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嶋浩一郎の名言

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嶋浩一郎のプロフィール

嶋浩一郎、しま・こういちろう。日本のクリエイティブ・ディレクター。博報堂ケトルCEO。上智大学法学部卒業後、博報堂に入社。企業PRや情報戦略などの業務に携わる。その後、博報堂の雑誌『広告』の編集長、「本屋大賞」立上げなどを行ったのち、博報堂ケトルを設立。週刊少年サンデー・週刊少年マガジン50周年コラボ企画、KDDI、伊藤忠商事「MOTTAINAI」などの広告キャンペーンに携わった。そのほか、エリアニュースサイト『赤坂経済新聞』やカルチャー誌『ケトル』編集長なども務めた。主な著書に『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』など。

嶋浩一郎の名言 一覧

優れた企画者を目指すなら、「自分で説明できることにヒントはない」と思った方がいい。「説明できないけど、なぜか人を引きつけている」というものにこそアイデアのヒントがある。だから、企画を作る人には、「まだ知らないこと」「新しいこと」にどんどん挑戦してもらって、新たな気づきを得てほしい。


イノベーションは、面白い組み合わせをたくさん考え、試し、失敗した先にしか生まれない。


仕事と無関係な情報がかえって役立つ。それに、仕事に役立つ本だけを読むよりも、素敵な人になれる。


最近はムダなく事を進める効率化がもてはやされていますが、アイデア創出の世界ではムダこそ必要で、迂回路にこそヒントが隠されている。


知識を集めると、そこからさらにいろいろなことを知りたくなるもの。興味を抱く範囲が自然に拡張して、それまで素通りしていた分野の話にも目が向くようになる。


本来の趣味や興味の範囲外等の場所にも、意識的に足を運びます。「地下アイドルのライブ」などは、未知の情報の宝庫ですね。


アイデアはあさっての方向からやってくる。一見、無関係な者同士が組み合わさったとき、アイデアは生まれる。


予定外の「ムダ知識」にこそ隠れた意味がある。それは、企画力や発想力の源になり得る。


明日に役立つものだけがすべてじゃない。


本は「ひとつでも自分の知らないことがあったらラッキー」と思う程度でちょうどいい。


わずか数%の言語化された欲望に応えるビジネスもありますが、言語化されていない欲望に応えるビジネスのほうが、はるかに大きくなり得ます。


相手に合わせたたとえ話や言葉は成否を分けるポイントとなる。神は細部に宿る。疎かにしてはならない。


プレゼンでは送り手の精神状態と受け手の精神状態は異なるのが大前提です。独りよがりの言葉で書かれた文章を読みたいと思う人はいないでしょう。


人間は欲しいものをすべて言語化できていない。偶然の出会いを求めて書店に行きましょう。


真逆のものを順列組み合わせしたり、逆張りしたりするとアイデアが「化ける」瞬間があります。


ネットの検索は、物事を深く知ることができますが、新発想にダイレクトにつながらない。


最初に「これから何について話をするか」という、伝えたいことのテーマを話すと、相手に聞く姿勢ができる。


手間を惜しまずに、相手のことをきちんと調べれば、話す内容が変わる。これだけでも、プレゼンが通る確率は、グンと上がる。


予備知識があまりない人でも分かるように考えてから、プレゼンに臨む。話が伝わらなくて悩んでいる人は、ここから始めるといいでしょう。


多くの人が陥る勘違いに、「自分の話は聞いてもらえて当たり前」というものがある。しかし、話は「聞いていただくもの」。


面白いと思ったトリビア(豆知識)はノートに書き留めます。この10年で30冊になりました。このノートを何度も読みます。ぱっと開くと面白いからつい読み込んでしまうという感じです。そうこうするうちに、いろんなトリビアが融合して、仕事のアイデアにつながっていくんです。


企画のヒントを本やネットから得ようとする方法を否定はしませんが、「大ヒット企画は日常から生まれる」ということを、常に心の隅に置いておく。そして「おや?」って思ったら、すぐに「何でだろう?」と考える。そこでスルーしちゃ駄目。そんな思考習慣が身についたら、優秀な企画者に近づけると思います。


私は常々、「アイデアはアサッテの方向からやって来る」と考えています。イノベーティブなアイデアは、当該テーマを掘り下げるだけでは出て来ない。むしろ、無関係な分野の情報がヒントになることが多いのです。取り込む範囲が広いほど、かけ離れた情報同士がふれあい、そこにユニークな交配が起こりやすくなります。


ゼロから新しいものを生み出すことは、余程の天才でなければできません。モノや情報を組み合わせることで、新しい価値を作るのです。とくに、異物が入ると、企画がジャンプします。


企画というものは、飽きられるものです。ですから、飽きっぽい人のほうが企画に向いていると言えるのではないでしょうか。ターゲットに飽きられるよりも先に自分が飽きれば、早く次の企画を考えられますから。


短くても過不足のない文章を書くには、次の5点を押さえるようにしましょう。
(1)目的(相手が抱える課題+解決するためのアイデア)(2)実現できたときの状態(3)相手側のメリット(4)具体的な実現方法(5)一言でまとめ(5W1H)実際、提案書や企画書をA4一枚に収めるのは難しいかもしれませんが、最後は一言でまとめましょう。


余計な情報を入れないと説明できない企画は、そもそも内容自体が十分練られていないことが多い。よい内容であれば、A4一枚どころか一言(5W1H)で簡潔に表現できるはずです。どうしても資料が長くなってしまうなら、中身を練り直すところからやり直したほうがいいでしょう。


通る企画書、人を動かす文章を書くには、その内容自体がよく練られていることが大前提だということです。できの悪い企画にOKが出てその場はしのげたとしても、長期的に見れば信頼を失うことにもなります。十分注意してください。


企画を通したいと思ったとき、まず相手を観察し、相手を知ること。口説きたい相手を知り、その心境を想像する。すべての出発点はそこにあるといってもいいでしょう。


相手の心をつかみ、イエスと言わせたいなら言葉ひとつにも注意を払うべきです。やってはいけないのが、ひとりよがりの言葉を羅列することです。内容に自信があるときほど陥りがちですが、ここで重要なのは相手に合わせた言葉選びです。どんどん新しいことを取り入れたいと思っている人もいれば、現状維持で十分と考える人もいます。後者の人に対して斬新な言葉を散りばめた提案書を見せても通らないのは当然でしょう。


あなたが企画部門にいるのでなければ、企画書をつくる機会はそう多くないかもしれません。しかし、企画をするチャンスはいくらでも転がっています。たとえば飲み会の幹事になったら、飲み会を企画化しましょう。目的は何か、どうなったら成功か、実現方法などを考える。これが習慣になれば、要所を押さえた企画書、メールが書けるようになります。


メールや企画書は短い方がいいでしょう。長くなる人は、要点を理解できていないのかもしれません。伝えたいことをコンパクトにまとめるには、その前に頭を整理するトレーニングをしましょう。僕たちクリエイターがよくやるのは「デコンストラクション」という手法です。他人のつくったCMキャンペーンを見て、「これは何のためにつくられているのか」を想像するのです。このトレーニングを繰り返せば、ものごとの本質をとらえ、それを簡潔に表現できるようになって生きます。


企画書などで使い慣れない言葉が出てくると、読み手はそこで思考停止に陥ってしまいます。そんな些細なことで結果は変わらないと思うかもしれませんが、合意の連鎖を築くうえではちょっとした言葉にも気を配ることが重要です。


企画を通したい相手が相手が新任部長でとにかく変革したいという意欲が高い人なのか、保守的で現状をできるだけ変えたくないと思っている古株部長なのかによっても、話の流れは変わってきます。相手が誰か、中身にどれくらい精通しているかなどを見極めて、それに合った構成、言葉を選択しましょう。


企画書を読んでもらうには、まず相手に合わせること。どんな人に対しても同じ言葉、同じ文体を使ってはいないでしょうか。自分にとっては日常的によく使う言葉でも、相手に馴染みのないものかもしれません。業界や企業によって使う用語が異なるなら、それも事前にチェックして書き換えるべきです。


僕にも経験がありますが、企画を考えてそれを文章に落とし込んでいくと、その過程でどんどん内容にのめりこんでいって、「これってすごくいい案なんじゃないか」と企画に愛情を抱き、その勢いでプレゼンに臨んでしまうことがあります。「こんなに素敵だから通って当然でしょう!」と思っているかもしれませんが、これでは聞き手との温度差が生まれ、何とも痛い空気が流れてしまいます。


企画書では細かい話は全体を通してもあまり入れない方がいいでしょう。本人は時間をかけて考えた内容を相手に知ってほしい、細部の話こそ重要だと考えているのでしょうが、企画書や提案書など、書かれたものに対する立ち位置は人によって異なるものです。別件でトラブルを抱えている人は頭の中でそれでいっぱいという人もいるかもしれません。だから書かれた文章や、細かい資料を丁寧に読んでくれる奇特な人は少ないと考えるのが無難です。


企画書の内容に自信がない人がやってしまいがちなのは、やたらと長い資料をつくることです。「企画書はA4一枚にまとめよう」とよく言われます。忙しい読み手を配慮してのことですが、余計な情報を入れ過ぎると、伝えたい内容が見えなくなる恐れもあります。文章が長い人は、自分でも何が書きたいのかわかっていないのではないでしょうか。僕の実感でも、内容に自信がない人ほど添付資料が多いという印象があります。


相手の思考回路に沿いながらひとつずつ合意を積み上げていけば、説明調で書かなくても自然と企画書は説得力を増していきます。僕はこれを「頷きのカスケード(階段状の滝)」と呼んでいます。受け手が「そうだよね、そうだよね」と頷くたび、合意の連鎖が積みあがっていくのです。頷きのカスケードが築かれたらしめたもの。読み手は傍観者から当事者に変わり、この提案内容を自分で選び取ったんだと感じる。書き手は思うとおりに相手を動かすことができたといっていいでしょう。


企画書の文章を書くときは、はやる気持ちを抑え、「そもそも何が問題なのか」「何のための提案なのか」に立ち返り、読み手とミッションを共有することが重要です。それがあって初めて、「続きを読みたい」という気持ちになります。「うんうん、確かにそういう問題はあるよね。ぜひとも解決したい」と読み手が感じ、ミッションやゴールについて合意できてから、本丸である内容に踏み込んでいくべきです。


企画書などでやたらと細かい話から始めるのもNGです。これは仕事ができる優秀な人材がやってしまいがちです。細かい数字や統計データを持ち出して、論理的に説明しようとしているのでしょうが、何を伝えたいのかが伝わらず、読む気がしなくなってしまいます。


企画書などの文章を書く側と読む側が同じ精神状態、同じ状況に置かれているということはまずあり得ません。説得したいことが見え見えで、提案内容を一方的に押し付けるような文章が並んでいたら、それだけで引いてしまうし、続きを読みたくなくなるでしょう。仕事にかける情熱や意気込みは立派でも、それが裏目に出てしまっている残念なパターンです。


中身はいいのにこの書き方じゃ通らない、そもそも最後まで読んですらもらえない。そう感じる文章や企画をこれまでたくさん目にしてきました。一番よく見るのが、「説得したい」という思いが強すぎるあまり、全体像が見えなくなっているパターンです。これは中身に自信がある人ほど陥りやすい罠です。


プレゼンは相手との対話です。予想外の質問がくることもあるかもしれません。でも、その場合、誠実に対処していくしかありません。プレゼンは、自分のアイデアを相手に理解していただく手段にすぎません。人の真似をするのではなく、相手に伝える努力をしてください。


ひと言で表わせるかどうかは、企画の良し悪しとも関わっています。ダメな企画は、問題点が多くあるので、その企画がいい理由を無理にくっつけなければならない。そのため、ひと言で表わすことができないわけです。


企画のメリットを裏づけるデータがたくさんあったとしても、それを細かく説明し始めると、論旨がずれていくことがあります。代表的なひとつに絞って、あとは添付資料にしておけばいいでしょう。プレゼンは、「ある課題をどう解決するのか」をひと言で表わせるものでないとダメです。


プレゼンにおいて気をつけなければならないことは、「説得してはいけない」ということです。説得とは、相手を無理に従わせようとすること。相手が理解していないようなら、無理に「イエス」といわせてはいけません。全員が同意しやすい話から入っていけば、「イエス」が得られやすいのです。「イエス」の連鎖をつくる構成で話すといいでしょう。


私は、ゴールのイメージを共有しやすくするために、架空の日経新聞の記事をつくったことがあります。その記事を見せて、「このように、御社の△△事業が成功したと新聞で扱ってもらえるようにしたい。そのために何をしたらいいのか」というようにプレゼンをしました。


結論を先に言うことは、参加する人たちの温度差をなくすのにも役立ちます。たとえば、いろいろな部署の人たちが参加している場合、部署によって事前の情報の伝わり方にばらつきがあります。プレゼンがあることを、その日に初めて知った人もいるかもしれません。そこで、そのプレゼンがどういう課題解決のためのものなのか、つまり、「ミッション」を提示するべきなのです。


話している側は話がどこへ向かっているのかがわかっていますが、聴いている側にはわからない、ということがよくあります。結論を先にいったほうが、ゴールへ向かっての道筋を共有しやすいでしょう。あらかじめ「この新商品を○万個売るためのプレゼンです」などと示しておくわけです。


ときには、一度も会ったことがない相手にプレゼンをすることもあるかもしれませんが、そんなときでも、最大限に想像力を働かせることが大切です。その会社のその事業部にいたら、何に関心があって、何をしたいと思うのか、相手の立場になって考えてください。


    プレゼンを成功させるための7つのポイント

  1. 相手を知ること。キーマンの社内における立場や、この仕事をどう捉えているかということを理解したうえで、プレゼンに臨むのです。
  2. ゴールイメージを明確にすること。プレゼンが何のために行なわれるのかをはっきりさせることです。
  3. 「イエス」の連鎖をつくること。そのためには、話の構成として、大きな枠組みから入っていきます。
  4. 企画のメリットとデメリットの両方を提示すること。デメリットもあることを、きちんと提示する誠実さは大事です。
  5. 企画のポイントをひと言でまとめること。この企画を実行すると何がいいのかを、シンプルに表わすことが重要です。
  6. 消費者、取引先、メディアなど、さまざまなステークホルダーの人たちが、この企画を実施したときにどう思うのかを想像し、整理しておくこと。
  7. 具体的なエピソードを使うこと。プレゼンでは、企画の肝になる部分を、ドラマチックにみせると効果的です。といっても、派手な演出をするのではありません。具体的なエピソードを効果的に使うのです。

プレゼンでの言葉遣いは、相手によって変えています。たとえば、「アティチュード」「レスポンシビリティ」などという横文字が好きな人もいますし、逆に、嫌いな人もいます。そのときどきの反応によって、使う言葉を変えていますね。


私はプレゼンで、相手の顔色をみて、反応によってシナリオを変えながらしゃべります。その場の雰囲気で、「この人には、こっちのアプローチのほうがいいのかもしれない」と判断して、想定しておいたいくつかのパターンのなかから、ふさわしいものを選ぶのです。


プレゼンの目的は企画を通すことですよね。一方的にしゃべっていては、相手に話が伝わりません。プレゼンも相手と会話する感覚と変わりません。プレゼンとは対話なのです。


分からないことだらけで恥ずかしい経験をするかもしれません。でも、その恥ずかしさに慣れてしまえば最強です。人って成功体験に頼って、つい「型」を作っちゃいますが、型に頼るのはやめましょう! 今年1年、未知なる世界に飛び込んでみましょう。


知り合いの何人かに「絶対にオレが見そうもないコンテンツがあったら教えて」と言ってメールを送ってもらうようにしています。「嶋にこんなの行かせたら面白いかも」という友人のメールは、自分が一緒についていく必要がないからか、無責任で面白い情報が多かったりします。ありがたいです(笑)。


インターネット上でのコミュニケーションが増えることで、何かを発信すればすぐに反応が返ってきて、それにすぐに対応しなくてはならない時代になりました。企画もリアクション芸になってきたのです。


最近は、企画の当初の狙いとは別のところでウケることも多くなっています。そのときは、「起きていることはすべて正しい」と考えるべき。アマゾンで食器乾燥機を検索すると、一番上位に来て、星がたくさんついている商品は、プラモデル愛好家が塗装を乾かすのに最適だということで評価されている商品です。そこに市場があるということです。


トーストとあんこという異質なものを組み合わせた小倉トースト。雑貨と本を一緒に売る「ヴィレッジヴァンガード」。多彩なトッピングを揃えた「COCO壱番屋」。みんな名古屋発です。ひつまぶしも、ひとつの料理を3つもの方法で楽しむ。名古屋人は、異質なものを組み合わせることに優れているのです。この姿勢を、ぜひ学ぶべきです。


開成高校の生徒に向けた、大学受験対策の教育サービスの広告を企画したことがあります。開成高校の最寄り駅にだけ設置するものです。よくあるのは「受講生から○人の東大合格者が出ました!」という広告ですが、この場合は効果がないと考えました。開成高校の生徒にとって、東大合格は当たり前のことだからです。そこで、「この問題に、こんなスマートな回答ができるようになります」という広告を作りました。みんなが東大に合格する環境にいれば、格好良く合格したいと思うだろうと考えたからです。その結果、非常に良い反応を得ることができました。


今、東京の下北沢で「B&B」という書店を経営しています。そこではビールが飲めます。それは、私自身、ビールを飲んだときのほうが本を買いたくなるから。普通は、ビールがこぼれたら本がダメになると考えて、やらないのでしょう。でも、ビールを飲みながら本を読みたい方が多く来てくれればいい。また、連日、著者を呼んだりしてイベントをしています。これも、そうしたら楽しい、何度も行きたくなる、と私が思うからです。


私たちが本屋大賞を企画したのは、書店員の不満に気がついたからです。「直木賞受賞作よりも、もっと売りたい小説があるのに」と思っている書店員がいた。それは、「自分たちが良いと思う小説を、もっと売りたい」という欲望の裏返しなのです。


文句を言っている人がいれば、メモするようにしています。文句は欲望の裏返しだからです。スーパーで「もっと細切れのお肉があればいいのに」と文句を言っている人がいれば、「細切れのお肉が欲しい」という欲望があるということです。


まだ言語化されていない欲望をつかむには日常風景を観察すればいいのです。私が最近、日常風景で気になっているのは、ゲームセンターに入るお年寄りをよく見かけることです。どうやらメダルゲームの前がお年寄りの社交場になっているようなのです。ここにも言語化されていない欲望が現われています。キャリーバッグを引いている女性が増えているのも気になります。これにも何か理由があるはずです。飲料の自販機のコイン投入口は横向きなのに、駅の券売機では縦向きになっているのにも、理由があります。こうしたことにどれだけ気づけるか。そこから企画が生まれます。


人間というのは不器用で、自分の欲望のほとんどは言語化できません。たとえば商品を企画するとき、ターゲットとする人に「どういう商品が欲しいですか?」と尋ねても、答えを得ることはできないのです。そこで、先回りして言語化してあげる。すると、「そうそう、これが欲しかったんだ!」ということになる。これが企画です。


知性や感性を豊かにすることに、即効性を求めるべきではないと私は思います。あてどない散策や迂回の中で得たものこそ、その人の知識や人となりに深みを与えるのではないでしょうか。


何かと何かを組み合わせることで新しいものが生まれ、その組み合わせに意外性があるものほど斬新で切れ味のいいものになります。つまり、一見無駄な情報の引き出しをいかにたくさん持っているかが、イノベーティブな発想力の源になるのです。


「神は細部に宿る」といわれるように、ディテールにはこだわるべきですが、説明する時は客観性を持たなければダメ。企画ラブになると視野が狭くなりがちです。


書店で平積み台は世の中の人たちが興味を持ったコンテンツの発露。本屋では自分の興味のない、つまりネットで検索しない情報も無差別にバンバン入ってくる。その中に自分の興味のある情報が引っかかる可能性はとても高い。


ビジネスパーソンは知識の引き出しをいっぱい持っていた方がいい。提案力も表現力もつく。それに、企画は突然生まれるものではなく、既存の情報の組み合わせでしかありません。


雑記帳を出張先に数冊持って行ったり、枕元に置いて、寝る前にパラパラとめくったり。記憶から抜け落ちていた古いネタと、仕入れたばかりのネタが掛け合わされて「化学反応」が起こることもよくあります。


時間を置くと「なぜこれが気になったのだろう?」と反芻できるのもポイント。言葉の意味を知らなかったからか、その事象が面白かったからか、だとすればどう面白かったのか。どの要素に刺激されたのかを振り返って味わうことに意味がある。


私は情報源として、「人」を最も重要視しています。友人知人と交わす会話、会議で出た発言、喫茶店の隣席から聞こえてきたおしゃべり……。「面白い」と思えばすぐ、雑記帳に書き留めます。その他、テレビから聞こえてきた面白い話や、美術館・博物館で得た知識なども書いています。


「役立つ知識を得よう」と思って雑記帳に書いたことはありません。役立てようと思うと、義務感が伴い始めて苦しくなります。ですから私は、書くときにその情報に価値があるかどうかを一切意識しません。ただ「面白い」と思ったことを、リスのように集めるだけです(笑)。


アイデアマンの場合、頭の中の引き出しに、一見するとムダとしか思えないような情報がたくさん入っている。引き出しの中には大草原が広がっていて、様々な情報が放牧されている。世の中みんなムダだらけ。ムダを愛し、ムダをたくさん集めた人がアイデアをジャンプさせる。


新しい商品をつくるために、アンケートをとることがあります。そのこと自体は何も問題ありません。短時間で多くの人の声を収集できるメリットがあります。ただその半面、落とし穴もあります。一般の人から寄せられるアンケートの回答は、すでにある商品やサービスに関することがほとんど。顕在化したものしか出てきません。企画・調査する側の狙いはまだ世の中では言語化されていないけれど、ユーザーが潜在的に欲しいモノ&サービスを何とかつきとめたいということ。ネットの情報だけでは、ジャンプカのある発想をするのは難しいのです。


話をきちんと伝えるための5つのステップ。

  1. 相手に会う前に準備をする。
  2. 話す時は最初に、伝えたいことの「テーマ」を伝える。
  3. 本題に入る前に相手に「YES」を言わせ、プレゼンを「自分ごと」にさせる。
  4. 説明している時は、言葉の選び方に気を配る。
  5. 最後まで、丁寧に説明する。

今までに私が立ち会ったプレゼンの経験から言うと、採用されなかった理由は、企画の内容ばかりではありません。「企画は良かったけれど、伝え方が悪かった」というケースが、実はとても多い。


「このくらいは聞き手も分かっているだろう」と考えて、途中の説明を端折ってしまう人は多いのです。これをやってしまうと話についてこられなくなる人が出てくるので注意してください。誰も置き去りにしない。これを強く意識して、丁寧に企画を説明してください。


専門用語を乱発すると、相手を思考停止に陥らせてしまいます。誰もが自分と同じ仕事をしているわけではありません。身近な話に例えるなど、工夫しましょう。


相手に何度か「YES」と言わせてください。人は相手の話を「我がこと」として聞くことが、なかなかできない。ところが、相手の言うことに立て続けに何度か同意すると、相手の話を「これは自分たちの話なのだ」と、強く意識するようになるのです。難しい話ではありません。その場にいる人間が全員頷けるようなことを、何度か言えばいい。


情報ツールの中でとくに書籍を重視するのは、知りたい分野について、体系的に知識を得られるからです。人との会話は、鮮度や臨場感においては本より上ですが、迂回や脱線も伴います。また、ネットの情報は信頼性の高いものもありますが、まだまだ玉石混交。正確な知識を順序立てて得るには、やはり本が最強です。


これからの編集者は、雑誌をつくるというより、コンテンツをつくるという感覚が重要になります。例えば、将棋に関する漫画がヒットしたら、編集者は漫画をつくるだけではなく、棋士のトークイベントをやったり、子供向けの将棋セミナーを開催する。要はコンテンツをつくって、それがあるときは紙の情報になって、それに関連するマネタイズ事業も同時に多角的にやっていかなければいけない。


理想は「こんなんできちゃいました。どうでしょう?」と言い合える職場ですが、なかなかそれは難しい。それでも、会議であり得ないような組み合わせのアイデアが出た時に「面白そうだね。検討してみようか」ぐらいは言えるはずです。頭ごなしに「それはないでしょ、普通」と言わないようにしましょう。「ちょっとおかしなアイデアを許す余裕」があるといいですね。その方がイノベーションが生まれやすくなるし、職場も明るくなります。


注意したいのは「アイデアを出すために書こう」と思わないこと。そうすると、「目的に合わない」という勝手な判断で、情報を選別してしまうからです。私がこのノートに書いている情報は、ほとんどが「ムダ知識」。役立つかどうかわからないものをひたすら面白がって集めるからこそ、その膨大な集積からブレイクが起こるのです。結果を求めず、まずは楽しむこと。これが一番です。


パソコンやスマートフォンアプリにアイデアのネタをストックする人が最近増えていますね。その場合、企画を考える際はアイデアの出そうなテーマや語句を毎回検索することになるでしょう。するとそこで見つかるのはその目的物、つまり「望んだ範囲内」の情報となります。対して、手書きのノートをざっとめくると、目的以外の情報がどんどん目に入ってきます。望んでいた以上に、発想を広げることができるのです。検索性の高さはデジタルのほうが上ですが、一覧性とそこから生まれる偶発性は、アナログならではの強みですね。


ネタをジャンルごとに分類して書くことはしません。仕入れた順に、ただ羅列するだけです。結果、物理学の法則の次にタレントのゴシップ、その次には歴史のこぼれ話が書いてある、という状態になります。それらのバラバラな情報を見渡していると、予想外な形で発想が湧いてくる。こうした偶発性が、新奇なアイデアを生むきっかけになるのです。


昔から豆知識の類が好きで、面白い話を見聞きするたび本の余白や手帳の隅に書いていました。ところが、そのつど思い思いの場所に書くので、情報が散逸してしまう。そこで、一カ所にまとめようと思ったのが出発点です。モレスキンのノートは旅行用に開発されたものとあって、頑丈で傷みにくい。常に携行し、すぐに取り出して書くことができるので便利です。


世の中で提供されている情報のほとんどが「すぐには使えないムダなもの」だったりします。ですが、そんな情報もどこかで役立つことがあるんです。だから簡単に「これはムダ」と、差別しないでください。ムダな情報こそ、愛でるように接してほしいですね。ちなみに私は、くだらないと思える情報ほど、かわいらしく見えます。だから「どうでもいいことをよく知っているね」と言われるのは、最高の褒め言葉だと思っています。


面白いアイデアって意外と変なところから突然降ってきませんか? 理屈を積み上げたアイデアはたいていが凡庸でつまらない。一方で、雑談でぽろっと出たキーワードが「それ! 組み合わせたら面白くない?」なんてことになり、斬新なアイデアになったりする。関係性がないように思えるものが結びつくと、アイデアって途端に面白くなるんですよね。


「当たり前」を、人は忘れるもの。特に、「何日も没頭して考えた企画を説明する」という時は要注意。自分は1つのテーマについて、何日もずっと考えているから、誰よりも詳しくなっている。その一方で、「そもそも自分はどういう目的で、これを考えていたのか」を忘れてしまうことが珍しくない。そんな状態で話をすると、「自分は自信満々で話しているけれど、相手は何を言われているのか分からない」という状態になってしまう。


言葉の選び方に気を配る。人は話を聞いている途中で一度、「分からない」と思ってしまうと、後に続く話を聞かなくなる。さらに怖いのは、聞き手の中に1人でも話を聞かなくなった人がいると、その人の「これ以上、聞きたくない」という意志が伝染して、誰も聞かなくなってしまうこと。目の前にいるすべての相手が、スルスルと話を聞けるような言葉を選ぶようにしてください。


「伝える」という行為は、相手に会う前の準備から始まります。例えば、新商品の広告の企画をプレゼンする時に、クライアントについて、詳しく調べる。例えば「どの部署から何人来るのか」。私たちは普段、クライアントの宣伝部の方々と仕事をします。しかし、クライアントが大手の場合、様々な部門から人が来る場合がある。出席者すべてが宣伝部員だとしても、異動してきたばかりの人がいることもある。他部署の人や宣伝という仕事に慣れていない人は、広告に関する知識が少ないこともあります。それを私が忘れて「広告の基礎知識はあって当然」とばかりに話し始めたら、取り残される人が出てますよね。


日常の違和感から潜在的な欲望を見つけたと思ったら、その欲望に徹底的に応える企画を考えましょう。企画を変にひねってはいけません。たとえば、「おひとりさま」の旅行ツアーの企画者であれば、「こんなものまで1人で楽しめるのか!」と驚かれ、「実はこれ、やってみたかったんだよね」と喜ばれる企画を考える。一度、仮説を立てたらその欲望に徹底的に応える姿勢が大切です。


読書を高尚な趣味であるかのように、大層に捉えるのはストレスの元。カジュアルに楽しむのがベストです。私自身、ベッドでゴロゴロしながら読むのが一番好きですし、お酒を飲みながら読むことも多いですね。だから本にはワインのシミがついていたり、店のレシートやカードが挟まっていたり。お風呂で読んだ本はもちろん、水でふやけています(笑)。


本は5冊並行して読むことにしています。「5冊のうち2冊は、興味の範囲外にある本にする」と決めています。好きなジャンルの本ばかり読んでいては、情報の範囲が狭まるからです。本来なら選ばない本をあえて手に取るようにしています。最近では、地層の本を読んでみたら非常に面白く、興味のある分野に昇格しました。このように「異分子」的な本に触れ続けると、興味の領域が拡張されます。そうなれば、またさらに興味の外に幅を広げて読む、というわけです。


会社のデスク、カバンの中、ベッド脇やトイレの中などにいつも本があって、1冊読み終えればまた新たな1冊を加えます。こうして5冊を常時グルグル回しています。『アイデアのつくり方』の著者、J・W・ヤングは「アイデアとは、既知の情報の組み合わせである」と言っています。ならば、頭の中の情報量を多くして、多彩な組み合わせができるほど企画力も高まると言えます。その意味で、読書は強い味方です。


大ヒット映画やベストセラー本など「多くの人を魅了するもの」や、人気アイドルといった「熱狂的なファンがいるもの」に触れてみる。大ヒットしたものに乗り遅れちゃうと、つい変な言い訳をして「もういいや」ってなりません? 「いやぁ。確かに人気があるのはわかるけど、しょせん○○でしょ」なんてナナメに見ちゃいけません。「絶対に何らかの魅力があるはず。その神髄に触れよう!」と探究心を持って修行に挑んでください。コンテンツ冒険家ですね。いざ、未知の世界へ!


私は数年前に、世間で話題になっていた魔法少女アニメをたまたま観たんです。その時の私の驚きようといったら……。「魔法少女ってこんなに奥が深いのか!」と。そして「食わず嫌いはいけないな」と心から思いました。それから私は「最低月1回、普段の自分ならほぼ触れることのないコンテンツにあえて触れる」と決めました。コンテンツは本、映画、ライブ、スポーツ……なんでもいい。ルールは1つだけ。「コンテンツには1人で触れる」。友達と一緒に見たり、体感してはいけない。1人の方が素直にドキドキするし、いろいろなことに気づきやすくなるからです。


1年間でうんと企画力がアップする、とっておきの修行を紹介します。修行と言っても、滝行とか山篭りといったハードなものではありません。「最低月1回、普段の自分ならほぼ触れることのないコンテンツにあえて触れる」です。この修行の元は、みうらじゅんさんが実践している映画鑑賞手法です。みうらさんは毎月、新作映画のラインアップを見て「これは(自分に)向いていないな」と思う映画を「わざと」映画館に見に行くようにしているそうです。それをご自身で修行と呼んでいました。たとえば、劇場が女子中高生の観客で一杯の学園ラブストーリーなどを観て、意外にも作り手の意図通りに感動してしまうこともあるとか。場違いな劇場に身を置いた時に感じる妙な緊張感や気恥ずかしさは、精神修行とも言えますね。でも、それはみうらさんにとっては苦行ではないんです。むしろとても楽しんでいる。そして、その修行から新たな気づきをたくさん得ている。こうした普通ならスルーしてしまう「未知への挑戦」って、人生においてすごく大切だと思うんですよね。


本屋の価値は、「自分の知られざる好奇心を発見できること」と言ってもいい。人は意外に「好奇心の可能性」を自ら封印してしまっていることが少なくありません。例えば、ネットでしか情報収集をしていない人は、自分の興味関心領域を制限しているとも言えます。本屋はその領域を次々と広げてくれる。そこで得た新しい知識がビジネスのアイデアにつながることも多々あります。知られざる好奇心をくすぐられる空間としても、発想の基礎体力を鍛える場としても魅力的な本屋に、早速足を運んでみませんか?


リアルな本屋は私たちにとって非常に魅力的な空間なんです。大げさに言えば、人生を変えてしまう可能性を秘めている場所でもある。例えば小さな本屋の場合、5分程度で店内をぐるっと見て回れます。大型書店でもざっと見て回るなら十数分程度でしょう。本屋では、そんなわずかな時間で「世界」が巡れちゃうんです。圧倒的な情報量を誇る本屋では、しばしば「おや? 何だろうこの本?」といった思わぬ本との出会いがあります。店内でざっと本を眺めていると、気になる本が出てきますよね。その瞬間、あなたの好奇心はくすぐられています。人は今まで知り得なかった自分の好奇心を発見した時、知的な喜びを感じるもの。「ちょっと面白そう」と、ワクワクしたり、ゾクゾクしたりするんです。


オヤジギャグ愛好家は、キーワード連想が得意。常に「何か面白いことを言ってやろう」と思っていて、頭の中で本来なら結びつかないような言葉を高速で結びつけています。だからオヤジギャグを言ってくる人を冷ややかな目で見ないであげてください。むしろ「すごい発想力ですね!」と褒めてあげる。同じギャグをしつこいぐらい何度も言ってくる? その場合は……。「いつもと違うのくださいよ~」と頼んでみましょう(笑)。


私は博報堂ケトルという会社で毎日、斬新なキャンペーンや広告のアイデアをひねり出していますが、そんな日々で気づいたのは、「斬新なアイデアは散らかった情報の中から突然変異的に生まれる」こと。ムダ(情報)を活かすには、集めたものを「整理しない」のが重要なんです。情報は、整理・分類してファイルに綴じたり、引き出しにしまったりした瞬間に死んでしまうからです。そもそもアイデアは既知の情報の組み合わせでしかなく、それは斬新なアイデアも同じ。そして1つの情報は「多面体」の性質を持っていて、各面がほかの情報のどこかの面とくっつく可能性を秘めている。それが意外性のある組み合わせになった時、斬新なアイデアが生まれるわけです。


意外性のある組み合わせになった時、斬新なアイデアが生まれる。ノートに見聞きしたり、気づいたりした情報を整理・分類しないで、どんどん書きためてていく。書く時は、世界情勢から芸能人のゴシップ、ビジネスモデルから通勤電車内で耳にした女子高生の会話まで、ごちゃ混ぜにして書き連ねるのがコツ。読み終えたばかりの本から6ネタ、今見たテレビ番組から3ネタなどと、1つの情報ソースから複数のネタを書いても構いません。まずは情報をとにかくノートに書いて集めてください。そしてたまに読み返して、化学変化を待つ。やってみると、面白いですよ。


世界に誇る日本独自のクールな飲食スタイル「回転寿司」も、ひょんなきっかけから生まれました。「元祖廻る元禄寿司」の創業者が発明したのですが、きっかけは飲食店組合の行事で行ったビール工場見学でした。ベルトコンベヤーで流れているビール瓶を見て、「こんな感じで寿司が客のところまで運べたら手間がかからないのに」と思ったそうです。試作機で難航した回転台のカーブ部の機構も、名刺を扇形に開いた時に「この形にすればいいのでは?」とひらめいたそう。だから回転寿司は、会社員が最もなじみのある「ビール」と「名刺」から生まれたと言ってもいいかもしれません。


書店のメリットのひとつは、ネット検索では見つからない情報に出合えるということ。人は知りたいことの、たった数%しか言語化できないそうです。実は、どんな情報を欲しいと思っているのかが分かっていない。リアルな書店では、たくさんの本を俯瞰して、自分でも気づかなかった興味関心領域を発見できるのです。たとえば私は以前、『自動販売機の文化史』という本を見つけて急に読みたくなり、買って一気に読んでみました。驚くことに、それが後になって、仕事に結びついたんです。


忙しい人こそ、書店に行った方がいいと私は思います。私自身、かなりのワーカホリックですが、毎日1度は書店に行きます。なぜなら書店で棚を眺めているだけで、「今」が何となく分かってくるから。仕事でアイデアをひねり出さないといけない時、人は孤独になる。時間と自分との戦いです。そんな時、デスクでうなっていても何も生まれない。でも書店に行けば、今を生きている人々が欲しがっていること、知りたがっていることが、じわじわと伝わってくるのです。そうやって時代を感じるのは、仕事をするうえで、とても大切なこと。そのベースがあれば、企画のヒット率も上がるはずです。


日常に何らかの違和感を覚えた時は、「人々の潜在的な欲望がここに隠されているかもしれない」と考えてほしい。「ひょっとすると、これは世の中のビッグな流れにつながっているのでは」と心の中でワクワクしてもらいたい。そんな気持ちで、その行動の背景にあるであろう欲望をキーワード化してみてください。もちろん、それは仮説ですから間違っているかもしれません。でも、違和感を感じた「他人の行動の背後にある欲望」を絶えず言語化する作業は大事です。「草食男子」も「鉄子」も「歴女」も仮説を基にキーワード付けされた流行語です。こうした仮説によるユニークなキーワードが、企画では意外と説得力を高めます。


「おひとりさま」という言葉を命名した人は岩下久美子さんというジャーナリストで、2001年にその名もずばり『おひとりさま』という本を上梓しました。岩下さんはある時、自分が1人でレストランを利用する際に、店員から「お一人様ですか?」と聞かれることが多くなり、「1人で来る女性客」の存在を認識しました。ここで岩下さんがすごいのは、そんな女性1人客の行動を分析したうえで、「個」の確立ができている大人の女性を「おひとりさま」という新しい言葉で定義づけたところ。日常の違和感を放っておかず、「何でだろう?」と考えて世の中の新しい潮流を発見したんです。岩下さんが気づく前に、実は皆さんもレストランで「おひとりさま」を目撃していたはずなんです。でも目撃した人の多くは、「何らかの理由でたまたま1人なんだろう」などとスルーしてしまった。「おや?」って思ったものの、単なる例外として捉えてしまったんですね。


企画って、誰かが困っていることを解決したり、望んでいることを提供することなんですけど、意外と本人はそれが何なのかを分かっていなかったりするんですよね。「何となく感じているけど、まだ自分の中でちゃんと言語化できていない欲望」というのでしょうか。優秀な企画者は、そんな「潜在的な欲望」をコンスタントに見つけるのがとてもうまいんです。見つけてくるのは特別な場所ではありません。毎日みんなが目にしている日常から見つけ出してくるんです。


教養をつける、スキルを磨く、仕事に役立てる……読書に目的を設けると、えてして肩肘張った気分になり、楽しむことができません。アイデア創出に関しても同じで、「アイデアのもとを見つけるぞ」と頑張ると、かえって発想が縮こまります。面白そうな本をただ色々読みたい、と思うだけでいたほうが、結果としていいアイデアが湧いてくるものです。私を含め、誰かの読書術に従う必要もありません。唯一お勧めできるとしたら、この気楽な姿勢そのもの、と言えそうです。


途中で読むのをやめたり、積読することに罪悪感を覚えるとしたら、それは本を崇め奉りすぎです。私の自宅には現在2万冊の本がありますが、そのうち半数以上は積読。一度買ったのを忘れて二度買いした本もたくさんあります。その本に、一瞬だけでも興味をもったことは確かですから。積読本も二度買い本も、「自分の好奇心の形」を知る手立てになるのです。それに、後々読み返して愛読書に変身することも多々あります。


本には、とにかくたくさん付箋を貼ります。知らなかった言葉や印象的な表現、そして興味深いオピニオン。それらが出てくれば逐一貼るので、読み終えた後の本は付箋だらけです。そして、1か月後、付箋の箇所だけ読み直します。1か月を経ても「面白い」と感じたものを、ノートに書き写します。ノートに書かれた情報群も、併読する本と同じくバラバラなジャンルが混在しています。趣きを異にした情報を隣接させることで、面白い発想を生む仕掛けです。もちろん、企画につながらないことも多々ありますが、雑談のネタにはなるし、何より自分自身が楽しめることが大事です。


嶋浩一郎の経歴・略歴

嶋浩一郎、しま・こういちろう。日本のクリエイティブ・ディレクター。博報堂ケトルCEO。上智大学法学部卒業後、博報堂に入社。企業PRや情報戦略などの業務に携わる。その後、博報堂の雑誌『広告』の編集長、「本屋大賞」立上げなどを行ったのち、博報堂ケトルを設立。週刊少年サンデー・週刊少年マガジン50周年コラボ企画、KDDI、伊藤忠商事「MOTTAINAI」などの広告キャンペーンに携わった。そのほか、エリアニュースサイト『赤坂経済新聞』やカルチャー誌『ケトル』編集長なども務めた。主な著書に『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』など。