昆政彦の名言

昆政彦のプロフィール

昆政彦、こん・まさひこ。日本の経営者、会計士。「スリーエムジャパン」副社長。早稲田大学商学部卒業、シカゴ大学経営大学院でMBAを取得、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了、米国公認会計士。GE米国本社、GE横河メディカルシステムCFO(最高財務責任者)、GEキャピタルリーシング執行役員CFOなどを経て住友スリーエム(のちのスリーエムジャパン)に入社。副社長CFOを務めた。

昆政彦の名言 一覧

我々経営陣の仕事は、イノベーションを早く生めとか、この技術を早くものにしろとか、細かい指示をすることではない。エンジニアやマーケティング担当者が交わり合えるような場を設定してあげることが主な職務。


部下が何をしているか上司が知る必要はありません。経験豊かな上司が知れば、あれこれ指示したくなるので、部下のやる気を失わせることにもなりかねない。あくまでも社員のやる気、積極性が前提。


グローバリゼーションと言っても、グローバルという市場はどこにもない。米国というローカル市場、日本というローカル市場、中国というローカル市場においては、それぞれのやり方で活動をすればいい。


全く違う発想を持った人たちが頭の中、脳みその部分に刺激を与えると、脳が活性化されて新しい絵がポッと生まれていく。大事なことはそれも良質な知でないといけない。飲み屋で会社の愚痴ばかりでは良質な知とは言えませんので、こういう会話を何時間続けてもイノベーションは生まれません。


良いアイデアを出すには、外部から異質で良質な知が頭に入ってこないといけない。同じ考えで同じ思考の人たちがどんなに時間をかけて議論しても、ほとんど新しいアイデアやイノベーションは生まれない。


緊張感を持ちながら、あまり背伸びはせず、かといってあまり保守的にならずに、きちんと地固めをしていくことが、今は一番大事なことだろうと思います。


当社は一つの技術で一つの製品をつくるというより、あらゆる技術を組み合わせて製品をつくっていくのが得意。ウインドウフィルムで言うと、技術の掛け合わせで、熱と透明度という二つの要素を一気に解決するような商品ができていく。


ビジネスを拡大していく上で大事なことは、お客様の求めている価値に寄り添った商品やサービスを提供していくこと。単に自分たちの開発力を高めるだけでなく、使う人がどういう価値を感じているかを探しながら、商品やサービスを開発してきたから、100年以上続く会社になっているのだと思う。


個々の市場の価値観や考え方の違いを分かった上で結果を出していく人が本当のグローバルリーダーだと思いますし、これからのリーダーに求められる資質だと思います。


エンジニアやマーケティング担当者が交わり合えるような場を設定してあげることが重要。社内に「テクニカルフォーラム」といってエンジニアが独自に交流できる場をつくったり、あとはお客様との接点も必要なので、神奈川・相模原の「カスタマーテクニカルセンター」にお客様をお呼びして、我々の技術を紹介する場を設けています。


異質な人たちと交わるんですから、初めはお互いに何を言っているのか分からない。でも、交わり合っていくうちに何か頭に引っかかるものがあるはずなんです。その何かと自分のアイデアが交わった瞬間に、新しい世界が広がってくる。


3Mには「15%カルチャー(勤務時間の15%は自分の好きな業務に使っていいという制度)」がありますが、やらない人もいます。あくまでも「やってもいい」ということで、「やらなければならない」ものではありません。上司に言われたことではないので査定外です。それが大事なんです。


一言でイノベーションといっても幅広い意味があるので、私は言葉の再定義が必要だと思っています。社会的には、今まで無かったものが生まれて、社会の価値が上がれば、それをイノベーションと言うのだと思いますが、ビジネスの世界で考えれば、やはり最後はお金にならないとイノベーションとは言い切れないと思うんですよ。


やはり日本人はどうしても心理的にコンサバというか、慎重な面があるので、ちょっと危なくなると一気にお金を引いてしまいますからね。そこのお金の量と経済の実態の量と精神的なものとのリンクが切れた時は危なくなるような気がします。


企業活動というのは当然、成長が見込める市場にどんどん出ていきます。ですから企業は国境をどんどん越えていく。ですが、企業は国の存在を無視することはできません。いくら権限や予算があったとしても、米国には米国の、日本には日本の、中国には中国のルールがあるわけです。だから、企業はその国のルールや習慣、価値観をきちんと見定めて活動をしなければなりません。


米国は移民の国で人種のるつぼですから、もともと価値観の前提が違った人たちが集まってくる。そこを取りまとめるには好き嫌いではなく、タスクでまとめた方がチームとしてまとまります。これは米国や欧州、中国などの様々な国をまとめる上でも、タスクを中心にした方がやりやすい。ただ、日本はずっと同じ民族で来て、同じ価値観を醸成することで育ってきた人たちですから、最後はタスクうんぬんよりもハートなんです。


私が日米両方で働いて感じることは、日本の経営というかビジネスの進め方というのはハートなんですね。人間関係が中心にあって、これが無いと何も前に進みません。一方、米国の場合はタスク。どちらかというと頭で考えることが中心になる。ですから、これをどう組み合わせるかは非常に難しい問題です。米国方式を日本に全て持ち込んでも上手くいきませんし、日本のやり方を欧米で展開しても上手くいきません。


私はグローバルの共通言語は「経営会計」でやるべきだと思います。どうも会計というと、日本では財務会計を思い出して、規則で固められた計算のことばかり考えがちなんですが、本来、(経営)会計というのは今のビジネスで行われていることを数字で説明するものです。目標の数値に対して、ビジネス全体が上手くいっているのか、いないのか。自分の会社の持っている実力値を、きっちり数字で語ることが経営会計の本質ですから、世界を束ねるにあたっても、数字や目標値を明確にして、コミュニケーションをとっていくべきだと思います。


良くも悪くも、日本の場合はハート中心のビジネスです。だから、たとえば、上司から何か仕事を頼まれた時、日本人は好きな上司から頼まれたことなら、自分の能力を120%出してやるんですが、嫌いな上司から言われると80%の能力も出せない。自然にブレーキがかかってしまうんです。これは頭の中では、この仕事はやらなきゃいけないと分かっているんだけれども、ハートがついていかない。しかし、これが米国なら、たとえ好きでない上司から言われたとしても、仕事はタスクですから、自分のタスクだと判断したらやるんです。その代わり、自分のタスクでないと判断したら誰もやらない。自分がやる必要があるか、ないかを判断するのが米国です。


3Mはプロダクトアウトで作り手の論理を優先させる会社ではありません。いわばテクノロジープッシュの会社でして、我々の製品ではなく、技術をお客様にお見せすることによって、「この技術はこういう風に応用できるんじゃないですか」と提案ができたり、お客様からアイデアをいただいたりします。テクノロジープッシュですから、技術者がある程度前面に出て、お客様のニーズ(困りごと)に当社の技術をぶつけるのです。それがイノベーションにつながるアイデアを出すことにつながるんです。実はこれは日本発でして、スリーエムジャパンから米国の本社に採用された考えです。それが今、世界中に広がっているんですね。


3Mでは有名な「15%カルチャー(勤務時間の15%は自分の好きな業務に使っていい)」という文化があって、上司に言われている仕事以外のことも積極的にやっていいよと。積極的に自分の事業部以外のところに顔を出して、新しい考え方を見つけに行くんです。ですからたとえば、自動車関連のエンジニアがある接着技術を使って自動車部品の製品開発をしても、それは自分の仕事でしかない。ですが、その人が医療品や文房具の製品開発に顔を出して頑張るというのは、上司にやらされたことではない。それが15%カルチャーなんです。


iPS細胞(人工多能性幹細胞)の発明によって、これがあれば将来、我々人類の未来が明るくなるというイマジネーションがふくらむ。ただ、ビジネスの世界で考えたらこれだけでは物足りなくて、iPS細胞を活用した治療法が確立され、患者さんが最終的にお金を出すような仕組みができて初めてイノベーションと言えると思うんです。ここで気をつけなければならないのは、お金にならなければイノベーションではないと言って、目先のお金になることばかりを探していては意味が無くて、結局はイノベーションが生まれない。だから、イマジネーションにおけるオープンテクノロジーも大切なんです。


昆政彦の経歴・略歴

昆政彦、こん・まさひこ。日本の経営者、会計士。「スリーエムジャパン」副社長。早稲田大学商学部卒業、シカゴ大学経営大学院でMBAを取得、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了、米国公認会計士。GE米国本社、GE横河メディカルシステムCFO(最高財務責任者)、GEキャピタルリーシング執行役員CFOなどを経て住友スリーエム(のちのスリーエムジャパン)に入社。副社長CFOを務めた。

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