出口汪の名言

出口汪のプロフィール

出口汪、でぐち・ひろし。日本の教育者、作家。「水王舎」代表。東京出身。関西学院大学文学部博士課程修了後、代々木ゼミナール、旺文社のラジオ講座などで大学受験現代文を教え、爆発的な人気を博しカリスマ講師となった。主な著書に『出口汪の新日本語トレーニング』『現代文レベル別問題集』『出口汪のシステム現代文』シリーズ、『「論理力」短期集中講座』ほか。

出口汪の名言 一覧

自分でもよく理解していないのに、相手がわかるはずがない。伝える前に腑に落ちるまで考えることが大切。友人や恋人など、誰かに聞いてもらうのも手ですね。自分の理解度が分かります。

この時代、情報の量や正確性に関してはコンピュータのほうがはるかに上。細かいことは機械に任せ、「大事なことだけを覚える」のが肝要。

論理的に話せば、相手は理解できる。しかし、ビジネスの現場でも、頭が整理されないまま話している人は多い。何が言いたいのかと聞いていてイライラすることもありますよ(笑)。

他者とコミュニケーションを取るときにまず意識しておきたいのは、「人は簡単にはわかり合えない」ということ。「親の心子知らず」という言葉があるように、親子のあいだですら、互いの感情を理解するのは難しいもの。まして仕事上のつき合いしかない人と、簡単にわかり合えるはずがないのです。

論理力と記憶とは、クルマの両輪の関係でもあります。論理力が身につくことによって、記憶がしやすくなる。また、記憶によって知識が増えることで、論理力がいっそう高まってくるのです。

記憶を定着させる5つのステップ

  1. 知識の全体像をつかんで、その核となることをしっかりと理解する。
  2. 核の周辺の知識も理解できるようになる。完全に覚えようとせず、「自力では思い出せないけれども、目にすると『あ、知っている!』とわかる」くらいのレベルを目標とする。
  3. 反復学習をすることで、「自力で思い出せる」レベルに持っていく。
  4. ときどき覚えているかどうかをチェックし、「前に覚えたことがあるぞ」のレベルに落ちていれば、再び反復学習をして、「自力で思い出せる」レベルに戻す。
  5. 知識は使わなければ意味がない。日々の仕事の中で覚えたことを活用し、記憶を血肉化していく。

論理力を鍛える一番効果的な方法は、他人に教えることです。ある知識を他人に教えようとすれば、その知識を深く理解し、相手にわかるように説明しなければなりません。ここで論理力を使います。ですから、他人に何度も教えていれば、論理力が鍛えられてくるのです。とはいえ、他人に教える機会がいつもあるとはかぎりません。そこで、「自分に教える」ことが、論理力を鍛えるのに有効です。自分に教えるというのは、新しい知識を得たときに、それを、自分にわかりやすいように、自分の言葉でノートなどに書き直す、ということです。

以前、ある役者の方とお話をする機会がありました。その方はセリフを覚えるのに苦労されているということでした。どのように覚えているのか聞くと、とにかく丸暗記しようとしているとのこと。そこで、まずは脚本を理解し、それぞれの場面の状況や、登場人物の考えていることや心情を理解するようにアドバイスをしました。そうすれば、セリフに対する理解が深まって、覚えやすくなるからです。

脳の中に入った情報は、まずは海馬に伝わります。次に、前頭葉が海馬に一時保存された情報の中から、長期保存するべきものを判断します。そして、長期保存するべきだと判断された情報は、側頭葉に記憶されます。無意味なことをすぐに忘れてしまうのは、前頭葉が「長期保存しなくても良い」と判断してしまうからです。では、側頭葉に記憶して忘れにくくするためには、どうすれば良いのか。それには「理解すること」が必要です。理解していないことは覚えられないのです。

脳にとって、忘れることは合理的です。忘れることができないと、目に入ったものをすべて覚えてしまい、頭がパンクしてしまいます。ですから、「覚えたはずなのに思い出せない」と悩むのではなく、「覚えたことは忘れるものだ」ということを前提として捉えるべきです。そして、忘れてはいけないことは、何度も反復して覚えるようにすることが欠かせないのです。

私は数多くの受験生を指導してきました。その中で、努力しているのに報われていない受験生を見ることも少なくありませんでした。一生懸命記憶しようとしているのですが、試験の成績が伸びないのです。そういう受験生は頭が悪いのかというと、そういう訳ではありません。記憶の仕方が非科学的だから、覚えられないだけなのです。私自身の経験から、そう確信しています。

文章や会話の中で、物事の道筋である「論理」をきちんと組み立てられないと、散らかった内容になってしまい、言いたいことがうまく伝わりません。言葉を正確に伝えるうえでまず必要なのは「他者意識」です。多文化社会である英語圏では、様々なバックグラウンドを持つ相手に正確に伝えるため、YES/NOを明確に表明し、「なぜなら」と根拠を示します。

文章の内容をきちんと理解できない人は往々にして、文章を読みながら、同時に自分(主観)と対話しようとします。だから著者の意図も理解できなければ、自分の思考もまとまらないのです。

仕事において、情報処理能力は確かに重要ですが、それだけでやっていけるのはせいぜい課長まで。より上を目指すなら、洞察力や先を予測する力、人間的魅力が求められます。そのためには、世のなかや人生などについて深く考えさせる骨のある文章を読み、地頭を鍛えることが一番だと私は思っています。

理解しやすい文章は情報を取り入れるのには有効ですが、物事を深く考えたり、体系的に捉えたり、新しいものを創造したりする能力は、むしろ深く考えさせるような文章を読むことでこそ鍛えられます。「読みやすい」文章ばかりを読んでいると思考力が退化してしまうのではないかと、私は危惧しています。

思考とは「言葉の使い方」だと私は考えています。つまり、その人の地頭力は、普段からどのような言葉を使っているか、どのような文章を読んでいるかで決まるということです。

論理的に物事を見るときの物差しは3つ。「イコール関係」「対立関係」「因果関係」です。個々の事例や現象から「共通項を引き出す」、共通項を持つ概念との「対立概念を見出す」、「何が原因で何が結果かを見極める」。これらの視点を持てば、書かれていることを構造的に理解できます。

やみくもに覚える「詰め込み型暗記」は効率の悪い方法。とくにビジネスマンの場合、学生の試験勉強と違い、記憶したことをアウトプットし、パフォーマンスにつなげなくてはならない立場でしょう。そのとき、膨大な暗記で脳内が情報過多になっていては、適切に情報を取り出せません。

記憶力は本来、頭の良し悪しとは関係のないもの。覚えられる人とそうでない人は何が違うのか。それは、記憶するための「方法」。方法を間違わなければ、誰でもきちんと知識を蓄積できる。

話にひと区切りついたら、必ずその時点でまとめや整理の時間を設けることも大事です。話し手は論理的にわかりやすく話したつもりでも、実は聞き手は理解できず、置いてけぼりになっていることはよくあります。話のところどころにまとめや整理の時間を設け、どうも理解できていないようであれば、さらに噛み砕いて説明をする必要があります。まさに、聞き手を迷わせない「他者意識」が論理的な話し方のポイントなのです。

文章においては、最後に結論を持ってくるという「起承転結」型の論理構成でも問題はありません。ただ、話した言葉は文章と違い、すぐに消えてしまいます。最後に結論を言われたとき、聞き手が途中の話を思い返して、その結論との整合性を検証するというのは、なかなか困難なことです。だからこそ口頭でコミュニケーションを取るときには、結論ファーストの論理構成を心がけましょう。

話題、結論を最初にはっきりと示した上で、その理由を話す。すると聞き手は、話し手が何のテーマにどんな意見を持っていて、その根拠は何なのかをすんなりと受け止めることができます。逆に本題に入るまでの前振りが長いと、聞き手は「この人は何の話がしたいのだろう」と戸惑い、次第に集中力を失ってしまいます。

論理的な話し方のポイントはいくつもありますが、まず意識すべきは「最初に要点を明確にすること」です。その際に重要なのが、「話題ファースト、結論ファースト」の意識です。

有効なのは人に説明すること。たとえば、本の内容をしっかり記憶したいなら、概要や感想を話せる場や仲間を作ると良いでしょう。理解しなければ説明できませんから、思考力を働かせて読まざるを得ません。学んだことをどう表現するか。その視点を持てば、より確かな知識の蓄積が可能になるでしょう。

読むだけでなく「書く」ことも有効。手を動かして確認することで、より集中力が高まります。キーワードにマーカーを引く、重要事項をノートに整理するなどの作業で、記憶をさらに強めましょう。ノートは、書いた後も繰り返し見てチェックし、覚えられたところは塗りつぶしましょう。塗りつぶし用のノートの他に、保存用として綺麗に清書したノートを作るのも良い方法。いわば、「書く」というアウトプットの反復です。アウトプットは、記憶を強化するには最適の方法です。

記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があります。五感で受け取ったあらゆる情報は、一時的に脳の「海馬」に保管されますが、この短期記憶は、すぐに忘れ去られるものです。電車で向かいに座った人の服の色は、降車直後なら覚えていられても、数時間後には忘れるでしょう。それに対して、「これは保存すべき」と脳が判断した情報は、「側頭葉」にある長期記憶に入ります。その判断基準の一つが「関心」。そしてもう一つの基準が「理解」です。情報を整理して理解すると、脳はそれを長期記憶に振り分けます。つまり目指すべきは、関心と理解とを持って「長期記憶」へと情報を刻み込むことなのです。

ウケを狙ったりパフォーマンスする講師も多い中、私は淡々と授業をしていましたが、生徒にはちゃんと伝わりました。私の講義を受けた生徒は、「わかりやすい!」と思うようです。それは当然のこと。他の先生が「ここは試験に出るぞ」とテクニックを教えたのに対し、私はなぜ答えはそうなるのか論理的に説明したからです。

話が相手に伝わらないのは、他者意識が欠けているせいでしょう。人は大抵、物事を主観的にとらえています。「私はこう言ったのに、なぜ察してくれないんだ」という人は多いですね。自分が主体になっている。しかし本当は、相手の立場になって、「どう言えばわかってもらえるか」と考えなくてはいけない。でないと、相手に納得してもらい、結果的に説得することなどできないでしょう。

日本人のコミュニケーションは「察してもらえる」が大前提。言葉は得てして感覚的に放たれ、説明は省かれがちになります。ビジネスでさえ感覚的なやり取りが多用され、理解不足や解釈の違いによるトラブルも起こります。今後グローバル化がさらに進めば、その弊害はますます深刻化するでしょう。これからのビジネスマンは「論理」という世界共通の規則を使う力を身につけなくてはなりません。それは、日本語を使うビジネスにおいても同じです。

日本語表現において論理性を高めるには、何が必要でしょうか。有効な手段の一つが接続語を適切に使うことです。接続語は、文同士の論理的関係を示す品詞です。文章を構成する文と文の間には、必ずなんらかの関係性があります。「A、だからB」なら因果、「C、なぜならD」なら理由の説明、「E、ただしF」なら条件づけ。接続語を正しく使えば、文章を論理的につなげられるのです。接続を意識すれば、脈絡のない話し方も改善できます。それまでの話と無関係なことを語る前には「さて」を挟む、といった工夫ができるようになるからです。読み手に回ったときも、接続を意識すれば構造的に文意をつかめます。ただし語るにも読むにも、接続語の正しい意味を知ることがまずは必要です。

出口汪の経歴・略歴

出口汪、でぐち・ひろし。日本の教育者、作家。「水王舎」代表。東京出身。関西学院大学文学部博士課程修了後、代々木ゼミナール、旺文社のラジオ講座などで大学受験現代文を教え、爆発的な人気を博しカリスマ講師となった。主な著書に『出口汪の新日本語トレーニング』『現代文レベル別問題集』『出口汪のシステム現代文』シリーズ、『「論理力」短期集中講座』ほか。

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