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橘玲の名言

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橘玲のプロフィール

橘玲、たちばな・あきら。日本の作家。早稲田大学第一文学部卒。主な著書に『マネーロンダリング』『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』『臆病者のための株入門』『貧乏はお金持ち 「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』など。

橘玲の名言 一覧

大事なのは結果の平等ではなく、機会の平等。誰もが同じ条件で競争に参加できて、勝った者が正当に評価される。そのほうがモチベーションが上がるし、全体のパフォーマンスも向上することは間違いないでしょう。


私たちは自分で考えるほど正しくもなければ、卑下するほど悪人でもない。問題は、経済合理性の中で損得を追求する現代社会が、様々な形で自然な人間性を歪めてしまうこと。


意志が強い人は目標を極力絞り込む。一点に集中するのでムダがなく、目標を達成できる確率が高くなってますます自信を深める。


会社や仕事に合わせるのではなく、常に人生の選択肢を失わないようにしておくべき。目の前の仕事をこなして日々を過ごすだけでは、年を取るほどに選択肢が減って、会社が牢獄のようになってしまう。


私は、世界と同様に、自分だってそう簡単に変えられるわけではないと思っています。自分を変えるのが難しければ、「環境」を変えることを考えてみましょう。


誘惑や落とし穴に陥らないためには、経理のチェックは適度に厳しくなければなりません。人は放っておくと不正をしてしまう。残念ながらこれは事実のようです。


上司や部下が自分を理解してくれない。そんな不満を抱えている人は少なくないはずです。でも、多くの研究で明らかになったのは、人はなかなか理解し合えないということ。わかってもらえないのが、「当たり前」なのです。


一つの部署や業界で10年以上の経験があれば、場所を変えることで可能性が開けることもある。大企業では人材が多く目立たない存在でも、中小企業では必要不可欠な人材として厚遇されることもあります。


突出した何かを持っている人は出世ラインから外れても、周囲から一目置かれる存在になり、自分のペースで仕事ができる。これも組織の中で生き残る一つの方法。


戦略は人それぞれ。人的資本、金融資本、社会資本3つの資本のうちどれを中心に据えるのか。いまから考えておくだけでも、人生は大きく変わってくるのではないでしょうか。


相手の左目を見て話すと、右脳に刺激を与えるので好感を持ちやすいとか、身体の向きや目線の動かし方で印象が変わるとか、潜在意識に働きかける方法は想像以上にたくさんあります。ビジネスの世界では、いまや潜在意識を操作していない分野を探す方が難しくなりました。


カリスマというのは、不特定多数の潜在意識に働きかける力がある人のことです。雰囲気、表情、話し方から行動まで、なぜか人を惹きつけ、心酔させてしまう。潜在意識を動かすというのは、じつは怖いことなのです。


株式や不動産に投資して資金を増やす方法があるものの、こうした投資は「若いうちから長期でコツコツ増やしていく」のが鉄則。始める時期が遅くなるほど、元金を減らすリスクを取らざるを得なくなります。


一流のアスリートや役者、芸能人ほど、本番前にプレッシャーを感じ、緊張するといいます。大ベテランの役者が舞台袖で緊張で震えていた、という話も聞きます。逆に言えば、だからこそ彼らは厳しい世界で長い間活躍し、人気を保つことができたのでしょう。


運による成功を自分の実力だと勘違いしないこと。勝ってもおごらず、負けても腐らない。客観的に現実と向き合う目線が大事。


仕事の内容によっては、楽観的にリスクを取るプラス思考より、悲観的でリスクに敏感なマイナス思考の方がふさわしいときがある。


女性の戦い方の特徴は、勝てる確率が高いと思うところでしか勝負しないこと。イチかバチかの大勝負ではなく、ちょっと勝てるくらいの勝負をすること。より現実的な戦略なのです。


人間は、基本的には「好きなこと」にしか本気になれない。だったら、好きなことを探すしかない。


フットワークを軽くしておくことも大切だ。家を買ってしまうと、家庭環境の変化に臨機応変に対応できなくなるケースも出てくるだろう。その点、賃貸であれば子供の通学に便利なところに住み、親の介護が必要になればバリアフリーの物件に住み替え、子供が巣立ったら郊外の閑静な住宅地に移ることもできる。収入が減ったら家賃の安いところに引っ越せばいい。


一般論で語るのは難しいが、「自分は何によって生きていくのか」を考えたとき、幅広い人脈こそが宝物であることがわかるはずだ。


日本では、夫が「会社」コミュニティー、妻は「ママ友」コミュニティーに属し、異なる世一界を生きている。そのため男性は退職、女性は子供が思春期を過ぎると、人間関係が途切れてしまう。これではいずれ「無縁生活」になってしまうので、人脈の幅を広げる努力をすべきだろう。


「自分の人的資本はどこにあるのか」を再確認することが大切だ。万が一リストラ対象になったとき、どうやってお金を稼ぐのかということ。


外国人に「あなたの仕事は?」と聞くと「会計をしている」と専門分野を述べ、「どこでその仕事をしているのか?」と聞いて初めて会社名を答える。自分のフロフェッション(専門分野)がまずあって、会社はプロフェッションを活かす場所なのだ。日本のサラリーマンはプロフェッショナル(専門家)ではなく、それぞれの会社に最適化されたジェネラリスト(総合職)で、その技能や経験は会社を離れるとなんの価値もなくなる。そんな働き方が成立していたのは、年功序列と終身雇用が前提にあったからだ。


一部には日本円が紙屑になると主張する人もいるが、金融知識のない人がそれを鵜呑みにして投資に走るとおかしな商品をつかまされるだけなので、当面は普通預金で十分だろう。ギリシャを見ればわかるように、国家破産とは「目が覚めたら通貨が紙屑になっていた」ということではない。国債価格の下落で金利が上昇し、地価の下落や企業の倒産で金融危機が起こり、資産の大半を国債で持っているゆうちよ銀行やかんぽ生命が破綻して国有化されるというプロセスを踏んで状況が悪化していく。どれほど財政赤字が巨額でも、日本のような経済大国が1カ月や2カ月の短期間に破産することはありえないのだから、「国の財政破産を前提に円資産をすべて外貨に換えよう」という行動は意味がない。


国家の財政破綻は、戦争や内乱のような国家権力の暴走と異なり、個人でリスク管理が可能だということだ。ギリシャなどでは確かに厳しい状況が続いているが、シリアのように多数の市民が犠牲になっているわけではない。いざというときに対応できる基本的な経済・金融知識があれば、投資の初心者でも資産を守ることは可能なはずだ。そのためにも、家計に影響がない程度の金額で、投資を体験してみるといい。損をしてショックを受けるかもしれないが、いずれ安い授業料だと思えるようになるだろう。


30代前半までなら、転職が可能です。つまり、いろいろ選択肢があるので、とりあえず自分の選択肢を減らさないように頑張る。ほかの会社、業種でも通用するようなスキルを獲得するとか、転職してもやっていけるような何か計画を立ててみるとか。しかし、40代を過ぎたサラリーマンは、なかなか難しいでしょう。日本の中高年はいま、そういう状況にあるので、お金が無くなると生きていけないという危機感は強いし、持たなければいけません。


ITの登場によって、会社に所属しなくても分業ができるようになりました。無料のブログサービスやグーグルのような無料のクラウドサービス、あるいはアマゾンのようなマーケットサイトなど、これまで会社に集まって分業していたようなことを、個人がアウトソース(委託)出来るようになってきたんです。これまでは大きな仕事をするためには、会社に入らなければいけなかったのが、だんだんと、いわゆる自営業でも外部サービスを使えば収益を獲得できるという、新しい可能性が出てきています。


以前は脱サラした人はほとんどみんな失敗するようなネガティブな状況でしたが、いまはそこそこ変わってきて、個人でもマイクロ法人(小さな会社)をつくることによって、さらに大きな機会を得られる状況が出てきました。日本の社会で初めてそういうことができるようになったので、面白いと思います。それをどう利用して、上手に自分の人生を設計するかですね。


基本的なことですが、お金を貯めるには「収入を増やす」か「支出を減らす」か「持っている資産を高い利回りで運用する」かしかありません。

資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)

このたった3つの要素で決まります。世の中には「こうすればお金持ちになれる」といったハウツー本があふれていますが、この3つを手を替え品を替え説明しているだけなのです。


世界標準で見れば、私たちは「日本に生まれた」だけで超ラッキーです。この国に生まれた幸運を存分に満喫しましょう。


すでに年齢が高いのに資産がないという人は、思い切って発想を変えればいいのです。いま、世界一高い賃金をもらっているメリットをどう生かすかを考える。たとえば、イギリス人などは10人に1人が外国暮らしをしているといいます。自国で働いてお金を貯めて、ポルトガルなどヨーロッパの物価の安い国で暮らしているのです。経済格差を利用すれば、負け組も勝ち組になれるのです。


豊かになるためにはどうすればいいのか。若い人には、キャリアをどうつくるのかを真剣に考えるべきだと言いたい。将来的に、単純労働の賃金は世界標準になるのは確実。中国などの海外から安い労働力が入ってくることで単価が下がり、その人たちと同じ賃金で日本人も働くことになります。逆にホワイトカラーは賃金が上がるでしょう。


いまの日本で、社会問題はもう「みんなの問題」ではなくなっています。たとえば、公立学校の学級崩壊の問題は、私立へ通わせている人には関係のないことです。年金の記入漏れ問題も、年金がないと老後に生きていけない人が多いから大騒ぎになっているだけで、すでに老後資金を貯めている人にとってはどうでもいいことです。社会問題が個人的に解決できる人と、死活問題になってしまう人。そういう二極化も進んでいるということです。


これからは自分の人生設計をきちんと考えている人と、そうでない人とでは大きな差がついてくると思います。何を捨て何を取るのか、冷静に判断できる人と、漠然と夢ばかり見ている人とでは、当然、豊かさも違ってきます。


別の角度から見て、日本人がお金持ちになれないのは「サラリーマンでいることが好き」だからです。サラリーマンの税金はご存じのように「ガラス張り」で、税金・社会保険料は給料から天引きされます。それぞれの会社が税務署の代理店となって徴収する。そういう仕組みなのです。これに対し、自営業者や個人事業主は所得を自己申告するうえ、年金や健康保険を支払う払わないは本人の自由。年金は現行制度では払った方が得ですが、健康保険は、所得を低く抑えられれば合法的に保険料を節約できます。


自分は何歳くらいでリタイアしたいのかを決め、そこから逆算してできるだけ早く多くの資産を複利で回せるようにしておく。ダブルインカム(共働き)で子供がいなければ、30代で数千万円を貯めることは可能でしょう。豪華な暮らしをしていまを楽しむのか、あとで楽しむのか、それはもうその人の生き方ですが。


一番効率がいいのは、節約してできるだけ早い段階でまとまったお金をつくり、それを運用で増やす方法です。5%複利で運用すると15年で元金が2倍になると考えると、30代、40代で3000万円くらいアセット(資産)を持っていれば、15年後には6000万円になります。複利のパワーはかくも絶大。同じ時点から1万円ずつ貯金をスタートする人とでは、15年後の差はとてつもなく大きなものになります。


日本はインカム(収入)も多いけれど、人並みに暮らそうと思うととてもコストがかかる国なのです。したがって、インカムが増やせないなら「何を諦めるか」を考えるべきです。


日本のような豊かな社会で「金持ち」になることは、じつはそれほど難しいことではありません。大多数の日本人が「お金が貯まらない」「豊かになれない」と感じているのはなぜか。ひとつはメディアがつくる「幸せな家族の基準」が高くなりすぎているからだと思います。


日本人も外国人も、何に幸せを感じて、どのような社会に住みたいのかという根本的なところは同じ。日本の社会も遅かれ早かれグローバルスタンダードに近づいていくので、翻訳書を読んで先取りすれば、有利に立ち回れます。


もちろん長く読まれる、普遍の真理を著した名著は少なくありませんが、成功者が個人の体験だけをベースにして「私はこうやって成功した。だからあなたも」と説く本も多い。その人が成功したからといって、読者が同じことをして成功するとは限らない。


安定した会社に入って定年まで勤めあげ、退職金と年金で暮らす。日本のサラリーマンの多くはこうした夢を抱いていると言ったら、オーストラリアの友人は「スケアリー!(おぞましい)」と言いました。日本の常識がいかに世界標準の考え方とズレているのかを痛感しました。


引退して悠々自適の老後という幸福のモデルはもはや消えました。人々が憧れる老後も、医師の日野原重明さんやスキーヤーの三浦雄一郎さんのように生涯現役がロールモデルになってきている。孫に囲まれて悠々自適というのは、もはや理想でも何でもなくなってきているんです。


手を尽くしてもダメな時は、諦めることも必要です。すべての人に良い印象を持ってもらうことなどは最初から不可能。ならば見切りをつけて、自分のことをわかってくれる人、プラスの方向に誤解してくれる人により多くのエネルギーを注ぐ。そんな視点も時には必要ではないでしょうか。


いくつかの実験によって、自己コントロール力と社会的な成功はIQよりも相関関係が高いことが証明されています。誘惑の多い現代社会でいかに自分をコントロールするのか。その力をどうつけるのかが成功と失敗の大きな分かれ目になる。


マスメディアやインターネットが発達した現代はまさに欲望と誘惑があふれていて、自分の意志を貫くことが難しい社会と言えます。問題なのは、「自分はなんて意志が弱いのか」と必要以上に自分を責めること。多少は流されてもいい、という鷹揚さも必要なのではないでしょう。


自分は意志が弱いと悲観する必要はありません。誘惑には誰もが弱いのです。大事なことは何に対して流されず意志を貫くか。優先順位と選択を明確にすること。ある部分はいい加減でだらしない、でも、肝心な時は別人のようになって集中するそんなメリハリがあったほうがいい。


怒りや悲しみを感じたら、感情の赴くままに行動するのではなく、行動を少し変えてみましょう。口角を上げて上機嫌にふるまえば、いつしか「まるでそのような」上機嫌人間になります。穏やかにふるまえば、自然と穏やかな人間に近づいていきます。これはとても単純な方法なので、職場や家庭でもすぐに実践できます。


表情を作るとそれに相応しい感情が生まれるというのは、子供だましのようですが、意外と効果があります。皆さんも機嫌が悪い時や落ち込んでいる時には、口角を少し上げてみましょう。それだけで、不思議と気持ちが明るくなってくるはずです。


働く側も「覚悟と選択」をしなければならない。昇進や出世を目指すのではなく、スペシャリストとして現場の第一線で働き続けるという選択もあるでしょう。培った技術や知識、人脈が豊富で、会社の中でこれをやらせれば右に出る者はいないとか、この分野に関しては一番詳しいなどです。


時代の流れとともに、企業が求める人材も、組織のあり方も、仕事のやり方も大きく変わりつつある。これまでの価値観にとらわれ、ただ会社に依存し、組織にしがみつくのではなく、自分が輝ける働き方は何か、組織との関係をどう築くか、戦略的に選択することが必要。


まずは相手を受け入れ、裏切られたら毅然とした態度を取る。多少損しても、それは人生のコストだと割り切る。こんな生き方をする人が、最後に幸福をつかむのではないでしょうか。世の中の非情なカラクリと向き合いながら、それに染まることなく、自分の生き方や価値観を貫くシンプルさが、「残酷な世界」を生き抜く最大の武器となるのです。


一般的にストレスや不安は有害なものとされます。実際、過度のストレスはうつ病の原因にもなりますが、だからといって、ストレスがないほうが優れているとは言えません。問題はストレスや不安をなくすことではなく、どう捉え、どう向き合うか。一流のアスリートやプロほど、ストレスや不安を利用して細心の注意や準備をし、状況をコントロールできるようにするのです。


日本のビジネスパーソンは、主観的には頑張っているかもしれませんが、国際的なアンケート調査では、世界でも仕事に対するモチベーションがもっとも低いグループに入ります。努力しても報われない構造的な不平等が根底にあるのだと思います。こうした現状を変えるには、公正に競争できて納得感の高い労働市場に変えていくことが必要でしょう。


格差社会は意識の格差でもあります。何も考えず、欲望のままに消費活動をすると、この仕組みに引っかかってどんどんお金を失ってしまいます。逆にこのカラクリを知っている人は、企業の戦略を逆手に取ってキャンペーン期間などを上手に利用しています。企業は消費者を無意識に誘導しようとしますから、それに従っていてはお金がいくらあっても足りません。


大いなる誤解の一つに、「抑圧された感情は発散させるべきだ」という考え方があります。フロイトは感情の過剰な抑圧が神経症を誘発するとして、抑圧を発散することが大切だと主張しました。怒りを別の形で発散させたら、怒りを抑えることができるのでしょうか? 近年の行動科学の研究からは、それが間違いであることがわかっています。ある実験で、自分の書いた文章を散々けなされた被験者たちを2つに分け、片方はけなした相手の写真を見ながらサンドバッグを叩き、もう一方は部屋で2分間静かに瞑想させました。するとサンドバッグを叩いたほうはますます怒りが強まり、瞑想していたほうは、はるかに怒りが収まったのです。


私たちは人的資本、金融資本、社会資本という3つの資本を持っています。人的資本は労働市場でお金を稼ぐ力のことで、スキルやキャリアがあるほど高くなります。金融資本は貯蓄や不動産を運用することで利益が得られます。社会資本は人間関係で、家族やパートナー、友人など親しい人間関係が協力や助け合いによって安心を生み出します。私たちはこの3つの資本を組み合わせて人生を送っているのですが、大切なのは自分がいま持っている資本を把握した上で、それを将来どのようにしていくのかを真剣に考えることです。


人生の設計図を作るときには、いまの自分を否定するより、自分の価値や強みを再発見する方が合理的です。「私たちは容易には変われない。まずはその現実をし、つかり受け止めよう」というとなんだか暗くなるかもしれませんが、じつは全く逆です。私たちは、ありのままの自分を表現し、個性を伸ばしていくことで、自らの力を最大化できるように進化の過程の中で作られてきました。そのように考えれば、「自分を変える」よりも、自己肯定こそが前向きで明るい生き方だとわかるのではないでしょうか。


いまの社会を見ると、環境を支配するどころか逆に支配されている人が多いのでは? マスメディアやSNSによって、膨大な情報が全世界を駆け巡っています。便利になったものの、それらの情報は恣意的に取捨選択、加工され、人々を自分たちに都合のいいように誘導しようとしています。私たちは知らないうちに、環境から支配されコントロールされているかもしれないのです。


「80歳まで現役」という考えにシフトできれば、定年退職以外の選択肢が広がります。たとえば40歳のビジネスパーソンなら「3年後に辞めて起業する」「副業をいくつか試してみる」といった未来が開かれるわけです。考えてみれば、終身雇用における定年退職は、「超長期雇用下での強制解雇制度」。会社が生涯の面倒を見てくれるわけではない。ならば、対策は早く立てるに越したことはありません。


貯金(金融資本)を保険と割り切るなら、肝心の老後資金は働いてお金を稼ぐ力(人的資本)を60歳以降も労働市場に投資して獲得するしかありません。老後の暮らしを支える富の源泉を金融資本に頼るのではなく、「いかに長く働いて、老後を短くするか」という発想に切り替えるのです。当たり前の話ですが、生涯で得る収入は長く働くほど増え、同時に老後が短くなります。これで、「長すぎる老後」問題はシンプルかつ確実に解決します。


競争は大事ですが、「競争しない」という選択もあります。シリコンバレーはIT長者が集まる街ですが、そこでもっとも優雅な職業は水道の配管工だと言われています。なぜでしょう? シリコンバレーの住人は高収入で多忙なので、配管の修理を自分でやる暇などありません。だからささいな工事に気前よくお金を払ってくれるのです。IT技術者ほど高収入は得られなくても、生き馬の目を抜く競争のストレスもありません。造園業者などもそうでしょうが、年収1千万円くらいは稼げてしまうのです。


ヒトが進化の歴史の大半を過ごした石器時代では、自然災害や肉食獣の襲撃などの不測の事態で命を落とすことも多かった。こうした環境では、将来を考えて計画的に生きるよりも、目の前の快楽や欲望に素直に従うことが正しい選択でした。これが「進化論的合理性」で、その瞬間の欲望を満たすことで子孫を残すプログラムがDNAにインプットされていたのです。貯蓄が可能になったのは農業で大量の穀類を栽培できるようになってからです。近代以降、経済社会が発達して初めて人生を計画的に考え、将来のために戦略的に資産を増やすことが可能になりました。「経済合理性」が重視されるようになったのはここ200年くらいで、石器時代の数十万年のほうがずっと長いのですから、市場経済に適応できない人がいるのは当然なのです。


マイルールをしっかり決めておくのはどうでしょう。勧誘メールは封を開けずにゴミ箱に捨てる。あえて情報を遮断し、これが欲しいと思った物だけを選択的に決め打ちして価格を検索する。スーパーやコンビニで買い物をする時も、何を買うか最初に決めておいてレジ前の商品などには一切目もくれない。経済合理的なマイルールをつくり、それを機械的に守るだけで、市場の巧妙な誘惑から家計を守り、不要な出費を大きく減らすことができるはずです。


一番よくないのは、烙印を押されたことで戦意を喪失してしまうこと。私たちは、自分のことを誤解していると感じる相手を、つい避けてしまいがちですが、そうなるとますます溝が深まってしまいます。こんな時はむしろ、相手に積極的に近づきましょう。かなりのエネルギーが必要ですが、評価を変えたいのであれば必要なコストです。そして一緒に仕事をする中で、相手にとって自分が必要な人物だということを認識してもらうのです。言われたことだけをやるのではなく、上司がいま一番必要としていることは何か、どんなサポートを欲しているかを常に考えて先回りしましょう。


何を脅威に感じるかは、容姿、学歴や仕事の能力など、人それぞれです。いったん脅威だと認識されてしまうと、相手は無意識にその人を排除しようとします。皆さんも仕事で成果を出しているのに、何故か上司につらく当たられた経験はありませんか? これは、誰が正しくて誰が間違っている、ということではありません。私たちは日常的に理不尽なジャッジをお互いにし合っているのです。人間関係は想像以上に誤解や偏見に満ちていると言えるでしょう。


ちょっと残酷ですが、犬を檻に入れて、ときどき電流を流す実験があります(マーティン・セリグマンの「学習性無力感」)。ひとつの檻はボタンを押すと電流が止まるので、犬は学習してボタンを押すようになる。ところが別の檻では、ボタンを押しても電流が止まらない。するとその犬はすっかり気力を失ってぐったりと動かなくなり、刺激に対して完全に無反応になってしまう。その後、檻のドアを開けても逃げようとすらしなくなるのです。このことから、「選択肢がない」のが最大のストレスだとわかります。じつは同じことがビジネス社会にもあって、会社にしがみつかなければ生きていけなくなると、精気も気力も失ってしまうのです。


相手に協調するか、裏切るかを選択できるとして、どのような組み合わせがもっとも利益を大きくできると思いますか? これはゲーム理論で正解がわかっていて、それが「しっぺ返し戦略」です。どんなときでも協調を選べば、狡猾な相手にいいようにされるだけ。かといっていつも裏切ってばかりでは、誰からも相手にされません。それに対して「しっぺ返し」は相手と同じことをする戦略で、最初は相手を信用して協調し、もし裏切られたら自分も裏切り返し、相手が反省して協調してきたら、自分も協調を選びます。なぜこんなシンプルな戦略が一番効果的なのでしようか。それは、協調するか裏切るかわからない相手とは安心してつき合えないからです。「しっぺ返し戦略」は、「自分はこういうやり方をする」とあらかじめ宣言し、それを一貫して守るわけですから、初めての相手とも信頼関係を作れるのです。このシンプルな戦略に、じつは複雑ないまの世の中を生き抜く知恵が隠されています。


潜在意識に働きかけて相手をコントロールする手法は、コマーシャリズムからマルチ商法や詐欺商法、政治の世界まで、いまやあらゆるところで形を変えて使われています。こうした「神経マーケテイング」が、生活に侵入してくることは避けられませんから、私たちはいたずらに恐れることなく、できるだけ支配されないようにすることが大事です。そのためにはまず、相手の理論と技法を知ることです。「他人を支配する方法」があらかじめわかっていれば、それを使われても相手にのせられずに済みます。


クラシック音楽が趣味だった知人は上司と折り合いが悪くなって50代で退職し、小さな音楽ホールに雑用係として就職しました。そして、わずか数年で都内の大きな音楽ホールのプログラムを組むポジションに就いています。音楽の専門性に加えて、会社勤めの間に培った組織のマネージメント力が評価されたのです。「何も特技がない」と諦めることはありません。「人生100年」だと考えれば何歳からでも遅くはないのですから、マネタイズできる「自分探し」をポジティブに始めてみてください。


今後はますます専門的な知識に高い価値が認められ、知識社会化が進む。だからニッチな領域で構わないので、自分の好きなこと、得意なことにフォーカスして専門性を磨くことが重要です。生涯現役社会では、「仕事は苦役」のマインドではやっていけません。好きなことならばどれだけ頑張っても苦にならないし、人的資本のすべてを投資できる。ただし、一つの会社の中でしか評価されない知識やスキルの習得はムダ。「今の会社を離れても価値を持つ専門性」の習得が重要です。


自分はなかなか自信が持てない、プレッシャーで潰されそうになるという人に、一つコツを教えましょう。それは「加算的反事実思考」です。自分の仕事や行動を振り返った時、「あの時、あんなことをしなかったら……」と悔やむことがあるでしょう。これは「減算的反事実思考」で引き算の思考です。これとは逆に、「あの時こうしていたらどうなっていただろう」と、別な展開を予想してみましょう。これが「加算的」な考え方で、思考がより戦略的になり、選択肢をどんどん増やしていくことにつながります。これだけで、自然と意識が前向きになるはずです。


アスリートが厳しい競争に向かう時、大きなストレスにさらされますが、ストレスがあるからこそ高いパフォーマンスを発揮できるのも事実です。ロシアの心理学者ユーリ・アナンの「不安と運動能力の関係に関する研究」によると、人にはそれぞれパフォーマンスに効果的な不安レベルがあるそうです。たとえばある選手は不安レベル60の時に最も力を発揮し、ある選手はレベル30くらいの時に最高の成果を上げるのです。これはIZOF(個人の最適機能ゾーン)理論と呼ばれ、アスリートだけでなく、舞台俳優から軍事行動に参加する兵士まで、多くの分野にも応用されています。仕事も同じです。


ハンブルク大学のガブリエル・エッティンゲン教授は、人工股関節置換手術を控えた患者を調査しました。患者は、手術によってこれまでよりも、身体の調子が良くなると信じている楽観的な人と、リハビリの困難さや苦痛をイメージしている悲観的な人に分けられました。術後の経過を見ると、意外なことに悲観的だった患者のほうが苦痛を感じることも少なく、回復が早かったのです。楽観的な患者は思い通りにいかない現実を突きつけられた時に、あわてたり落ち込んだりしますが、物事を悲観的に捉える人は、現実と向き合う準備ができていたのかもしれません。


根拠のない自信を持ちがちな男性は、現実に直面すると心が折れてしまい、競争から脱落することが多いのもわかっています。アメリカのエリート校に進学した学生の成績を調べると、女子学生は入学後に成績を伸ばすのに、男子学生は挫折して成績が伸び悩むケースが多いのです。男子学生は、周囲の実力が自分以上の場合は競争を諦め、下りてしまう傾向が強く、女性は逆に諦めずに頑張ることで成績を伸ばしていく。打たれ弱いのは男性で、女性はしぶといと言えそうです。上手に賢く競争するには、女性の堅実な戦い方に男性も学ぶ必要がありそうです。


じつは競争の仕方と、その結果に対する反応は、男女で大きな違いがあります。スタンフォード大学の経済学者が行った実験では、男女2名ずつ4人一組で算数の計算問題を解かせ、それぞれが正解した数に応じて報酬を受け取る方式と、4人のうち一番正解数が多い者が報酬を総取りできる方式のどちらかを選ばせました。すると男性は73%が総取り方式を選択したのに、女性はわずか35%だったのです。また別の実験では、女性は自分が勝てる見込みが20%以上なければ勝負しないのに対し、男性は勝率が低くても勝負したがる傾向が見られました。これは女性が臆病だからではなく、リスクを正しく把握しているからです。ウォール街の金融アナリストの成績は男性より女性のほうが7.3%正確だという調査結果もあります。男性は勝負に対して楽観的で、根拠のない自信を持っているから、失敗する確率も向くなるのです。


橘玲の経歴・略歴

橘玲、たちばな・あきら。日本の作家。早稲田大学第一文学部卒。主な著書に『マネーロンダリング』『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』『臆病者のための株入門』『貧乏はお金持ち 「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』など。