松本晃(経営者)の名言

松本晃(経営者)のプロフィール

松本晃、まつもと・あきら。日本の経営者。カルビー会長兼CEO(最高経営責任者)。京都出身。京都大学大学院農学部修士課程修了後、伊藤忠商事に入社。産業機器・自動車・港湾機器などの輸出ビジネスに携わる。その後、伊藤忠子会社のセンチュリーメディカル取締役営業本部長、ジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル社長・最高顧問などを経てカルビー会長兼CEOに就任。

松本晃(経営者)の名言 一覧

世の中がまったく変わった。だから、社内の仕組みを変えて、悪しき文化を壊していった。


働き方が変われば、生き方が変わる。生き方が変われば、すべてが変わる。そのために悪しき文化と古い慣行は変えるしかない。働き方改革とダイバーシティは日本を良くするために、最もやらなければならないことだ。


多くの人たちは、生産性を上げるために新しいことをしようとするが、無駄なことをやめる方がはるかに効果は大きい。


充実した私生活を送っている人は、知識や教養が増えて魅力的になります。魅力的な人はいい仕事をして、それが会社の利益につながる。私は、会社とは「魅力的な人間を作る場所」であるべきだと思います。


豊かさとは「金銭的」なものだけとは限らない。いまの時代は「時間的」とか「社会的」な豊かさを求める人が増えています。会社はそれに応える必要がある。


「長くやるな、集中してやれ」。これは、私が口を酸っぱくして社員に言っている言葉です。誤解されがちですが、会社は社員に「時間をかけること」を求めていない。期待しているのは「成果」です。


朝は効率が上がる貴重な時間帯。「1日の仕事は、重要かつ緊急なことから始める」。これはビジネスで成果を出す鉄則。


経営を上手にやろうとすれば、夢を持たせてあげないといけないし、そうでなければ面白くないといけない。人が生きていて何が面白いかと言えば、実現するかどうかは別にして、夢に向かってチャレンジすることだと思っています。


経営の本質とは、すべてのステークホルダーに喜ばれること。顧客も、従業員とその家族も、地域社会も、世界も、環境も、株主も喜ぶということです。


世に出す前に、まず工夫。
世に出して失敗すれば、また工夫。


儲かっている会社と儲かっていない会社の違いは、儲けることにこだわっているかどうか。


経営は必ずしも難しいことをやっているわけではない。基本ができていれば、どんなことでも対応できる。


頭は良し悪しよりも、柔らかいのがいい。


働き方は問わない。大事なのは約束した成果を上げること。


会社というものは放っておくと無駄な仕事ばかりやってしまう。そんなものをやめて必要な仕事に集中すれば、短い時間で効率を上げられる。それがいい会社というものだ。


「儲かる会社」をつくるために、皆が納得するまで、辛抱強く説明しました。皆が納得しない限り実行には移してもらえませんから。


まず基本を押さえることが重要。基本的なことがわかっていなければ、結局身につかない。やはり基本は大事。


人生で一番大事なことは学ぶこと。


会社なんていつも問題だらけだ。トラブルのない経営なんてあり得ない。


逃げずに問題にぶつかっていった結果、将来が開けた経験が何度もある。


問題がビジネスをつくる。
問題のないところにビジネスは存在しない。


経営者にとっての最も重要な資質は逃げないことだ。嫌なことは誰でも好きではないのだが、人の上に立つ者が逃げてどうなるのだ!


トラブルが生じたならば、「よーし、俺の出番だ!」と前向きに考えるようにしている。トラブルは人を成長させる。


税金を払っていないのは、企業家として罪。みんながもっと稼いで税金を払えば、日本は国債を発行して借金をしなくても良いのですから。


経営はシンプルに考えるとうまくいく。


本質を見抜く感覚は、机上で養うのではなく、どんどん現場に出ることで磨かれる。


お客様は複雑に考えてはいない。シンプルな感覚が、本質を見抜いているともいえます。


一所懸命に考え、頭を使って工夫を凝らす。ビジネスで何が楽しいかというと、まさにそこです。


どんなことでも、考えて実行するのはそう難しくはありません。しかし、そこに工夫がなければ成功しないし、儲からない。


押さえるべき大事なポイントがきちんと分かっていれば、経営のやり方はどこも変わりません。どんな業種業界で、何をやっていても一緒。


会社経営は結果ありきですから、私も、何を大事にするのかを決め、それを実現するために必要なことを粛々と行なっているだけです。


ビジネスは常に目標から始まる。したがって、会社経営では何を目標に設定するかがまず大切。


経営はそれほど複雑怪奇なものではない。いくらシンプルにしても実行することは難しいのですから、複雑なことは、なおさらやりようがない。


新しいことを学ぶのは楽しい。私は、経営に関するもの以外にも様々なジャンルの本を読んでいる。


知識や経験、スキルを身につけ、それらを背景によほど考え抜かなければ、ビジネスにおける成功はおぼつかない。


何か新しい商品や事業を立ち上げるとき、「世のため人のためになるか」、「儲かるか」、「勝ち目はあるか」これらを常に考えています。


私にとっての経営の軸は何かと考えると、ビジョン、プラン、リーダーシップの3つで、これらが会社経営で最も大事なものだと思います。


企業の99%はトップで決まる。


大事なのは、現場を見ることです。現場を見ないとわからないことがたくさんあります。


世の中変わっちゃったんです。だから今、変わろうとしているんです。


常に結果に執着することが大切です。ビジネスは結果を出さないと、誰も幸福にならないんです。


成長に必要なことは、3つ。まず「学ぶこと」。次に「頭を使って考えること」。そして、「考えたことを実行すること」です。


目標を真剣に精緻に作ることによって、何を学び、何を考えるべきかがはっきりと見えてくる。


正しいことを正しくやって結果が出たら、黙っていても人はついてきます。


経営って、簡単なんです。難しく考える必要はちっともありません。


データとは過去のものなんです。過去のデータをもとに未来のことを占っても、当たらないのです。


買うか買わないかは、あくまでも顧客が決める。


組織というものは、全部悪いということはないんです。カルビーもそう。いいところもたくさんあったけれど、弱点もあったと。


世界は益々変化する。しかも、その変化のスピードは半端なスピードではない。そのスピードについていけるものだけが生き残り、成長し続けることができる。


日本の会社は学歴で社員を見ることが多いのですが、仕事と学歴とは関連性が薄い。


会社は学校と違うので、やらせてみなければ人材の真価がわからない。


成果を出すために自分の時間をどう使ったらいいかについて真剣に考えるといい。会社が求めているのが何時間働いたかではなく、成果だから。


大事なのは仕事の効率を上げて、会社を強くすること。時短は結果の一つにすぎない。


ビジネスはコミットメント(約束)から始まり、いったんコミットしたならばアカウンタブル(結果に責任を持つ)でなくてはならない。


私は、与えられた目標は何が何でも達成するぞと、その達成にこだわってきた。


企業の基本はやはり売り上げを伸ばして、利益を上げること。「コミットメント&アカウンタビリティー(約束と説明責任)」にこだわり、無駄な仕事をやめ、必要なものに集中すれば必ずそれは達成できる。たとえ数字上の業績は伸びていても、この基本が揺らいでいたら先は危うい。


会長に就任した際、私は「松本の10の考え方」を社内に示した。「人の評価はフェアに」「正しいことを正しく」といったものだ。その中で最も大事なものとして「コミットメント&アカウンタビリティー(約束と説明責任)」をあげた。仕事はすべて約束であり、その結果に責任をとるということだ。


当社では経営トップから現場まであらゆる段階の社員が「自分は今期、これだけの仕事(目標)を達成する」と約束する。ほとんどの仕事は数値にして示し、その結果で報酬のかなりが決まる。もちろん職位によってその程度は異なるが、約束に対してそうやって責任をとるのである。


「情報収集したり、知識を蓄えたりすること」と「頭で考えること」。2つのバランスが大事。1日の予定をやりくりして、「考える時間」を積極的に捻出することをお勧めします。ビジネスパーソンとして成長できますから。


「重要度は高くないが、緊急度は高いこと」は、人に任せても大丈夫なことが多いので、1人で抱え込まない方が時間を効率的に使える。


徹底した時間管理を意識しはじめたのは、新卒で入社して1、2年目です。仕事が面白く、社長を目指そうと決めました。その時からずっと、結果を出すために必要な行動に、時間を集中させることを大事にしてきました。


進むときも退くときも、いったん踏み留まって考える。この段階を急いではいけません。


「フルグラ」が売れたのは、これまでスーパーで米売場に置かれていたものを売れる売場に移しただけ。


ほとんどの方が難しく考え過ぎるから失敗するのであって、経営なんて所詮は足し算と引き算。簡単ですよ。自分たちが使っているお金が、投資なのか単なる費用なのか。そういうことを一人ひとりが分かるようになれば何も難しくない。


業績を伸ばすのは、経営者の責任。


組織を強くするには、総力戦で戦うしかない。


正しいと思うことを正しく議論することが、企業経営にとって何よりも重要だ。そのときクレドのように「何が正しいのか」を記したものがあれば、混乱を避けることができる。


私はわかりやすい言葉で伝えるように努力してきた。言葉がシンプルであれば、話の軸がブレてしまう恐れは少ないからだ。


働き方の改革は上からだ。


もっと知恵を使って新しい産業、製品、サービスを創出しなければ日本はますます衰退する。「日本人・男・シニア・一流大学卒」だけではもうやっていけない。


時代が全くといってよいほど変わってしまったのだから、働き方を変えないと会社に成長はない。


学ぶ心と姿勢を持っていれば成長できる。


組織は常に揺さぶっていないと活性化しない。


私は企業の成長に最も大切なのは、「人の成長」だと思っています。高い目標を掲げても、みんながその気にならなければ達成できないし、人が成長しなければ計画案も実行策も出てきません。


ビジネスの世界はすべて約束であり、それは必ず守らなければいけない、そして結果に対しては責任を取らなければいけない。


大事なことは、将来を意識したうえで現状を変えることです。


組織はつくった瞬間から硬直化が始まる。


海外企業との提携や交渉は片手で握手し、もう一方の手では殴り合う。そういうものでもあることを忘れてはいけない。


かつて生産者の力が強かった時代は、「コスト+利益=売値」だった。だが、今やそれは逆になった。消費者が値段を決める時代だ。だから「売値-利益=コスト」で考えなければいけない。


私は経営で大事なことは「結論から考える」ことだと思います。企業にとっての結論は、どんな業種であれ売上と利益を増やすことでしょう。その結論につながる最も簡単でコストの少ない方法を考えればいいのです。


交渉を成功させるカギは、「準備8割、実際の議論2割」だと思っています。そこで重要なのは情報です。それも「information」という単なる情報ではなく、労力をかけてこそ取れる真に重要な「intelligence(諜報)」です。それを基に仮説を立てて、相手の本当の目的を考えるのです。


私はカルビーの会長になってすぐに、「仕事の棚卸し」という運動を始めました。これは社内の仕事を、(1)会社にとって良いことで、現在実行しているもの、(2)会社にとって良いことなのに、現在できていないもの、(3)すぐにやめた方が良いものの3つに分類し、(1)はそのまま継続し、(2)はすぐに始め、(3)はやめるというものです。


トラブルが隠されたり、放置されたりすれば、会社に危機が訪れます。そうなったら、食品会社はいとも簡単に潰れます。


上司はトラブルの報告を受けたら、まず、褒める。叱ったら、その人は次から報告しなくなりますから。


ビジネスの世界はすべて約束で、その約束は必ず守られなければならないし、結果に対して責任を取らねばならない。


結論から考えることが大事。結果から考えて、それを実現させるにはどうしたらいいかを、帰納的に考える。


仕事は、重要で緊急なことから手を着けるのが原則。


新しいことをやる前に今、目の前にある無駄をやめることです。そうしなければ、新しいことなどできるはずがありません。


会社はすべてのステークホルダー(利害関係者)に対して、責任を負っています。優先順位の一番にくるのが、顧客・取引先です。


資料づくりも数値データに偏りすぎるのではなくて、読む人の気持ちや感性に訴えるアナログの側面を大切にすると、説得力のある効果的な資料になる。


ビジネスの情報はデジタルとアナログの両方が必要です。デジタルは各種経営指標のデータ、アナログは現場へ足を運び、五感を使って感じ取る情報のことです。


「鉄は熱いうちに打て」で、ビジネスの基本ノウハウは若いうちに身につけるのが一番です。


伊藤忠時代、ビジネス文書は新聞の一面記事にならえと上司から教わった。この構成なら丹念に読む時間がない相手でも即座に内容が理解できる。


組織というものは、放っておくと会議が増えます。会議で討議するうちに、また別の会議をつくってしまう。必要なのは会議ではなく、どう実現するかというアクションです。


資料は一円も生まない。立派な資料を作って自慢してみても、一円にもならないのだから意味はありません。


変革には痛みが伴う。「変革とは既得権を奪うこと」と私は定義している。既得権とは、「お金」「権力・権限」「地位・身分」のことだ。こんなものを一旦握ってしまうともう易々と手放す訳がない。力ずくで奪い取るしかない。


カルビー入社以来いろんな変革を一つひとつコツコツと進めている。その変革はどれをとっても会社の成果につながることだけだ。


海外ビジネスは利益率を度外視してでもやる、という日本の会社もありますが、私は利益の出ない仕事は絶対にやりません。


会社で一番面白い仕事ができるのはトップです。とくに大企業は、偉くならないと本当に面白い仕事はできません。


必要なことは、学び、学んだことを考えること。そして、何事も目的意識を持ってやることです。目的なしに学んでも意味はありません。


カルビーは随分と変わった。女性管理職比率は24.3%になり、政府が定めた2020年30%目標も射程圏内に入った。カルビーにとってダイバーシティは「やめられない、とまらない!」取り組みになった。


まだ伸びしろはあります。現状維持で満足していたら絶対に脱落してしまいます。社内でいつもそう言っています。


食品業界というのは本来儲かるものなんですよ。前職で医療機器や医薬品といつたへルスケア業界にいましたが、その次くらいに社会に役立ち、利益を上げやすい業界だと思っていました。テレビがなくても生きていくのに困りませんが、食べ物はなければなりませんから。実際、海外に目を向ければ、食品会社はどこも高収益を上げている。グローバルな食品メーカーは営業利益率が1 5 % 程度に達しています。


削減したコスト分を利益として社内に取り込んでいたら、カルビーは失敗していたでしょう。その分はお客さんに価格を下げることで還元しましたから、シェアが上がってきました。シェアが上がると工場の稼働率も上がる。そうすれば、全国17工場の固定比率は下がります。これが利益面で以外に大きかった。


企業には多くのステークホルダー(利害関係者)がいます。中でも最も重視すべきは顧客です。彼らへの責任の1番目は安心・安全を前提にした品質、次に価格、3番目が商品の供給、すなわちサプライチェーンです。カルビーは1番目と3番目は本当によくできていました。ただし、コスト意識が低かった。代表商品のポテトチップスなどは、競合商品よりも価格が10円以上高かったのです。


海外の食品メーカーは儲かっていますが、米国でスーパーを覗いても、商品の値段が高いわけではありません。むしろg当たりで比べてみると日本よりずっと安い。私の分析では、日本の食品企業は製造と流通段階で利益が6ポイントずつ削られている。だから日本メーカーは、海外勢の15%よりずっと低い平均3%とでしょう。例えば、世界中の企業を見ていると改めて思いますが、営業担当者全員にオフィスを用意しているのは日本ぐらいですよ。


クレドやビジョンが役に立つのは、とりわけ危機対応の時でしょう。昨年11月に起きた「堅あげポテト」にガラス片が混入したという事態でも、顧客の健康被害が絶対に起きないように、対象となる534万袋の製品回収や情報開示などに全社一丸となって動きました。こういう時にこそ立ち返られる価値観があることは大事です。上場してからもあらゆるステークホルダーから尊敬されて愛される会社でありたいと考えてきました。


株式会社だから株主の利益が究極の目標という考え方もあります。でも顧客を第一に考える経営は、結果的に株主の利益につながります。


ガバナンスのあり方を考えるうえで参考にしたのは、前職のジョンソン・エンド・ジョンソンの「クレド(信条)」でした。最初に勤めていた伊藤忠商事から移る際にもこれが決め手でした。クレドでは、まず顧客と取引先、そして従業員、3つ目に広い意味でのコミュニティー、最後が株主というふうに経営における優先順位を考えます。こうした順位に従っているとうまくいくのです。


パートナー企業を選ぶのは、結婚相手を選ぶ時と同じです。相手は美人なのか、実家は金持ちなのか。そういうことより大切なのは、オネスティー(正直さ)でしょう。海外では相手を騙そうとするのはある程度常識です。騙された方が悪い。そんな中でも正直な経営者や企業を選ばないとうまくいきません。これから誰かと結婚するとして、相手の資産を調べ上げても仕方ない。見知らぬ海外でパートナーシップを組むとなれば、何より相手がオネストであること、そして経営者が優秀であることが大事です。


以前いた会社で営業担当者がお客さんと1日平均でどれくらい実際に会っているかを調べてみたことがあります。わずか15分間でした。こんなことを言うとみんなに嫌われますが、日本企業のホワイトカラーは効率が悪い仕事をしていると思いますよ。


米国のフリトレーでは担当者が朝6時ぐらいに自家用車で商品搭載済みのトラックまで直接向かいます。そこで乗り換えたら、スーパーやコンビニエンスストアなどに配送して回りながら注文を取ってきます。私が午前11時に彼らに会えば、「今日は既に客先を7~8軒回った」なんて言うのです。日本の社員なら、昼前はまだお客さんに会ってもいない時間帯かもしれません。


日本人の味覚は驚くほど鋭敏です。だから消費者の要求水準は高い。ただ、日本人はイノベーションに長けているとは思えません。むしろ海外で生まれた商品のコンセプトを持ち込んで、修正するのが得意でしょう。日本市場で鍛えられた商品を米国市場向けに修正して売り込めばチャンスはあります。


PB(プライベート)を請け負う際にもリスクはあります。小売りが競合メーカーに同じような製品を作らせて、そちらに切り替えられるということも起こり得ます。こうしたリスクを防ぐとすれば、PBにしてもNB(自社ブランド)にしても陳列棚に並ぶのはすべてカルビー製品にしてしまうことでしょう。


「PB(プライベートブランド)=安値」という考えの時代からいくらか変わってきていて、より品質が良く、価格が高いものでも売れるようになってきています。メーカーにとってもそれほど悪くはないと思います。ほかの業界のOEMと違って、小売り側が在庫を持ちませんが、メーカーにとっては販促費がかからないのでPB商品の利益率の方が高いぐらいです。


改革をする前は設備投資も面白いようにやっていました。「地産地消」で大消費地の近くにどんどん工場を建ててしまい、現在全国に製パンを含めると17もあります。閉じるつもりはありませんが、いくら何でも多すぎます。その結果、業界2位の企業と比べて、減価償却の負担が7倍もありました。設備への投資自体は悪いことではありません。しかし、それは価格に跳ね返ります。


コスト削減といっても簡単なことしかやっていません。本部による集中購買に切り替えましたが、ボリュームディスカウントを狙ったわけではありません。カルビーの場合、それまで余計なものをたくさん買って、余ったら全部捨てるようなことをしていました。本部による集中購買化は、仕入れ先から原材料を買い叩きたかったわけではなく、こうした無駄な買い物をなくしたかったのです。


カルビーにはもともと力がありました。売上高は踊り場で、利益も低迷していましたが、もとの力を引き出してあげれば、良くなることはわかっていました。


会長職を引き受ける前提としてコーポレートガバナンス(企業統治)についてはしっかりやりたいという点がありました。取締役は会長の私と(伊藤秀二)社長以外、全員を社外の方にしました。


目標は、リーズナブル(道理に適う)でアチーバブル(達成可能)でなければ意味がありません。


目標を定めて、それを達成しなかったら、ビジネスなんてやる意味がない。裏返して言えば、目標設定の仕方が非常に重要なのです。


愛社精神などというものは無意味なものであり、意味があるのは、会社とのあいだに交わす契約だ。この仕事をいつまでにやると約束したら、確実にその約束を果たす。それが契約というものだ。


改革を進める中で、足は引っ張られませんでしたが、理解してもらうのに時間がかかることはあります。例えばダイバーシティなどは理解されるスピードが遅い。理解の度合いと行動の度合いはいつも正規分布で、早い人がいて真ん中の人がいて遅い人がいる。最初からいっぺんに理解されることは滅多にないですね。


私たちの仕事は人がいなかったら絶対にできません。自分の組織をよくするためにいつも優秀な人を探し、引き込んでいかなければ成果につながらない。


今、本部長には自分たちの組織を自由につくらせています。会社の中に優秀な人材を見つけたら、自分のところへ「盗んでこい」と言っています。盗まれたほうが悪い(笑)。だから常時フリーエージェント状態です。


失敗してもいいからチャレンジしてみなさいと言うことが大切。失敗には必ず理由があるからそこから学ぶ。失敗を許し、挑戦を尊ぶ企業文化に変われば、自然と優秀な社員が増えていく。


カルビーは創業家が50年以上、経営してきた会社です。創業者はとても優秀な人でした。したがって何でも自分でやってしまうから下の者は動きません。下手に動いて間違えてしまうと、手間ばかりかかりますから。それでも創業者がいるうちは、それはそれでよかったのです。しかし、今はカリスマがいませんから、社員一人ひとりが自分で何でもやるのだという風土に変えていかなければいけません。


社員が求めていることを理解すことも大事。経営者の要望と社員の要望のマッチングがあって、初めて人は動く。これは部長や課長と部下との間でも、相手にする人数は違うけれども、原理原則は変わらない。


企業経営者が求めることは非常に明瞭。それは成果。スポーツチームならその団体は勝つことが目的だし、企業ならその組織は成果を出すことが目的です。私も株主から結果を出すことを求められているし、私もそれを社員に要求しているわけです。


人を動かすということは、「何のために」するのかという問いかけから始まります。「何を求めているか」をはっきり示さないと、社員は動きようがありません。


土曜日の予定はバラバラですが、日曜日は極力、定型にしようと意識しています。年齢も年齢ですから、動き続ければくたびれます。私にとって日曜日は体のリコンディショニングの日。可能な限り決まったスケジュールにして、体調を整えるのです。


今、企業が社員に求めるものは、労働時間ではなく成果です。成果が上がるなら、どこで何時間働いたか、どれだけ休みをとったかは、問題ではなくなってきています。今盛んに議論されている「働き方改革」の本質は、ここにあると考えています。


ビジネスはできる限り高く、かつ達成可能な目標を立て、達成するという約束を株主をはじめとするステークホルダーと結び、その約束に徹底的にこだわって努力し、結果に対して責任を取る覚悟が必要。


経営者は株主の虎の子のお金を預かって事業を通じてそれを増やさなければならない。したがって、経営者はまず業績に対しコミットメント(約束)をしなければならず、さらに肝要なことはその約束に対し責任を持たなければならない。


世のため人のためになることは必要条件、儲けることは十分条件。


経営って2つしかないんですよ。「世のため人のためになること」と「儲けること」。それ以外のことを考えすぎると経営が複雑怪奇になってしまう。


カルビーの商品は確かにおいしい。でも、ただおいしいからというだけで売れるということは、絶対にありません。そこを勘違いしてはいけません。あれだけたくさんの商品が店頭に並んでいるなかで、お客様が買っていかれるのは、せいぜい1個か2個にすぎないのです。


私は健康のために、毎週日曜日に近所の公園の周りを一時間半歩き、そのあと定点観測と称してスーパー4軒とコンビニ6軒を回っています。毎週同じお店を回るのです。そこで毎回、気になる商品を3つ、4つ買ってきて、全部食べています。


同じスーパーの中には、一日に数万円の売上がある棚もあれば、まったく売れない棚もある。売り場を観察していると、よく分かります。そのような棚に置かれた商品は、商品自身がお客様を呼ぶのです。


私は、何か分からないことがあると、スーパーの売り場に2時間ほど立ち続けることにしています。売り場に立ってずっと観察をしていると、分かってくることがあるからです。


私はあまり難しいことを考えず、まず結論、すなわち目標を考え、その目標達成につながる最も簡単でコストがかからない方法を検討し、そのとおりに実行しているだけ。


よほどのことがないかぎり、社員の給料を下げてはいけません。社員に対して支払う給与というのは、会社の中で一番大事な投資です。これを経費と勘違いしていては、会社がうまくいくはずがありません。


ステークホルダーの中でも、一番が顧客と取引先で、二番は従業員とその家族。三番が地域社会や国、世界、地球環境という広い意味でのコミュニティで、四番が株主。この順番が大切。


今の時代、データや情報を増やそうと思えば、コンピュータでいくらでも増やせます。しかし、そのデータや情報の多くは役に立ちません。役に立つのはインテリジェンス、つまり諜報です。私なりに定義すれば、それは勝つための情報であり、ごく限られたものです。


ビジネスや経営に必要なものは地頭だと思います。地頭は、学校の勉強ができるかどうかということではなく、いわば持って生まれた頭のよさがあるかどうかです。


自分の主張を、できるだけシンプルでインパクトのあるメッセージに落とし込むことが大切。カルビーにも素晴らしい言葉があります。「やめられない、とまらない」。極めて単純な言葉ですが、かっぱえびせんだけでなく、カルビーのすべての製品の魅力をこのひと言で言い表わせます。考えた人はすごいと思いますね。


「松本のモノの考え方10」は、もう何百回、耳にタコができるくらい言っていますが、それでもまだ覚えていない社員もいると思います。それぐらい、話は伝わらないもの。


「十の考え方」にある「現状維持是即脱落」は、以前勤めていた伊藤忠商事の元社長がよく使っていた言葉です。また、本を読んでいて「この言葉は良いな」と思ったら、メモしておいて、スピーチで引用することもあります。


私もいまだに、自分の講演のテープ起こしを見て、「あ、またこんな話し方をしているな」と反省しています。自分の話を録音して聞き返しても良いと思いますが、一番良いのは、周囲の人に指摘してもらうことでしょう。すると、自分では気づかなかったクセに気づけます。


講演会やプレゼンなど、人の話を聴く機会はあるでしょう。そこで上手だなと思った人たちのやり方を真似してみる。プレゼン資料なども、これはわかりやすいと思うものは試してみる。すると、より自分に合った話し方や伝え方が見えてくるはず。


話をするときはつかみが大切。映画でもテレビ番組でもそうですが、最初の5分がつまらないものは、それから先を観る気になりません。本も最初の30ページがつまらなければ、読むのをやめる人が多いでしょう。同様に、スピーチも最初がつまらなければ、聞いてもらえなくても仕方ない。


いきなり良い言葉が浮かんでいるかというと、そうではありません。でも、ずっと考え続けていれば、金メダル級とはいかなくても、銅メダル級くらいのメッセージは出てくる。そうしたメッセージを実際に使ってみて、相手に響いているか、反応を見て、良いものだけを選び出している。


リーダーは人前でうまく話す必要がありますが、最初から上手な人は少ない。やはり場数を踏むのが一番。最初は及び腰だった人も、今では皆、堂々と上手に話せるようになりました。このように、社員に人前で話す訓練ができる場を与えることも、会社の重要な役目だと考えています。


海外事業の基本は、原材料も機械も人も現地で調達し、現地で売ることです。基本的に商品のクオリティーは守っていくつもりですが、日本と同一のコストで品質を維持するのは容易ではないので、そこは現地事情に合わせてやっていくつもりです。


ダイバーシティの推進は下から始めても進展しにくい。トップダウンで始めることが重要。「女性の活躍なしに、カルビーの将来はない」という確固たる信念のもと、性別のみならず、国籍、年齢、障がいの有無などの垣根を越えた多様性のあるダイバーシティ企業を目指しています。


「早く起きて、早く仕事をしに来て、早く帰る」それが一番。昔から「早起きは三文の徳」と言いますよね。早く帰って空いた時間は勉強したり、働き方を考えたりするための「自分の時間」に充てればいい。定時が過ぎてもダラダラと仕事をして、終わったら居酒屋で一杯飲んで帰るの繰り返しでは、成長できるわけがありません。


残業代が減って浮いたお金は、成果を上げた社員で分ければいいんですよ。残業代が減って、「コストが下がった」と喜んでいる経営者は愚かとしか言いようがない。社員の立場からすれば、何のための働き方改革なのか分からなくなる。やる気だって失せますよ。


成果は、必ずしも労働時間に比例するとは限らない。生産性を向上させれば、短時間でも成果は上がる。そのために経営者は、効率良く働ける環境や制度を作ってあげる。成果が出ない原因が会社側にあるなら、それを取り除いてしまえというのが私の考え。


生産性の高い働き方をするうえで最も大切なことは、ビジネスパーソンとしての能力を上げることです。野球選手が試合でヒットを打つために素振りをするように、ビジネスパーソンも成長するためには勉強をおろそかにしてはいけません。日々の鍛錬が大切です。


以前、私が社長を務めていた外資系企業では、当初は長時間残業が常態化していました。そこで、労働時間ではなく、成果をベースにした給与体系に変えました。すると、残業はピタッとなくなりましたよ。それでも業績は年々良くなりましたから、給料水準は3年間で2倍にアップできました。


目的が明確にならないと人は動きません。なぜ「働き方改革」を進めるかといえば、一言で言うと今より「成果を上げるため」。ひいては「社員が豊かになるため」のはずです。にもかかわらず、働き方改革の目的を明確にしないまま、残業時間の削減ばかりに議論が集中するのはナンセンスの極みです。


必要な資料はシンプルに仕上げて、打ち合わせが開かれる2日前までに、出席者に渡しておくといい。事前に読んでおいてもらえば、打ち合わせ中に資料を読み上げる時間を省ける。すぐに有意義な議論に入れます。


私は、結論の出ない打ち合わせが大嫌い。「ムダだからやるな」と、社内でしつこく言っています(笑)。報告ならメールで済むし、凝った資料を作る時間があるなら、その時間に取引先や現場に足を運び、顧客のニーズを探ることに使うべきです。


経営者は、「目の前の今日」にも「遠くの未来」にも、目配りすることが求められる。マネジメントを任された立場なら必要です。私は時間とエネルギーを、「今後1年間のことに20%、その次の1年間に50%、2年後以降に30%」注ぐようにしています。


「失敗はどんどんすべし」と伝えています。課長が失敗して潰れた会社なんてありませんよ。それよりも、彼らが失敗から学んで成長し、自分の頭で考えられるようになることが重要。


私は会長に就任した翌日、社長にすべての権限を委譲しました。同じように、社長は役員へ、役員は部課長へと、どんどん下に権限委譲をしています。すると、委譲された側には、やりがいと責任感が芽生えます。責任の所在を明確にし、その人に一任することが必要なのです。


会社の中に、知られてはいけない秘密なんてないんです。一つだけの例外は、インサイダー情報です。コンプライアンスを守っていれば、他には何も隠すことはないはず。オープンにしたほうが社内のコミュニケーションが良くなり、ムダも省け、仕事も速くなります。


当社の執務フロアには、ドアのついた会議室は一つしかありません。しかも、その部屋は全面ガラス張りで、長々と話すには不向き。落ち着かないから早々に切り上げよう、となります。


本社移転を機に、個人のデスクをなくしました。毎朝、出勤すると、その都度、コンピュータがランダムに座る席を指定します。その席に座っていられるのも最長で5時間。それを過ぎると移動しなくてはならないシステムです。すると、どうしたって書類を置く場所がない。必然的に書類が減るわけです。書類のみならず、余計なモノはいっさい置けない環境ですから、オフィスは常にキレイな状態。整理された空間では思考も活発になる。これも、仕事を速くするのに役立っています。


社長就任当時のカルビーには、とにかく不要な紙が多すぎました。膨大で複雑な資料が、冗長な会議のたびに作成される。紙の山と生産性の低い話し合いを、とことん省くことが必要でした。そこで私が行なったのが、書類を置けない環境を作ることです。


企業には必要条件と十分条件があります。必要条件は、世のため、人のためになること。しかし、それだけならばNPOやNGOでやればいい。しかし、企業である以上、利益を生むことが十分条件。重要性の判断基準も、ここに置くべきです。


まずはあれこれ考えず、重要かつ緊急な仕事に集中すること。そうすれば、その仕事は短時間で終えられる。そうして生まれた余裕の時間を、重要だけれども緊急性の低いことに充てればいいのです。


スピードというと業務を行なう速さに意識が向きがちですが、重要なのは不要な業務を排除すること。そうすれば、仕事は速く進む。


世の中の仕事はすべて三つに分けられる。「しなくてはならない仕事」「したほうがいい仕事」「しなくてもいい仕事一です。このうち、「しなくてもいい仕事」や「したほうがいい仕事」はしない。仕事のスピードアップはこの一点に尽きます。


カルビーは商品の品質も高く、一連のサプライチェーンも良くできていた。しかし、コストには無頓着だったのでそこにメスを入れただけです。品質にこだわるあまり、会社の本来的な意義である儲けることに対しての意識が弱かったのです。


企業経営というものは、「この指とまれ!」で同志を募り、集まった人たちと夢を語り、それを創り、皆で実現し、その実現が世の為、人の為となり、すべてのステークホルダーを喜ばせるというシンプルなこと。


私には5年後の世界、日本、産業、会社を予測・予知する能力はない。したがって、今年度および次年度の計画とその達成には大いにこだわっている。


取締役の大半は社外から選ばれるべきで、社内取締役は本来なら1人でいい。カルビーの場合、私は業界のことが分からなかったので、伊藤秀二社長と2人になったわけです。本来、取締役は経営を監視する役割ですし、いろんな社外取締役にいろんな角度から会社を監視していただきたいので今の形にしています。


会社が「販売並びに一般管理費(販管費)」と称する部分の中には、投資と単なる費用があります。人件費というのは一番大事な投資なんです。人件費を減らしたら会社が回らなくなります。だから人件費はむしろ増やします。


経営者に絶対的に必要なのは倫理観です。倫理観がない人は21世紀には生き残れません。そして人を大事にする。ただし、「面白おかしく」だけでは会社はやっていけない。私の経営のやり方は、成果主義、結果主義です。よくやった人は報われますが、やっていない人はそれなりですよということです。


まず、カルビーは以前からいい会社でしたが、問題が2つありました。ひとつは売り上げの成長が止まっていたこと、もうひとつはスナック市場を独占していたのに全く儲かっていなかったことです。その理由は、儲ける気がなかったから。やはり会社というのはモノをつくってお客様に喜んでいただくと同時に、利益を上げないと意味がない。だから儲かる仕組みを作っただけです。


「女性の活躍なしにカルビーの将来はない」。常日頃、社員にこう言っています。その理由は実に明解。世の中には、同じ能力の男女が同数いるのに、女性の力を生かさないで成長することはできないからです。優秀な人なら、性別、年齢、国籍問わず活躍してもらいたい。


社外取締役は日本人が3人、外国人が2人います。ただ有名なだけでなく、会社に対してモノを言って下さる方に入っていただいています。社外取締役から質問を浴びることで、気づきを与えてもらう。それがマネジメント、商品開発の上でも本当に参考になっているのです。


私がやったことは、カルビーが昔から持っていた手法を理論化しただけ。


私はアメリカに駐在していたとき、彼らの働き方に強い刺激をうけた。アメリカではエリートほど朝早く出社する。そして3時ごろには仕事を終えて、趣味のために時間を使う。私の同僚は仕事を終えてから、よく日が暮れるまでヨットに乗っていた。もちろん翌日はいつも通り朝早くに出社してくる。彼らは、よく働き、よく遊んでいる。なぜここまで違うのか。それは日本企業にそうした働き方ができる「仕組みと文化」がないからだ。仕事が終わった人間から帰る、という仕組みがあれば、「よく働き、よく遊ぶ」という企業文化が根付く。そうなって初めて、「残業は無駄だ」という正論を誰もが堂々とぶつけられるようになる。


私は店頭での鮮度管理をやめさせ、商品の回転率を上げるように指示した。たくさん売れば、商品は入れ替わり、店頭鮮度は維持されるからだ。現場からすれば、長年の取り組みを否定されたように思うかもしれない。だが、お客様からすれば、新鮮でおいしい商品が購入できるのであれば、鮮度管理の方法は問われないだろう。


日本でも「社訓」がある企業は少なくない。だが、実際の行動に結びついている事例は少ないように感じる。なぜそうなってしまうのか。おそらくそれは日本人が「音」や「韻」を重んじる民族だからである。内容のわかりやすさや実用性よりも、声に出して読み上げたときの美しさを大切にする。これでは口から耳に通り抜けてしまうだけだろう。一方、外国人がつくる「クレド」や「ビジョン」は、極めてプラクティカル(実用的)にできている。このため判断に迷ったときやトラブルが発生したときの拠り所になる。


私は組織を活性化させるために、より物理的な「組織」も破壊しました。当社は2010年に本社を移転しましたが、その際に部・課ごとに机を並べる一般的なオフィスをやめ、毎日、各社員の座る場所が変わるフリーアドレスのオフィスにしたのです。部や課が固まって存在すると、そこに人が安住します。すると、本来あるべき姿から離れてしまっていても疑問を抱かなくなってしまうのです。やはり組織は常に壊し続けなければなりません。


本社については人数を絶対に増やさず、「現場に対する公僕になれ」と言っています。本社の仕事は支援だけで十分です。


人は権限が好きだから、通常、自らそれを捨てようとはしません。そして、やがて目の前の権限を維持・拡大しようとするようになるものなのです。この時も、全社的に見ればおかしいと気づいた社員もいたかもしれません。でも、弊害があることにはっきりと気づかなければ、そのままになってしまうものです。それは、どんな組織でも同じではないでしょうか。


私がカルビーの会長に就任したとき最大の問題は利益責任が地域カンパニーと商品カンパニーの両方にあったことでした。そのため、利益が予定通り上がらなくても、誰も重く考えないし、責任も取らない。当然、いろんな課題があっても積極的に手を出そうとしませんでした。


重要なのは目標に最短で届く方法を探し続け、実行することなのです。私はデータが不要だと言っているわけではありません。科学的な経営は当然、必要だと思っています。大事なのは数字も使い方次第ということ。データの収集や分析が業績向上という企業にとって最大の目標に近づく方法になっているかを常にチェックしないといけません。


その仕事が業績という目標に向かっている仕事なのかを、常に確認していることが大事なのです。


私がカルビーに来る以前も社員はみんな一生懸命働いていましたし、少しでも利益を上げたいという気持ちを誰もが持っていました。でも、働き方や動き方が間違っていた。利益を上げる方法を知らなかったのです。


カルビーで私が取り組んだのは、ムダを徹底的に排除して効率を上げることです。その根本にある考え方は、「一利を興すは一害を除くに如かず(モンゴル帝国宰相・耶律楚材の言葉)」。害になることをひとつやめることは、利益になることをひとつ始めるよりよいという意味です。


米医療関連製品大手ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人社長からカルビー会長兼CEOに転じた私が最初にカルビーを見た印象は、「いい会社なのに儲け方を知らない」というものでした。シェアトップなのに儲からないのはなぜか。私に言わせれば、売上高や利益という企業が本来目指すべき目標に、カルビーという会社が真っすぐ向かっていなかったからです。途中で余計な仕事をしていたり、業績を上げるための「手段」がいつの間にか「目的」になっていたり。あまりにも効率が悪すぎたのです。


結局、高い目標を達成するためには、計画の作り方と、その計画を実行するための土壌や仕組みから変えていかなければならないのです。


現在やるべきことは具体的なものにして、短期計画中に必ず達成しなければなりません。


カルビーの会長に就任したとき、「現在」を起点にするのではなく、「未来」から計画を組み立てました。まず、将来カルビーがどこまで成長していたいかを想定します。そして、それを達成するためには今、何をすべきか、何を改革する必要があるかという現実的な計画に落とし込むのです。


私は伊藤忠商事やジョンソン・エンド・ジョンソンの時代に外国企業との多数の交渉に関わってきましたが、外国人との交渉には経験も大事です。はったりをかけてくる相手には、冷静な目的分析だけでなく、腹をくくって対応する気構えも大事だからです。企業としてはこうした交渉に強い人材の育成も怠ってはいけません。


冷静に考えれば交渉相手の幹部もサラリーマンなのです。確かに米国人は交渉の際に強気の条件を吹っかけてくることがあります。そんなとき、国際交渉の経験が乏しい日本人は必要以上に敵対的になったり、すくみ上がったりすることがあります。でも、彼らが一番気にするのは、会社に約束した計画通りの成果をあげ、責任を果たすことのはずです。だったらそれを満たして、こちらも損をしないようにすればいい。


私は、外国企業との交渉ではまず、その交渉の性格を考える必要があると思っています。性格とは、この交渉が「両者が権利など何かを取り合うためのもの」なのか、それとも「互いが一体となって、両者の利益を増やそうとするウィン・ウィンのためのものか」といったことです。そして、性格を考えたうえで大事なのは、「交渉における相手の目的は何か」「自分たちの目的は何か」を分析することです。特に重要なのは相手の本当の目的です。カルビーとペプシコの提携交渉が10年間もまとまらなかったのは、カルビー側が「ペプシコは当社に出資したがっているが、下手をすると乗っ取られるのではないか」と恐れたことがひとつの原因でした。一方、私は、彼らの本当の目的が「世界有数の市場である日本で、世界一のスナック菓子メーカーらしい利益を上げたい」ということではないかと考えました。ジャパンフリトレーは利益こそ出しているものの、ペプシコの期待にはほど遠いレベルに思えたのです。


日本企業が海外市場開拓にいつまでも苦手意識を持つのは、海外展開の計画を立案、実行、修正する力が弱いからではないでしょうか。


とかく男は地位とか権力が好きなので、会社でもいつも苦労する。だから、私は人事権を持たない。男社会には人事がメシより好きな人が多く、年中人事のことばかりに熱中している。結果として会社や組織はうまくいかないことが多い。組織社会の永遠のテーマと言える。


権限を委譲され、任されると人は元気になり、責任感を持って事に当たろうと努力し、成長する。だから、分権化が必要。分権化を実現すれば、社員の成長が促され、会社のレベルもおのずと上がっていく。


会社には本来、何の秘密もないはずです。ところが、偉い人はなぜか隠したがる。インサイダー情報を除いて、会社に秘密はないのです。情報は大抵、上に集まり、そこでとどまりがちですが、情報を上から流せば、社員はそれに応じて、様々なことを考えられる。すると組織が活性化する。


ビジネスは目標設定から始まります。達成可能な目標を決めて、どうすれば達成できるか考える。目標に最短でたどり着く方法を探し続け、実行する。企業にとっての結果、結論は、どんな業種でも、利益と売り上げを増やすことです。そのための、品もシンプルで、リーズナブルな方法を考える。これが、私のやり方です。


従業員の給料は、会社にとって「費用」ではなく「投資」です。その意味で、給料は会社にとって設備投資よりも大事な投資なのです。だから、儲かれば返す。当たり前のことです。そうすれば、皆もっと頑張ります。


「顧客」に対する責任は主に3つあります。1番目は「品質」、2番目は「コスト」、3番目は「供給」。カルビーは、1番目と3番目は大変よくできていた会社でしたが、2番目ができていなかった。だから、2番目のコストを改善したら、業績が良くなった。実に簡単な理屈なのです。


世の中にはいろいろな楽しみがありますが「一番面白い」と思ったのは仕事です。仕事は頭も使うし、リスクや失敗もある。エキサイティングです。私にとって仕事は、ほかの趣味よりずっと面白いもの。


そもそも会社というところは、そんなに難しいことをやっているわけではありません。何をやったらいいか正しく理解していれば、人はどんどん成長します。


ビジネスは「トータルの勝敗」なのです。例えば、相撲は15日で勝敗を決めます。全勝する人は、めったにいません。15日間終わった時、勝ち越していればいい。


私自身、これまでのキャリアの中で、たくさんの失敗をし、そこから学んできました。現にカルビーに入ってからも失敗はしましたし、これからも失敗するかもしれません。ただし、同じ失敗を2度、繰り返していないだけです。


大事なことは、失敗から学ぶこと。失敗から学んだことを、自分や会社の「アセット(資産)」にすれば、同じ失敗を繰り返さないし、失敗の経験から、強くなれる。


私は資料やデータを否定するわけではありません。各種指標を駆使してビジネスの方向性を決めるのもひとつの経営スタイルです。ただ、数値データに頼りすぎるのは考えものです。それは競馬新聞を見ればわかります。過去のレースで何着だったか、体重がどう変化したかと数値データばかり追っても、そう簡単に馬券は当たりません。


就任早々に訴えたのが「ノーミーティング、ノーメモ(資料)」です。つまり会議不要、資料不要という意味です。やるなと言っても本当に会議や書類がゼロになるわけではありません。それぐらい厳しく言って、ようやく少しずつ減っていく。私が言いたいのは、すべてをゼロにせよということではなく、ムダなものを省き、必要なものは合理的に進めていこうということです。


スーパーの売り場に立って、ポテトチップスの商品棚などを見ていると、さまざまなことに気づきます。たとえば、商品名はアルファベットより、片仮名や漢字のほうが目に飛び込んでくるのではないか、とかね。自分の五感を使って仮説を立て、それを数値で検証していくのが、アナログとデジタルの両刀づかいです。


結果を出すにはどうすればいいか。正しいことを正しくやる。自分が間違っていたら、即改める。正しいことを正しくやって結果が出たら、黙っていても人はついてきますよ。


大切なのは結果です。結果を出さないと社員は幸福にならない。首切りだ減給だと、ロクなことはない。


運動部みたいな鼓舞の仕方はしませんよ。鼓舞するって、僕流に言えば「夢を持とうよ」ってことです。会社も個人も夢を持とうと。会社が夢を達成したら、それは個人のところへ返ってくる。そしたら楽しいよと。


100という目標を立てて、90しかできない奴は言うまでもなくダメです。じゃあ、110だったら素晴らしいのかといえば、そうではない。それは目標設定の仕方がいい加減だったか、1年先を見通す力がなかったかのいずれかであり、ビジネスマンとしては失格なんです。リーズナブルでアチーバブル(達成可能)な目標を立てたら、100~101の間にピシャリと収める。これが一番正しい仕事のやり方なのです。


考えることがなぜ必要かといえば、結果を出すためでしょう。結果を出すとは、言い換えれば、目標を達成することです。目標をきちっと定めると、それを達成するには何を学び、何を考えればいいかが明確になってきます。


考える技術はないですね。強いて言えば訓練であり、習慣です。若いときから自分の頭で考える訓練を積むしかない。ただし、目標設定は大切ですよ。


法律の基本を知らないと、会社の経営はできません。もちろん弁護士になるわけではないから、必要最小限のことでいいのです。たとえば、独禁法。独禁法がどういう法律かを知らなかったら、経営はできません。


僕は社長業、会長業を選択したジェネラリストですが、ジェネラリストは何かについて無茶苦茶に詳しい必要はありません。しかし、一応は何でも知っておく必要があります。


ビジネスマンの究極的なゴールは、大きく分けて二つしかない。一つは、社長、CEOですね。いわゆるジェネラリスト。もう一つは、CIOやCFOといった特殊な技能を持った存在。いわゆるエキスパート。どちらを選ぶかによって、学ぶことはまったく違ってきます。


何でもかんでも勉強すればいいということではありません。まずは、何を目指すかをはっきりさせることが大切です。ビジネスマンとしての究極的なゴールはどこかを考えるのです。


よく電車の中の塾の広告に中学受験の問題が出ていますが、あれ、どう考えてもクイズでしょう。僕なんて一つもできませんよ(笑)。あんな問題ができて東大通ったって何の自慢にもならない。まして会社の経営なんてできるわけがない。経営はクイズじゃないんです。


受験勉強なんて、何の役にも立ちません。要するに記憶力とクイズでしょう。金太郎飴みたいな人間を作り出しているだけで、本当に頭を使う受験勉強なんてほとんどない。現場の仕事には何の役にも立ちません。


原点は、松下幸之助さんの教えですよ。ある部下が新しい事業を立ち上げたいと提案してきたとき、幸之助さんは3つだけ質問したというんです。

  1. 「それは世のためになりまっか?」
  2. 「その仕事やって、あんたウキウキしまっか?」
  3. 「その仕事、儲かりまっか?」

この3つでおしまい。僕は幸之助さんみたいに頭が良くないんで、2番目は省略させてもらっていますが、要するにビジネスで本当に重要なのは、この3つだけなんですよ。


私はカルビーを会社を「厳しく温かい」会社に変革してきた。「厳しい」とは結果・成果を求めることだ。野球でもサッカーでも結局勝たないと何も良いことはない。監督はクビだし、選手の報酬は増えない。下手をすると「戦力外通告」だ。では、「温かい」ということは何か? それは一人一人が結果・成果を出せるために環境と制度を整え、仕組みを変え、悪しき文化を排除することだ。


戦後から東西冷戦の終結まで日本の企業は儲かった。それは、「儲かった」のであって、「儲けた」のではなかった。「儲ける」には強い意志がないと実現しない。


企業は儲からないといけない。儲からないと何もできない。設備投資はできないし、新商品の開発もできない。従業員の給料・ボーナスも増やせないし、税金も払えない。社会貢献も十分にできないし、株主に十分な配当もできない。さらに、儲からないと株価は下がる。


グローバル化の本質は2つです。ひとつは「一物一価」。あらゆるものの価格が、漸近的に一定の価格帯の中におさまってしまうということ。もうひとつは「消費者主権」。生産者主権の時代は、コストを積み上げて利益を乗せて価格を決めていたけれど、消費者主権の時代は、顧客が買ってくれる値段から利益を引いた残りがコスト。そのコスト内で作らない限り、生き残ることができない。グローバル化した世界では、顧客の声を聴くしかないのです。


少子化の影響はボディーブローのように効いてきますね。


人口が増えない以上、日本国内で成長しようと思ったら人様(競合他社)のものを取るしかない。だからシェアをアップしたのです。


そもそも食品メーカーは、儲かるものなんです。日本の食品メーカーが儲からなかったのは儲けようという意欲がなかったんですよ。


ビジネスの基本はいつの時代も変わらなくて、「人を生かす仕事」をしていれば必ず儲かる。だから一番儲かるのがヘルスケア。だってガンに罹(かか)ったら、自分で治せないでしょう。手術を受けるか、薬を使うか、放射線当てるしかない。それで治ったら、最高にハッピーでしょう。だからヘルスケアは、どの国でも一番儲かるのです。その次は食品です。食品って、生きていくのに必須のものでしょう。70億の人間が毎日何か食べているんだから、儲からないはずがない。世界の食品メーカーはみんな儲かってますよ。


企業が儲からなかったら税金は払わない、月給も払えない、設備投資もできない。何もできません。いいことはひとつもありませんよ。


企業の使命はふたつだけです。ひとつは「世のため人のためになること」、もうひとつは「儲けること」です。


あらゆる企業は体育会でなければならない。体育会の目的は勝つことです。たとえ三部リーグのクラブであっても、二部リーグへの昇格を目指して戦う。それが体育会です。


食感というのは特許が取れません。でも、特許が取れないからいいんです。誰もが簡単に真似できないということですから。食感というのは、技術的には素材から水分を抜く技術ですが、カルビーは、この技術を60年かけて磨いてきました。


みんながもっと稼いで、税金を払えば、日本は借金をして国債を発行する必要もありません。世のため、人のための事業をして、稼ぐ。そして税金を納める。これが企業の役目です。


企業は稼がなくてはいけない。今の日本の一番の問題は、企業が稼げていないことにあります。税率が高いのはけしからんとは思いますが、税金を払っていないのは、企業家としては罪だと思います。


スイスに本社のあるネスレという会社があります。時価総額は約10兆円です。2位のペプシコの時価総額が6兆円強ですから、世界でもダントツの食品メーカーです。事業規模から言っても、ネスレとカルビーでは違い過ぎますが「それを目指すくらいの気概を持って仕事をしなさい。成長の機会はいくらでもある」と社員に言っています。


会社という組織を成長させようと思えば、投資をしなければ絶対によくならない。個人もよくなろうと思ったら、投資しないといけない。その投資とは何か。それは学ぶことだ。


会計は最低限、財務諸表が読めるレベルは必要です。私は農学部出身でしたから、新卒で伊藤忠商事に入社したとき、貸方、借方、バランスシートや、損益計算書などが全然わからず、徹底的に勉強しました。最初にある程度のところまでしっかり勉強したら、一生使えます。


私が必ず必要だと思うのは、「法律」「英語」「会計」の3つ。この3つだけは外せません。これらの基本的なことがわからなければ、これからのビジネスにおいて経営者は生き残ってはいけません。


思い返すと、自分の上司からも様々なことを教わりました。商社時代の上司からは、怒られながらたくさんのことを学びました。厳しい上司の言葉ほど強く記憶に残っています。


いい人と会って、いい話を聞くことで学ぶことも多くあります。そのために積極的にアプローチすることもありますし、講演会に行くこともあります。


とにかく面白そうな本を買ってきて、手当たり次第に読んでみる。面白くなければ、捨てればいいのです。ただ、私の場合は面白くても読み終わったら本は捨ててしまいます。捨てるからこそ、真剣に読むのです。


私がマネジメントを本格的に学び始めたのは、39歳で(伊藤忠商事の)子会社に出向したときのことです。潰れそうな会社の立て直しを任されました。そのために自分でやれることは何でもやりました。45歳までの6年間は非常に勉強になりました。そのとき、実際の仕事で学ぶと同時に、多くのことを本から学びました。


トップになる条件は、ジェネラリストであることです。ジェネラリストはエキスパートではないので、何でも詳しいというわけではありません。しかし、基本的にわからないことがあってはいけません。そのためには自分で学ぶしかないのです。


私は大学時代、オペレーションズリサーチを学びました。もともとアメリカで生まれ、どうしたら戦争に勝てるのか、つまり、どうすれば目標を達成できるのかを研究する学問です。戦争の目標は勝つこと。ビジネスも最初に目標を決めて勝つことが大事なのです。


会社の経営はもともと難しいものではありません。問題点を見つけるときも、複雑に考える必要はありません。儲けるという目的意識で見ると、答えが出てきます。たったこれだけのことで180度結果が違うのです。


今やどのメーカーの商品もおいしい。それなのに売れるものと売れないものが出てくるのはなぜか。それは結局のところ「身銭を切ってでも食べたい」と人に思ってもらえるかどうかが分かれ目になっているからです。自腹で買ってきて食べてみて、「また買いたいと思うかどうか」を自分で判断することでしかわからないんです。


私は、お店で見かけた気になる商品は自社も含めて全部自腹で買い、家に持ち帰って食べてみます。パッケージを見て、味を確かめながら、その商品が今後も継続的に売れていくかどうかを予測するのです。そして次の日曜に、お店に確かめに行く。「売れ続ける」と予測したものが翌週・翌月も置いてあれば正解。逆に予測が外れたときは何が原因かと考えます。そうやって自分の勘を養っているわけです。自社と他社がどんな商品を出しているか、どんな商品が今後も売れ続けるか。そういった現場感覚を磨いておくことがとても大事。


「残業が多いのは上司が悪いから。部下の時間を奪っているのは上司だ」「女性活用において、カルビーは一世紀遅れている」など強い言い方でメッセージを発することもあります。人を動かすためには、多少、ショックを与えることも必要です。本当に百年遅れているのかどうかはわかりませんが、その程度のホラは許されると思って話しています。


私は新卒で伊藤忠商半に入社したのですが、当時の越後正一社長は、ことあるごとに「名を成すは常に窮苦の日にあり。事を敗るるは多く得意の時に因る」と言っていました。「成功しようと思ったら、しんどいときにちゃんとやっておかないとダメだ。良いときに浮かれて気を抜いてしまうから、失敗する」という意味なのですが、とにかく何度も何度も聞かされたので、40年以上経った今でも覚えています。しかし次の社長は、いろんなことを言っていたので、あまり覚えていない(笑)。言うことは絞らないと伝わらないのです。


相手の記憶に残すためには、「いろんなことを言わずに、同じことを何度も言うこと」も重要。そもそも、理解力が高い人でも、自分の話を一発で理解してくれるとは限りません。多くの人は、たとえ社長相手だとしても、話を真剣に聞かずに、適当に流して聞いているものです。聞いているかどうかわからない人に、自分の話を伝えるためには、同じことを何度も言うしかありません。


マンツーマンで話すときには、相手が理解しているかどうか、確認しながら話す。大勢に向かって話すときも、相手に合わせます。たとえば、話を聞く相手が100人いるとしたら、各自の理解力は皆違いますから、その中でも上から75番目くらいの人を意識して話します。最も理解力が低い人に合わせて話し、全員に理解してもらうのを目指すのが理想ではありますが、それはなかなか難しい。75番目くらいの人に合わせようと思うと、ちょうどいい話ができると思っています。


人を動かすには、相手に合わせて話すこと。それに尽きる。なぜ話が心に残らないのか。話の中身がないということもありますが、一番の理由は、相手に合わせた話し方をしていないから。相手がどんな人かを考えないで、難しい言葉や聞きなれない言葉を使って、自分の言いたいことを一方的に話してしまう。大学教授など知的な人に多いタイプですが、ビジネスマンにも少なくありません。難しく話さないと、格好がつかないとでも思っているのでしょうか。でもそれでは、相手に理解してもらえませんから、なんの意味もない。ただの漫談になってしまいますよ。


日本企業の中には無駄な仕事が本当に多い。目標に向かって進んでいるつもりでも、必要のないことばかりをやっているといってもいいくらいだ。会長に就任してすぐに社内の業務の棚卸しを始めた。社内の仕事を「(1)会社にとって良いことで今実行しているもの」「(2)良いことなのに実行できていないもの」「(3)すぐにやめた方がいいもの」の3つに分類した。(1)は継続、(2)はすぐに始め、(3)はすぐにやめた。


「緊急度は高くないが、重要度は高い」と判断して、まだ手をつけていない仕事は、メモに書いて、スーツの胸ポケットに忍ばせています。それぞれの案件の最初にチェックボックスを書いておき、やり終えたらチェックを入れる。スキマ時間に見返して取りかかれば、時間を有効に使える。この習慣も20~30年前から続けています。


会長になっても電車通勤をしています。電車内でやるのは「考えること」か「読書」ですね。前者なら、経営や会社に関するテーマを決めて、解決策を練る。スマートフォンの画面をずっと見ているビジネスパーソンが多いですが、非常に時間がもったいない。情報収集は、確かに必要です。しかし、自分の頭で考えることをおろそかにしてはいけない。


私が一番大事にしているモノは、「時間」です。「余計なことはしない」、これに尽きます。時間は有限です。「結果」を出すためには、本当に必要なものに集中することが求められます。それ以外のことはしなくていい。必要かどうかの判断は簡単で、「結果につながるかどうか」にフォーカスして考えます。


ダイバーシティなしに会社は成長しませんし、特定の人たちだけで、ビジネスのゲームはできません。例えば、昔、読売ジャイアンツは純血主義で日本人選手だけでやっていましたが、今そんなことをやっていたら絶対に勝てない。同じことは会社にも言えます。そうなると今、一番活用できていないのは女性、次に外国人、障がいを持つ人。それ以外にもあらゆる人たちを戦力にしていかないとこれからは勝てません。


私は60~75歳は、人生をエンジョイする時期だと思っています。「それは若い頃では?」と思う人もいるでしょう。しかし若い時に「エンジョイ」してばかりでは、後に何も残らない。趣味やスポーツ、余暇を楽しみ、「人生をエンジョイする」のもいいでしょう。しかし私は、人生で大事なことは、世のため人のために働くことだと思っています。そのためなら、若い頃の時間はある程度、犠牲にしてもいい。その結果うまくいけば、60~75歳はエンジョイしてもいいのではないか。そう思っています。


時間で働く時代は終わった。一人一人がもっと学び、文化・教養を高め、心身共に健康になり、家庭生活を大切にする。そんな人が人間として魅力的になり、知恵を使い良い仕事をして会社に貢献する。そうすれば、会社は新製品、新規事業を興し、発展し、利益をあげられる。そして、貢献してくれた従業員にもっと還元できる。


社内でもよく言うんですけど、本はたくさん買えと。いっぱい買って必ず最初の30ページは読めと。30ページ読んで面白くないものは捨てろ。全部、読んだものも捨てろ、と。本を捨てろというのは、そうしないと一生懸命読まないからです。1回読んだら自分の目の前に二度と現れないと思ったら、真剣に読みますから。私の場合、残す本は少ないですね。捨てて、もう一度読みたかったらまた買えばいい。それほど本は安いと思うんです。


会社の近くに三省堂があるんです。本屋さん、楽しいですよね。昼休みに20分くらい寄るんですけど。私は、本はできるだけ気がついたら買うんです。世の中で本ほど安いものはないですよね。1冊1500円としても、10冊まとめて買っても1万5000円。1冊だけなら、昼飯代に毛がはえたくらいなんですよね。この堺屋太一さんの『組織の盛衰』は、私が転職した直後に買ったんです。1993年の夏ごろだと思います。私にとったら、何百万円どころか何千万円、ひょっとしたらもう一桁多く、この本で稼いでいるかもしれないです。


社長に就任してすぐ、「ノーミーティング、ノーメモ」と号令をかけた。つまり会議不要、資料不要。これはカルビーだけではないです。私は資料を作る人よりも、それを褒める人のほうがもっと悪いと思うんです。ろくでもない資料を、キレイに作ったからと褒める人がいますね。確かにキレイに作るんですよ、今はパソコンを駆使して。ところが中身はない。資料は1円も生みませんから。


かつてのカルビーは、データをコストをかけてきめ細かく収集・分析し、精緻な販売予測をつくっていた。販売量が伸びないとみると、原料の調達を抑えたりしていた。すると農家は、もともと生産量が伸び悩んでいるうえ、手間のかかるジャガイモの生産を減らそうとする。ところが、その予測は外れてばかり。それよりジャガイモを大量に買って生産し、工場稼働率を上げてコストを下げた方がいい。値段を下げてシェアをとって業績を伸ばすのである。


いま、私はカルビーの社内で「もう一度基本に戻ろう」と言い続けている。手前味噌だが、私が会長兼CEOに就任して以来、当社は業績をかなり伸ばしてきた。売上高は1.8倍、営業利益は6.5倍となった。しかし、ここ2~3年は成長速度が鈍っている。売上高も利益も伸びてはいるが、不安だらけなのだ。なぜ、成長が鈍化しているのか。原因の一つは基本が忘れられようとしていることにあると私は思う。


会社に長くいてもいいことは何もないですよ。オフィスは世界中で「最も快適な場所」かつ「最も危険な場所」だと私はよく言っているんです。夏は涼しく冬暖かい。快適だからこそ慣れるとずっといたくなる。そして、仕事をしている気になって何の役に立つのか分からない資料を量産してしまう。オフィスで考えた仮説なんて当たらないですよ。つまり、成果も出ないのに働いた気にはなれるから危険なのです。


散歩をよくしていますね。週末は3時間ほどかけて歩いています。最初の1時間半は決まったルートを歩いて、残りの時間でコンビニエンスストアを6店、スーパーを4店回って、カルビーとその競合商品をチェックしています。いわゆる定点観測です。コンビニは商品の入れ替えサイクルが早い。先週あった商品が今週は置いていないというのは当たり前。売り場から撤去されたということです。どうしてその商品が売れなかったのかを考えるようにしています。


早く帰れるようになると、人にもよりますが、変わる人間は大きく変わります。ビジネススキルを学ぶ人もいれば、教養を深める人もいる。メタボな人はジムに行って健康になるなど、それぞれが考えて行動し始めますよ。人間としての成長を考えれば、家族との団らんに時間を充てるのにも、大きな意味がある。朝はみんなバタバタしていて、家族でゆっくり食事をする時間なんてないのですから。おかげで弊社の「フルグラ」が売れているんですけどね(笑)。


部下を持つ人は、組織全体で生産性をアップして成果を上げるための勉強をすべき。会社も学びたいという人は積極的に支援してあげるべき。例えばビジネススクールに行きたいなら費用を出してあげる。社員が知識を得るというのは会社にとって「投資」ですよ。管理職に支払う役職手当が少なすぎるのも問題です。チームを率いる大事な仕事ですから。手当が大幅に跳ね上がるなら、みんな目の色を変えてマネジメントを勉強すると思いますよ。


能力を上げるための勉強をするには時間を作らなければなりませんが、そのためには成果につながらない「つまらない仕事」をやめることです。ただし、最初は何が「つまらない仕事」なのか見極めが難しいかもしれません。ムダそうな会議や体裁ばかり整えて中身がなさそうな資料作成などに取り組んだら、本当に会社の利益につながっているのかを検証する意識を持ってください。実験的にやめてみて、やはり成果がないと分かれば、完全にやめてしまえばいいのです。


私は社員に「会社が評価するのは成果」というメッセージを常に伝えています。すると、少しずつ自分で考えて働き方を見直す社員が出てくる。世の中、制度を変えたからと言って「ヨーイドン」で全員が同時に走り出すことはあり得ません。すぐに飛び出す社員もいれば、いまだに動かない社員もいますが、全体としては、徐々に会社が示した方向へ変わっていくものです。ですから全員がついてこなくても「会社の方針はこうだ」ということを常に示さなくてはなりません。


勉強する、教養を深める、ジムで体を鍛える、家族サービスをする。何でもいいんです。そうした時間が、ビジネスパーソンをより豊かで魅力的にする。「人は買いたいモノを買うのではない。買いたい人から買うのだ」。仕事は、相手あってこそ。その仕事でいい働きができるのは、魅力的な人です。締め切り意識を持って、1日24時間を有効に使ってください。


社員に「早く帰れ。終わったら帰れ。オフィスにいるな」とハッパをかけています。その日にやるべき仕事が終わったら、14時に会社を出ても構いませんよ。「仕事が終わったら帰る」と漫然と働いていたら、残業になるのは当然です。ところが、自分で「会社を出る時刻」を決めた瞬間に、時間の使い方を工夫するようになる。効率的に働けます。


人間は弱い生き物です。難しい仕事やプレッシャーがかかる仕事は後回しにして、ラクな案件から手を着けてしまうのは、うなずけます。私は20代の頃、紙に書いて仕事の優先順位をハッキリさせていました。重要度を縦軸、緊急度を横軸にした図を使って、抱える仕事を「見える化」する。そうすると、「重要かつ緊急なこと」に着手する意識が高まります。40年近く続けているので、今は頭の中で優先順位をつけられるようになりました。このやり方が体に染みつくまでは、紙に書いて「見える化」し、敬遠しがちだけど真っ先に手を着けるべき「重要かつ緊急なこと」を再確認した方がいい。


高度経済成長時代なら、「成果主義」の私でも長時間残業を高く評価しますよ。例えば商品を1時間で1台作るとします。そのペースで100時間働けば、100台作れるでしょう。当時は、「かける時間の長さ」と「成果」がほぼ比例していましたから。しかし現代は違います。効率よく働くことを徹底的に意識・実践して、ようやく成果が出る。求める結果を最短距離で出すために、どんなアクションが必要か。そこを見極め、時間を有効に使うビジネススキルが欠かせません。


人件費を、経費ととらえる経営者がうまくいくわけがない。人件費は投資ですから。給料もたくさん払ってあげればいいんです。だから労働組合に対しては、もっと要求しろと言っています。要求しても全部受けてやると。その代わり、もっと働いてくれと。長く働けと言うことではなく、効率的に働いてほしいということです。


会社も5か年計画みたいなものを作るのではなく、夢を作って1歩でも近づいていくほうが楽しいですよね。だから、我々は、毎年5月に2日間かけて「Dream Come True!」と名付けた会を開き、「7年後のカルビーの夢」を語り合っています。期間は10年先では長過ぎるし、3年や5年では短いので、7年先としています。例えば、売上高1兆円、利益2千億円といったホラとも言える夢を決め、その大きな夢をどうすれば実現できるかをみんなで考える環境づくりをしています。


工場の閉鎖などは全くしていません。僕は、もともと人を切るのが下手で、昔からあまりやらないんです。(製造原価を下げるために)人を切りたくなければ、たくさん作ればいいわけですから。結果的には工場の稼働率は60%だったのが90%近くまで上がっています。実に単純な仕組みなんです。カルビーの商品は、競合と値段が同じなら間違いなく売れます。この仮説の下に変動費を下げて、下がった変動費の分を値下げしてシェアを上げ、固定費を下げた。当時65%だった固定費は10%下がりました。その分は利益になりました。


儲けとは、所詮はモノを売って売り上げからコストを引いた分をたくさん残すことですから、まず手を付けたのは製造原価を下げることでした。当時、カルビーの製造原価は65%で、2番手の競合会社より13%高かった。コストが高い原因がどこにあったかと言えば、実は製造拠点の稼働率が低かったんです。カルビーはかつてあちこちに工場を造ったのですが、稼働率は60%ぐらいでした。稼働率を上げるために、どのような仕組みを作ったらいいかということ考え、実践しました。


良い「ビジョン」の次は良い「プラン」だ。どんな政策とか、どんな商品・サービスとかを、いつまでにどれだけという具体的な「プラン」が必要だ。良い「ビジョン」があり、良い「プラン」ができれば、残るのは「リーダーシップ」しかない。ことごとくビジネスであろうが、プロ野球のチームであろうが、政党であろうが「ビジョン、プラン、リーダーシップ」の3つが成功の要素であることは共通だ。


会社でもプロ野球のチームでも、無論政党でも、成功したり勝ったり政権を握ろうとすればまず最初にあるべきは「ビジョン」だ。「ビジョン」というのは曖昧な英語なので、何となく分かったような分からないような言葉なのだが、「ビジョン」は分かりやすく言えば「この指とまれ!」だ。「私(たち)はこんなことを実現したい。しかし、1人や2人ではできない。だからココロある人はこの指とまれ!」なのだ。良い「ビジョン」には良い人が集まる。


私は読書ほど最良にして最も安上がりな自己投資はないと思っているんです。だから、私をこの会社(カルビー)に誘ってくれた創業者の三男で相談役の松尾雅彦さんと2人で「松塾」という私塾をやっているんですね。月に1回、土曜日の朝10時から夜7時半まで2食付きダダ。うちはあまり非正規の入っていないんですが、極端なことを言うと「アルバイトでも誰でも来なさい」と。人生で一番大事なことは学ぶこと。「学びて思わざれば則ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あや)うし」だと。もう50~60回やったんですよね。1回25人くらいだから延べ約1500人。こんなものはしょせん草の根だと思うんです。しかしこういうことをコツコツやっていると、学ぶというクセがついてくると思う。成長するのに手っ取り早く、安くできて、一番効果があるのは読書に決まっています。


松本晃(経営者)の経歴・略歴

松本晃、まつもと・あきら。日本の経営者。カルビー会長兼CEO(最高経営責任者)。京都出身。京都大学大学院農学部修士課程修了後、伊藤忠商事に入社。産業機器・自動車・港湾機器などの輸出ビジネスに携わる。その後、伊藤忠子会社のセンチュリーメディカル取締役営業本部長、ジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル社長・最高顧問などを経てカルビー会長兼CEOに就任。

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