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手代木功の名言

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手代木功のプロフィール

手代木功、てしろぎ・いさお。日本の経営者。「塩野義製薬」社長。宮城県出身。東京大学薬学部卒業後、塩野義製薬に入社。米国駐在、秘書室長、経営企画部長、取締役、医薬研究開発本部長、常務、専務などを経て社長に就任。

手代木功の名言 一覧

ネットには「平均的にはこうだ」という情報が氾濫していますが、人間の体は理論だけでは語り切れないブラックボックスです。すっぱり境界線を引けるほど単純ではありません。


社員にも「自分がどんな仕事をしているのか、家族に説明してごらん」と話しています。家族に「何を言っているのかさっぱり分からない」と言われてしまったら、一般の方々に受け入れていただくのは相当難しいですから。


下の人間に変化を促すためには、まず上の人間から変わらなければいけません。そこでユニット長やその下のグループ長など「上司」の教育にも注力しています。


社長にもなると会社では私の悪いところを指摘してくれる人は皆無ですから、駄目出しをしてくれる家族は貴重な存在です。我が家での序列は、妻、息子たち、犬、そして一番下が私です(笑)。でも、私も息子たちにはまだまだ負けられませんから、頑張ろうと思えます。


私にとっては家で過ごす時間が元気の源です。上司が会社にいれば部下も帰りにくいので、39歳で経営企画部長になってからは定時で帰るようにしています。


子育てを通じて、子供は反発もするけれど、愛情をかけた分だけ受け止めてくれるというのを実感しました。ありがたいことに息子たちはそれぞれ立派に社会人になってくれたので、マクロでは自分の教育論は間違っていなかったと自信を持っています。


私は、勉強と仕事の共通点は3つあると思っています。いずれも基本は「やりたくないこと」ですから、本人が納得して動かない限り身に付きません。覚えることは年を経ることに指数関数的に増えていく。結果を出せるかどうかは、自力で考える力がカギを握る。ということです。


私の社員教育の原点は、2人の息子の教育にあります。私は、子供がどう育つかは、学校や社会よりもやっぱり親の責任が大きいと思っています。だから子供の教育には率先して関わってきました。


私が米サイエル・ファーマを買収した直後にリーマンショックが起きて大変だったように、予期せぬことはこれからも起こるでしょう。経営者に必要なのは、「なぜその事象が起きたのか」「何をやらなければならないのか」をその都度、考えて決断する力です。だからこそ社長塾では、私の考えをたたき込むのではなく、自分の頭で考える練習をしてもらっています。


自分と同じ物の見方をする「ミニ手代木」を育てるつもりはありません。塩野義は今後、研究開発にもっと力を入れていきますし、新興国を含む海外拠点の強化や、IT(情報技術)やAI(人工知能)の活用も視野に入れなければならない。当然、経営者に求められるスキルは今とは異なってきますから。


数年に一度幹部層をダイナミックに異動させます。理由は、一つの部門に長くいて一定の成果を出し始めると、「成功の呪縛」にとらわれてしまうから。塩野義は研究の創造性が問われる創薬型の製薬会社ですから、成功の呪縛は天敵です。それは多かれ少なかれ、どの業界にも通じるところがあるのではないでしょうか。


社長就任後、社外取締役制度を導入しました。ガバナンス強化という社会の要請に応えるためだけではありません。私が投資家からの厳しい指摘で鍛えられたように、経営会議を社外の目にさらすことで意思決定のクオリティーを上げる狙いもありました。


変化の速い事業環境の中で長期ビジョンを実行していくのは容易ではありません。しかも経営者としては、不測の事態に直面した場合でも、従業員のリストラは避けたい。そのためには、変化を先読みして従業員を再教育し続けるしか方法はない。


ビジネスモデルやビジョンをわかりやすく説明できれば、企業価値を高めることにもつながります。「うまく説明できないけれど、とにかくものすごく難しいことをやって、おたくの健康に役立っているんですわ」と言われても、そんな分かりにくい会社の株、買いたくないですよね(笑)。


顧客の課題解決のために、チームでベストを尽くす。製薬ビジネスの根幹は、決して非常識なものではありません。医薬に携わる私たちは、ビジネスモデルやビジョンをもっと分かりやすく社会に説明する必要があると考えています。小難しい専門用語を並べたてて、けむに巻いているようでは駄目なんです。


創薬の場合、良い種を見つけても薬にならないことはざらにあります。プロセスにおいてベストを尽くしたならば、どんな結果でも高く評価してあげる。そうでなければ、研究者はやっていられません。


企業という組織で戦う以上、チーム力がものをいうのはどの業界も同じです。私は、チーム力を高める秘訣は、上司の目配りにあるような気がします。良い人間関係は、見てもらっているという幸せと、見られているという緊張感のバランスの上に築かれるのではないでしょうか。


製薬業界でも、顧客のニーズにいかに応えているかが、生き残りのキーワードになるのは間違いありません。薬を処方する医師や調剤する薬剤師のニーズがどこにあり、患者さんのニーズがどこにあるのか。私たちは、自分たちが特別だという意識を捨てて原点に立ち返り、自らの行動は正しいかどうか常に振り返る必要があると思います。


つくづく感じているのは、「製薬業界の常識は世間の非常識だ」ということです。製薬市場は国民皆保険制度に支えられ、景気の影響を受けにくい。その安定した市場に立脚した製薬業界で働く人の給与水準は比較的高く、一般的な消費者の感覚と乖離しがちです。ただ、私は塩野義を次世代に存続させる立場として、当社を非常識な存在にしてはいけないと思っています。


受験勉強も仕事も、努力は本人にしかできませんが、勝つための戦略や、やるべきこととやらなくていいことの判別と優先順位は、上の者が立ててあげるべきでしょう。社長塾や経営塾はその一つの実践法です。


社長塾で出す課題は毎年変えています。詳細は秘密ですが、たとえば「日本の国民皆保険制度は続くと思うか」といった、私自身が塩野義の将来を考える時に思い悩んでいるような、正解のない問題です。私は営業も流通も全く経験しない中で社長になり、相当苦労しました。社長塾で鍛えることで、同じ苦労はさせません。世の中は常に動いていますから、その分、エネルギーを新しい苦労に費やしてほしいと思っています。


よく「塩野義はなぜ少ない研究開発予算で新薬を生み出せるのか」と聞かれますが、私は塩野義の創薬力は「チーム力」のたまものだと思っています。野球を思い浮かべてみてください。一流のピッチャーとキャッチャー、守備を集めてきて、いきなり試合をさせても勝てるとは限りませんよね。厳しい戦いを勝ち進むには、チームがまとまって互いの短所を補いながら力を発揮していくことが必要です。


製薬企業の使命は、「安全性が担保された高品質の製品を、オンタイムかつ安価で提供する」ことにあります。どんな製造業にも通じるモノづくりの「イロハのイ」を、医薬品でやっているだけなのです。少しでも良い製品を提供することはもちろん、それを生み出す社員や会社の品質もより高くなければ、いずれ社会に選ばれなくなってしまうのは、他の業界と同じです。


息子たちの教育で面白いと思ったのは、兄弟でもキャラクターが全然違うこと。精神面の強さもかなり違います。性格、年齢、やる気など、会社は異質な人材の集合体。経営者や上司はそれを束ねてパフォーマンスを最大化するわけです。一律の教育を押し付けるのではなく、個性を見ながら組織全体でいかに到達目標に近づけるかを考えなければなりません。


トップダウンの教育に加えて、下からもプレッシャーをかけています。その仕組みが、社長就任以来、3か月に1度、全従業員に配信しているメッセージです。5000~8000字もの長文で、株価を含めた会社の状況や展望など、インサイダー取引にならないよう配慮しつつ詳しい情報を盛り込んでいます。本来、上に立つ者は、部下より優れた判断力を身に付けているべきですが、現実は上司の方が多くの情報を持っているというだけで、部下に対して優位に立っているケースも少なくないでしょう。全社員に同じ情報を提供することで、上司に勉強を促し、考える力を養ってもらいたいと考えています。


幹部層を数年に1度、シャッフルしています。営業から生産へ、開発からサプライチェーンへと部門をまたいでダイナミックに異動させてきました。乱暴に思うかもしれませんが、部門が変わっても組織マネジメントの基本は同じです。自分の専門外の部門では、専門知識を持った部員に仕事を任せてやりがいを引き出すというのも、マネジメント能力の一つです。営業は2年目から、研究は3~5年で結果を出してもらいます。少なくとも2つ以上の部門で経験を積めば、全社視点で議論できる素地は整います。1つのバリューチェーンしか知らないと、判断を誤りかねません。


IT化が進んだことで、医療は確実に患者さん主体になってきています。従来のように、製薬企業から医師、医師から患者という一方通行で薬や情報が届けばいいという時代では、もはやありません。そのため、製薬企業も患者さんに納得してもらえるような活動をしていかなければ、いずれ社会から追放されてしまいます。


米国での単身赴任から3年ぶりに帰国して長男の成績を見てみると、どうも芳しくない。それで一から教え直すことにしたのです。算数を教える時は、「公式は覚えるな。時間がかかっても作れるようにしろ」と口うるさく言いました。その場しのぎで覚えたことは時間がたつと忘れてしまいますが、自分で手を動かし、考え抜いたことは身に染みつきます。これは仕事も同様です。


私が直接教師となる「社長塾」という研修を始めました。来年、私は還暦を迎えますが、63歳ぐらいまでに100人近くの経営幹部候補を育てたいと考えています。対象は次の本部長の候補者となる10人前後。私が指名するとバイアスがかかるので、現任の各本部長に推薦してもらう仕組みを取っています。社長塾は月1回、年間7~8回、非公開で行います。あらかじめ課題を出し、各自が考えてきた内容を発表してもらいます。全社最適で論理的に考えているかどうかはもちろん、プレゼンテーションの構成や話し方の癖などについても厳しく指導します。1回につき約4~5時間、罵声を浴びせるので泣き出す社員もいるほどですが、「私が優しくなったら見放されたと思え」とも言っています。


個人も組織も、変わるためには時間がかかります。ですので、私は社長に就任してすぐに人材教育に向けて動き出しました。まず、手を着けたのが経営幹部の再教育です。当時、経営会議の様子を改めて観察してみると、研究開発、営業、生産など各本部のトップは自分の部門に関係のない案件に関しては口をつぐみ、会社全体について語っているのは社長か会長だけでした。本来、経営幹部は常に「フォー・ザ・カンパニー(全社最適)」で意思決定しなければなりません。ただ、多くの部員を抱える本部長は、どうしても「フォー・ザ・ディビジョン(部門最適)」の思考回路になってしまいます。それでは、全社にとってベストなことを堂々と発言すべき経営会議で、「他部門のことは分からない」と遠慮が生まれてしまう。当時の塩野義製薬はそんな状況に陥っていて、非常にまずいと思いました。


医療のゴールはどこにあるのか。最近、それについて考えることが増えました。非常に難しい問題ですが、私はやはり「健康寿命の延伸」だと思います。健康で過ごす時間が長くなるほど、人間は幸せですし、国としても活気が出てくるでしょうから。では、どうやってそこにたどり着くのか。少しでも薬が貢献できれば製薬企業としてはうれしいですが、薬だけでは健康寿命は延ばせません。食事や睡眠、あるいは社会福祉の基本的な仕組みなど、様々なものと組み合わせて議論していく必要があります。社会全体でそうした議論を盛り上げていくために、家族や身近な人と最期の過ごし方や死生観について話す土壌ができてほしいと願っています。


「良い薬をできるだけ安く」という製薬企業の基本に立ち返るために、新しい技術にも目を向けています。着目している技術の一つが「特殊ペプチド医薬品」です。塩野義がこれまで手掛けてきた「低分子化合物」と同じように安く製造できる一方で、抗体医薬に引けを取らない効果と安全性が期待されています。特殊ペプチド医薬品の独自の創薬技術を持つペプチドリームとコラボレーションを進めています。


日本では高齢化や医療の高度化により医療費が社会保障費を圧迫しています。医療に関わる立場として、その問題は避けて通れません。「社会保障制度を考えるのは国の仕事だ」と知らぬふりをするのではなく、制度を守り維持していくために、国、企業、個人のそれぞれになすべき努力があると私は思います。私は創薬型製薬企業のトップとして、「イノベーションと医療経済性の両立」を目指したいと考えています。


手代木功の経歴・略歴

手代木功、てしろぎ・いさお。日本の経営者。「塩野義製薬」社長。宮城県出身。東京大学薬学部卒業後、塩野義製薬に入社。米国駐在、秘書室長、経営企画部長、取締役、医薬研究開発本部長、常務、専務などを経て社長に就任。