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加護野忠男の名言

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加護野忠男のプロフィール

加護野忠男、かごの・ただお。日本の経営学者、経営学博士。大阪出身。神戸大学教授。神戸大学経営学部卒、同大学大学院経営学研究科で博士号取得。神戸大学経営学部助手・講師・助教授を経て教授。同大学大学院経営学研究科長、同大学院経営学研究科教授。主な著書に『経営組織の環境適応』『組織認識論―企業における創造と革新の研究』『「競争優位」のシステム―事業戦略の静かな革命』など。専攻は経営戦略論、経営組織論。

加護野忠男の名言 一覧

理屈で考えたら無理かもしれないことを、それでもやっていく。不可能なことを可能にするのが経営です。


最近は、ほとんどすべての職場で初期鍛錬の厳しさがゆるくなっている。潤沢な労働力があって、仕事が少ないときには、試練に耐えた人材だけを育てるというやり方が通用したが、労働力が貴重になってくると、新人につらい仕事を課す初期鍛錬は通じなくなってくる。しかし、職業人としての忍耐力や従順さは、相変わらず重要だ。


新人に課すつらい仕事には、忍耐力や従順さがあるかどうかを見極めるほかに、忍耐力や従順さを高めるという役割もある。実際に苦労をしてみると、苦労に耐える体力や知恵が備わる。


最初の苦労は職人仲間の間の連帯感を高める機能も果たす。ともに苦労をしたという共有体験が連帯感を生み出す。「同じ釜の飯を食った」という経験よりも、「同じ苦労をした」という経験の方がよい連帯を生み出す。


新人にきつい仕事が与えられるという慣行は、欧米の職場でもあるようだ。これを欧米の学者は、「正統的周辺参加」と呼んでいる。新人は職人集団で仕事をしながら、それとの交換に技術を習得させてもらう。しかし、仕事のできない新人は、交換で与えられるものを何も持っていない。だから最初は、皆が嫌がるような周辺部の仕事をすることによって正当性を認められる。


伝統産業の新人育成の方法を研究していると気づくことがある。技能者の育成プロセスに関して、多くの産業に共通した方式があることだ。職人志望者に試練を与えるという育成の方法である。誰もが嫌がるような厳しい仕事、あるいは雑用の仕事を与えるという方式である。


集中がよいか拡散がよいかという問題ではなく、両者の位相転換のタイミングを決める手がかりは何かという問題を真剣に考えること。ソニーは拡散から集中への位相転換をしているのに対し、シャープは集中から拡散の位相転換をしている。


高いリスクを負う場合には、危険を素早く察知する必要がある。その手掛かりとなるのは、小さな職場単位の利益や付加価値の変化である。


集中というハイリスク戦略をとるときは、どのような備えが必要かという問題を考えることである。その重要な手段となっているのは、きわめて正確な収益管理で、村田製作所や京セラなどの京都のベンチャー企業は、集中によって伸びてきたが、足元の利益管理をきっちりと行っていることでも有名である。


トヨタ自動車は豊田自動織機の種まきから生まれた。現在のキヤノンがあるのもカメラから電子機器への多角化が行われ、新しい技術の種まきが行われたからだ。ブラザー工業が奇跡的な事業転換に成功できたのも、多角化によって種まきが行われたからである。我々は刈り取りにばかり目を奪われ、種まきを忘れてしまう。多角化は評判が悪いけれども、リスクの分散という効果のほかに技術の蓄積という効果を持っている。


日本の場合、集中に伴うリスク対応の重要な手段となっていたのは子会社の上場である。子会社を上場させ、リスクを負担してくれる資本を受け入れることである。日本の場合、このようにして上場した子会社が親会社の傘の下から独立して、親会社よりも大きくなるという現象が頻繁に起こる。豊田自動織機とトヨタ自動車、ダイセル化学工業と富士フィルム、富士電機と富士通、積水化学工業と積水ハウスなどである。


神戸のワールドは新しいビジネスシステムをつくることによって今日の地位を確立したが、その後も新しいビジネスシステムをつくり続けている。いま成功しているビジネスシステムに集中する方が、利益率は高くなることをワールドの経営陣は良く知っている。しかし、ワールドの経営陣は日本のように変化の激しい市場で、単一のビジネスシステムに集中することのリスクも知っている。上場していると、このような長期的な戦略が取れないから、MBO(マネジメント・バイアウト)で非上場の道を選んだのである。


外部の投資家は将来の安定よりも、目先の利益を見て、経営に間違った圧力をかけてしまう。


選択と集中の戦略を取ることができるのは、その前に、多角化と拡散の時代があったからである。この時代に一見すると無節操に行われた多角化は、たんに将来の余剰資産を作り出しただけではない。企業の長期的な存続にとって大切なことが行われている。それは新しい事業や技術の創造という種まきである。この種まきが行われていなければ、そもそも選択と集中は行えない。


選択と集中に人々の目が奪われるのは、集中には効果が早く出て、華々しいという特徴があるからである。選択と集中は企業が危機にあるとき採用されることの多い戦略である。非常時の戦略であるといえるかもしれない。実際に、選択と集中は急激な業績回復をもたらすことが多い。いわゆるV字回復である。不採算事業の売却によって直接的に利益回復が見込めるだけでなく、戦略分野に資源を集中することによって、そこでの利益の改善にもつながる。


弱点があるのにもかかわらず、選択と集中のメリットが説かれることが多いのは、選択と集中が大きな戦略的メリットを持っているからである。兵力の集中は戦いの基本である。集中の第二の効果は退路を断つという心理的効果である。退路がないゆえに、皆の頑張りが引き出せる。


選択と集中は効果的な戦略であるが、それが持つ限界にも注目する必要がある。何よりもまず注意しなければならないのは、選択と集中が成り立つ条件である。言うまでもないことだが、選択と集中が良い結果をもたらすのは、どの分野に集中すればよいかわからないときは、選択と集中はリスクが大きい。誤ったところに集中する危険があるからである。


加護野忠男の経歴・略歴

加護野忠男、かごの・ただお。日本の経営学者、経営学博士。大阪出身。神戸大学教授。神戸大学経営学部卒、同大学大学院経営学研究科で博士号取得。神戸大学経営学部助手・講師・助教授を経て教授。同大学大学院経営学研究科長、同大学院経営学研究科教授。主な著書に『経営組織の環境適応』『組織認識論―企業における創造と革新の研究』『「競争優位」のシステム―事業戦略の静かな革命』など。専攻は経営戦略論、経営組織論。

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