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山田進太郎の名言

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山田進太郎のプロフィール

山田進太郎、やまだ・しんたろう。日本の経営者。「メルカリ」会長CEO(最高経営責任者)。愛知県出身。早稲田大学教育学部卒業。大学生時代に楽天オークション立ち上げに参加。ウノウを設立。映画情報サイト「映画生活」、写真共有サービス「フォト蔵」を立ち上げる。ウノウをジンガに売却。世界一周旅行などを経てコウゾウ(のちのメルカリ)を創業。

山田進太郎の名言 一覧

自分が優れていると思うアイデアが正解とは限らない。サービスの利用が伸び悩んでいる数字こそが結果のすべてだ。


何か新しいアイデアを求めている時、僕が大事にしていることは、複数の課題を一気に解決できるシンプルな手がないかどうかを常に考えること。


自分のアイデアに自信があればあるほど、同じチームの他のメンバーが出したアイデアの良いところが見えなくなってしまう。


「起業はリスクが大きい」と言う人に対しては、「間違ってはいないが半分しか正しくないよ」と言いたい。起業から得られるリターンと、被るリスクの大きさのバランスを検討してみると、起業はとても「割に合う」。僕は本気で思っているんです。


僕は、人生や会社の岐路に立って判断を下すときはいつも、取り得る選択肢についてメリットとデメリットを思いつく限り書き出すことにしています。失敗のリスクは大きくても、成功して最大のリターンが得られるものはどれか。こうした観点で選んだのがフリマアプリ(メルカリ)です。


起業して苦しい時期が続くことはよくありますし、倒産や破産が怖くないといえばうそになります。でも、経験を積んでいけばどんなリスクがあるか事前に想像がつきやすくなります。そうすると「最小限に抑えることもできるだろう」と案外腹をくくれるものです。


私は、迷ったらいつも、大胆なほうに賭けてきました。それが結果につながってきたからこそ、メルカリは普通の会社に比べて速いスピードで成長できたのだろうと思っています。


人は、やりたい仕事ができている状態が一番モチベーションも高く、楽しくいられるはずです。そうした機会を用意し続けられる会社にすることは経営の仕事そのもの。どの社員にも良い機会を提供するのがベストですし、常にそうありたいと思っています。


誰でも皆、モチベーションを一番感じられる仕事をしたほうがいい。当社のような知識産業にとってはまさに死活問題。その人のモチベーションが高いか低いかで、アウトプットの良し悪しが大きく変わってくるから。


重視しているのは失敗やミスそのものを責めないこと。大胆に挑戦した結果の失敗はいいのです。失敗を恐れて大胆さを失うほうがよほど問題です。ただし、失敗の原因を客観的に分析し、次回は失敗しないように対策を講じることも重要。それができる人こそプロフェッショナルというものでしょう。


我々経営者は、本来は打ち手が無限にあるにもかかわらず、「A案かB案か、どちらかにしよう」と発想しがち。でも、大胆にやろうという考え方が身についていれば、発想の枠の外にあるC案やD案に目を配ることも可能になる。


重要なのは良いプロダクトを作り、顧客満足度を高めることだ。そのためには人が必要。研究開発は妥協しないでやってきたし、これからもそうしていく。最終的には全ての国をまたいで取引できるようにしたい。そのために、日本を代表するテックカンパニーになっていきたい。


結局、ぱっと聞いて、誰もが何なのかわかるサービスでないと、一般の人に使ってもらえない。どんなサービスなのか、一言で言えるのがいいサービス。それはBtoBだろうがBtoCだろうが変わらない。


事業計画書をつくるうえで気をつけたことは、「わかりやすさ」です。私はこれまでも新しい事業をつくる過程で、多くの失敗を経験してきました。そこから学んだことは、わかりやすく伝えられることが重要だということです。


起業にしても、日本ではリスクを過大に捉えすぎだと思います。失敗しても、今や誰も責めません。私自身、スタートアップを支援していますが、投資家は失敗を「ナイスチャレンジ」と評価します。


日本は国内市場が大きく、外に出ていくモチベーションが湧きにくいのが問題だと思っています。ただ、世界の市場は日本と比べて桁違いに大きい。絶対に出ていくべきです。誰かが成功すれば「私もできるんじゃないか」と、後に続く人が増える。そういう流れを、メルカリで作りたい。


無理だと言われても、挑戦してみたら意外にできることもあります。世界で成功するコツをつかむまでは大変でしょうが、僕らは粘ってみせますよ。


きめ細かいサポートは、たしかにお金はかかります。でも、丁寧な対応をした結果、ファンがついてリピートしてくれたら、いずれ収益として返ってくる。


カスタマーサポートの質は、ブランドイメージを左右する。


上場がゴールとは思っていません。資金調達のいろんな選択肢の一つです。


とにかく世界を相手にできるサービスを作りたくて、写真共有サイトなど10以上のサービスを作りましたが、ほとんどうまくいかなかったですね。ただ、資金調達の環境がよかったり、作ったサービスを売却できたり、幸運が重なって何とか生き延びていました。


最近新設した会議室には「アインシュタイン」「ダーウィン」といった偉人の名前を付けています。社員が日常の中で彼らの偉業の数々に思いをはせ、イノベーションとは何か、といったことを少し考えてみる。そんなきっかけになればいいと思っています。


もし大胆な意見を尊重する文化が会社に根付いているならば、社内から「E案はどうか」「F案では駄目なのか」などと、次々に意見が出てくるはずです。発想の枠にとらわれることなく一手一手を選ばなければ、会社を成長させることはできないと思う。


バリュー(使命を実現するための行動規範)は、発想の「見えない枠」を取り払う魔法の言葉。


ミッション(使命)を実現するために必要なバリュー(行動規範)を採用から人事評価、社員の行動やマインドセット、経営陣の意思決定など、あらゆる企業活動を貫く幹に据えて、実践を徹底してきた。


創業間もない時期に決めた「ミッション」と「バリュー」をぶらさず保ち続けていることが、これまで成長の原動力になってきた。ミッションとは、経営陣と社員が共有する使命。この使命を実現するために必要な行動規範がバリュー。


そもそも起業して失敗して失うものは何か。インターネットビジネスの場合、大きな投資は不要なので、デメリットはせいぜい、起業家としてのプライドや名声を失うぐらい。大したことはないな、と思い至ったのを覚えています。それに、最終的に成功すれば、以前の失敗など誰も気にかけないはず。


「とにかく優れたサービスを作れば消費者がついてくるはず」と信じて、思いつくままにサービスを改善しましたが、消費者には全然響かない。そんな時期が何年も続きました。自分の中で風向きが変わったのは、モバイルゲームに進出した08年頃からです。世界を目指すという原点に立ち返り、どんなサービスなら世界に行けるかを考え抜きました。


海外展開する上で大切なのは、現地のマーケットをよく知るチームを作ること。


会社を立ち上げるときに重要なのは、とにかく優秀なエンジニアを集めて強いエンジニアリングチームを作るということ。シンプルですが、これが重要なポイント。スタートアップ企業を経営していた経験を通じて、「最強のエンジニアリングチームを中心にサービスの基本設計を決めていかなければ、いずれどこかで破綻する」ということを身にしみて感じた。


僕が「起業家として生きていこう」と覚悟できた最大の理由は、早い段階から成功している起業家が周囲にたくさんいたから。成功した起業家がごろごろいたので、自分も「会社に勤めていなくても生きていけるだろう。最悪、自宅でインターネットサービスを作っていけばいいじゃないか」と、自然な気持ちで起業しました。


旅行に出かけるなど普段と異なる環境に身を置けば、自分の考えを新たな視点で捉え直すきっかけにもなります。「良いアイデア」とは、意識して自分に刺激を与え、考えるきっかけをつくるための行動を組み合わせ、そして繰り返していく中で生まれるものではないでしょうか。


勉強にスポーツ、同級生はとにかく優秀なやつばかり。大企業に入って出世する、医者になって成功するといった未来は早々に諦めた。そして、自分なりの「山」を探し、そこで頂点に立つことにした。

【覚え書き|中学生時代を振り返って】


日本人も、すでに日常的にフェイスブックやGメールを使っています。それらを問題なく使っているのだから、日本のユーザーのために日本っぽくする必要はない。そこは間違えてはいけないと思います。


日本からだと、自分たちは世界に向けたつもりでも、どうしても日本っぽいサービスになってしまうんです。僕たちもアメリカに行ってはじめて、何がユニバーサルなサービスなのかがわかりました。たとえば、文字に頼った説明はダメですね。日本では商品にいろいろ注意書きがついているのが普通ですが、アメリカだと文字の説明がなくても一目で「これはやっちゃいけない」とわかるデザインにしないといけない。


海外展開をアメリカから始めたのは、アメリカが世界の縮図だからです。アメリカの多様な人種の中で受け入れられるサービスをつくれば、世界のどこででも通用します。実際、フェイスブックやグーグルなど、世界中で使われているインターネットサービスはほとんどアメリカ発。アメリカは市場の競争が激しく、人件費も高くて大変ですが、アメリカで成功しなければ世界はないと考えています。


半年強かけて20数カ国回りました。いま振り返ると、あのころ自分の世界観が確立した気がします。飛行機をなるべく使わずに電車やバスで移動していたのですが、自分の身体を使って移動していると、地域ごとの文化の違いだとか、豊かな国と貧しい国があることが肌感覚でつかめてきた。これはいま世界展開するうえで役に立っています。


「メルカリはサポートがいいよね」と思ってもらえたら、その後も使ってもらえる。社員は200人を超えましたが、半数以上がカスタマーサポート。そうした体制がユーザーの支持につながっているのかもしれません。


なぜ海外にこだわるのかといえば、マーケットが大きいからです。インターネットオークションの市場規模も、10倍くらい違う。可能性に投資をするのは、難易度は高いですが、成功したときのリターンが大きいという意味で、十分、勝負する価値があると思います。現在、日本、アメリカ、イギリスでサービスを提供していますが、世界中の国に進出し、最終的にはすべての国と国をまたいで使われるサービスにしていきたいですね。


私の事業計画書の特徴は、とにかく文字が大きいということかもしれません(笑)。私の場合、一枚当たりの文字量を減らして、余計なことは一切書かない。できる限りシンプルに見せることを心掛けています。なぜそうするのか。それは私自身があまり長大な資料を好まないからです。そのため、社内文書でもパワーポイントなどは使わずに、3行のテキストでまとめてほしいと言っています。


事業計画書はシンプルなものがいい。誰が見ても、確かにそうだと思えるものをつくればいいのです。たとえば、ウノウのときにつくった「まちつく!」であれば「街を育てていくケータイゲーム」みたいに、誰が聞いても、「あっ、なるほどね」と思えて、かつ「何か、ちょっと面白そうかも」というふうに思ってもらえるっていうところがないと、やはり使ってもらえないと思っています。


起業以来、世界的なマーケットを作るという大きなミッションを掲げて、社会の公器となるのを目指してきた。上場でその一歩を踏み出せたと思っている。色々な事業展開への準備を進める中、企業統治など(上場企業にふさわしい)体制が整ったのも上場の背景だ。初値は公開価格を大きく上回った。高い評価を頂いたと思う。身を引き締めて経営に当たりたい。


僕は普段から、起業家やCTO(最高技術責任者)などで「この人と一緒に仕事をしたい」と思える人たちとのリレーションを大事にしています。そして、誰かが今の会社を離れようとしていると聞きつければ、その人がどんな仕事をやりたいのか、じっくり聞き出すように心がけています。もし、その仕事がメルカリ社内で用意できるのであればそれを提示し、本人の希望に合致すれば入社してもらう、という形です。


誰かが本当に優れたソリューション(解決策)を生み出すことができれば、それだけであっという間に大きな経営課題を乗り越えてしまう。ITの世界では、そういったケースがよくあります。従って、社員に一番やりたい仕事を提供してモチベーションを高め、創造力を引き出せる環境作りができるかどうかが、成長していく上で非常に重要になってきます。


組織作りでお手本にしてきたのは米グーグルや、僕も日本法人の幹部を務めていた、かつての米ソーシャルゲーム大手ジンガです。特にジンガは非常に勢いのあった会社で、優秀な社員が多く集まっていました。その中で組織運営を経験できたことは大変勉強になりましたし、今でも参考になる部分は多々あります。


日常的にバリュー(使命を実現するための行動規範)を意識してもらうよう工夫しています。たとえば、本社オフィスの会議室を「BOLD(大胆な)」「PROFESSIONAL」「ALL」「FOR」「ONE」と名付けているのは、そうした工夫の一つです。「次はBOLDで会議です」などと、日常の会話の中で当社のバリューを自然に口にする状況を作り出したわけです。


バリュー(使命を実現するための行動規範)を作ることも、その中身も、決して斬新だと思ってはいません。経営者の価値観や行動様式を言語化して、社員に伝わるように行動規範として掲げる企業も珍しくありません。ただ、メルカリが他社と違うとすれば、それは経営陣と社員がバリューを共有し、実践している点でしょう。そのために、日常的にバリューを意識してもらうよう工夫してきたつもりです。


優れたエンジニアが社内にいることは、創業後の採用活動にもプラスに働きます。特にエンジニアには「優秀なあの人と一緒に仕事をしてみたい」という傾向が強い。優秀な人の周りには、やはり優秀な人が集まってくるものです。それに、社外からエンジニアを採用する際、優れたエンジニアに面接してもらえば実力を正確に判定しやすいという面もあります。


せっかくチームで知恵を出し合っているのですから、最終的に自分のアイデアが選ばれたとしても、それまでに様々な選択肢について議論を尽くすことが重要です。仮に自分が出したアイデアが失敗したら、すぐにそれを捨てて、他のメンバーのアイデアに切り替えればいいのです。ウノウ時代の様々な失敗が、今のメルカリの糧になっています。


僕自身も米国に乗り込んでいますが、採用やマーケティングに限界を感じていました。そんな中、ジョン(フェイスブック幹部ジョン・ラーゲリン)のことを思い出しました。彼は古い友人なのですが、現地で食事を何度かするうちに、「一緒にやろう」という話がまとまりました。ジョンが来たことで、採用が一番変わりましたね。彼はグーグルにも在籍していたことがあり、一流のIT企業から多くのエンジニアが彼を慕って入社してくれています。彼らのおかげで、サービスやマーケティングの質が徐々に高まっています。


海外事業は開発体制を含めた現地化に尽きるでしょう。フェイスブックやグーグルといった米IT大手は、米国から全世界にサービスを展開しています。僕らが米国に進出した3年前は、日本から米国向けのサービスを開発していました。しかし、それでは現地の声を全然吸い上げられないので、徐々に現地へエンジニアを赴任させるようになりました。現在はさらに踏み込んで現地採用を加速しています。


最初はどうやってサービスをブレークさせるか、考えあぐねていたという感じです。状況が変わり始めたのが08年ごろ、ゲームを手掛けてからです。これまで、世界で成功した日本発の会社はどこかと考えると、昔だったらソニーやトヨタ自動車などのメーカーですが、最近ではやはり任天堂をはじめとするゲーム会社でしょう。ならば、「ゲーム×モバイル」でやれば、うまくいくのではないかと考えたのです。


メルカリはインターネットを使ったCtoC取引に将来性を感じたからこそ始めたサービスですから、市場は大きくなると思っていました。ただ、事業の拡大とともに思い描いていた以上にサービスの広がりが出てきましたね。やればやるほど、「あ、こういうこともできるんだ」と、可能性が広がり続けています。CtoCという事業領域を選んだのは、ある意味、ラッキーでした。


経営のミーティングなど、自分自身で文書をつくる際には、たいていのグーグルドキュメントでつくっています。そこに議題や選択肢のメリット・デメリット、リコメンデーション(推薦)の度合いを書いておいてもらいます。リコメンデーションがAとなっていたら、進めていいと言うときもありますし、でもAでもこういうデメリットがあるよねという追加事項が出てきたら、デメリットの欄に書き足す。やはり、そうしたほうが、私にはわかりやすいですね。


事業計画書では論理構成はしっかりしていたほうがいい。メルカリの事業計画書では、サービスの「特徴」「経営陣」から始め、なぜそのサービスを始めるのかという「Why」、参入する市場が拡大する「理由」、競合の「状況」、新サービスの「内容」、その結果として目指すべき「世界」を説明しています。「競合の状況」については、アメリカのインターネットオークションサイトである「eBay」の流通額が月約6000億円、日本の「ヤフオク」の流通額が月約500億円ですよというのを1行書いただけでしたね。


メルカリに入社して何年かたち、その人が「そろそろ違う仕事がしたい」と思うようになったら、どうするか。新しい希望に合致した仕事もメルカリ社内で提供できるのであれば、ぜひ当社に残って活躍してもらいたい。でも、メルカリでは絶対に提供できないような仕事だったとすれば、無理に引き留めるのも酷だと思っています。今までの経験から言うと、社内にやりたい仕事がない人をあの手この手で囲い込んだとしても、長続きしません。


「コーポレートエンジニアリング」と呼ぶ全社的な取り組みも進めています。たとえば、社員のレポートラインや評価を一元管理できるシステムなどを今年1月から順次導入しました。複数のマネジャーが一人の社員を評価する仕組みを強化しました。さらに、チームの構成人数が増え過ぎたらチームを分けるようマネジャーに促す機能も追加する予定です。単なる人事管理というよりは、組織の状態を極力「見える化」して柔軟に変えていくための仕組みと言えます。日本国内だけでグループ社員が800人を超えた今、バリューの実践を徹底するにはこうした仕組みが必要です。


当社が初めてテレビCMを展開したのはフリマアプリを公開した翌年、2014年のことです。当時はまだ視聴者の大半がメルカリを知らず、売り上げも今に比べれば微々たるものでした。「そんな状況で大金を投じて効果が出なかったらどうするんだ」との心配の声もありました。ただ、僕は機を逃すべきではないと考えてテレビCMを投下しました。その結果、アプリのダウンロード件数が急増したのです。もちろん、どんなCMを流すかについてはかなりこだわり、失敗のリスクを極力減らしたつもりです。それでもやはり、テレビCMを打つのは大きな賭けでした。


米国事業の成長を加速させていくためには、マーケティングが非常に重要だと考えています。CMO(最高マーケティング責任者)はグーグルから招きました。エンジニア以外の陣容も強化しています。フリマアプリで後発だった当社が日本で急成長したのは大量のテレビ広告のおかげです。でも、米国は自動車社会なので、移動しながら聞けるラジオ広告の影響も大きいほか、SNS(交流サイト)の普及率も日本に比べて高いどんな打ち手に効果があるか、その国に詳しいチームが主体となり、試していくことが成長に欠かせません。


自分は「優れている」と思っていたアイデアが実際にはイマイチだった、というパターンも、往々にして起こり得ます。僕は起業家であると同時にエンジェル投資家でもあるので、他の起業家と接していて「自分のアイデアに固執し過ぎて、現実から目を背けているな」と感じるケースがあります。そんな時、相手には「数字がすべて。そこに正面から向き合わなければ前に進めないよ」と伝えるようにしています。起業家が自分のアイデアにこだわる気持ちはよく分かるのです。かつての僕も同じでしたから。


米アップルのスマートフォン「iPhone」は、「シンプルな一手」の好例です。iPhone以前の携帯電話機は、情報を表示する液晶画面と、文字を入力するためのボタン部分が独立して存在していました。一方、iPhoneは表面の大部分をタッチパネル式液晶画面とし、文字入力したい時に画面上にキーボードを表示させる方法で、大画面化と文字入力のしやすさを両立しました。そこにはやはり「複数の課題を一気に解決しよう」といった発想法が息づいていると感じています。


僕は、メルカリを「テックカンパニー」として成長させていきたいと考えています。日本にもヤフーや楽天などIT大手はありますが、テクノロジー企業のイメージは乏しいですよね。一方、米国ではグーグルが登場して以来、IT業界のエンジニアの働き方や組織の在り方がガラリと変わりました。そういう存在に、メルカリを成長させたい。メルカリで働くことを誰もが憧れ、新たなテクノロジーで消費者に驚きを与え続ける企業を目指したいですね。


日本でもフリマアプリには、ヤフー、楽天なども参入しているので、ライバルが多いのは日本と変わりません。ただ、米国勢が運用体制やカスタマーサポートなどを僕らほどうまく作り込めるというイメージは湧きませんね。米国勢が得意とする領域はメルカリとは違います。フェイスブックなら人と人のインタラクション、グーグルだったら検索をコアにしたアルゴリズムです。これまで日本や米国でCtoCのノウハウを培ってきた僕らに、一朝一夕に追い付けないでしょう。


メルカリより前にもCtoCのサービスはありました。ただ、パソコンなどのガジェットや本、女性のファッションなどの取引が中心で、僕はそれをオールジャンルでやれば、すごく大きなビジネスになると考えました。実際、次第にトイレットペーパーの芯を集めて出品する人や、子供が拾ったドングリを売る人なども出てきて、とんでもなく面白いことが起こりつつあると実感しました。その良さをできるだけ殺さないように、自由なプラットフォームとして運営してきたのが、すごく良かったところだと思っています。


これからメルカリのサービスは、テクノロジーで差別化を図っていく局面に来ています。その意味では今後、メルカリはテックカンパニーに転換していきたいと考えています。イメージとして目指しているのは、エンジニアの楽園とも言われるグーグルです。グーグルはエポックメーキングな会社であり、グーグルが登場する以前と以後では働き方も非常に変わったと思います。グーグルもフェイスブックも検索やSNSといった大きな市場で大きなビジネスをつくったからこそ、できたことだと思います。メルカリもCtoCという大きな市場で、マーケットプレイス的なビジネスを軸にこれから大きく成長していきたい。グーグルやフェイスブックのような会社になりたいと考えています。


私たちはシリコンバレー流の仕事を実践しています。たとえば、グーグルをはじめとしたグローバル企業が採用している目標管理手法OKRを導入し、ストックオプションなど会社の構造自体も日本企業というより、グローバルスタンダードに近いものを採用しています。そうしなければ、グローバルでよい人材を採ることができないからです。外国人エンジニアをどんどん採用すれば、コミュニケーションも自然と英語になります。もちろん日本人社員に対しては英語研修や通訳のサポートを行っていますが、社内での告知、ビジネスチャットの「スラック」ほか、全社会議の資料は今ではもうすべて英語と日本語が併記されています。


私は起業家ですが、一方でエンジェル投資家としての活動も2年前まで行っていました。エンジェル投資家として出資をするときは、ほとんど直感です。そのとき、決め手となるのは、事業計画書のプランを見るというよりは、やはり人です。私の場合はインサイト(洞察力)があるかどうかを見ます。私と違う新しくて深い考えをどれだけ持っているのか。そうした知識欲のある人は、常に新しい情報によって、自分自身もアップデートでき、起業家としても成功する可能性がある。私も国内外問わず、何か新しいサービスが出たときは、それがどれくらい伸びるのか、その後の動向も定期的にチェックしています。


どんな提案であれ、重視しているのは、プロコン(賛否)、つまり、メリットとデメリットを必ず併記することです。たとえば、A、Bの選択肢があったとき、Aのメリットとデメリット、Bのメリットとデメリットというように書く。Aならこういうプロセスになって、こんなことができる、と書くだけでは、デメリットがよくわかりません。細かい説明は要らないので、どんな案件でもメリットとデメリットを併記して、長くても10~20行くらいに整理してもらう。それを見れば決断できます。


メルカリはこれまで、非常に短期間で事業が拡大していったため、それを支える組織をどう作るかが大きな課題でした。一般の日本企業のように、普通の新卒採用や中途採用に頼っていては限界があります。スタートアップのスピード感で、プロダクト開発や事業を主体的に牽引していける人材が必要でした。スタートアップの起業経験者やプロダクト開発経験者を積極的に採用していったのは、そのためです。起業家は、会社経営を続けていれば何事も自由にできるわけですが、それよりもむしろチームで大きなプロダクトを作ることにモチベーションを感じる、という人もいます。実際、メルカリには、そうした元・起業家や元CTO(最高技術責任者)がたくさん入社しています。


メルカリでは、しっかり社員がバリュー(使命を実現するための行動規範)に従って行動するような仕組みも取り入れています。その一つが、新卒・中途入社の採用基準です。たとえば、あるエンジニアを採用しようとした場合「過去にどんな挑戦をしてきたか」を聞くようにしています。挑戦の結果が成功か失敗かは問題ではありません。「Go Bold」というバリューに沿っているかどうかがポイントです。もしそこが不足しているのであれば、たとえ高度な専門スキルを持つ「Be Professional」な人材であっても、採用しないかもしれません。人事評価も同様。社員をマネジャーに登用する際も、バリューに基づいて推薦する仕組みになっています。基本的には企業活動のすべての要素がバリューにひも付いているわけです。


僕は、何もない状態からいきなりアイデアを生み出せるような、クリエーティブな人間ではありません。自分では、周囲から様々な刺激を受けながらアイデアを具体化していくタイプだと感じています。日ごろから食事中や移動中など隙間時間を見つけては、本を読んだりネットの情報に触れたりしながら、「このニュースが話題になった背景は何だろう」「この会社の取り組みは当社にもできるだろうか」などと考えてみるようにしています。加えて、色々な人に会って話をすることでも新たな刺激を受けています。


就職活動を通じて「これからどのように生き、稼いでいくか」と思い悩んだ末に、起業への思いが強まっていった。大企業や官庁に勤めたり、研究職に就いたりすると、自分より優秀な人たちと競い合うことになります。それはかなり大変なことで、自分は落ちこぼれてしまう。可能性があるのではないかと思いました。大企業などの「大きな山」の頂上を目指さずとも、自分自身でビジネスを作る「小さな山」に登って、自分の陣地にする生き方も、なかなかいいんじゃないかと思えたのです。僕は、消去法とも言えるような感覚でスタートアップの世界に飛び込んだのですが、飛び込んでみて、心底、この世界は面白いですよ。


忙し過ぎると、目の前に流れてくる情報をただ処理するだけの「リアクション型」の発想にとらわれやすくなる。たとえばミーティングをしていて、アジェンダ(会議案内)に沿って「この件はA案ですね」「こちらの件はB案でいきましょう」と決めていくうちに、いつのまにか終了時間を迎えている、といったことが以前はよくありました。もしかしたら、そのアジェンダには載っていない別のアイデアを考え出して検討すべきかもしれない。議論の前提条件から見直したほうがよいケースもあるはず。でも仕事のスケジュールが立て込んで忙しくしていると、ついリアクション型になってしまう。なるべく予定を詰め込み過ぎないよう、何とか時間をやりくりしています。


山田進太郎の経歴・略歴

山田進太郎、やまだ・しんたろう。日本の経営者。「メルカリ」会長CEO(最高経営責任者)。愛知県出身。早稲田大学教育学部卒業。大学生時代に楽天オークション立ち上げに参加。ウノウを設立。映画情報サイト「映画生活」、写真共有サービス「フォト蔵」を立ち上げる。ウノウをジンガに売却。世界一周旅行などを経てコウゾウ(のちのメルカリ)を創業。