名言DB

9,553 人 / 112,978 名言

小泉文明の名言

Facebookボタン  Twitterボタン  はてなブックマークボタン  新着 名言

小泉文明のプロフィール

小泉文明、こいずみ・ふみあき。日本の経営者。「メルカリ」社長COO(最高執行責任者)。山形県出身。早稲田大学商学部卒業後、大和証券勤務、ミクシィ執行役員CFO(最高財務責任者)、メルカリ取締役などを経て社長に就任。

小泉文明の名言 一覧

神頼みの博打は「やれることを、これでもかとばかりに、徹底的にやり倒した人」だけが許される。「神様は絶対に『そこまでやっているのなら、成功させてあげよう』と思ってくれる」。そのくらいの自信が必要。


マネジメントで成功している人とそうでない人の差は「誠実に本音でぶつかっているかどうか」で決まり、厳しい内容を伝える時にそれが如実にわかる気がしています。


否定的な言葉をのみ込むとともに、「なぜ彼らはそう考えるのだろうか」とその背景を探るようにもしています。価値観が生まれた裏側にあるストーリーを考えると、仮説であっても腑に落ちやすくなり、否定せずに素直に耳を傾けられます。


物事を多角的に捉えて最終的に1つの意思決定を下すうえで、自分が持っていない価値観や文脈を知ることは重要です。否定的な言葉を投げたら、相手はきっと口を閉ざしてしまい、私はせっかくのチャンスを逃してしまうでしょう。


仕事がデキる人は自分に制限を設けずに、積極的にどんどん進んでいく。お客様への提案で勝つ内容と負ける内容の差は、それほどないケースがほとんど。ただ、勝つ提案は、担当者が徹底的に頑張っている。自分や周囲に上手に負荷をかけて、「ほんの少しの差」を生み出しているのだと思います。


失敗が怖いからがむしゃらに働きましたが、実際に失敗して本当の怖さを痛感しました。「こんな失敗は二度としたくない」。その思いが「仕事は常に全力で取り組む」という今の姿勢を根底で支えているし、「自分は気が緩んでいないか?」との戒めにもなっています。


弱音を吐いても仕方ない。現実は変えられないのですから。


これまで何百人ものビジネスパーソンとやり取りしてきましたが、ほとんどの人が目標を現実的なレベルに落ち着かせる傾向にありました。そのやり方で大きな成果を得て、本当に成長できるでしょうか。答えは言うまでもありません。


たえず変化するビジネスでは「100点満点」という発想は存在しないはず。ビジネスで生き残れる条件は、「いつも可変であること」。常に最適に変化できる態勢の方が、結果的にゴールに早く近づける。


会議中に生じる意見の対立はリスクとリターンの2つの視点のぶつかり合いで、議論の対象を多面的に捉えられる絶好のチャンス。「抵抗勢力」はいる方が健全で、むしろマストな存在だと思っています。


往生際の悪さを持つ経営者は、IT業界で顕著かもしれません。世間が「このサービスはどう捉えても失敗だろう」と見なしていても、当の本人はいまだに失敗と思っていない(笑)。でもその姿勢が、後の成功を呼び込むのだと思います。


「より良いものに変える勇気を持つ大胆さ」を。状況は目まぐるしく変わり、1日として同じ日はありません。成功しているやり方でも、「よりベターなやり方」になるよう常に考えるべきでしょう。


大胆にやった結果の失敗は、会社としてウエルカム。きっと学びがあるはず。


「社長」という肩書ありきでの仕事はしません。責任やリスクを取れる範囲は広がりますが、意思決定では事業メンバーと同じく、当事者意識を持って判断するようにしています。「社長だから」と、状況を詳細に把握する努力を放棄することは許されない。


仕事を他人事にする人は、組織の力を弱めます。メルカリが掲げているバリュー(価値観、行動規範)の1つである「All for One(全ては成功のために)」には、「皆が仕事を「自分事」にしよう」という思いも込めています。難しい課題を成し遂げていくためには、欠かせない意識です。


情報は意識一つで、活用できるかどうかが決まります。時代の流れや新しい動きにキャッチアップしたり、大胆に意思決定をしたりするためには、様々な情報のインプットが重要。だから私はなるべくいろいろなメディアに触れるようにしています。


デジタルメディアで気になった情報はその記事のURLをエバーノートに貼って、帰宅後にすべて読むことを日課にしています。情報の鮮度は時間とともに落ちるから、その日中に読んで自分の中で消化したい。


現在、社員のバリュー(重視する価値観・行動様式)実践度はかなり高いと思っています。ただ、手を緩めた途端に下がるでしょうから油断は禁物。


チームワークを非常に重視します。最高のプロダクトを作り、非常に困難なミッションを達成するには、メンバーの力を集結する精神が欠かせない。


「仕事のプロフェッショナル性」は、現場の人の方が経営陣より絶対に高い。だから事業の成功には、現場を担う担当者のモチベートが重要です。もちろん、メルカリで大事にしているバリューへのコミットも、社員の皆のモチベーションが影響します。


いつも強く意識しているのは、「どう考えても無理そうな高めの理想を目標として掲げる」こと。期待値の低さは、理想の高さの裏返しなのです。私はこれまで、自分の能力や状況、与えられたリソースはいったん頭の中から取り除いて、「高めの理想」を描いてきました。


「死ぬ気で細部まで手を抜かずに仕事をすれば、仮にミスしてもお客様はおまえを守ってくれる」という先輩の言葉通り、クライアントの「大丈夫」という言葉に、本当に救われました。「社内の評価はどうでもいい。お客様のためだけに仕事しよう」という気持ちに完全に切り替わった瞬間です。


現在の当社には20か国超の社員が働いていて、多国籍化はさらに進んでいくでしょう。異なる価値観や文化を持つ人たちと組んで高いパフォーマンスを出すためにも、コミュニケーションスキルを磨き続けることが重要だと思っています。


強みが同じメンバーだけを揃えてしまうのもリスクです。状況が変わってその強みを生かせなくなったら、前進は困難。人は油断すると、居心地の良さを求めて「自分と同質な人材」を集めがちなので、その意味でもこれからの時代は「多様性」が本当に求められるのだと思います。


かつてのトップはチームの方向性を示してメンバーのお尻を叩くスタイルでしたが、現代では通用しにくい。状況の変化は早く、その都度トップの判断を待っていては取り残されるだけですから。トップは日頃からメンバーの個性を見極め、モチベーションを上げ、サポーとしていく必要がある。


ビジネスにおいて、相手に伝える言葉はとても大事な役割を果たします。言い方1つで相手のモチベーションを上げることができる一方、大きな誤解を招いてしまうこともある。自分の意図を正確に伝えるには、普段から継続してアウトプットする習慣が求められるはずです。


社内で上がってくる大量の日報は、なるべく1~2文で簡潔にフィードバックするようにしています。がっつりアウトプットしようとすると時間や労力がかかり、レスポンスが遅れてしまうからです。コンパクトに本質を突くことを絶えず意識すれば、「クイックアウトプット」は十分可能です。


「大胆に物事を進めること」は、「博打のようにエイヤでやること」とは違います。いつも意識しているのは不可逆性で、戻せるものについては、どんどん権限も委譲してしまいます。戻せないものについても、臆することは決してしない。入念に「最大限の準備」をして、失敗のリスクを減らすようにしています。


私自身も取材で失敗についてよく聞かれるのですが、ほとんど覚えていません。社会人1年目にある経営者から教わった「成功するまでやり続けるだけ」という秘訣を信じていますから。「失敗」というラベリングをする必要はなくて、次に生かせばいいのです。


口で言うのは簡単ですが、実際に「大胆にやる」のは非常に難しく、うまくいっている時はなおさらリスクを取らない傾向が強まります。どんな優秀な社員にも必ず「現状維持バイアス」がかかるので、現場で躊躇するシーンを見たら、基本的に皆の背中を押すようにしています。これも経営陣が果たすべき大事な役割です。


私たち経営陣は年に1回バリュー(重視する価値観・行動様式)を再検討してきました。「会社の存在理由であるミッションは不変。しかし、バリューは事業の状況次第で、より良いものに進化させていくべき」と考えているからです。


「会社を永続的に成長させるにはどうすればいいか」と考え尽くして、1つの結論にたどり着きました。それは、「会社は何のために存在するのか。そのためにどんな行動を取るべきか」を定め、社員全員に共感・納得してもらうこと。


世界では、激しい競争が起きています。売り買いの場を提供する「マーケットプレイス」事業は参加者数がサービスの価値を決め、2位以下は生き残れない勝者総取り。果敢にリスクテークして攻める姿勢は、勝つための絶対条件。


理想に到達するために、「何が足りないか」を徹底的に因数分解して見える化する。「自分ができること」と「自分ではできないこと」の区別が明確になり、自分ができないことは「誰ならできるか」「できる人がいないなら、どうすればいいか」と頭を働かせられます。このプロセスを絶えず繰り返して、私はメルカリを育てているのです。


目標を「やめる」という選択も私はアリだと思います。逆説的ですが、1~2か月で「やめよう」「やめたい」と思うのであれば、しょせん、その程度の目標だったということでしょう。本当にやらなければならない目標の場合、人は必死になってやるはずですから。最後までやり通せなかったことではなく、「目標設定をミスった」ことが最も反省すべき点ですね。


リーダーのポジションを任されたとき、「メンバーの手前、何でもできるようにならなきゃ」と意気込むのは避けた方がいい。私自身もそうですが人間は自分に甘いので、「弱い自分を理解してあげること」が、まず大切ではないでしょうか。できないものはできないのだから、それをなるべくオープンにした方がよほど健全。もしも自分とは違って得意にするメンバーがいたら、任せてしまうのも手です。


「不得手なことの克服は目標に設定しない」のも、目標達成のコツです。苦手なことや嫌いなことで負荷がかかると、人は長続きはしません。きっと誰もが分かっているはずです(笑)。そもそも、自分の弱点に負荷をかけても、「強み」の範疇まで伸ばすのは難しい、歯を食いしばって頑張ったのに、たいがいはせいぜい「普通」止まり。骨折り損のくたびれもうけでしょう。


プライベートで「ジョギングを毎日の日課にする」と目標を立てたのに、できたりできなかったりする日が続いたとします。でも、「2~3日に1回はジョギングできているのだから、よしとしよう」と自分を責めない。走っていれば体重は少しずつ減るし、習慣化してくるはず。そのうち走ることに対してポジティブになると思うのです。


共感ポイント探しも重要。相手の中に、共感できる部分を積極的に探すのです。仮に、相手にはその人を「特徴づける考え方や働く姿勢」が5つあるとします。そのうち2、3に共感できれば一緒に仕事をしたいとなるもの。だから、相手の中に自分が共感できる点を探す姿勢に徹するのです。全部に共感できる必要はないと考えるのがポイントです。同じタイプの人間との仕事は心地よいですが、得られるものは少ないですから。


当社は社員全体の平均年齢も、30.3歳とまだ若い。40代が迫ってきた私は、彼らを「頭ごなしに否定しない」という点に気をつけています。若い社員が尖った意見を言うと、つい「それは違うのでは?」と否定したくなる衝動に駆られますが(笑)、出かかった言葉を1回のみ込む。そこには自分が気づいていない価値観や文脈があるかもしれないからです。


私は仕事のチームを作る時、「各メンバーの一番の強みの合計値の最大化」を重視します。世界を視野に入れた大きなイノベーションを起こすには、強みを前面に押し出すしかないと思っているからです。どの能力も平均点の人が集まるよりも、ほかは駄目だけど1つだけ100点の能力を持つ人たちが強みを発揮できるチームの方が、戦い方が増えて成果につながりやすい。


ビジネスでも博打に近いトライは少なくない。当然、ビジネスでは博打を博打で終わらせてはいけない。そうした大博打を打つ時ほど、最大限の準備をすべきです。そうすれば、博打の成功率は上げられる。最悪、「大成功」とは言えないまでも「7割」は達成できるもの。少なくとも、失敗して大やけどにはならない。


昔は会社が「主」で、社員は「従」という主従関係が成立していました。でも現代では会社と社員はパートナーで、どちらかが主ではない。上下関係ではなく、「横の関係」なのです。「社員には転職する自由があり、会社は選ばれる立場にある」という意識を常に持っておかないといけません。


ベンチャー企業は人材移動が活発というイメージがありますが、当社は社員に「何十年も働きたい」と思ってもらえる会社にしたい。産休・育休中の給与を100%保証する人事制度の導入はその表れで、職場復帰後に20年、30年と働いてもらうのだから、自然な判断だと思っています。


メディアはもっぱらデジタルで、とにかくえり好みをしない。私と同じ30代後半の人が使うメディアだけを見ていたら、どうしてもインプットできる情報に偏りが出てきます。それを防ぐために、10代、20代のトレンド情報を意識的に得るようにしているのです。つい先日も、インスタグラムのインフルエンサーランキングで上位に挙がる人を数十人フォローしました(笑)。


役立っているのが、「Slack(メッセージアプリ)」です。チャンネルのほとんどを社内でオープンにしているので、経営陣は現場で下される意思決定を把握できる。そして現場も経営陣が持つ情報にほとんどコンタクトできるので、オープンな場で大胆に経営判断していくことになる。情報の透明性が、会社全体を大胆な方向に導くのに一役買っているのです。


新卒・中途入社の採用基準にもバリュー(重視する価値観・行動様式)を組み込んでいて、応募者の方に担当者は3つの軸で評価をつけます。つまり、バリューに共感していない人はそもそも入社しないし、できない仕組みです。社員には、これまでバリューを信じて行動に移してきたら、会社として大きな成果を出してきたという自負があります。一人ひとりのマインドが、「これからもバリューを信じ続けよう」とポジティブである点も特徴です。


全社員が共有する価値観や行動様式を掲げる会社は珍しくありませんし、当社のバリュー(重視する価値観・行動様式)が斬新とも思っていません。他社と大きな違いがあるとすれば、バリューの実践を徹底し、決して有名無実な標語にしていない点ではないでしょうか。バリューを3つに絞った理由も、社員の皆にスッと覚えてもらうためですから。


まず、期待値はあえて低く設定しましょう。「絶対できる」と過度な期待を持つと、うまくいかなかった場合はおろか、まだ道半ばの踏ん張り時に動揺したり、心が折れたりする。完璧主義にこだわったばかりに「計画通りにいかなかった。ショックだ……」と落ち込むくらいなら、「駄目で元々。うまくいったら儲けもの」というスタンスで、無理をしすぎない方が目標達成の近道である可能性は高いのです。


20代の若いお客様や社員を見ていて、この世代は現状をニュートラルに直視すると感じています。たとえばかつての「おしゃれ」は、「最新トレンドを取り入れること」でした。メディアが「今年のトレンド色はイエロー」と言い出したら、一斉に黄色の服がはやった。「全員がトレンドを追うことがおしゃれ」という感覚ですが、現代の若い世代は「皆と同じってダサい」「自己表現した方がおしゃれ」と主張するのです。


当事者意識の強さは、先天的なものではなく、経営陣の努力で変えられます。有効なのが「情報の透明化」。当社は個々人の給与額のようなごくわずかな例外を除いて、すべての情報をビジネスチャット「Slack」でオープンにしています。現場の皆が持っている情報と、経営の意思決定をしている私の情報とは、ほとんど同じです。対象についてよく知っているほど、人は「自分が関わっている」気持ちになれる。そのため、最近、「社内パネルディスカッション」も始めました。経営陣が毎回設定するテーマごとに、何を考えているかを社員の前で包み隠さずに話すのです。リーダーが思いを定期的に伝えれば、その下のメンバーは「自分の会社はこういうステージにいるんだな」と理解しやすいですよね。


私は昔から「責任感は当事者意識から生まれる」と考えていて、過去には今思い出しても腹が立つ出来事があります。サラリーマン時代、ある先輩に「それは別の部署の仕事だからやらなくていい」と言われました。私はその言葉に力チンときて、入社1年目にもかかわらず、「何を言っているんですか!」と怒りをあらわにすることを抑えられませんでした。自分のクライアントに対して最後まで責任を果たすべきなのに、ほかの部署に投げっぱなしにする。そうした「我関せず」を表したかのような態度は、今も昔も許せません。


多様な価値観は大賛成ですが、働き方改革でよく話題に出る「在宅勤務」は、現在のところ当社では導入はしていません。会社はミッションを達成して利益を出し、事業を継続させるための集団です。そして当社は「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」という達成が困難なミッションを掲げています。現在は文字通り顔を突き合わせてこのハードルに向かっていくべきで、そのためには同じ「空気」の中で仕事に取り組むのがベスト。不測の時のために在宅勤務の仕組みは整えていますが、今は勝つために同じオフィスで働くことが重要と判断しています。


特に記憶に残っているのは、新卒で入社した会社でかなり大きな案件にアサインされた時の出来事です。ある人から、「おめでとう、出世コースに乗ったね」と言われたんですよ。昭和的価値観では「出世することが唯一無二でベスト」なのでしょう。当然、私自身も評価してもらえたことはうれしかった。けれど任された仕事は自分じゃなくてもできるなという思いもあり、全体としてはさほどうれしくはなかったのです。昭和的価値観に照らせば、私はすごくおかしな奴ですよね(笑)。もちろん、出世を目指すことを否定するつもりはありません。ただ、出世は「目的」ではないのです、自分としては。その後、転職してインターネット業界に入っていったのは、画一的な価値観が支配する環境で働き続けるのは違うなと改めて思ったから。「出世コースに乗ったね」という言葉は大企業を卒業しようとしたきっかけのようなものです。


「とりあえず、全員参加で開かれた会議」は、全く意味がない。情報共有のためだけに時間をかけ、何も発言せずにただ参加しているだけの出席者が多い会議はムダ。大事なのは活発な議論です。当社は、参加者が10人以上で情報共有が前提になっている会議を廃止しました。様々な意見を徹底的に戦わせているかどうかがポイントで、経営会議も激しい言い合いです。外から見たら、ケンカしているように思われるかもしれません。でも議論を尽くしますから、会議室を出た瞬間に合意内容の実現に向かって全員が手を取り合っていける。「あの意思決定、実は納得してなくてさ……」といった不満を漏らすメンバーはいない。


「横並びがベスト。決められた枠からはみ出さない」。こうした考えが、いわゆる昭和の価値観です。高い経済成長率の下、戦後長らく続いた大量生産・大量消費の時代では、商品やサービスのパッケージ化が重要でした。私見ですが、すべてを同じフォーマットにはめるやり方は、働き方や年功序列、終身雇用といった人事制度でも有効で、昭和は全員が同じ価値観を持つことが最も合理的だった時代だと思っています。その結果、効率的に皆が豊かになれたのです。ただ昭和的価値観は、競争の激しい現代では「ムダを生みやすい」側面が浮かびます。


アウトプットが苦手な人もいるでしょう。私も20代はそうでした。そこで当時始めた解決法が、ブログの活用です。毎朝多い時で10紙以上の新聞や経済誌に目を通し、感じたことや「記事の内容を踏まえると、社会は将来こうなる」という仮説を、毎週末に自分でメモにまとめてアップ。自分の頭で考えていることはそのままで終わらせず、「言葉」に落とし込む作業が肝心だと思っています。


情報のアウトプットも漫然とはやりません。SNSのメッセージは幅広い人に読んでもらえるよう、投稿時間を意識しています。みんなが忙しい時間帯に投稿しても読まれず、徒労に終わりますから。「1日で最も反応が得られる時間帯」については、自分なりの勝ちパターンがあります。ネット業界の知り合いは自宅や会食場所への移動が19時から19時半になることが多く、その間にSNSをチェックする傾向にある。この時間帯を狙うと効率的です。


リアルのコミュニケーションから得る情報も欠かせません。特に異業種の人とは積極的に交流するようにしています。最近では、プロアスリートや監督経験者、ファッション関係者などでしょうか。例えばサッカーの日本代表選手が試合の流れをコントロールする時の考えは、企業のマネジメントに通じる部分があって参考になります。大企業の経営者と直接お会いする場も、発見が多い。対面だからこそお話しいただける「意思決定の裏にあった思考プロセス」は、私にとって貴重な情報です。


情報源の多様性にこだわる姿勢は、メディア以外でも同じです。仕事を通じて多くの人のライフスタイルにインパクトを与えたいので、休日を郊外のショッピングモールで過ごすような「一般的な日本人」が何を楽しみ、何に不満を感じているのかに注意深く関心を向けるようにしています。当社がオフィスを構える「東京都港区」で生活している人を見ても、あまり意味はない。日本全体では極めてレアな存在ですから。実際、私はよく郊外へ足を運んで人間観察をしています。「自分とは違う様々な属性の人の感覚についていけるようでないとマズイ」という危機意識はいつも持っています。


メールはその日中の処理が基本です。これは昔からの習慣で、仕事のTODOをメールで自分宛に送る仕事のやり方が影響しているかもしれません。処理が終わったメールは受信ボックスから移すのですが、1日の終わりに空っぽになっていないと、とにかく気が済まない(笑)。1通でも残っていると、「やり残しがある」と感じて気持ち悪いのです。パソコンでしかメールをやり取りできなかった若い頃は、受信ボックスが空になるまで家には帰りたくなかったですね。


社会人1年目の頃、クライアント向けの提案書を無難にまとめると、指導役だった先輩チューターによく叱られました。そうした経験からまだ世に出て間もないブログを始めて、自分の考えを整理したり、言葉に落とし込んだりする練習をするように。今思えばよい経験でした。私がアウトプットを苦に思わないのは、この練習が糧になっているからでしょう。


何かに挑戦する時、最大限の準備をし尽くして「100%成功する」と思って実行しているのは確かです。しかし、同時に心のどこかで「失敗するだろうな」とも思っています。矛盾していますし、先頭に立って社員を引っ張る立場の私が言ってはいけないことも重々承知しています。でも、それくらい「ビジネスで当てる、成功させる」ことは難しい。失敗を恐れると、自然と萎縮してしまう。「どうせ失敗する」と健全に開き直ったうえで、やるべきこと、やれることをすべてやり切ってみる。この姿勢を意識すれば、目の前の仕事に対して、思う存分、大胆に取り組めると思います。


ビジネスに「絶対」はなく、失敗は避けられません。失敗した時に大事なのが、「とにかく手数を打つこと」です。失敗すると、たいていの人は次の失敗を恐れて手数を打てなくなる。それどころか、ひとつひとつのインパクトも弱くなっていきます。でもそれが最悪でして、当初は非常にエッジが立った一手だったはずなのに、どんどん角が取れて丸くなってしまう。可もなく不可もない凡庸な一手に価値はない。そもそも何かの問題があって解決するために手を打っているのですから、厳しい言い方をすれば、「問題から逃げている」のと同義です。そんな調子では、いつまで経っても問題を解決してビジネスを成功させることはできません。失敗を恐れないで、絶えず次の一手にトライする姿勢が重要です。


フリマアプリ「メルカリ」を40~50代の方にも使ってもらいたいと考え、ある地域限定で新聞の折り込みチラシを使って宣伝したことがあります。私たちの期待に反して、当時のチラシの効果はゼロ。果敢にリスクテークして攻め続ければ、おのずと「失敗」がついて回ります。折り込みチラシも、単体で見れば間違いなく大失敗ですよ。でも正直に言えば、私自身は失敗だったと思っていません。「テレビCM、ラジオ広告、ネットと様々な宣伝手段がある中、折り込みチラシは効果が見込めない」と学べましたから。「取るべき選択肢を1つ減らせたから、成功確率が上がった」と考えるわけです。言葉を変えれば、「成功へのプロセスを着実に踏んでいる」とも言えます。実際、このチラシの経験は、年代的に親和性が高い歌手のブラザートムさんをお父さん役として起用したテレビCMの制作につながっています。放映後、40~50代へのアプローチは成果を収めました。


大和証券SMBC時代、IT企業のIPOを担当しました。「新規上場」という難度の高い山を、経営陣と二人三脚で登る。こんなハードな業務を3年間担当しました。相手は経営のプロですが、lPOではこちらがアドバイザリー業務を果たす必要がありますから、プレッシャーはとてつもなかった。当時は本当につらかったですね……。そうした過酷な時期に、2つの素晴らしい言葉に励まされました。1つは直属の上司がかけてくれた「死ぬ気で細部まで手を抜かずに仕事をすれば、仮にミスしてもお客さんはおまえを守ってくれる」という言葉。もう1つは、ある経営者が教えてくれた「実現するまでやるだけ。難しくはない」という成功の秘訣です。これが自分の大事な職業倫理観になっています。


早稲田大学ではテニスサークルの代表を務めて250人以上を束ねていました。サークルですから参加は自由。でも運営する私はメンバーに参加して欲しいから、あの手この手で活動を呼びかけるわけです。「どうすれば組織の皆がハッピーになったり、モチベーションが上がったりするか」を肌で学びました。「相手にどんなメッセージを伝えて、モチベートするか」という引き出しは、ひょっとすると一般的な経営者より多く持っているかもしれません。こうしたマネジメント経験は、今に生きています。


社員に「バリュー(重視する価値観・行動様式)実践」を意識づける土台作りとして、ミーティングや「Slack(メッセージアプリ)」で、「それはもっとGo Boldに考えた方がいいのでは?」などと、意識的にバリューを使うようにしています。「Go Bold」とプリントしたTシャツやシールなどのグッズを作って社員に配ったり、会議室に「Bold」などと名前をつけたりして、「見える化」しています。皆がバリューを自然と口にするよう、とにかくしつこく刷り込んでいるわけです(笑)。そして、バリューを実践できているもっと本質的な理由は、「人事評価の基準」にバリューを組み込んでいることです。どのように働けば会社は評価するのかを、社員の皆に明快に示しています。


決して自分から逃げてはいけません。人に注意する行為は自分にもかなりのストレスがかかる。その後の関係も頭によぎるから、言葉尻や言い方をマイルドにしがちです。本当は100の厳しいことを言うべきなのに、嫌われたくないあまりに70~80に抑えてしまった経験がある人は結構いるでしょう。私も部下に降格を伝えないといけない時がありました。しかも部下は年上で、心理的には結構厳しい状況です。でも逃げるのは駄目だと思ったから、口頭から手紙へとアプローチを変更。対面で躊躇して70しか伝えられない恐れがあるのなら、手紙で100伝えた方がいいと思ったのです。降格の理由や今後望んでいる仕事に対する姿勢などを、時間をかけて言葉に落とし込んで手紙にしたためました。結果は、相手も「こんなに真剣なフィードバックを受けたのは初めてで、とてもありがたい」と真摯に受け止めてくれました。


小泉文明の経歴・略歴

小泉文明、こいずみ・ふみあき。日本の経営者。「メルカリ」社長COO(最高執行責任者)。山形県出身。早稲田大学商学部卒業後、大和証券勤務、ミクシィ執行役員CFO(最高財務責任者)、メルカリ取締役などを経て社長に就任。