遠藤功の名言 一覧

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遠藤功のプロフィール

遠藤功、えんどう・いさお。日本の経営学者、経営者。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授、コンサルティング会社ローランド・ベルガー会長。早稲田大学商学部卒業後、米国ボストンカレッジでMBAを取得。三菱電機、アメリカ系コンサルティング会社勤務を経て、ドイツを本拠地とするヨーロッパ最大の経営戦略コンサルティング会社ローランド・ベルガー日本法人の会長と早稲田大学教授となる。専門は経営戦略論、オペレーション戦略論。

ポイントは諦めないこと、そして当事者意識を持つこと。それさえあれば逆境はいくらでも跳ね返せるはず。


明日がどうなるかも予測できない環境では、スピードと柔軟性が生き残りのカギになる。


現場力を復活させるにはQCサークルの復活など地道な活動で、愚直に現場を鍛えることが肝要。10年単位の長期計画で臨むしかない。


現場が何とかすると考えている経営者は無責任だ。まずは経営者は原点に返って現場に興味を持ち、現場を知ることが大切だ。


現場力を鍛えるのに特効薬はない。現場は例えるなら企業の筋肉。筋肉を鍛えるには地道に筋トレをする以外方法はない。


人はポストで成長するのではなく仕事で成長する。


「現在携わっている仕事より難易度の高いものを全面的に任せ、ギリギリまで追い込み、最後に支援する」。これが人を育てる原則だ。


組織やチームでしかできない仕事をしているからこそ、会社で働くことに価値がある。


特定の「誰」かが言うからやるのではなく、「何々」を大切にするためやるのだという姿勢を現場に意識させることが必要。


今後は消費者に近い店舗で工夫や改善を進めなければ成長できない。


経営資源が無尽蔵にあれば「フォーカス」する必要性はないが、ヒト、モノ、カネが限られていれば、どこかに集中しないと勝てない。


目先の価格ではなく付加価値で勝負するという考えに基づき、自信を持ったビジネスをしなければならない。


すぐに花が咲き、実がなることは稀だ。でも、種を蒔かなければ、絶対に花は咲かない。必ず花が咲くと信じて、動き続けたことが実を結んだ。


逆境を経験するから、人は強くなる。そして、謙虚になれる。真の力をつけるとはそういうことなのだと今は思っている。


仕事とは「壁」そのものだ。壁と感じないような仕事はそもそも仕事などではなく、単なる作業にすぎない。きっちりとした仕事ができるような人間になりたいと思えば、その壁を乗り越えていくしかない。


スピードが遅いビジネスマンは必要とされなくなる。


お金がないのなら知恵を絞ればいいのです。


人気になった仕事は要注意だ。未成熟で、確立していない仕事だからこそチャンスなのであって、「人気稼業」となってからでは競争に打ち勝つのは容易ではない。


どんな仕事であれ、仕事ができる人に共通するのは「好奇心」が旺盛なことである。彼らは自分の身の回りのことからいろいろなことを感じたり、小さな変化に気づく。そして、そこから発想を膨らませたり、新たなアイデアを生み出すことに長けている。


デジタル全盛の時代だからこそ、アナログが武器になる。


悩んでもいいから、常に未来志向であるべきです。


どんな状況でも、まだ戦えるぞというファイティングポーズをとり続けることが逆境の克服につながります。


困難に苦しんでいるとき、人はよく「もうダメだ」と言います。しかし、どんな状況でも100%ダメということはまずありません。どこかにいいところがあるはずです。そこを見つけて、クローズアップすることが必要なのです。そのなかにこそ、事態の打開策があるからです。


社長就任時、「外資系コンサルティング会社の三強の一角に食い込む」という目標を立てました。知名度も実績も皆無の当時、それは途方もない夢でした。いわば大ぼらですね。でも成功体験がないときこそ、大きな目標が牽引力になります。


常に顔を上げ、目標を口にし、やれることをやりきろう。屈しないメンタルをもって、できることの領域をどこまでも押し広げていくこと。それが成功というものだと私は思っています。


頑張っても成果が出ないときは、クヨクヨしたっていい。でも、同時に自分がそもそも何をしたかったのか、目標を思い出してほしい。そして、それを紙に書くなり、口にするなり、とにかく言葉にして外に出す。そうすれば、現在の苦労は目標達成までのプロセスに過ぎないとわかるでしょう。


スマートに少ない労力で大きな成果を得る方法は、所詮表面的な成功しかもたらさないと私は思います。スポーツでいうなら筋肉増強剤のようなものです。本当の強さを得るなら、やはり筋トレが一番です。できることを片っ端からやることは、一見、回り道のようでいて、実は最も実力が身につく方法です。それは同時に、自身や胆力、心の強靭さをもつくりあげてくれるでしょう。


部下に「君にできることは、本当にそれだけか?」と問い続けると、自分のアイデアも活性化します。自分と相手、両方のモチベーションが上がるんです。あとは、それを実践するのみです。その中で道が開け、自分とチームの能力も高いものになっていきます。


「うちの会社は雰囲気が悪いから」と嘆いていないで、まず自分から大きな声で挨拶をすればいい。「うちは知名度がないから」も、口にする人が多いセリフです。10年前、私の部下たちもよく言っていました。それなら知名度を上げればいいじゃないかと呼びかけた私は、知名度を上げるために書籍を出そうと決めました。他にもセミナーを開いたり、ニュースレターを出して若い社員にも記事を書かせたり、考えつく限りのことを実践しました。


「社長があんなだから」「部下が言うことを聞かないから」「あの失敗がまずかった」などと嘆くのは無駄です。他者の人格や過去の出来事はコントロールできない領域ですから。そのエネルギーを、自分ができることに注がなくてはいけません。


仕事には、自分でコントロールできることと、できないことがあります。そして、それをするか、しないかという選択肢があります。コントロールできることを片っ端からやりきる。これが、大きな目標をホラでなくす方法です。


大事なのは目標を口に出し続けること。すると必ず共感者が集まります。志を共にする仲間が増えるのです。我々のもとにいい人材が集まってきたのも、夢を熱く語り続けていたからだと思います。


会社に与えられた目標とは別に、自ら立てた目標を持つことはとても大事です。管理職たるもの、自分のゴールは自分でもたないといけません。目標に対してオーナーシップがあれば、目標に到達すると上の苦労は乗り越えられます。


組織人として、会社の目標を否定することはできません。しかし、滅私奉公になるのもよくないです。できる中間管理職なら、上手に上司を説得して、遂行する業務の中に自分の意志を反映させるでしょう。つまり、会社という場を使って自己実現するのです。


社長就任後の最初の数年は苦しかったですね。知名度がない、優秀な人材は採れない、業績も伸びない。でも、そんなときこそ、明るい側面を強調しました。そんな中、ある世界有数の企業の仕事を縁あっていただくことができました。金額は小さかったのですが、「大した仕事ではない」とは言わず、「あんなすごい会社から仕事をもらったのは俺たちに力がある証拠だ!」と言い続けました。そうした働きかけを続けること10年あまり、いまはコンサルタントの数も100名近くとなり、知名度も業績も急伸しました。


メンタルを鍛えるには、実はフィジカル(肉体)に着目することが大切だと思います。ただ心を強く持てと言われても難しいでしょう?だから、まずは体に働きかける。すると、心も変わります。


私は、自分自身でコントロールできない仕事の結果を失敗とは考えません。本当の失敗とは、自分でコントロールすべきことを、コントロールしなかった結果をさします。


失敗の原因はコントロールできる部分をコントロールしようとしなかった自分の側にあります。本当に失敗したくないのなら、手持ちの中でも一番難しい要素から手に取らなくてはいけません。


新しい仕事に取り組む際、押さえるべき要素をすべて洗い出していきます。この洗い出し作業を怠ったまま仕事をしているビジネスマンは、失敗しても誰に文句を言うこともできません。むしろ、失敗以前のレベルといってもよいでしょう。さらに、必要な要素が出そろった場合、次に着手すべきことは、最も難しいと思う要素から埋めていくことです。これが一番手間を取り、失敗の最大の要因となる可能性が高いからです。


仕事の失敗というのは10個あるピースのうち9つまでをパズルに埋めたとしても、最後のひとつが埋めきれなかったために起きるのです。失敗しないためには、最後のピースを確実に埋めなくてはいけません。新しい仕事に取り組む際、まずパズルを完成させるために必要なピースをすべてピックアップすることから始めるべきです。


忘れてはならないのは、ITはあくまで道具であり、大事なのは使う人間の意識だということです。仕組みを作ったからと安心してしまってはいけません。何を目的として、どう使うかを明らかにする必要があるのです。


強い企業体質へと進化するには、相応の時間が必要です。


経営者は何とかなるだろうと思い、社員も誰かがなんとかしてくれるだろうと思っている。そうした見えないことに流されている企業は、いつの間にか落とし穴にはまってしまうことになりかねません。


企業競争力の源泉は、現場力にあると私は考えています。現場力とは企業の各現場が自律的に問題を発見し、解決する能力です。


どのくらい儲かっているのか社員には知られたくない、というのは経営者のエゴ以外の何ものでもないでしょう。当たり前のことですが、社員が力を出せてこそ業績は伸びるもの。一方的に見られるだけでの環境では、社員の士気が上がるわけがないのです。


営業情報の価値は鮮度にある。ライバルの値下げの動きといった予兆をとらえることができれば、先回りして策を講じることが可能なのです。鮮度の落ちた情報は、腐った果実であることを意識すべきです。


企業の規模がさほど大きくなければ、社内のことは実際に見ることができるかもしれません。しかし、一番見えていないのは、顧客や市場、競合他社の動向など外部の要素です。


通常、人を動かすにはコミュニケーションという手段をとるのが一般的です。必要な情報を与え、行動を促すよう動機づけしていく。こうした一連のコミュニケーションが人を動かし、成果を上げる方法であることは確かです。しかし、人間が行動を起こすのはコミュニケーションを通じてだけではありません。人間は本来、自律的に物事を判断し、適切な行動をとるという能力が備わっています。事実が顕在化し、問題点が明らかになれば、誰に言われなくても必要なアクションをとって対策を講じるものなのです。


営業で大事なのは個人の力に頼るのではなく、組織としての力を高めていくこと。ライバルに顧客をとられてしまったら、その原因をみんなで検討し、解決策を考えなければいけない。学習する組織は、次の一手を俊敏に打てるものです。


営業活動を行っていれば、現場で発生する問題点や事故、クレームや不良在庫、スケジュールの遅れ、案件の不成立など、悪い情報は必然的に生じてきます。こうした情報は本来見せたくないものであり、心理的な抵抗感があるため、放っておくとまず見えません。しかし、手遅れになる前に手を打つには、悪い情報こそ、できるだけ早く発見、共有しなければなりません。悪い情報の犯人探しをしたり、社員に処罰を与えるのは論外。経営者は「早く提供してくれてありがとう」という気持ちで、社員が安心して情報を提供できる環境づくりを心がけるべきです。


私は営業の基本は営業日報にあり、営業日報こそ見える化のための最良のツールだと考えています。ほとんどの企業は営業日報を書かせていますし、最近ではイントラネットなどを活用し、情報として共有する企業も増えてきました。にもかかわらず、成績が上がらないという経営者の声や、書きたくないけど義務だから書くという営業担当の本音も聞こえてきます。せっかくの貴重な情報が活用されない。優秀な営業担当のノウハウやスキルが生かされないようでは大きな損失です。


私は仕事柄多くの経営者にお会いしますが、率直に言って「会社や業務のことは俺が一番わかっているから大丈夫」と、思っておられる経営者が多い。しかし本人は見えているつもりでも、じつは見えていないというケースは想像以上に多いのです。


人間は、情報の8割を視覚から得るといわれているほど、目は重要な感覚器官。行動を起こすとトリガーとなる最も重要な入口です。この目のメカニズムをうまく活用し、情報が目に飛び込んでくる状況をつくってしまうことが、現在多くの企業で重要な課題になっている「見える化」の肝といえます。つまり「見える化」とは、目的を明確にしたうえで、「見せる化」を実行することなのです。


大正製薬の創業者、上原正吉氏は、当時100人ほどいた営業担当の営業日報を毎日FAXで送らせて、それに逐一目を通すことで市場の状況や顧客の声、また売れ筋商品などを見極めていたといいます。


一人一人の部下を丁寧に支援していけば、上司を慕う人が増えてきます。やがてそれは信頼の連鎖を呼び、チーム全体にいいムード、ノリが生まれてきます。ここまでいけば、いうことなし。あとは自動的にものごとが上手く回るでしょう。


苦手な部下との接触を避けて、気の合う部下ばかりに仕事を頼む課長は多いですが、苦手な部下を動かせないようでは管理職失格です。気難しい部下や仕事ができない部下がいたら、「絶好のチャンス」と捉え、積極的に接触しましょう。このような部下の心を動かして、戦力化できれば、人心掌握のための引き出しが増えるし、大きな自信となります。


長野県の優良企業である天竜精機(株)では、管理職のことを「支援職」と言い換えました。課長に求められるのはまさに支援というスタンスなのです。自分が前に出るのではなく、部下を主役にして自分は陰でサポートするというわけです。平社員時代にスタープレイヤーだった人ほど支援の感覚を持てないようですが、課長になったからにはパラダイムの転換が必要です。


部下を支援するためには聞く能力が必要です。部下一人一人とこまめにコミュニケーションをとって、将来の目標や挑戦してみたい仕事、いまの仕事の悩みなどを聞いていく。そうして、個々の考えや求めていることを把握することで、初めて個々の部下に合わせた支援ができます。


課長になると失敗を恐れて創造・変革に及び腰になりがちですが、無難に仕事をしているだけでは、いつまでたっても会社からの評価は上がらないでしょう。決められたことをきちんとこなすことが重要な部署もあるので、程度の差はあるとはいえ、どの部署でも創造・変革が必要なことは変わりありません。


「創る」「変える」「挑む」を成し遂げることは、一人の力では不可能です。多くの人を巻き込んでいく必要があります。


部下を動かすためには、まず上司の方から、部下が求めるものを提供する必要があります。いまの若い社員が最も求めているのは、自らの「成長」です。部下が成長する手助けができれば、信頼関係が生まれ、上司についてきてくれるようになります。もちろん、部下の能力が伸びれば、チーム力が上がり、そのチームのトップである上司の会社からの評価も上がるはずです。


経営者は現場の頑張りに甘えることなく強力なリーダーシップを発揮して、非凡な現場を作る努力を今こそすべき。


筋トレは多くの人が経験していると思うが、決して楽しいものではない。それでも続けることで体力がつく、体調が良くなる、仕事がはかどるなど効果を実感できれば、続けるモチベーションが上がってくる。筋トレをしないと気持ちが悪いというレベルまで達して初めて習慣づけることができる。


日本は島国なのだから、無理に大陸的な発想にならなくてもいい。島国の良さを生かした個性にすればいいと思います。謙虚というのも個性。日本人であることを自分で選んだわけではありませんが、個性を最大化しつつ、外の世界をリスペクトしつつ、私たちは生きていくわけです。


日本の組織は革新的には変わりません。サステイナブル(持続可能)な形で変わっていくしかないのです。


多くの企業は資源配分を思い切って傾斜できていません。できる経営者はそれができています。いまはそうすべき時期なのです。リスクテークできる人でないとCEO(最高経営責任者)の仕事は難しい。無難にやっていてはチャンスをつかめません。過去の成功体験を引きずっている人は、こういう環境に対応できていません。


いまはグローバル戦国時代です。戦国時代に活躍するのは若武者です。若武者が出てこないと勝てないのです。


もっと若い人にやってもらうしかありません。海外でも30代、40代が主戦力になるべきです50代後半の過去の成功体験を引きずった人では、自己正当化に走ります。もっとダイナミックに新陳代謝をしないと。


私は企業にコンサルティングをする際、最近は「ミッション別組織」にするようにアドバイスすることが多い。それぞれの部門のミッションをできるだけ明確にして、シンプルにする。できればシングルミッションが望ましいですね。あれもこれも望むのは、この動乱期には望ましいことではありません。


「権限のない現場、情報のない本社」、これが日本の組織運営を悪くしています。進出先の実情を分かっている現場に は権限がないから、決められない。権限はあるが、肝心の情報がない本社が悪さをしている。この構造を変えていかなくてはいけません。本社は何をするところなのか。現場は何をするところなのか。その役割分担を明確にすることが求められています。


単にモノを売るというより、より大きな価値を提供するためにモノを生かすと考えることが、海外で勝負するためには不可欠。


日本企業の緻密さ、こだわりが生きる領域こそが「戦う土俵」。


競争相手との相対的な関係を見て、自分たちの経営資源が一体どれくらいあるのか、戦う領域をどこまで狭めるのか判断するのが経営者の重要な仕事になる。


わからないことはわからないと正直に言うことが大切です。想定外のときにかぎって、変に格好つけて、薄っぺらいことをいったり、変な口約束をしたりしがちですが、それで信頼関係が一瞬で崩れることもあります。たとえ「そんなことも知らないのか」と相手にいわれても、自信のないことは口にしない。「すぐ調べます。持ち帰らせてください」と対応したほうが、信頼関係は高まるでしょう。


最近、プレゼンや発表などを聞く場で、変な話し方をする人をよくみかけます。オドオドしてちゃんと話せていないのに、すべての聴衆と一生懸命目を合わせようとする。必要以上に声が大きい……。先日は、外国人気取りでポケットに手を突っ込んで、壇上をあちこち歩きながら話している若者がいました(笑)。誰かに教えてもらったのかも知れませんが、表面的なテクニックばかりに走っていては、薄っぺらい人だと思われるだけです。


最も大切なのは、数字やお客様の声といった「ファクト」です。「他社が先行して発売しているライバル商品はこれだけ売れている」「複数のお客様からこういう声が出ている」などといったファクトを示せば、多くの人は、ロジックを滔々(とうとう)と述べなくても、納得してくれます。


ロジックはひとつではありません。一人一人に、その人なりのロジックがあります。ロジック偏重の人は、こういう視点が抜け落ちているのです。


ロジックを組み立てることは、必ずしも悪いことではありません。ただ、「ロジックが大切」「論理的に話すことが大事」ということばかりを意識して、相手のことをまるっきり考えず、自分のロジックを押しつけようとする人が多いように思います。たとえば、商品を欲していないお客様に対して、「他社製品と比べて、品質が格段によくて、価格もリーズナブル。だから、あなたはこれを買わなければ損」というロジックで、買わせようとする。自分にとっては正しいロジックかもしれませんが、相手からみたら自分勝手な屁理屈に過ぎません。にもかかわらず、理詰めでいいくるめようとする……。これでは相手の心を閉ざすだけ。聞き入れてもらえるはずがありません。


話し方というと、「伝える」という言葉がよく使われますが、私は「伝える」意識は捨てるべきだと思います。「伝える」意識が強い人は、相手の都合を考えないで、一方的に自分の言いたいことを押しつけがちだからです。相手の心が開けば、押しつけなくても、自分のいいたいことは自然と「伝わる」もの。まずは「伝わる」状況をつくり出すことを考えたほうがいいと思います。


プレゼンや営業、会議、講演などで、初対面の人の多くは、あなたに対して、心を開いていないはず。その状態のままでは、相手に有益な情報を言ったとしても、聞く耳をもってくれないでしょう。そこで、できる人は、初対面の相手に対しては、本題に入る前に心を開いてもらえる工夫をします。いわばウォーミングアップのようなものです。笑いがとれれば最高ですが、それは普通は難しいですよね。素性がわかるだけでも十分です。


大なり小なり人は思い通りにいかないことを体験し、逆境に晒される。壁にぶつかり、壁にはね返され、無力感に襲われ、打ちひしがれる。大事なのはそこからだ。


小さな予算に合わせた片手間の仕事しかしていなかったら、大きな仕事をもらえるチャンスはこなかっただろう。


小さな予算しかもらえない仕事でも私は手を抜かなかった。時には、予算をはるかに超える数のコンサルタントを投入して、自分たちの仕事ぶりや能力をアピールした。そのうちそれまでに行った小さな仕事が評価され、大きな仕事に結びついた。


もう余剰人員を抱えているだけの余裕はありません。「ぶら下がり社員」を戦力に変えていくしかない。それを断行するくらいの社長が出てきてほしいのですが、実際には社長は諦めてしまって、「ぶら下がり社員」はコストとして、ほかの人間が稼げばいいと思っています。それはよくありません。嫌な仕事でもやってもらって稼いでもらう。CEOはそういう厳しいメッセージを出さないといけません。


日本企業は現場力が突出しているように見えますが、現場力と本社力はワンセットだと思っています。いまは本社力が問題です。本社力が弱いのです。ガバナンス(統治)は利いていないし、会社の方向性が示せない。だから、現場力が浮いて、劣化してしまう。


一番変わらないと思っていた人が変わるのは組織改革にとって強烈です。頑張っていない人を頑張らせることは重要なことです。各部門にぶら下がっている社員を固有名詞ベースで出させる。そうした社員を何に使えばいいかを考える。全社のメッセージとして送っても響きません。経営者は、該当者に直接、「君たちが変われば会社が変わる。君たちはもっとできる」とメッセージを送ることが求められています。


大きなイノベーションを生み出すためには、リーダーの構想力が必要となります。小さなイノベーションを大きなイノベーションに変えていくデザインカ、プロデューサーとしてのリーダーが求められています。


日本からイノベーションが生まれてこないと言われますが、実はひとつひとつは小さくても、こんなにたくさんのイノベーションが生まれている国はありません。例えば、東京駅の大丸の地下に行くと、いろんな弁当が山のように並んでいる。ひとつひとつがイノベーションで、すごいクリエーティビティーです。弁当の山からお客さんは皆、必死で選んでいます。こうした小さなイノベーションは日本の得意技でしょう。現場がすごいエネルギーをかけて作っています。こんな国はほかにはない。「小さなイノベーション」を数多く作れるのが日本。それは現場の人たちが懸命に取り組んでいる。インスタントラーメンやトイレに命をかけている。大きなイノベーションが生まれるに越したことはありませんが、小さなイノベーションを卑下することはありません。


ビジネスの第一線で責任を背負い、一皮むける体験をしないと、本当のリーダーの器になりません。成功しようが失敗しようが、辛酸を舐めるといった経験をするのが日本人には一番いい。若いうちから、できれば30代のうちに子会社の社長をやらせるといったことを思い切ってやることが必要だし、現実的なリーダー育成法だと思います。


MBA(経営学修士)教育ではリーダーは育たないというのが私の持論です。リーダーシップに関する授業はありますが、そういう授業を取っているような人間はリーダーには育たない。リーダーシップは教えられても、リーダーをビジネススクールで育てることはできない。


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遠藤功の経歴・略歴

遠藤功、えんどう・いさお。日本の経営学者、経営者。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授、コンサルティング会社ローランド・ベルガー会長。早稲田大学商学部卒業後、米国ボストンカレッジでMBAを取得。三菱電機、アメリカ系コンサルティング会社勤務を経て、ドイツを本拠地とするヨーロッパ最大の経営戦略コンサルティング会社ローランド・ベルガー日本法人の会長と早稲田大学教授となる。専門は経営戦略論、オペレーション戦略論。

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