宋文洲の名言

宋文洲のプロフィール

宋文洲、そう・ぶんしゅう。中国人経営者、経営コンサルタント、経済評論家。営業管理システムのソフトブレーン創業者。中国山東省出身。中国東北大学工学部卒業、北海道大学大学院工学研究科博士課程修了し博士号を取得。卒業後、天安門事件の影響で北海道に残り就職するも会社が倒産。大学時代に開発した土木解析ソフトを販売する。ソフト販売で得た利益でソフトブレーンを創業。同社を営業支援システムの販売で東証一部上場企業へと急成長させた経営者。主な著書に『ここが変だよ 日本の管理職』『やっぱり変だよ日本の営業』『華僑流おカネと人生の管理術』など。

宋文洲の名言 一覧

蛇に一度噛まれたぐらいで、二度と草むらに入らない人は、もう成長できない。次は長靴を履くとか、棒で探って歩くとか対処して、新しいチャレンジしましょう。


「どれだけお金を持っているか」ではなく、「いかに様々な経験をしているか」が重要。


日本人は、もう少し気楽にやった方が幸せになれると思う。


数字化の意義は、曖昧なものを、曖昧ではなくすること。現象的、表面的なものから本質を抽出することにあるのに、それができていないから曖昧な指示・返答になる。


答えは現場にある。現場でお客さんの話をよく聞くことで、「こういうアプローチをすれば結果につながるな」というのがわかってくる。


私は売上げよりコストに気を配ってきました。コストを重視すれば、「負けない商売」ができるからね。


数字やお金だけで価値を計る人間になってしまうと不幸になってしまう。立場や金銭を乗り越えた人生こそが幸せなのです。


営業が苦手だからこそ、根性で営業しなくてもいいソフトをつくりたいと考えた。


僕は創業者タイプで、役割を果たしたから退くことにした。今後もアイデアが生まれ、創業したいという思いが強まれば実行するかもしれない。


人間には向き、不向きがある。創業に向く人と、会社を大きくすることに向く人がいる。両方やれるという人は珍しい。


社長が偉いのは、その立場にあるからではなく、経営のプロとして結果を出すからこそ。


異なる業種、異なる文化、異なる国の企業に移ったしても、変革や改革を断行し企業を成長させられる社長こそ真の経営者だ。


生え抜き経営者もよく変化の必要性や改革を叫ぶ。しかし、30年も同じ企業文化の中にいた人が想定している変化はたかが知れている。30年も漬け込まれた漬け物が、いきなり斬新な味に変われるわけがないのと同じだ。


体に良いということは、脳に良いということです。体に良いことにお金を使えば、仕事もはかどる。富を得られるかどうかは脳にかかっている。


お金を使えば失敗もします。でも失敗だって貴重な財産。失敗の経験がないと、怖くて使えなくなってしまい、歳とってから大失敗したりする。


管理職だって自分に100%成功する自信があるわけではない。でも「失敗したら辞める」というくらいの覚悟が必要。その厳しさの対価が給料ですよ。


お金があっても、私は幸せではなかった。幸せを求めるためにお金を稼いだわけでもない。きつい仕事ばかりやってきて、これ以上やると不幸になるから辞めました。


日本人は勉強しすぎ。僕は本を読まない人も嫌いだけど、1週間に4冊読むと自慢する人も嫌い。知識だけでは学びにならない。新たな環境に飛び込んで体験するしかない。


ホワイトカラーの仕事では、時間当たりのパフォーマンスを重視すべきであって、労働時間の長さとは関係ありません。短時間正社員が増えていけば、長時間労働が評価される慣習は徐々に改められるのではないでしょうか。


リーマン・ショックで、私もビジネスと投資の両方で大きな痛手を受けました。もちろん、不愉快で嫌だった。でも、いまでもハイリスクの投資は続けてます。失敗したときに、お金を失うのは、まだいい。リスクを取る気持ちをなくしてしまうのは、向上心をなくすのと一緒だよ。


貯金や、自分の楽しみだけの消費は、投資ではない。それでは10年続けても、いまのままの自分。自分が成長するものに、大事なものを投入する。これが投資なんです。


「物極必反」という言葉を知っていますか。「物事が極端にいくと必ず正反対の結果が生まれる」という意味です。愛社精神も行き過ぎるとマイナス。自分のためにも社会のためにもなりません。


よく「宋さんは日本人の働き方を批判するけど、残業は日本の文化だから変えようがない」という人がいますが、それは違う。だって文化が変わらないのなら、なんでみんな、ちょんまげにしてないの(笑)。僕にいわせれば日本人の残業は、文化というよりただのクセ。いままでやってきたことを変えたくないだけです。おかしいと思っても、残業を続けているほうが精神的にラクだから、そうしているだけでしよ。


現場力がないと直観力がなくなる。直観力がないとジャッジなんてもう屁理屈になっちゃうんですよ。


刻苦勉励が日本人の美徳というのは、経営者にとって都合のいい理屈に過ぎません。残業が減らないのは、本気でそうしようとトップが考えていないからです。日本人だって、本心では長時間働きたいなんて思っていないはずですよ。


残業が前提だと、社員は1時間で終わらない仕事は3時間かけてやればいいと考えます。それで一応結果は出るから、短期の戦術としては正しいと言えるでしょう。しかし、長期の戦略としては明らかに間違っています。なぜなら、社員が考えなくなるからです。この仕事は本当に会社にとって必要なのか自分の頭で考え、無駄な仕事を排除することができるのが、本当に優秀な社員です。


営業課長はセールスの能力なんてなくて構わない。チームとして効率の良い営業の仕組みを構築できればいいのです。


まだ体力もあるし、やる気もあります。でもあと10年やったら、私、この会社の中で神様にされてしまいます。そうなったら、私が間違ったことを言っても、誰も反対しません。間違った決定をしても、そのまま進んでしまいます。私が好まないデータが隠されてしまう。だからいまそうならないようにしなければいけないのです。
【覚書き|43歳でソフトブレーンの代表権を手放したことについて語った言葉】


現社長が明らかに間違った決定をしたら、言いますよ。だけど、あくまで役員会で一役員として言います。創業者だから意見に従えではなくて、論理的にデータに基づいて議論をして説得します。逆に相手が正しければそれを認めます。それが企業内統治なんですよ。


残業しなくてもきちんと利益を出せることを証明したい。うちは午後5時半にオフィスの電機を半分消します。見ていってください。


この会社を大きくするのは私の仕事ではありません。それはいまの経営陣の仕事です。誰でも正しいと思ったことを発言して、公正な議論で意思決定がされる企業文化をつくりたい。それがいまの日本企業に最も必要とされている内部統制だと思います。


中国人同士が大声で罵り合うのを見たことがあるかもしれません。でも、すぐケロリと仲良くなるでしょう。西洋人もそうですが、「喧嘩も礼儀のうち」です。だから、中国人の剣幕を怖がる必要はないんです。上手に喧嘩ができるようになれば、交渉はむしろ佳境に入ったといっていいでしょう。逆に遠慮して何も言わないと、押される一方です。


中国人と付き合うには、まず、あらかじめ細かな取り決めをした契約書を交わして、起こりうる悪い材料はすべて先に相手に言っておく。これが最初の注意点です。日本人は悪い話を嫌がります。背景の似通った日本人同士なら、アバウトな契約でもトラブルになりにくいですが、中国人も西洋人もビジネスは背景が違う人同士で行うのが普通です。細かく詰めるのは当然です。


中国人と付き合うには、同じアジア人という発想をやめることです。日本人も中国人も漢字を使っているとか、顔が似ているというのは日本人の思い込みです。相手がよく思ってくれていると勘違いする男女関係と同じです。本来、歴史問題など個人にとってどうでもいい話なのです。


残業を減らすには経営者側の意識も変えなくてはいけません。「残業は減らしても、売上は伸ばせ」では駄目で。「残業は減らす。売上が減ってもいい。だが利益率は上げる」、そう考えることが重要です。売上より利益率を優先し、利益は社員に還元する。それが強い会社をつくるために必要な考え方です。


残業を減らすには、制度をつくるより、残業が美徳だという意識こそ改めるべきです。残業してでも結果を残せばよいという「結果主義」の人事評価をやめて、「成果主義」に変えることから始める必要があります。この場合の成果主義は単に売上の数字を評価することではありません。新規開拓などにあたっていれば、それが利益を生むまでにタイムラグがあるので、事業の将来像を見据えながら、仕事のひとつひとつのプロセスを評価していくことが大切です。


会社ぐるみで規制をつくって強制しなければ残業が減らないというのは、本来恥ずべきことです。日本人は個の自立ができていないから規制が必要になるのであって、規制で縛られることに疑問はないのか、プライドはないのかと思います。


営業担当の配置を見直すことが重要です。取引内容がすでに安定している顧客や既存商品より、今後成長が見込める事業や新規開拓にこそ優秀な人材を配置し、人数も多く投入すべきでしょう。新規分野の開拓にはアイデアも必要だし、時間もかかります。それができるのは優秀な営業マンなのですが、大手企業では新規事業のリスクを恐れて、優秀な人材を安定分野に配置しがちです。リスクを恐れないベンチャーに大手が負けることがあるのは、それが原因ではないでしょうか。


付き合いが長く、受注内容が安定している顧客には、営業ではなくサービス部門の担当者を専任でつけたほうがよい場合もあります。分業したほうがよいものと、しない方がよいものを見極めて役割分担することは、残業を減らすうえで非常に大切です。


優秀な営業マンに大口の得意先を担当させる企業がよく見受けられます。しかし、大口取引の場合、売上を決めるのは商品力と信頼性とマーケットの動向であり、優秀な営業マンを配置したところで売上が急増することは、まずありません。その企業との縁を取り持ったのが営業担当者だからという理由でその後のやり取りもすべてその人を通して行うと決めつけていると、営業担当者の仕事は増える一方です。


利益の出にくい分野はどこの会社にもあるものです。たとえば顧客の中に、訪問回数が多いのに売上はわずかという相手はいませんか?そうした顧客を抱えていると、利益が圧迫されるだけでプラスに転じることはありません。しかし、営業担当者個人としては顧客に来いと言われたら、むげに断るわけにもいきません。個人で対処するのではなく、トップの判断で会社から案内状を送り、顧客に撤退を知らせるといった対処が必要です。


仕事の優先順位を決める過程で、同時に行うべきなのが「やらない仕事」を見極め、そぎ落とすことです。たとえば何十年も前に始めた行事が形骸化しているなら、それはやめていい。やらなくても済む仕事、やっても成果に結びつかない仕事なども切り捨てるべきです。これらから手を引くことは、回りまわってっ利益を生むはずです。


優先順位は個々の社員レベルで決められないことが多いのも事実です。プロジェクト単位の優先度など、大枠はマネジメント側が決定し、それを社員と共有するというのが正攻法でしょう。


仕事の優先順位は緊迫感がないと決まらないものです。だから「残業せず時間内に仕事を終える」ということを頭に入れ、限られた時間内で重要なことから先にやっていく習慣をつけることです。


延々と続く営業会議で、自分の風邪や顧客の出産を報告したところで、それが成果を生むわけではありません。営業部門に限っていえば、会議は週一回一時間あれば十分です。最初から終了時間を決め、各自が話す時間を指定して、時間内で話を終えるように促せばそれで済んでしまうものです。


仕事のプロセスを洗い出すときに留意すべきなのが、「成果の出るプロセスとは何か」という点を押さえたうえで作業を切り分けたり、統合したりすることです。大切なのは成果との因果関係であり、成果を組まないプロセスを組むのはまったく意味がありません。


あらかじめ作業時間を見積もっておくと、残業が本当に必要で行われているものなのか、昼間の仕事に身が入らず時間がズレ込んだだけなのか、判断する基準になるでしょう。


各プロジェクトごとに、プロセスを分解し、そして各プロセスに必要な時間を割り出し、それを合計して全体でどれだけ作業時間を要する仕事かを把握します。マネジメント側で計算を行えば、そのプロジェクトに何人の社員を配置すればいいかもわかります。


昼間ダラダラと過ごした結果、夜にずれ込んだ仕事を残業として認めろというのはおかしな話です。あるいはこのへんをもっと細かくやろうとか、納得できるまでやりたいと自分だけ思っていて、その結果時間外も働いたのなら、それは仕事ではなく趣味の範疇です。ほどよい緊張感で朝から午後5時まで働いたら、疲れて残業などできないはずです。


自分は仕事が好きだから残業してベストを尽くすのだという反論もあるかもしれません。しかし、乗っている飛行機が墜落しようというときに、残された時間で家族宛の遺書を書く人はいても、会社宛の遺書を書く人はいません。社員は会社を愛してなどいません。経営者も社員の残業が愛社精神によるものではないことを知るべきでしょう。


経営者は企業の中で、経営という役割を果たしています。その意味では営業とか開発などの役割を分担している社員と対等なんです。それなのに「経営者は偉い人だ」と誤解している人が多い。だから昔の殿様みたいですよ。偉い人はカゴに乗せられて、そこのけそこのけで通るわけですね。でも、担がれているから、降りたいと思ってもなかなか降りられない。


やっぱり人を使うのは楽しいんです。社長をやっていると、権限があるから命じればみんなが走ってくれる。でも、やめたらそうはいかないですよ。経営者の中には、それこそ死ぬ寸前まで会社に出てくる人もいますよね。どれほど人をコントロールして使いまわすのが好きなのかわかるでしょう?これは中毒なんです。大麻のようなものです。僕の場合、中毒にかかる前に大麻をやめたということですよ。
【覚書き|早期に会社の代表権を返上し引退したことについての語った言葉】


僕はすごく計画的なんです。思いつきでやめたわけじゃないですよ。そもそも僕は、マザーズに上場する前から「遅くとも40代のうちに引退する」と宣言していたし、実際、上場前に社長から会長になりました。そして二部上場のときに新しい社長を招き、一部に昇格したときに代表権を返上しました。


日本企業の製造部門の生産性が高いのは、技術の高い職人が社内にいるからだと思っていないでしょうか。そうではありません。誰がラインに入っても高品質のクルマを製造できるように、作業を徹底的に標準化しているからです。つまり、営業部門などの販管部門だって作業の標準化を徹底すれば、効率はもっと上がります。ソフトブレーンで営業改革のソフトウェアを開発し、それを導入した多くの企業が営業効率をめざましく向上させているのをこの目で見てきた僕が言うのだから、間違いはありません。


よく「部下のモチベーションを上げれば成果があがる、それこそが管理職の仕事だ」と思っている人がいますが、これは間違いです。仕事に対するやる気が高い人もいれば低い人もいるのは当たり前。それに、いくら上司が頑張れと言ったところで、上がらないものは上がらないのです。そうではなく、モチベーションが低い部下でも結果を出せる仕組みをつくる、これこそが上司の役目なのです。


日本企業の経営者の平均年齢が高すぎるのもよくないと思います。40代でもきつい会社の経営が、70代で務まるわけがありません。でも、日本の大企業のトップには70代、80代の人もいる。そういう人たちに「会社を変えよう」と言っても、それは無理というものです。だって、新しいことに挑戦できるだけの体力が残っていないでしょ。


僕は最初、毎晩遅くまで残業する日本人を見て、なんてタフなのだろうと感心していました。でも、それは勘違いでした。昼間にビジネス街の喫茶店をのぞいてみてください。時間を潰すスーツ姿の人たちでいっぱいじゃないですか。そうやってエネルギーを温存しているから、夜まで元気で働けるのです。


僕がいつも不思議に感じるのは、どこの会社も会議の時間はたいてい1時間単位だということです。どうして20分単位じゃいけないのですか。僕は日本の会社のそういう変なところをたくさん本に書きましたが、残念ながら一向に改善されていないようです。


お金の投資とは、価値のポジションを変更すること。そしてお金はいくつかにポジション変更しておかないと危ない。でもそれは土地や株とは限らない。むしろ人脈や経験にポジションを移すことこそが、将来財産となる。


人脈作りにお金を使うと言っても、接待のように短期的で打算的な人脈ではない。投資するのは、長期的に活きてくる人材。だから、私は「絶対この人が欲しい!」と思ったら、自分より給料を高く払ってでも会社に来てもらいますね。


どんなにお金をかけようと、まだ経験していないことを経験すべきだと思う。お金を使って経験を買う。授業料ですね。投資なり、転職なり、海外に行くなり。もちろんどれもリスクはあります。失敗したらお金はパー。たとえ、失敗したとしても、それは経験となり、かけがえのない財産となります。


中国では有名な話ですが、ある日、なじみのラーメン屋に行くと、店主が皿を洗っている。そして、アルバイトがふんぞり返っている。「どうしたの?」と聞くと、「昨日、麻雀で負けて店を取られた」と。「でも大丈夫、今晩取り返すから」って(笑)。まさに「明日があるさ」の精神です。


せっかく雇ったのだから、残業させて目いっぱい働かせなければ損だと考えるのは、その経営者が社員を会社の私物だと思っているからです。でも、それは違う。会社はあくまで労働力を買ったのであって、社員の、全人生を買ったわけではないのです。だから、「俺は1000人食わせている」なんて経営者がいうのは失礼だし、入社式で「おめでとう」というのもおかしい。たまたまその会社で働く契約が成立したからそこにいるだけであって、社員にしてみれば、自分の労働力をもっと高く評価してくれる会社があれば、そっちにいきたかったわけだから、おめでたくもなんともないのですよ。


残業ばかりさせてその分のお金も払わないような経営者なら、社員は辞めればいいのです。そうすればそうした会社は潰れ、サービス残業の多い会社は自然と淘汰されていきます。日本企業から残業が減らないのは、文句をいいながらも会社を辞めないサラリーマンにも原因があるのです。


サービス残業を社員に平気でさせるような経営者は、残業がさまざまな社会問題の原因にもなっていることがわかっていません。消費が伸びないのは、多くのサラリーマンが残業で遅くまで会社にいるからです。少子化だってそう。深夜にヘトヘトになって帰宅して、それから子づくりに励もうと誰が思いますか。


僕は日本の大学院を卒業して、3カ月サラリーマンを経験してから、自分の会社を立ち上げました。ベンチャーですから、朝から自分でもプログラムを必死で書くじゃないですか。そうすると、やっぱり夕方5時ごろには頭が痛くなってきて、残業しようにもできない。ところが、日本の会社は毎晩、社員が遅くまで働いていると知って、日本人はなんと頑丈なのだろうと、僕は当時、本気で感心していました。でもそのうち、本当のことがわかってきた。なんのことはない、昼間、適当に手を抜いているから、残業する余力があるだけのことじゃないですか。


仕事が速い人は集中力がありますね。日本のビジネスマンのなかには、就業時間内にもっと集中して仕事をすれば、残業なんてしないで帰れる人が結構いると思いますよ。


どうせ返事を出すのなら、早いほうがいいじゃないですか。僕は2秒後も2時間後も、メールの内容は変わらないとわかっているから。それに、返事を出す出さないを含めて、どんどんジャッジしていったほうが、絶対に得でしょ。遅いと、それだけコストになるわけですから。


大事なのは現場感覚です。日本の経営者と政治家は「現場」という言葉が好きですが、なぜかグローバル化を進めようというときには「現場」を見ない。不思議です。日本のリーダーは「外」を知らなすぎる。くだらない出張でもいいから、町を歩いてみればいい。その肌感覚がないまま議論しても現実からどんどん離れていく。


ドイツの自動車メーカーや韓国のメーカーは、中国市場で「小さなエンジンをつけた大きな車」をつくっちゃうんです。なぜなら、中国人はでかい車が好きなんですね。エンジンは安いものを積んでいるので、車体が大きくても安く買える。一方、日本メーカーはまじめだから、小さな車体には小さなエンジンを載せ、大きな車体には大きなエンジンを積む。中国人の好きな大きな車を買おうとすると、性能はよくても高くついてしまうんですね。


「技術」に頼りすぎるのは危うい。技術力でシェアを拡大できるというのは一種の罠だと思います。日本の技術が優れているので日本企業が作ったものは中国でそのまま売れる、というのなら、1970年代にそうしたように日本で作ってどんどん「輸出」すればいい。でもいまの中国のマーケットは、現地で消費者のニーズをくみ取ったうえで、技術を使って開発しないと受け入れられません。


大手電機メーカーやテレビ局の経営トップを見て分かる通り、大企業の社長はたいてい、ずいぶんと偉そうにしているよね。本来は社長も平社員も同じ立場で、ビジネスシーンという戦場での役割分担が違うだけ。「人間として上になりたい」といった考えで出世を目指すのは、極めてナンセンス。


営業で重要なのは訪問件数よりも見込み客へのアプローチ件数、そして決裁権のあるキーマンと会った回数。ただキーマンと会っただけでもダメで、最終的には「今年の予算で考えます」と確約をとって初めて意味がある。


いくら成約という結果につながりそうだといっても、儲からなければどうしようもない。日本語には「割に合う」といったいい言葉がありますよね。ビジネスとして、割に合うかどうかを判断しなければいけない。


「数字から割に合うかどうかを読む能力」を磨くには、普段から何でも数字に置き換えて表現するクセをつけていく。売上げがいくらでコストがこれだけかかる、利益はこうなるとね。いろんな数字を比較・分析して、儲かる構造を実感すること。


お金は人間の尊厳を保つためには絶対に必要なものです。お金の魅力は私も十分わかっていますし、お金に執着心をもつのは悪いことではない。ただ、その執着心が人を不幸にすることを知るべき。これは私自身に対する警告でもあります。


年に2000万円もらっている人間でも、それで満足はしていない。なぜなら彼らの上に5000万円もらっている人がいるからです。上を意識し出すとキリがない。死ぬまで続きます。ソフトバンクの孫正義さんだって、ビル・ゲイツを見たら不満だと思いますよ。


生活に必要なお金があればいい、あとの時間は自分のために使う、といった自立した価値観を持たないと、やがてお金の差に敏感になってしまう。差が気になり始めると、たとえ豊かに生きていける環境にあっても不幸になる。


私は接待が大嫌いでした。接待は買ってもらうために、好きでもない人に媚びを売らなければなりません。売る側も買う側も、本来は対等な立場。「買ってやるから」と横柄な態度をとるのはやめるべき。買う立場の人間は営業マンをいじめるなと言いたいですね。


私が尊敬する経営者というのは、その会社のトップである以前に「経営のプロ」なんですよね。本人もその意識を強く持っているし、だからこそ結果最優先でものを考える。


今の日本を見ていると、企業や産業に稼ぐ力を身に付けさせない仕組みが数多く存在する気がします。例えば補助金。農業を含め地域産業の育成を目的にした補助金はたくさんありますが、産業や企業の競争力強化の妨げになっている。


国がだらしないから希望が持てないと嘆く日本人は多いですが、国がしっかりしていたら、個人がビジョンを持てるというのは戦前の考え方。国のビジョンと個人のビジョンは全く関係ありません。


日本の若者にハングリー精神がなくなったと言うのは嘘。中国で活躍する日本人の若者はたくさんいる。環境が問題なんです。日本人の良さは失われていないけど、価値を引き出すには新しい環境が必要。


10年後の日本がどうなるかを考えるにあたり、最も大切なのは「世界の構造変化」を理解すること。日本人の多くは国内に目を向けがちですが、原因の8割は「外」にあります。


人の話を聞かないと、自分で考える癖がつきます。聞くのは判断力がついてからでいい。若い時はないんだから、とりあえず全部は聞かない。苦労も後悔もします。でも、それでいい。それで大きくなると思う。


華僑でも中国だけに資産を集中しません。あちこちの国に分散します。日本でも東日本大震災という誰も予測できないことが起きた。昔は中国にはカントリーリスクがあるという人が多かったけど、日本にも違う形でカントリーリスクがあるわけです。どれだけ分析したって、人間が予測できないリスクは存在する以上、投資対象を分散し、リスク管理は必要。


生活で大事なのは合理性。私は毎週、北京と東京を往復しますが、いつも飛行機はエコノミーです。なんの不自由もない。ビジネスクラスやファーストクラスなら目的地に早く着くわけではないでしょう(笑)。でも、子供の教育にはお金をかけてもいいと思うし、健康のための食事なら高くてもいい。その代わり、銀座のお店でお酒を飲むだけで高いお金を払いたくない。


まず私は、人の視線を気にするようなお金は一切使いません。見栄とか虚栄心のためには使わない。だから飛行機はエコノミークラス。だって、この小さな身体に巨大な椅子は必要ないですよ。では何に使うかというと、第一は体に良いこと。二番目は人脈。三番目は経験。


やりがいとか自己実現とかいった話は「趣味」であって、「仕事」ではないよ! 管理職の「仕事」は「結果を出すこと」に尽きる。一にも二にも、三にも四にも結果がすべて。「仕事の醍醐味」なんて言っている場合ではない。趣味で人を動かしたら、うまくいかなくなった時に部下をいじめるようになる。趣味だから、リスクを負ってまで積極的にリーダーシップを取らないし、「人に嫌われてもいい」という覚悟の下での冷徹な判断もできない。


「出世しなくていい」という考えは、とても合理的だと思いますよ。私も、もし日本企業に勤めていたら出世なんて目指しませんね。日本では、社長ですら給料は同世代の平社員の3~4倍も受け取れないかもしれません。管理職の責任の重さ(リスク)と給料(リターン)のバランスが合っていなくて、ハイリスク&ローリターン。こんな状況で、誰が高いリスクだけを抱える管理職をやりたがりますか。「出世しよう」と考えない日本のビジネスパーソンは賢いんですよ。


自分の会社は絶対に他人に譲らないとか、自分の資産をそのまま身内に相続させたいとか、そういった人間は多い。でもその裏では派閥争いが横行し、不公平感が充満しているところもあります。立場や地位を守れば幸せだと勘違いして、実際はそれらに手足を縛られている。私から見れば、それこそ不幸ですよ。


しないように心がけてほしいのは、人の話を聞きすぎること。話を聞かないと嫌な存在になるし、組織で生きづらいかもしれないけどやってほしい。話を聞きすぎる日本の若者は聞かないぐらいでいい。逆に中国の若者は聞いてほしい。両者の間がバランスがいいけど、そううまくいかないね(笑)。


人間は知識ではなく行動で変わる。教養や知識を求めすぎる人は、バンジージャンプの台に座って、読書しているのと同じなんです(笑)。飛んだ1秒目はどうなって、ゴムが一番下まで伸びたらどうなるか。5cm踏み出せば分かることを、3か月かけて読んで、結局飛ばない。あまりにもったいないよ。


市場の隙間は賢い人が見つけるわけではありません。意識して見れば自然と見つけられます。例えば、妊娠すると街に妊婦が多いように感じたりしますよね。それは意識しているから見えているのです。海外に行くと日本の便利さに気付くこともあります。これも意識があるからです。こういった見方が起業には必要です。これを身に付けるには、異文化の人や異なる世代の人とかかわって養うことが大切です。


上場前から退職することは狙っていました。辞めようと思った理由は、自分の才能の限界を知っているからです。経営者になった時、多くの先輩経営者にお会いしました。間近で話を聞くたびに、彼らの経営への情熱や能力を思い知らされ、僕はそういう人間ではないと自覚しました。それに、もともと営業も苦手でしたからね。


「残業を禁止して労働時間を強引に制限すれば、社員が自発的に様々な工夫を凝らし、自然と生産性も上がるだろう」。本気でそう思っている経営者がいたら、日本人というものを全く分かってないよ。江戸時代から美徳とされるのは、真面目に猪突猛進、滅私奉公、石の上にも3年、急がば回れで、とにかく愚直に量を追い求めること。だから、仕事を増やし労働時間を増やすと本人もうれしいし周囲からも評価される。逆に、同じ仕事をより短い時間でこなすことは手抜きと見なされて、サムライのやることではないとの価値観がある。そう考えたら、日本人が個人で効率を上げることなんて無理なんだよ。


正直に言って、管理職は「いい時」よりも「悪い時」の方が多い。でも、その悪い時に「どうやって結果を出すか」をとても厳しく問われる過酷な立場です。管理職がやるべき仕事は新しいことや改革だから、仮に部下6人が賛同してくれても残り4人は反対しますよ。「いや、宋さん、私の部下は8~9人が理解してくれますよ」と言う人がいたら、その人は「これまでと同じことを今日もやろう」と言っているに違いない。半数近い反対派に負けずに推し進めていくことが重要で、その孤独感やつらさを我慢して乗り越えていかないといけないのです。気づいていない人が多いようですが、管理職は本質的には経営側の人間だから仕方ない。


本音を言えば、転職してしがらみを全部なくして大胆に挑戦して、実績を積んでほしい。5年に1回転職すると決めれば、次の転職先との入社交渉で使う切り札を今の職場で作ろうと思うようになり、そのために積極的に行動しますよ。「こんな成果を上げた」「こんなマネジメント能力を持っている」と面接官に言えるようにね。面接で「あなたは何ができますか」と聞かれて、「課長ができます」と言ってごらん。即不採用か、仮に運よく採用されても給料を買い叩かれるだけですよ。


やるかどうかは別にして、現在の会社を出る可能性を意識した働き方をしてほしいですね。何かの統計で見たのですが、中国の若者の4割は「いつか起業したい」と思っているそうです。実際に起業できる人はごくわずかでしょうが、とにかくそういった気概を持っている。だから、中国の若者はスキルを身につけるために転職する。そして、どこの会社に行っても「そのプロジェクトをやってみたい」「あのお客さんに会わせてほしい」などと、仕事に積極的に関与しようとします。いい意味で、人のふんどしで相撲を取ろうとするのです。失敗? 全然気にしないよ、どうせ辞めるから。日本はどうですか。ずっと同じ会社にいると心底思っているから、先輩・同僚・後輩という固定化した人間関係の中に縛られて、思い切ったことをしようとしない。「おかしいな」「これは間違っている」と思っても我慢する。そんな状態でいたら、せっかくの才能が生かされません。皆さんには、どんどんリスクを取って、経験を積んでほしい。


投資は大事なことです。中国人はみんな投資をしています。でも、私がそういうと「お金が無いから難しい」と言い訳をする人がいる。そういう人は投資を誤解しているんですね。お金を使った投資だけが、投資ではありません。自分の労力、時間、気持ち……など全部投資できるんですよ。たとえば、田舎の実家から名産の果物が届いたとします。私なら自分は食べないで、皆に配るよ。それも自分にとって大事な人間に配る。将来、自分の商売を助けてくれる人。ノウハウを教えてくれる人。自分を引っ張って出世させてくれる人。そういう人々に配ります。これが投資の発想です。お金だけじゃない。時間、労力、気持ち、自分が大事にしているもの全部を投入して、将来大きくなるために使うことが投資なんです。


宋文洲の経歴・略歴

宋文洲、そう・ぶんしゅう。中国人経営者、経営コンサルタント、経済評論家。営業管理システムのソフトブレーン創業者。中国山東省出身。中国東北大学工学部卒業、北海道大学大学院工学研究科博士課程修了し博士号を取得。卒業後、天安門事件の影響で北海道に残り就職するも会社が倒産。大学時代に開発した土木解析ソフトを販売する。ソフト販売で得た利益でソフトブレーンを創業。同社を営業支援システムの販売で東証一部上場企業へと急成長させた経営者。主な著書に『ここが変だよ 日本の管理職』『やっぱり変だよ日本の営業』『華僑流おカネと人生の管理術』など。

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恥ずかしげもなく積極的にアウトプットする習慣を付けるのが語学上達のコツ。


山極寿一(山極壽一)

私は、よく大学はジャングルだ、というんですけど、ジャングルというのは象もいればオカピもいる、いろんな動物がいます。普段は会わないから、互いに何をしているか知りません。でも、共存しているのです。その生態系は大学も一緒です。文学者もいれば、科学者もいるし、医者もいる。多様な人たちが自分のやりたいことを互いに出会わずに暮らしている。そして、たまにゴリラとチンパンジーが接触して新しいものが生まれるように、ジャングルというのは植物も動物もどんどん新たな種が生まれてくる場所なのです。それだけの包容力があるし、違った者同士が出会える場所だからです。言い換えれば、もっともイノベーションが起きやすい場所なんですね。大学も、自分の学問だけではなく、違った分野の世界に出合うことができる。これこそが大学の意義なのです。


小嶋光信

どんな大企業も同じですが、企業の強さを決めるのは何より、社員の「意識」です。「より良い製品・サービスを作ろう」「課題を一つでも解決しよう」「簡単には諦めない」という。


奥山清行

世界を相手にビジネスをするためには、日本は改めなくてはならない点もあると思います。端的に言えば、言葉でコミュニケーションすることを「悪」と思っているということです。多くの日本人は、自分の考えを主張することに無意識のためらいを感じます。しかしアメリカ人もイタリア人も、自分の考えを言葉で表明することに罪悪感を覚えることはまったくないといっていい。彼らは、言葉でしか伝わらないと思っているし、もっといえば、言葉でも伝わらないと思っています。


福田浩一(銀行家)

山口銀行は「堅い」というイメージで見られていると思うのですが、実は少し違っています。「健全なる積極進取」、つまり現状維持は後退の始まり、新しいものを積極的に取り入れようという行是があり、「挑戦する」ということが行員みんなの共通認識になっています。


田島弓子

1週間のタスクは前週の金曜日の退社前に、1日のスケジュールは前日の退社前に書いていました。前の晩のうちに「明日はこれをする」と翌日のことを把握しておけば、仕事のことを一時安心して忘れることができます。また翌朝の立ち上がりも早いですし、決められたタスクを塗りつぶしていくことに集中できるので、気分的にものすごく楽でした。


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