大野裕の名言

大野裕のプロフィール

大野裕、おおの・ゆたか。日本の精神科医。国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター所長。愛媛県出身。慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学精神神経学教室助手、医学博士号取得、慶應義塾大学保健管理センター医師、慶應義塾大学医学部専任講師などを経て慶應義塾大学保健管理センター教授に就任。そのほか、日本認知療法学会理事長、日本ストレス学会副理事長などを務めた。「うつ」についての書籍を多数執筆。

大野裕の名言 一覧

大事なのは、現実にきちんと目を向けること。現実を客観視できれば、問題に対処する力が出る。


将来の目標も書き出してみましょう。未来に希望があるからこそ、目の前の現実に立ち向かう勇気も湧いてくる。


自分の考え方の特徴がわかると、行きすぎた考えにブレーキをかけて、冷静に現実に目を向けやすくなる。


簡単なことからで十分。小さくても結果を出していけば、自信がついてくる。


忙しい現代人は立ち止まってゆっくり考える時間がありません。うつは、心身や人生に問題が起きているという自分自身からのメッセージととらえて欲しい。先を焦らず、立ち止まってみることが何よりの回復につながります。


医師が「相談相手」となるわけですから、まず話をして「相性が合う」こと。そして、患者の質問に対して「わかりやすく話してくれる」ことが大切です。さらに、薬の効果と副作用について十分な説明があり、「一度にたくさんの薬を出さない」ことも、信頼できる医師の判断基準になると思います。また、大学病院や町のクリニックなどありますが、大切なのは医師との相性なので病院の規模は関係ありません。セカンドオピニオンは必ずしも必要なわけではありませんが、症状が改善しないときには他の医師の意見を聞くといいでしょう。ただ、次々と受診先を変えるのは好ましくありません。


気持ちが動揺したときには、考え方が極端になりすぎていないか確認してみましょう。そうすれば、自分をより客観視できるようになります。


うつは職場復帰後に再発するケースは少なくありませんから、最初は慎重に。仕事の後にプライバシーが確保できる場所で、仕事の進捗状況や調子、何か困ったことはないかなどを聞き出し、きめ細かくサポートしてください。


うつは何をしても楽しいと感じられなくなった状態ですから、まずはストレス原因である仕事や職場から離れて、日常生活を楽しめるようになることが回復には欠かせません。


うつ病の回復には個人差があります。数カ月で復帰できる人もいれば長びく場合もあり、予測がつきにくい。


うつの症状が軽くて、本人が仕事をしたい意思があるなら、仕事を続けながら治療することも可能です。治療の面からもそれが望ましいこともあります。しかし、配置換えや仕事の変更などをしても改善しない場合、または本人の希望がある場合、仕事を休むことも視野に入れていきます。


若手社員は指示を一方的に受ける立場で、その重圧やフラストレーションで精神的に追い込まれやすい。


うつは誰でもなる可能性のある病気です。私のもとにくる患者さんも「まさか自分がうつになるなんて」と吐露される方が多い。たとえば、悲観的だったり、責任感が強い性格はうつになりやすいと思われがちですが、誰でも心身の疲労が溜まってくれば、後ろ向きになったり、自分を責めたりしやすぐなります。うつは予測がつかない。「普段と何かが違う」と感じたら、いつも以上に気をつけて社員を観察し、話し合いの場を持つことです。また、原因が上司その人の場合もあるので、会社の中で上司以外と話せる環境をつくっておくことも必要でしょう。


一般的に、私たちは自動的にマイナスに物事を捉えて、その後で現実を確認しながら考えを修正していく機能を備えています。しかし、気力が落ちているときには、物事を精査する思考力も低下しているため、マイナス思考から脱出できず、過度に悲観的になってしまうのです。


「前向き」と言うと「悪いことばかりじゃないよ」といった楽観的な姿勢のことだと考えがちですが、本来の「前向き」とは、次のプロセスにつながる考えのこと。現実を受け止めたうえで、どう改善していくかを具体的に考えていけるようになること。


誰かに相談できれば客観的な意見に触れることができますが、人に相談するというのは簡単なようで実はハードルが高いもの。あまりに悩みが深ければ相手も受け止めきれないからです。そこで、書き出すことによって自分の気持ちや考えを客観的に見る「もう一人の自分」をつくることができれば、他人ではなく自分に相談できるようになる。


現代のビジネスマンは、何に悩んでいるのかを把握できないほど多くのストレスを抱えています。そんなときはまず、ひとつずつ悩みを書き出して思考を整理することをお勧めします。なぜなら、悩みは思い込みであるケースが多いからです。


気晴らしや睡眠薬がわりにお酒を飲むのはよくありません。アルコールはむしろ眠りを浅くしたり、気持ちを沈み込ませる作用があるので、かえって眠れ強くなってしまいます。依存症のリスクがあるほか、うつ病の再発リスクも高まります。


15分以上眠れないときは、そのまま輾転反側(てんてんはんそく)せずに、いったん布団から出てゆっくりと時間を過ごします。再び眠くなってきてから、また布団に戻りましょう。それでも眠れないときは「いずれ眠れるさ」と開き直ることも大切です。


明らかに辛そうなのに、本人が「これくらいのことは何でもない」と頑張りすぎていることもあります。そんなときは家族が「重さと時間と経過」を観察して、リングサイドからタオルを投げ入れることも必要です。


反射的にネガティブな考え方をしてしまうことは、自然なことです。むしろ自動思考によって物事をマイナスに捉えることは、日常生活をつつがなく送るために必要不可欠とも言えます。たとえば、家で怪しい物音が聞こえたとき。「泥棒かもしれない……」と警戒できなくては困ります。確かめてみたら勘違いだとわかるかもしれませんが、確かめなくては手遅れになる場合も少なくありません。問題は、「ネガティブな考え方」ばかりにとらわれて、抜け出せなくなることです。


配偶者がうつ病と診断されたときには、自分も妻や夫という役割の前に一人の人間だ、という点を心にとめておいてください。「妻(夫)としてこうするべきだ」と思い込んでしまうと、お互いに辛くなります。むしろ「自分はここまでしかできない」と一線を引き、周囲に助けを求めながら、時には患者さんから離れて一人の時間をつくるようにしましょう。うつ病の治療には長い時間がかかることがあります。ですから、配偶者や家族も患者さんに振り回されず、自分の生活を守ることを含めて、自分ができることを客観的に見ることのできる距離感を保つことが大切です。


うつ病の患者さんに対しては、あまり励まさないことが原則です。こんなはずではないと一番焦っているのは患者さんです。こうしたときに励まされると、抜けだそうともがいている自分を頭から否定されたように感じてしまいます。肯定も否定もせず、淡々と話に耳を傾けるだけで、患者さんの気持ちはだいぶラクになります。一方で「心配しているよ」という気持ちを率直に伝えたほうがいい場合もあります。家族だからこそ、言葉によるコミュニケーションに意味があるのです。そのときは「眠れていないようだけど」など具体的に何を心配しているかを伝え、できるだけ穏やかな言葉づかいで話すように心がけてください。同時に何が問題かを一緒に考えて解決方法を探そう、と伝えましょう。


「書く」という作業は自分を客観的に見ることにつながるので、日記をつけることもお勧めです。日記があれば「数週間前は起き上がれなかったのに、いまは散歩に行けている」など、後から第三者的な目で確認できます。気分の波があることを客観的に理解できると、うつの揺り戻しがきても、むやみに焦らず、徐々に自分を取り戻していく力になります。頭の中だけで悪く考えすぎていないかどうか、もう一人の自分がチェックするのも役に立ちます。ただ、毎日何か書かないといけないと自分を縛りすぎると辛くなるので注意してください。


大切なのは、生活のリズムを整えること。朝は決まった時間に起きるようにしてください。布団で悶々としていないで、思い切って起き上がって太陽の光を浴びるようにします。どうしても起き上がれないときには、カーテンを開けて部屋を明るくするだけでも違います。夜は眠くなってから、布団に入りましょう。布団に入ったら寝る、という条件反射をつくるためです。


体を動かすことも気分をラクにします。体を動かすと気分が変わるというエビデンス(科学的根拠)もあります。散歩など、簡単なことから始めてみてはどうでしょうか。ただし、歩きながらあれこれ心配事を反芻してしまうと、少しも気持ちがラクになりません。散歩中は風を感じたり、道端の草花に目をやったりするなど、散歩という「いまの行動」に集中しましょう。


心と体を休めるように、という心身からの警告がうつ病です。ですから治療中は「ラク」が一番。働いている人は、上司に相談して仕事を調整するようにしてください。家事や育児も家族の手や業者のサービスを頼んで負担を減らすようにしましょう。少し疲れが取れてきたら、興味があることや、以前好きだった活動を再開してみてください。やりがいを感じたり、気持ちがラクになる行動を少しずつ増やしていくことは「自分にもできることがあるんだ」という発想の転換につながります。いつものように仕事や家事ができていないのに楽しむようなことをするなんてと罪悪感を抱くかもしれませんが、うつ病の場合は楽しい時間そのものが治療です。


一般に、生真面目で責任感が強い人はうつ病になりやすいといわれます。しかし、うつ病は誰でもかかるもので、その人にとって苦手な状況におかれたときに発症すると考えたほうがいいでしょう。人間関係を大切にする人は、仕事の成績よりも職場の人間関係の挫折が重くのしかかりますし、パフォーマンス重視の人は業績が落ちると気分も落込みます。たまたま「当たりどころが悪かった」だけで、誰でもうつ病になる可能性があるのです。


大野裕の経歴・略歴

大野裕、おおの・ゆたか。日本の精神科医。国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター所長。愛媛県出身。慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学精神神経学教室助手、医学博士号取得、慶應義塾大学保健管理センター医師、慶應義塾大学医学部専任講師などを経て慶應義塾大学保健管理センター教授に就任。そのほか、日本認知療法学会理事長、日本ストレス学会副理事長などを務めた。「うつ」についての書籍を多数執筆。

ページの先頭へ