堀場厚の名言

堀場厚のプロフィール

堀場厚、ほりば・あつし。日本の経営者。京都の計測機器メーカー堀場製作所の社長。甲南大学理学部応用物理学科卒業、カリフォルニア大学工学部電気工学科卒業、カリフォルニア大学大学院工学部電子工学科修了。堀場製作所に入社し、米国ホリバ・インターナショナル社、米国ホリバ・インスツルメンツ社に出向。堀場製作所 海外技術部長、海外本部長、取締役、営業本部長、専務取締役生産本部長などを経て社長に就任。そのほか、京都商工会議所副会頭、日本電気計測器工業会会長、京都経済同友会特別幹事、京都高度技術研究所理事、京都ユースホステル協会会長などを務めた。著書に『京都の企業はなぜ独創的で業績がいいのか』など。

堀場厚の名言 一覧

社会人になって伸びる人材というのは、資格では判断できない。誰にでも、可能性は無限にある。自分を見極め、努力していく人が伸びる人材だと思う。

堀場厚の名言|自分を見極め、努力していく人が伸びる人材

誰かの真似をしたり、「やらされている」といった感覚があると、独創的でユニークなものを開発しにくくなる。「おもしろおかしく」なければ、アイデアが湧き出るような感覚は生まれにくい。

堀場厚の名言|「おもしろおかしく」なければ、アイデアが湧き出るような感覚は生まれにくい

共通点がないことが、京都の企業の特徴。企業文化も創業者もそれぞれ。カリスマ的な「変な創業者」も多い(笑)。だからこそ、人の真似は決してしない。

堀場厚の名言|共通点がないことが、京都の企業の特徴

京都では何につけても“真似しい”が一番恥ずかしい。ものづくりの世界でも、やっぱりオリジナリティが求められますし、評価もされますね。

堀場厚の名言|ものづくりの世界でも、やっぱりオリジナリティが求められますし、評価もされる

失敗したり、修羅場をくぐったりした経験はむしろ価値あること。そうした経験を積んだ人がそれ相応のポストに就くと、リスク管理がしっかりできる。弊社の役員は、失敗した人間だらけですよ(笑)。

堀場厚の名言|失敗や修羅場の経験は価値ある

京都は300年くらい続いた企業でないと、なかなか認められない。それだけ長い間生き残るためには、「コピー」していては伸びない。自前でどれだけの技術を作れるかが勝負になる。オリジナリティーこそが、力になる。

堀場厚の名言|オリジナリティーこそが、力になる

失敗の数が多い人ほど、うちでは出世する。ほかの企業とは真逆かもしれません。大企業が時にもろさを露呈することがあるのは、上層部に失敗した人が少ないからかもしれません。

堀場厚の名言|失敗の数が多い人ほど、うちでは出世する

これから世界で生き残っていくためには、協力会社の方々とも一丸となって、知恵を出し合い前進していく必要がある。

堀場厚の名言|生き残っていくためには、一丸となって、知恵を出し合い前進していく必要がある

希望者を海外研修生として派遣しています。自分で手を挙げた人にはチャンスを与える。これが大事。

堀場厚の名言|自分で手を挙げた人にはチャンスを与える

人財育成は手間暇がかかりますが、これを惜しんではいけない。

堀場厚の名言|人財育成を惜しんではいけない

財育成には時間がかかります。しかし、投資効果が最も高いのも実は人財確保・育成なのです。人財なくして会社の成長はありえない。

堀場厚の名言|投資効果が最も高いのも実は人財確保・育成

社員同士のコミュニケーションの場をつくることで、情報が共有され、お互いの理解も深まる。そこから新しいアイデアが生まれる。

堀場厚の名言|社員同士のコミュニケーションの場をつくることで、情報が共有され、お互いの理解も深まる

うちの社是は「おもしろおかしく」ですし、人と人とが接することが大事なんだと常に言っているんですが、結果的には組織的かつシステマティックに人を評価して正しくフィードバックするというのを意外とやってこなかった。日本人って「あなた、ここ悪いよ」と上司でもよう言わないですね。

堀場厚の名言 格言|面白おかしい職場でもシステマティックな人事評価システムが必要

十年くらい前からいろんなイノベーションをやっています。そのなかで、マインドイノベーションというのがあります。技術開発の人たちに「困っていることは何か」とアンケートを取った時に、一番の不満はベースアップでも、ボーナスの月数でもなく、誰に評価されているかということなんです。

堀場厚の名言 格言|社内の技術者の最大の不満は誰に評価されているか

問題が起きたときは、その分野に従事している部下を信頼して、よく話し、議論する。1人で悩んでいても、解決策は見つからない。とにかく社内外で信頼できる人を見つけて、議論をぶつけてみる。一見すると遠回りのようですが、うまく突破できる確率が高い方法だと思います。

堀場厚の名言|1人で悩んでいても、解決策は見つからない

海外派遣の選考基準として大事にしているのは、どんな意志を持っているかです。論文を書いてもらい、インタビューする。そこで彼らの意志を確認しています。英語は必要ですが、選ばれた後で習得してもいい。

堀場厚の名言|選考基準として大事にしているのは、どんな意志を持っているか

新工場には、会社のほぼ中央に位置する場所に、吹き抜けの階段と談話スペースを作りました。コミュニケーションを取りやすくしたのです。エレベーターでなく階段を使うと、健康にもいいですしね。

堀場厚の名言|談話スペースをつくってコミュニケーションを取りやすくする

失敗を財産にしよう。人は失敗すると、そのことに蓋をしたり、忘れてしまおうとしたりするものですが、それが逆に敗因になることがよくある。勝った時より負けた時に、原因や経過を分析することが大切。しっかり分析準して、次は同じ過ちを犯さないように。

堀場厚の名言|勝った時より負けた時に、原因や経過を分析することが大切

経営では「人のチェーン」をつくることが大事なのです。縦にも横にも。そしてそれは「心のチェーン」でなければなりません。

堀場厚の名言|人のチェーンをつくることが大事

技術の伝承は時間がかかります。そしてそれを会社の財産としていくためにも、途切れることなく伝えていかなければならない。

堀場厚の名言|技術の伝承は途切れることなく伝えていく必要がある

ものづくり技術には「匠の世界」が存在します。HORIBAのようなハイテク技術にもそれはあります。匠とは、類まれな技術を獲得することだけではなく、大事な技術を磨き上げていくその精神を指します。これが会社の財産として従業員に伝承され、共有されなければならないと思うのです。また、この匠の精神があるから競争力のあるユニークな商品も世に出せるわけです。しかしこれは、生身の人間が実際にやってみないと分からないもの。ゴルフの解説書を読んでゴルフが上達するのなら、皆さんだってすぐにシングルプレーヤーですよ。経営もこれと同じです。

堀場厚の名言|匠とは、類まれな技術を獲得することだけではなく、大事な技術を磨き上げていくその精神を指す

技術系の会社では、人財育成は技術の伝承が最重要項目です。ところが、これは簡単なことではありません。よくドキュメンテーション(文書化)が大事といって、とにかく記録に残せば技術の伝承も何とかなると考える人がいますが、それでは何ともなりません。技術は書いたものだけでは残せないのです。

堀場厚の名言|技術系の会社では、人財育成は技術の伝承が最重要項目

当社では毎年、80人から100人ほどの社員を新規採用しています。景気の悪いときでも人数をそれほど落とさず続けてきました。それは、技術の伝承を途切れさせないためなのです。

堀場厚の名言|技術継承を途切れさせないために新規採用を続ける

私たちはグループの全従業員を「ホリバリアン」と呼んでいます。企業買収で海外の優秀な人財を獲得したわけですが、もとより習慣や文化がまったく違う人たちです。そうした彼らでも同じホリバリアンとして活躍してもらわなければなりません。

堀場厚の名言|共通の呼び名をつくる

買収に応じようという会社は、何らかの障害があって経営に支障をきたしている、だから買収に応じるわけです。たとえば、いい技術はあるもののマーケティング面が弱いとか、資金調達がうまくいっていないといったことです。私の経験から申しますと、100億円で買収した会社が機能するまでには、キャッシュで100億円の用意をしておかなければなりません。買収金額はこうした事情も踏まえて決定されなければいけない。

堀場厚の名言|企業を買収するときに気をつけるべきこと

ビジネスには「カンどころ」があります。この選択がビジネスとしてやっていけるかどうか、経営者は決断しなければなりません。タイミングも大事。そこでカンが働くかどうか、いわゆるセンスが問われるのです。このセンスのベースとなっているのが、「本物を見抜く目」です。これは企業買収の決断にも言えます。

堀場厚の名言|本物を見抜く目が大切

当社のような研究開発型企業が世界市場で戦っていくには、ユニークな技術を常に開発している状態をキープしておかなければなりません。しかし、残念ながら、日本人スタッフだけでこれを続けていくことは難しい。そこでグローバルな視点から海外企業と業務提携し、そして買収していくというかたちで事業の拡大を図ってきました。

堀場厚の名言|ユニークな技術を常に開発していくには

今、グループ従業員数は約5500名。そのうちの約6割、3000人が外国人です。私たちは決して、安価な労働力を求めて海外進出したのではなく、海外の優秀な人財を求めて進出していった結果がこのようになっているのです。

堀場厚の名言|優秀な人財を求めて海外に進出する

いまはリーマンショック後に仕込んできた新製品が出てきている。景気がいいときは既存の製品を改良し、量産することが顧客満足度向上につながる。逆に悪いときほど次世代技術や生産性向上へのニーズが高まる。環境が厳しいときでも開発投資は減らすべきではないと考えている。

堀場厚の名言|環境が厳しいときでも開発投資は減らすべきではない

人間の血液の組成は世界中で同じでも、医者のやり方や医療保険制度が違えば、求められる計測装置は変わる。メーカーの勢力図が国ごとに違うのも、そうした事情があるため。我々は各地の市場でシェアを5割以上取ることが目標。そのためには、国や地域ごとにきめ細かな開発やマーケティングの体制を築かなければならない。

堀場厚の名言|国や地域ごとにきめ細かな開発やマーケティングの体制を築かなければならない

課題もある。急速なグローバル化に経営側が追いついていない。海外業務を経験した日本人をどんどん日本に呼び寄せており、いまは日本の社員の3割、役員以上だと9割以上に海外駐在経験がある。記事にはならないけど、実は10年前から英語で会議している。次のステップとして、外国人を日本の本社のボードメンバー(役員)に入れる必要が出てきた、と考えている

堀場厚の名言|経営のグローバル化は社内に海外駐在経験のある人員を配置することから

バラバラの国籍と出自の組織をまとめるには、人と人との交流を深めるしかない。各国の幹部を年2回は京都に集め、鍋を食べる。「同じ鍋をつつく」感覚を感じてもらうためだ。

堀場厚の名言|バラバラの国籍と出自の組織をまとめるには

日本人中心主義ではいけない。例えばインドやインドネシアは、フランスのスタッフが市場を開拓した。ベトナムなどはシンガポールの人間が責任者になっている。どこの国の社員でも同じグループの一員として同じ目的に向かって動けるようになりつつある。

堀場厚の名言|日本人中心主義ではいけない

グローバル化の時代、日本企業にはある強みがある。日本人は国や市場ごとの違いを正確に理解し、対応できる柔軟性を持つということだ。欧米でもアジアでも、普通の社員が現地になじめる。

堀場厚の名言|日本企業の強み

いまは世界のどこかで集中的に製品を開発するのが難しくなっている。以前は日本発の技術や製品を「これが世界標準」と言えばよかったが、いまは日米欧アジアそれぞれに多様性のある大きいマーケットがある。

堀場厚の名言|現地に合った製品開発を

「これまで誰も思いつかなかった技術を」「世界になかった製品を」と自ら楽しみ、情熱をもってつくられたものには、それが工業製品であっても必ず“味”が出る。そして、その味わいはきちんと受け手に伝わりますし、求めてもいただけます。

堀場厚の名言|自ら楽しみ、情熱をもってつくられたものには味が出る

創造性や革新性と口で言うのは簡単ですが、そうしたものは一朝一夕には生まれません。確かな基盤があってこそです。特に京都では、お客さんがそのことをよく理解しているから、職人や技術者も、安心してじっくりと技を磨けるし、一方で地道な努力をいとわないんです。

堀場厚の名言|創造性や革新性は確かな基盤があってこそ

私はスキーもするのですが、スピードが出た時に「怖い」と思うと、曲がれないのです。むしろスピードを上げた方が曲がりやすい。経営も同じ。経営状況が悪化しても、投資して、良い製品を出す。それが、浮上するきっかけになります。投資や新規開発を抑える、あるいはストップさせることがありますが、それではますます失速してしまうのです。

堀場厚の名言|経営状況が悪化したときの対処法

一番苦しかったのは、米国に留学した時です。やる気はあるのですが、なかなか授業のスピードについていけない。毎日5教科、各20ページの教科書を読み込み、すべての授業ごとに宿題があって、毎回の授業前には理解度を試す試験もある。ほかにも週1回、月曜の午前8時までに提出しなければならないリポートもこなす、といった具合でした。この「スピード」と「量」にはまいりましたね。結果的に、好成績で卒業できた。この経験から「何か問題が起きても、努力すれば必ず結果はついてくる」という教訓を得ました。

堀場厚の名言|問題が起きても、努力すれば必ず結果はついてくる

海外派遣する社員には「必ず現地の社員とコミュニケーションしなさい」と言っています。それが彼らの財産になるからです。そして、「週末はホームパーティーに参加しなさい」と強く勧める。週末は疲れてパーティーに出たくないという人は多いでしょう。しかしパーティーに参加すれば皆とコミュニケーションが図れて、仲間意識が芽生える。こうしてパーティーが「価値を生む場」となるのです。研修が1年なので、はっきり言ってお荷物状態。現地からは嫌がられます。しかしそうやって1年間過ごすと、現地側から一本釣りで「この人材はこちらに残してほしい」と言われる社員も出てきます。

堀場厚の名言|現地の社員とのコミュニケーションが財産になる

アメリカで飛行機操縦免許試験受けたときの失敗は忘れられません。飛行後、インストラクターに謝りに行ったのですが、彼はニコニコしながら私に近づいてきて、こう言ったのです。「おめでとう! 君は失敗して、一人前のパイロットになった。訓練生の時にピンチを経験した君は、今後二度と事故は起こさないだろう」。挑戦して失敗してもそれを財産にする「チャレンジ社会」。これが日米の違いだと思いました。それが現在の「失敗は価値あること」という考え方につながっている。

堀場厚の名言|失敗して一人前になる

ほとんどの人は20代から60代の間、朝から夕方までの時間を働いて過ごすと思いますが、その時間が「おもしろおかしく」あれば理想的ですよね。例えば私たちがスポーツや芸事といった趣味にいそしむ時、ワクワクして、時間を忘れて没頭することがあります。それを仕事で味わうことができれば、素晴らしいと思いませんか。

堀場厚の名言|仕事の時間が「おもしろおかしく」あれば理想的

京都にある本社は5階建てで、以前はエレベーターを使って移動していたのですが、数年前から健康のために階段を使うようにしたんです。すると、普段会う機会が少ない社員たちと、頻繁に顔を合わせるようになった。社員といろいろな話をするようになった時、「これだ!」と気づきました。一番必要なのは、コミュニケーションなのだと。

堀場厚の名言|一番必要なのはコミュニケーション

新工場設立の目的の1つは、研究開発、実験、生産、技術、サービスといった機能を集約し、各部門や人のコミュニケーションを活発化させて、風通しを良くすることです。新工場は10階建てで、約600人の従業員が働いています。弊社は生産の3割は自前で行っていますが、7割は協力会社にお願いしています。そこで、主要協力会社に、この工場に集まってもらいました。オペレーションをこれまで以上に効率よくするためです。

堀場厚の名言|機能を集約し、各部門や人のコミュニケーションを活発化させる

当社は製品の供給態勢、品質、納期を守るよう努めてきました。購入後のサポートも手厚く行ないますので、購入時に多少値段が高くても、結局はコストパフォーマンス面で優れているといえるでしょう。これらが理解されて、市場の信頼を得られたことが、今日のシェア獲得につながっています。

堀場厚の名言|市場の信頼を得られたことが、今日のシェア獲得につながった

社員はみな、20歳くらいから60歳過ぎまで、人生の一番大切な期間を会社で過ごし、一日の一番いい時間を仕事に費やすわけです。それならば、その期間・時間が「面白おかしく」なかったら、人生もったいない。

堀場厚の名言|人生の一番大切な時期を過ごす仕事の時間が「面白おかしく」なかったら、人生もったいない

商売の姿勢としては、当社の製品の素晴らしさをよく理解してくださるお客様のほうを向いてやってきた。これはある意味、「本物志向」を重視する京都らしいビジネスのあり方ではないでしょうか。京都には「本物でなければ長続きしない」という根強い考えがあり、当社でもそのように取り組んできたつもりです。

堀場厚の名言|当社の製品の素晴らしさをよく理解してくださるお客様のほうを向いてやってきた

社員の声を業務に反映させることを目的とした「ブラックジャック・プロジェクト」という提案活動を進めています。これは提案内容や活動の成果の優秀さを競う参加自由の活動で、海外拠点も巻き込んで毎年大変盛り上がっています。単なる提案制度だとなかなか声が出ないかもしれませんが、カードゲームをネーミングにするといったちょっとした遊び心で「おもしろおかしく」することで、非常に大きな効果が出ています。

堀場厚の名言|ちょっとした遊び心が大切

グローバルに相互理解を深めるには、食が一番だと思います。私は、外国人によるマネージが最も困難といわれるフランス人幹部が来日した時には、よく京都の一流割烹に連れていきます。そこで料理人が、お客の好みや反応に合わせて料理をアレンジしながら出してくれる様子を見ると、誰もが感激しますよ。料理を通じて、細やかなおもてなしが京都の文化であり、京都の企業である堀場製作所の精神であることを知ってもらうのです。食というのは、やはり人間の基本なので、私はそこから理解し合うことを重視しています。

堀場厚の名言|相互理解を深めるには食が一番

基本的に、我々が買収して傘下に入った海外の企業は、先方から堀場グループに入りたいと申し出てきたところばかりです。いわゆる、敵対的買収を仕掛けたことはありません。元々、取引関係にあった会社が、我々のフィロソフィーに惚れ込んで、「堀場グループの中でオペレーションしたい」と言ってくれるのです。「おもしろおかしく」は、英語で「Joy & Fun」と訳していますが、おそらくこの精神に共感してくれているものと思います。

堀場厚の名言|取引会社が傘下に入りたくなるフィロソフィー

コミュニケーションを促すように新工場を設計した理由の一つは。我々は「技術の遷宮(せんぐう)」と言っていますが、コミュニケーションによって技術がしっかりと受け継がれていくことを狙っているのです。事業を受け継いでいくことを重視することは、京都企業の特徴の一つだと思いますが、経営理念を守るとともに、技術も磨いて受け継いでいかなくてはなりません。

堀場厚の名言|経営理念を守るとともに、技術も磨いて受け継いでいかなくてはならない

年に2回、当社の業績トレンドを説明し、協力会社に対してこれだけ発注しますという報告を行ないます。自社だけが儲けるのではなく、皆さんと一緒にやっていくという姿勢を表すのです。協力会社は我々と運命共同体であり、これまで何十年も一緒にやってきました。我々が持っていない技術を有している協力会社もたくさんあります。

堀場厚の名言|協力会社は我々と運命共同体

実は、かねてより自動車の排ガス測定装置の売上が伸びても部品在庫が減らないので、私は疑問を感じていました。当社の測定装置はいくつもの協力会社との連携作業でつくっていくのですが、原因を探るうち、その工程の中で当社の工場と協力会社の工場とを何度も往復して運搬していたことに気づきました。それぞれの工場で余裕をみて多めに未完成品の中間在庫を抱えていたため、在庫がなかなか減らなかったのです。この物流ロスを解決するため、新工場には協力会社の担当部門の方々に入っていただき、一つのラインですべての工程を行なえるようにしました。これにより、つくり始めてから完成までのリードタイム3分の1を目指し、生産性の大幅な向上を狙っています。

堀場厚の名言|協力会社を巻き込んで生産性を向上させる

会社というものは、組織が大きくなるに従って、各セクション同士のコミュニケーションが希薄になることがあります。そうならないように、この(大津市にある)工場はコミュニケーションの取りやすさを重視したつくりになっています。また、皆が食事をともにする機会を増やすために、以前からコミュニケーションサポートという補助金制度をつくっています。社員が宴会を開いたら1人あたり2千円、滋賀県にある研修所に宿泊すれば1人あたり1万円を支給するという制度です。今の人たちは、昔のように同僚同士で積極的に飲みに行かなくなっているようですが、この制度のおかげで、当社ではかなり頻繁に宴会が開かれています。

堀場厚の名言|社内のコミュニケーションを増やす取り組みを

欧米人の発想は、いわゆる「チャンピオンデータ」といって、ある測定装置が記録した最も正確な値を、その装置の「実力」であると主張します。しかし、オリンピック選手が自己ベストの記録を毎試合出せるわけではないのと同じように、測定装置が出す値も、正確度に多少のばらつきが生じるものです。ですから当社では、「100%保証できる正確度」をその装置の「実力」としてカタログに掲載してきました。そのため、チャンピオンデータを掲載している他の海外メーカーよりも、カタログ上の性能は低くなることがあり、当初は不利な戦いを強いられました。当社のこの方針が海外市場で理解され、定着するまでに5年から10年くらいかかりました。実際に使っていただくと、当社の測定装置は常に安定してカタログ以上の正確なデータを収集できるわけですから、海外市場でも徐々に真の実力が認められるようになりました。

堀場厚の名言|カタログには100%保証できる実力を掲載する

当社は研究開発型の企業ですから、独創性を重視するという意味でも、「おもしろおかしく」仕事に取り組む姿勢が重要です。まさに社員たちが「おもしろおかしく」製品開発に没頭した結果、例えば自動車のエンジンの排ガス測定装置に関しては、全世界で約80%のシェアを獲得することができました。国内自動車メーカーはもちろん、メルセデスやフェラーリ、フォードなどの世界の名だたる自動車メーカーが当社の装置を採用しています。

堀場厚の名言|独創性を重視するという意味でも、「おもしろおかしく」仕事に取り組む姿勢が重要

堀場厚の経歴・略歴

堀場厚、ほりば・あつし。日本の経営者。京都の計測機器メーカー堀場製作所の社長。甲南大学理学部応用物理学科卒業、カリフォルニア大学工学部電気工学科卒業、カリフォルニア大学大学院工学部電子工学科修了。堀場製作所に入社し、米国ホリバ・インターナショナル社、米国ホリバ・インスツルメンツ社に出向。堀場製作所 海外技術部長、海外本部長、取締役、営業本部長、専務取締役生産本部長などを経て社長に就任。そのほか、京都商工会議所副会頭、日本電気計測器工業会会長、京都経済同友会特別幹事、京都高度技術研究所理事、京都ユースホステル協会会長などを務めた。著書に『京都の企業はなぜ独創的で業績がいいのか』など。

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