鈴木敏文の名言

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鈴木敏文のプロフィール

鈴木敏文、すずき・としふみ。日本の経営者。セブン&アイホールディングス会長。中央大学経済学部卒業後、書籍取次大手のトーハンに入社。その後、イトーヨーカ堂へ移り、創業者伊藤雅俊の右腕として活躍し、セブン-イレブン・ジャパンを設立。コンビニエンスストアという形態を全国に広め小売業界を激変させた経営者。

最近、「消費税還元セール」といった広告や宣伝の禁止を盛り込んだ法案が成立しましたが、1997年に消費税率が5%に引き上げられた際、このセールを発案したのは、他でもない私です。当初、社内では「普段のセールで10~20%引きでも必ずしも売れるわけではないのに、実質5%引きでは魅力を感じてもらえないのではないか」と反対されましたが、私は「理屈ではそうでも、顧客の心理には消費税増税に対するアレルギーがあるから、必ず反応があるはずだ」と考えた。それはひとつの仮説でした。結果、売上げは60%も伸び、この仮説の正しさが立証されました。


コンビニ業界について、マスコミは「国内総店舗数が5万店を突破し、飽和が懸念される」などと、店数を示して市場飽和説を唱えます。もし、どのチェーンの店舗も同質であれば、飽和するかもしれません。しかし、質が違えば弱いところは落ち、強いところは残り、飽和はあり得ない。重要なのは、コンビニの店数ではなく、どういうコンビニがあるかなのです。


セブンイレブンの創業時、ヨーカ堂の幹部も業界関係者も学者もみな、セブンイレブンの創業に反対しました。その根拠として挙げたのは、商店街や小型店が衰退しているというデータです。大型店の進出が原因とされていました。しかし、本当にそうか。私は人事や販促などの管理部門を担当していたため、商店街の凋落の原因を別の視点で捉えていました。ひとつには生産性の低さ、もうひとつは市場の変化です。小型店でも労働生産性と商品の価値の両方を高める仕組みがあれば、大型店との共存も可能ではないか。そう考えて決断したのが、セブンイレブンの創業でした。


品揃えも、顧客の心理を読んで行ないます。たとえば、猛暑の夏はコンビニでは冷やし中華が飛ぶように売れます。その数字の伸びを見て、多めの発注を続けると、一転してあるときから売れ行きが落ちます。おいしいものほど飽きるからです。その心理を読み、途中から、同じ冷やしめんでも、味付けや具材が異なる冷やしラーメンなどに切り替えていくと、売上げを落とさずにすむのです。


以前、こんなことがありました。セブンイレブンでおにぎりを1個100円に値下げしたところ、好調な売れ行きが半年間続きました。社内からはさらに90円に値下げする案が出ました。「安くすれば売れる」と考えたからです。一方、私は別の顧客心理を読んでいました。もの余りの時代でも、顧客はつねに新しいものを求めます。100円おにぎりのヒットも、130円台のものが100円で買えることに新しい価値を感じたからであって、それを90円に下げても、もう新しさは感じない。そこで私は、ワンランク上の高級素材を使い、100円台後半と従来の常識外れの値段で売るおにぎりを発案しました。この「こだわりおむすび」は大ヒットし、ヒット商品番付にもランク入りしました。


私のパソコンにはグループ企業の最新の数値データが入っています。自分の時間があると、あっちの数字、こっちの数字を引っ張り出しては、この売上が落ちているのは、どういうことなんだ、この数字はどういう意味を成しているんだと考えます。イトーヨーカ堂のデータでも、同じ商品なのに、ある店は値段が高く、ある店は低かったとき、なぜこっちは高いのか、理由は何だと追求していくと問題が出てきたりする。


トップ以下、現場に至るまで、日々問題を明確にすることで、誰もが数字に関心を持ち、敏感に反応するようにする。私が指示を出さなくても、担当部門は対応に動くでしょう。


天気が悪い場合、セブンイレブンの店舗では、客足が落ちて廃棄ロスが出るのを恐れて、発注が消極的になりがちです。しかし、棚に並ぶ商品の量が少ないとアピールカが下がり、売れ行きが落ちるという悪循環に陥りがちです。同じロスでも、商品があれば売れたはずの「機会ロス」のほうが大きい。


セブン銀行開始当時、ATMの機械は1台800万円ほどしていた。それを、常に店舗内に設置することで防御にかけるコストを減らし、NECに1台200万円程度で作っていただいた。イニシャルコストが、従来とは全く違う。1台あたりの取引件数が1日70件ほどになれば必ず採算に乗るはずだと。考えたことは、単純なんですよ。


コンビニというものが、未来永劫続くためには、どういう意識を持ち続けなければならないか。まずは食べ物を中心とした商品で、どんどん新しいものを出していかなくちゃいけない。だけど、それだけじゃなくて、もっと社会的な役割というものを付加していかなくてはいけない。


セブンプレミアムでも、最初はスーパーは安くないと売れないとか、百貨店はコンビニやスーパーと同じものは扱えないとか、みんな無理だと言ったけど、「いいものだったら必ず売れる」そう確信したから、今がある。


時代は変わっているのに、過去と同じことをやろうとしてはダメだ。何事についても、5年先、10年先の変化を予測し、今から何をしなくちゃいけないかを考えろ。


プレミアムの売上高が1兆円になったとき、ベニマルの大高(善興・会長)さんがそろそろ「部」を作りたいと言いました。でも僕は、ダメだと言ったわけ。部にしたら、今やっていることの延長でしか物事を考えなくなる。部にしないで、常に人を入れ替えて、新鮮な気持ちで開発を続けたほうがいいと。


中内(功・ダイエー創業者)さんをはじめ、コンビニに対して「そんなもの日本で根付くはずないだろう」と言っていた。大学のマーケティング教授なんかも誰一人として賛成しなかった。


お客様の立場に立つというのも不変の真理だ。セブン銀行を作った時も同じ。銀行の営業時間は平日の午後3時まで週末は休み。金をおろしたりするのはきっと不便だろう。だから、24時間使えるATMをやれば必ず成功するだろうと考えただけ。要はお客様の立場に立った時、便利に使っていただけるかどうかを考えた。金融機関の人たちには絶対に成功しないと言われたが。


少子高齢化や人口減少の話題になると、明日にも日本の国が破綻するような論調が聞かれますが、私はそうは見ていません。仮に人口が今の半分になったとしても、半分になったりに新しいニーズが必ず生まれる。変化に対応さえできれば、日本の経済は持続していきます。


同業他社さんのやっていることに興味はないですね。社員たちにも以前、「他店見学をしてはならない」と禁じたこともあります。人間はよその店を見て、どこかいいところがあると、まねしたくなる心理が意図しなくても働いてしまう。ものまねではけっしてその上にいくことはできません。ただ、単に「ものまねはするな」といっても、実感としてなかなか伝わらない。そこで、「他店を見るな」という厳しいいい方をしてまで、自分たちで「顧客の立場で」考える視点を徹底させたのです。


常に「顧客の立場で」考えることを徹底するため、「真の競争相手は同業他社ではなく、絶え間なく変化する顧客のニーズである」といういい方もよくします。実際、私自身、ローソンさんやファミリーマー卜さんのお店には一歩も入ったことがありません。


今考えてみて幸いだったのは、セブン-イレブン設立時に集まったのが素人同然の社員たちだったことでした。これが小売業の経験者だったら、日本でコンビニエンスストアのチェーンを立ち上げるなど無理だと考える。でも、社員たちは、私がこうやろうといったことに対して素直に応じてくれました。


伊藤(雅俊・創業者)さんの良さは、真面目さなんだ。真面目にやれとか、商道徳みたいなことを言っていた。今、うちの社風が真面目なのは、伊藤さんから引き継いだものです。僕もどちらかというと、そういうことに賛同してきていたから。


僕はずっと自分を無くそうと努力してきた。だから、伊藤(雅俊)さんも僕をずっと使ってこられたのだと思う。それに、僕のやってきたことは、幸いにして成功してきたから、伊藤さんは僕を追認し、一切を任せてきた。


世の中の数字はただ連続的に動くのではなく、必ず不連続な爆発点を持っていると知っているからリスクが取れる。数字の動きをつかみ、数字の変化を仕掛けることができる者こそが、大きな成果を得られることを肝に銘じるべきでしょう。


我々がとかく目を奪われがちな数字があります。全体の平均値です。人間は、一番大きな数字や平均値にとらわれやすい傾向があります。平均値はある対象をある時点で断面にし、量的に捉えるにはひとつの目安になります。A社とB社を比較するときには、それぞれの平均値を取ればいいでしょう。しかし、個別に何かの課題に対して手を打つとき、平均値と自分の数字を比べても意味がありません。コンビニチェーンのA店は、人口が過疎な地域にありながら、宅配などのサービスを積極的に行なって、1日当たりの売上が50万円だったとします。一方のB店は、人口密度が高く、なおかつ競合もほとんどない恵まれた環境の店にもかかわらず、売上がA店と同じく50万円だったとします。そして、チェーン全体の1日の売上の平均も50万円だった。A店とB店は同じ売上でも、まったく意味合いが異なるのに、どちらも平均値と比べて同じである、などと考えるのは意味があるでしょうか。


コンビニなどは1年で7割の商品が入れ替わります。販売の数字を追うときは、売れた量と時間(期間)の関係に着目しながら、仮説と検証を繰り返す。これが変化の激しい時代の販売データの活かし方です。


商品の販売データの数字を見て、売れ行きのカーブが立ち上がる兆しが表われたら一気に大量に投入し、落ち始めたらすぐに売り場から排除していく。対応が遅れると、立ち上がり時に機会ロスが生じ、落ち始めてから廃棄ロスが生じる。市場の販売データは(販売数が一気に上がって一気に落ちる)ペンシル型に変化することを忘れてはなりません。


人間の欲望は無限です。人より新しくて良いものを求める自己差別化心理や、人が持っている新しくて良いものを自分も持とうとする同調心理は常にあります。


市場のデータを見て、商品の価格の低さに価値を感じる顧客と、質を重視する顧客がいて、その割合が6対4だったとき、どちらをターゲットにすべきか。通常は、より大きな6割のほうに目を向けるでしょう。しかし、もしそうしていたら、セブン&アイグループの大ヒット商品であるプライベートブランド(PB)の「セブンプレミアム」は生まれませんでした。私は不況の中にあっても、グループ企業の販売データを見ながら、価格の安さだけでなく、質の良いものを求める顧客が増えていることを見抜いていました。現代はもの余りの時代で、誰もが慌ててモノを買おうとはしませんから。


商品の売上の推移をグラフで表わすと、以前は徐々に高まり、ピークに到達後、徐々に落ちていく「富士山型」でした。それが1990年代以降、売れ始めると一気にピークに達し、しばらくするとピタッと売れなくなる「茶筒型」へと変わり、最近ではピーク時期が短い「ペンシル型」になっています。「金の食パン」も、おいしいぶん、飽きられる度合いも高い。そのとき、すかさず新しい商品を投入できるよう準備を始めています。


「もっとおいしい食パンを作ろう」と私が指示し、発売した「金の食パン」は一斤6枚入りが250円。従来のPB(プライベートブランド)商品のおよそ2倍、NB(メーカーのブランド)商品と比べても5割以上高い値段にもかかわらず、おいしさが支持され、発売2週間で販売個数65万個を突破し、売上が計画を5割上回る人気商品になっています。その数字を見て私は、すぐに次の食パンの商品開発に着手するよう指示を出しました。おいしいものにはもうひとつの裏返しの意味があって、それは飽きるということです。おいしければおいしいほど顧客は飽きる。しかも、最近はひとつの商品のライフサイクルがどんどん短くなってきています。


ありがちなのは、お客のときは不満があっても、仕事となると会社の都合で考えてしまうことです。どんなときも変わらない視点を持てば、悩んだり、迷ったりせず、判断できる。


目指すものを実現する方法がなければ、自分たちで考えればいい。必要な条件がそろっていなければ、条件そのものを変えていく。それが挑戦するということ。


私は自分のあがり症にものすごく劣等感があり、歯がゆくて仕方なかった。性格をなんとか直そうと、部活動で入ったのが弁論部でした。人前で話すのに慣れるためです。弁論大会にも出ました。


商談で話術が巧みでも、その都度、いうことが変わる人間を誰が信用するでしょうか。話し方はうまくなくても、考えがいつもブレない人間を相手は信用します。


常に問題意識を持っていれば、大切な情報や必要な情報が頭の中に引っかかり、それをもとに意識を集中して仮説を立てていけば、ミスや失敗はかなり防げるはず。


米国セブンイレブンとエリアフランチャイズの契約後、初めて開示された27冊に及ぶ経営マニュアルを見て、あ然としました。「これは日本では通用しない」。マニュアルは店舗運営の初心者向け入門書のような内容ばかりで、求めていた経営ノウハウはどこを訳してもありませんでした。マニュアルが使えない以上、自分たちで考えるしかありません。だからこそ、素人集団は、流通業の既存の常識にとらわれず、日本初の本格的コンビニエンスストアチェーンの仕組みを自分たちでゼロからつくりあげることができたのです。


ミスは誰にでもあります。ミスしたこと自体は早く忘れて、仕切り直す。ミスをしないようにと、そればかりをあまり真剣に考えるより、次の一歩を踏み出すことが大切。


「いい人」にならないためには、自分なりにこれは正しいと思う考えをしっかり持つことです。上司と考えが合わなくても、安易に妥協することなく、勇気を持って自分の考えを主張し、説得を重ねていく。


何かにしがみつかず、自分でやるべきだと思ったことは、考えの合わない上司を説得してでも挑戦し、実績を出していく。そうすれば、逆に上が下に合わせるという形に持っていくこともできるように思います。


「話が違ったから辞めます」とは意地でもいえませんでした。すべて自分の責任です。だからこそ、発展途上にあったヨーカ堂で、自分から次々改革を仕掛け、挑戦していきました。


業績が上がらないというのは必ず理由があるわけでね。一言でいえば変化対応ができていないからです。だから、企業は知恵と工夫で変化に対応していくんです。


消費税還元セールは、1997年に消費税率が5%に上がった時に、私が指示し、始めたことなんです。当時、消費税分5%還元セールをやろうと言ったら、社内ではみんな反対でした。1割引き、2割引きしても何ら売れないのに、たった5%引き程度のセールでは意味がないと言うんですね。ですが、私は人間の心理というものを考え、税に対する嫌悪感を考慮すれば絶対に効果があるだろうと。それでも社内で反対が多いから、北海道拓殖銀行が破綻して消費マインドが下がっていた北海道だけやろうと言って始めたんです。そうしたら、売り上げが前年比160%のアップとなりました。それで翌週から全国にセールを拡大させていったのです。


お客が1万人いたとして、そのうち4000人は安い物を買いたいと。あと6000人の中には、新しい物、もっといい物、多少高くてもいいというお客が必ずいる。ただ安い物だけの提供では、お客一人ひとりに対しても満足感を与えていない。だから不満の人が多い所に対して満足を与えるためには質が大事。


これ心理的なものだけど、人というものは必ず飽きるんです。たから食べ物でもうまいものであればあるほど飽きる。そして新しいもの求める。安さだけでは反応しなくなっている。そういう意味でやはり質のいいものを追求していきたい。


どうやったら新しいものを生み出せるかと聞かれることがありますが、正直、新しいものを生み出そうと思っているわけではありません。ただ、世の中が変化する以上、こちらも変わらねばならない。そして、それをとことん追求すると、自然と先を行くことになる。オムニチャネルだって、お客様の利便性を追求すればこそ生まれた発想です。


現在、特命部隊が川崎市の実験店舗で、既存の概念にとらわれない未来のコンビニ像を模索する試みに挑んでいます。口出しせずに自由にやらせていますが、日販が倍増するなど、成果も出ています。


大ヒットした「金の食パン」は発売したその日にリニューアルを指示しました。金の食パンはおいしさが際立つ商品です。ただ、おいしいがゆえに飽きられる。その前によりレベルアップした商品を投入する。リニューアルは1年間で3回行なわれました。そこまでやって初めて、お客様の支持が得られるのです。


セブン-イレブン・ジャパンを立ち上げた当時、商店街の衰退は大型店のせいだと思われていましたが、実際には時代の変化、つまり売り手市場から買い手市場への変化に目を背けていたのが原因でした。


ビジネスである以上、利益を出すための努力を最大限行ないます。そして、当初は利益が出なかったとしても、利益が出るまで全力で取り組みます。


賃上げも受け取る側の心理に立った施策をすべきです。重要なのは、賃金も経済だけでなく、心理で考えなければならないということです。


給料には社員のモチベーションを高める役割がありますが、それは単に金額の問題ではない。一生懸命頑張って成果を出したのに給料が上がらなければ、モラール(士気)は下がりますが、昇給で同期より、たとえ10円でも高ければ、それは小さな差であっても、認められたことになる。重要なのは納得性です。評価の物差しが明確かどうかです。


セブンイレブン第1号店のオープン時に思ったのは、便利な店というからには、どんな商品構成が良いのだろうかと。だから、当時は生鮮食品やおにぎりや弁当など一切なくて、最初に集めたのは加工食品。あとは鍋や釜などの雑貨関係の商品を取り揃えました。一番初めのお客様が買ってくれた商品はサングラスでした(笑)。便利の内容も時代や社会の変化とともに変わっていかなくてはいけません。だから、今と40年前とでは商品構成がまるで違うのも当然なんです。


伊藤(雅俊・創業者)さんは我慢強いんですよ。まあ、慎重という表現もできるよね。例えば、伊藤さんは、僕がコンビニをやると言ったときも、アメリカのセブンイレブンを買うといったときも反対だった。中国進出も銀行設立もね。何事にも反対したのは、性格ですよ。それでも、反対されたことを僕が何とかものにしてきたから、割合と意見を聞いてくれるようになった。この範囲までやってダメだったら諦めますと、きちっと宣言するわけ。そうすると、じゃあ、まあ、となるんだ。


鈴木敏文の経歴・略歴

鈴木敏文、すずき・としふみ。日本の経営者。セブン&アイホールディングス会長。中央大学経済学部卒業後、書籍取次大手のトーハンに入社。その後、イトーヨーカ堂へ移り、創業者伊藤雅俊の右腕として活躍し、セブン-イレブン・ジャパンを設立。コンビニエンスストアという形態を全国に広め小売業界を激変させた経営者。

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