木村尚敬の名言

木村尚敬のプロフィール

木村尚敬、きむら・なおのり。慶應義塾大学経済学部卒業、レスター大学経営大学院修了、ランカスター大学経営大学院修了、ハーバードビジネススクールAMP修了。経営共創基盤パートーナー取締役マネージングディレクター、グロービス経営大学院教授などを務めた。著書に『ダークサイド・スキル』。

木村尚敬の名言 一覧

ビジネスにおけるネゴシエーションは、相手を論理でねじ伏せるのではなく、論理が破綻していることをさりげなく気づかせて、自ら意見を変えさせたほうがうまくいく。


上司の地位を利用したパワーマネジメントで部下を動かすのは得策とはいえない。納得していない部下を権力で無理やり動かそうとしても、面従腹背を招くリスクがある。


会議のとき上司の言いたいことを先回りして言う人が評価される会社があるが、予定調和で組織が回るのは平時だけ。こういう会社は今後衰退する。有事のときは、むしろズケズケとものを言う人が評価されるカルチャーを持つ会社が強い。


人間の弱さを見分けるには2つの指標がある。ひとつは、何にビビるかである。人のケンカを見て心臓がバクバクする人は、暴力的な脅しに弱いといえる。もうひとつは、何に目がくらむか。お金や異性に執着する人は、そこが弱点になる。


有事に必要とされるのは、昨日の延長線上にある「改善」ではなく、やり方を大胆に変えていく「改革」だ。もちろん有事においても既存の事業のなかには改善型の事業が多数あり、それはそれで重要だ。しかし有事の改革型のリーダーを目指すなら、それにふさわしい動き方をしなければならない。


大企業病は、企業の規模にかかわらず起きる。


事業モデルの転換や構造改革などといった、ドラスティックな見直しには、ドロドロとした軋轢がつきもの。5~10年先にトップリーダーとなる中間管理職は、反対勢力を巻き込み、組織を動かす経験をしておかなければなりません。


単に「偉くなりたい」という人が犯しがちな間違いが、上司へのゴマすりやライバルの蹴落とし、手柄の横取りといった、本当に「黒い」手段に出てしまう。たとえ手段を選ばずにのし上がることができたとしても、早々に失脚するでしょう。


社内の人材の多様性、社の内外を問わない人材のネットワーク、上下の立場にかかわらず、自由にものが言える環境、リスクを恐れず、失敗を許容する気風。そういった下地づくりが、組織の改革には大切。


部下がごまかしをしたときは、徹底的にやりこめていい。ただ、怒りの感情を爆発させるのではなく、ロジカルかつ冷静に指摘することが原則だ。感情むき出しで怒ると、部下は恐れを抱くかもしれないが、畏れにはつながらない。それより水も漏らさぬ論理で、グウの音も出ないほど凹ませるべきだ。


価値観の共有は、日常と切り離された合宿などを活用するといい。私が勤める経営共創基盤は合宿を年に2回行い、会社の理念や方針について徹底的に話し合う。普段は熱い議論に照れがある人も、合宿だといつもと違うスイッチが入りやすいので効果的だ。


意識したいのは、自分の価値観を恥ずかしがらずに表現して伝えることだ。普段の仕事を通して自分の価値観は伝わっていると考えがちだが、部下は上司にそれほど強い関心を持っていない。「自分は知っているが、他人は知らない」という領域は案外広いのだ。


上の人間にズケズケとものを言うのは諸刃の剣。特に日本企業の場合、ハマればかわいがってもらえるが、度を越すと斬り捨てられる。空気を読んで、ギリギリのラインで忌憚なく意見を述べる絶妙なバランス感覚が必要だ。


改革型のリーダーと、それ以外のリーダーの違いは何か。最大の違いは、志の強さだ。人間は誰しも内面に弱い部分を抱えている。弱い部分は欲となり、それが肥大化すると保身や現状肯定につながってしまう。もちろん改革型の人材も他の人と同じようにドロドロした欲を抱えている。しかし大義や志で自身の欲望をコントロールしているわけだ。


最も大切なのは、周囲の人との関係作りです。自分の周りにいる人の考え方や得手不得手、人となりまで含めてよく観察し、「自分と志を同じくする人」や「自分にないスキルや能力を持っている人」を選び出して、関係性を強化しましょう。私はこの作業を「社内外に自分独自の神経回路を作る」ようなものだと考えています。


大義も使命感もなく、単に「偉くなりたい」人は、人の上に立つ資格はありませんし、誰もついてきません。出世はあくまでも、会社の将来のために骨を折った「結果」であるべきだし、仮に出世を目標とする場合も、「上のポジションに就いていなければ、やるべきことを成し遂げられない」場合に限定すべきだと思います。


日本の企業は今、岐路に立たされている。必要なのは経営の「改善」ではなく「改革」。それには部課長クラス、つまりミドルの働きがとても重要。中間管理職というと聞こえはよくないけれど、本来ミドルはリーダーです。そこに気づいてほしい。


直接の上司を追い落とすには、上司の人事に影響力を持つ「上司の上司」を動かさなくてはいけない。その際は大義を掲げ、私利私欲からの進言ではないことを示すべきだ。ただ、そうはいっても人事の話はきれいごとでは済まないことが多い。最後の最後は「刺し」にいく覚悟が必要だ。勝算を少しでも高めるには、上司の上司と本音で話せる関係をつくっておくべきだ。


部下をやりこめるときに使う論理は、社内の閉じた論理ではいけない。これまで生き残ってきただけあってミドルは社内の論理に精通しているが、若手にはピンとこない。むしろ外でも通用する普遍性を持った論理でなければ、説得力を欠く。普段から外部の人とコミュニケーションを密にするなどして、視野狭窄に陥らないように注意したい。


部下は黙って有益な情報を上げてくれるほどお人好しではない。有益な情報を知りたければ、自分からアプローチする姿勢が必要だ。情報を引き出す際は、ストレートに尋ねるより、「いま報告しておかないとヤバいかも」と気づかせる質問を投げかけたい。部下が自ら報告したかのように体裁を整えたほうが、よりレアな情報を吸い上げられるだろう。


組織を動かす武器になるのが情報だ、トップは現場の情報をすべて見渡せているわけではない。ミドルがどのような情報を上げるかによって、トップの判断は多くの影響を受ける。ただ、裏を返すと、ミドル自身も部下から上がってくる情報で踊らされている可能性がある。的確な判断をするには、部下に包み隠さず情報を上げさせることが重要だ。


採算性の低い事業を大胆に見直し、自社の強みに変える。IoTを活用して、顧客囲い込み型の新しい事業モデルをつくり出す。今は、そのような課題に、短い時間軸の中で対応しなければならない時代。それがうまくいっているのは、ミドルがよく機能している会社。


中間管理職は、経営陣と現場に挟まれ、思うように身動きが取れない年代。それでも、組織を動かして結果を出すには、上司や部下を思い通りに操り、上手く立ち回る必要があります。そのためには、論理的思考力や会計知識といったビジネススキルだけでなく、根回しや利害調整といった、泥臭いヒューマンスキルも欠かせません。なぜなら、正論やきれいごとだけで組織は動かないからです。


人はつい、好き嫌いの感情を優先させ、周囲をつき合いやすい相手で固めてしまう傾向がありますが、作りたいのは単なる仲良しチームではありません。「電話1つ、メールひとつで濃い情報を交換できる」「いざという時にサポートし合える」「愚痴を言い合うだけに終わらせず、状況を変えるためにどうすべきか共に考え、行動に移せる」といった高次の関係構築を目指しましょう。自分の目的を実現するための「仮想チーム」を育てる感覚です。


「会社を導くのは、経営者や管理職の仕事では?」と思われるかもしれませんが、今の管理職や経営者層のほとんどは5年後、10年後には引退し、会社からいなくなるので、20年先、30年先まで考えが及ばない場合が多い。将来を踏まえて会社を変えていくのは、ミドル世代の役割です。会社をあるべき方向に導いた時、それを主導した人間は重責を担う可能性が高い。結果として出世するでしょう。


有事の際には連絡手段にも気を配りたい。平時においてはメールベースのコミュニケーションが便利だが、いざというときにはスピードが遅すぎるし、迫力も出ない。また、際どいことを頼まなくてはいけない場面もあるが、メールでは証拠が残ってしまうため、婉曲な伝え方になって真意が伝わらないこともある。スピーディに、かつこちらの思いを的確に伝えるには、メールよりメッセンジャー、さらにメッセンジャーより携帯電話のほうがいい。これは対部下だけでなく、対上司でも同じだ。ビジネスシーンで電話が使われる機会は減ってきたが、有事にはむしろ威力を発揮するのだ。


部下同士が飲むと会社や上司の悪口で盛り上がるのが常だが、その悪口はけっこう本質を突いていることが多い。こうした情報は会社や自分を変えるヒントになるものの、けっして公式には報告されない。部下同士で交換される情報を入手したければ、腹心の部下を極秘裏に囲い込んでおく、つまりいい意味でのスパイとして配置しておくのも手だ。各世代に1人ずついると、鉄壁の情報網ができあがる。注意したいのは、スパイの人選。出世したくて上司にすり寄るタイプは、報告する情報に強いバイアスがかかっているので、スパイとして役に立たない。私心なき部下を選んで志を共有すれば、耳の痛いことを含めてリアルな情報を教えてもらえるはずだ。


パワーマネジメントでは部下は動かないが、地位や暴力によらないある種のパワーが有効な場合もある。「この人には盾突けない」というおそれを利用して部下をコントロールするのだ。おそれといっても、恐怖で人を支配する「恐れ」ではない。恐怖による支配は非常にもろく、状況が変わるとあっさりと逆襲される。人を動かすのは、「あの人には到底かなわない」という「畏れ」のほう。威厳を発揮して畏敬の念を抱かせることができれば、部下を思いのままに操れる。


部下の心をつかむには、部下のために時間を使うべき。体感としては、自分の仕事時間の7割程度は部下のために使う。実際にはそこまでの時間を使うのは難しいが、それくらいの心持ちでちょうどいい。


木村尚敬の経歴・略歴

木村尚敬、きむら・なおのり。慶應義塾大学経済学部卒業、レスター大学経営大学院修了、ランカスター大学経営大学院修了、ハーバードビジネススクールAMP修了。経営共創基盤パートーナー取締役マネージングディレクター、グロービス経営大学院教授などを務めた。著書に『ダークサイド・スキル』。

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