小山昇の名言

小山昇のプロフィール

小山昇、こやま・のぼる。日本の経営者。株式会社武蔵野の社長。山梨県出身。東京経済大学卒業後、ダスキンの加盟店を中核とした日本サービス・マーチャンダイザー株式会社(のちの武蔵野)に入社。その後、独立し貸しおしぼりのベリーを創業後、再び同社に戻り社長に就任。赤字続きの同社を改革し高収益を叩きだした。その他ダスキン本社の顧問などを務めた。ユニークな経営手法で知られ、自身の体験談をもとにしたビジネス書の執筆し、講演会を各地で開いている。主な著書に『仕事ができる人の心得』『儲かる仕組みをつくりなさい』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『社長! 儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!』など。

小山昇の名言 一覧

市場に聞いた結果、まったく売れずに失敗することもあるでしょう。でも、失敗したら軌道修正すればいいじゃないですか。いち早く失敗すれば、やり直しにも早く取り掛かれます。

一発で成功させようとするのが間違いです。パチンコや麻雀を100回やって100回勝つ人はいません。ましてやビジネスで失敗するのはあたりまえ。どんな名経営者だって判断ミスはします。最初からトライ&エラーを前提にして、そのサイクルを早く回した人が最終的にもつとも早くゴールに到達するのです。

仕事の管理で大切なのは、仕事を始める時間と終らせる時間とを決めることです。多くの人は仕事を始める時間は決めますが、終わりの時間は決めません。だからダラダラと仕事を引きずってしまい、質も上がらないのです。よく、忙しい人ほど仕事が早いと言われます。それは、終わりの時間に次の新しい仕事があるからです。

ビジネスで大事なのは、結果です。だから、結果が出ることだけをやる。自社で結果が出ていることを横展開する。結果が出ないことはやらない。

たとえ万の学びを重ねても、実行されなければ何の結果も生まない。学ぶことが目的ではない、実践が目的。ここを取り違えないこと。

何も最初から最高のものを目指す必要などありません。とにかく結果の出そうなものに早く取り組むことです。うまくいかなければ、その都度やり方を変えればいい。

みんなが知らない情報にこそ価値がある。日経新聞だけ読んでも他の人と同じ情報しか手に入りませんよ。

リスクを避けることが大事だと思っている人は成功できない。世の中にノーリスクのものはない。何にでもリスクはあるのだから、それを気にしていたら一歩も動けなくなる。

「失敗してはいけない」という思考から見直したほうがいい。体験は財産。失敗も立派な体験の一つ。むしろ失敗を重ねて体験を期やしたほうが成長できる。

失敗する可能性があっても、リスクを取って前に踏み出すからこそリターンがある。仮に失敗しても、すぐ軌道修正すればいい。失敗してすぐ取り返せるから心配する必要はない。

まだみんなが竹槍で戦っているときに、いち早く飛行機を手に入れて空から攻撃すれば簡単に勝てる。IT化というのは空中戦ができるようにするための道具。

今までのやり方でダメだったのなら、さっさとそのやり方を捨てて、違う方法を試してみるべき。

目標は高すぎるとやる気が起きませんし、低すぎると努力をしなくなる。少し背伸びすれば手の届く目標が最適。

人の成長はすべて模倣から始まるもの。模倣のあとに、自分ならではの強みが見つかる。

達成感や成功体験を得られれば自信がつくもの。少しずつ自信を積み重ねれば、少々の逆境にもへこたれない心が育つ。

一時期、巨人軍は強打者をたくさん集めたのに結果を残せませんでした。会社も同じで、優秀な人ばかりを集めても業績が良くなるわけではない。

具体的に、何がどういけなかったのかを考えることも、メンタルを傷つけないために重要。

「リスク」は反対から読むと「クスリ」。薬は効き目が強いほど、副作用も強い。みんな副作用の恐れがあっても、元気になりたいから薬を飲む。仕事や人生も同じ。

会議は数字の報告にほとんどの時間が費やされます。このスタイルで会議をやるのは、数字はそれだけで言葉だからです。

いくら考えても、勉強しても会社は変わらない。実行しないとダメ。

社長の言ったことを「イヤイヤながらでもやり続ける会社」と「結局やらない会社」の差は大きい。経営の差、ひいては売上や業績の差につながるんです。

経営というのは、幹部をはじめとした全社員が社長の言ったことをきちんとやることだ。社長は絶対だ。

本もセミナーもそうだけど、社長一人で勉強していてはダメなんです。同じ本を読んで、同じセミナーに参加する。社長と社員が学びを共有するからこそ、同じ方向を向いて仕事ができるのです。

多くの人が勘違いしているのは、スピードの概念。スピードとは、瞬間的に「速く」動くことだと思っている人が多いけど、本当に大事なのは「早く始める」こと。そのほうが仕事は早く片づく。

コミュニケーションは時間の長さより回数で決まる。相手と1時間じっくり話すより、10分ずつ6回話した方が親密になれる。

お金を使うべきは「体験」。仮に身一つで逃げないといけない時、物は持っていけない。だけど、体験は持ち運べる。本当の意味で財産だ。

脳は習慣次第で変わる。皆と同じことをしていたら、脳はずっと三流のまま。私は常に人と逆のことをやって脳を鍛えてきた。

使い回せるものは徹底的に使い回します。私は社員の誕生日に直筆のハガキを送っていますが、その文面も10パターンのうちからふさわしいものを選んで書いています。内容を考えなくていいからスラスラ書ける。宛先を含めて表裏書くのに1枚3分30秒です。

時間をかけて情報収集すれば判断の精度が高まるというのはウソです。まず、時間をかけても情報が集まる保証はありません。仮に集まってきたとしても、それが正しい情報かどうかはわからない。誤った情報に基づいて判断する可能性も十分にあります。

人に任せるときのコツは、完璧を求めないこと。私は講演の原稿を若手社員につくらせています。人に任せて60点のレベルで返ってきたら上出来です。残りの40点をカバーしなければならなかったとしても、自分で一から原稿をつくるよりずっと早くできます。

残業を減らしてもその分業績が下がったら企業としては失格。生産性を上げる工夫も同時に行わなければ意味がない。

大切なのは、自分の都合より相手の都合。相手は何を求めていて、そのニーズに対して自分が何ができるか、探ること。素直に「バカなので教えてください!」とニーズを聞いてみましょう。頭を下げられて悪い気になる人はいませんから。

説得ベタな人間は、自分の都合や言い分ばかり主張しているんだよ。いきなり「俺色に染まれ」なんて姿勢では、誰にも受け入れてもらえませんよ。

商談で相手が複数いる場合、決定権がない相手に向けて話をしても時間のムダになるだけ。キーマンを探し出し、集中的に口説きましょう。

苦手なことを長い時間をかけてやっても、成果はたかがしれています。それなら得意な人に任せてしまい、自分の得意なことでサクサク成果を出してくれたほうが、会社にとってはるかに生産的です。

自分の強みと弱みを見極め、まずはじめに「やらないこと」を決めてしまう。そしてやると決めたことは徹底的にやる。やらないと決めたら、その仕事はさっぱりと忘れる。これなら、苦手な仕事をしないぶん、成果が上がる、というわけです。

社長が代われば、会社が変わる。大統領が代われば、国が変わる。組織を変える時は、その組織のトップを代えます。武蔵野では1年半前に、本部長職の人を全員配置換えにしました。おかげで当社は前期、21%の成長です。

世の中のトレンドが変わっているのに、「人が来ない」「ものが売れない」「銀行がお金を貸してくれない」などと文句を言う。しかし、世の中は「我が社の都合」に合わせてくれないもの。

もちろん、うまくいくことばかりじゃありません。やらせてみたら、ダメだったという場合もあります。ダメだったら、また元に戻せばいい。別のところに変えてもいい。最初からうまくいくなんて思っていない。

入社して10年間くらい、役職でいえば課長職くらいまでは、いろいろやらせてみる。部長になったら、もうどんなことができるかわかっていますから適材適所です。

私の場合は、あらゆる業界、あらゆる地域から、常に生情報を持って経営者が相談に来ますから、世の中に先んじてトレンドや動きを把握できます。だからいち早く、世の中の都合に合わせることができます。これがスピード経営の前提です。

わが家ではカミさんが社長で、俺が社員。社長の仕事は社員が働きやすいように環境を整えることだから、俺を働かせようとして一生懸命やってくれる。

社員の「はい」は「聞こえました」という意味で、「やります」ではない。その違いがわからないかぎり、社員を動かすことは難しい。

情報は向こうから勝手にやってくるわけではない。社長自ら取りにいってはじめて情報を入手できるのです。

やるべき仕事はぐずぐずせずにさっさと片づければいいと考えるのは、仕事がデキるごく一部だけです。頭ではわかっていても、すぐにやらないのが普通の社員です。そうした人間の心理を無視してマネジメントはできない。理屈だけで経営は成り立たないのです。

数字を分析しただけで満足してしまう人もいますが、それでは数字を読んでいないのと同じです。分析結果を次のアクションにつなげてこそ、数字を読む本当の意味があります。

勘や経験だけに頼ると、勝手な思い込みが生まれるものです。とくに若いときの勘や経験ほど、あてにならないものはありません。それよりも数字をもとに行動を決めた方が、ずっと信頼できます。

売上もチェックしますが、それよりも大切なのは数量です。業種にもよりますが、売上額は相場の影響を受けるため、時系列で比較しても正確な変化が把握できません。正しく数字を分析するためには、数量を見ることが必要不可欠です。

普段から継続的にチェックすべき仕事の数字は、せいぜい2から3種類です。それを面倒だと思うかどうかで、数字を味方にできる人とそうでない人の差がつくのではないでしょうか。

私は誰にはばかることなく「私はワンマン社長です」といいます。それは、社長こそ企業そのものだと考えているからです。社長のビジョンはそのまま組織のビジョンです。社長が元気なら企業も元気、社長のやる気はすなわち企業のやる気。とくに中小企業はそうですし、またそうであらねばなりません。

私の仕事は、「お客様には喜ばれ、ライバル企業には嫌われる」そういう社員を育てることです。

他の多くの社長と接していると、業績の良い企業、悪い企業の明確な違いがわかってきます。社員を強制的に勉強させているところは業績が良い。逆に、社員の自発性に任せすぎているところは業績が悪い。それはもう面白いほどです。

皆が楽しく、尊敬しあって仕事ができる企業になるには、決して人を減らしてはいけません。人を減らさないで済む企業は必ず成長します。人材にコストをかけても、一定の利益さえ上がれば良いのです。そういう考えを社長が持てるかどうかは、21世紀のビジネスシーンを勝ち抜くうえで、極めて重要なカギになります。

差別化というと、多くの社長はまず中身で差別化しようと考えがちです。中身で差別化すること自体は私も否定しません。しかしそれは二の次、三の次で構いません。何よりもまず目で見えるところを差別化すること、それが大切です。差別化は目で見て認識できなくては駄目です。これは他社との競争の基本です。

社長が経営セミナーに参加して、「これはすごいノウハウだ」と感動する。そこまでは良いとしても、多くの場合感動だけで終わってしまいます。どうして行動できないのか。理由は簡単です。困難なことから始めようとするからです。行動のためのヒントはここにあります。つまり「困難なことは後回しにする」です。難しいことをひとつやり遂げるよりも、誰もができる簡単なことをたくさん実行していく方が効果的です。

人間は失敗するからこそ学ぶのです。私は作為的に失敗を、痛い思いをさせることで人材を育てています。優秀な社員ほど数多く失敗させます。それは期待の裏返しでもあります。

どうして私が人材育成に執着するのか。それは人材力を高めることが勝ち残るための最良の手段だからです。私の持論として、「同じ業界には同じ程度の人材が集まる」と考えています。ダスキンの代理店を主業務としている我が社には、いまも昔も一流大学を卒業したエリート社員など一人もいません。おそらく同業他社も似たような状況でしょう。そんなドングリの背比べのような状況の中で、いったいどうやったらライバル企業と差がつけられるか。それこそ人材育成に力を注ぐしかないのです。

私は面倒くさがりです。面倒だと思う感覚があったからこそ楽をしたいと思い、楽をしたいと思うことができたからこそ改善策が出せるのです。

人材力が企業力に直結するのは、程度の差こそあれ、どんな企業にも当てはまる普遍の真理です。戦力となる人材を育てることは上に立つ者の大切な責務です。であればこそ、社長は、何はさておいても効果的な人材育成の仕組みをつくることから取り組むことが大切です。

年齢や職責に関わらず、頑張れば頑張っただけ収入も増える仕組みは我が社の給与体系の大きな特徴です。ある年、賞与を一番多くもらった人と、一番少なかった人とでは格差が72倍でした。チャンスは平等に与え、そして成績によって差をつける。これが本当の公平です。自由と能力に応じた平等が望ましいのです。

どうして大きい企業を目指さないのか。ひとつには、我が社の強みは規模ではなくスピードにあると思っているからです。規模が大きくなればそれに反比例して、どうしても経営のスピードが落ちてしまいます。我が社の社員は皆、「社長がやると言い出したら絶対やるよ」「じゃあ早いところはじめよう」と考えています。それが我が社の文化です。

せっかく業務をIT化したのに、経理担当者は入金伝票・出金伝票・振替伝票を発行していました。「それはもうやめなさい」と何度となく注意しても、「不安だ」といって聞きませんでした。そこで私は一計を案じ、「わかった。そこまで言うのなら好きにして構わない。そのかわり、伝票を1枚発行するごとに10円払え」と言いました。次の瞬間、誰も伝票を発行しなくなりました。現金なものです。

コミュニケーションを円滑にすることは重要です。社員のコミュニケーションスキルは業績と深い因果関係にあるからです。多くの社長は、売上や利益が伸び悩む理由を「景気が悪いから」「ユーザーの消費動向が変わったから」などと外的要因に求めようとします。しかし、中小企業の場合、経営がうまくいかないのは内的な要因によることが大きいのです。すなわち社員のコミュニケーションスキルが低いことが業績を低迷させているのです。

社長と社員との価値観を共有させ、社長のコピーを何人つくれるかが、人材教育のミッションです。社長のコピーがいればいるほど組織は堅牢になっていきます。中小企業の場合はとくにそうです。こういう考え方は、価値観の多様化を良しとする昨今の風潮の中にあっては、かなり奇異に受け止められるかもしれません。しかし考えてもみてください。社員各自の価値観を尊重し、それぞれの方針で動くことを認める企業。それは健全なのでしょうか。経営方針を示すのは社長の仕事であり、経営責任をとれるのは社長だけなのです。皆が同じ方向を向くからこそシナジー効果も生まれます。

中小企業の社長にとって一番大切なのは、規模を大きくすることではありません。自分の強みや器の大きさ、性格などをしっかり認識し、それを活かした経営をしていくことです。その結果として規模が拡大するのなら結構なことですし、そうでないのなら無理して大きくならなくてもいいのです。私は社員一人一人の名前と顔が一致する企業の経営をしたいと思っています。

社長の務めとは、社員が高いモチベーションを保って仕事ができる環境を整えていくことです。また明確なビジョンを伝え、それを実行させることです。その覚悟が社長にあるのとないのとでは、言葉は同じワンマン経営でも意味するところは大きく違います。

経営の舵を取るうえでは面倒な課題がいくつもあります。私はいつも同時並行で悩んでいます。そしてそのことを楽しんでいます。人は悩みはひとつでもあるのは嫌だと思うものですが、私は違います。それは次なる改善策、新たな仕組みをつくるうえで大きなヒントを与えてくれるからです。

管理職の中には「マネジメントとは人を管理することだ」ととらえている人が多くいます。しかしそれは誤りです。人の管理と考えると、自然とその人物を好きか嫌いかで判断・評価してしまうからです。人材の優秀さと管理職の好き嫌いには、相関関係など存在しないはずです。人の好き嫌いに関係なく、仕事の管理をすればするほど、組織は明るくなります。

業務上のトラブルが起きたとき、企業はどのような対策をとるでしょうか。多くは「Aさんが力不足だった」と判断して、担当者を交代させるのではないかと思います。実はこれでは問題が解決したことにはなりません。問題が発生した根本原因の改善を棚上げしているからです。大切なのは「発生したこと」と「発生させた人」とを分け、どうして発生したのかを分析し、原因を追究するのです。

基本的に人間は、他人から指示されては動きません。しかし恐怖を感じたら状況を改善すべく動き出します。明らかに自分よりも能力が下だなと思っていた社員に好成績をあげさせると、これはまずいと気づくのです。それは本人にとっては一種の恐怖です。

誰からも不平不満が出ない給料体系の仕組み、皆が納得するような評価基準をつくることはできません。しかし、明確な給料体系、明確な評価基準をつくることは可能です。それがあれば、社員には余計なエネルギーを使わせずに、業務に邁進させることも可能になります。

つまるところ人間は、自分と関係のあること、自分にメリット・デメリットをもたらすものでなければ真剣には対処しません。であれば「やらない」こと、あるいは「やらない社員を見逃すこと」を、自身のデメリットとして反映させる仕組みをつくる必要があります。それがつまり賞与評価に反映させることです。しかも、こうすることで、サボる社員がいなくなるという文化が次第に醸成され、部門に一体感が生まれます。すると、より良いお客様サービスができるようになります。

私がかつてコラムを掲載していた媒体で、勉強会への参加状況を賞与評価に反映させる仕組みをつくり、社員に勉強会参加を強制できるようにした話を紹介したところ、多くの読者から「非人間的だ」「まるで軍隊だ」などと指弾されたことがあります。しかし企業とは決して仲良しクラブではありません。利益を追求する団体です。自社にとって良いこと、ひいては社員自身にとっても良いことを強制するのに何をためらうことがあるのでしょう。

上司が一方的に話し、部下はそれを適当に相槌を打ちながら聞くだけ。飲み屋ではしばしば目にする光景です。上司としてはそれで部下と交流が持てたと満足しているかもしれませんが、それは決してコミュニケーションではありません。コミュニケーションとは、こちらがなにか言ったらきちんと答えが返ってくること、そしてそれが積み重なっていくことです。

ITでは心そのものを伝えるのは難しい。だからそれだけでは人は育ちません。といって、人材育成にITは無用というわけでもありません。ITは「誰に」「何を」すべきかという指示は、何よりも速やかに与えてくれるからです。私の哲学は「インプットはデジタルで、アウトプットはアナログで」です。この場合のインプットは社員各自の状況の把握であり、アウトプットはフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションです。

企業資産を指して、俗にヒト・モノ・カネといわれます。これらのうちで一番大切なものは、疑いもなく「ヒト」です。どれほど優れた商材も、どれほど大量の事業資金も、そのままではただのモノ・カネにすぎません。人の手による的確なオペレーションがあってこそ利益は生み出せるのです。

1990年までのビジネスモデルでは、社員が少なく売上は多く、利益がたくさん出ている企業が良い企業でした。しかし、コスト削減ばかり追求する企業は、結局ほとんど駄目になっています。理由は、必要以上に人材を減らすとお客様満足度が下がるからです。

現在の日本ではIT化というと、ほとんどの場合、業務の効率化が目的です。しかし効率化を追求することと、収益をあげるということは必ずしもイコールではありません。業務が効率化して人件費が削減できたものの、それによってサービスレベルまで低下してしまい、一番大切な売上・利益を落としたという例は多くあります。業務の効率化はもちろんですが、それ以上に「コミュニケーションを円滑にする」「ライバルに勝つ」「組織を強くする」「お客様に愛される」といったところをITの目的とすべきです。

頭で考えた良いことと、現場にとって良いこととはまったく違うのです。仕事で使うなら、現場で役立つ機能に絞り込まれていることが大切です。ITツールは、ただのデジタル玩具で終わってしまってはダメです。大手メーカーが出しているツールであっても、二兎を追って一兎をも得ていないケースがしばしば見られます。

例外事例を考慮しないということは、新規にシステムをつくるうえでも重要な心構えです。とかくシステム化というと、あれもこれもと機能を入れたくなってしまうものです。それではコストも大きく跳ね上がります。また、システムが複雑になることで、トラブルが発生する可能性も高くなります。

「自社の売上を2倍に伸ばしたい」と考えたとしましょう。単純に考えれば、従来の2倍働けばよいとなるわけですが、しかしこれは「困難なこと」です。しかし、毎朝15分早く出社してみるとか、お客様にお礼の葉書を毎日5枚書くとかいったことでも、売上2倍の目標に近づくことには変わりはありません。小さな改善であれば週にひとつは実行できるはずです。すると1年間で52個の改善が積み重なることになります。そのとき組織は大きく変わります。

IT化に成功した企業のほとんどは、現業を強化する手段としてITを選択しています。逆に、自社のウィークポイントをITによって克服しようと考えて導入したところでは例外なく苦労しています。つまりITは、自社にかけているものを補ってくれるわけではないのです。IT導入を成功させるには、「自社の強みをさらに強くする」という発想を持って臨むことが早道です。

我が社は世間的には「IT活用に成功した企業」として認知されていて、しばしばマスコミの取材を受けます。しかし、我が社はITを導入しようと考えたことは一度もありません。たとえばお客様へのサービスを充実させるにはどうしたらよいかと考え、それを実現する道具としてITを選択したのです。IT自体が企業に優位性をもたらすわけではありません。

僕が他人のマネをするようになったのは、27歳のころ、僕よりも顔が悪い癖に女の子にモテる男がいました。新宿歌舞伎町で飲んだくれていると、そいつが寄ってきて「小山さん、女の子にモテるのなんて簡単ですよ」とコツを教えてくれたんです。最初は「なんだ、そんなことかよ」とバカにしていたんですが、あるときその通りにしてみたら、本当にモテるようになりました(笑)。それで、仕事でも遊びでも、上手くいっている人を素直にマネすることが一番の近道なんだとわかったのです。

創意工夫が大事だといいますが、誰でも最初はマネから入ります。日本の伝統芸能では『守破離』といいます。まず師匠の真似をするのが『守』、それをやり続ければ『破』といって違ったことに踏み込めます。そのあとで『離』、つまりその人のオリジナルに到達するわけです。3年もマネを続ければ、オリジナルに達します。これが成長するときの原理原則ではないでしょうか。

組織というものは縦方向には情報が流れます。でも、横にはなかなか流れません。情報を横展開するためにやっているのが、パクリ改善シート(社内外の成功事例を実行して業務改善ができたら掲示板に貼りだす報告書)であり、課長による改善評価です。評価がAかBかCかなんて、本当は大事じゃないんです。

いいですか。マネは戦略、パクリは戦略なのです。「パクリ改善シート」を10年前からやっています。仕事がやりやすくなることなら何でもいいのです。社内外で実行され効果が出た、または出そうなことを自分の部署でも取り入れて、業務を改善するわけです。所定のチェックを受けたら、使用前・使用後の写真をつけて、このように事業所の壁に貼りだします。

社長就任当時の当社がなぜ赤字だったかというと、社員が変なプライドを持っていたからです。俺は人のマネをしたくない、独自のものをつくるんだと考えていました。つまり、低いレベルのプライドですよ。

自分の成績とそれに影響を与える重要な先行指標は、常に細心の数字を把握しておいた方がいいでしょう。たとえば、訪問件数が成績に直結する営業の仕事なら、先行指標である訪問件数をチェックすることで、先手を打って対応ができます。ただ、変化が大きくなってから気づいても後の祭りです。対応が後手に回ってチャンスを逃したり、ピンチを拡大させたりしてしまいます。数字の動きはグラフに直してビジュアルで把握すべきです。

そもそも現場の社員が数字を読むのは何のためか。それは自分の成績をあげるためでしょう?自分の仕事の数字を放っておいて、会社全体の数字を読んだところで自分の成績は変わりません。まずは、目の前にある自分の仕事や部署の数字を読むことが先決です。

自分の仕事や部署の数字を知っているだけでは駄目です。様々なデータと成績を分析して重要な成功要因を見つけてこそ、初めて数字を読んだといえます。因果関係を見つけ出すことが、数字を読むということなのです。

たとえば見込み客を何度も訪問しているのに、契約がとれずに悩んでいる営業マンがいるとします。どこかで見切りをつけるべきだと薄々気付いていても、そのタイミングがわからないからズルズルと訪問を繰り返して、他の優良な見込み客まで逃がしてしまいます。そんなときに、誰に何回訪問したかというデータと、契約率の因果関係を分析すれば、見切りどきがわかって、自分の行動を変えられるはずです。

成績が落ちてきた人は、過去の自分の数字を見るといいでしょう。1週間前の自分、1か月前の自分、1年前の自分をライバルにして、それを超えることを目標にすればいいのです。というのも、以前よりも成績が落ちている人は、単にサボっているというケースが多いからです。過去の自分よりも頑張れば、少なくとも自己記録を更新することができるはずです。

ツールによる自分の仕事の数字の分析を浸透させるには、半強制的にやらせる仕組みが必要です。弊社の場合、課長以上が対象の月二回のプレゼント、一般社員向けの半年に一度の大会で分析スキルの習熟を図っています。

数字を分析するにはまず始めてみることが大事です。仮に最初は嫌々だったとしても、成功要因が見つかって自分の成績を上げることができれば、数字を分析するのが楽しくなってきます。

当社の会議は、数字の報告にほとんどの時間が費やされます。途中で余計な説明はしません。数字のやり取りがすべて済んだあとにお客様から言われたことを報告して、各自の意見は最後です。このスタイルで会議をやるのは、数字はそれだけで言葉だからです。自分がどれだけ頑張ったのか、あるいはどんな問題があったのかを説明するのに、いろいろと言葉を並べるのは無駄です。数字で話せば、それだけで事実が伝わります。

最近は決算書を読むのがブームになっていますが、若手社員が無理をして財務諸表を理解する必要はありません。もちろん、読めるに越したことはありませんが、その勉強に時間を割く余裕があるのなら、自分の仕事の数字を徹底的に読み込んだ方がいい。私は経理経験があったので、若いときから財務諸表の知識がありましたが、本当の意味でバランスシートを意識して読むようになったのは、部長になってからです。

お金は使うと「減る」と思っている人は多いだろう。でも、それは逆。お金は使うから「増える」。「出入口」は出るのが先で、入るのが後。「呼吸」も吐くのが先で、吸うのは後。お金も同じで、先に使うから大きくなって戻ってくる。

毎朝4時半起きで、6時前には自宅で仕事を始める。誰にも邪魔されないから、仕事ははかどり、朝だから静かで集中して考えることもできる。普通の人が働いている時に遊んで、遊んだり寝たりしている時に働けば、生産性は何倍にもなる。

何かの問題について、今日決断を下して対策をするのか、それとも一週間じっくり考えたうえで決断し、対策を打つべきか。正解は、今日です。一週間程度で頭が急に良くなることはないのだから、今日決めようが一週間後に決めようが、答えは同じ。答えが同じなら、少しでも早く取りかかって早く結果を出したほうがいい。

多くの人は、スキマ時間を休憩に使う。どうせ細切れに仕事しても進まないから、休憩がてらスマホをいじるわけです。でも、実際はスキマ時間ほど仕事に使える時間はない。私は歩きながらボイスメールを聞いて返信し、電車や車の中で書類の決裁をバンバン出す。だから6時に帰れるんです。

私は腕時計をしていない。時計に時間を教えてもらうようになると、勘が鈍るからだ。同様に、自分で車を連転していた時はカーナビもつけなかった。機械に頼らず勘で動いてみてほしい。最初のうちは転んで痛い目に遭うかもしれないが、転ぶうちに勘が鋭くなって、リスクを見極められるようになるんじゃないかな。

即断即決して失敗して血を流しながらも経験を積んでいく人と、失敗を恐れるあまり決断を先延ばしにする人では、仕事のスピードだけでなく判断力も差がついていきます。若いうちは失敗すればするほどいい。「もっと考えたほうが」「もっと情報を集めてからのほうが」という暇があったら、さっさと決断して実行に移す。これに勝る時間術はありません。

じっくり考えたほうが正しい答えを導けるという人もいますが、それは決断が遅い人の言い訳です。判断するスキルが10の人は、どんなに時間をかけても10以上の判断は下せません。いま決めても明日決めてもどうせ同じ答えです。それならいま決めて動き出したほうがいい。

正しい情報とは何か。それはお客様に商品やサービスの形で聞いてみないとわかりません。商品やサービスが売れてはじめて「あの情報は正しかった」とわかります。正しいかどうかは後付けでしかわからないのだから、とにかく早く市場に問うたほうがいい。それがもっとも早く正解にたどり着く方法です。

実力が違う人を組ませると、優秀なほうがやる気をなくしてしまうケースもあります。とくに能力がない上司と優秀な部下の組み合わせは最悪です。わが社でも、部下がダメ上司に我慢できなくなって辞めてしまうケースがありました。チームを組んだり競わせるときは、同レベルの人同士で。これが鉄則です。

1軍から5軍までレベルの違う社員がいたとします。このとき各軍から社員を選んでチームを組ませるのは、人の心理がわかっていない証拠です。人は基本的に自分より優秀な人が嫌い。実力が違う者同士が組むと、デキない社員のほうがヘソを曲げて力を発揮しません。運動会を思い出してください。自分より確実に足の速い人と同じ組になると、負けることが見えているので、まともに走る気にならなかったはずです。本気になって走るのは、ほぼ同じ実力の人と一緒になったときです。

社員や社員の家族にハガキを出すときに大切なのは、一枚一枚、表も裏も直筆で書くことです。住所や宛名は印刷したほうが圧倒的に早いですが、手間を惜しんではいけない。社長がわざわざ時間を費やして手書きで書くからこそ、ハガキにありがたみが出ます。

新入社員の親御さんに「息子さんは頑張っています」とハガキを書くこともあります。親御さんは中小企業に勤めることに基本的に反対ですが、社長から期待をかけられていることを知ると、応援する側に回ってくれます。

男性社員か社長以上に恐れているのは、奥さんの存在です。表向きは偉そうにしていても結局、家では奥さんに頭か上がらないのが実情です。社員を動かしたければ、この力関係をうまく利用すればいい。頑張らせたい社員がいれば、奥さんの誕生日や結婚記念日に、私からハガキを出します。「いま、ご主人は部長候補で頑張っているので、家庭を顧みず仕事をするかもしれません。奥さん、ご協力をお願いします」と。このように書くと、普段は帰りが遅いと不満をいう奥さんも、旦那をけしかけて働かせるようになります。私が頑張れと本人に直接いうより、こっちのほうが効果がある。

内定者を対象とした飲み会で会計のときに会社の名前で領収書をもらってはダメです。それは、経費で落ちることを内定者が知ると、ありがたみが半減するからです。上司が自腹を切るからこそ社員は喜ぶ。そこを履き違えてはいけません。

わが社では、社員にやってもらいたいことに対して手当をつけます。たとえば禁煙した社員には禁煙手当がつくし、社内の勉強会への参加もボーナスの査定に影響します。お金で釣るのは不純だという声もありますが、きれいごとをいって結果を悪くするのはダメな社長の典型といえます。結果が清ければ、動機は不純でいいのです。

社員に素直に指示に従ってもらうには、社員の弱みを握ることが一番。商談でも相手の弱みを握っていたほうが交渉を有利に進められますが、それと同じことです。

最終的には残業をしない人のほうが、残業をして月々の残業代を稼ぐ人よりも年収が多くなるようにしました。それから、残業費の削減によって出た利益で、基本給もベースアップしました。いまでは、可処分所得が減ることを恐れて定時後も帰るに帰れないような社員はひとりもいません。

自分の会社も残業を減らしたいのだがうまくいかないという社長がいますが、社長が先頭に立って「やれ」と強権を発動しないかぎりうまくはいきません。なぜなら、残業を減らすというのは会社に革命を起こすことだからです。

営業所の施錠が何時だったかというデータを、契約している警備会社から取り寄せてチェックし、さらに、月に1度の部門長会議で発表するようにしたところ、さすがに部門長の意識が変わり、各営業所が競うようにして、早く帰るようになりました。

ひたすら相手のニーズを聞き続けることが重要。商談の時間中、話を聞き続け、最後の5分で「自社のこのサービスで、すべて解決します」と一言だけで契約がとれたこともあります。決して説き伏せない。まずは相手に気持ちよく話してもらうことです。

ここ一番のときは、上司の力を借りればいい。立場が上過ぎて自分とは釣り合わない、どうも相性がよくない、など説得が難しいと感じたら、思い切って上司に同行を願おう。相手も、わざわざ上司が来てくれたと思うし、上司も頼りにされるのは満更じゃないはず(笑)。

仕事で重要なのは完璧さより鮮度。どんなに時間をかけても完璧などあり得ないし、時間の経過とともに世の中が変わり、顧客のニーズも刻々と変化していく。だから、多少改善の余地が残っていたとしても、「求められているタイミング」に「その時点で最高のもの」を出すのが正解。

忘年会ではぜひ、人間観察を心がけてほしい。仕事が上り調子で運気の上がっている人は、どこに座っていても自然とそこが座の中心になっていく。話も盛り上がるし、つき合いが深まれば学ぶことも多い。

価値の劣ったものを手放さずにいると、もっと良いものが出た時に「取る手」が空いていない。その時に慌てて手放しても、もう他の人のものになっているかもしれない。

年末にやるべきことは、今年1年で結果の出たコト(モノ)、出なかったコト(モノ)の棚卸し。成果の出ているコトに注力し、出ていないコトは思い切ってカットせよ。

私は著書の原稿直しはPDF上では行わず、プリントして手書きで行います。作業によってアナログの方がはるかに効率的なことがある。デジタルとアナログを適宜使い分けているのです。まずは一度デジタルでやってみる。試してみて、効率が悪いようなら、アナログに戻してしまえばいい。

話すときに大切なのは、人からよく思われようとしない、ということです。そんなことを考えるから緊張してあがってしまい、失敗するのです。人はどうしたって自分の実力以上のことはできません。だったら、実力の範囲でいいじゃないですか。それでうまくいかなかったら、それはそんな自分に話を依頼した人の責任だと思えばいい。

社員同士のコミュニケーションを増やすことにも取り組んでいます。当社では毎日朝礼後の30分、「環境整備」といって社内清掃の時間を設けています。このときは、おしゃべりをしながら作業するのが決まりです。黙っていたら罰金です。普通の会社は、作業効率が落ちてもったいないというけれど、30分くらいのロスがなんですか。それよりも社内のコミュニケーションをよくしたほうがいいのです。

どうすればお客さんが関心を持っていることや、何に困っているかを知ることができるのでしょうか。それには、相手の話をよく聞けばいいのです。営業に行ったら最初からうまく話そうなどという気持ちは捨てて、ひたすらお客さんに気持ちよくしゃべってもらう。そうすれば、お客さんが本当に聞きたいことがわかるから「それはこうしたら改善できますよ」と教えてあげられる。聞き上手じゃなければ話し上手にはなれないのです。

ビジネスにおいては、相手が必要としている情報を的確に提供できる人のことを話がうまいというのであって、ペラペラしゃべれるから話し上手というわけではないのです。

お客さんの疑問にきちんと答え、困っていることの解決策を提示できるなら、たとえしゃべり方はたどたどしかろうと、その人は必ずお客さんから信頼され、商品やサービスを買ってもらうことができます。

みんな話し上手というと、立て板に水のごとくしゃべれる人を想像しがちですが、実際には、やたらと弁の立つ営業マンというのは、うまいこと言いくるめられ、高いものを買わされるかもしれないという警戒感を相手に抱かせるので、それほど成績は上がらないのです。

お客様に話すときには、相手が満足度を高めることと、不満足度をなくすことの、どちらを求めているのかを見極めたうえで、トークをすることがカギとなります。

その商品やサービスのどんな部分に魅力があるかを判断するのは、売り手ではなくてお客様ですよね。ですから、お客様がどんなニーズを持っているかを、まずは聞き出すことが大事。お客様のニーズをつかんでこそ、初めて相手の興味関心に沿った話ができるようになります。

私の場合は、飲み会を通じて感情面でのコミュニケーションをしっかりととり、ミーティングで現場の状況を把握する。だから、話すときに、相手の心に届く言葉を発することができるのです。

ミーティングでも、自分が話すことより聞くほうに重点を置いています。現場の第一線で働いている部下から情報を入手しておかないと、自分が社員に話すときに、現場の実情とかけ離れたとんちんかんな話しかできなくなるからです。

私はよく社員と飲みに行っています。私の隣に座るのは、管理職のときもあれば、新入社員やパートさんのときもあります。「最近の若い人は、歳の離れた上司と飲みに行くのを嫌がる」と言う人がいますが、あれはまったくのウソ。上司と飲むのがイヤなのではなく、酒の席で上司の説教を一方的に聞かされるのがイヤなのです。

部下に指示したら言いっ放しで終わらせずに、自分が言ったことをちゃんと部下が実行できているかについて、事後のチェックをします。抜き打ちで行なうのではなく、いつ、どの部分についてチェックをするのか、あらかじめ伝えておきます。「とくにどの部分を重視しているのか、何ができるようになってほしいと思っているのか」を部下に示すわけです。そして、部下が自分の言ったとおりに行動して成果を出すことができたら、「すごいじゃないか。俺の期待をはるかに上回る結果だったぞ」と褒めてあげます。本当は期待したほどのものではなかったとしても、言ってあげればいいんです。

私が社員に話すときに心がけているのは、できるだけ具体的に話すこと。部下に対して「もっと頑張れ」と抽象的な言い方をしても、頑張ることに対する感じ方は人それぞれです。上司から見ればまったく頑張っているように見えなくても、部下としては必死で取り組んでいるつもりだったりします。だから、部下に何をどれだけ頑張ってほしいのか、具体的な数字で示します。たとえば、営業マンに対してであれば、「もっと訪問回数を増やしなさい」と言うのではなく、「一週間に100件、お客様のところを訪問しなさい」というふうに言うのです。

上司は、自分の言いたいことを部下にわかる言葉に置き換えて話すべきです。

部下が言う「わかりました」とは、「私に何かの指示を出したことがわかりました」という意味であって、「言っていることを理解しました」という意味ではありません。

社長と部長、課長と一般社員では、それぞれ置かれている立場が違います。立場が違えば、見える風景も、物事を判断するときの尺度もまったく異なってきます。だから、上司が自分の立場から指示したところで、部下には伝わりません。

営業成績が低迷して意欲をなくしている部下と話し合いの場を持つ一番の目的は、部下を励まし、その気にさせること。だったら、どう言えば部下がやる気になるかを徹底的に考えたうえで発言しなくてはいけません。それができないのは、表向きは「部下のため」と言いながら、実際には自分が抱えている怒りやいらだちを部下にぶつけているからです。

たとえば、営業成績が低迷している部下を叱咤激励するとしましょう。頭ごなしに「お前はいったい何をやっているんだ。もっと頑張れよ」と言うのと、親身な口調で、語りかけるように、「俺は、うちの若手の中でも、とくにお前には期待しているんだ。だから、お前の成績が伸び悩んでいるのが、俺にはどうしても信じられない。お前は、頑張れば、本当はもっとできるはずだよ」と言うのとでは、どちらが部下をやる気にさせるでしょうか。当然、後者ですよね。同じ「頑張れ」でも、言い方を変えるだけで、相手への伝わり方はまったく違ってきます。

ダメな社員が違う仕事を与えられることで伸びるケースはよくあります。環境を変化させることで、社員一人ひとりに新たな経験が蓄積され、会社全体の潜在能力も高めることができます現に武蔵野は、大きな組織変更をするたびに業績を向上させてきました。

毎年、全従業員を13組に分けて、貸し切りバスですべての営業所を見てまわります。それぞれの営業所では、必ず「三推し」を説明することになっています。「三推し(さんおし)」とは、その営業所のセールスポイント、つまり結果が出ている3つのことです。営業所が32か所ありますから、全部で90以上のノウハウを得ることができます。そのうちの一つを徹底的に真似することを社員に義務づけています。

スピード経営をするには、「やらないこと」を決めることが大事。多くの人は、あれもこれもと、頭の中にやりたいことをいっぱい持っています。まあ、持つのは自由です。でも、頭でたくさん考えることはできても、体は一つしかありません。まず「やらないこと」を決める。そして「やる」となったら、徹底的にやる。

即断、即決、即実行。それでも業績が上がらない会社があるのはなぜか。それは、「我が社の都合」でものごとを決めているからです。世の中は変わる。お客様も変わる。ライバル会社も変わる。これが現実です。自社の都合ではなく、世の中の都合、お客様の都合、ライバル会社の都合に合わせないといけない。

ボールを上に投げたら、必ず下に落ちてくる。放物線の頂点までは、誰でも上に上がっていると考える。でも、頂点がどこかなんて誰にもわからない。もう少し先かもしれないし、もう落ちる寸前かもしれない。それなら、いつでも変えたほうがいいというのが私の考え。

突然の部署異動は、武蔵野では当たり前です。成績の悪い社員には「3分で移れ」と命じ、引き継ぎもさせません。ダメな社員が引き継ぎをすると、優秀な社員の成績まで落ちてしまうことが、長年の経験からわかったからです。

普通の会社は社長が言ったことをやらなくても社員を許してしまう。私はやらないならすぐに人事異動を行って、代わりにやる気のある若い人にやってもらう。社長の仕事は決断とチェック。まず変えてみて、あとからチェックしてダメだったところを少しずつ変えればいいんです。

私が社長に就いた当初、武蔵野はやる気のない社員だらけでした。真面目に仕事に取り組まず、いかにサボるかを考えてばかり。環境整備は彼らがきちんと仕事をして、私がチェックするための仕組みとして始めました。ただの掃除は社員が自発的に動くのを待つボランティアだけど、環境整備は仕事の一環として給料を払い、イヤでも社員に強制させるものです。

周囲を見て「頑張れば勝てるかも」と思うことが意欲の源となります。そして、成績がアップした人はすぐにそのグループから出して、もう一つ上の集団に参加させる。これを繰り返すと目覚ましく業績が上がります。普通の能力の持ち主でも高い成果を出し、自信を持てるのです。

当社は、いわゆる「優秀な人材」は採用しません。飛び抜けて優秀な人がいると、他の社員が落ち込んで、やる気を失ってしまうからです。当人も周囲とペースが合わず、ストレスを溜めて、退社することになるでしょう。

ごく小さなストレスを味わってもらうことで、ストレス耐性をつけてもらっています。具体的には、身の周りを片づけることを徹底させる。それだけのストレスでも、メンタルを鍛えるのに役立つ。それに、身辺が綺麗になること自体、心を整えることにつながる。

「怒る」のではなく「叱る」ことが大切。具体的にできていないことを指摘するのが「叱る」です。それができず、ただ感情的に怒っている上司が世の中には多い。

他人の真似をすることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、そんなプライドや嫉妬は捨ててしまいましょう。自分より優れた人の存在はチャンスと捉えるべき。

失敗したとき、「悔しい」と思えるかどうかが重要な分かれ目。本当に悔しいと思えば、学ぼうとするはず。周囲で成果を上げている人を観察し、その人がやっていることを真似るでしょう。そうすれば、成果につながりますから、結果として成功体験が得られる。

当社には多くのパートタイムのスタッフがいます。彼女たちの多くは、家庭では、自分で自分の仕事の主導権を握っていた。それなのに会社では思いどおりにできないということで、ストレスを感じがちです。そこで当社では、彼女たちに複数の営業所を見学してもらうようにしています。様々な人間関係や仕事の進め方があることを目にすると視野が広がり、不満が軽減されるのです。

総じて、マイナス思考の人は視野が狭い傾向がありますね。たとえば、親戚が集まって話をしているときに、愚痴や不満ばかり言っている人が一人はいるでしょう? その人を見るとわかるはずです。故郷から出た経験がなかったり、人づきあいが少なかったりと、狭い世界しか見てこなかった人であるケースが多いのです。

現実を受け入れるためには、さまざまな経験をして、視野を広げること。経験が少ないと、思いどおりにならない状況を受け入れることがストレスになってしまう。

期待が高ければ、当然、期待どおりの結果を得られず、落ち込む可能性が高くなります。つまり、期待を高く持てば持つほど、メンタルが傷つきやすくなる。

経験が少ないうちは誰でも「自分はこれくらいできるはずだ」と甘い見通しを持ちがちですから、失敗して落ち込むことが多い。経験を積めば、どれだけ準備をしておくべきかがわかるようになり、自然とそういうことは少なくなる。

幹部社員にタクシー内で報告させるのはキャバクラと同じ理屈です。キャバクラで女の子がお客の隣に座るのは、面と向かわないほうが話しやすいから。社長との面談も同じで、机を挟んで向かい合うと社員か緊張してしまい、いい報告ができない。その点、タクシーはいい。二人で前を向いて座れるから、話も自然に前向きになる。

部下とコミュニケーションして情報を取ってくることが幹部社員の重要な仕事のひとつ。

具体的な名前がない報告は時間の無駄。誰が何をしたのか、固有名詞で教えてくれなきゃわからない。

社員を教育するにはコツがいります。私は、社内だけではなく、プライベートでも、社員とコミュニケーションをとるように努めました。その結果、当初はトップダウンの経営でしたが、今は社員から意見が上がるボトムアップの体制を築けています。このしくみができたことにより、複雑な時代の変化にも対応し、企業として成長できたのだと思います。

社長就任当時の当社は今とは大違いでした。社員の20%もが不正をしているような状態。社長に就任してからも、古参社員が言うことを聞いてくれない。そこで私がとった戦略は、1年間、まったく口出しをせずに、幹部に自由にやらせることです。すると、その翌年、幹部たちの計画はことごとく失敗していました。それもそのはず。事業部長程度の力では、会社を運営することはできないのです。社長を経験していた私には、それがわかっていました。

日本サービス・マーチャンダイザー(のちの武蔵野)時代、成績は上々だったのですが、創業社長の藤本寅雄と衝突して辞めてしまいました。若かったので、行き当たりばったり、考えなしの行動でした。退職後はモーニングコールを提供する会社を起業しました。しかし、わずか3カ月で倒産です。社長というのは社員とはまったく違うものだと実感しました。それからダスキン本社に10カ月間勤め、満を持して、ベリーという貸しおしぼりの会社を立ち上げました。前の失敗を踏まえ、今度はおしぼりという、形のあるものを商材としたのです。開業資金を貸してくれる銀行なんてありません。150万円を知人に借りての開業です。

30代はよく働きましたね。ベリー起業後の3年間は、1日の休みもなく働きました。しかも、1年半ほどはダスキンとの二足のわらじを履いてです。毎日、外出先から戻ると30分以上へたって動けないほど全力で働いていました。そうやって経営者としての力を蓄えたところで、古巣の日本サービス・マーチャンダイザー(のちの武蔵野)からお声がかかりました。藤本(寅雄、日本サービス・マーチャンダイザー創業者)が入院したので来てほしいと言うのです。専務として再入社してから半年後、藤本が亡くなり、私が実質的に経営を担うこととなりました。

大切なのは目標ではなく実績。前年の実績を上回ればいいのであって、その目標を達成することが目的ではない。対前年101%の計画を作って102%で達成。その一方、無謀にも200%の計画を作ったが、その60%しか達成できなかった。だが、その実績は120%。目標未達でも120%の結果のほうがすばらしい。皆さん、数字の見方が間違っています。

知識だけを頭に詰め込むことは、やっちゃいけないですよ。先輩が上手くやっていることを真似しろと言いたいです。新入社員は考えてはいけない。中途入社も同じ。課長になったら、先輩の課長のまねをしろと。

社員に慣れてもらうには上から強制するしかない。良いことを強制するのが社長の仕事です。その場合、必ずチェックする日を決めることが重要です。学生時代の期末試験は3日くらい前から、みんな徹夜するでしよ。日程があってそれに向かって全員が勉強する。それと同じでいいのです。

そんなの(会計の知識)はまったくいらない。細かい数字で時間を取られるようなことはやらない。コンピュータに計算させればいいことでしょ。数字は大事だが、それは単純でないといけない。社員には単純なことをやってもらわないと、業績は上がらないのですよ。

人がやる気にならないのは人と比べるからということ。人は自分より優秀な人は嫌いだから、人と比較されると文句を言う。それなら、どうしたらよいのかというと、自分と比べること、あるいは自分の部門と比べることがよい。自分の前年実績と比べるのです。前年同月比で比較すれば、誰にも文句は言えないですよ。その後、自分の部門も同じように前年との比較を見る。数字は売上、粗利益、営業利益の3つだけでいいです。売上が必要なのはわかりますよね。ひとつの物差しでは判断がつかないので、利益の要素も入れていく。武蔵野では、一般社員も幹部もこうした前年実績との比較が賞与のベースとなっています。

まずは目標がなければダメです。長さを測るのは物差し、重さを量るのははかり。どっちにしても道具が必要です。ところが、会社の中には数字を測る道具がない。道具となる基準が明確ではない。それがまず必要。

会社に20年、30年いると威張ってしまう。だが、重要なのは20年いることじゃなくて前年より数字がよいのかどうか。20年いて前年より数字が下がっている人と、数字が上がっている新人では、どっちがすばらしいの?それは数字が上がっているほうですよ。

部下によく「一生懸命やって」と言いますよね。しかし、一生懸命やるって、どれくらいやっていいのかわかります?10個しか商品が売れなくても一生懸命やったと言う人がいるし、3個でもそう言うでしょうね。要は数がいくらでも同じ。ところが、今の成績が叩で昨年も10。あるいは昨年が10で今年が8。これは一生懸命やったとはいわない。サボっているといっていい。昨年10で今年が12。「いやぁ-、今年は一生懸命やってなくてね」と言っても、数字はそれだけで言葉を語ります。一生懸命とか、サボっているとか、余計な言葉はいらない。

なぜ当社の経営サポート事業がうまくいっているのかというと、自分たちのダスキン事業がいつも前年の実績を超えており、その成功事例をベースに指導しているためですよ。ほかのコンサルには現実、現場がない。どこかの会社を指導していても、自分たちの会社はそれをやっていないでしよ。間に入っているだけ。指導するのは、他人の話であって、自分の話ではない。顧客に「じゃ、あんたはどうですか?」と聞かれても答えられない。私どもが聞かれたら、「私の会社はこうですから、これを見て、同じことをまねすればよろしいのではないですか」と答えます。

武蔵野の事業は好調です。その理由はまさしく社員全員が数字を見ているからですよ。幹部も一般社員も本当にみんな見ているから。普通そんなことないでしょ。その差なんですよ。

私は経営者だから、大事なのは社員の情報。大企業の社長がよく「私は社員を大切にしています」と言いますが疑問ですね。では、上位10名のフルネームが言えますか? 私なんか社員のフルネームはもちろん、家族構成、社内で誰と付き合っているかまで、しっかり把握していますよ(笑)。

今の人は自分の情報を隠しすぎる気がします。仕事だけで完全に上っ面のやりとりしかしない人に、相手も重要な情報を教えるわけないでしょう。自分から情報をオープンにしたら、つきあいの深さが変わりますよ。

もらうことだけ考えてたら情報は入ってきません。水にたとえて考えてください。溢れそうなコップを持って「もっと欲しい」と頼んでも渡す人なんかいない。まず自分の水を、ほかの人に分ける。そうすれば、相手もあなたの空になったコップに水を注いでくれるんです。

体験を重ねると、そのうちに勘が磨かれます。勘が磨かれてくると、理屈じゃなく「これは大ケガする」、「これならリスクを取れる」ということがわかってくる。ビジネスをするうえで、この直感力は大事です。頭がいいだけで勘が鈍い人は、脳が三流。一流の人は勘が働くから、小さな失敗はしても致命傷になる失敗はしないんです。

人づき合いは手間をかければかけるほどいい。私は社員や取引先の社長の記念日にハガキでメッセージを届けています。しかも一枚一枚、手書き。年間3千枚は書いているから、相当な手間だ。でも、面倒なことをやっているから相手に心が届くんです。大事なお客様のところには、毎年、お中元やお歳暮を贈っている。これも宅配便じゃなく、直接、持参して挨拶します。わざわざ新幹線に乗って届けることもある。それで喜んでくれないお客様はいない。手間をかける価値は十分にあります。

大事なのは、損得よりも好き嫌い。素直に好きな人とつき合い、嫌いな人とは我慢せずに距離を取ればいい。同じ部署だからとか、取引先だからだとかは関係ない。嫌いな人とムリしてつき合っていると、ストレスがたまる。ストレスがたまれば心がやられて、心がやられると体もやられる。それで仕事を休むはめになったら、そっちのほうがよほど損だ。多くの人は、このことがわかってない。好き嫌いで人を選べば、仕事がうまくいかず結果的に損をしても自分が好きで選んだ相手だから諦めがつく。得すると思ってつき合った相手に裏切られるより、ずっといい。

お金を貯めたほうが人生の勝ち組になれると考える人は、まず染みついた経済感覚をぶっ壊すべき。お金をどんどん使って感覚が麻痺すると、「節約して貯金しよう」「経費を抑えよう」という発想から、「見聞を広げるために使おう」「未来に投資しよう」に変わってくる。仕事で求められるのは、どうお金を使うかという投資感覚です。稼ぎたいなら、リミッターを外してお金を湯水のように使うこと。その経験が三流の脳を一流に変えます。

私はカミさんを口説くときに、ラブレターを1日1枚届けました。30日続けたら「私のためにそこまでしてくれるの」とコロッと落ちた。でも、本当は1日にまとめて30日分書いて、毎日1枚ずつ投函した(笑)。工夫してつくった時間に働いて稼げば、最終的にカミさんも喜んでくれる。時間をうまく使うことでみんな幸せになるのです。

仕事を早く片付けたければ、手を抜くことも覚えたほうがいいですね。部下はスキルが低いから自分でやったほうが早いという人もいますが、そんなことはありません。その仕事を処理するのはキャリアの長い上司のほうが早いかもしれませんが、その間、上司はほかの仕事ができなくなる。全体の効率を考えるなら、アウトソーシングできるものは積極的にしたほうがいい。

じつは私も昔から見切りが早かったわけではありません。ただ、数々の失敗を重ねてきたからこそ、「こうなったら撤退する」という自分なりの基準ができてきた。人は失敗からしか学べません。判断のスキルが10だった私も、失敗を重ねるうちにスキルが20、30と伸びて、いま精度の高い決断ができるようになったわけです。

残業削減に最も効果的だったのが、部門を横断して改善を進める社内チームのひとつとして発足させた「早帰り推進チーム」の働きです。私は彼らに「売り上げは下がってもいいから残業時間を減らせ」というミッションを与えました。だが、彼らはそれを「数字を維持したまま残業時間を減らすのが自分たちの役割」だと解釈して、様々な施策を考えてくれたのです。彼らの働きなくしては、これだけ早く早帰り文化が根付くことはなかったでしょう。

生産性を上げるのは簡単。やらないことを決めればいいのです。多くの人が「自分が良いと思う仕事」や「正しいと思う仕事」をやりたがります。でもそれで結果につながらなかったら時間のムダ。「俺はこんなにいい仕事してるのに!」って、ただの自己満足ですよ。頑張る自分に酔ってしまうのが、仕事が遅い人の最大の原因です。だから私はハッキリ決めています。成果が出ない頑張りは一切ムダだ、と。

「変えなきゃいけないとわかっていても、なかなか変えられない」と言う人がいますが、それは「変えられない」のではなく、「変えたくない」のです。変わらないほうが楽だから、そして世の中が変わらないと思っているからです。でも、私は違う。世の中は変わる。お客様も変わる。だから、我々は常にいち早く変わるのです。

武蔵野では、できる限りお客様訪問を1人では行かせません。最低でも3回に1回は2人で行かせます。効率は悪いんです。でも、そのほうが他の営業社員がお客様とどんなコミュニケーションをしているのかを現場で見られる。往復の移動の中で様々な情報交換もできる。するとみんなスキルアップして、どんどん成果を上げるようになります。

多くの会社で業績が上がらないのは、手間をかけるべきところにきちんと手間をかけないで、すべての業務を効率化しようとするからです。そもそも、営業を効率化しようという発想自体が間違っています。営業は非効率なものです。何度も何度も訪問し、連絡を取り、必要なものをお届けする。手間隙かけるからこそ、相手に心が伝わります。

鉢に水をずっと溜めておいたら、そのうちにボウフラがわきます。一方、川の水は流れているから、腐らないし、ボウフラもわかない。組織も同じです。どんな組織も長年同じ人間が同じことをやっていたら、必ずほころびが出ます。そこで大事になってくるのが、人を代えることです。変化とは人を代えること。人が代わらないと、変化は起きません。

人間、実際にやってみなければ、何もわからないもの。よく「適材適所」なんて言われますが、その人がどんな能力を持っているかは、10年くらいいろんなことをやらせてみなければわかりません。たとえば、ウチに経理を長年担当した塚田というパート社員がいますが、彼女は今、腕利きの営業部員として大活躍しています。もし、彼女は経理に向いているからとそのままにしておいたら、彼女の伸びる芽を社長が摘み取ったことになります。つまり社長の判断ミスです。

ビジネスは、リアルな体験を積み重ねることなしには成り立たない。当然、失敗することもあります。でも、私は失敗ではなく、「一歩前進」ととらえます。何の問題もなくスムーズにことが運べば、人はそこから何も学びません。しかし、一度でも失敗をすれば、何がいけなかったのか、何に気をつけなければならないのか、身にしみて感じます。失敗は貴重な経験であり、学習の機会です。小さな失敗を重ねれば重ねるほど、人は成長します。

実行を重視するのは、頭で考えることと、実際にやってみることは違うからです。知識があるだけではビジネスはできません。いくら知識が豊富でも、それだけではお金にならない。知識は「知っている」だけ。それを実行に移してみることで、はじめて「理解」になります。でも、「理解」はまだ1回実行したにすぎません。何度も繰り返すことで、「わかる」ようになります。

「人真似はしたくない」という誤ったプライドを持っている人間もいます。人間の行動のほとんどは人真似だということが、わかっていないのです。私たちが毎日、服を着て外に出かけるのも、スマートフォンを使うのも、すべて人真似なのですから。人の真似は、恥ずかしいことでもなんでもない。真似をしないで結果を出せないでいるほうが、よほど恥ずかしいことです。武蔵野ではこれまで、人の真似をして、結果が出ることだけをして業績を伸ばしてきたのです。

勉強した中で一番やさしいことを実行するとすぐに結果が出る。いい格好をしたい人間は、大きな結果を狙って難しいことをやりたがります。でも、そうは問屋が卸しません。小さなことで結果を出したほうが、早いし簡単です。簡単なことで結果を出す人と、難しいことで結果を出せない人と、どちらが評価されるかといえば、前者に決まっています。

結果が出ていることを横展開しようとするとき、壁にぶつかることがあります。結果が出たことを広げようとしても、結果を出した人間がノウハウを他人に教えたがらないのです。これは仕組みの問題です。自分のノウハウを教えた人が評価される仕組みになっていないから、こういう問題が起こるわけです。武蔵野ではノウハウは徹底的にオープンにし、全員で共有しています。

リーマン・ショックの前、私は「何かおかしい。きっと変なことが起こる」と感じていました。だから、経営指導をしている会員企業の社長に「今のうちにお金を借りておきなさい」と伝えていた。そうしたら案の定、いきなりドカーンと落ち込みました。その少し前に、世界で40%のシェアを持つエンジン部品の会社の社長から、「売上が半分になったのですが、あまりにもおかしくないですか」という話を聞いていました。それでピンと来たんです。テレビや新聞で得られる情報なんて、報道されている時点でもう古い。「生」の情報をいかに得るかが大切です。

経営にスピードが必要なことは誰でも知っています。でも、多くの人は「スピード」を誤解しています。スピードとは、「急いで作業すること」ではなく、「早く始めること」です。早く始めれば、それだけ早く変化に対応できます。思ったような結果が出ない場合でも、素早く軌道修正ができます。この変化の激しい現代社会を勝ち抜くには、1日でも1分でも「早く始める」ことが、勝敗のカギを握ります。

会社とプライベートを分けるのは間違い。家庭に問題を抱えていたら、仕事に集中できるはずがない。そのためには、私が社員のプライベートの情報を把握しておく必要がある。職場にいるときの情報だけで、社員の精神の好不調を確認することは難しい。奥さんと揉めて悩んでいるときに大きな仕事を任せたりしたら、彼の精神的なストレスが増すだけ。その影響が仕事に出れば、会社としても不利益になりますから。

私は社員の誕生日に直筆のハガキを送っています。手書きのハガキが非効率で、全部印刷してしまえばいい? そう考える人は人間の心理がわかってない。印刷のハガキで、心が動くわけがないじゃないですか。思いはアナログのほうが伝わります。内容そのものより、自分のためにわざわざ手間をかけてくれているという事実に人は感動するのです。もちろんすべてバカ正直に手間をかけていると時間が足りなくなります。だから文面を使い回すなどの工夫をして時間を節約する。見える部分は手間をかけ、見えない裏側のところは効率化する。このバランスが大事です。

リーダーにとって最大の時間のムダは、決断の先延ばしです。社長の仕事は決定すること。社長が決めなければ、社員は動きたくても動けない。グズグズしているうちに、会社の動き全体が遅くなります。決断の早さが重要なのはビジネスパーソン個人も同じです。すぐに決断して動き出せば、それだけ早く仕事に取り掛かることができて、早く片づく。だらだら残業したくないなら、仕事のスピードをあげるより決断を早めることのほうがずっと効果的です。

失敗したときに見切る早さも大切です。我が社はシニアケア事業にチャレンジしたことがあります。エース級の幹部4人を投入して6000万円かけたものの、結果は大赤字。多少の苦戦は覚悟していましたが、私が考えている以上に市場がニッチでした。これ以上やっても傷口を広げるだけだと判断して、1年で撤退しました。シニアケア事業の社員は、当時伸びていた経営サポート事業に異動させました。その結果、利益が増えて、シニアケア事業の赤字はすぐ取り返せた。見切りが遅かったら、赤字が増えていただけでなく別事業の成長のチャンスも逃していたでしょう。

残業を削減すれば、賞与が増える仕組みを取り入れました。すると、社員たちはこぞってみずから業務改善を図るようになりました。当初、月に平均76時間あった残業時間は、現在17時間。コールセンターは残業ゼロです。成果が出ていないのなら、出るような仕組みに変える。至ってシンプルですが、それが社長の仕事です。

我が社が軌道に乗り出したころ、私は新しい事業を始めました。ところがうまくいかずに撤退。2億8000万円を新規事業に投資し、売上げはわずか3000万円……。この失敗から、あれこれ手を出すことより「やらないこと」の重要性に気づき、肝に銘じました。以降はむやみに新規事業に手を出すことなく、自社の強みを生かした経営をするようにしたのです。

残業削減にも、ずいぶん取り組みました。昔はバリバリ仕事をするのがよしとされていました。ハードな経験を通して鍛えられ、ダメな社員も一皮むけて成長を遂げました。過去ならそれで通用したでしょう。しかし、今の若い人は、それではついてきません。私は学生に聞いてみました。「仕事はキツいけど給料が高い会社と、残業はないけど給料がほどほどの会社と、どっちがいい?」みんな後者を選びました。これが世の中のトレンドです。だから武蔵野は、若い人の考え方に合わせて残業をしない方針に変えました。

生産性の低い会議はムダの極致です。会議にムダがあることに気づいていながら会議を減らせないのは、問題の意思決定システムがないからです。武蔵野の会議は、職責の低い順に、1人2分から最大7分で発言し、時間が来たら打ち切りです。発表内容は「数字報告」「お客様からの声」「ライバル情報」「本部・ビジネスパートナー情報」「自分の考え」の5点です。マーケットには、お客様とライバル会社しかいません。お客様とライバルの情報がない会議は無意味です。全員が発言を終えるまで、私はひと言も発しません。全員が終わったところで、「高橋さんの○○は人を増員」「鈴木さんの□□は毎週開催」と、その場ですべて決定します。これで会議は終わり、決まったことが実行に移されます。

自社の弱点をITでカバーしようとしても無理です。成果が出ていないことをIT化しても、コストが増えるだけでメリットはありません。IT化するのは、成果が出ているところです。すると、成果が出るのが早くなります。次にIT化するのは、バックヤードや定型化している仕事。バックヤードをIT化することで、時間が生まれます。生まれた時間をアナログでお客様と接する部分にあてます。一方、人と接するところはIT化しない。

うまくいっているように見える時でも、私はためらわずに組織のスクラップ&ビルドを断行します。「うまくいっている」とは、言葉を変えれば、「現状に甘えている」ということです。組織の中にいると、人は組織を維持しようとします。そのために不要な仕事をつくり出します。また、時間とともに「慣れ」が生じて、「やっているつもり」「わかっているつもり」が横行し、やがて致命的な事態を引き起こします。そうなる前に組織を変える。

組織の名前を変えると、人の意識が変わります。昔、本社に「事務管理部」がありました。その時は事務しかやりませんでしたが、「営業サポート部」に変えた途端、お客様対応を積極的にやるようになりました。働く人の意識が「事務」から「営業」に変わったからです。「カスタマイズ事業部」も「コンサルティング事業部」に変えたら、売上が倍になりました。「カスタマイズ」の頃は、お客様から言われたことを形にするだけ。それが「コンサルティング」になったことで視野が広がり、仕事の幅が広がったのです。

小山昇の経歴・略歴

小山昇、こやま・のぼる。日本の経営者。株式会社武蔵野の社長。山梨県出身。東京経済大学卒業後、ダスキンの加盟店を中核とした日本サービス・マーチャンダイザー株式会社(のちの武蔵野)に入社。その後、独立し貸しおしぼりのベリーを創業後、再び同社に戻り社長に就任。赤字続きの同社を改革し高収益を叩きだした。その他ダスキン本社の顧問などを務めた。ユニークな経営手法で知られ、自身の体験談をもとにしたビジネス書の執筆し、講演会を各地で開いている。主な著書に『仕事ができる人の心得』『儲かる仕組みをつくりなさい』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『社長! 儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!』など。

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