、タクシーチケットが使い放題だったり、部長クラスでも新幹線のグリーン車に乗っていたりする。それがどれだけ問題か。

いまのところ10兆円は大ぼら(笑)。でも実現したい気持ちで言っているから、嘘ではない。
【覚え書き|10年後売上高10兆円という目標について】

私たちはずっと長い間、土曜も日曜も休まずに働いてきた。なぜそんなことができたかと言えば、一言で言って非常に楽しかったからだ。自分たちが働くことで、製品が売れてお客さんに喜んでもらえ、どんどん会社が成長していった。そのやりがいや満足感を何度も味わいたいから、どんなハードワークも苦にならなかった。

欧米と違い日本に残業が多い理由には、「上司が帰らないうちは、部下が先に帰れない」といった日本社会特有の意識がある。そういった悪しき「ツレ残業」をなくすためには、率先して上司が定時になったら帰るという空気を醸成する必要がある。

生産性を欧米トップレベル並みの今の2倍に高めれば、残業をする必要性はなくなるだろう。第一の目的は「生産性を倍にすること」。「残業ゼロ」はその結果にすぎない。生産性を上げず残業をやめれば、企業はつぶれてしまう。

今は毎日、自宅のトレーニングジムで汗を流している。運動してから早めに寝ると、朝起きたときにすこぶる爽快で、仕事の能率が違う。残業をしなくなったことで、私自身の生産性も向上した。

労働問題について報じるマスコミの中には、ハードワークを社風とする会社を「ブラック企業」などと言って一方的に叩く風潮がある。だが、これから会社を大きくしようと頑張っているベンチャー企業が「残業ゼロ」を打ち出したとして、いったいそれで勝ち残れるだろうか。

教育の現場では、とかく偏差値で人を区別しようとしますが、それではダメです。その分野にふさわしい人材を育成する教育でなくては。何かが生み出される背景には、基礎研究もあれば、設計開発もあるし、生産技術だってあります。そこに東大卒、京大卒の人材ばかり置いたって、世の中は回らないのです。それぞれの場に適した人材にいてもらわないといけません。

最近は我が社にも一流大学卒の人がたくさん入社しますが、さっぱり新製品が出てこない。偏差値なんか無視した大学を新しくつくって、そこから人材を採ろうかという笑い話が出ているくらいです。本当に頭のいい人は別として、子供の頃からガンガン受験勉強させられ、大学に入る頃にはエネルギーを使い切っている人より、田舎でのんびり育った人のほうが、まだ潜在能力が残っていますよ。

パソコンがあれほど薄くなったのは、薄いモーターや小さな部品を開発できたからですよ。たかが部品と言いますが、部品がなかったら物なんてできません。華々しい技術の裏には、必ずハード面の進化があります。薄いもの、軽いものを生み出すものづくりの世界では、皆さんが考えている以上の技術革新が起こっている。そういう意味では、明るい将来が見えていますよ。

もう世界を見据えないと会社の将来はありません。そして、やるからには世界トップを目指します。国体やアジア大会でなく、目標はオリンピックの金メダルですよ。

M&Aでは自分の人生観、生き様、会社の理念などを共鳴できる人物がいるかどうかが大きな鍵です。過去のM&Aが成功したのはそこに人材を得たからです。

M&Aで大事なのは、高い買い物をしないことです。失敗の多くはこれ。当社では独自の評価基準があるので、どんないい会社でも金額の上限があり、それ以上なら買いません。

M&Aをするときに絶対に必要なのは技術があるかどうかです。技術とは蓄積なのでどうしても最低、10年はかかります。建物や設備はお金を掛ければできますし、社員の意識改革も1年あれば十分です。大事なのはやはり技術ですね。

特別なことは何もありません。当たり前にやるべきことを、やっただけです。例えば「怠ける、休む、モノを高く買う、工場が汚い……」ということを全部、改めただけです。
【覚え書き|赤字が続いていた三洋精密を買収し、1年で黒字化したことについて】

企業の経営者は、赤字になっても自分のせいではないと思っている人が多いのではないか。理由を挙げたらキリがない。でもそんな言い訳をしたり政府にモノ申しても何の解決にもなりません。大企業ならいいかもしれませんが、中小企業なら潰れてしまいます。

こんな世の中だからこそ一番大きな夢の根っこが出てくる。私も第一次オイルショックの時に起業した。一番世の中が混乱しているときに、ソニーやホンダも戦後の混乱期に出てきた。全てそうです。日本を代表する会社が出てきたのは日本が混乱しているとき。世界が混乱している今こそが起業のチャンスです。

最初は10の困難がやってくる。それを乗り切れば次は20の困難を乗り切れる。次は30はいけます。何にも経験していないと分からない。だからやっぱり強くなるには挫折が必要です。

叱るときは相手を見てやらないといけない。相手によって叱り方も変える。人の叱り方には1万種類あります。手段や場所も考える。面と向かってなのか、メールやメモでなのか、場所も会社でなのか飲み屋でなのか。ただメールは相手の顔が見えないから限度がありますね。

叱るときはアフターケアが重要です。まずは一旦は落ち込ませる、叩きのめす。それから今度は戻してやる。その繰り返しです。

合理的な叱り方が必要です。何故叱られているのか本人が分からなければなりません。

定着率が高いことがいいわけではない。競争原理を働かせて負けた人間は去っていく。それくらいでないと人は育ちません。時には落とすことも必要です。それが強い人間を育てることになります。全部温存しては周りも小さい人間になってしまいます。

自分たちが社会に貢献していると思わせる仕事をさせること。自分の会社がなければ社会は困ると思うと、やりがいを感じる。そうすれば少々仕事が厳しくても辞めないでしょう。

世の中の人気企業ランキングを意識してはいけません。ハードワーキングなこと、嫌なところも全て話しています。それでもこの会社に入りたいという人だけ集める。ベクトルの合う人を探すことが大切です。

一方的に買収するM&Aは成功しません。

この3つを守ればM&Aは成功します。1つは自分の専門用語が通じるところしか買わない。2つ目は社風の合う企業しか買わない。3つ目は現在やっている事業とシナジーが持てる企業しか買わない。

会社を買収するときは自分の会社の本業をより強くしていける会社を買います。一番良いのはもちろん同業者です。競争相手を買うのが一番良いですね。その次に自社が持っていない技術を持っている会社を買います。

私は欲しい会社しか要りません。ただ単に儲かっているから、会社の規模が大きいからという理由だけでは買収先を選びません。

買収した3社の100年企業を調べたところ、目先の数値に惑わされず、節々で必要な手を打っている。つまり開発投資や人的投資を怠らず、事業の盛衰を見越して「次の事業」を育てている。その繰り返しで、長く会社を繁栄させてきたのだ。

研究開発だけではなく、採用、人材育成など、目先の景況感で削ってはいけないロングスパンの投資はほかにもある。これらを簡単に削れば、将来の成長に必ずマイナスとなる。

将来を見据えて95年から車載用モーターの研究を始めた。研究開発費として、すでに1000億円以上を投じている。すぐに成果につながらないという意味では、無駄だといわれかねない投資だろう。だが、そうした基礎がなければ、今後急速に伸びていく車載市場で、まともに勝負をすることは難しかったに違いない。

100年先も生き残る企業とは、堅牢な高層ビルのようなものである。それを建設するには、相応のしっかりとした幅広の基礎をつくらねばならない。仮に基礎をおろそかにし、上に伸ばすことだけを急いだとしたら、結局は脆弱なペンシル・ビルになり、うっかりすると大嵐でぽきんと折れてしまうかもしれない。

この2年のうちに、私たちは100年以上の社歴を持つ海外企業を3社買収した。国内でM&Aの対象になるのは、本業が行き詰まった会社と決まっていた。しかし海外では事情か違い、3社はいずれも、ブランドと販路と技術とをあわせ持つ優良企業だ。なぜ100年以上も続くのか。現地へ赴き、内部の人と会い、そのことを考え続けた。「あわててはいけない」これがそのときに得た結論だ。目先の株価、目先の利益に惑わされず、将来を見据え、必要な投資を粛々とやっていくこと。長期的にバランスのとれた発展をするには、そのことが何よりも大切なのだと気づかされた。

進出先はすでに30カ国に及んでいる。特定国に集中しないのは、カントリーリスクを分散するためだ。2年先、長くても5年先までなら、どの国に工場を置けば有利かを予測することはできるだろう。しかし10年先、20年先となると、不確実性がぐっと高まり、どの国が有利でどの国が危険かを言い当てることはまずできない。

ここへきて、iPadなどHDDを内蔵していないタブレット型PCが急激に売れ行きを伸ばし、従来型PCのシェアを奪っている。もし日本電産の事業構造がいまなおハードディスクドライブ用精密小型モーターの「一本柱」のままなら、業績の落ち込みは深刻だったに違いない。PC以外に家電・商業・産業用、車載、その他の三本柱が育ってきたから、こうした一時的な波乱にも耐えることができたのだ。

タバコは吸わないし、40代のころに飲酒もやめた。観光にも美食にも縁がない。正直にいうと日々の激務の中で「こんな人生でいいのか?」と自問することもなくはない。だが、一代でこれだけの規模へ会社を引っ張り上げるには、個人的な楽しみを封じてでも、必死に働きつづける必要があったのだ。

今まで非常に良かった精密モーターの分野が少し停滞し、次の新しい事業を始めた時にはまだ芽が出ていなくて、非常にコスト負担が厳しく、成長が鈍化した。この3年間は「日本電産の成長も終わりか?」みたいなことも書かれたりしたが、その間に我々はきちんと次の成長基盤の構築をやってきた。

日本の企業は、構造改革を時間をかけてダラダラとやるから、毎年やるはめになる。我々はそれを一発でやる。人間の病気も一緒で、漢方薬だけに頼ると時間がかかるが、悪い部分は切除したほうが治りは早い。我々は一度にやり切るから、完全にV字回復できる。1年我慢すれば結果は出ると思ってやったし、実際に業績も最高益まで一気に持っていっている。

企業は社員を教育し、きちんと役割を与えてやらせる。任せるけど、常に経営者・管理職とコミュニケーションを取って任せきりにはしないことが大切です。

中央モーター基礎技術研究所の開設を計画したときに知り合いの大企業経営者21人に「御社の中央研究所をどう思っているか」と聞いて回りました。すると、18人もの経営者が「カネばかり使って効果がない」「研究者は好きなことばかりやっている」と嘆くのです。でも、よく話を聞いているうちに気がつきました。中央研究所も「経営」しなければいけないのだと。研究所の成果が上がらないという企業は、研究者を学歴だけで採用して、大まかな担当だけ決めてあとは放任しているのではないでしょうか。それでは駄目です。

働けば失敗することもある。上手くいくこともある。しかし、仕事ができるようになり、企業に貢献している実感が持てるようになれば面白くなる。それが次の頑張りにつながる。

当社は若くても意欲のある人には、どんどん仕事を任せ、昇進させる世にしている。もちろん上手くいかなければ降格することもある。挑戦は責任と表裏の関係だからだ。でも、手を挙げれば何度でも挑戦できるから、一度降格しても復活する人はたくさんいる。

意欲の高い社員を増やすための採用戦略のひとつは、採用の段階で何を求めているかをはっきりと示すこと。

2人の息子のどちらかが継いだって、社内では「どうせ2代目や」なんて言われる。だから子供の時から彼らには「我が道を行くのが一番いいぞ」と言ってきて、今はそれぞれ会社を作って自分でやっている。親の背中を見ててくれたんかなぁと思いますね。

日本はもっと若い人に早くから、小さい会社の経営をやらせて、力を付けさせることが大事です。失敗したっていい。経営者を育成するプロセスがなかったら、経営のプロなんて絶対育ちませんわ。

トップに必要な資質は3つある。1つ目は社員を動かすため、自分の考えていることを伝える「訴える力」。2つ目は白か黒か、右か左かを決める「決断力」。3つ目は「絶対逃げない」こと。どんなに優秀でも逃げるやつはあかん。これらの資質は全部経験して、失敗してみないことには身に付きません。

当社が再び成長軌道に乗り始めたのは、製品の分野を創業以来のハードディスク用精密モーター一本足から、車載と家電・商業・産業用モーターへ広げることに成功したからだ。パソコン市場が成熟化しても、新たにモーターを多用し始めたクルマや家電などの分野で伸ばしている。

私は運の活かし方には公式があると思っている。その代表的な者が「先憂後楽」の精神だ。目の前にいくつもの仕事が山積みになっている。できれば明日に回してしまいたい。そこで、楽をとればやはり大きなチャンスを逃してしまうことになるだろう。

企業経営は構想力である。頭の中に絵を描いて、ジグソーパズルのようにひとつずつ埋めていく。事業を拡大したり、スクラップをしたりするときに最も駄目なのは、この「絵」もなくして、飛びつくように始めてしまうことだ。

買収した会社が自社の領域とは離れた島のように見えても、次に間をつなぐ橋のような技術を買う。あるいは自前でつくる。橋ができたら、周囲を少しずつ埋め立てていく。橋の両側を埋め立てられれば、下は内海になる。あとは水をかき出すだけで、大きな陸地、つまり広い市場を対象にした事業ができあがるというわけだ。そこまでの構想が描けなかったら、新事業に取り組んではいけない。

大事なのはコミュニケーション。無駄はどこに生まれるか、利益率の高い製品はどうやったらつくれるか。基本のところをわかってもらえば、海外企業も改革できる。

本当の意味でのCEO(経営最高責任者)が権限を持って、ストップ&ゴーを繰り返すことが必要になる。そういう経営手法がもっと日本に入ってこなければいけない。

年を取ると経験は深くなるけど、体力は落ちる。経営者にとって大事なのはバランス。せっかく、経験値が積み重なってくるのだから体力を維持できたら、これはもう最強ですよ。健康で、体力があって気力が充実していれば、夢が持てる。もっと良い会社にしよう。問題をもっと早く解決しようとね。

健康経営という言葉が普通のものになってきた。社員の健康を重視し、その維持向上を図ることが、結局は企業の生産性や効率を高めるというわけで、経営の重要事項になっている。それに比べると経営者の健康についてはあまり語られない。経営者はもっと、自分は健康を重視し、経営力を高めていることを言うべきだ。

飽くなき成長のためにも創業者ができる限り長生きしないと。会長や社長を辞めて病院に入って車椅子でもいいけれども、死んだらあかん。生きていれば、何かあったら社長を呼んで「ちょっとおまえ、最近どうなっているんだ」と言える。それだけで違うんですよ。

僕らは世の中の流れを見て常に先回りして、待ち伏せをしている。織田信長の桶狭間の戦いやね。2千の兵で2万の敵を倒したのは、準備をしっかりしたから。後発メーカーは待ち伏せじゃないと勝てない。

昔は何でも自分でやった。それは、成功事例がなくて、誰も信用してくれなかったからね。今は成功事例があるから、「ミスターナガモリの言うことをどんどんやればいい」と、やっと信用されるようになった。何でも自分でやる必要がなくなったわけですな。

海外で精神論はダメ。データを使って理詰めで教えないと。だから理解してもらえるまでに3~5年ぐらいかかるし、理解できた人だけが高い利益率を達成できる。反対に、理解できない人は自分から辞めていくけど、それを嘆いてはいかんわな。

買収した企業には、将来の夢を語るんですわ。まず利益を出して、それを投資に回して会社を大きくしましょう。そうすれば、あなた方の年俸も増えるし、人も採用できるよと。

私は日本の企業をずいぶん研究したんですけど、創業者が最後まで残っている会社が強い。名誉会長みたいな立場で口を出すのはよくないので、最後の責任は自分が持つという姿勢でいこうと思っています。

これまで50数社買いましたが、ほとんど成功していると思います。それは、「こういう会社しか買わない」という条件を決めているからなんですよ。どんなにいい話でも、条件に合わないものは絶対に買わない。

日本企業が買収に失敗する最大の理由は、買ったら終わりと思うからですね。買うまでが20%で、残り80%を会社をよくしたり、シナジー効果を出すために費やす。トップが「買ったからお前が行ってこい」では失敗します。買ってからがトップが最もエネルギーを費やさなきゃいかん段階なんです。

常に何十ものM&A案件を抱えています。この半年間で、8件を断念しました。最後は値段が合わないんですよ。買いたい買いたいだと失敗します。条件が合って、考え方が近い会社を探すのは簡単じゃないんですね。投資銀行が持ってきた条件だけでやっても、うまくいく確率はゼロに近いと思いますよ。M&Aがブームになっていますけど、そんなに高い値段で買っていいのかとよその会社を見てます。

ゼロから会社を立ち上げ、今は1兆円に向かっていますが、一番苦しかったのはゼロから10億円の間です。当時は借金したら同額の生命保険に入ったわけで、命が懸かっていました。それを思えば、これから何があってもたかが知れている。1兆円を10兆円にするのもそれほど難しくないと見ています。

私も以前から頼まれていたんですが、自分の会社を放置してよその社外役員はできないのでお断りしておったんです。ただ今回は、孫さんの大胆な経営を勉強させてもらおうかと。
【覚え書き|ソフトバンクの社外取締役を引き受けた理由について】

いまのスローガンは「100年後も成長している会社をつくろう」である。そのために何をするか。これが創業社長である私の発想の原点だ。

日本電産が大会社に成長してからも「倒産するのではないか」と心配し、子供の教育資金だけは会社の取引銀行とは別の銀行に預けていた。万一、個人保証を求められても、その分だけは手放さないで済むからだ。

ひとつの事業が上向きになり、儲けを出し始めたらそれだけで慢心してしまい、立派な家を建て、高級外車を乗り回す人がいる。ピークアウトを警戒せず、したがって新しい事業展開を怠り、余裕資金を賛沢のために使ってしまう。これは失敗する経営者のパターンである。だから私は贄沢をしない。

どの事業もいつか必ずピークアウトする。事業や商品はもとより、国家、企業、個人もすべて、どこかでピークを迎え衰退する。大きくいえばこれが私の歴史観である。

人は誰しも、自分が従事している仕事には冷静な目を向けにくい。異変や波乱があっても、それは「一時的なもので、やがて平常に戻るだろう」と思い込む。

新たな危機に見舞われたおかげで、日本電産は一層の体質強化を実現できた。これは危機の効用といってよいだろう。

2008年のリーマン・ショック。世界経済に大混乱を来し、日本電産も直後には減収減益を余儀なくされた。だが私たちはこの危機に即刻立ち向かい、早くも10年度には過去最高益を達成した。製造工程のムダ取りなどの構造改革を徹底し、会社の体質改善を進めたからだ。

円安になったのに輸出が増えない。むしろ輸入品の価格が止がって損ばかりだ。そんな円安デメリット論がまかり通っている。これを経営者が言っているとしたら全くおかしな話だ。円高の時には、強い円を使って安くモノを買い、たらふく儲けておいて、円安になったらそれができないから損だというのは、経営を放棄しているようなもの。大事なのは、通貨の変動に影響されない仕組みを常に作り続けていくことだ。

株式上場は終わりではないのです。スタート台に立っただけです。上場して、会社経営の免許を取っただけで、それからが本当の勝負だと心得るべきです。売り上げが100億円、もしくは営業利益が10億円になって初めて一人立ちです。企業家賞の基準もその辺りでしょうね。

会社を起こしたら、なり振り構わず働かないといけない。人の倍は働く。昔は10年だったのですが、今は5年間、寝食を忘れて働くことでしょう。少し利益が出ると、すぐ立派な車に乗ったりオフィスに入りたがる人が多いようですが、これはダメです。基礎体力がつくまでは余計なことを考えてはいけません。

人にはIQ(知能指数)とEQ(感情指数)がありますが、IQの差は精々5倍まで、通常は2倍ですね。ところが、EQは100倍の差があると思うのです。三流大学卒の人でもやる気があれば、一流大学の人に負けない。むしろ、やる気のある三流大学卒の方が一流大学卒より優秀な場合がよくあります。

ときには叱られて辞める社員もいます。今はそうでもないですが、昔はよく辞めましたよ。それでいいのです。しかし、私は絶対「クビだ」とは言わない。わが社では叱られる方が偉いのです。「よくやっているな」と言われる人はまだ、10ランクの一番下に近いのです。そういう文化を創ったら、会社は強くなります。

本当に社員を伸ばしたかったら、叱った方がいい。机を叩き、つばを飛ばして叱る。こっちの心が相手に伝わるように叱らなければダメです。その代わりアフターケアがいります。エネルギーは褒めるより5倍かかりますよ。かといって、むやみに叱ってもダメで、私は叱り方を10段階に分けています。大番頭をやっている創業仲間の副社長の場合、一番上のランクでそこまで言わなくてもと思われるようなことを言うことがあります。もし私が逆の立場だったら、私はとっくの昔に辞めているでしょうね(笑)。

ほとんどの社員教育関連の本は99%「褒めよ」と書いてありますが、本当に社員の能力を伸ばすには叱らないとダメですね。人を叱る場合、感情的に叱ってはならない、という意見がありますが、これはおかしい。叱る時、感情的になるのは当たり前。私は机をバンバン叩いて叱ります。社長と社員のベクトルが合ってこそ、会社は伸びるのです。ベクトルが合うまでは叱りますよ。社員をはれものに触るように扱ってはダメです。ただし、いきなり叱ってもうまく行かない。若い人も時間をかけて話せばわかるのであって、その人に合った叱り方が必要です。

若い時の過信はオーケーです。私は独立した時、「世界一のモーター会社をつくるぞ」と大ボラを吹いていました。今、思うと、自信過剰もいいところでしたが、懸命に努力するうちに、大ボラが中ボラになり、中ボラが小ボラになり、やがて実現可能な夢になりました(笑)。

日頃から社員には自分の意見を持つように訓練しています。「なぜ、Aと思うのか」と常に考える癖をつけさせています。

出来たら入社して10年以内に独立した方がいいですね。頭が固まっていないので、未来に対する希望が大きい。私は大学を出て6年目の28歳の時、独立しました。セコムの飯田さんも京セラの稲盛さんも20代で創業しています。35歳を過ぎたら、もう遅い。失敗の確率が高くなります。

強気一辺倒の人は得てして計画性や緻密さに欠ける。そんなことでビジネスを大きくできるわけがない。私は本当は自分は臆病だと思っている。臆病だから計画し、緻密にやろうとするし、強気で自分を鼓舞している。

計画しても、上手くできなくてずるずる先延ばしするようなことではダメだ。私は子供の頃から、自分で立てた計画を実行するために綿密なスケジュールを立てていた。「明日は何時に何をする、明後日はどうする……」と。当たり前のようで、そんなことをする人は滅多にいない。

夢を抱き、実現するためには4つのことが大事。「計画」「緻密さ」「徹底して学ぶこと」、そして「思い」。この4点は当たり前のことばかりだが、それを徹底する中で大きな夢が育っていく。

事業を興す上で最も大事なのは、起業家精神が体中からあふれ出るほどに旺盛なこと。果てしない夢を持って、その夢をどうしても形にしていくと思い続けていること。

破綻寸前の会社に共通するのは、小事を疎かにしている点。大きな事業案件には目を凝らす割りに、社有車の購入のような小さな投資には「まあこれはいい」と簡単に認めてしまう。しかし無駄はそういうところから社内にはびこり、やがて手に負えないほど大きくなるものだ。

社長の最大の仕事は後継者選びです。創業者が亡くなった後に良くなった会社は少ない。さすがに自分は失敗するわけにいかないので、最近はその研究を一生懸命やっています。

不景気だからとか好景気だからとか、短期的なことを考えていたら会社はいつか潰れる。人の採用についても、不景気の時でもきちんと人を採用していくことが大事。

この数年で3社ほど100年以上の歴史がある会社を買いました。実際に買ってみると、大事なことが3つあると気付きました。

  1. 長期的な視点に立つこと。
  2. ビジネスポートフォリオを絶えず変えなければいけないということ。
  3. マンネリに陥らないように頭を切り換えること。

他社は赤字になってからビジネスを転換しますが、そこへ行く前、これはもう危ないと思ったときに新しいビジネスに経営資源を移していくと、他社より早く転換できます。リストラで社員のクビも切らなくていいし、工場の生産も余っている工場をすぐに埋めることができます。

リストラにしても、ビジネスポートフォリオの転換にしても、いろいろな費用がかかります。だから本来は経営状態が良い時にやらなければいけません。

ピークアウトした事業がある一方で、上がってくる事業があるのですから、そこへ人もカネもシフトし、工場も転換していく。それは早くやったほうが良い。スパッと切り換えて、これから伸びるところをさらに伸ばしていきます。

当社では、パワハラやセクハラ、不正などおかしいと思ったことは直接、私にメールしてくるように国内外の全社員に言っている。実際、毎月、様々なメールが来る。「問題がある」と思ったら私はすぐに調べさせる。そして本当なら、即座に解決する。

元シャープ社長の片山幹雄氏を日本電産の副会長に招いたことでいろいろな見方が交錯しているようだが、理由の1つ目は、技術者であること。そして2つ目は、売上高が兆円規模の企業のトップだったこと。そして第3に、大きな挫折を経験していることだ。

「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」を社員に浸透させるのも、働き方の大転換を図るのも、基本は同じ。トップ自らが実行してこそ、組織に広がる。

何十、何百回と「できる」「できる」と言わせていると、そのうちに本当にできるような気になってくる。比叡山のお坊さんは「千日回峰行」という荒行をされますが、わが社は「千回言行」を実践しています。どんなことも千回言えばその気になって、次第にできるようになってくる。

きちんと指示したから、あとは報告を待てばいいと考えるのは甘い。上司は指示を出したあとも、「あの件はどうなった?」と部下を追い回さないといけない。上司が追い回すことによって、初めて「必ずやる」「出来るまでやる」が組織に浸透していく。

一つの仕事をやり始めたら、完了させるまでやり抜かなくてはいけない。目標の7~8割までやって満足して、ほかの仕事に移って食い散らかす人が意外と多いのですが、途中でやめたら70点、80点ではなく、0点でしかない。

最初に手をつけるのは、重要度が高い仕事。それが終わったら、次は簡単な仕事です。大学や高校の入学試験と一緒で、難しいものからやると時間が足らなくなります。たとえば簡単な問題が8個、難しい問題が2個あったら、まず8個を終わらせて、残りの時間で2個に取り組んだほうが、確実に点数が取れますね。仕事ができない人はこうした順番を間違えるから、すぐ終わる簡単な仕事まで積み残し、結果や成果を出せなくなるのです。

トップ自身が率先してすぐ動くことも重要です。私はメールの返事も速い。1日約300件受け取るメールのうち、返信が必要なものは半分の約150件。これらは読んだ瞬間にすぐに処理します。すぐに返事が返ってくるから、下も動かざるをえません。

「すぐやる」を組織に浸透させるためにまず大切なのは、社員に日々の具体的な仕事を通して理屈で納得させること。先ほど言ったように、なぜ速さが勝負を決めるのか、一秒、一分の遅れがどれだけのコストアップにつながるのかを、繰り返し社員に説明します。近ごろ私が「時間軸」と口にしない日はないし、メールで私が一番多く打っている単語も「時間軸」なのです。きっと、社員は耳にタコができていることでしょうね。

意思決定を先延ばししてはダメな理由は、ビジネスが「時間軸」の戦いに入ったからです。メーカーにとって、もはや品質がいいことは当たり前。すると残る戦いは、コストと時間軸の2つになってきます。ただし、コストは開発や生産のリードタイムを短くすれば安くなります。つまり、戦いの勝敗は時間軸によって決せられるようになっているわけです。

私の机の上には保留の箱がありません。一応未決の箱はありますが、稟議書が来たらすぐに決済するから、いつも空っぽです。毎日、膨大な量の決裁をしていますが、積み残しは一切ありません。既決の箱があれば十分に事足ります。

科学的な分析や手法はもちろん大事です。でも、世界はもっと先を行っています。科学だけではまだ足りないのです。企業経営も全く同じです。「世界で勝つ」というスピリッツをもう一度見直していいはずです。心の力と科学の力の両方を持ってこそ強くなれる。

どんな会社も、そこそこの努力をすれば10%の利益を上げられる。10%なんてとんでもないと驚かれますが、難しく考えるからいけないのです。売上が30億円あれば、10%の3億円を利益として残し、あとの27億円でやりくりすればいい。さらに27億円を千切りすれば、人件費がいくらで経費がいくらか決まってきますよね。仕入れにお金がかかりすぎていたら、それを下げればいい。売値は顧客との兼ね合いでそう簡単に変えられませんが、原価は自分のところで変えられます。このように経営していけば、無茶をしなくても利益は出せます。

「千切り経営」とは、物事を小さく切り刻むということです。大きな機械でも、小さく分解すれば運ぶことができるように、1億円の計画を実行したければ、1000万円、100万円単位にまで小さく切り刻んで考えていく。こうすることで、大きな目標を成し遂げられます。

井戸水はくみ上げて減らしてやれば、次の朝には同じ水位まで湧き出ています。つまり、水はくまないと湧いてこないのです。アイデアや改善策も同じ。どんどんくみ上げれば無限に湧き上がってくる。湧き上がってこないのは、くみ方が足りないからです。限界なんてありません。

うそとホラは何が違うのかといえば、全く成し遂げる気がないのがうそ、確率は低いけど、こうするぞ! と思って目指すのがホラです。ホラをふかないと夢にならない。いまの若者はホラをふきませんよね。だから夢がない。みんな烏合の衆になって個性がなくなるんです。

10兆円を目指すと言うと、世の中の人は「またホラをふいて」と呆れますが、1000億円から1兆円を目指すと公言した時も、人々はホラだといって信用しませんでした。でも、実現しています。

「なぜ上司からいちいち聞かなければいけないんだ。下の者が報告すべきだ」と言う人がいますが、逆です。上に行くほど御用聞きに徹しなければダメ。

会社の経営も家計のやりくりと全く同じことです。収入が減ったら、支出を減らせばいい。そうすれば、赤字になることは考えられません。それなのに赤字になるのは、支出を変えないからです。

その国には、その国のやり方がある。それなのに、自国のやり方で経営しようとするから失敗する。理念は同じでも、やり方は国によって変えなければならない。

日本に優秀な外国人を呼び寄せたいなら、まずシステムを変えること、そして何より、日本人を変えなければなりません。なぜ外国人が日本に定着しないかというと、様々なものが日本人の感性でつくられているからです。

買収した会社に行くと、「労働組合が強くて……」といった社員への不満が経営者から出てきます。でも、ろくにボーナスも払っていないのなら、労働組合が反発するのは当たり前。労働組合が悪いのではなく、経営者が悪いのです。

ある買収企業に行き、そこの社長に「あなた、明日から仕入れ先の上位10社を回って、値下げ交渉をしてきなさい」と伝えると、目をむいて「私の経歴をご存じですか」と言う。知ってますよ、東大を出て某銀行で活躍した後、会社経営を11年やってこられたんですよね、と返すと、「それをわかっていて、私を下請けに行かせて値下げ交渉しろと言うんですか。そんなのプライドが許しません」とおっしゃる。だから私は「これだけ株価をガタガタにしておいて、プライドなんて関係ありますか」と言いました。そしたらハッとされてね。実際に下請けに交渉に出かけてみると、それまで来たことのなかった社長が直々に来たものだから、値段が下がる下がる(笑)。おかげで、社員のクビを切ることなく、50億円の赤字が50億円の黒字に転じました。

社員にはまずい飯を食わせ、自分だけは高級幕の内を食べている。これではダメです。社員が働かない、若者に貪欲さが欠けていると言う前に、経営者が一番たるんでいることを自覚して、兜の緒を締め直すべきなのです。

グローバルとは、単に外国語ができることとは違います。食事一つとっても、外国人に対応した食事がすべて揃っていなければ、グローバルとはいえません。宗教的に牛肉や豚肉が食べられない人だっているわけですから。つまり、システムそのものがグローバルであるのが、本当のグローバル企業です。

これからグローバルに打って出ようとする企業にアドバイスしたいのは、「日本の悪しき感性は捨てろ」ということです。人事体系から給与体系から、現在日本で当然のことと考えていることを、いったんすべて忘れる。そして、グローバル社会で通用することしかやらない。

経営は、成績がよければできるものではありません。やはり「気概」とか「執念」が必要なのです。成績のよい人が成功できるなら、日本の大企業は軒並み業績がいいはずですが、そうはなっていないのが証拠です。

世界で、グローバルスタンダードで生き残っている会社は、良い人材が集まってきます。残業ばかりしていたのでは、良い人材は集まりません。ですから、働く環境をまず変えていきます。お金もかけて、スーパーコンピューターを入れ、いろんなツールも揃えて、「近代兵器」で戦わなければいけません。欧米企業の多くは、残業ゼロですから、我々も残業ゼロで戦える方法を考えないといけない。

一番いけないのは、行き当たりばったりで仕事を変え、目先の欲求を満たすために好きなこと、楽しいことばかりを選択し、結果として何も身につかずに転落していってしまうこと。最初からそういう人生を好み、選び取っているのならいいでしょう。しかし、ただ流されているようではいけない。その結果、人生の後半になって「こんなはずじゃなかった」と悔いても遅い。そうなっても、自分が選んだ道なのだから、愚痴を言ってはいけない。

70歳を越えて同級生と集まると、「永守はいいよなぁ。こんなに成功して」と言ってくる人がいますが、「冗談じゃないよ」と笑って返すんです。「若い頃、俺がトラックにモーターを積んで必死に運んでいた時、おまえは道路沿いのテニスコートで彼女と仲良くやっていたじゃないか」と。私はその頃、デートができたとしても夜中の2時(笑)。携帯電話もない時代ですから、電報で待ち合わせするような生活でした。歯を食いしばって働かずに青春を謳歌しておきながら、人生の後半まで悠々自適でありたい。それは、無理な話です。年を取った時に、大雨の中バス停でじっとバスが来るのを待つ人生を選ぶのか、黒塗りの車が迎えに来る人生を選ぶのか。それは、若い時の選択次第。

私の言うことが180度変わったので、「では、過去の永守さんのやり方は間違っていたということですか」と聞いてくる人がいますが、間違っているはずがありません。極めて正しくやってきたからこそ、1兆円企業になれたのです。1兆円企業になり、10兆円企業を目指すからこその大改革なのです。

【覚え書き|長時間労働から残業ゼロに舵を切ったことについて】

もし私が明日、ゼロから会社を立ち上げたとすれば、また1日16時間働くでしょう。ですから、誤解のないように強調しておきます。私が今始めようとしている「働き方改革」は、一定規模以上の企業だからできることです。同じことを町工場がやれば、確実に潰れます。企業の成長過程には、時間で稼がなければいけないステージと、生産性を高めて稼ぐステージが明確に分かれる。

朝方3時まで働いたことを自慢する時代は、もう終わりです。早く帰り、結果を残す人が評価される時代になるでしょう。成果主義という言葉はあまり好きではありませんが、「結果責任」がこれまで以上に重視され、評価に結びつく時代になっていくと思います。ですから、働き方改革は決して甘いものではありません。「17時半」で勝負がついて、延長戦はない。「真に厳しい競争社会」になっていきますから、力をつけていない人はつらいでしょう。

残業時間削減で浮いた人件費の使い道は、明確に打ち出しています。半分はボーナスという形での「社員への還元」。もう半分は「教育投資」。本社敷地に隣接する場所に新設した大規模研修施設が、これにあたります。米国では社会人向けに大学が夜間コースを設けることが一般的ですが、日本ではまだそうした環境が追いついていない面がある。だから企業が、学びの場を用意するのです。

会社の成長に伴い、優秀な女性が大勢入社してくれるようになりましたが、管理職を目指す女性が少なかった。これが課題の1つでした。その理由を本人たちに聞いてみると、「長く残業できないから管理職になりたくない」と。そうだったのかと膝を打ち、まずは積極的に女性を管理職に登用することにした。人事部長も今は女性です。女性自らアイデアを出してもらい、それを実現することで、働きやすい環境を作ろうと考えた。出てくるアイデアを聞き、そのすべてにOKを出しました。みな驚いた顔をしていましたね。

稟議書の決裁も、これまではひとつひとつボールペンでコメントを書いていましたが、似たようなことを繰り返し書いていることが多いと気づいた。分析してみると、7割が「見積もりの金額が高いのでネゴ(交渉)しなさい」といった、頻繁に使う10パターンくらいのコメントに絞られました。それを判子にして押すようにしたら、それだけで30分の作業が3分になった。

約1年間かけて残業をどう減らしていけるか、試行する期間を設けました。実行してみて、それで利益が上がるかどうか、まずはやってみようと。この時、いきなりスローガンを打ち出すのではなく、社内で検証して結果が出たら世間に公表する、ということに決めたのです。結果はすぐに出ました。当社の平均残業時間は月30時間程度でしたが、上長による定時帰宅の声掛けといった「すぐにできるアクション」で、あっという間に残業時間は3割減になった。さらに社内改革を進めて、残業時間は今期までに半分に減っています。

「残業ゼロ」は働く者にとっては決して甘いだけの仕組みではない。これからは定時のうちに仕事を終わらせる生産性の高さが問われ、そのためには英語力をはじめとする仕事上の能力を高めなくてはならない。勉強し、能力を高めた者だけが評価される。労働時間が短くなろうと、不断の努力が必要であることだけは変わることがない。

もし今、私がこの会社を辞めて、明日から新しい会社をつくったとしても、1日に16時間働くでしょう。これから勝負をかけようというベンチャー企業と、歴史ある大企業とでは、働き方が異なって当然。もし創業当時の私が、既成の大企業のように1日8時間しか働かなかったら、日本電産は絶対に今のような姿にはなれなかったでしょう。

【覚え書き|「残業ゼロ」を宣言したとき、「過去のハードワーク奨励は間違っていたと思いますか」と問われて】

会議の時間を減らすため、現場に近いレベルの会議はなるべく私抜きで開催するように改めた。会議は基本的に1時間かけていたところを45分で終わらせるようにした。かつては9時から17時か18時までかけていた経営会議も、昼までには終わらせるようにした。出席者を厳選し、先に結論を出すように努めればそれで済む。

残業を減らすには経営トップが一番に働き方を改革しなくてはならない。私がいつまでも会社に残って働いていれば、幹部や側近の社員も帰れないからだ。そこで毎朝6時半には出社し夜遅くまで働いていたのを、改めることにした。朝は7時以降、夜も19時には必ず帰る。仕事の量はまったく変わらず、働く時間は3~4時間減った。私個人の生産性を上げなければ仕事がこなせない。

「上司の命令がなければ残業はできない」というルールを定めた。ポイントは、残業を許可制ではなく命令制にしたことだ。上役は毎朝、部下がその日に行う業務を考量し、残業が必要かどうかを判断する。どうしても必要であれば残業の命令を出すが、必要かなければ部下が残業を申請しても許可しない。こうすることで、上司は部下の仕事をきちんと管理することができ、サービス残業も防ぐことができる。これをグループ全社に徹底したら残業時間がみるみる減った。

残業をゼロにするためには、まずは残業が発生する「原因」を究明することだ。そこで私は、国内のグループ社員全員に、「生産性を高めるアイデアを提案してほしい」と投げかけた。すると間もなく、800を超える投書やメールが寄せられた。それらの投書を精読したところ、生産性を低下させ、残業をつくり出している原因が大きく分けて2つあることがわかった。

さらに今後2兆円、5兆円、10兆円企業へと成長をするためには、世界中から生産性の高い人材を採用する必要がある。そのときに、残業が常態化し、プライベートの計画が立てにくいような企業だったら、このレベルの優れた人材は集まらない。「残業ゼロ宣言」は、日本電産がこれからさらに高いレベルのグローバル企業を目指す、という宣言でもあるのだ。

人の倍働く。そう決めた我々が掲げたのが「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という言葉。「日本電産と言えばハードワーク」と連想する人は少なくない。そのイメージはこの創業時の精神に由来する。吹けば飛ぶような弱小メーカーの我々が世界的な大企業に伍して戦っていくには、彼らの倍の時間のハードワークを続けること、それ以外の選択肢はなかったのだ。

母は当初、私が会社を辞めて独立することに反対していた。だが私の意志が固いことを知って、「会社を興すなら、あなたは人の倍、働きなさい。人並みの働きでは絶対に成功できないよ」と忠告してくれた。母親自身、誰よりも早く起き、誰よりも遅く寝て、人の倍働き続けることで財を成した人だった。「努力は絶対に人を裏切らない」という私の信念は、母の背中がら教えられたものである。

「世界一のモーターメーカーになる」という大きな夢を抱いて社業をスタートしたものの、競合は日立や松下など日本を代表する大企業ばかり。我々とは人、モノ、カネ、すべてにおいて比較にならないほどの差があった。それでも何とかして彼らに勝つ方法がないか。必死で考え続けた結果、我々零細企業も社員数が何万人の大会社も、たったひとつだけ、まったく平等な量の「資産」を持っていることに気づいた。それは「時間」である。1日が24時間であることは、大企業のエンジニアも我々もまったく変わらない。「相手が8時間働くならば、その倍の時間、働けば勝てるかもしれない」。そう考えて、仲間とともに食事や風呂、睡眠時間を除いた1日16時間、懸命に働き続けることにした。

言うまでもないが、幹部を育てることにも力を注がなければならない。最近の日本企業はゼネラリストを否定する傾向が強いが、ある部門出身で他部門のことがまったく分からないようでは話にならない。若いうちから様々な部門で経営の「経験」を積ませて、器を大きくするように導かなければ幹部は育たない。

私は経営不振企業を買収し、再建する場合には、それこそ1円から購買などの稟議書をチェックしている。現場が萎縮し、考える力をなくすのではないかと指摘する人もいるが、まったく違う。従業員に考えさせて、案を出させて、それを一緒に経営者がさらに考えるということだ。一方的に言いっ放しにするわけではない。

現場で不祥事が起きる要因は4つ。このくらいの不正は問題にならないだろうという「慣れ」。どうせわからないだろうという「甘え」。原価低減やものづくりの改善活動を続けていると、成果がなかなか上がらずに「疲れ」のようなものが出てくることもある。あるいは、ある部門の問題がほかの部門に伝わらないで隠れてしまう「タコツボ化」もある。

リーマンショックで売上高が急落したとき、当社はWPR(ダブル・プロフィット・レシオ)という指標をつくりだした。売上高が半減しても利益を出せるコスト削減項目のようなものだ。なぜこれを考えつけたかというと、1920年代からの世界大恐慌の際に何が起きたかを調べていたからだ。当時は約10年にわたる長期不況が続き、多くの企業は売上高が半分近くまで減ってしまった。とすれば、売上げが半減したとしても利益を出せる体質ならば、会社は潰れないということになる。

70歳になって、家の中に新しいトレーニングセンターを作った。家内は無駄な投資はやめておけと反対したけど(笑)。体を動かすのは、毎日朝5時から30分、夜は10時半から11時半くらいまで。時間がもったいないから、手ぶらで電話できる装置を全部のマシンに付けて、話をしながらトレーニングしてるよ。今72歳だけど、この間の体力テストの結果は48歳。67歳の頃から体力は56歳ぐらいのレベルからは若返らなかったのに、トレーニングセンターを作って2年で8歳も若返った。ストレッチ中心のメニューに変えて体が柔らかくなったし、瞬発力なんか25歳。車がぱっと飛び出してきてもさっと避けられる(笑)。

私は、創業時から「子供は会社に入れない。後継者にしない」と宣言した。最初から「我々は世界的な企業になろう」と大きな志を立てたからだ。世界で通用する企業になるには、優秀な人材が必要である。子供や孫が優秀かどうかはわからないし、何より社員たちの士気が大事だ。成果をあげればちゃんと評価し、地位でも報酬でも報いなければならない。誰にでも社長になれる可能性があるべきなのは当然のことだ。

創業間もない頃、出張先の米国で体調を崩して病院に運び込まれた。医師に「具合はどうか」と聞かれて、「良くない」と答えた。私がベンチャー企業の社長だと知ったその医師は、「ベンチャー企業の経営者が、そんな弱気ではダメだ。ファイン(大丈夫)と答えなさい」と言った。ベンチャー企業の経営者としてビジネスを成功させるには、態度も言葉も性格も消極的ではダメだということを改めて学んだ。

日本の若者の現状を、政府のせいだ、大学のせいだと言っても始まりません。研究費の不足など、いろいろな要因があるでしょう。京都大学にモーターなどを研究する講座を寄付させていただいたのは、微力ながら大学教育を応援したかったからです。京都大学だけでなく、京都学園大学にも寄付をしていますが、私はここで新しい大学教育の試みを行なうつもりです。いっぺん自分で教育をやってみようと考えたのです。やってみれば「やっぱり人材を育てるのは難しい」となるのか、「いや、こんなふうにすれば企業が欲しがる人材を育てられる」となるのか、はっきりしますからね。

創業当時、私が取引先を求めて国内企業を回っていると、行く先々で「お宅の会社、資本金いくらや」「従業員何人おるのや」と必ず聞かれた。従業員3人ですと答えると、その時点で門前払い。自分たちと取引するような会社ではないと判断されるわけです。だからやむなくアメリカに渡ったのですが、あちらでは、3MやIBMのような大企業ですら、私に「資本金いくらや」なんて一切聞きませんでした。その代わりに「あなたは我々に対して、どういうメリットを与えてくれるんだ」と聞いてきた。だから「あなたが使っておられるこのモーターをうちでつくらせてくれれば、形状が半分になるし、コストも安くなって性能がうんと向上する」と答えました。結局、日本電産は世界43か国で事業を展開するまでになり、売上の8割以上を海外が占めています。もし国内だけで取引していたら、日本の一企業で終わっていたでしょうね。

私はよくビジネスの場で、各国の人からこう言われます。「日本人ほど面白くない人間はいない。日本人とは食事をしたくない」と。なぜかと聞くと、雑談力がないと言うんです。ジョークの一つも言えないのは、視野が狭いからだと。日本人が外国企業を買収してもうまくいかないのはなぜか。アジア人は使えても、欧米人を使えないのはなぜか。原因はやはり、日本の人間教育にあるでしょうね。アメリカでは大統領までが演説でジョークを飛ばしますが、日本ではちょっと失言するとすぐにたたかれる。だから、何か言う時はあらかじめ準備されたペーパーを読むわけです。少しくらい失言してもいいから、自分の言葉で話したらどうかと思いますね。

最高責任者である私は世界中の子会社を常に回り続ける。もちろん今は300社、従業員10万人を超える規模になったから1人では回り切れない。その分、私の経営を理解しているCSO(最高営業責任者)など幹部にも回ってもらう。私も毎週のように、どこかの現場を訪れている。経営者がこの姿勢で取り組めば、現場の士気は必ず上がる。楽をしてはいけない。

最近私は、役員や子会社幹部らに経営に対する取り組み方として、3つのことを言い続けている。「ハンズオン」「マイクロマネジメント」「任せて任さず」だ。ハンズオンは、様々な課題を経営者が現場と一緒に解決していくということ。「やっておけ」と投げっぱなしにすることなどは論外だ。マイクロマネジメントは、現場のあらゆる課題を経営者が判断するということ。任せて任さずも同じ。権限委譲はする。しかし、放任はだめだ。任せるけれども、常に注意深く見ておけということだ。

現場で不正や不祥事が起きるのは、経営者が現場に緊張感を持たせる経営をしていないからではないか。社員に圧力をかけてピリピリさせろということではない。経営者が現場の強さを引き上げようと常に努力することだ。そのためには現場に入り浸り、研究開発やものづくり、営業の前線で何が起きているのかを日頃から把握しておく。こうすれば自ずと、現場に緊張感が保たれる。

創業以来の経営の理念を創業家、経営陣、社員みんなが理解し、それを目指す。そういう体制ができていれば、問題は起きにくいし、仮に何かが起きたときにも知恵は出てくるはずだ。理念や思想を、時代を超えて継承し続けていけば、お家騒動などあり得ない。むしろ創業家は、そういう志や理念を体現する存在として意味を持つともいえる。我々は何をする存在なのか。創業家も経営陣も共に考え続けなければならない。

私は2人の子供が小さい頃から、「お前たちは日本電産を継ぐことはできないんだよ。もし、経営ということをやってみたいのなら、自分の力で取り組んで見ろ」と言い続けた。創業者の子供だから跡を継げるのではなくて、力があれば経営はできるということを理解させるためだ。重要なのは自尊心を持つように育てることではないか。私の息子の一人は、ある家庭用品製造の上場企業に入り、もう一人は自ら会社を興した。2人とも社長になっている。しかし、日本電産との取引はないし、物質的には何の支援もしていない。今、苦労しながら会社を経営しているが、そうすることで自分にどのくらいの力があるかが分かれば、変なことにはならないものだ。

永守重信の経歴・略歴

永守重信、ながもり・しげのぶ。日本の経営者。「日本電産」創業者。京都府出身。職業訓練大学校(のちの職業能力開発総合大学校)卒業後、日本の音響機器メーカーのティアック、機械メーカーの山科精器を経て、日本電産を創業。社員3人とともに会社をスタートさせ、同社を世界シェアトップ製品を持つ会社に成長させた。また、数十社の経営再建を成し遂げた。

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