弘兼憲史の名言

弘兼憲史のプロフィール

弘兼憲史、ひろかね・けんし。日本の漫画家。山口県出身。早稲田大学法学部卒業。松下電器産業(現:パナソニック)を経て漫画家へ。代表作に『課長島耕作シリーズ』『人間交差点』『黄昏流星群』『加治隆介の議』『ハロー張りネズミ』『ラストニュース』など。ビジネス書の執筆も行っている。

弘兼憲史の名言 一覧

何かに情熱を傾けられない人に、上達はない。


お金は堆肥のようなもので、散布されない限り役立たない。自分の器量を大きくし、充実した人生を送るためにも、自己投資を惜しんではいけない。自腹を切らないと人は成長できない。


柔らかい頭を持つ人は、仕事相手に対しても固定概念を持たず、あらゆる角度から見て良い点を探り、面白いことができないかと考えている。そんな人が、新しい仕事を生み出す。


目標を決めたら、そこに向かって周到に準備をしながら、自分の能力をアピールする。それがチャンスを掴むための確実な方法。


夢があれば、前に進む力が生まれる。


何でもやってみる。そうすれば、強烈な「好き」が見つかる。それが人生を豊かにする。


若い頃にいろいろな経験を積んでおけば、「何とかなるさ」と多少なりとも、ドンと構えられる度量がつく。知恵と経験則が、自分の強さを作ってくれる。


「継続は力なり」とはよく言いますが、実は継続して何かを得るという「結果」ではなく、継続する「行為」そのものに価値があると思う。


人間誰しも弱い部分がある。僕もそう。だからこそ、自分なりの原理原則を持って自身を支えることが必要。


成功した経営者の方に話を伺って思うのは、若い時期に自分の背中を押してくれる人物と出会っていること。


情報を収集する側も、「その情報は本当に正しいのか」と、常にチェックする意識を持つ必要はある。


どんな情報が要・不要か、情報が正しいかどうかを考え、見極めること。そして成長するために必要な情報は、努力してでも手に入れてください。


若い人たちには、ぜひチャレンジ精神を持ち続けて欲しい。人生を面白くするのも、つまらなくするのも、自分次第です。


僕自身が漫画家になる夢を果たし、ここまで走り続けることができたのは、日々目の前のことを一生懸命やってきたことに尽きる。


情報収集の仕方は変われど、今も昔もビジネスパーソンにとって、「情報」は武器の1つになることは変わらない。


一目置かれるようなオリジナルティー溢れるアイデアを生むためには、他人にはない「自分の強みを持つ」ことが大事。


僕には信条が3つあります。「ま、いいか」「それがどうした」「人それぞれ」。この3つがあれば、たいていの苦難も乗り越えられます。


いま地方が取り組むべきなのは、夢を掲げて、才能ある人間を巻き込むこと。


あらゆる仕事はチームワーク。漫画家も、本人の才能だけでは連載は続けられません。周囲の助けが必要です。


何歳になっても、人は学び続けないと成長できない。


協力者を得るには、「人に好かれる魅力的な人間になる」ことに尽きます。「この人と一緒にいたい」と思ってもらえればいい。


異業種の人たちとの会話には、漫画のストーリーを広げてくれるようなヒントがあり、とても参考になる。


ビジネスパーソンとして成功するためには、年齢によってある程度の目標を決め、キャリアパスを描くことが重要。年齢を1つの目安にして意識するべきことは変わってくる。


自分たちが手がけることでどこにも負けない商品やサービスが生まれ、消費者に喜んでもらえるという自負が、やりがいにつながる。


「何があってもこれだけは守る」というマイルールは、自身を骨太にしてくれるとともに考えがシンプルになり、決断や選択で悩まなくなる。生きやすく、快適に過ごすことができる。


大切に守ってきたものがあったからこそ、島耕作という1つのブランドが構築できたような気がします。大切に守ってきたものとは、「ブレないこと」と「継続すること」。


仕事において僕は、「相手のため」という目線を忘れないことを大切にしています。例えば資料やファイルを渡す時でも、相手に分かりやすい工夫や、作業しやすくなる配慮をしたうえで渡す。その積み重ねが評価につながり、自分も気持ちよく仕事ができます。


信念を貫くのに必要なのは、「仕事へのプライド」であり、「仕事が好きだ」という気持ち。


優れた経営者は、事業撤退の意思決定が早く、致命的なミスを早めに回避する力がある。


起こしてしまったミスはゼロにはできないので、ミスの対処は「焦らず、着実に、確実に」と、自分に言い聞かせましょう。


仕事で起こしたミスのリカバリーは、慎重かつ早めに行うべき。リカバリーでミスすれば、さらに問題が大きくなり、信用を取り戻せない。


細かすぎる人生プランは立てないほうがよい。外れたときに修正するのにストレスがかかりますから。人に迷惑をかけなければいい加減に生きたほうがいい。なるようになる。それくらいの心持ちでいてください。


トップに立つ人は、決断とともに物事を推し進めて、道を切り拓くパワーがすさまじい。


トップに立つ人は、共通点が大きく2つあります。1つは、「パワー」。もう一つが「観察眼」。


時間管理術にせよ、整理術にせよ、自分の身の回りや頭の中をクリアにすることで、気持ちよく効率よく作業ができ、ムダが減る。


時間は有限です。無駄な習慣を省き、人に任せるべきは任せる。それだけでも、自分が本当にやるべきことに費やせる時間が増えるでしょう。


「目上に敬意を払い、かわいげのある人間になること」。年配者を味方につけるには、これに尽きます。


目の前のことを一生懸命やり続けることで経験値が積み上がり、仕事の質も高めていける。


最もアイデアが生まれるのは、目覚めて布団の中で天井を見上げている時。


「やる」と決めたらやり遂げる努力を重ねることが大切。


今は人生80年の時代。40代でもまだ折り返し地点。


落ち込む必要はない。時間がかかっても、花を咲かせればいい。


どれほど素晴らしい内容であっても、苦労せずに手にしたものは見破られてしまうもの。


私の周囲にいる「かっこいい大人」には共通している点が3つあります。

  1. 自分のことだけでなく、周囲のことも考えられる。
  2. 何事にも動じない。
  3. 責任を取れる。

失敗を「あいつの言う通りにしたからこうなった」と言ったらおしまいです。相手の言い分を真に受けた自分の方が悪いのです。


不満からは何も生まれない。どんなに理不尽なことでもとりあえず現状を受け止めて自分なりにいい成果を出すように努力する。


人生の中の長時間を仕事に費やすのだから、それを楽しまなければ意味がない。


まず相手を儲けさせ、それから自分が利益を得る方法を考えて、実行していかなければならない。


異業種、他業種への挑戦が欠かせない時代になった。より柔軟な考え方ややり方が、今まで以上に求められているのではないか。


好きな漫画家の絵や構成を真似ることは大切だし、僕も幼い頃は手塚治虫先生の漫画を真似していた。でも、そこからどう自分のスタイルを見つけるかの方がもっと大切。


人の意見に耳を傾け、いいと思ったら素直に取り入れる。同時に柔軟な姿勢で、自分のスタイルを確立することが、やりがいを感じる人生につながる。


僕が長く仕事を続けられているのは、いわゆる代表作を軌道に乗せたら10年を目安に自分から連載を終わらせたことにあるのかもしれません。それが、作家としての新陳代謝をよくすることになった気がします。おかげでマンネリに陥らずに済んだところがあります。


ストーリーをつくるときにポイントにしているのは、まだ誰もやっていない分野のストーリーを開拓することです。僕が中高年の性を描き始めたのも、これまで映画や小説ではテーマとしてすでに表現されていたけれども、まだ漫画ではあまり描かれていなかった分野だから。


結局、漫画を描くって、過去の経験も何もかもを活かして、これまでなかったストーリーを……と四六時中、懸命に案を練ることでしかないんですよ。ですからいまでも、年に休みはせいぜい3日で、5分間のトイレの時間だって読書にあててネタを吸収する、なんて生活を30年以上も続けているわけです。


島耕作シリーズにはオフタイムの描写はあまりありませんが、島耕作がキャリアを重ね、平社員から社長にまでなれた裏には、走りながら休むという生き方、プラス思考があったからだと思います。


僕の一日は、朝9時に自宅を出て午後1時に仕事場に入るまで、近所のファミリーレストランで過ごします。コーヒーと一緒にブランチをとりながら、アイデアを練ったり、原稿を書いたり、資料を読んだり。仕事場に入ったら夜中の1時、2時まで漫画の執筆に集中します。


サラリーマンは会議で自分の意見が通らなかったり、上からのプレッシャー、下からの突き上げなどで、日々タフであることを強いられています。でもだからこそ、やるときは思いっきり仕事し、遊ぶときは徹底的に遊ぶ。サラリーマンにもそんなメリハリが必要ではないでしょうか。


僕は昔から「こうでなくてはいけない」というこだわりはありませんでした。他人の休日を羨ましいと思ったこともありません。


旅行が1週間ともなると、漫画を描けなくなるのがかえって辛くなります。ついホテルの部屋にあるメモパッドに漫画を描いたりしてしまったり。日本に帰って仕事場で漫画を描きはじめると、心が落ち着くのは、もう漫画家の性というほかありません。


海外旅行もほとんどが取材旅行ですが、そこに遊び感覚を取り入れるようにしています。たとえば成長する中国経済の最前線を取材しようと上海に行ったときは、効率よく取材するためにアシスタント銘々にデジカメを持たせ、一か所を基点に「よーい、ドン」で各方面に散らばって撮影をして集合時間に戻ってくるということもやりました。何か小学校時代にやった鬼ごっこみたいですよね。


僕は漫画を描いているとき以外は、すべてオフと考えています。自分にはオフがない、という恨み辛みもまったくありません。ラジオの収録もオフですし、取材を受けているときもオフ。仕事の合間にオフをどんどん挟み込む、遊びを取り入れる。それを意識しているのが僕のスタイルです。


僕には、はっきりとオフタイムと呼べるものはありません。もちろん土日はなし。年末年始は3日休めればいい方で、紅白歌合戦などは見る暇もありません。正月も小学館漫画賞の審査委員を引き受けているので、候補作を山のように読まなければならないし、箱根駅伝の復路を見たらすぐに仕事。はた目から見ればなんと無茶な、と感じられるかもしれませんが、それを僕は辛いとは思いませんし、ストレスを感じたこともありません。この生活スタイルをほぼ30年間続けています。


年上のお局様が部下になったとき、こんなケースだととかく肩書でものを言おうとしがちになる。だがそれは最後の切り札だ。礼儀正しく誠意を持って接する。相手のプライドを優しく守れるのもこれからのいい上司の条件になると思う。その気がなくても「えらそうに」と思われたら損だ。逆に年上の部下に丁寧な言葉使いをするだけで、いい人柄だと思ってもらえる。どちらが得かはおわかりだろう。


おそらくいい上司というのは出来上がった姿ではない。悪戦苦闘してもがいている状態が、周りから見るといい上司に見えるのだ。その意味で気持ちの上では発展途上上司であり続けることがより大事なのではないのかとぼくは思う。「転石、こけを生ぜず」ということわざがある。だからいい上司になんてなろうと思わなくていい。ぼくはそう思う。


上司がやっていけないことをあげておきたい。たとえば一人の部下をみんなの前で褒める。このときに、つい口をすべらせて「それにひきかえ○○くんの成績はどうだ、トップの人の爪の垢でも煎じて飲んだらどうだ」などと言ってはいけない。絶対にいけない。褒めるときは純粋に褒める。他人と比較したり、他人をこき下ろしたりしてはいけない。


絶好のタイミングとはいつなのか。褒めたいと思ったときに直ちにということだと思う。叱るときはぐっとこらえる時間がいるが、褒めるときはすぐに褒める。そうすれば、感情の赴くままに言葉が出てくるはずだ。何を言ったかが問題ではない。それ以上に、自分の感情をどう素直に出すかが大切になる。叱るときと正反対の行動をとればいいと思っていればいいのではないか。


部下を叱るとか、注意するときはよほど慎重にした方が良い。間違えれば失敗することもある。褒めるのはこれに比べればはるかに簡単だ。タイミングさえ間違えなければどう褒めてもいい。部下を褒めるとき考えなくてはならないのはタイミングだけ。注意を与えるときはひそかに、褒めるときはみんなの前でというぐらいに思っておけばいい。


人を褒めるのが苦手な人がいる。損な人だと思う。損なタイプはふたつある。ひとつは「やって当然」「できて当たり前」と考えるタイプ。挫折を知らないエリート管理職にこのタイプが多い。もうひとつはひたすらシャイなタイプ。恥ずかしくて言葉に出して褒められないというタイプだ。前者のタイプの管理職は部下を褒めるのも仕事の内と心得て褒め方を学んでみる。後者のタイプは役者になったつもりで多少大げさに褒める練習をしてみるといい。


能力とは個性なのだと思えれば、その能力を伸ばすことに力を注げる。部下の短所を責めるより、能力を伸ばす方が上司にとってもやりがいのある仕事になるはずだ。鬼軍曹を気取るより、個性を伸ばすコーチ役を選ぶ方が、仕事のストレスもたまりにくいと思うのだ。


部下にやる気を起こさせる手っ取り早い方法は、まず自分のやる気を起こすことだ。やる気のある人間には誰でも引きつけられる。リーダーも部下に見られていると思えば、いやでもやる気を出さざるを得ない。テレビタレントや役者がいつも生き生きしているのは、多くの人に見られているからだ。見られるということを意識しているからだ。あなたが思っている以上に部下はあなたのことを良く見ていると意識した方がいい。しかも隠したいと思う部分ほど・・・


部下との関係が密に保たれていると、何を悩んでいるのかどこに問題を抱えているのかなどが見えてくるはずだ。そうなれば、さりげなくアドバイスもできるだろう。ぼくが知っている魅力的な上司というのはみんな人間通だ。しかし、退職して一気に生彩を欠いてしまった人もいる。そんな人たちを見てつくづく思うことがある。それは継続は力なりということだ。失敗を繰り返し億劫がらずに人間関係の中にまみれている間だけ魅力的な人間通の上司でいられるのだろう。


人間関係も体と同じなのだ。鍛えればそれだけ強くなる。怖がって大事にしすぎると、骨はもろくなり、足腰が立たなくなる。鍛えると言っても荒療治が体を壊してしまうのと同じでそこにはおのずと限度がある。叱る、褒める、労をねぎらう、それぞれの場面で人間関係を大切にしようと思っているのだという自分の気持ちを正面に出す。毎日少しずつ鍛えれば体も丈夫になる。人間関係も同じだ。普段は放っておいて、一週間に一度とか月に一度ジムに行ってもやらないよりはましという程度にしかならないだろう。


時代は変わった。ビジネスのやり方もよりドライになった。しかし何でもかんでも変わったわけじゃない。変わらないものもある。変えてはいけないものもある。変えてはいけないのは部下に対する思いやり。植物学者の牧野富太郎博士の言葉に「雑草という名の草はない」というのがある。同じように考えれば部下という名の人間はいない。あなたの下で働く人々はそれぞれが個性を持ってたくましく伸びようとしている。


もしあなたが自分の手柄などという目先の利益を捨て、チーム力をつけることに全力を傾けたとする。すると部下の中に必ずあなたに将来を託してみようという人材が現れてくる。これは親分子分の関係とは違うものだ。部下と競い合ってあなた自身の実力を高めていけるということだ。義理とか人情とは異質の世界で、部下と上司の信頼関係が築ける。そんな時代がもうそこまで来ているように思えるのである。


下から突き上げられ、上から抑えられるという中間管理職の宿命は変わらずに続くということだろうか。ぼくは必ずしもそうとは思わない。部下を競わせて仕事の相乗効果を高めていく。それがチームの力をつけるということなのだと思う。中間管理職はそれを学ぶ絶好のポジションになるはずだ。もっと言えばここで何ごとかをつかめなければ上にはいけない。個人の手柄にこだわっているようではもう一つ上は目指せないということなのだ


中間管理職は部下のほうをきちんと向いてほしい。それがチームをまとめる力になる。少なくともこれからの時代は与えられたポジションをソツなくこなしていればトコロテン式に役職が上がるなどということは考えられない。次のステップを目指すには部下の後押しが必要になるかもしれない。出世の踏み台として部下を使う。反対に出世のために部下に迎合する。どちらも駄目上司の烙印を押されることは間違いない


叱るというと声を荒げて部下を怒鳴りつけることだと思っている人がいる。そんなことはない。冷静に部下の非を責めるのが叱るということだ。乱暴な言葉を使わなくてもいいし、こぶしを振り上げなくてもいい。というよりもそんなことはしないことだ。怒りに任せて部下を叱ると、あとのフォローができなくなる。短くわっと叱って突き放す。じっくり反省しろ。あとで話を聞くということを言っておく。これがフォローのための布石だ。叱るのとフォローを分けるのがいい


システムは思惑通りには動かないという言い方がある。だからこそつねに手直しや微調整が欠かせない。部下に対する指示も同じように考えておいた方がいいかもしれない。完璧な指示などないということだ。よく上司が部下に、そんな指示は出していないぞという。あるいは部下が上司に、え、そんなこと聞いてませんよという。どちらの場合にも指示のプロセスをおろそかにしたことが原因になっていると言えるだろう。


部下が上司に最も望むことは、的確な指示を出してほしいということだった。上司はどうか。いや自分は的確な指示を出していると思っているはずだ。確かに部下には甘えがあるかもしれない。しかし厳しい言い方をあえてすれば、伝わらなければ的確な指示とはならないのだ。指示は的確に伝わらないものと心していたほうがいいかもしれない。


部下がいて欲しいと思う場所にいるのは、一つのことを意識すればいい。それは部下に対する思いやりである。自分がいたい場所にいるのではなく、部下がいて欲しい場所にいる。そのポジションは状況によって変わるはずだ。仕事がうまくいっている時は遠くで見守る。ピンチの時は一番近くで適切なアドバイスを行う。


アメリカのビジネス社会で管理職の優劣を決めるのは、部下に対する思いやりのあるなしだそうだ。マネジャーとしての専門能力は、競争社会の中で鍛えられている。言わばこれは当たり前の能力。みんなが持っているから差は出ない。ではさらに高いポジションを目指す管理職が必要とする能力は何かというと愛情を持って部下に接し、チーム全体を活性化させていくことだという。人を動かすのは人間なのだ。


あなたは他人に見られていることを意識して仕事をしているだろうか。もしあまり意識していなければいますぐ意識してほしい。あなたはいつも部下に見られて仕事をしている。上司とは部下に見られる存在なのである。見られたくないところを見られる存在だと思っていたほうがいい。手を抜かず、気を抜かずに仕事をする。それでいいのだ。


ものを言わなくなった部下を注意深く見守ることだ。言ってもわかってもらえないと思うと人はものを言わなくなる。部下に残された道は言われたことを言われたようにやることだ。見方を変えれば上司が部下をそこに追い込んだということもできる。もし上司が黙って俺について来いと言えば、部下は黙りこむしかない。自信を持った上司が暴君のごとくふるまうと、部下の間に不満が広がる。


管理職にあるものの必須条件は公正さだと思う。複数の部下を持つ管理職は何はなくとも公正であってほしい。公正とは偏りがなく、正しい事だ。同じ二人の部下とはいえ、キャリア半年の新人とキャリア3年の部下を公平に扱うのは問題がある。だから公正に扱う。相手に合わせて対応するがなぜ対応に違いがあるかを理論的に説明できるのが公正さだと思う。


チームで動こうとするときに見られる典型的な3つの行動パターンがある。やるべきことを理解して積極的にチームを引っ張るタイプ。とにかく言われたことだけはちゃんとやろうとするタイプ。できればやりたくないと思っていて、やたらに不満を述べ立ててチームの足を引っ張るタイプ。一見するとチームをまとめる上で一番厄介なのは3番目のタイプのように見える。しかし、不満があると言ってくれればそれを解消する方法を考えることができる。


部下に接する上司が基本にしてほしい事がある。それは性善説だ。すべての人間は生まれながらにして善い性質を持っている。根っからの悪人はいない。これを基本にするだけで部下とはうまく付き合える。反抗的な部下がいても根はよい人間なのだと思えば付き合い方の工夫ができる。あいつは悪人だなどと決めつけてしまえば一緒に仕事をするのも嫌になる。そう考えるのは上司としての責任を放棄するに等しい。


大きな失敗を犯さず、誰もが次のステップに向けての通過点として安心して過ごせるようになっている。それが前例踏襲主義だ。このシステムの最大の欠陥は失敗に関する責任の所在があいまいになるという点だ。前任者も前前任者もその前も、同じことをしている。自分の順番でたまたまうまくいかなくても責任をとる必要はない。これではどこが間違っているのか原因の究明もできない。


いまはむしろ前例がないからやってみる時代だ。激しい変化は前例踏襲では乗り切れない。いままでの上司のやり方は手本にならないということになる。何を受け継いで、どこを変えるのか。取捨選択する能力が問われるのではないだろうか。思い切って変えていかなくてはならないものとは何か。それは前例踏襲主義だ


これからの時代に求められる上司は、個性派ぞろいの部下を上手に束ね、力を一つの方向にまとめ上げることだろう。パソコンが得意な部下にはパソコンについて聞けばいい。なるほどそんな裏技もあるのかと興味がわけば、自分の仕事に生かしていける。つまり部下から取材するのだ。知りたいことは取材する。わからないことは相談する。大切なのは方向を示すことなのだ。そのための素材は多ければ多いほどいい。


生き残れる上司と生き残れない上司。その差を決めるものは何だろう。ずっと突き詰めていくと、好奇心ということになると思う。それもそこそこの好奇心ではなく、極めて旺盛な好奇心だ。意欲とかやる気というのは煎じつめていけば好奇心と責任感という要素から成っていると思う。旺盛な好奇心があれば知らない分野に取り組んでいける


多少きつい言い方になるかもしれない。しかし本気で自己啓発に取り組めない管理職はどこかで落ちこぼれる。時代はいつも変化している。変化に対応するためには自分自身を変えていく必要がある。そこそこできればいいと思っていると、ある程度のところで満足してしまう。自己啓発はそこで終わる。大切なのは自分に満足しないということなのだ。


物わかりのいい上司を演じたがる。その気持ちはよくわかる。自分を良く見せたいというのは悪い事ではない。でも演じるなら最後までだ。責任は俺がとると言ったら、とるのだ。間違った方向に進んでいれば軌道修正する。迷っていればアドバイスする。そういうケアをしてこそ最後に責任がとれる。責任をとるとは具体的にどうすることだろう。部下の失敗を自分の失敗として謝りに行くことだ。


人生は生涯、学びです。何事にも疑問を持って、自分で考える姿勢を保つこと。そして柔軟に構え、人との関係性を構築する方法を考えること。これが、僕の学び方でもあります。


若い頃、手塚治虫先生の漫画の描き方をひたすら真似ていた時期がありました。自然物の描き方は「釣りキチ三平」の矢口高雄先生を研究しました。小川のせせらぎを感じさせる光の入れ方など、とにかく矢口先生のテクニックは素晴らしかった。研究して真似て取得することで、いつしか自分流の描き方になっていった。


成功者の経験や知識、思考、習慣は貴重な宝。学べるものはたくさんあります。彼らの習慣を真似したり、思考が書かれた本を何度も読み返してみる。すると、そのうち自分のオリジナルとして身に付くようになります。


100の能力を持った優秀な人間が1人で取り組むより、10の能力を持った人間が10人集まって協力し合う方が十人十色の思考が交差した中から新しいアイデアが生まれたり、達成するまでの速度が速まったりします。ということは、個々の能力を高めることも大切ですが、それ以上に「自分に協力してくれる人をいかに結集させるか」が大事になります。


組織で働くには、他人と力を合わせて何かを成し遂げなければいけません。いくら1人で頑張っても、大きな仕事であればあるほど達成するのは難しい。


知識という土台がないと思考力につながりません。しかし、いつまでも知識を詰め込むような学び方では思考力は育たない。そこで普段から、「上司はなぜこう考えるのだろうか」などと、何事にも疑問を持てば、自分で考えるクセが身につきます。


私は、ビジネスパーソンが学んで得るべきものとは、「次に何をすべきか判断する基準を、自分の中に培うこと」だと思っています。その判断力を養うには、思考力が必要になります。


国際化の時代、ビジネスで付き合う相手の国のマナーは知っておくべきですが、そのときは、マナーの裏側にある理由もセットで学びましょう。形だけ取り入れるよりも、ずっと身につきます。


今の時代、すべての物事において、昔とは比べ物にならないほど選択肢が増えている。だから、全ジャンルを検証するには時間が足りないかもしれません。でも、だからと言って、少ししか試さずに、「これが好き」と決めつけるのはもったいない。好奇心を失わずに、どんどん試してほしい。


選り好みせずに与えられた仕事にがむしゃらに取り組む。理不尽だと感じたり、「何の意味があるんだろう」と思ったりしても、「何事も経験」と割り切り、「吸収してやろう」という気持ちで向き合ってください。


年齢や経験とともについてくるプライドは、貴重な成長の機会を逃す恐れがあります。時には、そんなプライドを肩から下ろして新しいことに挑戦することが、成長し続けるカギかもしれない。


「納期は必ず守る」どいうことが僕のプライドの1つ。当たり前だ、と思うかもしれませんが、とても大事なことです。「納期を守る」ことは、編集者との「Win-Win」の関係を築くために大事です。もちろん、締め切りまでに満足度の高い作品になるよう粘りますが、それが大満足の作品に仕上がらなくても、締め切りが来れば必ず提出する。「絶対に妥協できない」などと変にプライドを持ちすぎると、編集者や印刷会社に迷惑をかけ、信頼を失います。妥協しない仕事ぶりは素晴らしいですが、他人に迷惑をかけ、信頼を失うぐらいなら、それは「捨てるべきプライド」のように思います。


漫画家として駆け出しの頃は、未経験のテーマを編集者に提案し、描かせてもらっていました。最初の連載は、喧嘩シーンの多い学園もの。宇宙船でいろいろな星に行き、異星人と戦うSF漫画や野球漫画、恐竜が登場する漫画も描きました。苦手な分野を作らず、何でもやってみようという気構えで仕事に取り組んでいた。そうしていろいろ描いているうちに、「少年漫画は向いてないな」「色気のある話の方が向いているのかも」「国際的な組織やビジネスの話がもっと描きたい」などと、核となる方向性が定まってきたのです。


何かを継続する時、一番の敵が「飽きる」という気持ち。飽きたなと感じたら変化したくなるのが人間ですが、「飽き」を越えてしか得られないものがある。それは周りに与える「安心感」や自分の土台を作る「自信」。


僕は「仕事」の反意語は「休息」ではなく「遊び」だと考えています。「仕事」と「休息」だけでは、単に仕事のために生きていることになってしまう。「遊び」とは、楽しく生きるためのツール。


ある程度の負荷「ストレス」をかけて仕事に臨むのは、成長するために大事ですが、それだけでは息が詰まる。乱暴に言えば、仕事以外の時間は遊んで「楽しく生きる」ことが、人間の本能だという割り切りこそ、心身のバランスを保つ秘訣ではないでしょうか。


粋な遊び方とは、1つめは「執着しないこと」。2つめは「常に周囲に目を配り、気遣うこと」。3つめは「自分の趣味を人に強いないこと」。


スーパーに行くのも大好きです。経済は語れても、ホウレンソウの値段を言えるビジネスパーソンは少ないでしょう。スーパーに行くだけで、世の中の生きた事象の1つに触れることができ、そこから経済の話につなげることだってできる。料理をしない男性も、たまにはスーパーで食材を手にとって、値段を見ながら選んでみてはいかがでしょう。これまで見えていなかった世界が、見えてくるかもしれません。


何もしなければ同業者と編集者だけのつき合いになりかねない。それだけでは視野は広がらない。自分の知らない世界をのぞき、足を踏み入れることなしに、自分の引き出しは決して増えない。


ネットはこちらが欲しい情報を入手したい時に重宝します。ただ、間違った情報もあります(僕の来歴なんかも間違っていることも……)。鵜呑みにはせず、実際に情報を使う時は、1次ソースを確認する作業は必須です。


「人から得る情報」は、最も個人差が表れます。人からの情報網を持つことは、つまり「人脈」を持つこと。社内の人間だけのつき合いだと情報や視点が限られてくる。様々な業界の人が集まる場に積極的に出て、人脈を広げることは大切。


今、私が銀座でお酒をご一緒するような巨匠たちは、どなたも癖はあるんですが、基本的には人格者で、飲んでいても楽しい。ものすごく実力があっても、人との付き合い方が悪く、編集者から嫌われている作家は、何となく消えていく気がします。


自分のことだけを考えるサラリーマンには、自分の生活を守るためには、会社が業績をあげていかなくてはいけないことを理解してもらいたいですね。経営者のつもりで会社の業績を考えていれば、結果として自分の生活も守られる。


自分の会社が危なくなっていることにすら気づかず、このままやり過ごそうとしているサラリーマンがたくさんいますよね。もっと危機感を持ったほうがいい。


同級生に会うと、何となく話が合いませんね。定年を迎えて、魚釣りや山登りぐらいしかやることがない。だから話題は「昔はこうだったよな」という話ばかり。こっちは次の連載をどうするかとか、考えることがいっぱいあって、昔を思い出している暇はありません。


一人ひとりが経営者と同じような危機感を持たなければいけないはず。


僕にとっての「人脈作り」の目的は「異業種からの学び」、「映画鑑賞」は「異分野からの学び」です。この2つは、僕の足りないものを補い、成長につなげてくれる、自分にとって必要な自己投資です。


同年代や同業者しか集まらないような会ばかりに参加する人がいます。特に今の若い人は、気が合う仲間とだけつき合えばいいという風潮があるようですが、居心地は良くても、世界は広がらない。気晴らしになっても、「自分を成長させる自己投資」とは、程遠いように思います。


僕自身、仕事を完全に休める急速は、年末年始の4日間だけです。本当はもっと休みたい気持ちはありますが、何せ締め切りがあるからそうも言っていられない。アイデア勝負の仕事だからこそ、その日のうちに精神的な疲れが和らぐような、リフレッシュする時間を必ず取るようにしています。


精神的な疲れを取るためにおすすめする方法は、ウイークデーの疲れはウイークデーのうちに取ること。睡眠不足を感じるようなら、電車の中や休み時間にうたた寝でもいいから仮眠を取りましょう。


恋愛上手はやはり仕事もできる。仕事も恋愛も、最終目標は双方が「Win-Winの関係」を築くこと。仕事と恋愛には共通点があり、そこを上手く掴んでいる人こそ、恋愛も仕事も成功させているのでしょう。


キャリアは自分自身で作り上げていくもの。時折、「周りが僕の実力を分かっていない……」などと環境や他人のせいにする人がいますが、あれは一番ダメなパターン。職場環境を変えても、考え方が変わらなければ、いつまで経っても気持ちいい職場環境は手に入らないでしょう。


群れたがる人は、自分に自信がないのでしょう。1人では不安だから、仲間を増やす。もちろん、派閥が出世に影響することもありますが、派閥争いに負ければ、一蓮托生で冷遇されることもある。


不機嫌からは悪循環しか生まれません。たとえ出社前に夫婦喧嘩をしたとしても、「会社のエントランスをくぐったら笑顔を作る」とルール化することをお勧めするぐらい、笑顔は好循環を生むために必要な要素です。


人間は変化をあまり好まない生き物です。変化しなければ、トラブルもストレスも少なくて済む。だから、つい職場でも変化をもたらす状況や人に対して文句を言ってしまう。でもそんな心持ちで、本当に人生が楽しくなるのでしょうか。変化そのものを楽しんだり、変化している状況に柔軟な姿勢で関わることで、新しい発見があり、新しい挑戦に出合い、新しい経験が積めるのではないかと僕は思っています。


僕も人間ですから、同じ作品を描き続けることに飽きる時があるので、新しいことをやってみたくなる。新しいことを手がければ、自分自身も刺激を受けるし、別の引き出しも増えていく。(新しい企画の提案は)ありがたいお話だと感じています。


何歳になっても、新しいことへのチャレンジは、ビジネスパーソンにとって大切なことです。しかし、そこには肩肘を張って身構えるような「挑戦心」は、必ずしも必要でないのかもしれません。それよりも「柔軟性」が新たな機会を与えてくれるものです。


始まりは、終わりの始まりです。何かを終えた時に新たなチャレンジへ挑めるよう、普段から机上のスキルやノウハウの収集に夢中になりすぎず、自分で考えて行動することを意識しましょう。柔軟な姿勢で変化を楽しみながら歩んでいけば、豊かな人生が手に入るはずです。


ミスは日頃の一つひとつの作業を、確実に丁寧に遂行することで防ぐことができます。それでも失敗したら、迅速に丁寧にリカバリーすることに注力する。その経験こそが、「ミスをチャンスに変える力」になっていくのでしょう。


失敗を重ねてはいるものの、大ケガをしないうちに迅速に撤退していること。これは経営者の鉄則であり、経験則で磨かれる「大きなミスにつなげない」最大の方法なのでしょう。


「この段階で騒ぐのはカッコ悪い」と、妙なプライドから相談や確認を怠る人もあるでしょうが、不安を不安のままにすれば、トラブルを生み、ますますカッコ悪い事態に陥ると、肝に銘じてください。早めの相談や確認で、ミスにつながる小さな要因を片っ端から潰しておけば、心にさざ波が立つことなく、正しい判断の中で業務を遂行できるはずです。


大抵のミスは、「認識の違い」や「確認の怠り」から発生します。どんな些細なことでも、心に引っかかったり、不安に感じることがあれば、早めに解決しておくことが大事です。不明点や疑問点を、客先などの相手に確認することは大事ですが、1人で抱えず上司に相談し、情報共有しておくことは、リスクヘッジにつながります。


ミスを減らすには、とにかく「メモを取る」こと。仕事の流れや実際にやった作業、相手とのやり取りや確認事項を記録すれば、脳に叩き込まれます。ミスしてしまった場合も、メモを見返せば、「ここできちんと確認をすべきだった」というポイントとなる原因が見えてくるはずです。そこを注意すれば、同じミスを繰り返さずに済みます。


1つの言い訳が次の言い訳を呼び、真実が見えなくなる。相手に悪い印象を与え、不信感は増し、今後の関係性にも影響するでしょう。ますます窮地に追い込まれる。


人間誰しも、仕事上でのミスはあるもの。一番ダメなのは、ミスを隠蔽したり、いつまでも落ち込んでいること。大事なのは、反省からの立ち直りと、その後のリカバリーです。


昔100点を取ったテストの縛案や、図画コンクールで優勝した絵などを、お袋がずっと大切に保管してくれていました。しかし、お袋の目が届かなくなったタイミングで、自分で全部捨てました。僕はまだまだ前を向いて仕事をしたい。今の僕には、昔の自分の思い出に浸る時間はないんです。


僕は昔から、自分の耳と目で、漫画以外の世界から情報を収集し、それをストーリーのアイデアにしてきました。情報源は、「映画」「ラジオとテレビ」「異業種の人との交流」の3つ。


アイデアの種を増やすために、特別なことをしているわけではありません。好きなことや心に、引っかかることを、徹底的に掘り下げるだけ。その探求心こそが得意分野を生み、独自のアイデアを生みます。


死ぬ時に「あれをやっておけばよかった」と後悔することだけは絶対に嫌なんです。だから、仕事も遊びもやりたいことはすべてやる。そのための努力は惜しまないという一心で進んできました。


下っ端の僕の席から部長の席までの距離は、たった十数メートル。でもその距離を縮めるのに30年かかると思うと、つまらなくも思えました。敷かれたレールから外れ、どこにたどり着くかわからない曲がりくねった道を進んだ方が、面白いんじゃないかと思った。
【覚え書き|脱サラした当時を振り返って】


明日、何が起きるかなんて誰にも分かりません。先のことを考えて綿密な計画を立てるのもいいですが、今を楽しむことも大切だと思いますし、今を楽しめるような状況を作るためには、結果につながる仕事の進め方を考えればいい。


朝、目覚めたら、天井を眺めながら「今日やるべきこと」を、頭の中で考えて整理します。「天井を眺めながら考える」行為は、1日の段取りを組み立てる大切な時間であり、同時に僕にとって、漫画のアイデアが最も湧くスタイルです。


僕に人生設計があったら、漫画家なんて職業は選べなかったでしょう。ファイナンシャルプランナーといった専門家が作る緻密なライフプランが一番苦手。あんな人生設計があると、そこから少しでもそれるとストレスがかかりそうな気がします。僕にとっては「何も決められていない」状態が、一番気楽なんです。


コツコツと目の前の仕事をこなしていれば「このプロジェクト、あいつに任せてみようか」となる。着実にこなせば、実績や評価につながるでしょう。それが積み重なって自分の地位が引き上がるようなタイミングがきっと訪れるはずです。その機会を逃さないように、日々実力をつけておくことが大事です。


昇進は半分以上、「運」です。そう言い切ると、身も蓋もロマンもありませんが、現実だから仕方ない。しかし間違えないでほしいのは、運とは決して偶然ではなく、日頃の努力からなる「実力」と「タイミング」が作用すると僕は思います。


昇進するために必要な3つの力。

  1. 段取り上手。計画性を持って仕事に臨む力や、円滑に効率的に仕事を進めるための「事前処理」能力。
  2. コメント力。幅広い知識や情報を持ち、社会のどんな話題に対しても自分の考えを述べられる能力。
  3. 物真似上手。人のやり方を見て、いいところは素直に学び、自分の中に取り入れる力。

人に任せる時は、まず大前提として、100点満点のものが返ってくると思わない方がいい。7割のデキならよしと思ってください。企業に属する以上、部下を育てることも、自分の仕事。7割できたら可とする度量を持ち、その中でいい部分を探して褒めてあげるのも必要です。


身の周りの整理をして、余分なものを取り除いていくのも、自分のやるべきことを減らす方法です。例えば、年賀状。今の時代は、ただですら忙しい年末をさらに慌ただしくさせる慣習でしかない。20年ほど前から「年賀状は出さない」主義を貫いています。かつては手作り感があり、オリジナリティーにあふれていた年賀状ですが、今はパソコンで作って印刷するだけの年賀状も少なくない。ますます、不要な慣習と感じています。


スケジュール管理のポイントは、「同じような予定やアポを同日にまとめること」。取材などの外出予定がある日に、なるべく他の外出予定も入れるように調整します。「職場で作業する日」「外出する日」を分けることで、合理的に時間を使えて、仕事にも集中できる。


『加治隆介の議』の取材で、ときには報道さえ入り込めない暗部を知ることができたのは、ひとえに取材現場での仁義を通したからでしょう。当時もすでに報道の世界では週刊誌ばかりか新聞社もオフレコの談話を漏らすなど「何でもあり」の状況だったけれど、こちらは一回限りのスクープをもぎ取るなんてことはせずに、信頼関係を築いて何度も話を聞くというタイプの取材をしていたんです。掲載許可も丁寧にとり、多少面白さが削がれても先方からの訂正の要求は愚直に反映させて情報は確実に秘匿する。そのことで「あいつはちゃんとしてくれる」ようだぞ」と相手に認めてもらえれば、数回会ううちに、報道関係者に対するよりもグッと踏み込んだ内容を聞かせてもらえるようになるんです。


『加治隆介の議』で政治をテーマにした際、その前の『島耕作』でディティールの重要性は痛感していましたから、国会議員への直接取材ではまず「朝食に何を食うか」「国会が休みのときはどこへ行くか、何をしているのか」という日常の取材から始めました。そのうえで、いま、日本で起きている問題は何かを考え、いくつかの柱をつくって、現実にリンクするようなストーリーを練り上げていったんです。


2人の同じぐらいの能力の部下がいたとしたら、やる気や大人としての礼儀、愛嬌のある部下の方に、「チャンスを与えてあげよう」「いろんな経験をさせてあげよう」「力になりたい」と思うもの。


若い人にとって、年配者の話は、「昔の話」「時流に合わない」と感じることもあるでしょう。しかし実は、豊富な経験を持った「ジジ話」には、普遍的なビジネスのヒントが多いものです。頭ごなしに否定する前に、一度自分の中に落としてみると、意外な気つきが見えてくるかもしれません。


面倒なことをしてまで、年配者に取り入りたくないという人もいるでしょう。しかし、年配者は経験が豊富で、人脈もある。長年培ってきたその宝を自力で手に入れるのはやはり大変ですから、年配者たちが持っている宝を有効に使わせてもらわない手はない。


言葉は悪いですが「ジジ殺し」の術、つまり、年配者を味方につける技術は、「ビジネスパーソンとして成功する」「仕事のスキルをアップさせる」ために不可欠な要素。


あれこれ考える前にまず一歩踏み出す。失敗もするでしょうが、結果として大きな成功に近づくことができる。うまくいかなかったら、すぐにやめればいい。あるいは修正すればいい。


世の中は得てして「やってみないと分からない」ことばかり。成功している経営者を見ても、「じっくり考えてから行動する人」は少なく、多くは、「走りながら考える人」か「とりあえず動いてしまってから考える人」のどちらかだと思いませんか?


日本人は「じっくり考え、きっちり決めてから行動したい」「すべてが整ってからスタートしたい」という傾向が強いのかもしれません。しかし、整うまで待っていては後れを取るばかり。仕事に手をつける時、その条件が完璧に整うことなんてまず、あり得ません。


まとまった量の仕事を引き受けた時、すべてのページの構成が練りきれていない段階でも、僕はまず「手を着ける」ことが大切だと思っています。最初の4ページの構成しか固まっていなくても、とにかく始める。手を動かしていくうちに「残りのページはこうしよう」とアイデアが湧いてくることが、往々にしてあるんです。


どんな仕事でも「嫌々やる」のではなく、「好きになる努力をすること」は大事なことです。自分で締め切りを設定することで、ゲーム感覚が生まれ、やる気を高めることができる。


常に思考を巡らせる作業をしていれば、例えば朝、家を出て喫茶店やファミレスに着いた時に、すぐに仕事を始められる。そうでないと、座ったまま1時間ぐらい何もしないで過ごすことになり、時間がもったいないですからね。


ただがむしゃらに努力を重ねればいいというものでもありません。努力するなら「報われる努力」をすべき。「自分はどんな方向で、どんな努力をすべきなのか」考えてみてください。いわば、戦略的な努力です。夢の期限を設けた場合もそうですが、努力する方法を考え直した時、「向かうべき道」を変える結論に達することもあるかもしれません。そしてそれは、より楽しく豊かな人生を送るために必要な決断になることでしょう。


遅咲きするには「功は焦らず」に尽きる。過去を悔やんでも、将来を不安に感じても、現実は何も変わりません。とにかく今ある目の前のことをコツコツ片づける。自分の得意分野を見つけ、少しずつでも力を磨き続けることが大事。


「その世界でトップに立ってやる」「自分の手でこの人たちを喜ばせたい」といった強い動機や明確な意志があるかどうか。そのための必死な努力ができるかどうかという覚悟が大事。


会社を辞めて漫画家を目指しはじめた際、1つ自分に期限を課しました。30歳までの5年の間に自分の描いたものが一度も印刷されなかったら、諦める。夢に期限をつけたのです。それ以上は人生の時間の浪費になるぞ、と。


組織のトップである以上、「部下のミスは、上司の責任」と考えるべきです。事態を収拾するよりも、自己保身のために言い訳を並べたり、他人事のように振る舞ったりするのは、決してかっこいいとは言えない。


組織を成長させるためには、個々の力が大切です。メンバーが自主性を持って生き生きと働ける組織を作るためには、相手の目線に立つことは基本。そして一緒に喜び一緒に悲しみ、喜怒哀楽を分かち合うことが大切です。上司としての「大人」の振る舞いは、組織の推進力にかかわります。


上司ならば、自分の一言で部下がどう感じるか、どんな影響を与えるか、成長できるのかを考えたうえで、言葉を選ぶのが「大人」というもの。上司としての威厳に固執し、偉そうにしてしまう、いわば独裁者のような振る舞いは「大人」とは言い難い。


失敗を重ねられるのも若さの特権。どんどん新しいことに挑戦して、経験を積んでください。


失敗しても、いい勉強になった。このおかげで次からは失敗しなくなると考えればいいんです。どんな状況でも前向きに仕事に打ち込む人が、組織の階段を上っていけるはずです。


出世に関しては、陰で工作する人は頂点までは行けない。日の当たるところで、堂々と戦わなければ、ビジネスパーソンとして強くなれませんから。


情報も、経営者にとって欠かせない要素です。ただ、自分一人で得るには限度がありますから、まわりのスタッフも含めて、情報網やアンテナをたくさん持っておくことも重要だと思います。


東南アジアのカリスマ経営者がこう言っていました。ある国に入り込んでいってビジネスを成功させるには、自分の会社の利益は後回しにして、まずは相手に利益を与えることだそうです。相手が先で、自分が後と。


松下電器の綱領や信条、七精神を唱和するのが、宗教がかっていて抵抗感がありました。3年経ったら大きな声で言うようになりました。唱和する内容に対して、「本当にその通りだ」と思うようになったのです。なかでも「利益というのは求めるものではなく、社会奉仕をした報酬が結果として利益になる」という教えは、漫画家になってからも守っています。


漫画を描く時に、こういう漫画を描いたら売れると考えるのではなく、自分が描きたいものを、最上の品質で描き上げる。その結果、読者が喜んでくれれば、それが報酬として返ってくる。本が売れて印税が入って自分の利益になる。そういう生き方を今でも実践しています。


多くの社長に会い、話を聞いてきた経験から総合的に考えると、躍進している企業の社長は、いつも次の手を考えています。現状がよくても、そこに甘んじることなく、新たな次の一手を考える。


当時の松下電器は、真剣に怒る会社だった気がします。寮に帰ると、「今日怒られて、めっちゃへこんだ」といった話をみんなでよくしました。後々それが自分のためになったことがわかるのですが。
【覚え書き|松下電器時代を振り返っての発言】


販売助成部の部長は本当に厳しい方でしたから、みんな、少し遠ざけていました。でも私は、電車で帰る時、たまたま本社の最寄り駅のホームに一人でいらっしゃるのを見かけたので、「お話を聞かせてください」と近づいてみたのです。はじめはギョッとされていましたが、新人の私がいろいろ聞くと、懇切丁寧に教えてくれました。そのうち気に入ってもらえたのか、カバン持ちで大阪ミナミの宗右衛門町の料亭などに連れて行ってもらいました。最初はよく怒られたのですが、最後はわりと目をかけてもらったと思います。
【覚え書き|松下電器時代を振り返っての発言】


漫画家を目指し、会社を辞めたのは全くの見切り発車でした。作品を一つも描いたことがないのに辞めてしまったのです。会社の仕事をして、帰ってから漫画を描くとなると、残業もありましたから1日に1、2時間しか時間がとれません。計算したら、1作つくるのに1年近くかかってしまう。ならば、ダメならダメでいいから、思い切ってやってみようと一念発起したわけです。そして25歳で辞めて、30歳までの5年間に1回も自分の作品が印刷物にならなかったら、その時点で漫画の道をあきらめようと決めました。


人間の幸せは金銭としっかりと結びついています。人によって額は違うにしても必要最小限のお金は必要です。ただ、お金をたくさん持っていれば幸せかというとそうでもない。僕のように60歳を超えると特にそう思います。芸人ならば師匠、社会人ならば上司、全面的に信じられる人間と出会えた人もまた幸せだと感じることがあります。


「挑戦と失敗」は、若さの特権。20代は、失敗しても誰かが責任を取ってくれる。年を取ってから気づくのですが、長い社会人人生でこんなことが許されるのは、この時代だけ。経験の浅い20代にとって、ビジネスシーンは新しい挑戦ばかり。ただ、そこで尻込みするのではなく、失敗を恐れず、どんどん果敢に挑んでほしい。失敗しても上司や先輩が教えてくれるし、責任も取ってくれる。失敗からひとつひとつ学んでいけばいい。


独自のセルフブランディングが構築されると、それが強みになって仕事の幅や人脈、世界が広がったりする。老舗ブランドは品質が確かであり、柱を成す確固たる哲学があり、長きにわたりそれを貫いている。皆さんも自分がどんな価値観を持ち、哲学に惹かれるのかを考えると、自分の「強み=ブランド」が見つかるかもしれません。強みを磨き続け、育てていきましょう。


情報がものすごいスピードで流れ、溢れている時代です。同時に情報は、日々更新されていくものでもあります。極端な話、今日得た情報は、明日には価値のない情報かもしれない。だから僕は、仕事のために利用した情報は、どんどん頭から捨てていくように意識しています。必要な情報は必要な時にあれば十分。


「とりあえず、話題のビジネス書を買った」「今朝は勉強会に参加した」など、投資した「お金」や「時間」に満足して終わっている人があまりにも多いようにも思います。誰もが読んでいるビジネス書に目を通し、同業者が集まるセミナーに出席したところで、本当に自分のスキルアップにつながっているでしょうか。大事なのは、その自己投資が自分にとって本当に必要な投資(お金)かどうかということ。この部分が抜け落ちている人が多いように思います。


僕も漫画を描くために、映画館に足を運んで数多くの映画を観て構図やストーリーの参考にしてきました。自分を成長させるための投資は、積極的にすべきだと思います。自腹を切るのは痛いですが、その痛みがあってこそお金のありがたみが分かり、自腹を切った分を取り戻そうと一生懸命にもなれる。


「限界だ」と思う前に精神的な疲れを極力残さないことが大事ですが、本当に限界を感じてしまった時は、思い切って休んでしまえばいい。仲間や客先に迷惑がかかる、と思うのであれば、仲間や客先が困っている時に、今度はあなたが助けてあげればいい。「自分の心身は自分で守る」と言い聞かせ、心の荷を降ろして楽になってください。


休日は、自分のやりたいことに丸々費やしましょう。観たかった映画を観る、行きたい場所に行ってみる、買い物に出かけるなど、過ごしたいように過ごすこと。その休日のインプットが、仕事でアウトプットに生かされることもあるでしょうが、あまりそこは考えずに質のいいリフレッシュを心がけることです。


気持ちよい人間関係を構築する基本は、「笑顔で過ごす」こと。「何だ、そんな当たり前のことか」と思う方はいるでしょうが、できていない人は多い。朝から機嫌が悪そうにしている人には、その日1日話しかけるのが億劫になります。それが上司なら、部下は相談しにくくなる。そうした関係性はミスの引き金になる恐れがある。


僕は特に大きな目標を持っていたわけではありません。とにかく漫画を描いて、ストーリーを作ることが楽しかった。それは今も同じで、漫画家の仕事で飯を食えていることが、自分の誇りなんです。だからとにかく、連載が途切れないように締め切りを守り、複数の連載を常に続けることを自分に課した。誇りを持ち続けるために、ひたすら目の前の仕事をやってきた。


あなたが部下を抱える立場なら、時には部下に失敗させて勉強させることも必要です。「失敗してもいいから思い切りやれ」と言われた部下は、大概意気に感じて一生懸命やるから失敗しないものです。逆に「絶対失敗するなよ! 失敗したらクビだぞ!」などと言われると、萎縮して失敗することもある。ただし、必ず上司であるあなたが、リカバリーできる範囲で任せることです。


友達の数で、幸せは決まらない。若い頃は、友人の多さが有利に働く場面がたくさんあります。特に仕事はそうですね。しかし、年を重ねるにつれ、自分のポジションというものが明確になります。もしこれ以上、上にいけないと感じたら、無理して今以上に人脈を広げたり、維持したりする必要はありませんね。それよりも、少人数の信頼できる友人がいるほうが大切です。


定年を迎えても過去の肩書にしがみついていると、いろんなところで妨げとなります。たとえば、マンションの管理組合。昔高い地位にあった人が集まりがちですが、偉そうに振る舞う人がいると、雰囲気が悪くなり話も進まない。一度会社を辞めたら、過去の立場は忘れなければなりません。一からスタートするという気持ちで、未来を見なければ前に進めませんし、自分も周囲も楽しくなくなってしまいます。


定年後に老後を考え始めるようでは遅い。定年を前に、出世ルートを外れていると感じるならば、仕事以外の自分の幸せを考え直すよい機会と捉えるべきです。自分の身辺を見直し、不要なモノを捨てることで、身軽に生きられます。整理を始めるなら、早いにこしたことはありません。その分長い時間を「手ぶら」で生きることができるのですから。


起床してから仕事に取りかかる間にファミレスに立ち寄るのも理由があります。僕は仕事場に入ったら、「パブロフの犬」のように条件反射ですぐ絵を描く態勢に入ってしまうのです。そうなると、アイデアを考えるなどほかの作業ができません。ですから絵を描くモードになる前に、家や仕事場とは異なる非日常空間に身を置くことで、漫画のネーム(粗筋)を決めたり、絵コンテを作成したりという「アイデアが必要な作業」に集中しやすくなります。


整理におけるルールは、「モノを増やさないようにする」こと。新しいモノを買えば、家の中のモノが増えるのは当たり前。何かを捨てない限り、増える一方です。一番場所を取る「本」は、潔く捨てます。昔は一度手放した本は二度と手に入らない可能性がありましたが、今はアマゾンなどで比較的簡単に古本を探せるし、ちょっとした調べ物ならネットで検索できる。本を手元に置く必要がありません。


スケジュールを書く際に工夫しているポイントは、予備日となる「クッション」を設けること。つまり、締め切りまでに「予定を入れない日」を必ず作るのです。僕は今まで、締め切りを守ることをポリシーにしてきました。それを実現できているのも、この「予定を入れない日」を設けてきたから。予定外のことが起きてスケジュールがずれ込むことは、往々にしてあります。1カ月に2日ほど「予定を入れない日」を作れば、不測の事態が起こっても、何とか納期に間に合う。この2日の予備日は大抵、仕事で消えてしまいます。


『ラストニュース』をやるにあたってテレビ業界の内部が知りたかった。それには外から見るより、自分がコメンテーターになって実際の制作現場にいたほうが、よくわかるじゃないですか。実際、番組が終わった後、音声さんやカメラさんを自分のカメラで撮ったりして資料集めに動き回ってましたから(笑)。だから『ラストニュース』の連載が終わってからは、コメンテーターは一切やめたんです(笑)、必要なくなったので。


僕は肩の力を抜いて楽しめる大衆店も好きです。でも高級店を訪れると、いつも金額以上の学びを得られます。ビジネスパーソンの自己投資と言えば、セミナーやスクール、書籍などが頭に浮かびますが、時にはぜひ飲食の体験に、自己投資してみてください。そこで見た世界や得た経験は、ビジネスパーソンとしての幅を広げてくれると思います。


実際に自分で見聞きし、体験するからこそ、分かる世界があります。寿司でも懐石料理でもフランス料理でも一流と呼ばれる店に行くと、空間の作り方や器の選び方、盛りつけ、サービスに至るまで、おもてなしのために厳選されたものが揃っている。自分の仕事とは異なる環境で働く職人の心に触れ、彼らにリスペクトを覚えることで、様々な気づきがあるはずです。


その日やるべきことが10ある場合、どこから手を着けるかは僕自身悩むところです。そんな時は、それぞれの仕事の負荷を考えます。例えば、重たい仕事が3つ、軽い仕事が7つある場合、重い3つから手をつけると時間を食い、軽い7つをやる時間すらなくなるかもしれません。だから僕は、請求書を書いたりメールに返信するなどの軽い仕事から着手し、その作業を進めながら頭の片隅で重たい仕事のことを考えるようにしています。


仕事ができる人には優先順位を判断する「段取り力」があります。物事を効率的に的確に進めるには、次に起こり得ることを常に想定し、計画的に物事を進めることが要求されます。段取りがうまい人は、気配りも上手。だから自然と周囲に信頼され、結果として出世していくもの。


仕事のできる人、信頼を勝ち取る人は、「着手するスピード」が何しろ早い。例えば僕は、資料集めを人にお願いすることがありますが、「完璧な資料を作ってから渡そう」という意識の強い人に待たされると、こちらも不安になり、イライラしてきます。できる人ほど「とりあえず今日のうちにこれだけの資料を集めたので先にお送りしておきます。他に必要なものがあったら教えてください」とすぐに第一報を入れてくれる。すると、こちらも「こんな感じの資料をもっと集めてくれるとありがたい、でも、こちらは必要ない」と返信できるし、何より安心できる。そうやって仕事を進めた方が、結果として効率的で、お互いのストレスもなくなります。


漫画家としてのプライドをかけて死守してきたのは、締め切り。締め切りを落とすのは契約違反、社会人として失格です。僕が編集者なら、いくら才能があっても締め切りを落とす人間は使いません。だから、僕はひたすら、「次の締め切りを守るために必死で頑張る」ことを繰り返してきました。毎週毎週、必死に自転車をこぎ続け、気づいたら今に至っていたというのが実感。


僕はこれまで一度も描くのをやめたいと思ったことはありません。単純に絵を描くことが大好きなのかもしれません。それを実感したのは、子供が小さかったころ、家族で行ったハワイ旅行ですね。リゾート地で1週間だらりと過ごす。最高の休暇かもしれませんが、僕は絵が描きたくて、描きたくて、気づいたらボールペンを片手に、ベッドサイドのメモパッドに向かっている自分を発見しました。そして、帰国後、仕事部屋の机に座って、原稿用紙に向かい、ペンを握っているときに一番の安らぎを感じたんです。


これはどんな仕事でも同じだと思いますが、目の前の相手を喜ばせることができなければ、その先はありません。「正しい、間違っている」の問題ではなく、実績がないうちは発言権もない。編集者が頷いて初めて、何万、何十万の読者に届けることができるのです。こうした考え方はサラリーマン時代に学んだことでもあります。


運よく、初めての応募作『風薫る』がビッグコミック賞の準佳作に入選。次の目標は連載を取ること。頼まれた仕事はすべて引き受け、片っ端からやっていました。1日18時間以上働き、徹夜もしょっちゅう。そうやって仕上げた作品に対して、編集者からあれこれ自分の意にそぐわない指示が出ても従っていました。なぜなら、新人のうちは相手の言うことを聞くのが大事だと思ったからです。もちろん、出会う編集者すべてが優秀で、漫画のセンスに溢れているわけではありません。それでも彼らの指示を聞き、目の前の第一読者である編集者を喜ばせることに集中しました。


漫画家になると会社を飛び出したところで、すぐに食えるわけがない。その現実はわかっていましたから、デザインやイラストの仕事を回してくれるよう、松下の同期の連中や外注先のデザイン会社の人たちに頼んでいたのです。すると、収入はサラリーマン時代の3倍以上に。みんなが仕事をくれたのは人間関係を大切にしてきたからだと思っています。社会を生き抜くのに一番大切なことは人間関係だとこの時わかりました。


僕は「人には天職がある」と思っていて、誰にでも必ず一番合っている職業があるはずなんです。あなたは今、営業職や事務職をやっていたとしても、ピアニストや料理人が天職かもしれない。それは誰にもわかりません。僕の場合はサラリーマンよりも手を動かして何かを作る漫画家という職業のほうが、より自分の天職に近いと感じたわけです。


アイデアは完全にひとりになれる場で考えます。喫茶店とかファミレスでね。これまた楽しいひと時ですね。


「この人は嫌い」という思いが強まると、距離はますます広がります。ならば、相手の懐に飛び込んで、得られるものを得ようと前向きに考えた方がいい。イヤなやつにもそれなりのいいところがあるし、自分の考え方次第で学べるところはあるはず。誰もその人に近づこうとしないなら、なおさら自分だけの大きなチャンスになり得る。


学生時代は気の合う仲間とだけつき合っていればよかった。でも勤める以上、どんなにイヤなやつでも毎日顔を合わせて、協力し合わなければいけないこともある。イヤなやつが直属の上司だったらうんざりでしょう。しかし大きく成長するチャンスは、そこにあるのです。イヤな上司、ダメな上司ですら自分の成長につながる糧にする。それぐらいの気概でコミュニケーションを取ってみてください。


中には学ぶものがなさそうなダメ上司もいます。そんなダメ上司と不運にも仕事をするようになった時、僕は「どうしたらこの上司がちゃんと働いてくれるだろうか」と考えるようにしていました。言い方を変えれば、「上司が仕事をしやすいように、僕はどう彼をサポートすべきか」ということです。彼が必要そうな書類やデータを揃えている時に困っていそうなら、「僕がやりましょうか」と一声かける。彼の仕事のできなさ加減に文句を言っているだけでは、何も始まりません。人は簡単に変わることはできないので、「~してほしい」と期待して待つのではなく、自分から動くことで状況を変える。自分の実力もつくと思います。


ワイン会の参加費は決して安くありません。希少で高額なワインを楽しむので、1回の会費が高い。しかしそこに集うのは、大手上場企業のトップや気鋭の若手ベンチャー経営者など、錚々たる顔ぶれです。誰もが自分なりの哲学を持ち、経験も人脈も豊富。「そんなことがあるのか!」という発見から僕の好奇心に火がつき、1つの事象を多角的に捉えるヒントにもなる。少々値が張っても、自らの引き出しを増やしてくれそうな魅力的な人と出会うチャンスならば、覚悟を決めて投資すべきだと僕は思っています。


異業種との人脈作りのために、かなりの金額を惜しまずに投じています。ポイントは異業種の人と会うこと。漫画家は、極端に言えば、編集者やアシスタントさえいれば、家から一歩も出なくてもできる仕事。それでは、ものの見方は広がらないし、他の価値観に触れることもない。自分の引き出しは枯渇する一方です。僕ら漫画家が日々、目を凝らし、耳をそばだてても見えない世界を、異業種の人は教えてくれます。だからこそ僕は、ゴルフ会やワイン会、パーティーなど異業種の人が集まる会に積極的に顔を出し、様々な世界に触れることを心がけています。


「相手のため」が独り善がりではいけません。気をつけなくてはいけないのは、「しつこくしすぎないこと」。相手が求めていないのに、いつか相手が折れるだろうと押し続けるのはダメです。例えば、銀行から投資の話を持ちかけられた時のことです。興味のない商品を毎回携えてきて、「この商品の金利の方がお得です」という話を何度も聞かされるとうんざりし、拒否反応が出てしまう。でも僕の担当者は、僕が1度渋い反応をしてから1か月後に再び会いに来て、「国債を買うという手もあります」と、別の角度から上手に提案してきた。「それだったら考えてみようかなあ」と思ってしまいます。


人を好きになり、親しくなりたいという思いは心身を活性化させ、生きるエネルギーになります。仕事の場合、相手に恋愛感情を持てとは言えませんし、ましてや好きな相手ばかりと仕事をするわけでもない。それでも、まずは相手に興味を持って接することが大前提。スキルよりも何よりも、仕事の基本は良好な人間関係を築く努力にあります。


大事なのは冒険と安定のバランス。個人的にいいと思う比率は3対7くらい。人生の3割は冒険するくらいの気持ちで毎日を過ごす。かなりの割合ですが、3回に1回は清水の舞台から飛び降りろといっているのではありません。「新しい企画にチャレンジしてみる」程度でいい。重要なのは「3割は冒険しよう」という気構えで生きること。その意気込みがあるとないとでは、後々の成長に差が出るように思います。


僕は人の考え方に対して、否定はしません。自分とは違っても「ああ、そうなんだ」と思うだけです。日本には古来、「八百万の神」という表現がありますが、人間付き合いでも「多様性」を認めることが大切で、「こうあらねば」や「こうすべき」という固定観念は持たないほうです。もちろん、「こうあらねば」という時もありますが、全体から見ればそんな状況はごくごく少ないものです。


新しい企画を提案された時、僕は割とすんなり「面白そうだからやりましょう!」と言ってしまうタイプです。でも実は、「じゃあ、その企画であれば、こんな切り口はどうでしょう」と自らアイデアを出しつつ、実は「何か言わなくちゃ」と思いながら、その場の思いつきで言っていることがほとんどです。後々「これ、結構面倒な案件だったな……」と、ますます忙しくなる現状に後悔することもしばしばです(笑)。


つい仕事を抱え込みがちになる人に有効なのが、「人に任せること」に寛容になることです。「部下がやるより自分でやった方が早い」「部下に任せると完成度が低くて、さらにストレス」などと考えてしまいがちですが、そうやって自分で受けてしまうとキリがない。不完全かもしれないけど部下に任せてしまった方がいいでしょう。僕自身、アシスタントに任せられるところは任せています。


僕は頼まれた仕事はつい引き受けてしまう。その結果、睡眠時間を削るありさま。やりたいことをやっているから構わないのですが、それでもいくつか自分で決めていることがあります。その1つが、「やらないことリスト」の作成です。「やらないことリスト」には、「テレビ出演はしない」に加え、「パソコンゲーム」はしない(笑)。一時期、仕事中に少し飽きるとゲームをやっていました。ゲームは本当に時間を食うばかりで何の役にも立たない。しかも目をかなり動かすから、すごく疲れる。目のピントが合わなくなって「これはダメだ」と思いました。投資関連の講演も「やらないことリスト」の1つです。僕自身が投資を全く知らないし、興味もないことがその理由です。


仕事人間というか、僕は寝ないでも仕事をしたいほうですから。睡眠時間も、以前は1日平均3時間ぐらいで、4時間は寝ていなかったんじゃないかな。それ以上寝たりすると、「オレが寝てる間に、ほかの人たちがどっかで楽しいことをしてるんじゃないか」と、途中で目を覚ましてしまう。悔しくて(笑)。性分というか、貧乏症なんでしょう。


弘兼憲史の経歴・略歴

弘兼憲史、ひろかね・けんし。日本の漫画家。山口県出身。早稲田大学法学部卒業。松下電器産業(現:パナソニック)を経て漫画家へ。代表作に『課長島耕作シリーズ』『人間交差点』『黄昏流星群』『加治隆介の議』『ハロー張りネズミ』『ラストニュース』など。ビジネス書の執筆も行っている。

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佐々木眞一

品質を管理するにはお金がかかる。だから改善したくても改善できない。今、多くのメーカーで現場に対するコスト面のプレッシャーが強くなっています。不正に手を染めたのは根っからの悪人ではなく、会社のことを思って苦しんだ人が多いはずです。現場の人が正常な判断ができないくらい、製造現場の仕事の仕組みがおかしくなっているのではないでしょうか。


宮沢俊哉

今できることを自分で考え、実践し続けることが大切です。私が主宰する経営塾の受講生の皆さんからはしばしば、「どうすればお客が増えますか?」と聞かれるのですが、誰にでも当てはまるような答えはありません。自分で探し、自分だけの正解を見つけるまで、何度も数を打つしかない。チャンスに気づく目も、この方法においてのみ養うことができるのです。


鈴木茂晴

どのトップも、ただ利益をあげるだけでいいとは考えていないはずだ。同じ利益でもどうやって稼いだのか、その出所が問われる時代になったといっても過言ではない。社会的意義のある稼ぎ方、利益の出し方をしていかなければ、いくら収益をあげても「良い会社」とは見なされなくなっている。


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改革の中心的役割を果たすべきは、部長クラスの管理職。この部を変えたいと本気で思う部長が不文律解消に取り組むのが一番の近道だ。反対に部長が「うちの会社は女性活用なんてできないんだよ」などと不文律を肯定したり、改革に白けた態度を取っていては何も変わらない。


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クリスマスツリーなど季節もの以外で、2カ月使っていないモノは捨てる。この判断基準を徹底した結果、以前の2割くらいにモノを減らすことができました。モノが減れば、収納の仕方はあまり問題ではありません。


曽山哲人

社員の挑戦マインドやチームへのロイヤリティを高める上でも、現場でのコミュニケーションは欠かせない。


鵜浦博夫

北米でクラウド事業を本格展開するために、統一ブランドをつくろうと考えています。数年前、ボストンの空港で入国手続きのときに「会社はNTTだ」と答えたら、「何の会社だ」と言われました。北米では我々はアタッカーなのです。


ロイ・キーン

間違った心構えでプレーしている限り、能力があっても負け犬だ。


戸次鑑連(立花道雪)

いま私の部下が失礼をしたが、この者は戦場では何人分もの働きをする。とくに槍の扱いなどは当家一であろう。
【覚書き|部下が酒の席で失敗したとき、客に謝りながら語った言葉。部下思いの道雪の人となりを表すエピソード】


西多昌規

テンパリは「伝染する」傾向も持っています。テンパった人が一人現われると周囲はその人物に気を使い、神経をすり減らします。そのせいで、周囲までテンパリやすくなる。


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