松岡修造の名言

松岡修造のプロフィール

松岡修造、まつおか・しゅうぞう。日本のプロテニスプレーヤー。東京出身。10歳からテニスを開始。高校3年で単身渡米しプロに転向。95年全英ランキングベスト8に入る。世界ランキング46位まで上り詰める。両膝の半月板損傷、足首の靱帯断裂など大きな病気やけがをしつつも果敢に戦い抜いた。日本男子プロテニス界を代表するプレーヤー。引退後は後進の指導をしつつ、明るく元気なキャラクターを活かしテレビなどでタレントとして活躍した。

松岡修造の名言 一覧

最適なサポートの形というのは、相手に寄り添ってみなければわからない。


真面目な人ほど、今自分の目の前のことばかりに意識が向いてしまいます。そんなとき僕は、「真剣」であっても、「深刻」にはなるなと言っています。この2つの言葉は、似ているようで違います。「自分はもうダメだ」「俺はどうせダメなんだ」などと「深刻」に悩んでいるとき、心のどこかに言い訳があるはずです。「もうダメだ」と思えば、それ以上何の努力もしなくてすむからです。でもそれでは問題は解決しない。言い訳のために深刻なふりをするのはやめ、そこから抜け出す方法を真剣に考えるべきなのです。


僕は今までやってきたことを少しも変えていない。周りの評価が変わっても、自分を評価するのは自分だけですから。


チャンスはいつやってくるか分からないからこそ、目の前のドアが開くまで叩き続け、失敗や苦しい経験をし続けるしかない。


失敗はダメじゃないんだ。失敗してこそ自分が見えてくるんだ。


挫折や崖っぷちは自分を変え、成長させてくれるチャンス。トップアスリートで挫折を経験していない人はいません。


生まれながらに自信満々の人などいません。自信を持ちたいから頑張れる。


面白くないならば、面白くするように仕掛ければいい。


紙に書き出せば冷静に自分を客観視できる。


挫折や敗北の受け止め方は、自分の心次第で変わる。捉え方によって自ら変えることができる。


自信がなくても、自信が持てるところまで頑張るために、やればできると信じ込むしかない。


僕は、「一所懸命」が大事だと思っているので、目の前のことに命を懸けながら生きてきました。


良いときと比べるのではなく、そのときにできるベストを尽くすことが大切。体調が万全でないなら、その状態でベストを尽くすにはどうすればいいかを考えればいい。


練習したことによって試合当日に疲れを残してしまうのはマイナスです。大事なときに気力、体力ともにピークを迎えるには、休む勇気も必要です。


僕は、悩んだ時、戦略を考える時などは、ノートや紙などに箇条書きで心の声を書き出しています。アイデアや本心を掘り起こす力がつきます。


頑張れという言葉が効くのは、きちんとした目標と方法論がある中で努力して、諦めそうになった時だけ。


私も、ややもするとすぐ「自分はもうダメだ」「失敗してしまうかもしれない」とネガティブ思考に陥ってしまいます。だからこそ、自分にストップをかけ、自分を励ますのです。「がんばれ修造!」「おまえならできる!」。気合いを入れて大声で叫ぶ。すると不思議なことに力が湧き上がってきます。皆さんもネガティブ思考に陥りそうになったら、自分を励ます言葉を自分自身にかけてみてください。


限界を決めるのは他人じゃない。あくまで自分自身。


一見遠回りに見えることが、実は成功への近道。


一流と呼ばれる人は共通して「応援される何か」を持っているように思う。ひたむきに努力する力、素直な心や謙虚な姿勢……。周囲はその何かに心打たれ、応援せずにはいられなくなる。


大切なのは「明確な目標」と、「達成するための覚悟」。明確な目標と、何が何でも叶えたいという執着があったから乗り越えられた。


どんな環境でも、自分で考えて行動できる力とメンタルを持って努力しない限り、世界で勝てないことを身をもって知った。


「好きなこと」「自分にしかできないこと」に一所懸命になれているからこそ、僕の思いがストレートに視聴者に伝わっている。


僕は消極的で弱い心に流されてしまう子でした。テニスで勝ちたいという目標があったから、挫けそうになるたびにもがき、必死に自分を変えてきた。


苦しんで必死に頑張れば必ず結果がついてくるものでもない。「正しい頑張り方」をした人こそが結果を出す。


天才・偉才と呼ばれる人は、上から自分を見るような客観的な視点が、自然に持てている。


僕がジュニア選手を見るときは、いまではなく10年後にどうなっているかという視点で見ています。


強制的に練習をやらされるということは、基本的には自分がなくなっちゃうことなんだ。


「現役時代、ああすればよかった」というのはもちろんあります。でもそのときできていないんだから、それが実力です。


僕が特別頑張っているとは思わないです。自分は大したことないって思ってる人だって、本当はすごく頑張ってるはずなんですから。


自分がメンタル的に強いなんて思ったことはありません。だからこそ、メンタルトレーニングには懸命でした。


テレビで伝えるときは、ありきたりの解説ではなく、僕にしか伝えられない言葉で伝える努力をしています。


100回叩くと壊れる壁があったとする。でもみんな何回叩けば壊れるかわからないから、90回まで来ていても途中で諦めてしまう。


失敗してもいいんだぞ。失敗すれば、どこが悪かったのかわかる。失敗を恐れて何も行動しなくなるのが、一番よくない。


人と同じことをしなきゃいけないという思い込みから自分を解放してあげましょう。


最高のパフォーマンスは必ずしも全力投球からは生まれません。


子供の才能を伸ばすには「いいね」「上手いね」「すごいね」と長所を見つけて褒めることだとよく言われます。これは大人にも当てはまることです。


人間は、ひとつの嫌なことに焦点を当てると、そこからどんどん悪い方向に考えてしまいがちです。相手をより悪く見せ、状況をより悪く感じさせる負の想像力には、すさまじいものがあります。


迷ったときは必ず、ツライ道とラクな道がある。人はどうしてもラクな道を選びたくなるけれど、一度ラクな道を通った人間は、次もラクな道を選んじゃうことが多いんだ。無力感に襲われて現実逃避したくなることは誰にでもあるけれど、そのとき、「本当にこれでいいの?」という自分の声に耳を傾けて欲しい。


完璧な人間などいないのですから、自分に対して「小さな失敗はしょうがないか」と思える寛容さがないと、息苦しくなってきます。ミスはミスとして認め、次に向かっていけばいいのです。


大切なのは失敗しないことではなく、同じ失敗を繰り返さないということです。


僕の場合、悪い状況から抜け出す方法は、「嫌なことはすぐに忘れる」「悔しいときは一人になって思いっきり叫ぶ」といった単純なものが多いです。


自分にできることを見つけてアクションを起こさない限り、ものごとは先には進みません。


スポーツでも仕事でも、トップレベルの人を見ると、「最初から特別だったんだろうな」と思いがちですが、いきなりトップクラスに入れる人なんて、ほんの一握り。みんな、「少し上のレベルで踏ん張るうちに慣れてきて、自然と実力がアップしていく」という過程を踏んできているのです。


第三者的に状況を見ることができる人は強い。


自分の価値観だけを基準にして、あまり人に期待しすぎない方がいい。期待が大きいほど、裏切られたときの失望や怒りは大きくなるからです。


「やってられないよ」と思ったとき、「でも俺、頑張ってるよな」とつぶやいてみてください。「頑張ってる私って、結構いいな」と、自分を好きになってください。その方が生きやすくなるとは思いませんか?


常識にとらわれないようにしましょう。たとえば、「睡眠は8時間とるべき」という常識にとらわれると、7時間しか眠れなかっただけで焦り、それが逆に大きなストレスになってしまいます。肝心なのは、自分なりの基準をつくりあげること。それが本当の自分らしさにつながっていきます。


人前で緊張するのは自然な反応です。プレッシャーが人を強くします。逃げ出したくなるような感覚がなくなったら、モチベーションもなくなってしまうような気がします。


いきなり大きな達成感が来るのを待っていても、たぶん、いつまでたっても来ない。でも、小さな達成感を味わうことは、毎日の生活の中でできます。日々、小さな達成感を見つけていけば、いまの仕事がもっともっと好きになれるのではないでしょうか。その小さな達成感は、池に投げ入れた小石が水面に穏やかに波紋を広げていくように、人生をじわじわと楽しい方向へ変えていく。僕はそう信じています。


過去の経験は、すべて現在につながっています。昔のことばかり蒸し返すより、「楽しいことも嫌なことも全部ひっくるめた過去が現在を形成している」と考える方が、精神衛生上、よほど良いとは思いませんか?


僕は忙しいと思ったことが1回もありません。たぶん、本当に忙しくないのでしょう。「お疲れさま」と言われても、たいていは疲れていないので、冗談を言える人には「疲れてません」と言います。


思わぬアクシデントは、どんな分野にもあると思います。でも、それを言い訳にはできない。終われば結果しか残らないのですから。


自分自身のことをよくわかっているつもりでも、知らないことが意外に多い。「人と接するのが苦手」とか、「デスクワークは好きなんだけれど営業には向いていない」とか、性格や仕事の向き不向きを自分で決めつけていたり、人から言われてそう思い込んでいることが少なくありません。でも、はたして本当にそうなのでしょうか。


練習というのは、苦手意識を慣れで克服することです。泳ぐ練習をするうちに、水が怖くなくなるのと同じです。だから、最初から「自分には無理」という発想でものごとを見ず、ポジティブに考えていくのが僕のやり方です。


タイガー・ウッズ選手と、幸運にもあるゴルフ大会で一緒にラウンドしたとき、彼がプレー中、常に自分に対する声かけをしていたのを見て、驚いたことがあります。いい球を打てたときは、「ナイスショット!」と堂々と自分を褒め、ミスショットをしてしまったときは、「ネクストタイム!(次は上手くいくさ)」と自分を明るく励ます。こうした言語化がウッズ選手の強さを支える秘密のひとつなのだと思います。


苦手意識があるということは、そこにまだ自分の開発されていない部分があるわけです。苦手なジャンルにチャレンジし、開拓していけば、その領域で伸びていけるかもしれない。


試合で負けて不安で押しつぶされそうになったとき、1か月先までの予定を立てました。そうすれば、とにかくそこまでは目的意識をキープできたからです。みなさんも行き詰ったときには少し先まで視線を伸ばしてみてください。その間に、弱気の虫を封じることも可能ではないかと思います。


プロになったばかりのころ、僕はボレー(ノーバウンドのボールを直接相手のコートに返すショット)が下手でした。でも、とにかく自分で褒めようと思い、ボレーを決めたときは「ナイスボレー、修造!」と叫んでいました。観客は笑っていましたが、人から笑われようが、「アホか」と思われようが、自分にプラスになることなので気にしませんでした。自分で褒めていくうちに、「俺はボレーが上手いんじゃないかな」と自信のようなものが出てきました。やがて成功率が失敗率を上回り、ボレーが上手になりました。


長い人生のうちには、僕が経験したような最悪の状況に出くわすことが一度や二度はあると思います。そのとき、マイナス現象である大失敗を、あえて積極的に評価してみる方がいい。それもまた、失敗を宝にすることになると思います。


眉間にしわを寄せていたところで、悪い状況がよくなるわけではない。むしろ、「これを乗り切れば、またひとつ上のステージに行ける!」と明るく危機を受け止める姿勢が必要です。思い通りにならないときでも、そこでしか学べないものはあると思います。


病気をしてから覚えた僕流の治療法は、笑うことです。退院してすぐは、ほんの1分ボールを打っただけでヘトヘトになりましたが、それでもとにかく笑うようにしていると、不思議と段々疲れなくなっていきました。笑いが免疫系にプラスに作用したのだと思います。


「ボールを10回打つうち、何球目で最高のショットを打てればいいと思いますか?」と聞くと、たいていの人は「5、6球目」と答えます。でもそれではいけません。できるかどうかは別として「1球目からナイスショットにしよう」という気持ちで打つ方が、早く上達します。これは、「最初から積極的にいこう」というメンタルが行動に反映され、行動の質を高めていくからだと思います。


生き方の基本を自分主体においたうえで、組織の中では自分のポジションを理解して行動する。良い仕事をしていくには、これが一番大事だと僕は思っています。


組織の中で歯車のひとつとして存在感を発揮しながら仕事をこなしている人は、歯車であるがゆえに目立たない。でも、そういう歯車が多ければ多いほど、組織はしっかりしていきます。個人プレーヤーばかりをいくら揃えても、それぞれが自己主張して空回りしてしまい、絶対に上手くいかない。それが組織というものです。


僕が知る限り、プロ意識が高い選手ほど、感謝の気持ちをハッキリと表現しています。そういう人と接するのは気持ちがよいので、多くの人が周りに集まってきます。自然と人との出会いが多くなり、そこからさらに支えや助けが広がっていく――という好循環が生まれます。これは、ビジネスの世界でもまったく同じではないでしょうか。


どんなジャンルでも、実力者の胸を借りるときには、その人に気に入ってもらえるような言葉づかいや行動をすべきです。これは阿諛追従(あゆついしょう:好かれようと媚びへつらうこと)ではなく、自分の力を高めていくためのひとつの方法です。相手をいい気持ちにするのが、すべての人間関係の基本なのです。


話してみると第一印象とかなり違うということはよくあります。初対面での印象や、ちょっとした不愉快な出来事ですべてを決めつけてしまうのは、かなり危険なことでしょう。


話してみると第一印象とかなり違うということはよくあります。初対面での印象や、ちょっとした不愉快な出来事ですべてを決めつけてしまうのは、かなり危険なことでしょう。


きついことを言うのは、あなたのことを心配してくれているのですから、厳しく接してくれる人を大切にしましょう。とくに、右肩上がりで好調のときに言われる苦言や忠告こそ、真剣に受け止めるべきです。


アドバイスは聞き方が大事です。「なんでも聞いておかないと損をする」という意識があると、情報過多になり、混乱してしまいます。本当に自分のためになるものかどうか、しっかり見極めるようにしましょう。


情報というのは、自分の中にどうインプットし、どんな形でアウトプットするか、そしてそれをどういう成果に結び付けていけるかが重要です。自分主体で情報に接し、自分に必要なものだけを見極めて吸収していかないといけない。


人を動かし、チームの総合力をアップさせる4つのポイント

  1. 相手の可能性を信じてあげることが大前提。
  2. 相手の質問には質問で答えていく。相手の質問に対して質問で答えていくと、最後にはその人独自の答えが出てくるものです。初めから答えを与えてしまうと、誰かに頼って決めてもらうことが習い性になってしまい、チームのためにもその人のためにも良くありません。
  3. 褒める・叱るの落差は激しい方がいい。落差がジェットコースターのように激しい方が、褒められたときの喜びが大きくなります。
  4. 感情的になって相手の人格まで否定しないように。相手の人格まで否定すると人間関係はギクシャクし、チームの士気も低下してしまう。

人間には叱咤激励されるとかえって気持ちが引けてしまうタイプもいれば、追い詰められた方が力を発揮できるタイプもいます。部下を指導するときも、一人一人の性格をあらかじめ知り、タイプによって対応を決めるべきでしょう。


「最終的に自分のやりたいことは何か」と俯瞰してみると、「ああ、嫌だ嫌だ」と思うことも、目標を達成する過程のひとつと思えてきて、ずいぶん楽になります。仮に、「目標を達成するために、頭を下げてこい」と言われても、いまの僕なら「これで目標に近づけるんだ」と考えて、頭を下げるでしょう。その方が自分の気持ちが楽になるからです。


あなたの人生を生きるのは、あなた自身しかいません。他人は決してあなたの人生を生きてはくれないのです。「忙しい」「難しい」と言ってばかりいないで、自分で自分の人生をつくり上げていってください。


「どうすれば本気になれるのですか?」これは、僕がいま一番多く受ける質問です。世間では「本気」に対して「熱い」とか「気合」といった言葉を連想する人が多いかもしれませんが、僕にとって本気とは「あるがまま」ということ。ひとつのところに命を懸ける、自分が最も自分らしくいられるときです。


日々の仕事の中にも、ちょっとした好奇心を満たしてくれる発見や、人との出会いがあるはずです。それをもっと楽しめば、「今日は昨日の延長線上」という意識がなくなっていき、毎日、何かしら新しいことをしていると感じられると思います。


同じ行動パターンを続けていると「刺激がない」「発展性がない」と感じる人もいるでしょうが、実はこうしたルーティンの中で、僕たちはメンタルリズムを安定させ、持てる力を発揮しやすくしているのです。毎日バラバラの時間に仕事をし、仕事の内容も日々違うものだったら、メンタルリズムが不安定になり、パフォーマンスが低下してしまうはずです。そう考えれば、同じ行動パターンの繰り返しに、あまりストレスを感じなくなるのではないでしょうか。


毎日、同じ仕事を繰り返していると、誰でも「自分はこれでいいのかな?」と不安になり、嫌気がさしてきます。そんなときに気持ちをリセットし、反復していける人は強いと思うのですが、最近はそういう人が少なくなっているようです。


仕事には良いときもあれば悪いときもありますが、自分の足元をしっかりと見据えていれば、そこからどういう方向に進んでいけばいいかがわかり、具体的な進み方も、ちゃんと考えることができるはずです。


負の想像力の暴走を食い止めるには、怒りを爆発させるスイッチを押すまでの距離をできるだけ遠くしておくことです。そのためには、「自分はこう思うけど、別の見方もあるんじゃないか」とちょっと違う角度からものごとを見る力が必要だと思います。


ビジネスマンが残業をせざるを得ない状況にあることはわかりますが、過労から心身を病んでしまっては元も子もありません。健康に気を配って無理をせず、勇気をもって休むことが、長い目で見れば「働く人間」としてのパフォーマンスを高めます。


誰でも体調を崩すと「やっぱり自分は飛ばし過ぎだった」と反省しますが、調子がよいときはなかなかそこに考えが及びません。「安全と思うときほど危険なのでは?」と疑い、自分の心と体と対話して状態をチェックし、それに応じて休養をとるように心がけましょう。


仕事に行き詰ったとき、「今日はもういいや」と、パッと寝てしまうとか、遊びに行くとかすると、翌日は頭がスッキリしてはかどった、という経験があるでしょう?閉塞した状況をぶち壊すには、開き直った方がいいときもある。「開き直る」ということは、ものごとを諦めたり投げ出したりするのとは違うのです。


喜怒哀楽の感情は、僕たちの体に備わった自然のリセット装置なのだと思います。日本人はどうしても感情を抑え込んでしまいがちですが、嫌なことがあったら一人になって泣き叫ぶ、嬉しいときには飛び上がって喜ぶ、それでいいじゃないですか。もっと喜怒哀楽を大切にして、感情を解き放つ心地よさを味わいましょう。


ものごとが上手くいかないと、どうしても自分に対する怒りの感情が生まれてきます。そんなとき思い切って怒りを爆発させると、膨張していたマイナスの感情が消えて、スッキリすることが僕にはよくあります。スッキリすると、次に何をすればいいかがクリアに見えてきて、結果的に落ち込んだ気持ちを早く明るくすることもできます。


人は誰でも、挫折や失敗を繰り返すうちに、以前はできなかったことが少しずつできるようになっていきます。そうした過去の失敗があるからこそ、次に同じような事態になったとき正しい方法を選べるし、人にもアドバイスできるのではないかなと思います。


自分へのご褒美は、家で思いっきり猫と遊ぼうとか、好きな漫画を一晩中読もうとか、人から見たら「大したことないな」と思うようなことでもいいのです。大切なのは、目標をひとつ達成した自分を、一番楽しい状態に持っていってあげることです。


僕はもともと人を観察するのが好きなのです。テニスは相手をよく観察しなければいけないスポーツなので、観察すれば絶対に何か新しい発見があり、自分のプラスになるということはわかっていました。


人の話を聞くとき、僕自身が活用して成長できそうな情報を見つけるようにし、自分のものにしてしまおうと考えます。「自分ならどうするか」を常に考えられるようにすれば、世の中のことすべてが貴重な情報になる気がします。


1995年、ウィンブルドンでベスト8に入ったとき、僕は試合中に気持ちを極限まで高めるために、大声で「この一球は絶対無二の一球なり!!」と叫んでいました。日本テニス界の大先輩、福田雅之助さんが残した大好きな言葉です。異様だと感じた人も多かったかもしれませんが、それくらい気持ちを高めて戦わないと、どこかで相手に隙を与えてしまうのです。ビジネスマンがそこまでする必要はもちろんありませんが、テンションを上げて集中しているときほど、人は自分に正直に動けるものなのです。


「本当にやりたいことはこれ!」という心の声に耳を傾けることが大切です。心の声を聞き取るのは意外と難しいものですが、日記などを書いて自分と向き合う時間を持つようにすることで、次第に聞く耳が養われていきます。


一般的には受験でも就職でも、良い条件の学校や会社を選ぶことに越したことはないでしょう。けれど、「自分は何をしたいのか。そのために必要な環境は何か」を考えず、「有名校だから」「大企業だから」と、聞こえのいい条件だけで選んでしまうと、後悔してしまうこともあります。


応援することは、選手だけでなく僕自身にもパワーを与えてくれます。一所懸命な選手の姿はカッコいいし、「よし、俺も諦めずにいこう」と気づかせてくれます。頑張っている人のパワーをもらって自分も頑張ろうという気になるのが、僕の応援です。


「あいつ、おかしいんじゃないの?」と思われるくらい、とにかく自分を褒めまくれば、最高に緊張したときでも、普段と同じパフォーマンスが可能になります。肝心なのは特別なプレーではなく、どんなときでも、いつもと同じプレーができることなのです。


ガチガチに緊張しながらも自分の心の中の思いを伝えようとしている子からは、全身からその気持ちが感じられます。一番気持ちが伝わってこないのは、内容を丸暗記したようにしゃべることです。いくらきれいな話し方でも自分の言葉になっていないので、聞く人は何も感じません。


人が褒めてくれないなら、自分で自分を思いっきり褒めればいいのです。


短所を直すことはもちろん大事なのですが、短所是正法だと自分の欠点ばかりに意識が向いてしまいます。すると、「自分は駄目だ」という情報が脳に伝わり、体も気持ちも「ダメモード」に入り、ダメの二乗、三乗になってしまいます。「よくなりたい」と思っているのに、自分で自分にダメージを与え、どんどん悪い方向に行ってしまうのです。


人は長所を認められると、もっと上に行こうとします。テニスでも褒めると上達しようとし、弱点だと思っていた部分さえ自然と修正されていくことが多いものです。逆に短所ばかり指摘されて、「こうしろ、ああしろ」と直されていると、得意だった部分までおかしくなってしまうことがあります。


僕もそうなのですが、日本人は相手を気遣うあまり、悪いこともしていないのに「すみません」と言う癖があります。礼儀正しいことは日本人の長所ですが、ときとして「すみません」は自分を弱める言葉になってしまいます。だから、礼儀以外のことは「すみません」から始めない方がいいのです。


人には自分でも気づかない能力や可能性があり、誰かの言葉に後押しされて、それを開花させることがある。


いきなり大きな夢を叶えようとしても不可能なので、まずは夢に近づくための身近な目標を設定し、その目標を達成するための具体的な方法を考えていきましょう。


「どうすれば自分に合う職業と出会えるでしょうか?」と質問されますが、仕事というものはこちらに合わせてくれるものではありません。自分の方から仕事に合わせていく方法を探さない限り、どんな職業についても無理が出てくるでしょう。自分から歩み寄らなければ、本当の「好き」はなかなか見えてこないものです。


現役時代、悩んだときや迷ったときには、とにかく日記を読み返していました。とくに大きなけがをしたときは、いくら一所懸命やっても勝てず、先が見えない状態で、「もうテニスをやめるしかないのか」と考えたこともありましたが、「以前はこういうことをして何日くらいで乗り切った。だからきっと今回も大丈夫だ」と自分を励まし、救われたことが何度もありました。日記を書いて読み返すことは、メンタルのメンテナンスとして大変役立つのです。


日記を3日坊主で終わらせないための3つのコツ。

  1. 日記をつけることが義務にならないよう、薄いノートからスタートする。
  2. 時系列でその日の行動だけはしっかりと書くようにする。
  3. ノートを替えるたびに新たな目標を書き込んでおく。日記帳を開くたびに目標を確認できるので、結果的に日記をつけることがマンネリ化せずに済む。

日記の大きな効用は、自分と向き合う時間を毎日持てる点です。日記をつける前の僕は、夜になると仲間と騒いでいるか、すぐに寝てしまうかで、自分を見つめるようなことは何もしていませんでした。日記をつけ始めてからは、その日の自分の言動を振り返ることが、良い刺激になりました。


高校2年生のとき日記を始めて、「これほど面白いものはない!」と感じました。本音でものを言ったり書いたりする機会が少なくなっている世の中だからこそ、たった2、3行でも自分の思いを素直にぶつけられる世界が必要な気がします。


自分にとって必要な10か条

  1. 自立心を持とう
  2. 決断力を持とう
  3. 自分の気持ちをもっと表現しよう
  4. テクニックに頼るな
  5. 「ノー」をはっきり言おう
  6. 自分を責めるな
  7. もっとリカバリーしていこう
  8. ポジティブにものごとを考えよう
  9. 失敗を減らそう
  10. ストレスをなるべく少なくしてリラックスしよう

「WHY?」よりも「HOW?」に意識を傾けてみてください。「なぜ私ばかりこんな目に遭うのか」ではなく、「どうすればこの苦境を乗り越えられるのか」と考えるのです。HOWを唱え続け、自分ではコントロールできない事態を乗り越えた経験は、成長と強い心をもたらすはずです。


意外と思われるかもしれませんが、僕自身、ネガティブ思考なので、現役時代に数々のメンタルトレーニングを試し、自分に合ったものを選んできました。


心を支えるテクニックとして、僕は20年以上前から起床時と就寝前に、鏡の前に立って、やるべきことを自分に言い聞かせています。毎日、反復することで、体に染みついていく。


僕はテニスの才能があると思ったことは一度もないし、テレビのキャスターや講演会といった今の仕事も、全く自信はありません。だからこそ、必死になって勝つための準備をするのです。


夜、ベッドに入って目をつぶると、その日にあったマイナスの出来事が浮かび、さらに悪い方向に想像してしまうことがあります。そんなときは心の中で「ストップ! ストップ! ストップ!」と唱えます。声に出してもいい。「ありがとう」でも「修造」でも言葉は何でもいい。不思議とネガティブ思考を止められます。


モチベーションを高めるために、最も手っ取り早い方法が、失敗すること。結果が出ない時、失敗した時、その場で「何が足りなかったのか」「打開するには?」「本当の動機は何か」など、紙に書き出して検証していますか? 僕がモチベーション高く、今の仕事を続けられているのは、人を応援することが好きで、テニスよりも向いていると思うから。テニスで勝負したいという動機はなくなったけれど、人を応援したいという動機はなくならない。だからこそ、仕事で失敗してもモチベーションが続いているのです。


僕は、物事を進める時に根性論では一切考えない。目指すべきものを明確にし、人材やお金などあらゆる面から検証し、アイデアを練って策が見つかった時に初めて、やるかやらないかを決める。僕の心が「修造、トライしろよ!」と言わないとGOできない。


客観視する訓練としても、紙に書き出し、思考を整理する方法は有効。僕は「冷静と情熱の間」という言葉が大好きで、客観視できる冷静さと、やる気につながる情熱を持ちながら自分を分析することが大事。


自分の本当の気持ちを、毎日の日記に書くことで、自分の強さも弱さも見えてきます。ブログとは別に書くことをお勧めします。誰かに見てもらうためではなく、自分と向き合うため。本当の気持ちは人には見せたくないでしょう。


最初は、日記に自分のマイナスの感情もドンドン書いていけばいい。その結果、こういう状況になると、自分はこんな行動をとるのかと見えてくる。その傾向がわかれば、自分の心にどう対策をとればいいのかも判断できる。


よくプレッシャーに弱いと悩みを相談されます。でも、プレッシャーは人から与えられるもの。自分がコントロールすることはできないんです。だったら、心をコントロールするしかない。


ツラい場面で「もうできない」という自分の心の声が聞こえたら、「できる」と言い聞かせる。何度もやれば、本当にできる気持ちになってくる。性格は変えられなくても、心は変えられる。


教える相手が30代なら自分も30代に、10代なら10代に自分の目線を合わせればいい。


人を応援することは、実は自分を応援すること。僕は人のために応援したことなんて一度もありません。アスリートたちの懸命な姿や土壇場での大逆転劇を見れば、自分もまたその姿から何かを得られます。しかも、選手に感情移入して応援すればするほど、その気づきは大きく、深くなる。それが応援する意味であり、楽しみでもあると思います。


インタビューの際、テレビの生放送だと時間の問題がありますが、そうでないときはひたすら「聞く」ことに徹します。アスリートの中で、自分の考えを言語化して整理できている人はごく少数。そういう人から思いを引き出すには、彼らの中で考えがまとまるまで待つしかないからです。


僕は初対面の子供でも平気で叱っているイメージがあるかもしれませんが、それは誤解です。相手のことをよく知らないうちから叱ることは絶対にありません。たとえばボーッとして話を聞いていないような子が、実はちゃんと聞いていたり、ご機嫌を取ろうとちゃんと聞いたフリをして実は聞いていない子もいる。相手をちゃんと知ったうえで、叱る・叱らないの判断をしています。


叱るべきときはきちんと叱ることが重要です。叱るとは感情的になって怒り散らすことではありません。僕が叱るというボタンを押すのは、褒める言葉や自信をつける言葉とワンセットにして、今叱ればその人が確実に成長できると判断したうえです。叱ることで何を気づかせるかを見据えたうえで叱るべきなのです。


自分がやってうまくいった方法が、時代背景も環境も変わった今も通用するとは限りませんよね。指導者になるとどうしても「教えてやっているのに」という態度になってしまいがちですが、後輩の考えを最大限に尊重し、後輩がより実力をつけるためには何をしたらいいのか、相手に応じて変えていくべきでしょう。


誤解を恐れずに言えば、長く続けるのが必ずしもいいというわけではありません。僕は31歳でテニスをやめましたが、そのことをまったく後悔していないどころか、今のほうが楽しいとすら思っています。結局は「自分が主体」となっているかどうかだと思います。自分が続けたいなら続ければいいし、そうでなければ別の道を探せばいい。


伊達(公子)選手のことはよく知っていますが、彼女は自分が挑戦したいから挑戦しているだけで、だからこそ挑戦を続けられるのだと思います。


膝のケガはもう完治はしない。なら、そのケガとどう付き合っていくか、膝をカバーするためにどこを鍛えればいいか。そう考えるようにしたことで、少しずつ悩みから抜け出すことができました。それでも立ち直るのに一年はかかりましたね。
【覚書き|現役時代、ケガで膝を手術をした当時を振り返っての発言】


僕も膝を痛めて手術を余儀なくされた当時、すごく落ち込みました。なぜ僕がケガをしなくてはならないのか。なぜこのタイミングなんだ。なぜ、なぜ、なぜ、と……。でもそこで気づいたのです。「なぜ」と考えている限り、何も良くならない。ここから抜け出すための「どうやって」を考えなければならないと。


取材で、「この人は本当にメンタルが強いな」と感じたのはごく数人です。多くの人はむしろ、何度も失敗して、その失敗から立ち直る中から心の強さを手に入れていくように思います。


僕は今、「修造チャレンジ」という形で、テニスプレーヤーを目指しているトップジュニア選手たちを指導しているのですが、彼らに対しては「今日は調子が悪いとは絶対に言うな」と教えています。たとえば今日はフォアハンドがうまくいかないとしたら、それはラケットへの当たり具合がちょっとズレているなど、必ず要因があるはずです。「調子が悪い」の一言を言い訳にしたら、その要因は絶対に見つからず、さらにうまくいかなくなるだけ。あるいは、今日はフォアハンドがうまくいかないようなら、バックハンドやボレーなど、他の部分でカバーすればいいのですが、そういう思考も出てこない。「調子が悪い」という一言ですべて片づけてしまうと、思考停止に陥ってしまうのです。


僕がレポーターをやっているテレビ番組「くいしん坊!万才」で、こんなことがありました。ロケでホタテの殻むきをする漁師さんに、毎日毎日同じ仕事をするのは大変ではないか、と聞いたのです。それに対して漁師さんは、「ホタテひとつひとつが違うからむき方も当然変わる。自分の体調だって毎日同じではない。体調によって、今日は腕の力を抜いてやろうとか、日々の変化に合わせて工夫している。単調な作業に見えて実はぜんぜんそんなことはない」と言い、僕も聞いて、なるほど! と思ったのです。つねに前よりも良い結果を残したいと考え、より良いパフォーマンスを心掛けて工夫をすれば、どんな仕事でもマンネリにはならないと思います。


スポーツニュースに出演する際、僕はただ原稿を読み上げるのではなく、つねに自分の言葉で新しいことを伝えようとしています。だからこそ、実は毎回1、2回は言い間違いをしています。いくらやっても慣れるということはないし、毎回緊張もします。でもそれは、マンネリになっていないという証拠だと思います。


正直に言えば、僕は「マンネリ」という感覚があまりよくわからないんです。同じ仕事をするにしても、前にその仕事をしたときより自分自身は進化していますよね。同じ人へのインタビューでも、同じものを食べるにしても、自分が変われば、見え方、捉え方も変わるはずです。あるいは、前回失敗してしまったとしたら、今度はその反省を踏まえて、より良いパフォーマンスを出すチャンスが得られる、と考えます。そう考えれば「またか」「同じことでつまらない」なんて感じることはまったくありません。


体力が落ちたり、疲れやすくなったりする人は、年齢的な要因もあるかもしれませんが、若い頃に比べて運動する機会が減っていることが大きな理由だと思います。その証拠に、トライアスロンを趣味にしている年配の方は、僕よりもよほど体力がありますからね。


自分の意思を持つことの大切さを学んだのは、18歳で米国に渡り、プロを目指した経験が大きかったですね。日本ではすでに高校総体でシングル、ダブルス、団体で三冠を達成し、名が知られていましたから、何をするにしてもすべてがお膳立てされた状態でした。ところが米国では、自分から「こうしたい」と言わないかぎり、誰も何もしてくれません。テニスで強くなるためには、自分の考えをしっかりと持ち、自分を表現できなければならなかったのです。


自分で準備し、納得したうえで取りかかった仕事は、たとえどんな結果になったとしても、受け入れることができます。結果を受け入れられずにストレスを抱え込む事態に陥らないためにも、自分の意思を持って仕事に取り組むことは大切だと思います。


テニスでストレスを感じるのは、ミスをしたときです。自分では一所懸命にやっているのに、打ち返した球がラインから外れてしまう。「あのときはうまくいったのに、なぜ思うようにいかないのだろう」と思ってしまう。このように人は“良いとき”を基準に考えることでストレスを抱え込む傾向にあります。


「休む」と言うと、性格的に頑張り屋な人にとっては「怠けていることになるんじゃないか」と不安に思うかもしれません。一方で、怠け癖のある人なら、これ幸いとすぐに休んでしまうでしょう。この休みは必要な休みなのか、それともただの怠慢なのかを正しく見極めるとともに、このような場合に自分がどのような行動を取りがちなのか、自分の性格や行動のパターンを知っておくことが大切です。


「君たちの本気って、その程度なのか?」「そんなことでグランドスラムで優勝したいと言えるのか?」などとあえて厳しい言葉を選手たちに投げかけます。選手たちを集中させ、緊張感のある雰囲気を作り出すためです。


一番気をつけていることは指導する子どものバックグラウンドです。家庭環境も含めてその子が置かれている状況によって、どう伝えればよいのかが一人ひとり絶対的に違うからです。たとえば、ほめた方がよい場合もあれば叱った方がよい場合もあります。


大失敗もありました。テレビの仕事を始めた頃、松井秀喜選手にインタビューし、「日本の文化についてどう思いますか」など、唐突でストレートな質問を続けてしまい、話が全く盛り上がらず終わりました。僕はこの失敗を今でも忘れられない。だからこそ、選手の直近の情報を頭に詰め込むといった徹底した準備は今も怠らないし、インタビューが想定と違う方向に進んでしまった時に、軌道修正できるようにもなりました。


渡米した頃、日本人の無名選手を練習相手にしたい選手なんて誰一人いなかった。声をかけてもほぼ断られました。だから相手がどんな練習をしたいか考え、相手が求めるプレーを心がけ、その選手が試合に出ると聞けば応援にも行った。すると向こうから「練習しよう」と声をかけてくれるようになったんです。そうやって練習相手を増やし、実力を高めていきました。


高い技術を持つ選手はいますが、それだけでは世界で結果を残せません。海外ツアーに参戦すればすべて、1人で考え、決めて、行動しなければならない。受け身の姿勢では通用しないし、自立し、決断し、孤独に打ち勝つ思考が求められる。言葉も通じずうまくいかないことも起きますから、諦めない強いマインドも必要でしょう。


日本テニス協会という組織の中で、今までにない強化スタイルを作るのは、中途半端な思いではできなかった。人で構成されている組織である以上、どこまで委員の皆さんの心を変えられるかが、すべて。思いが通じず、何度も諦めそうになりましたが、自分の考えを信じて訴え続けたのです。


バラエティー番組に数多く出演している印象を持たれますが、年に2回ほどしか出ていません。ただ出演することになったら、テニスのグランドスラムに出場していた時と同じぐらい本気で、一所懸命に自分を出しきります。


引退した時、次に何を目標に過ごせばいいか僕も迷いました。最初の1~2年はあらゆることにチャレンジしました。何もかもが初めての経験で、思うような出演の仕方ができず悩んだこともありましたが、自分を知るうえでは大事な期間でした。


世界のトップアスリートを指導していたスポーツ心理学者のジム・レーヤー氏から、本格的なメンタルトレーニングを受けました。最も衝撃を受けたのは、「遊んで、リラックスする時間を持て!」ということでした。それまでは、「努力」と「結果」は比例するものだと疑わず、休むことは不安要因でしかなかった。しかしレーヤー氏は、オンとオフのバランスを意識すれば体調や精神状態をいい状態に保ち、メンタルの浮き沈みに翻弄されずに済むと教えてくれた。


心が弱くなるたびに、何とかこの状況から脱出しようと、坂本龍馬などの偉人伝や、逆境を乗り越えたアスリートの自伝、哲学書などを手に取りました。最も影響を受けたのは、独自の成功哲学を確立した明治生まれの思想家、中村天風先生の本。「この世に生まれたからは、苦しくても下を向いてはいけない。人生を好転させるのは心の持ちようだ」という言葉「絶対積極」に感銘を受け、僕の考え方のベースになりました。ただ感銘を受けるだけでは、何も変わりません。天風先生の言葉にとらわれすぎると、自主性を妨げるような気がしてよくないとも思った。大事なのは、天風先生の言葉を松岡修造風にアレンジし、自分の言葉として体に染み込ませることだと考えました。


あきらめない力こそ、何度も壁を叩き続けるような挑戦につながります。壁を叩き続ければいつか崩れて、運が味方してチャンスが巡ってくるかもしれない。自分を信じ切って叩き続けられる人が、結果を出すのです。


イライラしても落ち込んでも状況は変わらない。そこで、「なぜ自分ばっかり!」から「どうすれば早く復帰できるか」という、「Why」から「How」の思考に切り替えるようにしました。すると、気分や行動が前向きになり、絶望感に襲われるぐらいの崖っぷちに立たされても、腐らずに踏ん張れるようになった。


高校1年の時にはテニスで勝てなくなり、その逃避からマージャンにはまった時期もありました。このままではダメになると危機感を抱き、高校2年の時に親の反対を押し切って慶應義塾高等学校からテニスの名門・柳川高等学校に編入したんです。厳しい監督の下で、半ば強制的にテニスに集中する環境に身を置いたから高校総体で日本一になることができ、プロテニスプレーヤーとして世界に挑むための、後の渡米につながった。


「諦めるな! できる!」ジュニアをはじめ、いろんな人に言ってますが、最初は自分に言い聞かせていた言葉です。苦しいときは、物事を否定的に考えてしまう。僕もそうでした。基本的に、僕は弱い人間です。どうすれば消極的な気持ちを打ち消せるか、努力をくり返しました。呼吸法やメンタルトレーニングなどを試したんです。結果的に、性格は変えられなかった。でも、そのとき、そのときの自分の心は変えられると気づきました。


僕自身、いまでもネガティブな心の声が聞こえてきます。毎日です(笑)。「生放送で失敗してしまうんじゃないか」とか「講演会で上手く話せないかも」などいろいろ不安な言葉が湧いてきます。そこで心に「ストップ」と言います。一番つまらないのは、プレッシャーや迷いによって自分の、ベストを尽くせないこと。悔いが残ります。


僕は「真剣」という言葉がすごく好きですが「深刻」は嫌いです。似てるけど、違うんですね。最初に膝のケガをしたとき、リハビリに苦しんで長い間、勝てませんでした。いま振り返れば、当時の僕は深刻だっただけですね。だから、頭には「Why」だらけ……。なぜだ、どうしてだ、なぜ膝が痛い? なぜ一所懸命やっているのに勝てない。そんな思いばかりです。でも、あるとき、テニスをやりたいけどできない少女と出会って、僕の頭は切り替わった。真剣になったんです。頭に湧いてくるのは「How」。どうすれば、この膝と付き合ってプレーできるのか。真剣に取り組んだら、段々と試合でも勝てるようになりました。


僕は、現役時代の自分に対しては、自分を褒めたいとは思わない。ただ唯一、自分を褒められることがあるとすれば、ジュニアの育成システムを作ってきたことです。それも自分で独自に作ったんじゃなくて、テニス協会のなかに作り上げた。自分で言うのもなんですけど、これは画期的なことだったんです。それには人を動かさなきゃいけなかった。どうすれば動かすことができるのか? 僕なりに試行錯誤を繰り返しながら、作り上げていったんです。


ケガのとらえ方というのは、その人の性格というのもあると思うんです。たとえば5痛いものを、10痛いととらえる人と、1痛いととらえる人がいる。ナダルとか、いまのトップ選手というのは、痛みに強い。「痛いのは当たり前」といった感覚でプレーしています。でも、僕なんかはどうしても痛みを大げさにとらえてしまうことが多かった。僕はケガに対するとらえ方がヘタで、ケガでいろんな失敗をしてきただけに、テニスの指導の現場では、この経験は「宝物」なんです。経験に即して細かく指導できますから。根性論には絶対ならない。たとえば、リハビリというとケガをしたあとというイメージがありますが、ケガをしないためのリハビリというのもある。こういうトレーニングを積んでおくと、ケガを防げるという。


高校3年のときに、単身アメリカに渡りました。アメリカで、ボブ(ボブ・ブレッド コーチ)に「修造、腕試しにプロの試合に出てみないか?」と言われましてね。プロになるなんて考えてもみなかったですよ。そんな力もないと思っていたし、日本人で海外のツアーを転戦しているという選手も、まだいませんでしたから。躊躇していたときです。ボブに「つまらない恐怖心は持つな!」と言われた。それで決心がついて、プロの小さなトーナメントに出たんです。なんとか大接戦を勝ち抜き、初めてプロの本戦に出ました。そうなると、やっぱり世界相手に挑戦してみたくなるじゃないですか。それでプロのスタートを切ったんです。


一時的とはいえ、テニスより麻雀という遊びを選んでしまった。いま思えば1つの挫折でしたよね。「ああ、自分は弱いんだな」って。それで、もっと厳しい環境に身を置こうと、思い切って、慶應高校からテニスの名門・柳川高校へ転校したんです。弱い自分を鍛え直すには、厳しい環境に自分を置くしかない。だからテニスの厳しい柳川に行くしかないと。


高校に進んだら、中学3年のときに覚えた麻雀にハマってしまったんです。テニスはそれまで勝っていた選手にも負けるようになっていって……。だって、学校の授業が終わると仲間と卓を囲み、休日もラケットを持って「行ってきます」と家を出て、友達の家で麻雀三昧でした。そんな時期が2~3か月ぐらい続いたのかな。指先を見ると、テニスでできたマメが消えて、麻雀ダコができていて(笑)。ただ、「俺はテニスと麻雀のどっちを選ぶんだ」と考えたときがあって、テニスから離れていたので、それまで以上に「テニスが好きなんだ」ということを強く実感したんです。


松岡修造の経歴・略歴

松岡修造、まつおか・しゅうぞう。日本のプロテニスプレーヤー。東京出身。10歳からテニスを開始。高校3年で単身渡米しプロに転向。95年全英ランキングベスト8に入る。世界ランキング46位まで上り詰める。両膝の半月板損傷、足首の靱帯断裂など大きな病気やけがをしつつも果敢に戦い抜いた。日本男子プロテニス界を代表するプレーヤー。引退後は後進の指導をしつつ、明るく元気なキャラクターを活かしテレビなどでタレントとして活躍した。

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