佐藤優の名言

このエントリーをはてなブックマークに追加

佐藤優のプロフィール

佐藤優、さとう・まさる。日本の作家、官僚。東京出身。同志社大学大学院神学研究科終了後、外務省に入省。イギリス、ロシアの日本大使館に勤務したのち、外務省国際情報局分析第一課主任分析官として対ロシア外交に携わる。背任と偽計業務妨害容疑で有罪が確定し外務省を失職。『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』で毎日出版文化賞特別賞、『自壊する帝国』で新潮ドキュメント賞・大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。


佐藤優の名言 一覧

1 / 212

手が届かないような憧れの人より、実際に自分がなれそうな人に学ぶほうがいい。


感情ではなく理性で対象を分析すると、怒りはそれほど起きないもの。あるいは怒りが湧き出てきたら、その怒りはどこから生まれてきたのかを冷静に見極める。怒りの感情を客観視することで冷静になれる。


自分を取り巻く人たち、目の前に起こる様々な出来事をできうる限り断らずに受け入れる。それに誠実に精一杯向き合っていけば、取るべき道、進むべき舞台へと導いてくれる。


好きなことを続け、ひたむき努力をする限り、私たちは誰しも何かしら成長することができる。社会的な成功や名声を得るといった表面的なことよりも、それ以上に、はるかに意義深いものがそこにある。


怖いのは仕事がラクになることでそこに安住し、新たな挑戦をしなくなること。マンネリズムの中に埋没し、気がつくと思考力や発想力が鈍化してしまう。


仕事が楽にできるようになったと感じたら、次のステップに進み、新たなことに挑戦することで自分に負荷をかけ、さらに能力を高めるべき。


人生の価値は「痛み」を分かち合える人をどれだけ持つかで決まる。決してお金の多寡ではない。



合理的な見方を常に意識しておくことが、先送りで失敗しないための一番の方法。


先延ばしをする性向には、合理的な判断力の欠如がある。どうもいまの世のなか、全体的にその合理性が危うくなってきているように感じる。


物事には何でも時宜(じぎ)というのがあります。タイミングを逃したら、失ってしまうものもある。とくにビジネスでは売り上げとも大きく関わってくる。


闘うのなら、徹底して闘わないと。


人類の法則、歴史の法則から言えば、侮るものは必ずしっぺ返しを食らう。


得意な分野にこそ落とし穴が潜んでいる。人って不得手な分野ではなく、意外に得意分野でつまずいていることが多いんじゃないですか。


人生は学びの連続。とくにいまの時代は目先の忙しさに追われて、インプットする時間がなくなってしまいがち。意識的にインプットに取り組む必要がある。


すぐに役に立つ本は、すぐに役に立たなくなる。即効性のある本ばかり読んでいてはダメ。


小説を読んでいる人といない人では、人間の幅が違ってくる気がする。様々な代理経験ができるという意味で、小説ほど有効なものはない。


いまの時代、しっかり自分の時間を意識しないと、どんどん他者に時間を取られてしまう。


時間の使い方、とくに「ペース配分」が大事。ずっとオンのまま、全速力で頑張っていたら続かない。どこかでエネルギーを蓄える時間を作らないと。


忙しいからこそ、最初に自分の時間を確保してしまう。そうやって時間の天引きをしておかないと、いつまでも自分の時間が作れない。


数学力がとても大事。数学の力が磨かれると、論理力が磨かれる。物事の優先順位やカラクリを見極めることが容易になる。これは仕事の能力に直結する。



外界の騒音をシャットアウトして、自分の内側の声にそっと耳を澄ましてみる。そんな時間が、雑音に溢れたいまの時代にはとくに必要。


SNSやメールなど、自分が「相手の時間を奪っている」という感覚を持つことが大事。時間泥棒が多い世のなかだけに、自分の時間を確保するのが難しい時代。


組織とケンカをしてもまず勝ち目はない。ただし、勝てないまでも引き分けに持ち込むことは可能です。それは「局地戦」に持ち込むこと。


本気でケンカをしなきゃならない場面って、そうそうないはずですよ。自分の考えや意志を通したいのであれば、別なやり方がいくらでもある。


完全に嘘をついてしまえば、それを隠すために大変な労力が必要になる。逆に言うならば、相手に嘘をつかせたら交渉事で有利に立てる。


限られた時間の中で最高のアウトプットをしようと思えば、時間あたりの生産性を高めていくしかない。


国家の裁きに執行猶予は付くかもしれないが、自分の良心の裁きに執行猶予はない。


仕事を先送りするか、前倒しするか。その判断がうまくできる人は現在から明日、明後日と、頭のなかに時間軸がしっかりできていて、仕事の遠近感が見えているもの。


理想的な上司なんてものはまずいない。そんなものを探し求めていたら、理想的な女性を探し続けているピーターパンみたいになる人と一緒。


誰だってお金は欲しいし稼ぎたいと思う。ただしお金には麻薬のような、一種人間の感覚を麻痺させる魔力がある。お金の大切さと同時にお金の怖さも知っておかないといけない。


いろんなことにビビっちゃう人は、「自分はなぜビビるのか」を分析するだけでも変わってくるはず。現実から目をそらし逃げるのが一番良くない。


ビビることがよくないのは、思考が停止して冷静な判断ができなくなってしまうから。それによって事態や結果を悪くしてしまう。


僕たちは、「諦めないこと」と「諦めるべきこと」を上手にマネジメントして生きていかないといけない。でないと報われないものにハマって自分自身をダメにしてしまう可能性がある。


ちゃんとした資料に当たるなり、電話で大元の情報源に当たるなりして、裏を取らないといけない。情報が溢れるいまだからこそ僕らは気をつけなければ。


「侮り」の対極にある言葉は「畏れ」。目に見えないもの、形に表れないものを尊重する気持ちが「畏れ」。現代人はこの「畏れ」の感覚を決定的に失ってしまった。


極端な形での「頑張らない生き方」をしていると、奈落の底に落ちる危険がある。


人間の心理は不思議なもので、モースが『贈与論』で詳しく論じているように、与えられ続けると、ある臨界点を越えたところで相手に返したくなるんです。


仕事上の努力が上司にわかってもらえないのは、努力が足りないか、表現方法が悪いかのいずれかか、両方かということでしょう。


家族関係はいわゆる「ギブ&テイク」ではなく「ギブ&ギブ」が基本です。


この先は国も会社も、社会も頼れない。自分と家族の生活とその行く末は、自分たちで考え、守らなければならない。経済力、仕事の能力も含めた自分の力がいかほどのものか、妻に子に老親に、自分が何をしてやれるのか、逆に何をしてやれないのかを冷静に見る徹底したリアリズムが必要となるのです。


忙しいときこそ、フッと肩の力を抜いて、ちょっとだけ、他の人生の可能性をシミュレーションしてみてください。意外な人生のヒントが見つかるかもしれません。


「人生、守りに入ったら終わりだ」と言われますけど、僕に言わせれば、「守り」ほど大切なことはないと思う。とくに家族のある40代ならなおさら。


人間、仕事ができるようになってくると、それまで見えなかった世界が見えてくる。人から感謝されたり、頼られたりすること、それがモチベーションになることもある。


ケンカする際に大事なのは嘘をつかないこと。嘘をついたことが明らかになると、一気に不利になります。外交の世界では嘘をつかない範囲で相手の話をけむに巻く、ごまかしたりするテクニックが用いられます。


小説には必ず人間の怒りや憎しみがテーマとして出てきます。よい小説を読むことで、人間の心の奥底にあるものや動きを知ることができる。


僕はあえて仕事は断るなと言いたい。とくに20代、30代の若い時は自分の力の少し上、120%くらいの仕事を引き受ける。そうやって自分に負荷をかけ続けることで、能力はどんどん高くなっていく。


宗教の本質は受け入れること、拒まないこと。


膨大な仕事をこなすには、まずは上手な手の抜き方を覚えること。上手に手を抜くってことは、仕事で何が求められているかを見抜くことでもある。


最初はどんくさい若者の中に、大化けする原石がある。短期的な視点にとらわれ、若い才能や可能性をつぶしていないでしょうか?


その仕事がモノになるかどうかは才能云々の前に、「本当に好き」であるかどうかも重要。「好き」という時点で、すでに才能や適性があるのだと思う。


私たちが幸福に近づくには、才能があるとかないとかいう問題よりも、努力することで得られる人間性の高まりだとか、その途上で得られる人間関係の深さが大事になってくると思う。


ひとつのことをひたむきにずっと続けていけること自体が、僕はその人の才能だと思う。


才能があって器用な人間は警戒されるから、周りから助けてもらえないもんなんだよ。


面白い小説というのは時代が変わっても、解釈を変えて読み続けることができる。


投資というのは相手との戦いだけでなく、自分との戦いでもある。パチンコをやる人はよくわかると思いますが、引き際が難しい。勝っているうちはやめられない。自己コントロールが大事になってくる。


数学的な思考回路を鍛えると、段取り力が磨かれる。いかに最短で解を出すかを必死で考えるからです。この段取り力が、そのまま仕事のスピード化に応用できる。


頭を柔らかくする努力をしておくことが肝要。僕がおすすめする方法は、数学を改めて勉強し直すこと。数学ほど、論理的思考や発想力が鍛えられる勉強はありませんから。


政治の基本的なゲームのルールは、味方と敵を峻別することにある。これは、内政や外交、また会社や役所の内部で行われる権力闘争のすべてにおいて適用される、基本中の基本だ。


敵を憎むのは人間として自然な感情である。ただし、憎しみというプリズムを通して物事を観察すると、どうしても認識が歪んでしまう。歪んだ認識に基づいた判断は、間違える可能性が高い。あえて敵を愛するというような心構えを持つことで、より客観的に対象を観察し、判断を誤らないようにできる。


政治的に敵であると認識することと、相手を憎み断罪するということは、まったく別の話だ。外交の世界では、国家間の利害が敵対しているときにこそ、外交交渉に従事する外交官の人間的信頼関係が重要になる。


判断や決断にはリスクが伴います。リスクをとるのは怖い。これは人間の本性。いま即断するリスクと、判断を先延ばしにするリスク、その2つのリスクを比べたときに、いま即断するリスクの方が高いと考えてしまう。だから先延ばしにする。ですから自分は何のリスクを恐れているか、客観的に考えられるかどうかが大切。


判断が速い上司は部下としては非常に仕事がやりやすい。逆に判断が遅い上司ほど、あとから方針がコロコロ変わったりします。両者の違いは普段からいろんなことを頭の中で考えシミュレーションできているかどうかでしょう。


判断が早いというのは思いつきをすぐに口にすることとは違うんです。とくに上に立つ立場になったら、思いついたことをすぐに口に出して言ってはいけない。一回頭の中で考えてから公言する。そのためにも普段からいろんな状況を想定し、こんなときはこう対応するというシミュレーションをしておくことが大切。


判断が遅い人は、仕事にもムダが多い。たとえば書類やものを探すのに異常に時間がかかったりする。机の上が整理されていないということは、頭の中が整理されていないということです。何が取ってあって、何を捨てたかということさえも、曖昧なわけです。


僕たちの世界は残念ながら我利我利の資本主義社会ではあるけれど、国家や資本という巨大なシステムにどっぷりとはまるだけじゃなくて、小さな僕らの世界をつないでおく。そのリアリティを大切にすることが、お金に振り回されず、お金を味方にするひとつの方法だと思う。


外交の世界では「情報を金で買うな」という鉄則がある。ある人物から情報を得ようとする際、お金の力に頼るのが一番簡単に見える。しかし、相手が報酬に味をしめて金額をつり上げてきたり、金額に応じて情報の質を変えてきたりする可能性がある。報酬の額で第三者に寝返ったりすることだってある。


残念ながら僕たちが暮らしているこの社会は、全員が幸せになれる社会じゃありません。それどころか、これからは敗者にとってはますます生きにくい、厳しい社会になると考えています。だからこそ僕たちはお金に振り回されるのではなく、お金を味方につける生き方をしなければ。


ヨハン・アモス・コメニウスという神学者は「人間は、限界がわからないものに対して恐れを抱く」と言っています。相手を知らないからこそビビる。つまりビビらないための一つの方法は、相手を知り相手の意図を見抜くこと。


みなさんは怖い相手、なんだか威圧的でビビる相手はいますか? 自分がどんな相手に対して怖じ気づくのか、なぜビビるのか、一度考えてみるのは自分自身を知る上でも有効。


自分の力を知っておくことも大切。仕事なら「ちょっと自分には難しいかな」くらいの負荷がかかる作業をこなすことで自分の限界を把握しておく。自分の力が客観的にわかるだけでも、仕事を頼まれたときの不安は少なくなり、ビビらずにすむはずです。結局は他人と自分、つまり人間に対する知識がないからビビるんです。


相手がどんな価値観を持っていて、どんな意図と論理で行動しているのか。それがわかれば相手が何を言おうが、どんな威圧をしてこようが冷静に対応できる。外交の世界では「相手の内在論理を知る」という表現をします。


結局、大事なことは「主体性」なんですね。自分で自分をマネジメントしコントロールする。人から頑張れと言われてやるのでも、マスコミに煽られてハマるのでもない。自分で決めて行動するということなんです。


僕は生きていくなかで「諦めない」ものを持つことは大切なことだと思う。ただし大事なのは「何を、どう諦めないか」だと。自分に適性がないものは諦めたほうがよい場合もあります。「諦めない」ことが「執着」になるとどうしても視野が狭くなりがち。自分をリセットする柔らかさが必要な場合があるでしょう。


一番得意だと思っている分野で失敗する、つまずく。それはそこに油断、すなわち「侮り」の気持ちがあるから。「侮り」と言うと何だか大仰に聞こえますが、日常の仕事の中でもついやってしまいがちな行為の中に、そんな気持ちが潜んでいることがある。


「内省ノート」をつけることをお勧めします。批判や忠告を受けたときに、なぜその人がそんな言質を取ったかを書き出してみる。少なくとも誤解や嫉妬からではないと判断できたなら、傾聴するに値します。自分に何か落ち度や侮りがないかを虚心坦懐に書き出してみましょう。


「侮り」は人生の罠みたいなものだと思う。得意の絶頂のとき、ツイているとき、地位や権力を持ったときに仕掛けられる。その罠に気がつくことって容易じゃないです。自分では調子に乗っているだけに。たいてい後になって気づく。痛い目に合った後にね。


仕事をある程度覚え自分で回せるようになる30代半ばくらいが最初の鬼門。ここで「なんだ仕事なんてちょろいもんだ」と手を抜いたりズルを覚えてしまうと、そこから伸びなくなる。得てして器用で要領がいい人が陥る落とし穴。


僕らの周りには常に自分と違う他者や異質な人たちがいる。でも自分の中にも同じように異質で悪い部分がある。もしかしたら自己愛的なものがあるかもしれない。そう認識すれば自分も他者ももっと受け入れることができるはず。


人が思い悩むのは自然の心理。悪いことではありませんし、悩みながら新たな何かをつかみ取ることもあります。が、あまりにそこに囚われすぎると目が曇ります。


教育にお金をかけられないなら、社会に出て確実に生かせる知識と、その知識を使いこなす術が身につくよう仕向けることが大切です。


「ギブ&ギブ」を実践するには、まず自分が家族に何を「与えられる」のかを知る必要があります。実は、それを真剣に考えることが、今の社会を生き抜くカギになるのです。


返せぬほどの恩を受けると、そこには力の上下関係が生じます。求めるより与える。惜しみなく与える恩は、家族の中でも力関係として働きます。夫や親としての威厳を保つなら、それが一番の方策です。ただ、与えるといっても、妻や子供が欲しがるものを、何でも買ってやるということではありません。お金や物とは限りませんし、必要としているものでなければ無意味です。


勉強していくと何が変わるか。知識の量が増えるのはもちろんですが、それとともに興味の対象が変わり、楽しいと思えることが変わってきます。自分のつきつめる分野を、もっともっと勉強したくなるのです。


ライフプランをしっかり立てることが大切。生涯に必要になるお金、入ってくるお金をしっかり計算し、どういう生活をしていくか計画を立てる。そうでないと、経済的に破たんしたり、お金がないことでチャンスや機会を逃したりしてしまうことにもつながりかねない。


仕事ができる人ほど、簡潔に必要最小限のことだけ書いてきますね。自分も忙しいから、メールを読むのに時間を取られることがいかに苦痛かわかっている。でも、メールの文面自体は短いけれど、添付している企画書はしっかりとしている。となると、実務能力が高く仕事ができて、バランス感覚のいい人だなと推測できます。


僕は一切の情報をあえて遮断する時間帯を作っています。携帯電話は切る。PCのメールも見ない。時間帯でいうと朝5時から9時。外部からの雑音が一切入ってこないので、一番仕事ができる。みなさんも1日1時間でも2時間でもいい。外部の騒音を一切遮断する時間を作ってみてください。


仕事をする上で一番無駄な時間は、資料を探す時間。僕は必要な書類や資料は封筒などに入れて、大きな段ボール箱に放り込んでおきます。必要な書類や資料はとにかくその段ボール箱をガサガサやれば出てくる。必要なものはすべてその箱に入っているので、そこにない書類や資料は最初から存在しないとわかる。


インテリジェンスの仕事は国益を背負い、お互い暗黙のルールの中で駆け引きをするもの。嘘をついたり、相手の感情を読み取れなかったりする人間は、普通の職場でもアウトでしょうが、外交の仕事ではとにかく致命的。


右肩上がりの時代なら、組織をまとめ上げ、一つの目標に向かって強力に引っ張っていく「率先型リーダー」が求められました。掛け声を掛ければ成果が上がった。しかし、いまは強いリーダーよりも、いっしょになって考え、問題解決をしてくれる「相談型リーダー」が求められている。


僕自身、部下との関係を築くことで、失うことよりも得るもののほうがはるかに多かった。教えることで自らも成長する。上や横だけでなく、下に目線をおろしたときにこそ見えてくるものがある。


僕は好きとかやる気を追い求めるより、40代になれば、まずはやるべきことをこなすことだと思います。責任をまっとうするなかで、それまで好きでなかった仕事が、だんだんおもしろくなってくるということもあると思う。


自分の感情をコントロールできない人は、まっとうな仕事はできない。外務省でも、やたらと怒鳴り散らすような人は「あの人は情緒不安定だから」とレッテルを貼られる。そう言われたらすでに人間的信用力はゼロということ。


ケンカというのは落としどころ、ゴールが見えていなければダメ。感情で怒るのではなく、役割とか立場を踏まえてぶつかる。お互いわかっているから、エスカレートしません。一見声を荒立てても、それはパフォーマンス、演技なんです。だからいい外交官はいい役者でもある。


本当にかけがえのない大切なつながりは、5人もいれば十分。利害を超えた信頼関係、親友と呼べる間柄は、せいぜい5人。その見極めをまずしっかりすること。その強固な関係があれば、たいていの人生の逆境に向かっていける。


大変なときに救ってくれたのは大学時代の友人たちです。大学時代の仲間は利害関係ではない。私という人間の本質を知り、信頼してくれている。国家権力と対峙していようが、マスコミが何を伝えようが揺るがないんですね。


僕が外交官だった頃、ロシアの要人に近づく場合には、秘書や補佐官、受付の人から電話交換手まで、周りの人とまず仲良くするようにしました。彼ら全員の誕生日を覚えておく。で、誕生日が来たらプレゼントを贈るのです。するとアポを取ったとき、手紙やメモを渡すとき、優先してくれる。


仕事でのつき合いというのはどんなに親密に思っても、利害関係が基本で成り立つ。自分の状況が変われば一気に消えてしまう儚いもの。本当に大切な人脈、つき合いというのは利害を抜きにした友人。そして家族。幻のようなビジネスの人脈に時間を取られるくらいなら、家族との時間を大切にするべき。


雑談力をつけるには本を読むことが近道だ。その場合のジャンルは2つある。ひとつ目は、学術書の内容をわかりやすい言葉で言い換えた教養本だ。特に経済学、歴史に関する本を読む。そうすれば、イスラーム教徒を相手に豚肉や酒の話をするというような初歩的なミスは犯さない。2つ目は小説とノンフィクションの文学作品だ。ノンフィクションでは、自伝、評伝、当事者手記がいい。一人一人の人生には、時間的・地理的・能力的に限界がある。だから、小説やノンフィクションで様々な人生を代理経験するのである。


「雑談する力」と教養の間には正の相関関係がある。従って、教養のある人間になることを目指せば、おのずから「雑談する力」が身につく。


「雑談が苦手だ」という人が増えている。仕事以外の共通の話題に関する教養が浅いからだ。


佐藤優の経歴・略歴

佐藤優、さとう・まさる。日本の作家、官僚。東京出身。同志社大学大学院神学研究科終了後、外務省に入省。イギリス、ロシアの日本大使館に勤務したのち、外務省国際情報局分析第一課主任分析官として対ロシア外交に携わる。背任と偽計業務妨害容疑で有罪が確定し外務省を失職。『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』で毎日出版文化賞特別賞、『自壊する帝国』で新潮ドキュメント賞・大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

気に入ったらみんなとシェア

このエントリーをはてなブックマークに追加
1 / 212

ページの先頭へ