張富士夫の名言

張富士夫のプロフィール

張富士夫、ちょう・ふじお。日本の経営者。トヨタ自動車会長。愛知県出身。東京大学法学部卒。多くの旧車種を廃止し、さらに新車種を投入。社長在任最終年度で同社史上最高利益を成し遂げた経営者。とくにトヨタ初の本格派コンパクトカー「ヴィッツ」は記録的大ヒットとなった。2001年に米国自動車殿堂の「最も優れた業界リーダー・オブザイヤー」に選ばれた。JR東海やソニーの社外取締役、デンソー監査役、日本経団連副会長、日本自動車工業会会長、道路システム高度化推進機構理事長、国土開発幹線自動車道建設会議委員、財団法人高速道路調査会副会長、財務会計基準機構理事。政府の教育再生会議委員、日中経済協会会長、財団法人駐車場整備推進機構理事長なども務めた。

張富士夫の名言 一覧

現場で見ているとわかるんです。事務所で頭の中だけで考えていたのではわかりません。


何とかならないかと思うと、何か出てくる。


つらい、しんどいと感じたら、どうすれば楽になれるか考えよ。


私もそうでしたが、若い人にはまず簡単な仕事をやらせます。大切なのは結果だけを教え、手段は自分で考えさせることです。自分で工夫し、うまくいったら本人は嬉しいものです。そして、順序を踏んで難しい仕事をやらせます。こうすれば必ず人は育ちます。それには現場という訓練の場が必要です。


教育と訓練は違います。教育は本を読み、先生の話を聞いて頭で学ぶことです。訓練は何度も繰り返して体験することです。人を育てるには何よりも実践が必要です。


コストを減らすために、人件費の安い海外に生産を移転させるという考え方が流行っています。技術開発は大切ですが、生産現場はそうではないということでしょうか。しかし、数字だけでは経営はできません。手元に現場を残さなければ、長期的に失うものがとても多いと危惧しています。気が付いたときには手遅れになるかもしれません。


トヨタは「産業報国」という考えをもってクルマづくりを始めました。自動車の経済波及効果はとても大きい。国内でたくさんのクルマを使っていただいています。お返しの意味も考えれば、できるだけ国内にとどまって生産すべきでしょう。トヨタに限らず、自動車メーカーはとても頑張っていると思います。


私も若いころは先輩から大いにしごかれました。中でも現場の神様と言われた大野耐一さんには、よく叱られました。あるとき「お前は駄目だ。己のために部下を育てている」と指摘され、ハッとしました。自分ではなく、会社のために部下を育てろ。つまり、私利私欲を捨てろという教えです。


心と技を後輩に伝え、育てようとするのが日本の文化です。これが製造業には残っています。モノづくりはここから生まれた言葉で、日本の文化なのだと思います。


講演で外国の方に「モノづくり」という言葉を伝えようとして、困ったことがあります。通訳の人に聞くと「メーキング・シングス」と言われたのですが、ちょっと違います。「マニュファクチャリング」もしっくりこない。モノづくりという言葉には、良いものをつくろうという誇りとか情熱、仲間との支え合いなどの意味が込められています。


偉い人たちは製造現場というのは、設備を買って、人を放り込んで、材料を渡したら次から次へとモノが出てくると思っているようですが、そうではなく、どれだけうまいやり方をするか、あるいは働く人がどれだけ心を合わせてやっていくか、歯を食いしばってやっていくか。その意味で今、モノづくりをめぐって企業の間では大きな差が出てきていると思います。


トヨタ生産システムは人の意識で成り立っているということです。だから人を大事にする。人を生かすという基本がなければ、トヨタ生産システムは生きてこないんです。それが人間尊重、すなわちトヨタウェイです。日本のものづくりのよさもそこにあります。人に生き生きと働いてもらうためには、人を大事にしなければいけない。そこにものづくりの強さが生まれてくるからです。


NUMMIにトヨタ生産システムを導入した時のことです。アメリカ人は問題が起きた時に機械で直そうとするんです。それに対し、トヨタ生産システムはやり方で直そうとするわけです。ここに明らかな文化の違いが出てくるんです。【覚え書き:NUMMIとはトヨタとGMの合弁自動車製造会社New United Motor Manufacturing, Inc.の略称。2009年でGMとの提携が終了し、NUMMIの工場施設は将来的にはトヨタの電気自動車製造の拠点になる見通しである。読みはヌーミ】


燃料電池車ではホンダがカナダのバラード社の電池を使っているのに対して、トヨタは内製化しています。その辺はトヨタの「モノづくり屋」としての伝統でしょう。自分たちで作っていきたいという思いが強いんです。うちの技術者たちがよくいうのが、「どれだけ失敗しているかが大切」ということなんです。人が開発したものを持ってくるのでは、失敗のノウハウが自分たちのものにならない。ですから、できるだけ自前主義を貫いていこうという気持ちを持っています。


完成品を外注に出すということは割とよくやるんですが、最初の段階では自分で失敗してもやることが大切なんです。それがトヨタのモノづくりの伝統だと思います。私自身、先輩によく言われたものです。「失敗を積み重ねて現在があるんだ。失敗してこそ次の方向が決まるんだ。失敗することなく、成功例だけを手にしても、方向性を定めることはできないぞ」と。そういう考え方がトヨタの遺伝子として受け継がれているんですよ。


私は自分の経験からいって、スポーツをしていたことが自分の人生にいい影響を与えてくれたことを強く感じています。知識だけの人間にならず、必ずやってみる、ためらわずにスッと体が動くというのは運動をしていた賜物です。


運動は、一生懸命努力すると、自分がだんだんうまくなってくるのがわかります。努力すると成果が出るということを体得することが大事です。


勉強で一番、二番がとれなくても、運動で頑張っていい成績が出るようになったら、それが一つの自信になりますよね。若い頃は何でもいいから自信をつけることがすごく大事。


細かい技術は分からないのですが、こういうことが出来ないのかと思って翌日会社へ行って技術がよく分かっている人に、こういうことはできないか、ああいうことは出来ないかと言うと、ではやってみましょうかということで結構うまくいったりすることがある。


批判的な話はいくらでもできるのですが、それは考えても仕方のないことですから、どうやって皆でやっていくか。積極的に進めていかなければいけない。


設計して、つくってみて、現場からのカイゼンが出てきて、少しずつ良くしていくわけですから、現場をなくしてはいけないということが、私どもの創業以来の伝統です。


私どもの実際にモノをつくっている現場では、何か問題があったら、みんなで一斉に集まって「なぜ」ということを徹底的に調べます。その結果、良い部分と悪い部分が見つかればすぐ比較して、悪い部分に欠けていたものが浮かび上がりますから、それをすぐ翌日には直そうと指示が出ることになります。それは、モノが大きい、小さいという話ではないと思うのです。


張富士夫の経歴・略歴

張富士夫、ちょう・ふじお。日本の経営者。トヨタ自動車会長。愛知県出身。東京大学法学部卒。多くの旧車種を廃止し、さらに新車種を投入。社長在任最終年度で同社史上最高利益を成し遂げた経営者。とくにトヨタ初の本格派コンパクトカー「ヴィッツ」は記録的大ヒットとなった。2001年に米国自動車殿堂の「最も優れた業界リーダー・オブザイヤー」に選ばれた。JR東海やソニーの社外取締役、デンソー監査役、日本経団連副会長、日本自動車工業会会長、道路システム高度化推進機構理事長、国土開発幹線自動車道建設会議委員、財団法人高速道路調査会副会長、財務会計基準機構理事。政府の教育再生会議委員、日中経済協会会長、財団法人駐車場整備推進機構理事長なども務めた。

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