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大倉忠司の名言

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大倉忠司のプロフィール

大倉忠司、おおくら・ただし。日本の経営者。焼き鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」の創業者。大阪出身。高校卒業後、辻調理師専門学校に入学。卒業後にリーガロイヤルホテル、焼き鳥店などを経て、鳥貴族を創業。同社を東証一部に上場させた。

大倉忠司の名言 一覧

正々堂々、正しい経営をした者が、最後には勝つ。それは様々な企業の経営の歴史を見ても明らかなことです。


お客様のためになる健全な競争なら、どんどんすべきです。私は、社員を犠牲にしながら相手を駆逐するような「覇道」ではなく社員が誇りを持てる地に足の着いた「王道」の経営で、勝ち残りたい。


経営は、不測の事態の連続とも言えます。「何が起きるかわからない」という前提で、万全の備えをしなければなりません。正しい経営を貫く姿勢を社員に示すためにも、トップはその責任に背を向けてはならないんです。


当社は「ステークホルダー全員が幸せになる経営」を本気で目指してきました。お客様、従業員、取引先、地域社会、株主や金融機関、そのすべてが幸福になれる経営です。どこかにしわ寄せが行き、誰かの犠牲によって成り立っている会社は、絶対に「永続」できないからです。


どんな経営者でも、最初は「お客様の満足が第一」と考えるものです。しかし、いつの間にか、もっと楽に利益を出したいという誘惑に勝てなくなるんです。最後はどこまで愚直に「お客様目線」を貫けるかの勝負なんです。


「やらないこと」を明確にして、その分、「やるべきこと」に心血を注ぐ。このメリハリをしっかりとつけることが、強い事業を作る最短ルート。


引き算の発想でシンプルに考える方が、会社の成長にとって本当に重要なことが明確になる。社員に対しても、うちはこういうことは「やらない」と言った方が、目指す方向を共有しやすくなる。


私はこれまで、「他社がやっているかどうか」を基準に経営判断をしたことはありません。すべては、「お客様の満足につながるか」「事業や従業員のためになるか」で決めてきました。だから、業界では常識でも、烏貴族では「やらないこと」がたくさんあるんです。


きちんとお客様に支持していただくには、単に事業の効率化を追求するだけでなく、様々な業界の常識を一つずつ打破していく必要がある。


これから、消費者による「本当に価値のある店」の選別が始まると思います。その時にお客様に戻ってきていただく自信はあります。本当の勝負はこれからです。


逆風の時ほど「凡事徹底」。浮足立ってお客様を取りに走ったりするのではなく、競争力の基盤となる部分を磨き込むのです。


商売で一時的に勝つのは簡単なこと。難しいのは成長を続けることだ。価格を上回る価値を提供し続ければ、お客様はまた戻ってきてくれる。


単に安いだけではダメ。それ以上の価値を提供する。今後はそれが「食べて健康になってもらう」ことになるかも知れませんが、それを低価格でやることに価値がある。


目先の利益を追わない。こちら都合のサービスをやめる。お客様に喜んでもらうことが第一。


徹底したのは、「自分が一顧客だった時にいいなと思ったことをやり、嫌だと思ったことはやらない」という姿勢。


流行りや景気に左右されないところを目指して挑戦してきたので、今日までやってこられた。


お客様の要望をすべて聞けばいいというわけでもありません。聞かなければならないものと、そうでないもの。その峻別が大事。


店名に「貴族」とつけたのは、来店したお客様に貴族のような気分になっていただきたいという思いからです。


事業の成長も大事だけれども、何より永続させることが会社の社会的責任。


たかが焼鳥屋、されど焼鳥屋。焼鳥屋で世の中を明るくしていきたい。


安かろう悪かろうではいけませんが、価格以上の価値さえ出せば、低価格はいつの時代も強く、世の中に貢献する部分も大きい。


私は自分の好きなことが仕事になっているので、ストレスは溜まりませんし、これといって趣味もないんです。


夢は人が描くとおりに実現できる。


上が変わらないと、下に落とし込めない。


本業以外で儲けると、本業ができなくなる。


本業以外で儲けたくない。
【覚え書き|バブル期、不動産投資の話を持ちかけられたときの返答】


会社というのは、大きく成長させることも大事ですが、それ以上に永続させることが大事。倒産すると、社員をはじめ社会に多大な迷惑をかけますから。


各業界のリーディングカンパニーを見てみると、やはり一業態で成功されているところが多い。


最初から大手チェーンを展開することを目指していたので、従来の店とは違った新しい市場を開いていかなければ、我々が進出する意味がないと思っていました。


「大衆の味方たれ」という自分の信じてきたやり方を貫けば、必ず世界展開も成し遂げられると思っています。


私は青春とは年齢ではなく心のあり方だと思っているんです。「烏貴族」に最後まで夢を託しながら、一生青春で人生を終えられたら最高ですね。


1品300円を切る価格に設定したのは、それが市場の「ボトム価格」だったからです。しっかりとした「品質」や「価値」を提供するというのは大前提ですが、ユニクロやマクドナルドなど、それぞれの分野で大きな市場を獲得した企業は、ボトムの価格帯で競争力に磨きをかけたところが多い。


烏貴族を創業する時、居酒屋業界の中でも「一番大きい市場」を狙おうと決めていました。そして、当時は少なかった、若い人でも気軽に入れる価格、平均客単価3000円未満の焼鳥屋を実現したかった。こんな会社にしたい、こんな社会的な使命を果たしたい、そういう「思い」が値付けのベースにありました。


知っていただきたいのは、経営において「値付け」がいかに重要かということです。値段の付け方一つで、自社が市場のどこに位置し、誰の、どんなニーズに応える企業なのかが決まります。


烏貴族では、均一価格を守りながら、付加価値を高める挑戦を続けてきました。この付加価値も、「ベーシック」以外の価値は追求しないことを徹底しました。ベーシックの価値とは、吉野家きんではないんですが、「うまい、安い、早い」。この3つです。この価値はトレンドに左右されません。磨けば磨いただけ店が強くなるし、お客様にも評価していただけます。


成長を続けられたのは、あれやこれやと余計なことに手を出さず「一つのこと」を突き詰めてきたからです。外食チェーンを展開する企業は、1社で複数の業態を手掛けるのが一般的です。いろいろなニーズを取り込めるし、経営としての面白みを感じる人が多いからでしょう。しかし私は、焼き鳥の「烏貴族」だけで勝負してきました。


トリキウェイ(社員向けに鳥貴族の経営の考え方をまとめたもの)では「王道経営」や「適正価格」「永遠の改善」といった経営戦略の前に、第1番目の項目として「正しい人間」であれというメッセージを載せています。社員一人ひとりの人生の指針としても活用してほしいからです。


人間は弱い生き物なので、誘惑や危機的状況に直面した時、普段はできるはずの善悪の判断がつかなくなる。そこから人生にも組織にも綻びが生まれるんです。正しい人間が集まることでしか、正しい経営は成し得ません。


夢ばかりを語っていたから、社員はそれを信じてついてきてくれた。最初は「何を言うてんねん」と思われていたかもしれませんが、言い続けていると「ああ、この人本気やな」と思ってくれます。


他社は、我々のような非効率的なことは絶対に真似できません。流行とか時流に左右されない居酒屋の中の生活必需店として確立させていきたい。
【覚書き|鶏肉の品質にこだわり、なおかつ低価格で販売していることについて語った言葉】


各テーブルのタッチパネルは採用しません。理由は従業員が全テーブルについて、一斉にオーダーを聞くようなものですから、厨房がパンクしてしまいます。それによってお客様にも迷惑がかかってしまいます。


KFC(ケンタッキーフライドチキン)が使う鶏肉の量は、国内の供給量の7%を占めるんです。ですから、KFCがキャンペーンすると市場の価格が変動します。パート(肉の部位)によっては1%を超えている鶏肉のシェアをどんどん大きくしていきたいと思っています。


正しいことを進めようとしていても、皆、変わることは嫌がるものです。前のほうがよかったと思う社員もいます。そのときに「正しい会社にするためにやっていることなんだ」と皆を納得させることに骨が折れました。


上場のメリットとして私自身が一番強く感じているのは、コーポレートガバナンスが強化されること、つまり会社が正しく強くなっていくことです。上場を目指さなかったら、労働環境をここまで整備することもできなかったでしょう。会社を永続させていくうえで、株主の目線が大切だと思えるようにもなりました。


我々の業界はすぐにコピーされてしまいますが、それは真似されるレベルだからなんです。産地、卸、販売までのチャネルリーダーになり、真似されないレベルに達することを目指しています。


私は、一度にいろいろなことはできません。一つの仕事にしか魂を入れることができないのです。だから飲食業界で大チェーンを目指すなら、専門店の一業態だなと。これはあくまで私の考えですが、ただ一つの業態に賭けるというのは大事だと思います。


私は、宝くじを買いません。運がいいですから、当選しそうなんです(笑)。大金を手にすると、焼鳥1本を140円で売ることが馬鹿らしくなる。だから儲け話には乗りませんでした。振り返ると正解だったと思います。


創業当初から自分が思い描くように成長できたわけではありませんでしたが、不思議なことに成長できない時期にも“根拠なき自信”がありました。自分は運がいいという自信です。大きな壁にぶつかっても逃げずに正々堂々と経営することでなんとか壁を乗り越え、そのたびに、「俺は運がいい。こんな運がいい自分が成功できないはずがない」と思っていたのです。根拠はないですよ(笑)。ただ、最近いろいろな経営者の方にお会いすると皆さん同じようなことをおっしゃることに気づきました。結果を出している経営者の方は皆、自分を信じ続けてこられたと言います。


自室の天井に、「目標。外食産業日本一!」と書いて貼ったりもしました。朝、目覚めると、いちばんにその言葉が目に入る。「俺は絶対にやるんだ、成功するんだ」と、萎える心を毎日奮い立たせていました。これね、結構よかったですよ。


創業当初赤字が続き、会社が潰れるかもしれないと思いました。そのときに救われたのが、居酒屋チェーン「村さ来」の創業者の本でした。村さ来さんも最初の1号店は、20坪の店で平均日商が2万円くらいだったと書かれているのを読んで、「あの村さ来さんでもそんな時代があったんだ。それならうちもいけるよ」と励まされたものです。それ以来、この本を枕元に置いて、売上の悪い日に読みました。


創業にあたっては、従来の焼鳥屋と同じようなものをつくっても仕方がないと思い、異なる市場を開こうと考えました。その一つが、ターゲット層の変更です。


世襲をしないと明言しています。同族企業を否定しているわけではありません。私の場合は最初から全国チェーンをめざしたので、社員全員が喜んで働き、また平等に社長になれる機会のある会社にしようと思ったまでです。スタッフ全員、皆の会社という意識で進んできました。「世襲をしない」と決めたことで、会社は自分のものではなく社会のものだと思えるようになったことは、私自身にとって大きな意味があったと思います。


飲食業界というのは、社会的評価や地位が低い。なんとかこの業界を認めてもらいたい。そのために、まずは自分の会社からよくしていこうと思いました。


客単価を3千円~4千円にしていくと、景気に左右されたりトレンドに左右されたりということが過去にも事例としてありました。でも当社の場合は2千円なので変な付加価値を付けなくてもいい。焼き鳥店としてスタンダードな部分を磨いていくだけでいいのです。


単一業態に特化すれば、思いも人も資金も集中できる。調達力が上がり、良質のものをより低価格で提供することが可能となる。最終的には単一業態が強い。


理念を浸透させるためには言い続けることと、経営者自身がその通りに行動すること。たとえ想定通りに進まなくても、絶えず目標に向かって行動する。社員はそんな姿を見てくれる。


社員はみな判断の際に「何が正しいか」とみずから問いかけており、善悪の判断に重きを置く社風ができています。結果論ですが、正しいことを追求すればするほど、会社の業績もよくなっていきました。


「安くて美味しい」のお得感から多くのお客様に受け入れられたのだと思いますが、そのお得感を生み出す秘訣は、烏貴族が個人店のよさとチェーン店のスケールメリットの強みを兼ね備えているところにあります。


お客様の要望を何でもかんでも取り入れていくと、軸がブレて次第に店の個性も失われてしまい、結局はお客様のためにならなくなってしまいます。「烏貴族の売り物はこれだ」とコンセプトを明確にしておくことが大事。


低価格を実現しようとすれば、とにかく何でもコストを下げようとしがちですが、烏貴族では、コストをかけるべき部分は絶対に守ります。要は、「選択」と「集中」、そこに烏貴族の志があり、そして強みがあるのです。


リーマンショック以降、低価格路線に参入した企業は多いですが、大半は仕方なくそうされたのだと思います。「こんな安売りする会社に入った覚えはない」と、社員の方たちのモチベーションも下がったことでしょう。それに対して弊社の社員は、「280円均一」に志とプライドを持っています。そこが一番大きな違いなのです。


均一価格はメリハリが大事です。普通に値段相当のものを並べてもお客様は感動しません。誰が見ても驚くメニューをいくつか揃え、それらをうまくミックスして店側も利益が出るような工夫が必要です。


烏貴族の代名詞である「全メニュー280円均一」を始めたのは創業2年目。ビールなどのお酒は原価が高くて難しく、導入に踏み切るには不安がありました。しかし、「お客様を感動させたい」という思いが勝り、思い切って導入することにしたのです。


私は、同じような店を出しても仕方がないと思い、自分で新しい市場をつくっていこうと決意した。「いつの時代も、新しい市場をつくるのは若者だ」と思っていたので、若者と女性客が入りやすい店づくりを目指した。


「烏貴族」の関東進出を決めた際、中途半端ではうまくいかないと思いましたので、週の半分を東京、残りの半分を大阪という二重生活を始めました。


烏貴族の看板メニューの「貴族焼」は、従来の焼き鳥の1.5倍のボリュームがあります。ひとつひとつお釜で炊く「とり釜めし」も、298円です。振り返ると当社は、こうした誰が見ても「すごい」と感動してもらえるようなメニューを定期的に開発してきました。そこに改めて、今、注力しています。現状に満足せず「価値を創造する」ことを続けていきます。


時代や環境の移り変わりとともに、適正価格も変わります。変化を嫌ったり、短期的な競争関係に目を奪われたりして、それを固持しようとすると、必ず誰かにしわ寄せがいくことになる。経営を預かる人間は、適正価格を見失わないように常に注意を払い、変えるべき時は変える勇気を持つことが必要です。そのバランスを欠いたために、消えていった企業は枚挙にいとまがありません。


均一価格の利点は、お客様を感動させる仕掛けを施せることです。均一価格のコツは、一言でいえば原価率にメリハリをきかせることです。妥当な内容の商品ばかりが並んでも、お客様は喜んでくれない。しっかりと利益を確保する商品も用意する一方で、思い切って原価を高めて「これが280円か!?」とみんなが感動してくれるメニューを作る。均一価格だからこそ、中身の違いをお客様が敏感に感じ取ってくれる。ノウハウってそこなんですよね。


昔からよく誤解されるんです。「どんな仕組みによって、そんな低価格を実現したんですか」と。でも、それは、考え方の順番が逆です。まず、こういうことを実現する企業でありたい。だからこの値段で商品を出す。そのためには、こんな工夫や経営の仕方が必要だ、という順番で私はものを考え、行動してきました。値付けというのは、経営にとってそれくらい根源的な意味を持つものなんです。


人気の唐揚げは、素材や味などを工夫して、ここ3年ほどで4回もバージョンアップしています。以前、ある新聞の消費者アンケートを見て愕然としたんです。唐揚げの人気ランキングで1位がコンビニエンスストアで、居酒屋は3位。情けないでしょう。こちらは揚げたてなのに。社内に号令をかけて、一から見直しました。


新店がオープンした時以外は、割引サービスはしません。割引をすれば一時的にお客様はたくさん来てくれるかもしれませんが、いつ来ても安い方がお客様の満足につながります。「エブリデーロープライス」を本気で追求していれば、付け焼き刃の販促活動をしなくても、クチコミでお客様は獲得できます。ですから、烏貴族では店前での呼び込みも一切しません。そんな人手があるなら、店内での接客に向けた方がお客様のためです。


事業を成功させるには、しつこさが必要なんです。うちは烏貴族しかないから、お客様の支持を得るにはどうすればいいのか、とことん考えてきました。今、居酒屋業界では低価格の焼鳥店に参入する企業が相次いでいます。競争は激化していますが、私は心配していません。単一業態の我々は、すべてのヒト・モノ・カネを一点に注ぎますから、社員の思いも含めて、「かけ方」が違います。


言い方に語弊があるかもしれませんが、複数の業態を持つことは、どこか逃げ道を用意していることなんですよね。こっちがうまくいかなかったら、あちらに力を入れよう、と。すると、どれもが中途半端になってしまうリスクがある。複数業態を展開する企業で、そのすべてを強い業態に成長させることができたケースはほとんどありません。


以前、部下に命じて大阪本社を設計させたとき、図面を見て驚きました。部署ごとに部屋が分かれていて、役員ごとの部屋があったので、慌てて設計図面をつくり直させて、全部大部屋にしました。みんなと同じ空間で、同じ空気を吸って仕事をしていると、私は安心します。役職が上がるほど現場の情報は集まりにくくなり、声も届きにくくなるからです。


大部屋方式で、オフィスに垣根を設けないことも、経営の考え方を共有する上で非常に大切にしています。当社には社長室がありません。当然、役員も部屋を持っていません。役職を持つと人間、部屋が欲しくなるんですね。偉くなったような気になるからでしょう。そうやって、現場や他の部署の動きが見えなくなっていくんです。


私は烏貴族を設立した時から、「世襲はしない」ことも経営方針として掲げてきました。社員に、いつかは一番上に立つんだという「夢」と、その「覚悟」を持って働いてほしかったからです。後継者は未定ですが、「高く大きな志」「成功するまで諦めない」といった、トリキウェイ(社員向けに鳥貴族の経営の考え方をまとめたもの)を一番実践している人がなるべきだと思っています。


社長は社員から「見られる仕事」でもありますから、暮らし向きもつとめて質素にしてきました。ぜいたくといえば、お店を4つ出した時に、三菱自動車のオフロード車「パジェロ」を買ったくらいです。今、私の愛車はトヨタ自動車の「ランドクルーザー」ですが、うちの専務なんて「レクサス」ですからね。社用車も1台ありますが、これは店舗開発の担当者用で、私はいつでも電車を使います。


烏貴族を立ち上げて間もなく、日本はバブル景気に突入しました。知人の飲食店経営者の中には、会うたびに生活が派手になっていく人がたくさんいました。でもそういう人は、不況になっても、生活様式や価値観を元に戻せずに、結局会社も傾き、廃業していきました。経営者は常にそうした欲望と隣り合わせで、特に今の当社のように事業が拡大している局面ほど、そうした罠に陥りやすいものです。


私たちは、「外食産業の社会的地位の向上」に貢献することも、会社の「使命」として掲げています。残念なことですが、居酒屋業界は世間からブラックな業界とみられがちです。それは無理からぬことで、業界のリーディングカンパニーでさえも、従業員を酷使したり、「自分たちさえ勝てばいい」と言わんばかりの、地域社会や周辺事業者の迷惑を顧みないような身勝手な営業活動をしたりしているケースが目立つからです。


烏貴族では店長クラスになると、人間性に加えて本当に烏貴族のことが好きで、考え方を理解していないと昇進できないような仕組みになっています。そうでないと部下を育てることができないからです。逆に、烏貴族を好きになってもらえたら、絶対にいい仕事ができますし、本人も幸せになれると思います。「烏貴族愛」を持ってもらうのが、私の究極の社員教育です。


意識と仕組みを変えていく時に一番大事にしたのは、「正しい会社にしていこう」という思いです。「上場するからやるんだ」という言い方では伝わりません。「会社が正しくなかったら、永遠に存続することなどできない。正しい方向に進むことが大事なんだ」。そう言い続けました。


「外食産業の社会的地位向上」は、烏貴族の使命でもあります。飲食業は社会的評価が比較的低く、大学生の就職人気ランキングでも下位に位置づけられています。まして創業した頃は、「焼鳥屋は水商売」という見方が大半でした。ですが私は、飲食業は人に感動と笑顔をもたらす素晴らしい業界だと思っています。それを世間に認めてもらえるようにしたい。


コストを下げるかどうかの判断基準は、「お客様にとっていいか悪いか」。コストだけを考えると、鶏肉を冷凍や輸入物にしたり、セントラルキッチンでいっせいに串打ちするなどの方法もありますが、それらはすべて味を犠牲にします。焼鳥専門店で焼鳥に自信が持てなかったら、どうやってお客様の支持を得るのでしょうか。烏貴族では、味や品質を落とすことにつながるものは採用しません。


飲食業では、店を持つことを夢みて始める人が多くいます。店を一軒持つと、開店初日に「自分も一国一城の主になった」と感慨に浸るものです。でも、私にはそんな気持ちは全くありませんでした、「二軒目をどうやって出すか。資金繰りはどうするか」、そればかり。「大チェーンをつくる」という思いで起業したわけですから、一軒目で満足などしていられません。もっと大きな夢を追いかけていました。


経営者としても、父親としても、大声で怒るタイプではないと思います。基本的には放任主義で、3人の息子に対しても、1回も「勉強しろよ」と言ったことはありません。大人になった今でも、集まれば冗談ばかり。説教とか、くどくど人生訓を垂れるなど一切しないので、嫌がることなく父親に会いにきてくれるんだと思います。


高校時代にビアガーデンのアルバイトを始めて以来、これまで飲食業一筋の人生です。「烏貴族」を創業してからは、とりわけ安くて美味しいというベーシックな部分を磨き続けてきました。当社が単一業態だということもあり、私のことを「ブレない経営者」と評していただくこともあるのですが、自分では不器用な人間だと思っています。もし16歳で別のアルバイトに出合っていたら、違う業種で地道にチェーンストア理論に挑戦していたかもしれません。


前年割れの要因を細かく見ると、値上げだけが原因でないことが見えてきました。ひとつは、オペレーションの効率化によって、お客様との接点が減ってしまったことです。昨年から注文用のタッチパネルを各店舗に導入し始めました。その結果、ドリンクの注文数が減ってしまいました。「お代わりいかがですか」といった声かけをする機会も減ってしまった。これは効率化の落とし穴です。接客を見直すよう、全店に周知徹底しています。


適正価格とは何か。私は、ステークホルダー(利害関係者)全員が幸福になれる価格のことを、そう呼んでいます。お客様、社員、株主、取引先、地域社会、それと金融機関。みんなが幸せになれる「価格」を設定することが、企業が永続的に成長するための根幹なんです。日本の外食産業は、お客様を獲得したいあまりに顧客満足に傾きすぎるきらいがあります。お客様だけが喜べばいいのなら、ひたすら低価格を目指せばいい。しかし必ずそのしわ寄せが社員や取引先に向かいます。ブラックな経営になっていくんです。それで永続した企業を、私は知りません。


均一価格にしたのにも理由があります。ヒントは、創業する前からよく行っていた近所の炉端焼き屋さんでした。当時均一価格は珍しかったのですが、その店は全品230円でした。私が気に入ったのは、「宝探し」感覚で注文する楽しさです。価格が同じなので、どの商品が一番お得なのか考えながら、注文してみて「これは得だった」「これ、絶対損やな」とか言いながらね。それが面白かった。だから、お客様の心をつかむにはこれだと。


飲食店を経営していると、メニューを増やしたい欲求に駆られます。様々なニーズに対応できそうだし、お客様の関心も引けそうだからです。しかし、その分だけオペレーションが煩雑になり、仕入れの効率が下がって商品の品質を保てなくなるケースが少なくない。それにメニューを増やすのは、経営者の不安の表れである場合が多いのです。主力商品の競争力に自信があれば、いたずらにメニューを増やす必要はありません。もっとも、いつも同じ商品だけでは、やはりお客様から飽きられてしまいます。そこで私たちは、商品を絞り込む一方で、中身を進化させてきました。


飲食店にとって、人件費、原材料費と並ぶ3大コストの一つが、家賃です。1階の路面店は集客しやすい半面、家賃が高い。ある程度知名度が出てきた15年ほど前から、新店は家賃の安い「空中階(2階以上のフロア)」に出すようにしてきました。商品やサービスの価値がお客様にしっかりと伝われば、集客面で不利な立地でも十分に勝負ができるし、家賃が安い分だけ商品の付加価値向上に資金を投じられます。外食業界では好立地の1階路面店の物件が取り合いになることが多いのですが、当社には関係ありません。


「お通し」は簡単に200円、300円と客単価を引き上げられるため、店側にとっては非常に大きな利益商材なんです。でも、烏貴族では一切お出ししません。理由は簡単です。私が客として居酒屋に行った時に、お通しが出てきても「うれしくない」からです。自分で注文したわけでもないのに、勝手に出てきて料金も取られる。お客様のためになるとは思えません。居酒屋にとって「お通しを出さない」と決めるのは勇気のいることです。それでも、店側の論理ではなくお客様の立場に立ってものを考えるということを徹底してきました。


鳥貴族をやればやるほど、これほど効率の良い事業形態はないと実感しました。マニュアルから何から、1つでいいわけですから。それに、事業形態がシンプルだと従業員にも経営方針が浸透しやすく、店への愛着も持ってもらいやすいんです。新しい業態を作っては壊す、なんてことを続けていると、社員は何を信じて仕事をすればいいのか混乱します。1つの業態を磨き上げる方が強い会社を作れる。年々その確信を深めています。


プロ経営者を外から登用するのが、日本企業の一つのトレンドになっていますが、社員からしたら嫌ですよ。数年前に、経営トップに準じる人を巨費を投じて外部から招いたある大手企業の幹部の方々と、食事をしたことがあります。彼らは「これまで現場を支えてきた幹部層みんなに、1億円ずつ配った方が絶対会社は伸びるのに……」と言っていました。これが本音です。どんなに優秀な人がいても、社風が乱れるので私はやりません。会社が「永続的」に成長するため、「企業文化」を断固として守らなければなりません。


私の性分で、祭り上げられたり、特別扱いされたりすることも苦手なんです。だから社長室もありません。スチール机と椅子だけちょっとゆったりしたものを使わせてもらっています。椅子は合成皮革で1万5000円くらいですが、ヘッドレストとひじ掛けがあり、ちょっと偉そうなんですけど、それくらいしないと私の席がどこにあるのか分からない。互いに机をくっつけているので、よく隣の社員の荷物が私の机の上になだれ込んできていますしね(笑)。よく社員に言うんですよ。「社長は偉いわけではないんだ、責任が大きいだけなんだ」と。


一番大切なことは、トップとして言ってきたことと、実際に自分がやっていることが一致している、「言行一致」を徹底することですね。身近な例で言えば、「約束の時間」を守ることもそうです。私は誰かと待ち合わせをする時には、相手が部下であっても最低でも10分前には現地についているようにしています。言ったことは守る。待ち合わせの時間を守るのは、当然のマナーですが、そういうひとつひとつの小さな約束をしっかり守ることが、大きな信頼につながります。


私たちがビルに店を出そうとする際に、オーナーから出店拒否を受けることが多々あります。多くの場合、既存テナントの居酒屋チェーンが反対するのがその理由です。ビルオーナーが付き合いの長いテナントを尊重しなければならなかったり、入居時の契約で同一業種は入れないことを約束させられていたりするためです。しかし、当社はこういうことは絶対にしません。誰が来てもウエルカムです。テナントが力を合わせて、ビル全体の集客力を高める方向で努力した方が、皆が幸せになれると思うからです。


顧客重視の姿勢は変わらないが、様々な利害関係者にとってプラスかどうかで値上げを判断した。社員の労働環境の改善も必要だ。低価格を維持することで社員、働くスタッフにしわ寄せがいっていたことも、現実にはあったと考えている。長い目で見ればお客様も値上げを理解していただけるのではないかと思う。


私どもも30年以上やってきましたから、既存店売上高が落ち込む経験は、過去に何度もしてきました。リーマンショックの少し後に、低価格居酒屋が乱立したときもそうです。客単価が3000円以上の店が急に苦しくなって、均一価格にかなり参入してきたんです。これはもう外食の宿命です。その結果、2010~11年ごろは既存店売上高が前年同月の95%くらいで低迷しました。ただそれも、1年半くらいかけて回復していきました。お客様が戻ってきてくれたんです。特別なことをしたわけではありません。慌てず、ブレずに、しっかりとした品質の商品・サービスを提供し続けた。それだけです。当社の歴史を振り返ると、そんなことの繰り返しです。


外食業界は、国内の産業の中でも特に働き手の確保が難しくなっています。飲食店はきつい仕事というイメージが強い。それは半面事実ですが、従業員の待遇をしっかり考えない企業側の責任が大きいと思います。人が集まらず定着しない、だから既存の社員の負担が増え、離職率が上がる。この負のスパイラルに陥るのが怖い。どこまで行っても、企業は「人」なんですから。昨年新たな人事評価の仕組みを導入しました。従来は役職が上がらなければ給料が上がらなかったんですが、たとえば「店長」という肩書は変わらなくても、普通に頑張ってくれれば昇給していくように改めました。他にも退職金制度の拡充など、目に見える待遇改善を進めています。ここに奇策はありません。おかげさまで、求人サイトなどで外食業界の中でも高い評価をいただいて、OBのクチコミなども手伝って、いい人材が集まってくれています。


均一価格の利点のひとつは、圧倒的に「明朗会計」になることです。品数さえ把握していれば、お客様は「今日はこれくらいいきそうだ」と分かる。個人店が多かったこともありますが、創業当時は、不明朗な会計の焼鳥屋が少なくなかった。時価とか、お客様を見て値段を変えるとかいう話をよく聞きました。ですので、均一価格は好評でした。その証拠に、ある店舗の近くの英会話教室の外国人講師の方が常連になってくれました。彼らは基本的に割り勘なんですが、「おたくの料金は分かりやすい」と。みんな、自分の串を注文するたびに、マッチ棒を1本自分の前に置くんです。「俺は、5本だからなんぼ」という具合にね。うちはお通しも出さないから、それがそのまま支払額になります。均一価格にしたことで、お客様とのこうした信頼関係も築けた。ホールのスタッフも、メニューごとに値段を覚える必要がないので、教育も楽でしたね。値段一つとっても、これだけ奥が深いんです。


店を始めてみて、均一価格にするのは勇気がいることだと分かりました。食材や飲料は、ものによって原価が大きく異なります。いきなり均一価格の難しさに直面し、結局、150円、250円、350円の3段階の価格設定でスタートしました。でも、それが災いした。お店のコンセプトがぼやけてしまい、開店休業状態に陥りました。倒産の足音が聞こえてきた翌年、思い切って全品「250円均一」に踏み切ったんです。当時、ビールの仕入れ値が200円以上でしたから、これは勇気がいりました。でも、均一価格にしたことで、焼き鳥の世界で価格破壊をしたいという思いは、確実にお客様に伝わったと思います。広告を出す余裕もなかったのですが、クチコミで評判が広がり、売り上げが着実に伸びていきました。


セントラルキッチン(集中調理施設)を持たないようにしていることも、外食チェーンにおいては非常識かもしれませんね。烏貴族では650店舗を超えた今でも、個人店と同じように、各店舗で新鮮な鶏肉を切り分けて、串を打っています。開店まで毎日5時間ほどを、この仕込み作業に費やしています。セントラルキッチンで食材を大量に仕込んで各店舗に配送すれば、店内での調理作業を大幅に減らせて、非常に効率的な運営が可能です。これこそが飲食店をチェーン展開する強みといえます。しかし、この「効率」という考え方には注意が必要です。事業内容によって、やっていい効率化とやってはいけない効率化があるからです。鶏肉は牛肉や豚肉と比べても、鮮度が落ちやすいんです。セントラルキッチンから各店舗に配送していたら、新鮮な商品をお出しすることができない。効率化を進めて価格を下げても肝心の品質が落ちてしまっては、お客様に満足してもらえません。ここを間違えると、競争力の根幹が揺らぎかねません。


創業当時、私が目指したのは「焼き鳥のマクドナルド」を作ることでした。マクドナルドはまさに1つの業態を磨き上げることで他の追随を許さない強さを手にしました。会社を立ち上げた時期に、チェーンストア理論で価格破壊をしていたダイエー創業者の中内功さんなどの著書も夢中で読みました。店作りやオペレーションを徹底的に磨き込めば、質の高いものを、安く提供することができます。それを焼き鳥屋で実現したかった。当時、外食産業の原価率を私なりにいろいろと調べたんですが、外食チェーンの原価率は3割程度が一般的でした。これに対して焼鳥屋は20~25%。なんでそんなに低いのか考えると、やはり個人経営など規模が小さい企業が多いのが原因だという結論に達しました。焼き鳥屋でしっかりとしたチェーンストアを作れば、誰も実現できなかった低価格で高付加価値な商品・サービスを提供できると確信したんです。実際烏貴族の原価率は店舗段階で34~35%、会社全体でみても約30%になっています。


組織が大きくなればなるほど、現場と経営との物理的な距離は長くなりますし、部署が増えれば、それだけ社内が縦割りになって、考え方を共有しにくくなります。それに、創業者がいなくなれば、創業の理念を肉声で伝えることもできなくなる。どんな業種の企業でも直面する課題です。そこで、企業理念や会社の使命を、細かく具体的に文字に落とし込んで、共有する取り組みをしています。アルバイトの方にも分かりやすいように、鳥貴族が大切にするものを噛み砕いて紹介する「鳥辞苑(とりじえん)」と、社員向けに少し踏み込んで約40項目にわたって経営の考え方をまとめた「トリキウェイ」という2冊の冊子をつくっています。鳥貴族がこれからも時代に左右されずに守っていくべき価値観を記しました。


毎週、大阪の本社と東京の事務所を1往復するのですが、新幹線のグリーン車には乗りません。余計なコストは使わないことを社内で徹底しているのに、私が毎週グリーン車に乗っていては示しがつきません。年の瀬など、普通車の席がどうしても取れない時は仕方なく乗るんですが、やっぱりグリーン車は楽ですよね。でも、普段は乗らない。経営者仲間からはあきれられていますよ。「大倉さん、社長は体が資本なんだから」って。でも、別に無理しているわけじゃないんです。その方が、安心するんですよ。新幹線で普通単に座っていると、「こうしているうちは、会社はブレないな」と思えるんです。


あからさまな営業妨害を受けることもあります。ある店ではビルの1階に置く看板を覆い隠すように、他店の看板を置かれたことがありました。その店の店長に話を聞くと、「こうしないと僕、クビになるんです」と言うんです。地域の店舗を統括するスーパーバイザーから命令されているんですね。これって寂しいでしょう。こんな教育を受けた社員が、誇りを持って仕事をできるようになりますか。日本全体で労働力不足が叫ばれる中で、とりわけ外食、そして居酒屋業界は厳しい採用難に見舞われています。体力的に大変な仕事であることは確かですが、こうした居酒屋業界の風土を変えていかなければ、優秀な人材が集まるはずはありません。


「うぬぼれ」は世間ではいいイメージでは使われませんが、私たちは20年以上前から、会社が目指す「志」を表す言葉として、大切にしています。ちょっと風変わりかもしれませんが、当社は「烏貴族のうぬぼれ」というタイトルの経営理念を掲げています。「たかが焼鳥屋で世の中を変えたいのです」という言葉で始まるこの理念は、真心を込めたサービスでお客様を笑顔にし、その笑顔が従業員の喜びに変わり、ひいては世の中を明るくする、そんな理想を私たちは追い求めるんだということを宣言したものです。そして、「たかが焼鳥屋、されど焼鳥屋。そんなうぬぼれを烏貴族は永遠に持ち続けていきます」と結んであります。毎日その気持ちを忘れずに、お客様を迎えるために、「うぬぼれ中」という札を店の玄関に掲げています。


大倉忠司の経歴・略歴

大倉忠司、おおくら・ただし。日本の経営者。焼き鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」の創業者。大阪出身。高校卒業後、辻調理師専門学校に入学。卒業後にリーガロイヤルホテル、焼き鳥店などを経て、鳥貴族を創業。同社を東証一部に上場させた。