山西健一郎の名言

山西健一郎のプロフィール

山西健一郎、やまにし・けんいちろう。日本の経営者。「三菱電機」社長・会長。大阪出身。京都大学工学部卒業後、三菱電機に入社。生産技術センター副センター長、生産技術センター長、常務執行役(生産システム担当)、上席常務執行役、半導体・デバイス事業担当、半導体事業部本部長などを経て、社長に就任。

山西健一郎の名言 一覧

上司が自分の思いを伝えるだけでは一方通行になり、風通しの悪い組織ができあがる。


正しいかどうかは別にして、抵抗勢力が改善に反対するのには、それなりの理由がある。現場が反対する理由を考慮せず、トップダウンで方針を押し付けてもうまくいかない。


明日できることを明日に回せば、今日は別の仕事ができるため生産性は倍増する。


地道な取り組みが三菱電機の強さ。競合に先駆けて「集中と選択」したことに注目されますが、強さのベースは改善活動です。


時間を上手く使うためには、「明日できることは、あえて今日しない」ことが大切なのです。


日々、たくさんの仕事を抱えながら、効率的かつ生産的にさばいていくには、とにかく、余計な着手をしすぎないことが大切なのです。


世界で戦うために、まずは仕事への強い情熱と、前向きな戦闘能力を持ってほしい。


4年では、任期中に目に見える成果を出そうと無理な経営に走ることはありません。「歴代社長は誰が何をやったか」などと考えないのが三菱電機です。社長の名前は知らないけれど業績はいい。それがいい会社だと思います。


経営が現場に何かを強引に押し付けても、結局長続きしません。経営が企業の長期的な成長を優先するということは、現場の誇り、主体性を尊重することでもあるのです。


変化が激しい時代。11月の状況を基に、4か月かけて来年度の経営計画を考えるのは意味がない。せいぜい2か月で片付けるべき。


改善活動で大事なのは、まずは聞き役に徹すること。社長は10人の役員の話を聞き、役員はさらに10人の部下と話し合う。理解してもらえるまで説明することで、自発的な改善活動が定着する。


仮説に至るまでの思考プロセスは論理的に説明しにくいのですが、私はいまでもできる限り現場を回るように心がけていますし、手を動かしているような仕事のとき以外はずっと頭を巡らし、考え続けています。それを落としてしまわないように書きとめているという感じでしょうか。


何かの課題を解決する際に、まず必要なのは問題の見える化です。問題が見える化できれば半分は解決ですが、もちろんそこで終わりではありません。その後、その問題をいかに取り除き、具体的にどう解決するかという仮説・推論が必要となってきます。このアブダクション(仮説的推論)のプロセスを手帳に書き出しています。


プロジェクトのゴールをしっかり把握していることが大切です。目の前の作業を全力でこなしていくような仕事の仕方では、いつか本来の目標を見失い、思った以上にロスが多くなるでしょう。無駄をできるだけ削ぎ落とし、本来の目的に最短距離で向かうべく手帳の上でシミュレーションします。


大方の日本人はとかく真面目ですから、実質1週間くらいでできる仕事でもずいぶん早くから着手しがちです。たとえば、年度計画をつくるときです。これは締め切りがはっきり決まっている仕事です。しかし、早く着手すれば何カ月もかけることができます。けれど、途中で環境の変化などによる変更要素もたくさん出てくるでしょうから、ダラダラとやっても、最初からすべて組み直すような事態が十分考えられます。これは非常に無駄なことです。


現在10の課題を抱えているとすれば、まずそれらをすべて書きます。そしてそれぞれについて自分を含めて担当者が誰か、納期がいつか、そして工期がどのくらいかかるかという3点について書き出していきます。そこで、他の者が担当すべきと判断したものについては他に指示をします。自分がやるべきものについては、もし納期が12月末だとして、工期が1か月なら、11月末にスタートすればいいので、いまは手を付けないようにする。そうすると、すぐにやらなくてはならない課題はせいぜい2つか3つに絞られ、目先はそこにだけ集中してやるのが一番効率的なのです。


会社の手帳を25年くらい愛用していますが、スケジュール管理に使ったことは一度もありません。使うのはメモ欄だけです。メモといっても思いついたことを闇雲に書きとめるようなことはありません。いま、自分が抱えている課題について書いていくのです。


仕事の最終目的を常に意識しているかどうかで、生産性は全く変わります。自分自身もそれを常に自覚しながら、上司として繰り返し指導していかないと結果は出せないのだと、ちょうど課長から部長になる時期に悟ったのです。


半導体事業部の本部長になったときも、「悪い情報をまず一番にあげるようにと言い渡しました。当然叱ることもありますが、叱るときにも、まず褒めてから叱る。「二褒め、三叱り」を心がけています。


三菱電機という会社が成長してきた理由のひとつは、「風通しの良さ」にあったと思っています。社内の風通しが悪ければ、悪い情報ほど隠したり、わからないことをわからないと言えない部下が増え、本質的な問題が見えなくなってしまうのです。


仕事そのものが天命だと思えるところまでやる。目的をしっかり見据えながら、情熱を持って戦ったなら結果は必ずついてくる。逆境のときほど、そう信じてやり抜く力があるかどうかが重要です。


とくに管理職に不可欠なのは人間的魅力でしょう。具体的に言うと、正直さ、良識さ、潔さ、そして公平さといった人間としての普遍的な要素です。そこを徹底的に磨いてほしいのです。


自分の役職の階層が上がるほど、不条理というものを理解できるかどうかが非常に重要になってきます。世の中というものは、数字や論理で割り切れない、不条理なことの方が多いのですから。とくに経営者になると、不条理に満ち溢れた情報や現実を賢く料理し、いかに情熱をもって最終目的へと向かう解を見出していくかが、ビジネスの成否を分けると言っても過言ではないでしょう。


私は「問題大好き人間」と呼ばれています。いつも「問題がよく見えるように見える化しろ」と言っています。問題点が明らかになるからこそ、真の原因がわかります。そして、その真の原因を改善する。これを、自発的かつ継続的に行うことができる人づくりが大切であり、それが会社の成長にもつながります。赤字だった半導体部門もこのような改善を続けた結果として、無事、V字回復を遂げることができました。


ずっと黒字だった半導体部門が、08年、私が半導体事業の担当本部長に就任した際、リーマンショックの影響を受け、一気に赤字に転落しました。しかし、私はこういったトラブルやマイナス要因にぶち当たったときほど、俄然意欲という戦闘能力が高まるタチなのです。


半導体生産の現場で使う、空気清浄度が一定に保たれたクリーンルームという設備があります。生産のプロセスでは、ミクロン単位、コンマミクロン単位のゴミや異物を排除しなければなりません。そのゴミをいかに減らすかという技術の開発に長らく携わっていましたが、この手の技術はある一定のレベルまで行くと、製品の不良率にほとんど影響がなくなってきます。ゴミを減らす目的は、デバイスの不良率を減らして製品の生産性を上げることなのです。そこで、半導体の設計で不良率を下げる方向に転換させました。


企業として利益を出して、従業員、株主、顧客、ひいては社会に還元していく。それこそが仕事の最終目的なのです。考えてみれば当然のことなのですが、現実には、自分が関わる狭い分野での能力を突き詰めていけばいいのだと考えてしまう社員は少なからずいるものです。


私も管理職になる前は、あまり教育、育成などということを意識していませんでした。会社は教育機関ではなく、プロフェッショナルの集団として給料をもらうのだから、当然アウトプットのみを出せばいいと考えていました。極端なことをいえば、教育育成してもらいたかったら指導料を払えくらいに思っていました。けれど、それでは組織として最終目的地にたどり着くことができません。


どういう人材が欲しいか、ということも大切なのですが、会社として、管理職として、人材をいかに教育し、伸ばしていくかという姿勢も不可欠なのです。だから、最初から「こういう人はいらない」といったことはあまり言いたくありません。


経営リレーでは、次の走者だけでなく、「次の次まで」見通してバトンパスすることが大事です。その点、任期が数年程度であれば、次の次の人材を見渡しておくことが可能です。しかし任期10年で、今から20年先の人材を見渡すというのは難しいですし、現実的ではないでしょう。


ガバナンスの要諦は「自分の責任を全うするとともに、責任範囲以外のことには口を出さない」ということだと考えています。全社に「4現主義(現場、現実、現物、現役)」を徹底するには、まずは経営者自らが率先してこのルールを実践することが必要です。


三菱電機の社長は代々、自分の任期中の成果にこだわらない分、自身のミッションは後継者の育成と考え、「次の世代で成果が出るためにはどうすればいいか?」を考えてきました。それが結果的に長期的な視点での経営判断につながり、業績を上げてきているのだと思います。


私の体感としては、4年任期の社長が続くようになった頃から、三菱電機は「風通しのいい組織」になり、業績か伴ってきているように思います。現場が自ら問題点を見える化し、真の原因追求をして、解決策を導き出す「カイゼン活動」には、「風通しのいい組織」が大前提ですから。


企業の風通しのよし悪しは往々にして経営陣同士の関係性を反映しています。かつては事業部門の縦軸と管理部門の横軸の経営陣の間に連携はありませんでした。しかし今では縦軸と横軸の経営陣が常に連携することが当たり前です。そうした経営陣の一体感には会長と社長の役割分担が大切です。


前倒しで仕事を片付けるのは、実は大きな間違い。最も効率がいいのは一夜漬け。とにかくギリギリまで引きつけて、納期の直前にさっと処理する。人間の能力は締め切りに近づくほど上がります。一夜漬けこそがリードタイムを短縮する最善の方法。


かつて生産技術担当としてカイゼン活動に当たったとき、当初は「抵抗勢力」になっていた他部門の人たちが、最終的には推進役を担ってくれるケースに何度も遭遇しました。そういう人たちは自分のやっていることに誇りを持っているからこそ、最初は抵抗勢力になりますが、いったん理解してもらえれば主体的な推進役に変わります。三菱電機の現場はそういう人材が豊富なのです。


現場の技術者は、手持ちぶさたを嫌がります。真面目だからでしょうね。空き時間が少しでもできると、2~3日後に処理すればよいロットに取りかかってしまう。みんなよかれと思って前倒しするのですが、生産技術の観点からは「完全な悪」なのです。不急不要のロットを先に処理してしまうと、本当に急ぐロットが発生した場合、製造装置が埋まっていて対応できない状況が起きかねません。半導体の製造装置は、一定数のロットを処理するたびに点検する必要もあります。メンテナンスの予定が狂ってしまうと生産計画が滞ることもあります。


40歳くらいのころに読んだ井上靖の『孔子』という小説の中に、「天命を信じて人事を尽くす」という言葉が出てきます。当時の私にこの言葉が非常に腑に落ちたのです。「人事を尽くして天命を待つ」という言い方のほうが一般的ですが、これは、できる限りのことをしてあとは運任せでよいというニュアンスが感じられます。「天命を信じて人事を尽くす」のほうが、最後まで自分で前向きにやれるという印象があって、現場で日々戦う自分にはしっくりきたのです。


経営リレーを成功させるために必要なことは、企業の長期的な成長を優先すること。三菱電機は設立からもうすぐ100年です。何代にもわたって良質な経営者が続く必要があるという認識を持たなければなりません。途中で自分の成果を優先するような社長にバトンを渡すと経営リレーはおかしくなります。現場の従業員の生活のためには、短期に利益を上げるのではなく、長期的に企業を成長させていく認識を、実績とともにリレーすることが重要なのだと思います。


次世代の経営陣を登用するうえで心がけていることは、「社外の目」を入れることです。たとえば、取締役候補者は社外取締役が過半数を占める「指名委員会」が選びます。また、社外取締役5名を含む取締役会においては、社長以下の執行役を選定しますが、社外取締役の立場からは能力の有無を判断しづらいはずです。そこで取締役会では、各執行役から担当事業の経営状況等の報告を受ける機会を設けています。担当分野の経営トップである執行役の職務執行を通して、経営陣としての資質等の見極めを行います。


経営陣の役割は、異種の知を集めて、逆風に強い企業をつくること。三菱電機の強みは、様々な業種のお客様を持っていることです。長年生産技術に携わってきた私は、ある業界で当たり前のことが、別の業界では新鮮なヒントになり、大きな成果をもたらすことを実感しました。異種の知なくしてカイゼンはないのです。経営陣自体が異種の知で構成されなければなりません。


三菱電機では各本部の本部長になると執行役を兼務します。その執行役は「三菱電機の執行役」として、企業全体の視点で経営判断をすべきです。しかし本部生え抜きの人材は、「各本部の利益代表」という発想から抜けられないこともあります。このため他の本部から抜擢する人事を意図的に行ってきました。また、常務クラスが集まって経営課題を議論する場もつくっています。こうして次の経営層の人材に厚みをつくっておくことが将来の三菱電機の役に立つことだと思います。


当社は指名委員会等設置会社の中でも、取締役会と執行役の機能を徹底的に分離しています。取締役会は、社長をクビにすることはできますが、経営の執行は社長に任せています。会長は次期社長にバトンを渡した以上、経営に口を挟むことを厳に慎んできました。こうした互いを信頼した役割の徹底分離を代々のトップが守ってきたことが、風通しのいい経営陣をつくり、これまでの業績につながったのだと思います。


山西健一郎の経歴・略歴

山西健一郎、やまにし・けんいちろう。日本の経営者。「三菱電機」社長・会長。大阪出身。京都大学工学部卒業後、三菱電機に入社。生産技術センター副センター長、生産技術センター長、常務執行役(生産システム担当)、上席常務執行役、半導体・デバイス事業担当、半導体事業部本部長などを経て、社長に就任。

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