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横山秀夫の名言

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横山秀夫のプロフィール

横山秀夫、よこやま・ひでお。日本の小説家。東京都出身。国際商科大学(のちの東京国際大学)商学部卒業後、上毛新聞社記者を経て、『ルパンの消息』でサントリーミステリー大賞佳作を受賞し小説家デビュー。『陰の季節』で松本清張賞、『動機』で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。

横山秀夫の名言 一覧

人間の心は複雑なものですが、一つ一つひもといていけば単純な感情の集まりなわけで。それらが呼応し合って人の心ができあがっている。


男社会の保身というものの正体は「死の回避」ですよ。実際の死ではなくても、(社会的な)死には変わりないから、保身的行動をとることは、ある意味「死を恐れる本能」だという気がしますね。


(漫画の原作を経験したことで)ここのパートは完成しているけど、ただ完成しているだけでいいのかとか、この会話は一から作り直せばもっと面白くなるんじゃないかとか、そういった「かもしれない」ことについて一切妥協しなくなりましたね。


この一行はいつか書く小説の一行なのだ。


一言でいうならば、小説は虚構の世界に想像の橋を架けることじゃないですか。その橋脚部分を、記者時代の経験と知識が担ってくれているという感覚ですかね。いくら虚構とはいえ、真実の柱があちこちに打ち込まれていないと物語全体のリアリティを欠いてしまいますから。


(漫画の原作を書くのは)生半可な気持ちでできる仕事ではないです。漫画の原作は小説を書くのと同等か、それ以上のエネルギーを傾注してやっていましたね。


組織にいる人間にとって組織なんて当たり前すぎてまともに考えたりしないんですよ。私も新聞社を辞めて名刺一枚持てずに世の中を泳いでいく中で、あらためて組織というものを見つめ、その功罪を考えるようになった。そこから私の小説の土台ができたのだと思います。


どんなに深刻な話であっても、読んでやはり面白くなければならないということ、面白さは青天井、「ここでもういい」という限界はないということです。ただのオモシロ可笑しいではなく、人間の様々な感情の描出、その見せ方・隠し方、物語の構成やテンポや場面ごとの「ため」、そして余韻。それらを包括して初めて「面白い」ものが生まれる。


しょせん仕事は自分自身のためにやるものだと、いまは思ってる。誰かのためにという旗印を掲げることで濁るというか、なにかのときに筆が走りすぎたり鈍ったり、要するに甘い仕事になる。自分がこの世で意味のない存在にならないために、ちゃんとしたものを書くんだと、とことん思い詰めてやった仕事というものは、結果として自分以外の人に何かをもたらすかもしれない。というくらいの気持ちで、いまはやっていますね。


あの件(直木賞決別宣言)は分析し、整理して、格納庫に入れました。開ける気がないというか、いまさら開けても意味がないというか。ただ、あの騒動を境に自分がある意味、他の作家の方々とは違う道を歩くことになったのは事実です。まあ、いろんな行き違いもありました。でも、違う道を歩くことは決して悪いことではないですよ。それぐらいにしときましょうか(笑)。


睡眠時間をどんどん削っていきましたけれど、取材とかも受けていたんですよね。あの頃に自分が何をやってたのか、何を考えてたのか、夢の中の出来事のようで、よく覚えていません。短編小説の登場人物に次々と命を与えましたけれども、あの何年かは自分の人生は全くゼロ。空白の時間でしたね。


今ね、読者の男女比も「ロクヨン」なんだそうですよ。男性6割、女性4割。デビューしたころは、9:1とか言われていたんですけれど。男だから女だからというファクターが関係ないとは言いませんが、双方が被るところというか、そもそも人間として、みたいなところに手が届くかどうかが重要なのかもしれないですね。小説にとっても、映画にとっても。


実際の死よりも社会的な死のほうが恐ろしいという人は数多くいます。私もそっちのカテゴリーの人間です。だから心筋梗塞で倒れるまで書き続けた。そこで仕事を一つ断ったら、自分は社会的な死に向かって転がり落ちるんじゃないかという恐怖を感じて。作家になる以前に社会的瀕死状態みたいな時期があったので、なおのこと恐れた部分があったと思います。


記者時代の経験や知識が作品の下地にあることは確かですが、自分が直接取材した事件のネタを短編に落とし込むようなことはしませんね。むしろ避けています。私はノンフィクションとフィクションとの間にある深い川を渡ってこちら岸に来たという意識がものすごく強いんです。記者というひとつの仕事を全うできなかった敗北感というか負い目のようなものがあるので、尚更フィクションの独創性にこだわるんでしょうね。


まずネタを考えるときは横山秀夫が分身化するんです。「ミステリーを考えるヨコヤマ」と「ドラマを考えるヨコヤマ」に。そして二人のヨコヤマが別々に考えたものをすり合わせる。「これはいけるかもしれない」となるまでに2日間、最初の10枚を書くのにまた2日。その10枚は作品全体の四隅までをも決定づけるものでなければならないので、この作業を終えるまでにほとんどのエネルギーを使います。そしてあとの40枚だか60枚は一気呵成に書く。それを月曜の朝にドーンと出し、ファックスの前で一瞬達成感を味わうピルエットターンをしてから、またすぐ次のネタに取りかかる。その繰り返しでしたね。


いろんな出版社から仕事が来て、「はい。ありがとうございます」と全部受けていた。断るなんて考えもしなかったですね。記者時代は、仕事はさせられるもの、と思っていましたが、何年もフリーでやってみて、仕事はさせていただくものだと思い知りました。それに漫画の世界は複数の出版社を掛け持ちで仕事をすることがなく、原作者も漫画家もいわば出版社の丸抱え。私の場合、講談社の仕事を失ったら、その日から全く仕事がなくなってしまうわけで、それが本当に恐ろしかった。なので小説の依頼は絶対断れませんでした。フリーでやる限りはできるだけ多くの媒体と仕事をすることが、個人事業主としての最低限の構えですから。でも、そうしたら大変なことになってしまって。一週間で50枚から70枚の短編を上げていくというサイクルを、エンドレスでやることになってしまったんです。


特ダネであろうと何であろうと事件や事故は全部ストレートニュースですから、ムダな文字が一文字もない文章を書く。365日それをやっていましたからね、人の気持ちが書きたいというか、自分の気持ちを吐き出したくなったんでしょうね。それでも後輩が主観まじりの原稿を書いてくると、私も言いました。「お前は小説家か」と。いつしか自分も(先輩たちと)同じことを言うようになっていたんですね。そんな私が、『ルパンの消息』というフィクションを書いてしまった。後にも先にも、あんなに書くことが楽しかったことはありません。書き終えてしまった後に、はたと気づいて、それは記者である自分にとってかなりショッキングな出来事でした。自分の仕事も自分の会社も裏切った気持ちになりましたよね。それで自分で自分を追い詰めちゃったというか、どうにもけじめをつけざるをえなくなっちゃったんです(笑)。


高度成長期の終身雇用が当たり前の時代に生まれ育ったわけですから、ひとつの職業に就いた以上、それをまっとうしようと当たり前のように思っていました。ですから、なぜ会社を辞めたのかと訊かれたときには頭が真っ白になって、次の瞬間パッと思いついたことを言うことになりますけど、そうですね、「体が動いちゃった」ということじゃないですかね。


読者から作品の感想をいただくことがあるんですが、意外と中学生とか高校生からも多いんですよ。今、ソーシャルネットワークの中でごった煮になっている子供たちが、私の小説を? と思うんだけれど、でも考えてみれば学校も、やっぱり強固な組織体なんですよね。仕事の大変さはわからなくても、主人公の辛さはわかる、ってことでしょうか。だから今回『64』の映画を若い人たちが観て、どう感じるかにすごく興味がありますね。


私は小説の中で外的要因を与えることで、普通の人間に「顔」を与えたいと思っています。『64』を書き始めたのはデビュー間もないころで。初めての長編でしたし、私も力んでいたんですよ。短編の主人公の場合でも、かなりの負荷をかけて、その推進力で物語を展開していくので、長編になったらどれほどの負荷をかけなければいけないのかな、と。なので、度を超した重荷を背負わせてしまいました。


横山秀夫の経歴・略歴

横山秀夫、よこやま・ひでお。日本の小説家。東京都出身。国際商科大学(のちの東京国際大学)商学部卒業後、上毛新聞社記者を経て、『ルパンの消息』でサントリーミステリー大賞佳作を受賞し小説家デビュー。『陰の季節』で松本清張賞、『動機』で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。

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