鈴木敏文の名言 一覧

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鈴木敏文のプロフィール

鈴木敏文、すずき・としふみ。日本の経営者。セブン&アイホールディングス会長。中央大学経済学部卒業後、書籍取次大手のトーハンに入社。その後、イトーヨーカ堂へ移り、創業者伊藤雅俊の右腕として活躍し、セブン-イレブン・ジャパンを設立。コンビニエンスストアという形態を全国に広め小売業界を激変させた経営者。

大切なのは、平均や前年との「相対的な比較」ではなく、あるべき姿の「絶対の追求」です。常に顧客のニーズに徹底して応えることで、収益を最大化していく。その結果として、全体の平均値や前年比が高まっていくという発想を持つべきです。


顧客がどの商品から手に取ったか、「顧客の立場で」数字を見ることが大切です。売り手は「量を多く売りたい」と考えるため、どれが多く売れたか、売れた量に目が奪われがちです。確かに、量で見るのが一番楽です。しかし、売り手から買い手へ視点を変えると別の数字が見える。もの余りの買い手市場では、つねに顧客の立場で数字を見る視点を心がけなければなりません。


私は、一つのことをこう決めたら、次はまたこうしようと、連続的に考えていくので、そんなに悩むことはありません。ダメなら修正すればいい。


私は食通でもなんでもなく、一人の客として、おいしいかおいしくないかを判断します。


私の場合、常に「お客様の立場で」考え、どうするのが正しいのか、その一点で判断します。


既存の常識に染まっていない純粋さ、それが素人の強みです。


常にニーズの変化に対応し、新しいことに挑戦していけば、顧客の支持が得られる。


大切なのは自分の考えをしっかり持ち、その考え方がいつも同じでブレないこと。


上司部下関係の問題も、挑戦していくことによって、初めて乗り越えられる。


何かにしがみつこうとすると、問題が起きても、「なあなあ」で妥協してしまう。それでは、悩みは乗り越えられない。


知恵は無限にあるはずだと信じて、頑張っていくしかない。


変化に対応して、当然のことをやり続ければ規模も大きくなるし、業績が上がるのは当然。


世の中はどんどん変わっていくのだから、変化に対して企業はきちんと対応していくことが重要。


我々は他社のモノマネで来たのではないから強い。


我々は常に時代の変化に対応して生きてきた。創業当初からそういう考えで来た。


人は常に新しいものを求めていくわけですから、売れている商品でも常にリニューアルをし、更に良いものを開発し続けなければならない。


「顧客のために」と「顧客の立場に立って」は違う。子供のために叱っているつもりでも、子供の立場から見たらありがたくない。それと同じ。


顧客の買い方にしろ、社員の働き方にしろ、人間は心理的な動機づけによって行動が変わる。


セブンイレブンのあらゆる活動は顧客のロイヤリティを高めるためにある。高い収益はその結果にすぎない。


現代の消費は経営学ではなく、心理学で考えなければならない。


売り手から買い手へ視点を変えると、違ったデータが見える。マーケティングとは顧客の潜在的ニーズを察知して応えつづけることです。


我々は売り手の発想で、どれが一番多く売れたかに関心が向きがちです。量で見るのが一番楽だからです。しかし、どんなに量が出た商品でも、それは昨日までの売れ筋であって、明日の売れ筋ではありません。POSデータを見るときは、売れた時間(期間)と残った在庫の関係から顧客心理を読まねばならない。そこまで踏み込んではじめて、生きた数字になる。


モノが余り、消費が飽和した時代には一店一店の質が問われます。それには個別に手を打っていかなければなりません。A店とB店とでは周囲の環境も、顧客の数も、競合状態も全部異なります。平均値と比べて高いから大丈夫だ、低いから上げなければならないといった発想ではいつまでたっても店は良くなりません。はじめに平均値ありきではなく、個別に質を高め、結果として全体の平均値が高まっていくという発想が大切なのです。


新しい価値を生み出すため、発案したのが「こだわりおむすび」でした。これはヒット商品になりました。200円近い常識破りの価格のおにぎりをコンビニで買うかと事前に調査したら、誰もがノーと答えたでしょう。それが現物が登場し、従来のおにぎりと一緒に並んでいると価値を感じて手を伸ばす。矛盾していますが、これが消費の飽和時代の価格に対する顧客心理です。


ABC分析がいまでも使える商品もありますが、モノを簡単に買ってもらえない時代には、多くの場合、売れた量のデータだけでなく、数字の奥に顧客心理を読まなくてはなりません。


全体の平均値や他店の数字ではなく、自分の店の絶対値はどこにあるのかをしっかりと見極めることです。どこの店がいいかという相対的な比較は顧客の側がすることであって、店側がすることではない。来店する顧客にどんな商品やサービスを提供すれば、より満足してもらえるのか、各個店が絶対に追求して壁を破ることが重要なのです。


何かと平均値が気になるのは、一番比べやすいからです。何かを説明するとき我々はよく「一口でいうと」という言い方をしたがり、相手も聞きたがります。本当は一口では説明しきれないのに、そうした言い方でわかったような気になる。平均値と比べたがるのも、これと同じようなものでしょう。


コンビニエンスストアで、人口が過疎な地域ながら一日の売上が50万円の店と、人口密度が高く競合もほとんどなく環境に恵まれながら一日の売上が50万円の店とでは、同じ50万円でもまったく意味が違います。平均値は全部足してならしたものです。そんな平均値と比べて、高いか低いかを考えても意味がありません。


7月の冷夏が一転、8月には猛暑になり、店頭では冷やし中華が飛ぶように売れました。ただ、暑い日は冷やし中華が人気商品と思い込んだまま、多めの発注を続けた結果、逆に売上を落とした店もありました。顧客にとっては、いくら暑くても、冷やし中華が続けば飽きます。一方、同じ冷やしめんでも味付けや具材が異なる冷やしラーメンに品揃えを切り替えていった店は売上を落とさずに済みました。暑さが続けば続いたなりに、顧客ニーズの変化に対応しなくてはならない。


顧客がナナコを使うメリットは、小銭の出し入れが不要という利便性に加え、とくに女性客には利用額に応じて貯まるポイントサービスが好評です。ナナコの導入により、どうせ買うなら行きつけのセブンイレブンで買おうという、顧客のロイヤリティ(忠誠度)を一層高めてもらうことができるのです。


我々は結果が数字になって表れると、つい信用してしまう「数字信奉」が強くあります。しかし、変化の激しい時代には、十分気を付けないとみんな数字にごまかされてしまいます。数字のつじつまが合いすぎるのは逆におかしいと考え、突っ込むと問題点がポロっと出て来る。大切なのは、データを記録として見るのと、マーケティングに使うのとではまったく読み方が違うということです。


なぜ商品の絞り込みが大切かといえば、絞り込みによって商品のアピール力がまったく違ってくるからです。本来注目されるべき商品は10個置いたら10個売れるのに、3個ぐらいしか置かないと顧客は見落としていまい、あまり売れません。この商品はぜひ売っていこうと思ったら、しっかりフェース(陳列面)をとることでベストセラーにしていく。それが絞り込みです。


なぜ、世の中の変化についていけないのか。例えて言えば、人間は自分の体臭が自分ではわかりません。同じことは仕事のやり方についても言えます。自分の体臭の中に浸って仕事をしていると、変化に対応できていない現実になかなか気づかない。それは創業以来、市場の変化に対応しようとしてきたセブンイレブンについても同じで、私は非常に危機感を抱いています。


明確なコンセプトのもとで、提供する商品の照準を絞り込んでいく。絞り込みとは別の言い方をすれば、顧客に対してレコメンド(推奨)することです。照準を明確に絞り込むほど、顧客にとって価値がとらえやすくなる。モノが余り、消費が飽和したいまの時代には、顧客が店に合わせて買い物をするのではなく、店の方が顧客に合わせ、レコメンドする価値を絞り込んで提供する必要があるのです。


市場飽和を唱える人たちはマーケットを固定的に見ているとしか思えません。セブンイレブンの場合、住民票の写しや印鑑証明が夜間や休日でも身近な店舗で取得できるコンビニ初の行政サービスを始めるなど、革新的な試みに次々着手しています。近くて便利な店としての利便性はいっそう高まるはずです。決して市場は飽和しない。


マーケットが変化するなら、売り手側も変化しなくてはならない。その際、忘れてならないのは、新たな需要は店の中ではなく、常に外にあるということです。コンビニの店舗というプラットホームの意味を問い直し、いまは店の外にあるが、顧客の潜在的なニーズを掘り起こす商品やサービスを取り込み、照準を絞り込んでレコメンド(推奨)し、新しい価値を続けていく。これを絶えず繰り返していけば、単身世帯や共働き世帯の増加を背景に、新しい市場を生み出していくこともできます。


売上を追う方が楽だが、それは革新性を失うということ。


まずは視点を変え、挑戦する価値があるかどうかを考える。そして、自分の中で6から7割、実現できる可能性が出てきたら挑戦する。


かつての売り手市場の時代であれば、ソニーの盛田さんが言う「おみこし経営」でよかった。しかし、いまはそういう状態ではない。これだけ変化対応を考えていかなければいけない時代には、トップダウンでないと物事を迅速に変えられないからです。ですから、企業が上手くいかないのはトップの責任であると考えています。


顧客の動きを見続けることです。なぜ市場が変わってきているのか、それを顧客はどう受け止めているのかを考えていかなければならない。ところが、人間はたいてい過去の成功事例で問題を解決しようとします。この際、過去の経験は捨てないといけない。


変化に対応するのは簡単ではない。例えば自動車を運転するとき、自分が先頭に立って運転するのは難しいことではありません。自分のペースで運転できるからです。けれども、後からついていくのは結構大変なんです。前の車が信号を通過したとたんに信号が赤に変わるかもしれないし、急に渋滞が始まるかもしれない。相当な技術が必要になります。


先手を打つという言葉があります。しかし、本当に先手なんて打てるのでしょうか?世の中が変わることがわかっていたら、誰もバブルなんか引っかからない。先手を打つことはばくちを打つのと同じ。世の中の変化を至近距離でとらえて対応していくしかないと思います。


価格訴求から価値訴求の時代への移行。バブル時代はお金がどんどん入ってきますから、使い捨ての時代が続き、モノが売れました。安売りが一種のファッションになり、一着5千円とか1万円のスーツが売れたのもこの時代です。しかし、バブルが崩壊して、「安さ」=「価値」ではなくなると、物の価値を意識するようになります。そうした消費者の変化に敏感にならなければいけないのです。消費者も変わり、売れる商品も変わっているということを知らなければいけない。


セブンイレブンは、商品開発、発注、物流、販売のシステム、店舗設備の充実、経営指導、情報処理などをトータルに駆使することによって、売り上げを伸ばしてきました。お客様の立場に立って、変化に対応していくためには欠かせないことです。


トップがどれほど怒っているかということは、やはり唾の飛ぶ範囲で話をしないとわかりません。それでも聞いていない奴がいるのですから。
【覚書き|なぜ東京本社に人を集めるのかと問われての発言】


セブン銀行も一年目、二年目と赤字が続きましたが、ATMの利用状況を横から見ていて、私はいい方向に進んでいると感じていました。それは爆発点の原理を知っていたからです。ATMを設置して採算が合うかどうかに関係なく、全ての店舗に設置し、提携する金融機関の数を増やしながら、チェーンとして利便性を高める。この戦略を徹底したところ、認知度が次第に高まり、3年目を迎えた頃からATM一台あたりの一日平均利用件数が急激に立ち上がって、採算ラインを突破。黒字化を達成したのです。


数値の変化にはある一定レベルに達すると、一気に急増カーブが立ち上がる「爆発点」がある。セブンイレブンも新しい地域に出店しはじめた頃は、一店舗あたりの平均日販の伸びは緩やかですが、その地域での店舗数が一定レベルまで増えると顧客認知度が高まり、日販カーブが急激に立ち上がる。これが爆発点。


世の中が変化しているとしたら、なぜかをとことん追求し、それを客観的にみる。経営者にはこれが重要。間違っても、自分たちの過去の体験に照らし合わせた自分の経験からだけで判断してはいけません。


鍛冶屋さんなら年季が入った方がいいが、消費者のライフスタイルが変わってきている時代、小売商を取り巻く環境には、過去の商売の経験がマイナスに作用することがある。


人の心理というものをきちんと把握していないような商品開発担当者たちの所は落ちている。


よく世間では先見性という言葉を使いますが、私はこれを全く否定します。例えば、為替ひとつとってみても、1カ月先、1年先は誰も分からないでしょう、とするなら、毎日毎日を細かく見続けて、そして仮説を立てて検証し続けるという、ものすごく地味な作業の連続しかないと思うんです。


人がお金を使うのは、それに見合う満足を得るためです。お金で満足を買う。そのとき、商品が媒介することもあれば、サービスが媒介する場合もあります。その満足のあり方こそがここに来て変わってきました。自分はどんなことに満足を感じるのかがハッキリしている人は、買い方の知恵を絞ることもできるのです。


簡単には買ってもらえない買い手市場は、我々売り手にとってはアゲンストの風がひたすら吹いている状態です。しかし、アゲンスト(逆風)の風のときこそ実力が問われ、顧客が本当に価値を感じるものを提供すれば、買ってもらえます。しかし、これは裏を返せば、買い手にとっても同じで、景気後退に値上げラッシュとアゲンストの風が吹いているときこそ、何を買い、何を買わないか、買い方の真価が問われるのではないでしょうか。


株式市場における真実は何なのか、私が株式投資を行って一番実感したのは、株価がずっと上がり続けることはなく、上昇が続いた後には必ず下降に入る。同様にずっと下がり続けることもなく、下降が続いた後は上昇に転じます。


株式投資をする人は、株価が上がっているときは、いつまでも上がっていくものだと思い込み、下がると始めはそんなに下がるはずがない、必ず戻ると考え、それが下がり続けると一転、もっと下がるだろうと弱気になります。これが株式投資家の典型的な心理です。


最近は自由をはき違えたような事件が多いでしょう。昔はみんなが共通で分かっている規律があったけど、それがなくなって価値観や社会がバラバラになった。身勝手を許しすぎたら、結局住みにくい社会になる。だから今は、昔よりも規律が大事になったと思う。


防空壕を掘ってた頃からすれば、自由や平和が当たり前にある時代なんて想像もできなかった。それと同じように、これからもきっと、今では思いもつかない時代が来るはずです。


その業界の経験年数が長いと、風土を変えるのは難しい。バレーボールの選手にサッカーや野球のような別の球技をやらせるようなものだからだ。


大事なのは革新力だ。完全に自己否定しなくちゃならない。日本でセブンイレブンを作る時、当時はスーパーが伸びていたが、絶対にヨーカ堂のMD(マーチャンダイジング=商品政策)のマネをしてはいけないと思った。スーパーはこれから成熟期に入ると思っていたからだ。だからヨーカ堂の人間をセブンイレブンには持ってこず、素人集団でやってきた。


社内的には、9月にグループ幹部を米国視察に行かせたことがひとつのきっかけになった。実際に米国の進んだ部分を見せた方がいい。たった1週間の訪問だったが、一斉に行かせたことで、ひとつのことを皆がディスカッションする環境が自然に生まれた。相当理解が深まったように思う。米国で同じものを見て、同じ釜の飯を食う。これまでグループでお互いの顔は知っていても、ひとつの仕事について議論することは少なかった。今回は強制ではなく、一緒に行って話し合うことができた。


セブンイレブンを作った時も、銀行を始めた時も、業界内やマスコミから総スカンを食った。うまくいくなんて誰も言わなかった。でも私はそれをやってきた。人間は自分の頭の外のことは「無理」と思いがちだ。だが重要なのは世の中の矛盾に気づき、その壁に向かって挑戦できるかだ。成功体験にすがらなければ、人口減も成長の糧になる。それ以外の細かなやり方については、次のリーダーが私と違う手法でも構わない。


ニッセンには時間をかけて築き上げた通販のシステムなど、様々なノウハウがある。セブン&アイにもネット通販の経験はあるが、お互いが持っているものを融合させていくことで競争力を高める。
【覚書き|カタログ通販のニッセンを買収したことについての発言】


ネットとリアルが融合される世界では、これまで以上にリアルの「近くて便利」という価値が威力を発揮する。リアルの店舗の網の目を細かくしていく重要性は、これまでとは異なってきている。例えば、米国のセブンイレブンには米アマゾン・ドット・コムが、宅配ボックスの「アマゾンロッカー」を置かせてほしいと言ってきている。ネットで強力な力を持つアマゾンでさえ、最終的にはリアルの力を必要とする。彼らもそれがなくて困っているのだろう。


これまでリアルとネットは別々に動いていたが、今後はそれを融合させた「オムニチャネル」への対応が絶対条件だ。従来とは違うステージに入っていく。


伸びている企業は、みんなお客様の視点に立って、お客様が欲しいと思う商品を自分たちでつくっている。だから、その時代、その時代にマッチした商品を開発し続けることが大事。


会社が伸びるか、伸びないかということは、もちろんそのときの情勢や運というものに大いに関わってくるけれども、もうひとつ大きいのは謙虚に取り組んでいるかどうかが大事。


お客様の心に訴えるような新しいものを開発した部門というのは衣料でも食品でも全部伸びている。ところが、ただ値を下げたというようなものはなかなか伸びていない。


目の前の道に木が倒れていて、他の人は避けて通ったり、見て見ぬふりをしていても、私はそれをどけないと気が済まない。自分でも損な性分だと思うが、それが自分だから仕方がない。


普通のPB開発は委託先の1社でつくることが多いけど、当社は最高に良いものをつくるためには外部の力を積極的にお借りする。11社で一つのものをつくるなんていう発想は他社にはないと思います


私はイトーヨーカ堂で人事や新事業開発のような仕事ばかりだったから、自分でモノを仕入れたり、レジを打ったり、販売した経験がない。だから別の言い方をすれば客観的に物事が見えたし、格好よく言えばお客様の立場で判断することができた。


石垣のように、基礎からきちっと積み上げているからこそ、上質さと手軽さを両立させた商品を投入し、新たな需要を掘り起こすことができるのです。セブンイレブンの平均日販の高さは、基礎からの積み上げと未来を起点にした発想の産物にほかならないということです。


顧客は常に新しいものを求める。これはわかりきったことのようにも思えます。でも我々は、いったん売り手の側に回ると、顧客の心理を忘れて、過去の経験をもとに同じことを繰り返してしまう。それは、同じことをしたほうが楽だからです。結果、顧客に飽きられる。どの局を見ても同じような番組が流れるテレビ業界などはその典型でしょう。


集中出店は、商品の質や鮮度を高められると同時に、顧客に対する心理的な影響も大きいといえます。地域でのセブンイレブンに対する認知度がある時点からブレークし、売上の力-ブが急速に上がるからです。実際、仙台エリアもセブンイレブンは最後発ながら、今は圧倒的なシェアを持っています。


セブンイレブンの場合、総店舗数は約1万6000店近くあり、日々の生産量は膨大です。弁当やパン、総菜などのデイリー商品の生産を担うのは共同開発するベンダーと呼ばれるメーカーの工場です。その専用工場率は90%以上で、他チェーンとは圧倒的な開きがあります。この高い専用工場率が質の高さを支えているのです。そしてドミナント方式なら、出店エリア近くに専用工場をつくっても経営が成り立つのです。


質を追求し、新しいものに挑戦すれば、リスクもともないます。ただ、顧客ニーズに的確に応えられれば大きな成功を得られる。今の時代、挑戦せず、自ら変化しないほうがむしろリスクが高いと思うべきです。


モノ余りの時代であっても、顧客は常に新しいものを求めます。例えば、ネクタイはなぜ売れるのでしょうか。日本のサラリーマンなら、タンスの中に何十本とネクタイを持っているでしょう。「首に巻く装飾布」というネクタイの本来の役割は昔から変わっていません。それでも、新しい柄が出たり、幅が変わったりすると、また買います。つまり、ネクタイの本質的な役割は「新しさ」にあり、顧客はそれを買おうとするのです。


商品開発には、上質さを追求する方向性と、値段の安さなど、手軽さを追求する方向性があります。上質さと手軽さはトレードオフの関係に見えます。トレードオフというと「二者択一」と訳され、どちらか一方をとり、もう一方は切り捨てるというとらえ方が多いようですが、これは正しい理解ではありません。上質さか、手軽さかのトレードオフの場合、上質さなら上質一辺倒ではなく、そのなかにどれだけ手軽さをちりばめるか、逆に手軽さなら手軽さ一辺倒ではなく、どれだけ上質さをちりばめるか、そこに価値が生まれます。ポイントは上質さと手軽さという二つの座標軸で考え、手つかずの「空白地帯」を見つけることです。すると、どこにもない商品が生まれます。


我々が目指したのは、「どこにもない商品をつくる」ということでした。そのために、「金の食パン」では、大量生産にもかかわらず、手でこねるという手間のかかる常識はずれの工程まで取り入れました。


自社と他社とを比較して、「自分たちの商品は90点、他社は80点程度だから自社のほうが勝っている」と思っても、それは売り手側の勝手な思い込みであって、顧客から見れば評価は大差なく、どちらも70点程度かもしれません。


日本では、来年4月に消費税率が8%へ引き上げが予定され、その影響で消費の落ち込みが予想されています。それをカバーするには消費税が上がった分、値段を安くする発想に傾きがちです。しかし、本当は逆で、財布のひもを緩めるには、より上質な商品を提供するという発想に切り替えるべきなのです。


おいしいものほど続けて食べれば飽きる。だから、飽きられる前により味をよくしたものを投入する。顧客は味が変わったことに気づかないかもしません。飽きずにおいしいと感じてもらえればそれでいいのです。


私はこれまで何度となくチャレンジしてきましたが、少し失敗かなと思うことはあっても、大ヤケドをしたことはありませんでした。それは失敗だなと思ったら修正すればいいわけで、特にリーダーというのは先が読めるかどうかというのが大事なんです。


かつてボウリングがブームになった時、ヨーカ堂にボウリング場をつくろうという話があったけど、絶対に賛成しませんでした。皆が良いと考えるようなものは、すぐに行き詰まるのが目に見えているからです。


一番良くないのが、過去の成功体験で物事を考えるということです。実際、おにぎりやカップラーメンなど、新しくて付加価値の高い商品は、既存の商品よりも高い価格設定でも売れました。


私がよく担当者に怒ったのが、目先の売上を確保しようとしてすぐに安売りに走るなと。安易に安売りに走っていては、いずれ値段をゼロにしなければなりません。


コンビニをやる上で私が言ったのは絶対にスーパーのマネをしてはいけないと。やはり同じような店、同じような商品を並べていたのでは飽きが来る。ですから、我々はすべての仕組みをゼロから構築していかざるを得ませんでした。


現場を回っていますという人は何人もいるけど、そういう人から何かが出てきたことはほとんどない。要するに世の中を見ることが必要なのであって、現場じゃないんです。


顧客は期待した以上の価値を感じて初めて満足する。その期待度は一定ではなくつねに増幅し、以前は「おいしいもの」のレベルが次は「当たり前」になり、やがて「飽きるもの」に変わる。だから、ロングセラーの冷やし中華もざるそばも毎年、レベルを上げる必要があるのです。


顧客はつねに100点満点のレベルを求めます。売り手側がそれを上回る120点の商品を出せば十分満足してもらえます。しかし、顧客の欲望はつねに増幅するため、求める100点満点のレベルは、次は売り手にとって120点の水準に上がります。そこで、140点の商品が提供されて満足するようになるのです。


組織内でつねに緊張感を求めるのは、顧客の心理に対応するためです。顧客は満足より不満足のほうが強く印象に残るため、外れが20%でも顧客はそれ以上に大きく感じる。一度失望されたら、積み上げてきた信頼も一気に失いかねません。失敗したら妥協せずに挑戦を繰り返し、成功しても手を緩めない。緊張感が成功確率を高めるのです。


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鈴木敏文の経歴・略歴

鈴木敏文、すずき・としふみ。日本の経営者。セブン&アイホールディングス会長。中央大学経済学部卒業後、書籍取次大手のトーハンに入社。その後、イトーヨーカ堂へ移り、創業者伊藤雅俊の右腕として活躍し、セブン-イレブン・ジャパンを設立。コンビニエンスストアという形態を全国に広め小売業界を激変させた経営者。

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