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大平浩二の名言

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大平浩二のプロフィール

大平浩二、おおひら・こうじ。日本の経営学者。「明治学院大学経済学部」教授。慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。専攻は経営学説史、経営組織論。また、経営哲学学会会長、日本経営教育学会常任理事などを務めた。

大平浩二の名言 一覧

企業組織は戦略に従うと言いますが、むしろ経営者の哲学に従うべきだ、と私は考えています。企業不祥事を防ぐための原点は、あくまで経営者の人間力に求められるのではないでしょうか。


見方を変えれば、早期に不正が表に出たり、不祥事が明らかになるのは、企業にとって実はよいことなのです。なぜなら、逆に表に出なければ、それだけ不健全な隠ぺい体質が長く続き、その間、社員が苦しむことになり、多くの人がその犠牲になるからです。


決してなくなることはない不祥事という人災を目の前にした時、不健全な経営に変容してしまうのか、健全な経営を続けるのかは、経営者の覚悟次第だと言っても過言ではない。


不祥事は人間の問題であり、また、複数の要因が絡み合っています。ですので、まずは防止策の評価を40点から50点に、そして60点、さらに70点、80点へというように少しずつよりよい改善策にしていくという考え方が大切で、そのためには継続的な努力が欠かせません。


不祥事の再発防止策で考慮すべき4つのポイント。

  1. 百点満点の解決はないと考える。少しずつよりよい改善策にしていくという考え方が大切。
  2. 人間の問題(精神的な弱さ)を原点に考える。
  3. 制度的な対応策を講じる。不断のチェックが行なえるガバナンス制度を構築する。
  4. よき組織文化を構築する。

間違いを犯さない人間はいません。そして企業を構成しているのは人間です。したがって、企業において間違いや失敗、ミスが起きるのは当然のことといえます。ですから、不祥事は「人災」であり、人間が存在する以上は、この世からなくならないということを踏まえて防止策を検討すべきである、というのが私の基本的な考えです。


不祥事とは、表面化してはじめて不祥事になるのであって、外部の私たちがその存在を知ることができるのは、不正が外部に表出した場合に限られます。表面化していない隠ぺいされた不正は、不祥事以上に多くあると考えるべきでしょう。まさに、企業の不祥事は不正の「氷山の一角」にすぎないのです。


昨今、経営者にはROE(自己資本利益率)などを重視した財務効率の追求など、経営スキルばかりが求められる風潮があります。しかし、不祥事という事態が発生した時に問われるのは、スキルではなく経営者の「人間性」なのです。「伏せておこう」と隠ぺいを始めるのか、それとも初期の段階で潔く非を認め、自らが先頭に立って誠実な態度でことを明らかにしていくのか、経営者がどう決断するかで企業の組織文化と行く末が決まります。


自分の間違いを素直に認めて明らかにすることができればいいのですが、人間はそれほど精神的に強くはありません。人間の本性は苦境の時にこそ現れるといいますが、メンツにこだわって隠すこともあれば、嫉妬、驕り、油断、甘え、決断を先延ばしする怠慢、知らないふりをする黙認などによって、不正の隠ぺいが始まることも多々あります。


不祥事は人災であり、人間は精神的な弱さを内包しています。このことを前提に再発防止策を考える必要があります。経営者はもちろん、社員一人ひとりの人間性が問われる決断の際に、覚悟や勇気、誠実性、気概、愚直といった意識を持てるように日頃の不断の教育や啓もう活動が大切です。人間の意識はすぐに薄れます。こうしたことが、人間の問題を内面からサポートすることになります。


隠ぺいが長期化すると、不正を繰り返すことになり、その規模も大きくなります。大きくなればなるほど、不正が明らかになった時、内部と外部の人間が受けるダメージも大きくなります。不正が表に出ない企業は、私たちにとっても極めて危険な存在であり、その点でも不祥事が早期に明らかになることはよいことだと考えるべきです。不祥事というものは、いわば企業の病気であり、病気が早期発見、早期治療が重要であるのと同様に、企業不祥事も早期発見、早期対応が大事なのです。


大切なことは、間違いや失敗、ミスなどにより不祥事が起きた時に組織としてどう対処するか。通常、企業は健全に経営されており、最初から隠ぺい体質の企業というものは存在しません。どこかの時点で、健全な経営をしていた企業が不健全な経営に変わるわけですが、このきっかけをつくるのもまた人間です。人間が企業の組織文化をつくるということは、原因をつくった少数の隠ぺいがきっかけとなって、企業の組織文化が隠ぺい体質に変わってしまうこともあります。悪しき運命共同体になってしまうのです。


不祥事か、不祥事でないかの境界線は、実は曖昧なものです。法律違反であれば明らかな不祥事ですが、法律違反ではなくても、社会的良識で考えて不祥事と呼ばれるケースもあります。実際、神戸製鋼所のデータ改ざんも、顧客企業との契約違反ではあっても、国が決めた安全基準を下回るような法律違反ではありませんでした。このように、不祥事の定義や範囲には様々な見方があるといえます。ですが、不祥事が起き続けていることには変わりがありません。


人間の問題を外側から補強するのが制度です。法律やルールをより厳格化するのも一つの方法で、飲酒運転を厳罰化したことで交通事故死が減少したという事例もあります。京セラの「アメーバ経営」は、相互チェックができることによって不正の芽を生じさせないようにしている組織構造(制度)といえるでしょう。次に、組織の上層部の流動化を促進すれば、緊張感も生まれ、オープンな組織文化が醸成され、隠ぺい防止につながります。また、監査法人による監査を数年おきの交替制にすることも実行すべきでしょう。利害の絡まない社外取締役を起用するなど、不断のチェックが行なえるガバナンス制度を構築することが重要です。


人が組織をつくり、組織が人をつくります。人と組織の間には、こうした循環的な関係があります。一人が隠ぺいを始めることで、それを隠そうとする人が増え、徐々に隠ぺい体質の組織になっていきます。隠ぺい体質の組織に長くいれば、隠ぺいを悪と思わない人が育ち、自らも新たな隠ぺいを始めます。こうして不正が長期間繰り返され、不祥事として明らかになった時には、当初の何十倍もの巨額損失になっていたというのが、オリンパスの不祥事(オリンパス不正会計事件)の構造といえます。


不祥事がなくならない理由は簡単です。不祥事は「人災」だからです。企業不祥事は、近代に「企業」という概念が生まれてからここ200年くらいの歴史しかありませんが、不祥事は人類の歴史を振り返ってみればわかる通り、何千年も前からあります。人間は間違いを犯す存在です。そして、人間には防衛本能が備わっていますので、自分の間違いによって自分の責任が問われることは避けたいという心理が働きます。そして自分の間違いを、もっともらしい理屈をつけて隠ぺいしようとします。ある意味で賢い人ほどこの理屈づけがうまく、巧みに隠ぺいしますからやっかいなのです。


大平浩二の経歴・略歴

大平浩二、おおひら・こうじ。日本の経営学者。「明治学院大学経済学部」教授。慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。専攻は経営学説史、経営組織論。また、経営哲学学会会長、日本経営教育学会常任理事などを務めた。

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