中村獅童(二代目)の名言

中村獅童(二代目)のプロフィール

中村獅童(二代目)、なかむら・しどう。日本の歌舞伎役者、俳優。東京出身。8歳で初舞台を踏む。日本大学藝術学部演劇学科を中退し本格的に歌舞伎の道に進む。映画俳優としても活躍し、数々の賞を受賞。

中村獅童(二代目)の名言 一覧

絶好の機会はいつも転がっているわけじゃない。だから、狙ったものを100%つかまえるために研鑽を重ねる。これが大事。


試行錯誤は、人からの評価を上げるためではなく、自分のためにするもの。「勝負」の時に自分の力を解き放つための準備。


一気に伸びる人の共通項は、一見出来が悪いように見えても、とにかく一生懸命に食らいついてくること。


一つひとつの瞬間が、一生に一度。


新作歌舞伎を創る際、内容によっては、古典的手法を使うだけで、新しい作品に仕上がることも少なくありません。「温故知新」という言葉にもある通り、「古典が一番斬新」と感じることも多い。


人生で夢を持つことは大切。「こうなりたい」と思わなければ何も叶いません。理想を高く掲げて、それを実現するために努力を積み重ねてゆくのは、役者もビジネスパーソンも一緒だと思います。


天才と呼ばれる人が「何も努力していません」なんて言って、家に帰れば実は相当努力しているという話をよく耳にしますが、当人はそれを努力と思っていないだけだと思います。当たり前のことを、ただやる。それが、成果につながっていくんです。


人生の目的って最終的には、「いい人生だった」と実感しながら死ねることじゃないかな。いつの日かそう思えるように、まずは今、「目の前にある仕事に真剣に取り組む」。それは、自分との闘いなんです。


その時その時で抱えるものが変わってきて、登ってはまた次の山が現れる、「未知の山との遭遇の連続」が人生。


人と交わればいろんな感情が生まれるし、嫌なこともあるけれど、それをどう受け止めるか、そこからどうするのか。


すぐに結果を求めるには、人生は長い。


仕事熱心なビジネスパーソンというのは、プライベートでも無意識に仕事とつなげてチェックしている。これが案外、仕事での新しいアイデアやヒントになる。


「いったん舞台の幕が開いてしまえば、先輩も後輩もない」というのが僕の主義。


他人を気にするより、むしろ最大のライバルは自分だと思った方が力が湧く。弱い自分に負けないために、精神を鍛えて稽古をして、精進していきたい。


いつまでも恨みを抱いて殻に閉じこもっていたら、人生に与えられた時間がもったいない。


歌舞伎の世界は年末年始が最も忙しく、旧年を振り返るというより、常に先を見ていることが多いですね。


基本の「型」がない応用は、しょせん「型なし」に過ぎず、みっともないの典型。「自分の個性」にこだわるのは二の次でいい。


どんな些細なことでも経験を積めば、腕は確実に上がる。そこから独自の方法や仕事を生み出せば、それは「個性」になる。


問われるのは、意気込みがあるかないか。その人が仕事にどんな気持ちで臨んでいるのかは、何も言わなくても相手に伝わる。


常識を打ち破ってきた傾き者(かぶきもの)が世界を変えてきた。企業にも傾き者は必要だと思う。


人同士の関わりは、その瞬間、瞬間をどれだけ大切にできるか。


「本当にやりたい仕事」のためならば、苦手は克服できる。


人間に対して積極的に関わることで、未来は開けてくる。


ショックなことがあっても、「むかつく」で終わったらそれまで。そこから自分でどう伸びしろを作っていくかが大事。


人を嫌いにならないようにするには、その人のいい面を見つける。そういうふうに生きていくと、自然に人が集まってきて、発展していくことができる。


最終的に評価していただくのはお客様。これは何も役者に限らず、どんなビジネスでも同じだと思う。


10円でもお金を頂いた時点でプロ。


裏方や演出家も含め、皆が力を出し合わないと成功は難しい。特に初対面同士が集まる現場では「全員が主役」という意識を徹底し、その思いを行動で表していく。


今の時代、ネットで情報を集め、自分で資料を読んで、データを分析できる。それも大事だけれど、実際に人と触れ合わないと分からないことも多い。


試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ高い山を登ってゆく。1つ登り終えたら、アンテナを張り巡らせて、すぐに次の山を探す。その繰り返しが、「大きな夢」につながっていく。


役者をやっているからには、自分で自分の名前を大きくしていかなくちゃ、自分の人生じゃない。


歌舞伎はもともと江戸時代では最先端のカルチャーで、現代のロックの精神に通じるものがある。


「全員が賛同するものなんてない」のは世の常。そういう逆風をサラリとかわしながら、最終的に自分の理想を実現していけばいいんじゃないかな。


否定されたり失敗したりすることを恐れておとなしく生きることもできるけど、本当に当たり障りのない人生でいいのか?


人生、挫折もあれば、我慢しなくちゃいけない時もある。マイナスの出来事を前向きのエネルギーに転換することが、成功のカギになる。


マイナスの状態から復活して、もう一度活躍できたら本物。ここからが勝負だ!


役者という仕事が根っから好きなんです。だから転んでも起き上がることができた。


くじけそうになっても立ち上がることができたのは、「弱い自分に負けたくない」という気持ちが強かったから。


いいときもあれば、悪いときもあるのが人生。それは、役者もビジネスパーソンも同じでしょう。


隙間時間をうまく使うためには、「すぐ動く」ことが大事。僕の頭の中には、やりたいことが渦巻いているので、「何をしようか」と悩むことは一瞬たりともない。


「隙間時間」を大事にできる人ほど、「充実した人生」になる。


悩みはうまく使えば、人を行動させ、奮い立たせる力になる。悩みは悩みのまま終わらせないことが大切。


「がむしゃらな30代」があったからこそ、様々な出会いに恵まれ、今の獅童らしさを追求する土台になった。失敗もあったけれど、悔いはない。


自分にとって何が次の代表作につながるか分からなかったので、声をかけていただいた仕事はすべて受けました。自分に向いていないと感じる仕事であってもです。


「40歳は人生の折り返し地点」だとよく言われますが、正直、この言葉は嫌いです。40代、50代には、それぞれの突っ走り方があるはずだと思うからです。


ある人が凹んでいる時に、「分かるよ、その気持ち」なんて同情を示す人がいるけど、僕は絶対にそういうことは言わないと決めています。なぜならそれは、「俺は既にその気持ちを知ってるよ」と、言っていることと同じだから。人それぞれに事情があり、考え方だって違うわけだから、「分かる」だなんて軽々しく同情するのは失礼だと思うのです。人が凹んでいたり、悩んでいたりする時には、静かに話を聞く。相談を持ちかけられた時には、「自分だったら……」という話にとどめます。


「挨拶」は、すべての人間関係における基本。親しい人ほど「なくてもいい」と思われる風潮があるけど、それは違う。どんなに仲がいい友達だって、挨拶を交わさなくなったら、関係は崩れていきます。コミュニケーション下手ならなおさら、自分から積極的に「挨拶」する。これだけでも周りが変わってきます。


コミュニケーションにおいて大切だと思うことが2つあります。「挨拶」と「礼儀」です。極論すれば、この2つを守れば、人から嫌われることはありません。


心をリフレッシュすることも大事にしています。僕の仕事は1日が完全にオフになることは少ないため、空いた時間を見つけたら、「舞台」や「映画」を観て、刺激を受けるようにしています。お客様がどういうところに吸い寄せられるのかも気になる。客席では「客の視点」で楽しむように、できるだけ何も考えずに観ます。


仕事のパフォーマンスを保ち続けるために万全の態勢で臨むことが大切。年々痛感するのが、体調を万全に整えておくことの大切さ。昔と比べて体力が衰えたと思ってはいないけれど、「20代の頃と同じことをやっていてはダメだ」と心がけるようになり、よく考えて行動するようになった。


僕が特に気をつけているのは、1日が終わったら気持ちを「リセット」すること。連日の舞台で役に慣れきらないよう、翌日は新たな気持ちで臨む。役者だから、芝居の流れや結末は当然知っています。でも舞台では、その一瞬一瞬を初めてのこととして演じなければなりません。


「今日はよくできた」と手応えを感じても、お客様に満足していただけたとは限りません。客席の「満足度」と、「自己満足」は必ずしも比例しない。これが役者の難しさであり、面白さでもある。


作品の台詞や振り付けを覚え、舞台では相手役との間合い、お客様の反応を見ながら、自分の役を演じていく。役者の世界では、「いい芝居をしたい」「お客様を満足させたい」と思い続ける限り、まさに「死ぬまで」試行錯誤が続きます。


試行錯誤の積み重ねが、仕事の成果だけではなく、人を成長させるためにも欠かせないものだと思います。役者の世界も、試行錯誤の繰り返しです。


初対面同士が集まる仕事場で、ゼロからチームを作っていくような時には、自分から積極的にコミュニケーションを取り、ムードづくりを心がけます。稽古が終わってからも、チームの人たちと長く話すことが多いですね。


チームのまとめ役をしている自分の姿を、「体育会系のノリは苦手」と言っていたかつての自分と比べると、あまりの落差に驚きます。しかし、役者・中村獅童というのは、いわば虚構の世界の人間だから、それができるのかもしれない。もちろん、「やらなければ!」と自分を鼓舞している面もあるのですが。


ついてこない人がいるのは、リーダーである自分の能力不足。それに、周囲の皆がしゃかりきになっていれば、誰もが「自分もこうしてはいられない」という思いになるのではないでしょうか。


重要なのは、相手を思いやる心ではないかと僕は思う。「普段から相手に気を使えない人は、いい役者になれないよ」と、叔父の萬屋錦之介もよく話してくれました。


育てられる側の若手も、ただ待っているだけではダメ。目の前を見渡せば、「尊敬できるな」と思える上司や先輩がきっといる。そういう人に自分から積極的に交わって学び、成長する。その醍醐味を味わってほしい。


一番ダメなのは、「分かったふり」をすること。「分かっています」という態度を取っていると、そこから何の発展もない。成長する人は、既に知っている話題が会話に出てきたとしても、初めて聞くようなふりをして話を発展させ、新たな情報や考えを得ています。


「慕われて嫌な気分になる人なんていない」――そう思って、分からないことはどんどん尋ねればいい。「こんなことを聞いていいのかな」と気にして、聞かない人が多すぎます。人生は一度しかないのに、なぜそんなに遠慮するのか不思議ですね。極端な話、その人が亡くなってしまったら、二度と話を聞くことはできないのに。


今の若い人の中には、上司や先輩から飲みに誘われても「面倒くさい」と思う人が多いようです。SNSでの交流も盛んだから、「人と交わらなくても生きていける」という感覚があるのでしょう。でもそれって、とてももったいないと思う。僕自身、ものの考え方や芝居の芸をどう培ってきたか振り返ると、先輩方との対話、交わりの中から得たものが多いんです。


いまは自分らしさを貫くことが難しい時代なのかもしれません。自分を曲げて群れに属さなければいけないのが企業社会だという見方もできます。しかし、その中で自分らしさを追い求めるのが人生の面白さでもある。


今回手がけた「あらしのよるに」も、古来歌舞伎に登場してきた狐の「型」という表現法があったからこそ、その表現をオオカミやヤギに変化させるという発想が得られた。歴史に支えられ、守られているという想いが常にあるからこそ、伸び伸びと新たな発想を抱くことができる。


幼少期に「かっこいい歌舞伎役者になりたい」と純粋な気持ちで入ったこの世界。思春期に、歌舞伎が自分の好きなファッションや音楽の究極の形なんだと気づきました。歌舞伎は「反逆精神で時代を牽引していった先人たちの文化なんだ」と。


しどろもどろになっても、懸命に相手に訴えかければ、「伸びしろがありそうだ」という評価が得られることもあるし、「一緒に仕事をしたい」と思ってもらえる可能性だってある。


「個性が大事だ」と言われる時代になりましたが、それは自分勝手な「主義」「主張」を押し通すことではない。「基本」が身について、「応用」が初めて生まれる。


日常生活の中では、僕は「こだわり」を持っていません。でも、仕事に関しては一つだけこだわりがあります。それは、いつでも真っ白に戻れる「潔さを持つ」ことです。「仕事の原点に戻る勇気」「素直さ」「柔軟性」とも言い換えられるかもしれません。


「これ、ダメだな」ってすぐ見切りをつけてしまう人は、結局30歳を過ぎてもぱっとしなかったりする。それは俺に言わせれば、信念がないんだよ。もちろん信念を持って取り組んでも、すぐ認められないことがほとんど。周りに「ダメなやつ」って見られるし、辛いよね。けど、そういう愚直な人の方が挫折を経験してるから根性があるし、見込みがあると思う。


実際のところ、若い時から「俺はロックスターになる」と言い続けているような人が、ロックスターになったりする。大事なのは、思い続けること、諦めないこと。


成功の仕方って人それぞれ。僕は恵まれた境遇ではなかったかもしれないけれど、他人を羨ましいと思ったことはないし、いろんな経験を経て今の「中村獅童」があると思っています。


僕のやっている「役者」という仕事だって、一生かけて見えないゴールを追いかける仕事です。自由な世界に見えるかもしれないけれど、見えないところに向かっていくのは不安だし、苦しい。それこそ長期的なビジョンを胸に、頑張っているつもりです。


世の中どうなっちゃうんだろう? と思うことのひとつに、「今しか考えない人が多い」ことがあります。すぐに結果を求めたがる。でも、長期的な視野で「こうしていきたい」と、思い続けて、諦めないことが大事じゃないかな。


自分がどうなりたいのか、何をやりたいのか。そのために今、何をしなくてはいけないのか。そういったことを意識するのは大事なんじゃないかな。そういう日々を送っていれば、チャンスが巡ってきた時、絶対見逃さないと思えるんだ。


「ああいう人と仕事をしたい」と思っていた方々にも声をかけていただけるようになりました。口には出さなくても、強く思うことって大事なんですよ。


人間だから不安な気持ちもあるけど、弱い自分を乗り越えるには、思い込みとか強い気持ちって大切ですよね。撮影後の取材で「僕はこれから大きくなるから、見ていてよ」と言っていたと、ある記者の方からいまだに言われます。自分でも覚えていますよ、それほどの思い込みだった(笑)。


「ピンポン」のドラゴン役のオーディションには「このチャンスを逃したらもう次はない」という意気込みで、役柄と同じように実際にスキンヘッドにして、眉毛も剃って出かけました。受かった時はうれしかったけど、同時に「窪塚洋介君はじめ、共演者たちには絶対に負けたくない。絶対何かをつかみとってやるんだ」って思い込みながら、撮影に臨みました。


先輩方の姿を見てきたから、僕も常にチャレンジ精神を失わないようにしています。古典を守りつつ、自分たちの世代だからこそできる新しいことを探さないといけないと思う。


賛否両論あるだろうけど、伝統を守りつつ新しいことにチャレンジしていく精神は大事だと思う。前例のないことをやろうとすれば、賛同する人もいれば否定する人が出てくるのは当たり前。


歴史があって、なおかつ業績が伸びている企業って、きっとバランス感覚に秀でた人材が多いんだと思います。伝統にぶら下がるだけではなく、時流をとらえどんどん新しいことに挑戦している。


「自分には芝居しかない」という思いが、以前にも増して強くなりました。声をかけていただいた仕事には、以前にも増して全身全霊でぶつかりました。「そうすることでしか本物になれない」と、信じて続けています。


世の中すべてが敵に見えても、どこかで自分を見てくれている人はいるもの。僕の場合は、「何があっても獅童さんを応援しています」という励ましの手紙をファンの方から頂いたことが、立ち直るきっかけになりました。「世の中のすべての人にバカにされても、この人のためにいい仕事をしよう!」という気持ちになれたんです。


「理想を高く持って頑張っていけば、必ず状況は変わる」と信じて生きた。だからどんな時でも、「いやいや、まだまだだ。こんなことで潰されるものか。いつか本物の役者になってやろう」と思えた。


僕のホームグラウンドの歌舞伎の世界は、役者が数百人しかいない狭い世界。ずっと一緒にやっていくわけだから、視点を変えて嫌いな人を作らないようにしています。自分の中でポジティブに仕事をしていけるよう発想の仕方を訓練するのは、ビジネスの世界でも大切なのではと思います。


「うまくいかないから、愚痴を言う」という行為を繰り返すと、だんだん自分を悲劇の主人公だと思ってしまうんですね。そして、何もかもを人のせいにしてしまう。その方が楽だから。けれど、そういう発想では、自分だけの殻に、閉じこもってしまい、その人はそれ以上成長することはありません。


仕事では、どんなに仲がいい同僚でも、きちんと線引きをして、緊張感を保った方がいい。そうすれば、相手との関係が馴れ合いにならず、いい意味でお互い刺激し合えるから、仕事の内容も良くなると思う。


演じることが好きで役者をやっていますから、仕事が辛いと思ったり、投げ出したいと思ったりしたことはありません。どんなことがあっても芝居に出るのは、僕にとって当たり前のこと。


生きることとは、「自分の時間をどう使うか」という判断の積み重ねとも言える。それが人生になっていくのだから、「時間の使い方はその人の生き方そのもの」ではないでしょうか。


僕はやりたいことが多すぎるようで、昔ほどではないにせよ、「徹夜」になることもしょっちゅうある。だから、時間がないことを言い訳にする人を見ていると、「寝ないでやれ!」と言いたい。だって、死んだらゆっくり寝られるのですから(笑)。


仕事が途切れないのはとてもありがたい代わりに、まとまった休みが取れず、定期的な休日もありません。自分が使える時間は、自分で見つけ出すしかない。


周りを見ていると、できる人ほど時間を言い訳にしません。しかも、ものすごい仕事量をこなしていて、「休日はあるの?」「毎晩、ちゃんと寝てる?」と聞きたくなる働きぶりだったりします。


人生に悩みはつきものですから、悩んでこそ人間、悩んでこそ人生だと思います。けれども、周りで成功している人たちに共通するのは、皆、悩みとうまくつき合っている悩み上手なのです。


悩みを抱えたら、僕は2つの方法を実践しています。まず、一晩、悩み抜く。中途半端に悩むことはやめ、ぎゅうぎゅうと自分を迫い込むように悩み尽くす。こうして寝て、翌朝起きたら、前夜のことはもう振り返らない。次に、事態が解決した後のいいイメージを描く。悩みを克服した先に、強く変わった自分をイメージします。成功シーンを描くことで、いいリズムを自分にもたらす。


頭を抱えているだけでは、前には進めません。僕が実践しているのは、悩んだ時こそ「勉強」「研究」すること。原作を読み込んで内容をひもといたり、過去の舞台に関する資料を集めたりして、悩みや不安が消えるまで勉強します。


苦もなく台詞を覚えられるようになったきっかけは、2つの条件を満たせばいいと分かった。まずは、作品全体を把握した後に、「役の位置づけを想像する」こと。次に、台詞を覚えるための「環境を見つける」ことです。前者は「全体と部分の総合作業」、後者は「集中できる環境作り」とも言い換えられます。


ハードな舞台を終えると体は疲れているのに、神経が高ぶって眠れないことがよくある。なかなか寝つけない日が続くと、それが気になってますます眠れなくなる。そんな時は、無理に眠ろうとせず、「眠たくなったらそのうち眠れるよ……」くらいに気楽に構えるのがいい。これは亡き母親からの教えでもあり、経験則からも言えます。


僕は本来集団行動が得意ではありません。一人っ子で育ち、マイペースな性格だったこともあり、「人と合わせる」ことが苦手。体育やスポーツも嫌いだったので、「チームで何かを成し遂げる」という経験をしないまま成長しました。しかし、役者となって、しかも座頭というリーダー役までさせていただくようになると、「チームプレーは苦手」などとは言っていられない。


人間は、どうしても自分のことが一番かわいいものです。「あいつにこんなことを言われたから腹が立つ」「気分が悪い」など自分のことばかり話す人がいますが、僕はそんな人こそ「相手のことを考える」という意識への切り替えが必要かと思います。「どうすれば相手はもっと喜ぶだろう」とイメージするだけで、見えてくる景色は全く変わってきます。


僕自身、仕事もファッションも音楽も、「素敵だなぁ」と思った人をお手本にすることから始めました。今も、先達たちの白黒の映像を見ながら、その仕草や間の取り方を参考にさせていただいています。皆さんも「この先輩のようになりたい」と思ったら、メールの文章や交渉の進め方など、先輩の仕事の作法をきめ細かに観察し、そのやり方を自分に写し取ることから始めてはいかがでしょう。


僕の場合は、歌舞伎の舞台自体も神棚のようだと感じています。舞台に立ち、無事にお役をつとめさせていただくということは、歌舞伎の神様に見守られているということです。歌舞伎は歴史が長く、「名優と言われた先達たちが大切に演じてこられたお役を受け継いでいる」という意識を強く持っています。


チャンスって、みんなに平等に巡ってくるものだと思う。チャンスが巡ってきた時に、いかにパッとつかむかが大切。才能がなかったり勘が悪かったりすると、チャンスを逃しちゃうんですよ。「おまえこれチャンスだよ」っていう大事な時、才能のある奴はパッとつかんで自分のものにする。でもボーッとしてると、チャンスを逃がしてしまうよね。そのための準備と言えるかどうか分からないけど、僕はアンテナは常に張り巡らせてました。


相容れない仕事相手と会うときは、視点を変えて、「こいつとは求めているものが違うだけだ」と思うようにすることです。そうすれば自分も楽だし、お互い嫌な気持ちにならない。例えば、モノ作りの職人で、見た目の美しさを求める人と、速さを求める人がいたら、お互い相容れないですよね。同じ土俵で、同じ価値観で見ようとするから、相容れない点に腹が立つんです。


僕は、「隙間時間」をフル活用しています。ちょっとした時間を意識的に使うことが、心身ともにいいリフレッシュになるからです。どんなに忙しくても、1日の中にエアポケットのような隙間時間は、必ず見つけられるものです。幸運にも仕事が早く終わる日だってある。そんな機会を逃さず、何かしらの目的に使うようにします。


僕は舞台などで人前に立たせていただく立場。だからこそ、人が何を求めてきたかを過去から見つめ直し、そこから新しいメッセージを見いだし、どんな形で発信していけばいいか、考えることが欠かせません。「日本人」というアイデンティティーを持ち、日本の伝統と文化を探求して、そこから革新を生み出していく。そうすることで、世界で勝負したいと思っています。


歴史ある企業であれば、歴代の方たちが積み上げてきたノウハウがあるはず。そうしたことをないがしろにして、目新しさばかりを追いかけていると、やがて行き詰まって苦しくなる。車にしても時計にしても、日本の老舗ブランドは、たとえ不況の中でも、伝統を守りながら革新を追求しています。「便利」「快適」「楽」がより重宝される世の中になりつつありますが、だからこそビジネスでは、「精神性」や「想像力」が求められるようになっていく。そう思うのです。


僕には、気になることがあるんです。「日本人の多くが、今も米国や欧州といった海外にヒントを求めているのではないか」ということです。「近く」を見ず、「遠く」に答えを求めている。歌舞伎という伝統芸能の世界に生きている僕から見ると、「何てもったいないことをしているんだ……」と感じることがしばしばあります。日本には素晴らしい伝統や歴史がたくさんあるというのに、どうして「近く」にあるものに目を向けないのだろうか、と。


「自己完結はしない」ということも、心に決めています。自分の強みも弱点も把握しているつもりだけれど、自分の演技について「今日は良かった」と感じたことは一度もありません。もし感じてしまったら、成長はないよね。逆に、「もうちょっとうまくできたかもしれない」と感じても、監督が「カット、OK」と言ったら、それが正しくなる。「委ねる」ことも大事なんです。ビジネスで、「絶対にいい」と思える商品やサービスを作っても、「最終的に判断するのはお客様」というのと同じかもしれません。


ある程度名前を知っていただけるようになった今、僕の夢は「いい役者になること」。シンプルすぎるかもしれませんが、それだけしか考えていません。「何がいい役者なのか」は、数値で測れるものではありません。スポーツと違い勝敗も関係ない。自分の生き様、人間としての深みが演技に表れ、「いい役者」と周囲に思っていただけることにつながる。目に見えないゴールに向かって走るのは正直、苦しいですよ。でも走る中で、新たに生まれてくるものもあります。


父親は既に役者を廃業していたから、僕には大きな役を演じる望みはないに等しかった。それなら「自分で自分の名前を大きくしよう」と、積極的にオーディションを受け始めました。その中でも相当の気迫で臨んだのが映画「ピンポン」。これに合格し、「正統派異端系歌舞伎役者」として、様々な方面からお声をかけていただけるようになりました。


一般的なビジネスパーソンなら「何歳までにこれをやる」というように、細かく目標を設定して、それをクリアしようとする人が多いかもしれません。生き方は人それぞれだから、そういう方法もアリだと思います。でも僕は違います。そういうやり方だと恐らく、プラン通りにできなかった時に、戸惑ってそこから進めなくなってしまうと思うから。だから僕は、「大きな夢」は持ちつつも、いつまでに何をやるかは決めず、「その瞬間その瞬間」を真剣に生きていくことだけを考えています。


中村獅童(二代目)の経歴・略歴

中村獅童(二代目)、なかむら・しどう。日本の歌舞伎役者、俳優。東京出身。8歳で初舞台を踏む。日本大学藝術学部演劇学科を中退し本格的に歌舞伎の道に進む。映画俳優としても活躍し、数々の賞を受賞。

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