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成毛眞の名言

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成毛眞のプロフィール

成毛眞、なるけ・まこと。日本の経営者。北海道出身。中央大学商学部卒業後、自動車部品メーカー、アスキーなどを経てマイクロソフト日本法人に入社。同社の社長を務めたのち、株価連動成功報酬型コンサルティング会社インスパイアを設立。そのほか、スルガ銀行やスクウェア・エニックスの社外取締役や早稲田大学客員教授などを務める。主な著書に『会社のつくり方 成毛流「起業心得」』『大人げない大人になれ!』『日本人の9割に英語はいらない』など。

成毛眞の名言 一覧

「旧来の価値観を捨てろ」と言われると、拒否反応を示す人はいると思いますが、そんな方も一度はご自身の価値観を見直してみてください。すると、どうでもいいことにとらわれていたことに気づくはず。その呪縛から一つ解き放たれるだけでも、人生に明るい展望が開けてくること間違いなしです。


私が伝えたいメッセージは、次の一言に集約できます。それは「古い価値観にとらわれて、自分をがんじがらめにしていないか」ということです。古い価値観を大切にするのは自由ですが、それに縛られると思考停止に陥り、自分の可能性を狭めてしまいます。


もっと柔軟に考え、刹那的でいいと思う。目の前のことに集中し、変化に対応して、ベストのスタンスを維持し続けていくことが大事。


「目標を立てるな!」。若いビジネスマンに、私が一貫して言い続けていること。目標はいらない。持たなくていい。1度目標を持てば、人生を縛られ、可能性を取りこぼす。


トップに立つ時、何より大事なのは、変えること。小さなことでいいから、とにかく変わったと誰もが分かるようにすること。


要は、シンプルにすること。グローバル化の拠点が米国なら、日本の担当者は米国の担当者と直接やり取りするのが一番ムダがない。


トップが「現場目線」で何かを変える。すると現場に「変われる」「変わっていいんだ」という気持ちが芽生える。その先の大きな変化は、そこから始まる。


所ジョージさんは、趣味の時間を確保するため、打ち合わせに時間のかかる仕事や移動時間の長い仕事は避けるそうです。いかに仕事に時間をかけないか、という視点は常に持つべきです。


私が主に読むのは歴史書や、科学系の本。過去には学ぶヒントが豊富だし、仮説を立て、検証、実証して新しい理論を生む科学は、ビジネスでも重要なプロセスです。


大企業の社長を見ても、子会社に出向した後に返り咲いたという経験のある人は、意外と多いものです。今なら、海外に関連した仕事に就くことができればベストです。海外にある子会社の経営幹部や工場長、あるいは国内でも海外の営業責任者などをしていれば、引く手あまたの人材になれるでしょう。


勤務先が大企業かベンチャーであるかにかかわらず、簿記を取っておいて損はないです。といってもまずは商業高校で習う3級レベルでいい。簿記の知識は自分の財産管理でも役立ちますし、キャッシュフローの概念がわからなければ、コスト意識を持つこともままなりません。


マキャベリの『君主論』は必読の書です。思想や概念的なことではなく、実践的なテクニックが学べます。「君主は鬼にも仏にもなれる予測不能な存在であれ」など、マネジメントやチームづくりにも役立つエッセンスが詰まっていますね。


気づいていないだけで、誰でも異業種の人が聞くと面白い話を持っていると思います。たとえば、ルートセールスの人なら「どこで売れるのか」「どんな工夫をすれば売れるのか」という話を持っているはず。まずは、それをどんどん話してみましょう。自ずと聞いている側も自分の話を始めます。すると、勝手に有益な情報が入ってくるようになるのです。


情報をつかむには、自ら情報を提供する姿勢が大切。私が主催する会でも、「学ばせてください」などという人はすべて断っています。情報を求めるだけの人ばかりになると、面白くないですから。


趣味はビジネスとしての可能性よりも、とにかく「好きなこと」「楽しいこと」を優先しましょう。趣味といっても仕事や家庭を持ちながら、毎日続けるのはしんどいものです。お金だけをモチベーションにしていたら、仕事の効率を上げて早く帰ろうという気も起こらないので、続けられません。


ただひとつ確かなこと、「新しいことをした者が勝ち、しない者は負ける」ということだけを胸に刻んで行動することが大事です。


うまくいくかどうかは結局のところ、「運」の側面が強いのですが、まずやってみなければ、運をつかむことはできません。


うまくいかないとわかったら、早く撤退することも大事です。始めるときと同じように、やめるのも瞬時に判断することが大事です。


当社(インスパイア)の人間はベンチャーキャピタルをやっていますが、彼らには「ベンチャー企業に対して戦略なんて言うな」と言い聞かせています。良いものをつくって売ったら、そこでもう1回考える。売れなくても、もう1回考える。売れるも売れないも半年ぐらいは待てと。それまで一切、戦略なんていらないと。


製品やサービスが良ければ売れるわけです。経営学の入門書に出てくる話の8割は捨てていい。


「これで上手くやったから勝つことができた」と自賛しているような会社は、どうかと思いますね。英国の掃除器メーカー、ダイソンの経営トップは「いまにも潰れる」「もう駄目だ」なんてずっと言い続けて、業績は好調だったりします。そうした不安を抱えながらも勝っている。だから強い会社と言われるわけです。


あらゆる企業は勝ったから強いのであって、強かったから勝ったという根拠はあまりないでしょう。僕はマイクロソフトにいたがゆえに、本当にそう思っています。勝ったから強いんです。上手くやったから勝ったとか、経営がよかったから勝った。そういうことではなくて、勝ったから経営もいいと評価されるのです。


異端な人材というのは育てられません。僕はいろいろな団体から、「未来のビル・ゲイツを育てよう」といった趣旨の会議に呼び出されることがあるのですが、本音では難しいと思っているんです。だってビルやジョブズのことを知っていますが、常人とは明らかに違う。人の名前を3000でも5000でも軽く覚えることができて、しかも顔と名前が一致する。自分で書いたプログラミングコードはすべて覚えている。一方で誰でもわかると思うような冗談が通じない。異端というか天才というのはそういうところがあるものなんですよ。


本当は事業はばらしたほうがいいんです。複数の事業でシナジー効果というのは幻想です。その部分では日本の総合商社に学べる点があるかもしれません。チームワークどころではなくて、「自分と関係のない部署はできればダメになってほしい」ぐらいの競争意識を持って働き、給与の原資を奪い合っていますから。そうした厳しさが再生の前提として欠かせないでしょう。


自分を中心にして半径50センチをウロウロしてたって、いい発想なんて生まれないということです。一番右はどこか、一番左はどこか、自分から最も遠い世界のことを知らないと思考の幅は広がりません。


読書を通して極端なものを知るのはとても大切です。異なる国の歴史や文明、あるいはとてつもない人物のことを知ることで、日本は大変だとか日本人だけが可哀そうだという感覚から抜け出すことができます。


とんでもない人たちの自伝や評伝を読むと、生きるのが楽になるんです。自分の人生に起こっている問題なんて大したことじゃないと思えてくる。評伝や自伝を読む意味はそこにあります。


本はミーハーな読み方をした方がいいというのが僕の持論です。ビジネスチャンスになる旬な情報を捕まえるのは、常にミーハー精神ですから。


本の同時並行読みは、脳の異なる部分を同時に刺激するので脳の活性化にもいい。発想がとても豊かになるんです。予定調和をぶち壊すためにも、同時並行読みはお勧めです。


大切なのは、将来の目標に縛られるような、小さな生き方をしないことです。仕事でも人生でも、いまを精一杯生きてください。


どうせ目標を設定するなら、とにかくスケールの大きなゴールがいいですね。たとえば、「この会社の社長になって、なおかつ業界初の経団連会長になる」とか、面白いじゃないですか。前人未到の目標なら、あらゆる選択肢が視野に入りますから。


「この会社で5年以内に課長になる」というような中途半端な目標は、自分の可能性を潰すだけです。本当は5年で部長になれるかもしれないし、他の会社から魅力的な転職のオファーが届くかもしれない。にもかかわらず、本人の目には目標しか映っていないから、他のチャンスを逃してしまいます。


人脈づくりで大切なことは、目標に縛られていない人に声をかけることです。最終的に大物に育つのは、いい加減に見えるくらい自由な感性を持った人なのです。


人脈づくりは大切です。私の場合は、31歳のときに同世代に声をかけて勉強会を始めました。当時はみんなぺーぺーでしたが、20年経って、そこから大臣経験者が3人出ました。それくらい時間のかかるものですから、20代から人脈づくりを始めても、決して早すぎるということはありません。


自分を磨くためにお勧めしたいのは読書ですが、お手軽なハウツー本は駄目です。方法論を覚えて自分を型にはめ込むのは、まさに感性を停止させる行為ですから。もちろん、ビジネスをするうえで覚えなくてはいけない知識はありますが、勉強するなら、経済学や会計学などの基礎教養が身につく本がいいでしょう。


目標を設定することは、むしろ自分の可能性を狭めることにつながります。目標を掲げた時点で、無意識のうちにそれは縛られてしまうからです。


一言でいうと、クリエイティブ・クラス(各分野を動かすコアとなる人たち)は社交性のあるオタクです。一人で引きこもって何かに熱中するから、人より秀でることができます。かといって、自分だけの世界に閉じこもってはいないから社会に影響力を持てるのです。またある種の子供っぽさも持ち合わせており、心から楽しいと思える仕事に集中します。


クリエイティブ・クラス(各分野を動かすコアとなる人たち)になるための条件はふたつです。ひとつは運がいいこと。もうひとつは頭の良し悪しや感性、性格も含めて才能に恵まれていることです。そんな人は滅多にいないからこそ、可能性を持った人材を見つけて支援する価値があるのです。


目標に向かって動いていないと不安になるというピューリタニズム(清教徒思想、厳正主義)的な心理は、おそらく戦後教育の影響でしょう。もともと日本人は、先のことを考えるより、目の前のことに対処する方が得意で、気質はラテン系に近い。じつは日本人は無理してゴールをつくらない方が上手くいく国民なんです。


大学卒業後、自動車部品メーカーに就職しましたが、当時は何も考えていませんでした。もちろん、あの仕事が面白そうだからやってみたいとか、この仕事をするにはもっと裁量権が欲しいといった、本能的な欲求はありました。しかし「5年以内に課長になる」とか「2年でこのスキルを身につける」といった、具体的な目標を掲げたことは一度もありません。それはいまも同じです。


本を読まない人間とは付き合いたくないと思っているほど活字中毒の私ですが、ビジネスハウツー書、成功者云々といった本は読む意味がないと思います。成功とは、革新性のあることを形にして初めて成し得るものなので、他人のノウハウを真似しようとしているうちは、永遠にその他大勢に埋もれたままでしょう。


頼みごとをするときは「相手の弱みは何か」を知ることです。つまり事前のマーケティングが最重要です。


読書において真に重要なのは、本の内容を頭に入れることではありません。その本を読んだことで精神的な衝撃を受け、自分の内部でエモーショナルな組み換えが始まることです。そうした体験は、人を導いたり、創造的な仕事をする力につながります。


急速な変化を遂げる今日、昨日の常識が今日は通じないということもあり得ます。また、東京の常識でしかないことを日本の常識だと思い込んで視野が狭くなっている人も多い。それまで常識ととされていたことを覆すプロセスを追うことは、経営やマーケティングの常識を疑う心を育み、視野を広げてくれます。


友人だからという理由で出資するのはおかしいでしょう。本来、成功者は友人や知人に出資は求めず、ベンチャーキャピタルなど、しかるべき出資者を知っているものです。そして、出資を受ける代わりに相手を儲けさせ、人材や経営ノウハウをもらうというように、ギブ&テイクを前提に申し出ます。よって、友人に出資をお願いする時点で、眉唾物かもしれません。あくまで、お金を出すのは融資レベルにとどめるのがいいのかもしれません。


私は人生における運の総量は決まっていると思っていて、ギャンブルに運を使う人はビジネスに幸運が回ってこないと考えています。事実、これまで私が見てきた成功者でギャンブルする人は皆無に等しかったですから。


私が出資の相談を受けたとき、重要視するのは以下のことです。まず経営者の人柄で、私生活が乱れていないこと。分不相応な服装や所持品がないかどうか。浪費壁のある人はまず成功しません。地味でケチな方が見込みはあります。同様にギャンブルする人も向いていません。


リスニングやスピーキングの勉強をする時間があるなら、そのぶん英単語を覚えた方がいいでしょう。ラテン語などと違い、英語はそれほど複雑な言語ではないので、単語をつないでいくだけで自分の言いたいことはだいたい伝わりますよ。


英単語はウェブで覚えるのが一番です。シェークスピアを読んで、この先一生使わない単語を覚えるのは愚の骨頂です。テキストとしては、CNNやニューズウィークのサイトが最適です。アメリカではいずれも中間層向けのメディアなので、内容も難しくありません。それらをポップアップ辞書(カーソルを合わせるだけで表示してくれる辞書ソフト)で読めば、頻出する重要単語ほどすぐに記憶できてしまいます。いちいち単語帳をつくるような無駄なこともしなくていいのです。


相手の話す英語がわからなければ、「わからない」「もっとゆっくり話して」と遠慮なく言えばいいんです。それでもわかるように話してくれないなら、相手が一緒にビジネスをする気がないということです。これは英語以前の問題です。


いかにも英語らしく発音できるとカッコイイじゃないですか。カッコよくしゃべれると、自分の英語に自信が持てて口調も堂々としてくるものです。だから、この人はカッコよく話すなと思う人の真似をするのはいいと思います。


ビジネス英語は学問ではなくあくまで道具ですから、できるだけ効率よくマスターすべきです。そのためには、いかに手を抜くかが大事です。


企業が人材を採用する視点はふたつあります。「仲間」として採用するか、「労働力」として採用するかです。面接官を笑わせられる人材ならば、仲間として迎えられる確率が高くなります。知的産業や日本的な風土の企業では仲間意識を大切にするから、点を稼ぐことができるはずです。


会社は受験のように能力が一定以上ならどこでも受かるというものではありません。たった一社でも自分と相性の良い会社が見つかり、そこに入ることができれば成功なのです。そして、希望した会社に入れば、学歴コンプレックスなど吹き飛んでしまうものです。


娘が大学に進学したとき、私は体育会系の部に入ることを勧めました。訳知りの企業なら、体育会系の人材を最優先に採用します。なぜなら、体育会系の人材は挑戦することに慣れているし、体験から学ぶ訓練ができているからです。そして多くの仕事は、論理的に教わろうとすると習得するのに時間がかかります。とにかく無茶苦茶に向かっていけば早く覚えられます。頑張りさえすれば勝てるとは限らない実社会において、負け方を知っていることも強みでしょう。


結局、親が子供に就職活動について教えることができるのは、産業の状況と、それをもとに自分を売り込む戦略の立て方だと思います。人材採用の裏側には、大学の就職指導やハウツー本には出てこない、しかし社会人なら知っている現実があります。それを子供に教えてやるのが親にできる就活支援なのです。


世の中には、教育熱心で子供の受験の合否に一喜一憂する親が多いが、私に言わせれば学校名などどうでもいいことです。大切なのは学校を出たあと、職にありつけるかどうかです。そこで手伝えることがあれば、親はどんどん手を貸せばいい。就活こそが親の出番です。


うちの娘は大学3年生の終わりに就職活動をスタートさせました。「どんな会社を回ればよいか」と聞かれたので、業界をマクロに見て、この先20年は伸び続ける業界を選べとアドバイスしました。たとえば、農作物や天然資源を扱う産業、人口が減る国内だけでなく世界を相手にする仕事などです。そして、給料がよくても業界自体が衰退しているならやめておけとも言いました。


就活で業種選びと並んでもうひとつ重要なのが、面接での自分の売り込み方です。私自身、企業の人材採用には20年ほど関わってきましたが、面接官にとって面接は退屈きわまりないのです。優等生的な受け答えをする学生ばかりだからです。だから娘には「とにかく面接官を笑わせろ。面接室に入るなりコケてもいいから」とアドバイスしました。もちろん真面目さを重んじる業界では通用しないでしょうが。


若い世代では、「勝ち組カッコ悪い説」を唱える人が増えています。「大企業に居続けるのは、能力がなく、何も挑戦できなかった証拠」と考えているようです。彼らは、戦略コンサルティングファームや外資系金融機関、総合商社を辞め、ベンチャー企業を立ち上げたり、社会貢献系の仕事をしています。皆さんも、自分が旧来の価値観にとらわれていないか、考えてみてはいかがでしょう。


趣味の時間を捻出するには、今の働き方や生き方を見直す必要があります。たとえば、今の仕事に全力を注ぐのをやめるのも一つの考え方です。40代にもなれば、ある程度、会社人生の先が見えてくるはず。大して出世が見込めないのに仕事に全力を傾けるのは、時間のムダです。クビにならない程度に手を抜きましょう。


趣味選びの一番の基準は、好きなことをすること。好きでなければ、三千時間も投じられません。急に好きなことなんて見つかりませんから、まずは色々と試してみましょう。ただ、好きなことには、集中して時間を投下すること。そうすれば、好きなことだけしてお金を稼ぐ、所ジョージさん的な生き方ができるかもしれませんよ。


私の読書法は買った本に全部目を通すわけじゃない。途中まで読んでやめる本も結構あるんです。面白くない本を読むほど暇ではないので。最後まで読み通すのは、せいぜい2~3割です。自己啓発系は読みません。ああいう類の内容は、大抵が自慢話であんまり役に立たない。


マイクロソフトの営業を指揮したときは、古き良き「飲みニケーション」を大事にしてました。IT業界では珍しがられましたけどね。だって、マーケットがアメリカとは違う。昔からのメーカーや秋葉原の販売店がお客さんなんだから、相手に合わせるのは当たり前。


5年後10年後に自分はこうしたいと願っても、世の中は激しく変わる。予想もしない出来事が起こることは十分にありえます。それなのに過去に立てた目標にとらわれていれば、時代遅れの人間になるだけ。


「運鈍根」という言葉がありますよね。成功するためには、「幸運」と、「鈍さ」と、「根気」の3つが必要であるという意味の言葉です。「運」と「根気」が必要なのはわかりますが、なぜ「鈍」くなければいけないか。それは、鈍くない人は、成功すると有頂天になってしまって、それ以上考えなくなってしまうからです。一方で失敗すると、落ち込んだ気持ちを引きずって、嫌になってしまう。どちらにしても、仕事を続けられなくなってしまう。でも、鈍ければ、成功しても有頂天にまではなっていないから、もっと成功できるんじゃないかと考えるし、失敗しても引きずらない。そういう意味で、僕は幸い、「鈍い人」なんです。


最近、仕事ではパワーポイントの資料がよく使われると思います。でもこういったものは、作るのには手間がかかるでしょうし、正直言って、読むほうも面倒くさい。もしあなたが部下だとして、アウトプットと関係ないことをするように指示されたら「面倒くさい」とつぶやくことも、会社にとっては意味があるかもしれません。


何をしているのかよくわからないけど、遅くまで残業して一生懸命資料を作って考える人と、「やらなくていいんじゃない?」「適当に決めればいいんじゃない?」という人がいたとしたら、前者のほうがまじめで正しいように見えるでしょう。一般に、一生懸命努力することは「いいこと」で、適当に決めたり、思いつきで動いたりすることは「悪いこと」だとされています。でも、仕事のアウトプットとは関係がないプロセスに一生懸命時間をかけているのだとしたら、それは本来、「悪いこと」であるはずです。


最後の決断は、トップが、ある意味で「いいかげん」に下すしかありません。トップの決定というのは、そういうものです。それは未来を確実には予想できませんから、当然のことです。ですから、そういうプロセスにはできるだけ、無駄な手間をかけないほうがいいことに変わりはありません。


仕事は他人にやってもらう、できることなら他社にやってもらえれば、そしてうまくして無料でやってもらえたら、儲かるのは当たり前です。細かいことを言い出して、無駄な仕事を抱え込むから、余計なコストがかかるのです。


大事なのはコストをかけずにやるということです。できることなら、何かにかこつけたりして、工夫してダダでやる。できることなら、他の会社にやってもらうのがいいでしょう。


もし、あなたが上司なら、誰かが何か新しいことをやろうと言いだしたら、上司としては全部OKすればいいと思います。ノーと言う必要はありません。私の元部下に聞いてもらえばわかりますが、マイクロソフト社長時代、最後には部下は私に聞くことすらしなくなりました。「どうせ『いい』って言われるから、聞く必要はない」ということだったんでしょう。そうなると部下は上司にいちいちお伺いを立てる必要がなくなって、新しいことを次々とやるようになりますから、すごい力を発揮します。


時間をかけて判断しても正しい答えが得られるかどうかわからないのなら、とりあえずやってみて、マーケットに答えを聞くほうが早いのです。判断するプロセスはとばして、一気にアウトプットまでたどり着くほうがコストもかかりません。


思いついたことはとりあえずどんどんやってみる。「思いついたから」やる。「面白いから」やる。あるいは、「新しいから」というだけの理由でやってしまう。説得力がある理由は、ないほうがいいのです。そして、うまくいけば続けて、うまくいかなければどんどんやめることです。


人や組織はいったん時間をかけて下した判断に拘束されがちですから、さらに新たな変化をするということに対して、億劫になってしまいます。こういったことが、「変化」を妨げるのです。


ある理論にこだわるようになると、何かを始めるまえに、やるべきか、やめるべきかという判断を下そうとするようになります。そうした判断は、決めるだけでも、時間がかかります。データを集めて、整理分析し、比較検討して、議論する必要があるからです。そして上司の了解を取らなくてはいけません。そうしている間にも、マーケットは変わっていきます。


ビジネスにとって最も大事な「変化すること」を忘れてしまうということは問題です。とくに、成長している業界においては、仕事を進めるうえで一番大事なのが、世の中や市場の変化に応じて、自分自身の考えを素早く変えていくということです。


ある思想や理論は、もしかすると、過去においてはその瞬間、正しかったとしても、次の瞬間には時代遅れになっているかもしれません。世の中は常に変化しています。世の中は常に変化しています。わずか10年前、中国が現在のような経済力や政治力を持つと誰に予想ができたでしょうか。アップルも、いまのような復活を遂げるとは誰も思わなかったでしょう。にもかかわらず、我々の考え方が10年前と変わっていないとしたら、仕事で正しい判断を下せるはずがありません。


気を付けるべきことは、ドラッカーの本に限らず、それがマキァヴェリであっても何でもそうなのですが、「ひとつの書物や思想には、成功するためのノウハウが書かれているわけではない」ということです。それを基準に物事を判断し、進めようとしているのだとしたら、成功するのは難しいと思います。


指揮系統のラインを1本にすること。それが現場の社員を働きやすくするのに何より必要なことだからです。例えば、あるプロジェクトのリーダーが計画を進めようとすると、了解を取るべき上長がたくさんいる。課長と課長代理、部長と副部長がいて部長補佐もいる。さらにその上によく分からない管理職が何人も……。これでは事は進みません。


英米系企業であればともかく、日本企業で過度に論理的な能力を発揮すると、逆に煙たがられる場合もあり得ます。論理的ではないタイプの上司に対して論理的に理路整然と話す部下は、「生意気な奴だ!」と反感を買ってしまう可能性があるわけです。日本企業で出世したいだけなら、論理力を磨くよりも、日本式のビジネス処世術を学んだ方が有利かもしれません。論理力とは、相手や場面に応じて使い方を変えるべきものです。


飛躍的で斬新なアイデアも、論理的に説明することができなければ、上司をはじめ、社内の人たちを説得できません。非論理的なことを実現するには、社内外での賛同を得るために、それを論理的に説明できる能力も必要です。論理的に話す力は、英米系企業で成功したい人には、とくに不可欠な能力だといえます。


気をつけて欲しいことは、論理的であることだけがビジネスの成功の法則ではないということです。たとえば、新商品開発や新規事業戦略の立案など、クリエイティブな仕事をしている人にとっては、論理思考はかえって足かせになるでしょう。新しいものを生み出すには、論理的に考えるよりも、いかに発想を飛躍させられるかが勝負だからです。


ビジネスの概要を簡単に説明した本を読んでも、わかったような気になるだけで、知識として身につくことはありません。こういった本を読んでわかった気になった人は、使われる立場から抜け出すことができません。なぜなら、概念は知っているけれども深くは理解していない人は、使う側にとっては好都合だからです。


論理力を鍛えるという点では、ビジネス書はあまりお勧めできません。なぜなら、たいていのビジネス書は、結論が先に書かれているからです。たとえば、三色ボールペンの活用を勧める本があったとします。三色ボールペンの効果について「仮説→検証」のプロセスを書かず、いきなり「三色ボールペンをこのように使うと効果的です」といった結論から書かれている。これでは論理力を養う訓練にはなりません。


論理力を鍛えるのは、スポーツの練習と同じです。野球が上手くなるためには素振りの練習が欠かせないように、論理力を身につけるにも「仮説→検証」のプロセスを繰り返すしかありません。


「仮説→検証」の一連のプロセスは、実際のビジネスでも大事なものです。たとえばマーケティングや宣伝において、できる人であれば、「このターゲットにこの値段なら売れるのではないか」といった仮説を立ててから、実行に移しているはずです。


サイエンスのノンフィクションを10冊、20冊と読めば、論理力に不可欠な言語能力が自然と鍛えられていくでしょう。サイエンスのノンフィクションがいいのは、学者が仮説を立て、それを検証し、証明するというプロセスに沿って話が展開されるからです。


20代に必死に働いてこなかったという方は、30代が勝負でしょう。40代になったら体力的にもきつい。それまで必死に働いて、40代は気楽に、というのが理想だと思います。


私はマイクロソフト日本社長時代、新入社員に「入社して3年は365日、24時間働け」と言っていました。私自身、最初に入ったメーカーでがむしゃらに働いた経験が30代で活きました。たとえば、毎日英文テレックスを1時間くらいかけて打つのですが、これが英語の契約書を読む能力につながった。だからこそ30代で「手を抜くところは抜く」ことができたし、同じことを若手にも伝えたかったのです。


マイクロソフト日本社長時代、私がやっていたのは、部下と飲みに行くこと。それも直属の部下ではなく、そのひとつかふたつ下の部下。現場の声を聞くのはもちろん、直属の部下にとっては、「どんな話をしているのだろう」と緊張感が出ます。もっとも、仕事の話なんてほとんどしないんですが。


マイクロソフト日本社長時代、とくに最初の2~3年は忙しかった。私が対応できたのは「手を抜くところを知っていた」からでしょう。とくに、部下に何でも任せ切りました。意思決定させるだけでなく、報告すら聞かない。だから、アメリカ本社からCFO(最高財務責任者)が来日する際などは、資料を一夜漬けで暗記しました。もっともビル(ビル・ゲイツ)は、「お前、どうせ見てないだろ」と最初からわかっていましたけどね。でも、部下はものすごく成長する。社長がこんなだから、部下たちが直接ビルをはじめアメリカの経営陣とやり取りする。経営センスも身につきますよ。


40代以降の現役ビジネスマンの世代に、私は「副業」を勧める。ただし、その内容が本業の延長線上にあってはならない。新しい刺激を受けられず、クリエーティブな感性が高まらないからだ。それよりもほかに、ネットやSNSを活用した副業のチャンスがいくらだってある。


マーケットの中心軸は若い世代の感性によって形成されている。それを掴めるようになると、有望な市場を獲得できる可能性も自ずと高まってくる。そのためには、とりあえず若い世代の近くに身を置くことが大切。


問題意識などで、読む前から本に対する姿勢を決めてしまうのは誤読のもとです。また、批判しながら読むということは、自分の意見を重視して書き手の意見を受け入れないということ。だったら、わざわざ本を読んで人の意見に触れる必要はありませんよね。本を読み始める段階では、真っ白な状態でいることを意識する。それが読書から多くを得るために大事なことだと思います。


読書メモをとったり、整理したりするヒマがあるならもっと多くの本を読み、情報は頭の中で自然に取捨選択・整理されるのに任せましょう。そもそも読書は面白いからすものなので、読んだ内容を忘れてしまっても何の問題もありません。


私はテレビを観ながら本を読んでいます。たとえば民放で2時間の映画を観るとしたら、そのうち30分はCMです。CMのたびに本を開くようにすれば、それだけで30分の読書時間を確保できます。さらに、トイレの中、通勤や移動中、ベッドに入って寝る前の数分、といった細かい時間にも本を開くようにすれば、思った以上の時間になるはずです。


自分にとって読む価値がある本はそう多くはありません。読み始めてみたがどうも面白くない、文章が下手で読みづらいと感じる。あるいは、通読するより資料として棚に置いておくことに意味がある本だと気づいた。そんなときにはすぐに次の本に移ればいいのです。


「どんな本を読み、どんな教養を身につけるか」は、他との差別化を図る最大の手段です。読まないのは論外として、ベストセラーだけ読むというのでは差別化も図れません。同時並行と多読で、ぜひあなたの頭に「回路」を作ってください。


脳に刺激を与えるのに最も効果的なのが、あらゆるタイプの本を「同時」に読むこと。私は以前から「本は十冊同時に読め」と言っています。小学生の頃を思い出してください。毎日、国語・算数・理科・社会など複数の教科を同時に勉強していたはずです。一年間、国語だけに専念する小学生なんていません。実はこの学び方こそ、脳のいろいろな場所を刺激し、「地頭」を鍛えることにつながるのです。


私の読書のスタンスは、「面白ければいいじゃないか」というものです。読んだことを全部忘れてしまっても構わない。ただ、さまざまな本を読んで脳が刺激を受けることで、脳の中に新しい「回路」ができる。その結果、自分なりのものの考え方、生き方ができるようになる。意外なもの同士を組み合わせ、まったく新しいアイデアも生まれてくる。それが、私の考える「教養のための読書」です。


本を読まない人がSNSにうつつを抜かしている間に、できる人は着々と本を読んで教養を高めている。


私は本を巡る状況は、江戸時代の昔からずっと変わっていないと思います。すなわち、頭がいい人、仕事ができる人はみんな本を読んでいる。そうでない人は本を読まない。それだけの話です。


大企業の本体にい続けると、40代でも、「一国の主」になれず、減点を恐れて無難な仕事をこなす日々を送っている人は少なくありません。これでは実力もつかず、チャレンジ精神も失われますから、もはや他社でやっていくのは無理。定年まで必死になって会社にしがみつくしかありません。稼ぎ続けられる自分になりたいのなら、目の前の小さなプライドなど捨てて、手を挙げてでも「傍流」に進むことをお勧めします。


資格は結局、コミュニケーションに役立つかどうかでしょう。「この人は面白い」と思わせるとっかかりになるかどうかです。うちの社長の高槻(亮輔)にしても自身の興味で生け花を15年は続けて免許を持っていますが、そんな人はなかなかいませんから。資格を含めて学んでいることそれ自体が、人と違った面白さを示す材料になるのです。


これから資格を取ろうと考えている人は、社会の動きをきちんと見定めるべき。語学で言えば、AI時代には自動翻訳の技術が進歩し、実務ベースでも言葉の壁はさらになくなっていくでしょう。たとえば貿易の手続きを代行する通関士は、自動化が進んで手続きそのものが簡素かつスピーディになるなかで、ニーズは下がっていくということもありました。


資格や勉強そのものが目的になってはいけません。資格取得が楽しいならば別です。勉強しているという意識を持たないほどに思わずやってしまう「好き」を突き詰めていったほうが、結果的に成果につながるでしょう。飛び抜けて優秀な人のなかには、勉強そのものが楽しい、というタイプの人も多いです。


やってみないことには、好きなことや楽しいことは見つかりません。中には好きだと思って始めた趣味でも、意外とそこまで打ち込めないことに気がつくこともあるでしょう。そこで、最初のうちは並行して、様々な趣味にトライしてみることをお勧めします。すると、必ず何か自分に合う趣味が見つかるはずです。せっかくですから、「自分には向いていない」と思っていたことも、試してみましょう。すると、意外な才能に気づくことがあります。


趣味を勧める理由は、定年後の楽しみだけではありません。60代、70代になってもお金を稼ぐ手段を作るためです。今後は年金不安もあり、定年後もお金を稼ぐ必要のある人も増えてきます。ならば、好きなことをして働きたいもの。今のうちに趣味を本気でやっておけば、年をとってから、それで収入を得られるようになります。


私は人の運は総量が決まっていると考えています。だから、無駄遣いしないほうがいい。節電ならぬ「節運」をオススメしますね。たとえば、私は一切ギャンブルはしない。駅でプラットフォームの一番前には並ばない。もし、後ろから押されて、運良く事故を免れたとします。この場合、命に関わる好運なので、大量の運を消費してしまうことになるんです。どうせなら、人生の転機で大きな運を使いたい。


私は、読むに値する「おすすめ本」をキュレーター集団が紹介する書評サイト「HONZ」を主宰しているが、運営のためのリアルのオフィスは存在しない。フェイスブックの「クローズドグループ」が、その役割を担っている。さらに、原稿やキュレーターの連絡先の管理などは、「ドロップボックス」を活用している。


私は安易な転職、ましてや起業などを決して勧めない。人間誰しも同じ組織のなかで20年以上も働いてくると、その組織独自の文化や習慣にどっぷりと漬かってしまい、新しい組織に移ってもなかなか馴染めないもの。致命的なのは40代以上で管理職に就いていると、部下がすることへの「ダメ出し」しかできなくなっている人が多いことだ。転職先で求められているのは新しいビジネスを創造する即戦力の人材であり、早晩、戦力外通告されるのが火を見るよりも明らかだ。


若い世代が周囲にいない人が、デジタルネイティブのような感性を活かしたいのなら、やはりSNS上の画像情報で「いいね!」のスタンプが数多く押されたものをチェックしていくことで、彼らの感性に少しずつ近づいていったらどうだろう。そして人の評価など気にせず、まず素直に自分が好きなことをやってみるとよいだろう。


フェイスブックに関していうと、友達の数が多ければ多いほどいいと考え、なかには5000人を超える人と友達になっていることを自慢げに話す人もいる。しかし、データが重くなるだけで、メリットよりもデメリットのほうが大きくなるだけではないか。最も大切なのは、どれだけ価値ある情報のやり取りができる友達がいるかである。


伝達という点において最も後れを取っているのが、いまだにやたらと電話をかけてくる人たちである。ふいにかかってきた電話を取ると、それまで進めていた自分の仕事を中断しなくてはならず、当然のことながら生産性がダウンしてしまう。だから、伝達手段を電話に頼っている人は、相手の都合を考えない、仕事のデキナイ人といえる。それゆえ、私は絶対に電話に出ないし、いまではオフィスの電話もほとんど鳴らなくなった。


転職するとしたら、どんな基準で転職先を探すでしょうか。おそらく、大部分の人は「日本で働く」ことを前提にしているのではないでしょうか。しかし私は、たとえ語学が十分に堪能ではなくとも、「海外で働く」ことを視野に入れたほうが良いと思います。中国や東南アジア、インドなどの新興国は成長し続けていて常に求人があるので、転職先に困ることはほとんどありません。それに、一度海外で働く経験を積めば、意外となんとかなることがわかるので、どの国でもやっていける可能性が高まります。


会社で苦労しても報われないのなら、仕事を適当にやって楽しく生きる。私はこれも一つの生き方だと思います。40代になって、出世のために時間を浪費するぐらいなら、趣味に時間を使うほうが余程生産的です。30~40代のうちから趣味に打ち込むことで、新たな収入源を確保することにつながるのです。1~2年興じたくらいではお金になりませんが、長年続けることで稼げる趣味に化けることも少なくないのです。


余計な人付き合いはしないようにしています。たとえば、マイクロソフトを辞めてからは、元社員にはほとんど会っていません。飲み会も食事の誘いも、結婚式の招待もすべて断っています。元の部下には「成毛さん、冷たいですよね」と言われますけどね(笑)。そうすれば、時間はものすごく空きます。「自分の人生で何が大事か」を考えれば、おのずと時間はできるはずです。


趣味がお金を稼げる域に達するには、時間がかかります。特別な技術や経験は、時間をかけなければ手に入りません。以前、同時通訳者の烏飼玖美子氏が「日本人でも、3000時間も英語に触れれば、日常会話はできるようになる」と言っていました。趣味も同じぐらい時間を費やせば、ものになるでしょう。だから、できるだけ早く、40代から始めたほうが良いのです。趣味を通じて、おのずと仲間も増えるし、健康にもなる。あくまで主観ですが、趣味に没頭している人は、みんな元気です。今の生活に潤いを与える意味でも、何か始めることをお勧めします。


仕事人間のまま定年を迎えると、何の肩書きもないまま、世に放り出されることになります。その状態から、何かを一から始めるのは、気力の面でも体力の面でもしんどいもの。そして、何もできることのない自分に気づき、がく然とするのです。百年生きると言われる時代に、長い余生を何もしないまま過ごすことは不可能。そうならないためにも、40代のうちから、外の世界を切り拓いたほうが良いのです。


私は学習塾にお金と時間をかけるのはムダだと思います。高学歴ブランドを手に入れるために東大や早慶に行ったところで、安泰とは限らないからです。就職は多少良いかもしれませんが、就職後の人生には影響しません。だから、目的もなく進学したところで価値はないのです。私の周囲には、東大卒の人が何人もいますが、自分の子供を東大に行かせようとしている人をほとんど見たことがありません。それは、ただ単に東大に行かせても意味がないとわかっているからでしょう。子供を教育するなら、別のことにお金をかけるべき。音楽やスポーツをさせて子供の才能が開花する手伝いをしたり、海外に留学させて見聞を広めてもらうほうが、よほど子供の人生が豊かになります。少なくとも、何も考えずに漫然と学習塾に通わせるのは、親も子供も不幸になるだけです。


私が一刻も早く捨てたほうが良いと思うのは「持ち家信仰」です。「家を持ってこそ一人前」と考えているのか、迷わずに家を買う人は少なくありません。この考え方は今の時代、非常に危険です。少なくとも、40代で20年も30年もの高額なローンを組むのはあり得ません。将来、家計が破たんするリスクが高いからです。「いざとなったら売って、安い家を借りればいい」と考えるかもしれませんが、残念ながら、大半の家は売れません。人口減によって、家が余りに余っているからです。そうこうしているうちに、貯金が底をつき、夫婦どちらかが要介護状態になれば、地獄が待っています。自分は大丈夫と思っていませんか。そんな悲劇を招きたくなければ、今のうちに持ち家を売ってしまい、賃貸に変えることをお勧めします。「持ち家がないと不安」というなら、郊外で激安の家を買いましょう。


海外で働くというと、現地の顧客を相手にしたビジネスをイメージするかもしれませんが、必ずしもそうではありません。「日本の顧客」を相手にしたビジネスも数多くあります。たとえば、今や印刷は中国や東南アジアのほうが圧倒的に安く刷れるうえに、品質も向上しています。今後、「新興国で刷って日本に輸出する」という流れは加速するでしょう。そのとき、日本人の営業マンがいたほうが海外企業にとって営業しやすいので、日本人が欲しいのです。試しに「海外転職」でネットを検索してみてください。様々な海外求人サイトが出てきます。それらをのぞいてみると、実に多様な求人があることがわかるでしょう。


人生を不幸にする旧来の価値観の中でも最たる例は、「本流」にこだわること。具体的にいえば、大企業・親会社・本社にいたいと願い、中小企業・子会社・支社にいることを傍流、負け犬と考えることです。しかし、稼ぎ続けられる自分になるという観点から考えれば、中小企業や子会社などの傍流で働くことは、むしろチャンスだと思います。そこでは社員数が少ないので、40代にもなれば幹部や部門長のような「一国の主」のようなポジションを任されるはず。そこで親会社やワンマン社長のイエスマンになるのではなく、その仕事と真剣に向き合い「どうすれば売れるか」「どうすれば生産性が上がるか」と頭を悩ませながら部門を回していれば、間違いなく経験値が上がり、ビジネスセンスも磨かれます。すると、他の会社でも通用する実力がつき、良い条件の転職ができることは少なくありません。


戦略的に自己プロデュースを行なえば、競争相手が多い分野でもお金を稼げるようになります。日本マイクロソフト時代の部下が、その好例です。この人は、奥さんが陶芸教室に通いだしたことに影響を受けて、自分も陶芸を始めました。佐賀で土を買ったり、富士山の麓で釉薬(うわぐすり)用のススキを買ったりして、自宅でコツコツやっていたようなのですが、なんと開始から半年後に、目黒の焼き物屋さんのギャラリーを借りて個展を開催。さらに、何年も経たないうちに退職金を使って、パリのルーブル美術館の貸しギャラリーを1日数十万円で借りて、個展を開いたのです。すると、たまたまイギリスのセーラ妃が訪れたりして、大盛況。その勢いで、プロの陶芸家に転身しました。こんなやり方もあるというわけです。


趣味でお金を稼ぐためには、「できるだけ競争相手が少ないジャンルを探すこと」も、ポイントです。たとえば、ゴルフや野球、サッカーは、競技人口もファンの人口も多いので、新参者がお金を稼げるようなネタは、なかなか見つかりません。ただし、レッドオーシャンでも、テーマをズラせば競争相手を減らすことができます。たとえば、「写真」を趣味にしている人は山ほどいますから、漫然とやっていてもお金は稼げません。しかし、「日本百名山が見える神社だけを撮影している」としたら、ライバルはほとんどいなくなるでしょう。しかも、「日本百名山にすべて行っているけれども、麓まで行くだけで一つも登ったことがない」としたらインパクトもある。「絶対登らない日本百名山」「日本百名山を見る」などという写真集を出せるかもしれませんし、日本百名山を見るパワースポットのガイドの仕事もまわってくるかもしれません。


どの程度やればお金が稼げるようになるのかは、趣味によって異なりますが、3千時間も費やせば、ある程度モノになると思われます。3千時間とは、英語の習得に必要だと言われている時間です。1日1時間を9年弱行なえば到達しますから、40代のうちに始めれば役職定年までには十分間に合います。稼ぎは小さくても、会社以外の収入源を一つでも持っていれば、リストラされたときに少しは支えになるかもしれません。楽しみながら、将来のリスクヘッジもできるのですから、こんなに良いことはありません。ぜひ何か始めてみてください。


40代になると、今の会社で出世できるかどうか、ある程度先が見えてきます。仮に順調だとしても、会社で出世するために自分の人生を会社に捧げるようなことはやめたほうがいいでしょう。リスクが高すぎます。部長レベルでとどまっていたら、55歳前後に行なわれる役職定年によって地位を失い、給料も減ります。このとき、リストラにあっても不思議ではありません。それまで、様々なことを犠牲にしてまで会社に尽くしてきたのに、こんな末路をたどるのは浮かばれないでしょう。


成毛眞の経歴・略歴

成毛眞、なるけ・まこと。日本の経営者。北海道出身。中央大学商学部卒業後、自動車部品メーカー、アスキーなどを経てマイクロソフト日本法人に入社。同社の社長を務めたのち、株価連動成功報酬型コンサルティング会社インスパイアを設立。そのほか、スルガ銀行やスクウェア・エニックスの社外取締役や早稲田大学客員教授などを務める。主な著書に『会社のつくり方 成毛流「起業心得」』『大人げない大人になれ!』『日本人の9割に英語はいらない』など。