出口治明の名言

出口治明のプロフィール

出口治明、でぐち・はるあき。日本の経営者。ライフネット生命保険の創業者の一人。三重県出身。京都大学法学部卒業後、日本生命に入社。バブル全盛期には生命保険業界の取りまとめ役を務めた。その後、58歳でライフネット生命保険の前身であるネットライフ企画を設立。ライフネット生命保険は、日本で74年ぶりに誕生した親会社に保険会社を持たない独立系生命保険会社。

出口治明の名言 一覧

僕が生命保険の仕事を始めたのは全くの偶然でした。でもやってみないと何が天職かわからないですから。おそらく最初から「これが自分の天職だ」と思って仕事をしている人は少ないと思いますよ。

僕は人生は偶然の産物だと思っていて、「川の流れに身を任す」がモットーです。もちろん与えられた役割を全力でこなすのが前提ですが。その方が何が起きるかわからないし楽しいですよね。

世の中の常識のほとんどが非常識。

勉強を始めるタイミングに、「遅い」ということはありません。「無知ほど人間を堕落させるものはない」と肝に銘じて、今日から始めましょう。

自らが信じる何かを実現したいと強く思い、たとえ失敗しても諦めずに、1%の可能性を信じて挑み続けた人たちが、世界をより良く変えてきた。

すべての人間は、自分の能力を3割から5割増しに見る脳みそを持っている。だから「評価をされていない」と不満を持つのは当たり前といえば当たり前のこと。

人間とは何か、社会とは何かを理解しなければ、ビジネスの戦略は立てられない。

経営戦略を考えるとき、戦略に関する本ばかり読むのはお薦めできない。いいアイデアは、仕事のことをあれこれ考えているときには出てこない。仕事から離れて、仕事と関係なさそうな本を読んでいるときに、ふと浮かんでくることが多い。

みんなで議論して、同じ方向を向かなければ、勝てるものも勝てなくなる。

人生は自分探しの旅。人間は一生自分に合ったものを探し求めるもの。

人間は感情の動物であり、人生の豊かさは喜怒哀楽の総量。

スタートアップの9割は3年以内につぶれる。だが、そのリスクにチャレンジしなければ社会は変わらない。

日本経済の未来についてあえて言えば構造改革に尽きます。まず、生産性を上げること。

人生には波がある。天気と一緒で、晴れの日もあれば雨の日もある。その方が自然ですよね。鷹揚に構えていればいい。

事業は遊びではない。ビジネスです。どんなビジネスでも、徹底して事前調査をするのは当たり前のこと。

意志決定のスピードを高めるには、集中力を高めること。考える力は睡眠と一緒で「中身の濃さ」。10時間考えても、中身が薄っぺらだったらダメ。

成功体験を持っている人にそれを捨てろと言っても、なかなか捨てられない。今の日本のしんどさの原因は、「成功が失敗の母」になってしまっているからだと思います。

失敗するのは当たり前。失敗を積んでいくうちに、人はだんだんと賢くなっていく。そもそも人生は、失敗の連続。僕もたくさん失敗してきた。

古典は熟読以外ない。古典を速読するのは、百害あって一利なし。ビジネスパーソンなら、古典をはじめとした良書を、じっくり読むといい。

運動にしても、思考にしても、技量というのは、毎日練習していく中で、ちょっとずつ上がっていくもの。毎日積み重ねていくことが大事。

脳も人間の体の一部。筋肉を鍛えるように、脳も鍛えなければ賢くなるはずがない。

「知ることは楽しいことだ」と思える人は、さらに伸びる。自分は賢い、何でも知っていると思ったら、学ばなくなる。

ビジネスパーソンの仕事に、特別な才能は必要ない。必要なのは、好奇心と謙虚な気持ち。言い換えれば、誰もが伸びる可能性を持っている。

リーダーは、「自分はこれをしたい」というものを持っていなければならない。「したいこと」とは、強い思いや志、と言い換えてもいい。

ビジネスのほとんどは基本「儲かるかどうか」で合理的に答えが出るもの。

異質な人間を多く揃えないと経営は良くならないし、健全なビジネスにならない。

私たち年輩の人間は、若い人をもっと助けていかないといけません。日本の将来は若い人が引っ張っていくしかないんですから。

これからの人生では、いまのあなたが一番若いのです。どうか頑張ってください。

準備していれば、本当の夢を実現するチャンスが巡ってくる。

具体的な夢がなかったら、仮置きでもいい。人間は怠け者ですから、何か目的を設けないと動けない。

自分が買い叩かれたら、自分の価値を高めるしかない。勉強して自分の価値を高めるしかない。勉強に歳は関係ない。

目の前の結果に一喜一憂することなく、仕事と向き合えれば、ビジネスパーソンは成長し続けられる。

幅広い視野を持つと、大きな流れを感知できる。

説明が上手な人は、事前の勉強や準備をきちんとして、まず自分を納得させている。相手を説得するには、自分の納得感が必須。

説明する内容について事前に「やっぱりこうだ、これでいくしかない」と、その結論に自分が納得するまで考え抜くことが大事。

現場へ行き、自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分で判断するということがすごく大事。

「わかる」ということはすごく楽しい。腑に落ちるという感覚がすごく好き。

うまく仕事ができない人は、たいてい「詰め」が足りない。とくに外国人と仕事をするときには、詰めが甘いと通用しません。

僕は、世の中の人はほとんどみんな変な人だと思っています。人間はみんな顔が違うし、能力も異なるので、みんな異能人であり変人なのです。

仕事ができる人の机の上は、だいたいきれいです。「机の上の状態を見れば、その人の脳みその中身がわかる」と言う人もいるほどです。

日ごろから風が吹いたときに凧を揚げられる準備をしておきなさい。

部下が困っているときには全力で助けてあげることが大切。上司部下に限らず、人間関係の基本はギブ・アンド・テイクです。

大事なのは年齢や社歴ではなく、人を動かす方法を知っているかどうか。

最初から「誰の責任だ!」と怒鳴るような上司では、ミスが隠されて、事態はますます悪くなる。

3年後や5年後にはあまり興味がありません。私が考えているのは、100年後の世界一だけです。

大局観は少し現場から離れ、一呼吸置いて見ることで得られる。

その人の中身。それなしにどんな関係も続きません。

人間は自分に関心を持ってくれる人に胸襟を開く。

自分の中身を磨くには「人、本、旅」。普段からたくさんの人に会い、たくさんの本を読み、いろいろな場所へ足を運ぶことが、あなたの魅力をアップさせる。

自己主張が強い人は、同じ自己主張が強い人には弱い。逆に奴隷状態の人には強い。

コミュ二ケーションの要諦は、「あくまで上司から部下へ」です。

答えは自分たちの中にしかない。考える力を高めることなくして日本の再建はない。

我々は自分たちが持っているカードをきちんと洗い出すべきだ。

成功体験を捨てて足元を見ると、わが国にはこれまで気付かなかった強みがたくさんある。

戦後の延長線上で考えるから行き詰まる。

常に言行一致であることがリーダーの条件であり、その態度を見て、部下はリーダーに共感する。

リーダーの共感力とは、仲間や部下に対して、「君たちを大事に思っているよ」ということを、口だけでなく、いかに態度で表わせるかということ。

力を蓄えれば、いつか必ずピンチヒッターなどで活躍する機会が訪れます。

立派な業績を挙げたトップには、必ずリーダーシップのある名参謀がついている。

何かしないと、と焦れば焦るほど悪循環に陥ります。まずは気持ちを落ち着けて、時間をかけて自分の能力を向上させなくてはいけません。

部下の話を真正面からよく聞いてあげてください。話を聞いてその人を知ることで、より使いやすくなるという利点もありますから。

人間は、好きなこと・得意なことをやっているときが一番幸せです。そして、社員にそうさせる方が企業にとっても得なのです。

アイデアは思い詰めるほど出なくなるもの。

何が起こるか分からない世の中では、運と適応力のある者こそが勝つことになる。

我々は過去の体験しか未来に生かすことができないのです。過去に学んでいたからこそ、すぐに行動することができるのです。

歴史を知らずとも、じっくり考えることで同じ答えに至ることはあるでしょう。でも、考えている間に時間は刻々と過ぎ、手遅れになってしまうかもしれないのです。

最も大事なのが熱意。「これができないなら、僕は辞めます」くらいの熱意で語れば、反対している人もたいてい「そこまで言うなら一回やらせてみようか」という気になる。

リーダーの条件として、僕は後継者を選ぶ能力も重要だと考えています。偉大なリーダーでも、後継者選びに失敗したケースは枚挙にいとまがありません。

トップは孤独に耐えられなければ務まらない。

我々のようなベンチャーは、大手と同じような考え方をする人を採用しても成長するわけがありません。

名選手と名監督は違うから、やらせてみない限り名監督は育たない。岩瀬(大輔)がナンバー2で私を支えてくれ、安心できるまでに育ったから社長を譲ったのではない。育てるために譲ったのだ。

読書法について言えば、私が一番嫌いなのは速読です。速く読めて時間の有効活用だと思っている人がいるかもしれませんが、速読は時間のムダでしかありません。思考を追体験するというのは、より具体的に言えば「どうしてこう考えたのか?」という思考のプロセスを追っていくことです。丁寧に読むからこそ、思考のプロセスを理解することができるのです。

方向性がバラバラというのは、多くの会社で起こりうること。ただ、マネジメントの基本は「ワンボイス」。経営陣はワンボイス(同じ言葉)で方向を示すのが当たり前。

難しい本と真っ向から真剣勝負しない限り、何も身にはつきません。負荷を掛けなければ、筋肉がつかないのと同じこと。

21世紀の私たちは、いわば「海図のない航海」に出ているのです。絶対的なモデルがないから、どうしたらいいかは自分の頭で考えるしかない。

行動するには心の底から納得する「腹落ち」が必要です。頭でわかった気になったくらいでは、行動にはつながらないのです。

集中するためには、「速く仕事を終わらせよう」と常に意識すること。僕は何をやるにしても「どうすれば速く終わるか」を一所懸命に考えます。

職場は何よりも仕事をするところ。「今日も一日元気に頑張ろう」とベストコンディションで毎日出勤する。これが社会人の最低限の心構え。

パワハラなどで部下に嫌われるのは論外ですが、人には好き嫌いがあるので、多少部下に嫌われるのは仕方がない。

興味のない本はすぐに処分して、自分が好きな本だけ読めばいい。好きこそものの上手なれです。

数字・ファクト・ロジックだけでは抜けがあるかもしれない。最後は経験者の勘に頼ることも大切。

働き方は自分で決めればいい。でも、休んだ方が健康のためにはいいでしょうね。サステイナブルでなければ、いい仕事はできません。20代、30代は、たまに無理もきくとは思いますが。

「良い社員」とは、「短時間で優れた成果をあげられる社員」、要するに労働生産性が高い社員です。仕事ができたうえで人間関係もうまくできるに越したことはないのですが、ウエートで言えば、仕事の能力が9割で、人間関係は1割ぐらいだと思います。

「あなたは間違っている」と言ってくれる人をそばに置かない限り、人は必ず間違う。

何かをやり遂げたい強い思いを持ち続ける人は、迷っても失敗しても、何度でも立ち上がる強さがある。周りも手を差し伸べたくなり、思わぬ応援を得られたりもする。

出世し、人の上に立って支配することが目的のような人物をリーダーにすべきではない。何かを成し遂げたい強い思いがある人をリーダーにすべきだ。

高度成長期のように成長曲線が比較的想定しやすい社会では目標を立てやすい。でもいまは先が読めない世の中。こういったときに精緻な目標を立てると、どこかがズレたらすべてが狂ってくる。

どのような状況でも生き抜ける応用力をつけるために、自分の頭で考える力を養っておきましょう。

真のリーダーとは、「志」「共感力」「統率力」の3つがある人。一言で言えば、自然に人がついていきたい気持ちになるような人。それが、リーダーの条件。

同僚の愚痴は聞き流すのが一番。まともに聞いていたら、自分もストレスがたまり、疲れてしまう。人間の脳は興味のない話は構造的に聞き流すようにできていますから大丈夫。

私は、常に一期一会を大切にし、自分の直観を信じて即断即決。これが信条です。

実はライフネット生命を設立する8年前頃にも、ネットで生命保険を販売するアイデアをかたちにしようと動いていたのですが、その時は時期尚早と判断し、断念しました。風がなければ、凧は揚げられませんからね。

よく起業決断の理由を聞かれますが、恋愛と同じような感覚です。今の仕事よりも魅力的なものが見つかったから、そちらを選んだだけ。

人間は偶然の出会いを繰り返しながら、人生を構築していく生き物です。自分自身の転機を振り返ってみてください。すべての転機が何らかの偶然の出会いから生まれていることに気づくでしょう。

経営者の仕事は大きく2つ。メンバーが毎朝、会社に行きたくなるような楽しい組織をつくる。楽しければ必ずいいアイデアが生まれますから。これが9割。そして、残りの1割は、メンバーがわからないことをはっきり決めてあげる。これだけですよ。

長所を伸ばし短所を直すことは、トレードオフの関係です。短所を直すと、長所も削られて丸くなる。つまり、同様なメンバーばかりになり、環境変化に対応できなくなるのです。

ライフネット生命は、生まれて間もないベンチャー企業。人もお金も足りません。同じ保険業界には歴史ある大企業がいくつもあり、新興企業がそれと同じことをやっていては、絶対に勝てません。生き残っていくためには「いかに人と違うことを考えるか」がすべてです。

私はよく「時間は有限である」と言っています。時間が無限にあると考えるから、仕事をダラダラとしてしまうのです。

仕事だけをしていても、これからの時代に必要な「考える力」は養われません。空いた時間で自分に投資することこそ、仕事のスピードを高める一番の目的なのです。

いまの自分が一番若い。迷っているとその分だけ歳をとって元気がなくなる。挑戦するなら早ければ早いほどいい。

やる気が見えないというのは、与えられた仕事とやりたい仕事にミスマッチが起きていることが多い。面白いと思える仕事を与えれば、部下は頑張るはず。部下のやる気を引き出すのが上司の仕事。

「ゆとり世代」という見方にも問題がある。人間は世代に関係なく、みんなが個性的でそれぞれ違う。ステレオタイプで人を捉えるべきではありません。

まず、質・量ともにその人の能力に見合った仕事を与えているかどうかを考えてみてください。部下の能力、やりたいことをきちんと理解して、仕事に打ち込める環境をつくることがマネジメントの基本です。

自分が情熱を持って仕事に打ち込んでいるかどうか、我が身を振り返ってみてください。新人は先輩を見て育つので、あなたがロールモデルでなければなりません。

物事を理解してもらうには、絵を描くのが一番早い。できるだけわかりやすく図解する。たとえば、自分の子供に説明するとき、「こういうことだよ」と絵を描いて説明するでしょう。

「やる」と決めたら集中できる。やるしかないという選択肢を選べば、うだうだ考えるのは時間の無駄だということが腹落ちするはず。

毎日を充実させることが、将来への準備となる。よくわからない先のことを心配している時間は無駄。

遊び心のない職場は楽しくない。職場が面白ければ毎日行くのが楽しくなる。

ライフネットは若い人向けの保険。若者のアイデアこそ貴重なんです。

30歳のときに決めた人付き合いのルールは「基本的に人の誘いを断らない」です。それ以降、夕食を自宅で取った記憶はありません。

今は体力よりもアイデアが勝負の時代。ムダな残業を削減し、「人・本・旅」から大いに学んでほしい。

日本もこれから労働の流動化が進み、世界基準での普通の社会になりつつあります。普通の社会では専門分野があった方がはるかに転職しやすい。

企業は自分の好きな分野、得意な分野で頑張って成果をあげた人が評価される場所です。そのほうが企業にとっても本人にとってもいい。

厳しい競争に晒されている世界では、「ゼネラリストで人材を育成しよう」というような悠長なことを言っていられるはずがない。

ある分野で飛び抜けた実績を収めている人は、「好きなことはとことんやる人間」だと考えられる。そういう人を採用して、あとは長所を徹底的に伸ばせばいい。長所とは、言い換えれば尖っている部分。

仕事は「事業を継続、向上させること」という当たり前の原則がわかれば、チームをストレスなく、伸び伸びと活躍させ、成長させることができる。

会社のこともすべてオープンにしたほうがいい。その覚悟で仕事をすれば、それがコンプライアンスだ。

立派な指導者は、一番下の人の意見を良く聞く。

早く帰れないから家事や子育てを手伝うこともできない。生産性も低くなる。ダラダラ残業が諸悪の根源。

やるべき仕事に集中し、そのほかのことを割り切れば、あまり疲れなくなる。そうして必要な仕事にだけエネルギーを注げば、早く帰れるはず。

成長に限界が訪れた時、業態を変えないと生き残れない。

「忙しい中で古典を読む時間を確保するのは難しいのでは」と思われるかもしれませんが、歯磨きと同じように習慣にしてしまえばいいのです。私の場合、朝6~7時は新聞を三紙読む、夜は寝る前に1時間本を読むというのが、20代からの習慣になっています。

仕事に行き詰まったり、壁にぶち当たったときは、早く帰ればいいんです。それで、好きなものを食べて、風呂には行って、ぐっすり眠った後に、もう一回考えればいい。頭と体を切り替えなければ、いいアイデアも出ませんよ。仕事の質が低くなる。

社内は若い人が多く、彼らの意見こそが貴重だと思います。

私はリーダーの条件とは、究極的には3つしかないと思っています。

  1. 自分がこのポストにいる間に何をしたいのかを明確にすること。
  2. 自分のやりたいことにはどういう意義があり、いかに自分たちの組織のためになるのかを仲間に説得できること。
  3. 仲間を当初考えた目的地まで引っ張っていく統率力。

一人では何もできませんから、リーダーは自分の考えていることを仲間にもわかるように話せなければなりません。

データの裏付けのないものは、勝手な思い込みに過ぎない。そういうものをベースにしても長続きしないでしょう。

日本の老人経営者は、すぐに志とか信念を持ち出しますが、よく考えれば何を言っているのかわからない話が多い。そんなのデータがないじゃないかと言われたら、すぐに揺らぎますよ。事実やデータに基づいていない理念は共感を呼びません。

会社の経営には「タテ・ヨコ思考」が一番大事だと思います。タテ思考とは、10年前に比べて成長率はどうなっているかを見るという時間軸での発想です。しかし、売上が伸びていることだけで満足したらダメです。同業などと比較するヨコ思考も必要で、業界内のシェアも見ないといけません。「タテ・ヨコ思考」はいろいろな場面で応用できるのでお勧めです。

数字に対する感覚は、見るだけではなく、自分で数字をつくらなければ磨かれません。自分が所属するセクションの予算や売上目標など、取り扱う数字はなんでもいい。1年間の売上目標に対して、1人あたりどれくらい売る必要があるか、といったように計算してみる。上から与えられた数字を「はい、やります」じゃなくて、自分でつくってみるのです。

数字を効果的に使えるようになるには、ただ数字を見るだけでなく、自分で検証する訓練をすることです。

ビジネスは、「数字」「ファクト」「ロジック」がずべてだと考えています。会社というのは合理的な経営体で、長期の経営計画や決まった年間の予算がある。こうした取り決めに対して、どうやった方が効果的かということでしか意見の対立は生じないわけです。「数字」と「ファクト」を出し合って、どちらの「ロジック」が正しいかを考えれば、結論なんてすぐ出ます。

どんな会社でもステージによって見る数字が違います。ライフネット生命はまだ伸び盛りですから、新契約価値(ある期間に獲得した新契約から得られる将来利益の現在価値)しか見ていない。でも、私が日本生命の社長だったら新契約価値は見ないでしょう。業界内で自社のポジションを把握し、どういうステージにあるかを認識したうえで、経営にとって何が大事かを考えることが重要です。

日本の所得分布をみると、子育てを終えた世代よりも、これから子育てをしようとする若い世代の方がずっと貧しい。これが少子化の原因だと思います。こういったデータがあるから、子育て世代の生命保険を半額にして、安心して赤ちゃんを産んでもらおうということを、会社をつくるうえで旗印にしました。思いや願いの背景に数字があるわけです。

我々は全国枠でテレビCMをやったことがなく、地区と期間を限定して流しています。その結果、どのくらいのお客様がホームページにアクセスし、実際にどれくらい契約に至ったかを見ているのです。地区を限っているから、何もしなかったところとの比較ができます。効果があり1件あたりの獲得コストも安いという仮説が立てられれば、ほかの地区でもやる。いくつかの地区で行った結果、費用対効果が見えてくれば、料金が高い東京地区でもやってみようとなるわけです。

何も努力していなければ、神風が吹いたときに自分の凧を揚げることができません。大切なのは、来たるべきときに備えて準備をしておくことです。

将来何が役に立つかなんて、簡単にわかるものではありません。ですから、仕事でも私生活でも、普段からできるだけ異質で多様なことをして、インプットの種を増やしておいた方が将来的なメリットは明らかに大きい。そういう意味で、無駄な努力などないと思います。

ただ頑張るだけでは競争に勝てません。どうも日本人には、いまだにそのあたりを勘違いしている人が多いような気がします。

仕事ができるというのは、人より多くの付加価値を生み出すことだと私は思います。そのためには、隣の席の人より長く働くのではなく、隣の席の人が思いつかないようなことを考えられるようにならなければいけません。「人と同じことは絶対にやらない」という気概がなければ、新しいビジネスの発想は絶対に生まれません。

若いうちは上司から指示された仕事をきちんとこなすことが大切ですが、それをどう達成するかは自分で考えるべきです。

私が新入社員だったときには、上司に仕事を頼まれたら、「何のためにその仕事をやるのか」ということをまず確認していました。そのうえで、その目的を効率的に達成するにはどうすればいいかを考えて実行するのです。さらに、先輩たちはどういう方法でそれをやっていたかを聞いて、自分のやり方と比べてみるということを習慣にしていました。そうすれば、たとえ雑用のような仕事だって、頭のトレーニングになります。

努力が実りそうもないから何もしないというのは、生き方として疑問です。「この世界に生きる一人一人の人生は、世界経営計画のサブシステムである」というのが私の考えです。全員がいずれかのパートでふさわしい役割を果たすからこそ、この世界が維持されている。あなたの努力はあなたの人生だけでなく、この世界のあり方にも確実に影響を与えているのです。

努力をすれば必ずその分報われるといった幻想を持ちすぎてはいけません。厳しい言葉かもしれませんが、それが事実であることは歴史が証明しています。いつの時代も人間の努力の99%は徒労に終わってきました。しかし、努力をやめなければ、人生には1%の可能性は常に用意されているのです。

自分の仕事のスタイルが完成するぐらいの年代であれば、キャリアアップを前提にした仕事選びをすることもあり得ますが、若いビジネスマンはあまり好き嫌いを言わず、目の前のことに一生懸命取り組めばいいと思います。

いくら肉が好きでも、肉だけを食べていたら健康を損ねてしまうのと同じで、自分の興味や関心の範囲だけで仕事をするとインプットの幅が非常に狭くなります。とくに若いうちは、やりたくないこと、役に立ちそうにないことにも取り組んで、脳のいろいろな部分をまんべんなく刺激すべきです。

会社の都合に従う代わりに毎月給料が支払われる。それが会社員の仕事の基本です。上司から仕事を命じられたら、それがつまらない仕事に見えてもすべてやるのが当たり前です。ただし、どうせやるなら楽しくやった方がいい。自分の頭でやり方を考えるというのは、仕事の能力をあげるためのテクニックでもあるのです。

ピーター・ドラッカーの本が世界で一番売れている国は、日本だということをご存知ですか。ドラッカーの読者が増えたからといって、企業が成長しているかといえば、日本企業の業績も株価も低迷したまま一向にあがってきていません。要するに、他人に遅れまいとして、横並びの発想で同じ知識を頭に詰め込むことばかりにとらわれているからでしょう。

既存の生保では、販売員の組織を維持することがすべてに優先するようになり、普通の商品がつくれなくなってしまいました。恋人や両親に安心して勧められるようなわかりやすい商品をゼロからつくりたい。

以前、ふたつの銀行を統合した欧州の金融機関の経営トップがこう言っていました。「ひとつのポストにふたりの責任者がいたら、優劣を決めてどちらかひとりを選べばいいだけのこと。簡単な作業だ。選ばれなかった人間は残さず解雇して、労働市場に出してあげる。そうして、他社で活躍してもらう。この方が当社にとっても本人にとっても幸せだろう」。こうした考え方に学ぶ点は多いと思います。

定年制も含め、日本企業は雇用形態についていま一度、見直すべきだと思います。他社と経営統合した後に、たすきがけ人事なんてこをとして、経営がおかしくなっている企業も少なくありません。

多くの日本企業では、若手・中堅がベテランを上手に活用することさえ現実できていない状況です。それなのに、外国人従業員を連れてきてダイバーシティ(多様性)を推進するといっても、本当にできるのでしょうか。従来の雇用形態を維持したままで、海外の人材を増やせば、グローバル化が図れるというのは考えが甘いでしょう。

年功序列主義で企業が健全に成長しているのであれば、実力成果主義を導入する必要などないでしょう。しかし、仮に年功序列型組織で成長していないのであれば、やはり見直すべきだと思います。

定年制がないだけでなく、当社には年功序列の考え方もありません。若手がリーダーを務め、年長者を部下として抱えていることもあります。良い商品・サービスを提供するために、年齢など関係ありません。若手を無理に抜擢することもなければ、高齢者だからといって厚遇することもしません。個人の実力に応じて、適所適材で活用するだけのことです。

少子高齢化が進んでいる日本では、今後、労働力が不足するのは周知の事実です。こういう状況で、定年制があること自体おかしいのではないでしょうか。時代が変化しているのに定年制を維持している。この点だけに限りませんが、日本企業の多くは従来のやり方を後生大事にして何も変えない。その結果、競争力が低下して株価も低迷しているのだと思います。

反対する方は企画の甘いところをついてくる。だから、反論できないように「数字・ファクト・ロジック」の精度を上げておくことがまず大事。わざと突っ込みどころをつくっておいて、突かれたら「素晴らしいご指摘ですね」と徐々に論破していく戦法もあります。

いい本は時間がかかってもいいので、辛抱して最初から最後まで精読すること。飛ばし読みをしてはいけない。いい本は、読んですぐに役に立たなくても、内容が読み手の血肉になって、どこかで必ず生きてくる。

人生には、成功の法則などない。先人の生き方をケーススタディにして、生き抜く知恵を学ぶしかない。偉人たちは天才です。天才は文字通り天賦の才能ですから、なかなか一般の人が同じような偉業を成し遂げることはできないでしょう。しかし、生き方を模倣することはできるはず。

子供の頃、ほとんどの人は「偉人伝」を読んだことがあるでしょう。そのときは、昔の英雄たちの活躍に、胸を躍らせたり、感動したり、憧れたりしただけだったかもしれません。ビジネスパーソンの皆さんには、そうした伝記をぜひ、もう一度読み返してもらいたい。なぜなら、偉人伝こそ、最高の人生の教科書だからです。

我が国の関連会社の人事では大抵親会社のトップ争いに敗れた人が一番大きい関連会社に行き、70歳ぐらいまで社長をやる。専務で敗れた人が次のクラスの関連会社の社長になり、常務で敗れた人はそのまた下のクラスの関連会社の社長になる。こんな無駄なポストの使い方はない。外に出て自分の力で修羅場を乗り越えた者を引き上げるべきだ。

1990年代に米シティコープのリーダーだったジョン・リード氏は、経営者の資質があると思った若者をまずシティグループの子会社の社長に抜擢した。そしてナンバー1として孤独に耐え、きちんと1人で物事を決めることができるかどうかを見極め、初めてグループの幹部候補にした。日本の大企業や金融機関にもたくさん関連会社がある。選手として優秀な人間に関連会社の社長をさせ、素質があるかどうかテストしてみてはどうか。

読書は丁寧に思考のプロセスを追っていくことでこそ、様々な著者の思考パターンを学ぶことができます。とくに役立つのが、賢人の思考パターンを理解すること。だから、古典を丁寧に読むことが大切なのです。

ビジネスマンに成り立ての頃、ある先輩に「管理職になったら、部下の言うことを良く聞くこと」と教わりました。「賛成か反対か、部下の意見をちゃんと聞けと言うことですね」と聞くと、「そうではない」と言いました。「賛否のような結論は、話を聞かなくても数秒でわかる。大事なのはなぜ反対なのか、なぜ賛成なのか。部下の考え方のパターンを知らないと、その部下を上手に使えないだろう」と言うわけです。

「学生時代に勉強をサボってしまった自分はどうすればいいのでしょうか?」と聞く人がいます。そういう人は今日から勉強すればいいだけの話です。今後の人生を考えると、いまの自分が一番若いのですから。

ライフネット生命の採用試験では、難しいテーマを与えて字数無制限で論文を書いてもらっています。これは考える力を見たいからです。

地頭の良さとは何かといった抽象的なことを考えるより、まず必死に勉強することが大事だと思います。

私は人の頭の良し悪しに大差はないと思っています。みんな「チョボチョボ」ですよ。もともとの頭の出来で言えば、そんなに賢い人もいなければ、そんなにアホな人もいません。

会社と直属の上司の方向性が違うのであれば、「それでは仕事ができません」と言うしかありません。極端に言えば、社長が「北極へ冒険に行くんだ」と言っているのに、直属の上司が「僕は南極に行きたい」と言っているようなものでしょう。

教養は仕事に圧倒的に効く。グローバル企業の経営者と少し話をするだけでも、彼らの、人生や社会に対する深い洞察に気づかされます。教養のない人にはちゃんとした仕事はできない。私は心からそう感じる。

どんな仕事でも、仕事の相手は生身の人間です。だから、人間の喜びや悲しみについて知ることは、誰にとっても必須。文学は、その意味で、何よりの教材になります。読む本は古典でもいいですし、芥川賞などの賞をもらった現代文学でも構いません。

歴史、経済・金融、この知識なくして、社会状況を正しく把握することはできません。例えば、金融緩和をさらに進めた方がいいのかどうかすら、判断できないはずです。そんな人が、仕事上の判断を正しく行えるわけがありません。

10冊のビジネス書より、1冊の古典。人々が何千年にもわたって、取捨選択を繰り返し、選び抜いたものだけが、古典として受け継がれてきている。

アダム・スミスの『国富論』を開き、「見えざる手」の部分だけ読んでも無意味です。それならウィキペディアを引いた方がいい。本を読む醍醐味は、著者の思考プロセスの追体験にある。飛ばさず、1行ずつじっくり読む。

本を読むのは、時空を超えて、著者と話すこと。速読なんてしてはいけない。人に会っている時に、要点を早口で話しても、何も得られないでしょう?

人はその土地と風土の創造物だ。誰もが自分の生まれ育った土地や、先祖への愛情を抱いている。だから、あらゆる人たちと胸襟を開いてつき合うためには、世界中の歴史と地理を学び、相手の背景を知る努力をすべきだ。

時間をつくるには、まず捨てられるものは捨てる。私はテレビとゴルフを捨てました。これだけでずいぶん時間ができます。そして、やりたいことを習慣にすることです。忙しいからといって、風呂に入らない人はいないでしょう。読書や新聞を読むことも、風呂や歯磨きと同じ習慣にしてしまえばいい。強い意志をもって歯磨きを継続している、という人はいないでしょう。

いわゆる報連相というのは部下に強いるものではなく、管理者自身のための言葉です。若い人に元気がなかったり、腹が立ったような顔をしたりしていたら、こっそり別室に呼ぶとか、昼食に誘うなどして、報告・連絡・相談をしやすい雰囲気をつくるのが上司の仕事でしょう。

表面的な議論に囚われるのではなく、数字・ファクト・ロジックという、しっかりした岩盤にまで掘り下げて考えるクセをつければ、本で読んだ内容にいちいち振り回されることはないでしょう。

本のなかで語られている主義主張や政策といったものは、必ず根拠をもっています。そして、その根拠は数字にすることができるはずです。数字で表わした根拠をベースに判断する習慣をつければ、本を読んでその主張を鵜呑みにするということはなくなります。

読書でとくにお勧めしたいのは、古典を読むことです。古典は長いあいだマーケットで評価されて残っている本です。長く評価され続けているのは、いいことが書いてあるから。僕はいつもいっていますが、いま売れているビジネス書を10冊読むなら、古典を1冊読むほうが役に立ちます。

リーダーに必要な資質を身につけるには、人間を知ることが大切です。人間はどういう動物で、どのように行動するのか。人間を知ろうと思えば、たくさん人に会い、たくさん本を読み、たくさん旅をして、いろいろな事象を知ることに尽きます。

いくら強い志があっても一人では何もできませんから、なぜそう考えるのか、どうすれば理想を実現できるのかを、人に説明して共感を得る能力が必要です。

どんなプロジェクトでも、山あり谷ありは避けられません。「谷」の時期には、メンバーは元気を失います。そのときに、みんなを安心させて最後まで引っ張っていく力が必要になります。一般には統率力といわれるものですが、その実態を考えれば、コミュニケーション能力ということでしょうね。一人一人と丁寧にコミュニケーションを取って、盛り立てていく能力です。

40代からの勉強では、リーダーとなることを意識しなければなりません。リーダーには強い思いが必要です。「志」といってもいい。世界のあり方をどのように理解し、そのうえで、何を変えたいと思うかが大切です。

普段、私が経営判断をするうえでもっとも参考にしているのは、モンゴル帝国の皇帝クビライです。ヨーロッパでは十字軍や異端審問が行なわれていた時代に、彼は思想・信条・宗教と政治を切り離していました。首都・大都(のちの北京)の設計をムスリムの技術者に任せたことが好例です。この例にかぎらず、彼は中国人やペルシャ人、アラブ人など、さまざまな国・地域から優秀な人材を登用しています。徹底的に合理的なのです。いってみれば、ダイバーシティの先駆けですね。経営判断をするときには、社会の常識に囚われていないだろうか、クビライのように合理的に判断できているだろうか、とつねに自分を顧みています。

私はよく「『済んだことに愚痴を言う』『人を羨ましいと思う』『人に褒めてもらいたいと思う』、人生を無駄にしたいならこの3つをたくさんどうぞ」という言葉を口にして、自分を戒めるようにしています。

いくら自分の抱えている問題を解決してくれるような言葉を本の中に見つけ、気持ちがすっきりしたとしても、そこで終わりでは何も変わりません。大事なのは行動に移すこと。

歴史に問題解決のひとつのヒントを求めるのは、有効な手段です。古今東西の歴史を調べると、先が見えない状態で正しい意思決定を行ったり、未曾有の危機に直面しながらそれを乗り越えたりといった例が、いくつも見つかります。そういう先人の足跡を学び、参考にするというのは、きわめて合理的だといえます。

僕は、仕事が速かったおかげで、オンとオフは完全に切り替えることができた。

ミスを隠そうとするから余計にミスが起こる。私の会社では、問題が起きたらまず「ギャーッ」と叫べと言っています。叫んだら皆が集まってきて「どうしたんだ?」となるのでミスが直るのです。原因や責任はあとで考えればいい。

人間は多かれ少なかれ、必ずミスをする動物です。ミスをするのはむしろ健全な証拠。自分を責めすぎてはいけません。ミスが起きる前提で仕事の仕組みをつくっておくことの方が大事。

時々、「やはり飲みニケーションが大事ですよね」などという人がいます。彼らには「これからの時代の管理者の在り方について自覚が足りませんね」と指摘させていただいています。たとえば、もし部下が宗教上の理由でお酒が飲めない場合、飲みニケーションを強要するわけにはいきませんよね。

人間は「自分で決めなければいけない人」と「誰かに相談できる人」の2種類に分かれる。管理職になるということは、相談できる人から、決めなければいけない人になったということ。となれば、孤独に耐えなければなりません。耐えられないのなら、もう一度平社員に戻してもらいましょう。

石の上にも3年だ。入社して3年学んで、どうも居場所が違うと思ったら辞めれば良い。何も最初に置かれた場所で咲かなくても良いのだ。

入社員は3年で辞めて、もっと儲かる産業に移動しなければいけない。若者が既存の安定した大企業を目指すばかりでは、わが国の未来はない。

思い込みや常識を排し、数字、ファクト、ロジックによって、目標達成に必要な道筋を考え、仕事を組み立てていく。それが当社の必要としている人材であり、私にとってともに仕事がやりやすい相手でもあります。

どんなことでも練習しないとうまくなりません。苦手であれば人一倍リハーサルをする。あとは、恥をかきながら慣れていくしかない。

世の中に場数を踏まないであがり症を克服する方法はありません。逆に言えば、場数さえ踏めば多くの人は克服できる。

1対1で話すときと、1対100で話すのとは、同じだと思った方がいい。相手の数が多くても、相手が一人のときと同じように、聞き手の表情をよく見て、自分の言葉が相手に刺さっているかどうかを確認しながら話すのが良いでしょう。

本を読み始めると、集中してしまうので、周りが見えなくなるし、音も聞こえなくなります。僕が見る夢はだいたい直前に読んだ本です。一番印象に残っているのはマルクス・アウレリウスの『自省録』を読んだあとに見た夢。寝苦しいと思ったら、ドナウ川の畔で、マルクス・アウレリウスと一緒に戦っていました。

目標がなければ仮の目標をつくって、何歳までにそれを実現するかも決めて頑張ってみましょう。そうしているうちに、本当にやりたいことが見えてくるかもしれません。

モチベーションが続かない理由はシンプル。好きでないか、腹落ちしていないか。

「二・六・二」という法則があります。人間の集団の2割は優秀、6割が普通、2割はぱっとしないというものです。やる気がある2割には、どんどん仕事を与えればいい。そうしたら6割も「置いていかれる」と歩き出す。残る2割も不安になって動き出す。

リーダーシップは上の立場の人だけが発揮するものではありません。地位や肩書きがなくても、下からリーダーシップを発揮し、仲間たちとコミュニケーションを取りながら、国や社会をより良くすることができます。

リーダーのコミュニケーション力が本当に問われるのは、困難に直面したときです。調子良く物事が進んでいるときは元気だった部下も、困難に出会えば途端にやる気をなくし、逃げ出す者も出てきます。そこで、部下と丁寧なコミュニケーションを取り、統率を取ることが求められるのです。

報連相は部下に命じるものではなく、上司が実践すべきものです。上司が部下に目を配り、「元気がないな」「何か悩んでいるのかな」と思ったら、別室に呼び出すなり一緒に食事を摂るなどして、部下が報連相しやすい雰囲気を作ること。これが報連相の本当の意味です。

飲み会や勉強会、合コンなどでもいいですが、たくさん社外の人に会ってみてはどうでしょう。その中でロールモデル(お手本)が見つかるかもしれません。必ずしも、社内で見つける必要はありませんから。ロールモデルが身近にいなくて欲しければ、広い世界に探しに行けばいいのです。

ロールモデルというのは、「生き方や考え方を見て参考にする」ということなので、必ずしも自分と同じタイプの人である必要はありません。自分にはない素晴らしいところがあるから憧れるのです。つまり、ダイバーシティが大事。自分とは視点や、感覚が違うからこそ、その人が貴重な存在になる。

自分の評価と周囲の評価がズレている人は、結局、自分のことしか見ていないことが多い。僕はこれほど一所懸命にやっている、私はすごいというように。目に自尊心の膜がかかっていて、外の世界が見えていない。自分を見れば見るほど、自分を誤解してしまう。

広島のある眼鏡チェーンでは、「この職場は私に合いません」と言う部下がいたら、「それなら、どこがいいか言ってごらん」と、無条件で他の店舗や部署などの希望を聞いて異動させるそうです。それを3回くらい繰り返すうちに、誰でも「あ、悪いのは自分かもしれない」と考え始める。

僕がかつて、同期で最初に部長になったとき、山ほど祝電が届きました。でも子会社に行くことになったときは10通も来なかった。「人の気持ちは変わる」という事実を知らなければ、ショックを受けたでしょう。でも、変わるのが当たり前だと知っていれば平静でいられます。

「人の気持ちは変わるのが普通だ」ということがわかっていれば、裏切られてもショックは少ないはず。どんな相手に対しても誠実に、正直に接して、信念を持って仕事をすればいい。

世の中のことを考えると、経済も政治も文化も常に変わり続けている。たとえば、ダウ平均の発足当時から現在まで同一名称で採用されている銘柄はGEただ一社。ほかは全部入れ替わっています。それが世の中の常なのです。

いくら議論しても上司が理解してくれない場合は、諦めて時期を待つしかありません。

仕事とプライベートの比重を間違えないということも重要です。人生で過ごす時間において、働いているのは3割に達しません。大切なのは仕事ではなく、食べて寝て、家族や友人と楽しく過ごす時間です。仕事なんてどうでもいいと割り切れたら、八方美人になったり上司にゴマをすることがバカバカしくなります。絶対に譲れないと思うときは上司を打ち負かすつもりで臨めます。本当にいい仕事ができるのです。

上司に嫌われたら困るという人はリアリズムに欠けていると私は思います。会社員は左遷される可能性のほうが高いからです。社長になれる確率を計算すれば明らかでしょう。社長になれなければ、みんなどこかのタイミングで左遷されるのです。自分だけが嫌われているなんて考えるのは幻想です。

数字・ファクト・ロジックで上司と徹底的に議論したり、任せられてもいない仕事をどんどんやってしまうことは、「出すぎたヤツだ」と上司から嫌われるリスクをはらんでいます。でも、リターンには必ずリスクが伴います。リスクを避けたいなら、上司から言われた仕事だけをやって給料をもらい、満足するしかありません。

仕事はたいてい文章でやりとりされます。くだらない話だと思うかもしれませんが、誤字には気をつけましょう。どんなに立派な内容の報告書を作成したとしても、最初の一行目に誤字があったら台無しです。読んだ上司は、「なんだこいつは」という気持ちになります。上司への文章は提出する前に精査する習慣をつけるべきです。

期限が一週間後の仕事を3日でやり遂げる部下がいたとします。出来栄えは経験豊富な上司に及ばないかもしれませんが、時間があるので上司は手を入れることができます。直す余裕があるかないかで印象は全然違います。

上司から仕事を任せてもらえるようになる正攻法は、仕事に一生懸命打ち込んで「こいつは見どころがある」と思わせることです。一生懸命という意味は深夜まで残業することではありません。よく考えて、早く、正確に働くのです。「よく考える」とは、数字・ファクト・ロジックの三要素で徹底的に検討すること。目的や方法論が腑に落ちない場合は上司に「なぜ?」と聞く。議論をする。上司としては部下の思老プロセスがわかるので、安心して仕事を任せられます。

大きな流れは過去の歴史を見なければ分からない。過去のケースを知っていれば、その中から最適なものを選択したり、ヒントにして類推したりすればいい。多くのケースを知るには、歴史を勉強するしかない。

時間をかけて考え抜いたら良い意思決定ができるわけではない。それに多くの場合、意思決定にかけられる時間は限られる。短時間で意思決定を迫られ、結果を出さなければならないのが現実だ。

いいかげんな思い付きで意思決定をしても、会社に成果をもたらし、顧客の利益に資すれば、それは良い意思決定だったことになる。一方で真剣に考え抜いた意思決定でも、会社にマイナスの効果しかもたらさず、顧客の不興を買うようであれば、悪い意思決定だ。

統率力とは、思いがけない困難にぶつかったとき、仲間と丁寧にコミュニケーションを取り、最後まで率いる力を指す。統率力というと誤解されがちなのが「黙って俺についてこい」などの不毛な精神論だ。独善的に振る舞うことは、統率することとは違う。

人は表向きは賛同して、裏では足を引っ張るようなことを平気でする。それが人間社会だ。だが共感してくれるメンバーを何人か得ることができれば、それでチームを引っ張っていける。

リーダーに必要な資質とは何か――。よくそう聞かれるが、私は3つの最低条件があると考える。それは、強い思い、共感する力、そして統率力の3つだ。

海外より長時間働いても生産性が低いのだから、極論すればいまの日本は、経営も現場もダメ。いままでの日本の現場は捨て、どういう現場が必要かを考え、つくりなおすしかない。

もはやキッチアップができないのだから、ベルトコンベヤーの上でどれだけ速く仕事をするかではなく、コンベヤーに代わる仕組みを考える要がある。

リーダーには適性が必要ですが、それだけで成功するわけではありません。努力が不可欠です。そこに世の中の大きな流れが重なったとき、偉大なリーダーが開花するのです。適性だけでも、努力だけでも、運だけでもダメだというのが人生の面白いところであり、歴史を学ぶ面白さでもあります。

リーダーシップの本質は、立場や地位ではなく「機能」です。一人のトップが完璧なリーダーシップを備えているのが理想かもしれませんが、そんな立派な人はまずいませんから、仲間や部下たちがトップに足りていない機能を補って、組織としてリーダーシップを発揮できれば良い。

一般に焦りは自分の「やりたいこと」と「やれないこと」とのアンバランスから生じます。やりたいことに100%挑戦できる環境なら、おそらく焦りは生じません。

脳に刺激を与えるには、「飯、風呂、寝る」という生活から、「人、本、旅」という暮らしに移行する必要があります。つまり、たくさんの人に会い、本を読んで、いろいろなところに行って刺激を受ける。そうしなければ、生産性は上がりません。これが、働き方改革の基本。

当社の採用基準はグローバル基準にのっとっているだけ。我々はベンチャー企業ですから、中途採用が基本です。その条件は「働きたいか(意欲)」「職場に来られるか(体力)」「どんなスペック(能力)があるか」だけです。年齢は問いません。

当社の保険の約款が平易な言葉で書かれているのは、僕自身が、読んでみて分からなかったから。会社を立ち上げる時に、同業他社の約款を改めて読みました。保険のプロのつもりだったのですが、その僕でも「これは分かりづらい」と思った。だから、平易な言葉にしたのです。

人間の偉大な発明や発見は、すべてモノマネから生まれた。独創的なものなんてほとんどない。人間の脳で考えられることなんて、たかが知れている。物事をたくさん知っていれば、連想が働いてアイデアが浮かぶ。

ライフネット生命を立ち上げた時、会議室は最低限の数しか作りませんでした。部屋がなければ会議は減ります。どうしても会議が必要な時は、「情報をシェアする会議なら30分」「物事を決断する会議は1時間」と決めている。そうすれば、会議の目的もはっきりします。

歴史を振り返ると、年長者と若者というコンビは多い。あのクビライは南宋接収という大事な局面で、イランからきたバヤンという若者を抜擢しました。カエサルも後継者として、18歳のオクタヴィアヌスを指名した。年長者と若者のコンビは、互いを補完しあい、また新しい挑戦をするにはふさわしい。

違う世代、異業種……。自分と違う価値観を持つ人と、積極的に会うようにしています。違う発想を持つ人と話すと、ひとりでは思いもつかないアイデアが生まれることもあります。違う発想を持つ人と話す方が、単純に楽しいからですかね。

話を持っていくときに大切なのはタイミング。相手の状況をよく観察して、機嫌が良さそうなときに持ち込むべきです。相手に聞く気がありそうなときに話すのです。

人間は不思議なものでA君はB君に強く、B君はC君に強い。でもA君はC君に弱いといった会社の組織図には表れない力関係があったりするでしょう。人間社会は複雑なので、その関係性を事前に押さえておくことはとても大事。

話を持って行く際に、「誰に一番最初に話をするのがスムーズか」を見極めることが大切。渉外の仕事をやっていたとき、知り合いのつてを辿って、事前に相手の内情を探りに行ったものです。すると「あのトップはあの課長の言うことは何でも聞くから」と教えてくれる。

40代50代は挑戦するなら一番リスクが少ないと思っています。家族と子供の目処もある程度見え、自分が今の会社で社長になれるかどうかもだいたいわかっているでしょう。そして、得意分野、使える資金、人脈がそれなりにあり、様々な経験も積んできた。そういった意味でも、40代50代が日本で起業するならほぼノーリスクですよ。ただし、やりたいことを明確にし、マニフェストをつくり、収支計画をしっかり立てて挑戦すること。あとは、大きなビジョンを持って、勉強し続けるだけです。

世界を知る勉強をして知識を蓄え、自分の頭で考え抜き、やりたいことのイメージを固める。そして行動。これができないのは赤ちゃんと同じ状態ということです。

一番大切なのは、何をやりたいかです。私のところによく、「起業家になりたい」という若者が相談に来ますが、まず「あなたは何をしたいのですか?」と聞きます。まずは、やりたいことを見つけるのが先決で、それを実現するための手段は、会社、NPO、もしかしたら公務員なのかもしれない。それすら明確ではなく、単に「社長になりたい」「起業したい」では、何の価値もありません。「まず、やりたいことを明確にしてからまた来なさい」と伝え、追い返します。

昔の石垣は、かたちがバラバラの石を組み合わせてつくられていますが、今でもとても頑丈です。組織を構成する人間も石と同様。一人ひとりの、三角や四角の出っ張りをしっかり見極め、社会と経済の環境変化に合わせながら、組み合わせていく。隙間ができれば、リーダーが接着剤となって埋めていけばいいのです。

私のチーム作りのポリシーは、一人ひとりのメンバーをよく見て、どういう組み合わせをすれば強くなるかをよく考えることです。例えば、野球だって同じ。適材適所を考えることが、強いチームづくりのすべてです。

本の中では、やはり古典が一番。ビジネス書は時間のムダといってもいい。古典は長い歴史を経て、人々に選ばれながら、残ったものでしょう。そして、その本を読み込むことは、著者の考えや経験を追体験できるということ。プラトンやアリストテレス、韓非子、ダーウィン、アダム・スミスなど、ぜひ名著といわれる古典から、世界の本質、人間の機微を学んでほしい。

直感を鍛えるためには、勉強し続けるしかありません。人間は「人」と「本」と「旅」からしか学べないと思っています。多くの人に会い、たくさんの本を読み、様々な場所へ旅をする。人によって得手不得手があります。3つの中から、自分に合っているやり方を選んで、勉強すればいいと思います。

直感が一番大事です。そもそも人間の脳は1万3000年、進歩していないといわれていて、脳が意識できる部分は1~2割。それ以外が無意識です。そして、これまで自分がインプットしてきたすべてのことを、意識と無意識を含めて総合判断してくれるのが直感ですから、自分の直感を信じないということは、自分を信じていないことになります。

「世の中には、決める人と、それ以外の人しかいない」。私が30歳の頃、家業を継いだ友人から聞いた話です。確かに、大企業の取締役であっても迷ったら社長にお伺いを立てることができる。しかし、大小問わず会社のトップは、すべてを自分が決めなければなりません。

経営者にはビジョンが必要です。ライフネット生命は私の子供のようなものですから、日本人の平均年齢以上、最低でも100歳までは生き延びてほしい。そして、100年後には、必ず世界一の生命保険会社にする。これが、私の描くビジョンです。ちなみに、明治生命が日本で初めて保険会社をつくり、日本生命が1989年に世界1位になるまでがちょうど100年。そのファクトとロジックと数字から考えれば、私たちでも十分なれる。そう確信しています。

リーダーに強い思いがあり、チームが共感でつながれば、あとはビジネスという旅に出るだけ。しかし、いざ旅に出ると、雨や嵐に遭遇することもあるでしょう。すると、メンバーがやる気をなくしたり、動揺したりします。そうなった時は、しっかりコミュニケーションを取り、落伍者を出さないように配盧・行動すればいい。

岩瀬と3カ月ほどひざを突き合わせて考え続け、言葉として書き起こしたのが、当社のマニフェストです。これさえあれば、メンバーは道に迷うことなく、ミッションに向かって突き進むことができます。もしも迷った時は、マニフェストの言葉を読み返せばいいのです。

いくら強い思いがあっても、それを言葉にしなければ伝わりません。また、言葉があっても、下手な話し方だと「共感」が得られず、メンバーがいつか面従腹背になってしまうかもしれない。

リーダーには、「これをやりたい」という強い思いが必須です。そして、その旗を掲げた人の周りに有志が参集していく。右へ行くのか、左へ行くのかわからないような旗のもとには、人は集まらないでしょう。

ライフネット生命の場合、保険料を半額にして、安心して赤ちゃんを育ててもらいたいというのが、ひとつの大きなミッション。そのミッションを軸に、人を集め組織を構築し、推進していくための「旗」となるのが当社のコアバリューであるマニフェストです。

これはライフネット生命をスタートした後の話ですが、20代の社員が私にポータルサイトでのこんな企画提案をしてきました。「死亡保険を検討するAさんがいます。河原に、異なる保険金額を書いた3つの皿に豆を入れて並べます。Aさんは、最初にハトが飛んできて豆を食べた皿の金額の保険に入る。この企画、面白そうでしょう」と。最初は、何をアホなことを……とあきれましたが、周囲に勧められ撮影に協力した結果、そのPR効果は想像した以上に高かった。自分と若者の感性の違いを痛感し、また、異質な人とのコミュニケーションが勉強になることを再認識できた好例です。

パートナーである岩瀬は私より30歳近く年下で、当時、生命保険業界を全く知らない若者でした。そんな異質な人との出会いは、新しいアイデアをどんどん生んでくれるのです。私にとって岩瀬は、新しい刺激を与えてくれる人であり、彼との日々のコミュニケーションが、やる気と生産性をいっきに高めてくれました。

私が考えていたのは、「保険料半額」「原価開示」「他社比較充実」など、従来の生命保険会社がやってこなかった商品の販売です。そのミッションを実現するためには、生命保険会社を親会社にしたり、業界経験者をパートナーにしたりすると、既存の枠組みを超えられなくなる恐れがある。だから「若くて優秀で、生命保険を知らない人を紹介してください」とお願いしました。

報連相は部下に求めるものではなく、上司から探しに行くもの。上司の仕事は部下の動きをよく見て、気持ちを察すること。ですから上司は「俺に報連相したそうだな」という部下の気配を感じたら、別の部屋へとれていくとか、それとなくランチに誘うなどして、部下の報連相を上手に引き出さなければならない。

様々な世界で経験を積み、常識に囚われず自らの頭で考えられることこそが、これからのあらゆる仕事に必要とされるパーソナリティです。

思い込みや常識を排し、数字、ファクト、ロジックによって、目標達成に必要な道筋を考え、仕事を組み立てていく。それが当社が必要としている人材であり、私にとって共に仕事がやりやすい相手でもあります。年齢や世代は関係ありません。

単純に「どんな人が一緒に仕事しやすいか」という意味なら、私の場合、ひとつは「明るく元気な人」です。職場で一緒に仕事するのに、いつも笑顔で、元気で楽しい人なら、こちらも元気をもらえます。もうひとつ条件を挙げるなら、「思い込みや常識に縛られず、自分の頭で考えられる人」です。

私の友人に、かってイギリスの駐日大使を務めた英国人がいます。彼は大使時代、英国の人たちから「日本人ってどんな連中なんだ?」と質問されると、いつも「我々と同じで、いい人もいれば嫌な人もいるし、立派な人もいれば駄目な人もいるよ」と答えていたそうです。世代論も同じ。血な型占いのようなものです。メディアで言われるように、世代による違いの原因が就職に苦労したのか、楽勝だったのかという程度のことなのであれば、それがその世代の人たちの物の考え方にそれほど大きな影響を与えたとは、私には思えません。それより、それぞれの人が育ってきた環境や受けてきた教育の違いの影響のほうが、ずっと大きいでしょう。

年功序列色の濃い大企業と違い、当社のように年齢フリーが前提だと、「どの世代が使いやすい」とか「どの世代は戦力にならない」という考え方はしなくなるものです。

当社でいう「新卒」は30歳未満を意味します。人生の選択肢は、大学を出てすぐ、22歳で就職することだけではないはず。卒業後、大学院でさらに勉強したり、ボランティアやNPOで活動したり、世界を放浪したり。いろいろな人材に集まってもらうため、ライフネット生命では、採用の際にも会社説明会やOB面接は行っていません。ホームページで告知し、入社希望者には字数無制限の論文を提出してもらっています。

ライフネット生命は2008年に営業を開始したばかりの若い会社ですが、社員の年代は様々です。4人の常勤役員も、30代、40代、50代、60代が各一人ずっとなっています。配属も年功序列ではなく、適材適所。十数人の部門の中で、部門長が一番若いというケースもあります。2012年は60歳を超えた社員を2人採用しましたが、上場企業で60代の正社員を新規採用しているところは少ないでしょう。

私たちは会社の憲法である「ライフネットの生命保険マニフェスト」の中で、「学歴フリー、年齢フリー、国籍フリーで人材を採用する」と宣言し、就業規則にも「定年は設けない」と明記しました。日本では今後、高齢化がますます進んでいきます。いつまでも年齢や定年制、年功序列などにこだわっていては、社会のほうがもちません。

異動は悪くないですよ。異動先でたまたま時間が取れたので、本もたくさん読めたし、映画も観ることが出来たし、旅も出来た。それに、本当に実力を身につけておけば、異動先でこれまでの自分の経験を生かしてその部署で成果も出せる。僕も異動先では営業成績を随分上げましたよ。

会社として残業をなくすためには、残業をやめることをルール化してしまうことですね。会社単位でも部署単位でも構わないので、上司の指示があったとき以外、勝手に残業することを禁じてしまうのです。こうすることで上司のマネジメント能力も高まるので、一石二鳥です。

一般社員の側から残業をなくす一番いい方法は、同期など若い人同士で、時間になったら毎日いっせいに帰ってしまうことかもしれません。そのぶん、会社の外で勉強会を開くなどすれば、自己投資にもつながります。

「当時はそれが正しかった。でも、今はこうなのだ」ということを、論理立てて説明できなくてはなりません。そのためには、背景を理解することが不可欠なのです。

部下の残業が多いのは、上司が仕事量や効率を考えて、バランスを取ることができていない、つまりマネジメント能力が低いからです。ですが、そのことに問題意識を持つ人が非常に少ないのが現状なのです。

日本の労働者の仕事時間が減らないのは、ひとえにマネジメントの問題だと思っています。まず、本来は結果をこそ重視すべきなのに、それを評価することができないから、労働時間や忠誠心で判断する。これは上司の怠慢にほかなりません。

会社というところは、社長以外はみな、上からの指示により動くように作られているもの。迷ったら早めに聞いてしまうほうがいいのです。

とくに若手社員には「仕事の優先順位を勝手に決めない」ということも提唱しています。自分で考え抜くことも大事ですが、とくに経験の浅いうちは、上司に命じられたことに対して「何からやればいいか」を徹底的に聞くことも重要です。迷っている時間はムダになってしまいます。

ビジネスパーソンの抱える問題として、「なかなか仕事に手がつけられない」というものがありますが、まずは「仮決め」でもいいから行動を起こすことをお勧めします。たとえば上司から命じられたレポートなどは、多少誤字脱字があってもスピードを重視すべきです。いくら完璧を目指したからといって、その完璧は自分の中での完璧にすぎないからです。

私の知るかぎり、医学的、科学的見地から長時間働くことで効率が上がるという証拠は皆無です。誰もが実感しているとおり、人間は疲れると効率が下がるものです。私もそうですが、集中力なんてせいぜい2時間が限度。そのことをまず理解しなくてはいけません。

動物は自分でご飯を食べて初めて大人です。20歳から大人なので40歳だと大人になってまだわずか20年。人生90年だとすれば、あと50年以上ある。何でもチャレンジできるではないですか。楽勝です!

失敗したらどうしようと思うのは、「仕事が人生のすべて」と錯覚しているからではないでしょうか。1年は365日×24時間なので8760時間。そのうち仕事はだいたい2000時間。人生全体から見れば3割程度と考え方を変えれば、大胆に挑戦できるはず。

上司も部下も組織を運営するための「機能」にすぎません。チームで仕事を回すために上司はたまたま上司の機能を割り当てられただけです。偉いわけではありません。

アメリカの面白い実験があります。部下が不満を持っている場合、責任ある上司が丁寧に話を聞いてあげると、原因が除去されなくても不満の7~8割は消えたそうです。人間は「聞いて欲しい動物」なのです。

やる気がない部下は不満を抱えていることが多い。まず話を聞いてあげることが大切です。「元気がないし、やる気がないみたいだけれど?」と一対一で聞くといいでしょう。

ピントは様々な理由でズレますが、理解力が乏しいか、時分の価値観に染まっているケースが多いのではないでしょうか。物事を正しく客観的に捉えられなければズレますし、「これだ!」と過信していてもズレます。

僕が30歳くらいの時に、商社で第一線を走っていた友人が、お父さんが病気になったので家業を継ぎました。その友人と飲んでいたとき、こう言うのです。「商社にいたときはメチャクチャ楽だった。迷ったときは、上司に投げればいいのだから」と。起業するために必要な能力をひとつだけあげるとしたら、「自分で決めることができるかどうか」でしょう。

私の場合、本は図書館で借りて読むことがほとんどです。読み始めて「つまらない」と思ったら、身銭を切っていないので、抵抗なくやめられます。

世界史を学ぶと分かることですが、実はこの世界は「99%が失敗」と言ってもいいくらいに、「失敗の連続」で成り立っています。失敗続きの世界史を丹念に学んでいくと身につけられるもの、それは単なる知識という意味に加えて、「骨太の知性」です。ビジネスで失敗したり、精神的な痛手を受けたりしても、この胆力とも言える「骨太の知性」があれば、ニヤリと笑って受け止められるようになる。極端な例ですが、昇進人事で敗れて左遷されても、「自分は必ず立ち直れる」という強い気持ちを持てます。

人間は過去からしか学ぶことができません。過去の事例に照らし合わせ、最適だと思われる決断をする。その判断材料は多ければ多いほどいい。だから、世界史が役立ちます。

相手が怒っていたり、感情的になっている場合は、とくに冷静に対応することが大事。こちらも感情的になったら、同じ土俵に上がってしまいますから。

理不尽なクレームはとにかく丁寧に相手の話を聞く。よく聞いたうえで、できないものはできないとハッキリ言う。それでもダメなら上司に相談する。これが基本です。

老後に一番心配しなければならないのは、「お金」よりも「健康」です。病気になったら働きたくても働けませんから。自分が健康であることが、一番の老後対策です。

「済んだことに愚痴を言う」「人を羨ましいと思う」「人によく思われたいと思う」。人生を無駄にしてもいいと考える人は、この3つをぜひやってください。無駄にしたくない人は避けていただきたいのですが、人間は3番目の「人によく思われたいと思う」ことから逃れるのが最も難しい。

あっという間の人生です。いま充実しているのであれば、それをエンジョイすればいい。クヨクヨしないこと。そもそも人生などどう転ぶか誰にもわからないのですから。

毎日が充実しているのなら、「充実のギネス記録をつくってやろう」くらいの気持ちで毎日楽しめばいい。土砂降りになったら、そのときに考えましょう。

人によって差があるでしょうが、人間の脳の集中力はだいたい2時間維持できればいいほうです。雑談するなどして、時々息を抜かなければ、かえって生産性は低下するのです。

将来のための準備は、第一に健康でいることです。どうせ長生きするのなら、健康で動ける体のほうが断然楽しく生きていけますから。特別な健康法は必要ないと思います。好きな物を食べ、上司の悪口などを自由に話せる仲のいい友達と話し、クヨクヨせずにぐっすり眠ること。これに尽きると思います。

取り組むべき副業は好きなものがいいでしょう。少々お金が稼げるからといって、嫌いなことを副業にしても疲れるだけ。好きなものに取り組むことは、自分への投資にもなります。元々興味があることなので身につくのも早いですし、賢くもなります。

副業はいいに決まっていますよ。お金が得られるのみならず「人・本・旅」と同じ(自分を成長させる)効果があります。本業、副業といったくくりを超えて、広い意味で「仕事」にいい影響をもたらすはずです。就業規則などで問題ないのなら、ガンガンやったらいいと思いますよ。

僕は初対面の人と話すときには、自分のことを語るのはやめて、なるべく相手の好きなことを聞き出すように心がけています。「初めてお目にかかります。ところでご趣味はなんですか」と。3つ4つ話を広げていくうちに共通の話題が見つかるものです。

日本人は、周囲を見回して、その見解を知ることで安心を得ようとしがちですが、それは自分の頭で判断できていないということ。判断に必要なのは「数字・ファクト・ロジック」だけ。これらが間違っていなければ、周囲がどう言おうと、その判断は正しいはず。

ビジネスマンは、目先の忙しさに流されがちです。しかし、ムダな仕事を排して少しでも自由時間を確保し、その時間で大いに学ぶべき。人と本と旅は世界を広げてくれます。それを仕事に、そして人生に、役立ててほしい。

歴史を紐解けば、多くの人が、というよりも、ほぼすべての人が、左遷されるような挫折を味わっています。それを知れば、自分だけが不当な目に遭っているという見方が、いかに視野が狭いかがわかります。

日本の正社員は年間約2000時間働いていますが、約1500時間しか働いていないユーロ圏よりも成長率が低い。長時間労働が価値を生む時代ではないからです。短い時間で成果を出し、浮いた時間で人生を楽しむ英国人を見て、その思いを強くしました。

残業をなくすポイントは「無・減・代」。つまり、「その仕事は無くせないか」「無くせないのなら、減らせないか」「他のやり方に代えられないか」。「無・減・代」を考えれば、残業が減ったからといって業績が下がることはありません。

僕は今も、若い部下たちに「僕の間違いはどんどん指摘して」と言っています。間違いを指摘してくれる部下や後輩がいないと、裸の王様になってしまいます。

中学生のころって、英雄にあこがれるじゃないですか。アレクサンダー大王ってすごく格好いいなと思ったんです。若くして即位して「世界征服」の野望を抱き、連戦連勝で大帝国を支配して、32歳であっけなく死ぬ。格好いい要素が詰まっていますよね。でも、アレクサンダー大王の勝利の陰には、ダレイオス一世がつくった「王の道」があった。こうやって世界はつながっているのだなと思って、世界史が好きになりました。

戦争で大将が「眠い」とか言っていたら、兵隊がかわいそうですよね。起きて、もし僕が「疲れたな」と思ったら、そのときが辞めるときだと思っています。

幼稚園の頃、ぼうっと空を眺めていたら、太陽ってなんか熱くて重そうな感じなのに、なんで落ちてこないんだろうと。「なんでや?」と、おやじとおふくろに聞いたら、うっとうしいと思ったんでしょうね。『なぜだろうなぜかしら』という本を買ってくれたんです。そこには、「重い石に紐をつけてぐるぐるまわしてごらん。落ちてこないでしょう」って書いてあって、子ども心にすごく腕に落ちたんですよ。で、「本を読んだら、親もわからんことがいろいろわかるんやな」と思って、本の虫になりました。

初めてロンドンで仕事をしたとき、ある英国人銀行家に挨拶に行きました。「英国は?」と聞かれたので、「初めてです」と答えると、向こうも冗談半分で「おまえは英国について何を知っている?」と。私は「大したことは知らないのですが、国王の名前くらい言えます」と言って、ニックネームつきで順番に言ったら向こうが笑い出して「おまえ、ええ奴やな」って。僕らもそうですよね。外国の方が来られて「源氏物語が好きで」とか、「神社っていいよね」とか言われたら、中身を知る前に「ええ奴やな」と思ってしまいますよね。国や文化は違っても、そんなところは同じだと思います。

ロンドンにいたとき、5時に会社が終わるのですが、5時10分に階下の部署に行ったら誰もいない。翌日、責任者に「昨日、きみに話が聞きたかったのだが」と言ったら、「なぜ事前に残れと指示をくれなかったのですか。ボスが残れと言わなかったから、僕は5時にはデートに出かけますよ」と。言われてみれば当然ですね。

仕事にはそれぞれ明確な目的があるのですから、その目的に照らし合わせて「数字・ファクト・ロジック」で、なるべく感情を交えずに仕事をする。そうすればお互いにやりやすいし、不満もなくなり、その人の能力も発揮できます。

賢い人や強い人が生き残るのではない。ダーウィニストが言うように、状況の変化にいち早く適応した者だけが生き残るのだと痛感する。

運とは「適当な時に、適当な場所にいること」である。棚からぼた餅が落ちてくるときには食べた方がいいに決まっているが、棚の近くにいてぼた餅が落ちてくることに気づかなければ食べられない。

我々は身の程を知り、「1人では何もできない」と謙虚になることが大切だ。リーダーになったとしても、それはたまたまそうなっただけだ。運に恵まれ、うまく適応できただけだ。

大事なのは、いつも都合よく風が吹くわけではないと知っておくこと。そして、吹く瞬間を逃さずに捉えること。

最初は迷ってもいい。ラン・アンド・テストを繰り返し、分からないことがあれば、人に聞き、本に問い、道を探せばいい。そうしてひとたび腹が決まったら、迷わず振り返らずに進めばいい。

「仕事がすべて」と考えるから失敗を恐れ、萎縮してしまう。そういったつまらないプレッシャーにとらわれることなく、思い切ってやればいい。

大事なのは個人の人生であって、仕事はその一部でしかありません。重視すべきはワーク・ライフ・バランスではなく、ライフ・ワーク・バランス。

「仕事だから」と理不尽なことを強いたり、強いられたりする。そういった仕組みが、そもそもおかしい。

何事も自分の思い通りには運ばないのが世の常で、新しいことを始めれば、99%は失敗するということは歴史が示している通り。

どんな集団もそうですが、理想的な人間が上司になるとは限りません。国のトップもそうです。聡明なトップのときはトップに任せておけばいいけれど、そうでないときは部下が知恵を絞らなければ立ち行かなくなる。

技術の進歩はあっても、人間の脳は1万3千年前から進化していないのです。だからこそ、社会を知るという意味では、時の洗礼を受けて脈々と生き延びた古典を読むことが一番役に立ちます。

足元で売れている本は宣伝の効果であり、単なるブームです。一方、市場の洗礼を受けて残ってきた古典は、無条件に素晴らしい。ビジネス書を10冊読むより、古典を1冊読む方がはるかに得るものが大きい。優れた本というものは、そう滅多に世に出るものではありません。

私が本を読むときは、丁寧に消化して吸収しきってしまうまで読みますので、再読することはあまりありません。読書とは著者とのコミュニケーションです。じっくり読んで著者の思考のプロセスを追体験しない限り、思考力は高まりません。

仕事に追われるビジネスパーソンが良書を自分で選ぶにはどうすればよいでしょう。良い本を書店でじっくり選ぶということは時間的に制約があり難しいかもしれません。私のようにベンチャーの社長を務めていると、書店でじっくり選ぶ時間もなかなか捻出できないのが実情です。そこで活用しているのが、新聞の書評欄です。これが実にハズレがなく、極めて役立つ情報源になっています。

人間にとって一番大切なものは何でしょう。少なくとも仕事ではないことは確かです。人間にとって大切なことは、良き人生のパートナーを見つけて、次の世代のために自分の人生を全うしていくことでしょう。人間の基盤はプライベートにあります。当たり前ですが、毎日の生活の中で忘れがちなことです。

書物を通じて過去に生きた先人の思考に触れるにつけ、人知を超えた大きな時代の力が働いていることを実感します。人は一人で生きていくことはできず、常に他人や時代といった社会との関係性の中で生かされているのです。

英語力は前提です。世界の共通語は英語ですから、これはもう当たり前です。ただ、言葉は手段に過ぎません。大事なのは話す中身、コンテンツです。

人間の脳が活性化する条件はふたつあります。ひとつは楽しいこと。もうひとつはビックリすることです。異質の文化が出会ったとき、お互いにビックリして脳が活性化します。ですから日本の大学はもっと積極的に留学生を受け入れる方がいい。隣の席で外国人留学生が必死で勉強していたら、日本の学生も刺激されて頑張るようになるでしょう。

若い人がもっと勉強するようにならなければ、日本が競争力を高め、より豊かな国になることは望めません。私たち企業人も含めて社会全体で大学教育の在り方をもう一度よく考えるべきですし、大学学側もグローバルな競争を見据えて改革に取り組んでいただきたい。

僕はこれまで、いろいろな本を読んできましたが「長時間労働をして生産性が上がった」というレポートは一度も読んだことがありません。長時間労働をすると疲労が蓄積して生産性が下がるのが常識です。だから、ダラダラ働くより集中力を高めて効率的に働くことがいい仕事につながります。

社長が不在でも、何の支障もなく動いていく会社。これが理想の会社、理想の社長像です。そのために、社員が長く楽しく働ける環境を私が作っていくことが重要です。これが社長の仕事の95%を占めるでしょうね。残り5%は、私以外の社員ではできない経営判断をすること。

新しいことをやって、既存勢力からの風当たりがないなんてあり得ません。世の中には、「既存勢力と波風を立てずに、うまくやる方法がある」と言う人がいます。でも、それは嘘っぱちです。既存勢力が文句を言わないということは、彼らの権益を脅かすまでの変化がないだけの話でしょう。

ビジネスにお金を出すか出さないか。カギを握るのは、そこに確固たる理念があって、共感できるかどうかに尽きます。後は、理念を実現するビジネスプランが組まれているかを検討するだけです。

日本興業銀行への出向が強く印象に残っています。当時は金融制度改革という自由化の波の中、興銀も変わることを余儀なくされた時代でした。それもあって皆、とにかくよく働くんですよ。行員の姿を見て、「生保業界も変わらなければならない」と危機感を強く抱いたことを強く覚えています。

問題から逃げずに、自問自答を繰り返す。甘えたらあかんということです。そうすれば、ピンチは必ずチャンスに変わります。

どんな仕事でも向き不向きがあるので、いまの仕事に合わないことが、その人の価値を決めるものではありません。

ある会社の大経営者は、「ストレス解消のために宇宙の本を読む」とおっしゃっていました。138億年の物語を読んでいると、自分が直面している問題などたいしたことはないと、気持ちを切り替えられるのだそうです。

責任者という立場は、ストレスがあって当たり前です。リーダーはストレス耐性が強くなければ務まりません。だから、ストレスを解消する方法をきちんと自分で見つけておくことも大事です。

僕も英語がダメで、海外赴任時代はものすごいストレスでした。でもそれを解消するには、基本的には勉強して数場を踏むしか解決する方法がなかったですね。

それまで歩んできた人生の結果がいまの自分であり、当然短所もあれば長所もある。トランプのポーカーと同じで、手持ちのカードは変えられない。自分に自信を持って、ありのままでゲームに挑むしかない。

部下には「上司が残業しているから帰らないという姿勢は大嫌いだ」と言い続けてきました。そうしたら僕のセクションは、6時になったらみんな蜘蛛の子を散らすようにかえってしまうので「蜘蛛の子隊」と呼ばれていました。その反対で、上司が帰るまでみんな下を向いて仕事をしているところは「帝国陸軍」と呼ばれていました。

「その本のどこが参考になりましたか?」。本を紹介する際、よく聞かれる質問です。しかし、それは愚問というもの。名著というのは、どこがいいというのではなく、全体が優れているからこそ、名著なんです。試しに、名著といわれる書物を手に取って、無作為にページをめくり、目に飛び込んできた文章を読んでみてください。すべてのフレーズが心に沁みるはずです。

数ある偉人伝の中でも、僕が一番お薦めしたいのは、古代ローマ最大の政治家であり、偉大な軍人でもあった、カエサルの足跡を記した「カエサル戦記集」です。カエサルは、世界史上でも屈指のリーダーだと、私は考えています。『カエサル戦記集』を読めば、彼がどのように戦い、勝利を収めたのか、どのようにしてリーダーシップを発揮したのかがよくわかります。

僕の友人に、お正月に必ず「今年はこれをやります!」とメールをくれる人がいます。それも「英語の本を毎月何冊か読む」とか「1か月に何百キロ歩く」など、具体的にいろいろと書いてくる。そのうえで年末になると、「これは達成しました。これはできませんでした」と律儀に報告メールをくれるのです。周りの人に公言することでモチベーションが上がると言っていました。

定年後、仕事以上に打ち込めることがなさそうなら、定年のない仕事を探してみるのはどうでしょう。ちなみにライフネット生命には定年がありません。定年で仕事をしなくなると外出も減って人と触れあわなくなる。その結果、心身ともに元気でなくなってしまう。日本はもっと、高齢者に働いてもらったらいい。

僕はあまり未来を予測するタイプではないんですよ。世界は常に変化していて、それは人知を超えているのだから、今年どうなるとか、10年後どうなるということに興味はないんですよ。それでも将来を考えねばならない場合は、例えば世界最高の頭脳が作成しているIMF(国際通貨基金)の経済見通しなどのリポートや書籍で判断するようにしています。

「なんとなく合わない」と、転職を繰り返すケースの場合は、その人自身にも問題があるのかもしれない。もし辞めたいという理由が明確でなくて「もう少し粘るべきかも」と思っているなら、3か月や半年など、期間を区切って、精一杯頑張ってみればいい。そのうえで、やはり合わないと思うなら転職すればいい。

「石の上にも三年」が当てはまるのは、「よくわからない」場合。たとえばあるパートナーと結婚したいと思ったとします。しかし、パートナーにはいいところもあれば、悪いところもある。結婚するにはまだ心の整理ができない。それなら、少し一緒に住んでみよう、というのが「石の上にも三年」の考え方。でも一緒に住んでみたらDVで、毎日暴力を振るわれたら、早く逃げ出した方が賢明ですよね。

人生は、考え方次第です。今は雨でも、そのうち晴れるからラッキーだと考えられるかどうか。半分は資質ですが、もう半分は適応力です。賢い人が必ずしも生き残るわけではありません。社会は常に変化している。大事なのは、運を呼ぶ力と適応力でしょう。

「鯛を釣るならどうするか」という話があります。ダメな人は、鯛が食べたがるであろう「最高のエサ」を作ろうとします。でも鯛がお腹いっぱいならば、どんなエサでも食べません。鯛を釣るには、お腹が空いた鯛の前にエサを投げればいい。仕事も同じです。その人に「他人の話を聞く準備」ができていなければ、こちらの話は聞いてくれない。

ビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉を残しています。個人の経験はせいぜい40~50年くらいですが、5500年に及ぶ人類の歴史の中に、学ぶべき教訓はいくらでもあります。ビスマルクの言葉は、この時間軸のことを言っているのです。それが、歴史を学ぶ意味です。

大きな危機が将来再び起こった時、「過去に起きた大きな危機」について勉強した人と、そうでない人とでは、危機への対応が全く違ってくるはず。将来何が起こるかは誰にも分かりませんが、悲しいことに人間にとって、その教材となるのは過去しかない。

人間の脳は、1万3000年前から進化していません。これはファクト(事実)です。進化していないということは、人間の喜怒哀楽・判断力は、昔も今も一緒だということ。ですから、本を読んで、歴史をきちんと勉強してください。そしてまた、今生きている人がどんなことを考えているのかを知るために、世界を旅し、多くの人に会ってください。それが一番。

脳を鍛える、つまり考える力を鍛えるには、優れた頭脳を持つ人の思考のプロセスをマネる。例えば『国富論』を書いたアダム・スミスがどのような思考のプロセスを通じて結論に達したのか。それを知るために『国富論』を読んでみる。そうすることで、考える力が鍛えられると思います。だからこそ、古典を読むことが必要なのです。

会社の認知度をどう上げるか、僕はいろいろな人に聞いて回った。その時、さわかみ投信の創業者、澤上篤人さんから「たくさん本を書いて、1年間に300回くらい辻説法をすべきだ」と教わりました。「10年続けてごらん」と。ですから、出版社から本の依頼が来れば順次書きますし、講演会は先着順で引き受けるというルールにしています。

会議は一番のムダ。たくさんの人を拘束する会議は、時間給の総額を考えると、とても高くつく。僕はサラリーマン時代から会議が大嫌い。だらだら会議をやって仕事した気になっている人は山ほどいる。「今日はいい議論をしたなあ」と。「じゃあ、何が決まったのか」と聞いたら「継続審議だ」と。全くのムダだと思います。

若い人は「終業ベルが鳴れば帰りたいけれど、『もう帰るのか』と言うから帰りにくい」と言います。それに対して僕は、「1人で帰ろうとするから、つかまるんだ」と言うんです。みんなで帰ればいいのです。新入社員なら、みんなで相談して集団で帰ればいい。そうしなければ、世の中は変わっていきません。

大手生保と同じような人材を採用していては、どうしても数で負けてしまう。こちらは1~2人しか採用しないわけですから、より優秀な人材を採るしかない。その優秀さは、「原点から考え抜く力」を持っているかどうかで評価します。だから、入社試験は論文のみ。思考プロセスを見たい。文は人なり。読めば分かる。

不満を言っている人は基本的にはヒマな場合が多い。そうであればその人にもっと仕事を与えて忙しい状態にすることが一番。仕事を与えられることで「私は認められているから仕事を振られるんだ」と思うでしょうし。忙しく手を動かしていたら、文句を言うヒマもないはずです。昔から「小人閑居して不善を為す」と言いますからね。

出世レースから外れたということは、自分が多数派であることを認識しただけと思えばいい。毎年200人が入社する会社で社長が5年で交代するとすれば、社長になれるのは1000人に1人です。999人はどこかで落ちていくのですから。

試験勉強の時、何をしていたら捗ったか、思い出してください。本を読むときでもいいです。それを仕事にも応用すればいい。どういうときに集中できるかは、人それぞれ。自分はいつ気分が乗ってくるか、自己分析してみるといい。

どのような理由であれ、気持ちを切り替えるのに最も効果的なのは、一瞬でいいので場所を変えること。頭は体の中にあるでしょう。そのため、体を動かせば、頭の中、つまり脳も変わります。ですから、集中できなければオフィスの周りを散歩したり、近くの喫茶店で熱いコーヒーを1杯飲んで帰ったりするとリフレッシュできるはず。

先日、グーグルの人事担当者と話す機会がありました。そのとき聞いたのは、グーグルの人事部が社員の情報として管理しているのは、名前とこれまでのキャリア、あとは今、何をやっているかだけだそうです。国籍はおろか、年齢、性別すら管理していません、と。一部の先進企業の取り組みだからと、対岸の火事ではいられません。日本でもこれからは、意欲と能力があり、職場に行ける体力がある人は、いくつになっても働ける、いや、「働くべき」世の中に変わっていくのは確実でしょう。

ロンドン時代、現地の投資銀行のマネ-ジャーに「英国のことを何か知っているか」と尋ねられ、「歴代の英国王の名前なら覚えています」と空で読み上げたことがあります。そしたら相手は「よく知っているな」と。さらに「シェークスピアなら全部読んでいる」と言ったら、すごく喜んでくれました。国境を越えても相手との共通の話題からコミュニケーションは深まっていきます。

感情の波もあるし、天気と同じでやる気が曇る日もある。そういう人間性を理解した上で、どういう仕組みを作ればポンコツの脳を上手く働かせることができるのか。これを考えるのが知恵というもの。だから、ちょっと観察してみてください。あなたの周りにいる、仕事ができる人、頭がいいと思われている人は、みんな自分を上手にごまかす仕組みを持っているはずですから。

時々「日本の大学生は勉強しない」「英語が話せない」と嘆く経営者の方とお会いすることがあります。この解決策は経団連の会長が「優が8割、TOEFL100点以上の学生しか、就職活動で面談しない」と言い切ればいい。教育の現場がどうであれ、学生は将来を考え、勉強を始めます。つまり、怠け者である僕たちには、怠けないための仕組みが必要だということです。

あなたに恋人や大事な友人がいるなら、「私がやる気をなくしたり、たるんだ姿を見せたらすぐに振ってほしい」と宣言しちゃえばいいんです。「誰かのため」と思えば頑張れるじゃないですか。というのも、人間は基本的に怠け者だからです。僕も雨が嫌いで、朝から降っていると家を出たくなくなります。秘書は、そういう僕の怠け癖を知り尽くしているので、会社から帰る際に、翌日の指示書を渡してくれます。「8時半に来社」と書いてあれば、「ああ、行くしかないな」と家を出ます。ライフネット生命の創業者として、大事な人に振られるわけにはいきませんから。

僕は、毎日2、3件の会合をハシゴして、深夜まで飲んで人と会っていました。また、他の同僚がやっていたゴルフをやらず、テレビも見ない代わりに、週末はひたすら読書の時間に充てていました。そして、夏と冬には、仕事を調整して2週間程度の休みを取り、あちこち旅にも出かけていたのです。この「人・本・旅」が自分への投資になり、今はその経験を本に書いたり、講演で話したりと、僕の仕事の一つにつながっていくわけです。

古稀(70歳)を迎え会長を退任しました。今後は後進の育成やライフネット生命をさらに広める活動に力を入れたいと思っています。肩書が会長から創業者に変わるだけで、僕は毎日、オフィスに出ています。記者の方から「何歳まで働くのですか?」と聞かれることもありますが、明日死ぬかもしれませんし、90歳でも元気かもしれません。年齢で区切ることに意味があるのかな、と。考えてもしょうがないことは、考えないほうがいいのでは、とお答えしています。

僕に言わせれば、左遷されて不満を感じる人は現実が見えていないのです。会社組織に身を置く者は、社長にならない限り、どこかで出世がストップして、左遷される。毎年200人が入社する会社で、社長が5年で交代するとすれば、社長になれるのは1000人に1人。999人はどこかで左遷されることになります。自分も多数派になったのだと思えば、何を嘆く必要があるのでしょうか。むしろ「人・本・旅」で学ぶ時間が増えたと考えるべきです。

中間管理職の最も大事な役割は、部下を守ること。上司にニコニコ、部下にニコニコなどありえません。部下が5人いれば、彼らの能力・力量を中間管理職は把握しているはず。ですから、それを上回るオーダーが上司から来たときには、毅然として「できません」と言う。あるいは「このオーダーをやらなければならないのなら、人を増やしてください」と断る。それこそ中間管理職が行うべき橋渡し。

楽々達成できるようなレベルなら怠けてしまいますから、自分が100できると思えば、120くらいの目標にする。1~2割増しの設定がちょうどいいと思います。また、細かすぎると、計画を立てる段階で、おそらくくたびれてしまいます。目標は「具体的、かつかなりファジーに」というのがポイントですね。具体的にと言うのは要するに数値化すること。目標は数値化するけれど、達成するためのやり方や中身はフレキシブルに、ファジーにしておくのが、いい目標設定です。

徹夜して仕事が終わった後、「充実感があった」などと言う人がいます。でも、それがどういう現象か、すでに脳科学者が研究済みです。徹夜をしたり、無理をしたりすると、脳が自分を守るためにモルヒネによく似た「幸せホルモン」を放出するのです。そのホルモンに騙されて、「ああ、俺は頑張った」と気分が高揚するだけで、仕事の生産性は一切上がっていません。無駄な努力です。

まず言えるのは、損得のモノサシで人を測っていると、いい人には出会えない、ということ。人生では時間が一番大切。一緒にいて「楽しくない」「気持ちが暗くなる」時間しか過ごせない相手なら、それは不幸でしかないですよね? いくらおごってくれる人でも、仕事を与えてくれる人であったとしてもです。同じ時間を過ごすなら、自然と「元気になる」「楽しくなる」相手がいいに決まっています。

本や旅と違い、人に関しては「好き嫌い」などといった好みが、強く反映される。だから僕は「いい人と出会う」ためのルールを設けているんです。それは僕に会いたい人が現れたら、まず「イエス」と返すこと。会ってみないと良し悪しがわからないなら、会うしかない。合コンに参加しないと出会いも何もないのと一緒ですよ。だからひとまず会う、会ってみて合わないと思えば、「ちょっと用事が……」と早々に切り上げればいい。

「人を成長させるものは3つしかありません。人、本、旅です」。僕は常々そう説いてきました。その心は、どんな人でも自分ひとりの思考や知識なんて、ちっぽけで限られるからですよ。だから、たくさんの人と会い、本を読み、数多く旅をして現場をみれば、新しい知識と刺激を得られる。結果として、自分の中に多様性が育ちます。新しいアイデアを生むきっかけになるわけです。

いまはメチャクチャラッキーな時代ですよ。「会社をクビになる」と言いますが、昔は失敗をすれば本当に「首」を切られました。あなたが挑戦して仮に失敗しても、責任を取って「切腹せよ」と言われることはない。この時代に生まれて挑戦しなければ、ご先祖様に申し訳ないと思ってください。

僕は、保険の業界紙に載せる論文を部下に書かせていました。締め切りは奇数月。それで「何月締め切り分をやりたいか」と聞いてみる。とくに誰からも手が上がらなければ、あみだくじで何月分を担当するか決める。嫌がるかどうかは説得次第。楽しそうだなと思ってもらえるよう伝えます。たとえば「原稿用紙1枚1500円。20枚書けば、3万円がもらえる。そのお金で美味しいものを食べることができるうえに、賢くなるぞ」と。極めつけは「もし優秀賞を取れば、人事も評価してくれる」の後押し。やる気になったら、論文のテーマを10個ぐらい挙げて「この中から選んでごらん」と伝えます。部下たちは見事に毎期、優秀賞を取っていました。論文は手間がかかるので、競合相手が少ない。でも、仲間が優秀賞を取れば、闘争心が湧いてみんなが頑張ります。中には「もう一回書かせてくれ」という部下もいました。

出口治明の経歴・略歴

出口治明、でぐち・はるあき。日本の経営者。ライフネット生命保険の創業者の一人。三重県出身。京都大学法学部卒業後、日本生命に入社。バブル全盛期には生命保険業界の取りまとめ役を務めた。その後、58歳でライフネット生命保険の前身であるネットライフ企画を設立。ライフネット生命保険は、日本で74年ぶりに誕生した親会社に保険会社を持たない独立系生命保険会社。

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