茂木健一郎の名言

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茂木健一郎のプロフィール

茂木健一郎、もぎ・けんいちろう。日本の脳科学者、理学博士、コメンテーター。東京都出身。東京大学理学部物理学、東京大学法学部をそれぞれ卒業。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了、理学博士号を取得。理化学研究所国際フロンティア研究システム研究員、ケンブリッジ大学生理学研究所研究員、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチー、東京藝術大学非常勤講師、東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻連携教授、早稲田大学国際教養学部非常勤講師、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別研究教授などを務めた。脳科学についての一般向けの解説書を多数執筆。また、テレビ、雑誌、新聞などのマスメディアで積極的に活動し、様々な社会問題について評論活動を行った。

脳の仕組みは、小さな成功体験の積み重ねが、大きな変化を起こしていくようにできている。


人生に行き詰まったときは、哲学書を開くといい。自分の根っこを再点検するためのヒントが、たくさん詰まっている。


意味ややる気は必要ありません。ただ、目の前のことをやればいいのです。


個性というものは、長所と短所が表裏一体になったものである。


個性において、長所と短所は表裏一体なのであって、良いところばかり、悪いところばかりということはありえない。


何歳になっても、自分が今までやったことがないことに挑戦する人は若々しい。


風を受けて育つ木は強くなる。そう信じて、世間の風圧を楽しむくらいがいい。


世間から褒められるだけの優等生には、破壊的イノベーションはなかなかできない。


現代におけるイノベーションは、旧来のシステムに対して破壊的作用をどこかで持つから、抵抗を受けるのは当然である。新しい技術や、サービスを提案する者は、必ずある程度の誹誇中傷を受ける。


今日という日は、二度と帰ってこない。だからこそ、日々の足元を見直すことが、幸せにつながる。


集中して時を忘れる「フロー」の状態では、頑張っていることは実は嬉しいこと、楽なことである。頑張るということは、決して無理をするということではない。


根拠なき自信を持つことが大切。子供はこの根拠なき自信を持って成長します。赤ん坊がヨチヨチ歩きを始めるときに「僕できるかな?」なんて思わないですよね。自信なんて根拠がある必要はないんですよ。


人というものは、それぞれ、事情がある。仕事に集中できないプライベートの状況がある場合もあるし、何とはなしに不調ということもある。しかし、それらのことは、マーケットの向こうにいるお客さんには関係ない。


いかに前例のなさというブルーオーシャンの中に新しを追い求めるか。ここに、これからのビジネスの成功を考えるうえでのヒントがある。


最先端の場所に身を置かなければイノベーションは起こせない。


学校の勉強ができることと、イノベーションが起こせるかどうかはまた別の話だ。イノベーションに必要なのは、どちらかというと雑学である。学校の勉強ができるだけの「専門バカ」はもうコモディティ化してしまっている。そういう人はお金を払って雇えばいい。


社会人の大半は「時間がないから勉強できない」と思っている。しかしそれは思い込みにすぎない。大事なのはいかに長時間勉強するかではなく、いかに深く集中するかなのだ。


勉強するときも、ひとつのことを掘り下げるよりは、雑多な知識の引き出しを増やそうとすべきだ。僕が「この人は仕事ができる」と思う人は、学生時代に成績がよかった秀才というよりも、「この人、なんでこんなこと知ってるの?」と思うような雑学系に強い人が多い。


「凡人が秀才に勝てるわけがない」私たちはこう思い込んでいる。しかし社会人になってからの勉強次第では、高卒が東大出をさしおいてビジネスで成功するのも夢ではない。


脳の中には「集中しろ」という命令を出す「DLPFC(背外側前頭前皮質)」という司令塔のような部位がある。筋トレと同じで、この神経経路は繰り返し負荷をかけることによって太くなる。つまり一日に何度も集中しようと心がけることで、フロー状態(深く集中した状態)になりやすくなるのである。


年をとってから創造性を発揮するためには、ふたつの条件がある。ひとつは、創造する意欲を失わないこと。もうひとつは、自分自身の経験にとらわれないこと。


笑いも創造性の大切な要素である。ユーモアのセンスを持ってものごとを見ることは、心をやわらかくして、固定観念にとらわれないようにしてくれる。


側頭連合野に記憶が蓄積されるということは、創造するための素材になってくれると同時に、固定観念にとらわれてしまうリスクともなる。例えば、過去の成功体験にとらわれてしまうと、新しいことへのチャレンジができなくなる。だから、年をとって、さまざまな経験を重ねることは、創造性のための素材が蓄えられる、という意味ではいいのだけれども、同時に、意欲を持ち、自分の経験にとらわれない冒険心を持つ必要があるのである。


創造のためには、側頭連合野の素材が、前頭葉に引き出され、活用されなければならない。そのためには、前頭葉を中心とする、意欲の回路が十分に働かなくてはならない。


創造することは、思い出すことに似ている。何かを想起する際には、側頭連合野の記憶が、そのまま前頭葉に引き出される。一方、創造するということはすなわち、記憶が編集され、結びつきを変えて活用されるということである。一見全く新しいもののようでも、実は、側頭連合野に蓄えられた記憶をもとにしている。ただ、結びつき、組み合わせが変化しているので、不連続であるかのように見えるだけなのである。


危機的状況のときほど、部下の緊張を解きほぐしてフロー状態に近づけるためにリーダーはユーモアを活用すべきです。暗い雰囲気のときでも、空気を換えて部下をリラックスさせ、潜在能力を発揮できるよう促すのがリーダーの務めです。


信頼されるリーダーになるためには、ユーモアを武器として上手に使うべきです。中でも自分の欠点をメタ認知し、自虐ネタに変えることは、ユーモアセンスを磨く一番いい方法だと思います。


人に面白いと思われることを言ったりしたりするためにはまず、自分の行動や言動が、他者から見るとどう突飛に、意外性をともなって映るかを知る必要があります。


つらいことや苦しいことは誰にでも平等に降りかかります。ユーモアを持ってマイナスのエネルギーをプラスに変えられる人にとっては「人生のエネルギー問題」は存在しません。日本は失われた10年、20年などといわれますが、私はずっと一人高度経済成長しています。社会がどんな不景気でも、自分の脳はデカップル(分離)して、貪欲に学んでいくことができるはずです。


はたから見て楽観的でエネルギッシュな人と、悲観的で元気のない人。脳の消費するエネルギーを見ると、大して変わりません。元気がない人に足りないのは、エネルギーそのものではなく、自分をフロー状態にするためのユーモアです。


困難なことにぶつかると、当然脳は緊張します。大きな課題を乗り越えるためには、自分をできるだけフロー状態に近づけて、あらゆる視点から解決策を導いていかなくてはなりません。ユーモアを持って脳を前向きにすると同時に、リラックスした状態にすることで、それが可能になります。


笑うと創造力が高まり、良いアイデアも出やすくなります。これはおそらく、笑うとうれしいときなどに出る神経伝達物質のひとつであるドーパミンが分泌され、脳の司令塔の機能を持つ前頭前野を刺激し、フロー状態に入りやすくするためです。


脳が最も創造的になっているのは、フロー状態にあるときです。フロー状態とは、集中しているけれどもリラックスしている状態です。努力することなく自然に、脳や身体が最大のパフォーマンスを発揮できます。私たちは、緊張してしゃちほこばっている状態を「集中している状態」と勘違いしてしまいますが、そうではありません。目指すべきは緊張ではなくリラックスです。


必ずしもいつも楽観的でいられるとは限りません。そんなときでもなお、前向きに明るく、という脳の基本的な態度を育むためにユーモアが重要になります。脳は自己暗示にかかりやすいため、悲観的なことでも面白くとらえ直したり、楽しいことを考えたりするだけで前向きになり、潜在能力の邪魔をしている蓋を外すことができます。


脳の神経回路は、楽観的に物事をとらえていないと、潜在能力を発揮できないようにできています。悲観的なときの脳は、言うなれば潜在能力に蓋をして抑え込んでいる状態なのです。


アイデアを生み出すときに大切なのは「集中とリラックス」のバランスです。アイデアは、基本的に脳がリラックスしている状態でないと、生まれません。脳にはデフォルト・ネットワークと呼ばれる回路があり、脳内をぐるぐる回りながら、何か面白いことがあるとピックアップしてくる働きを持っています。たとえば、何時間も考え抜いた末に疲れ果てて、お風呂に浸かった瞬間「ひらめいた!」となるのが「デフォルト・ネットワーク」の効果です。


企業としては、もちろん本業は大切です。売上もあげなくてはなりません。しかし、すべてが効率優先になってしまうと、結果としてその企業の伸びしろを、自ら限定してしまうことにもなりかねません。


企画会議などで、あらかじめひとつのゴールを想定して進行していくことは大切です。しかし、一方では自由奔放に拡散していくベクトルも必要です。理想的なのは、誰が提案したのかもわからないような議題の立て方をして、皆でどんどん意見を出し合う方法です。イメージとしては飲み会での連想ゲームです。最初はまともな議題だったのに、皆でワイワイ話しているうちに、出発点がどこだったかわからなくなるくらい連想が飛躍するような形です。


大学3年生から一斉に始まる就職活動、この騒ぎを見るたびに「この国は集団発狂しているのではないか」とすら思えてきます。春の田植でもあるまいし、一斉に、しかも新卒のみを躍起になって集める就職戦線は、世界的に見ても全く珍奇な騒ぎとしか言いようがありません。優秀な人材を集めたいならば、そろそろ新卒プレミアム的な幻想は捨てた方が賢明です。合理性は見当たらないのですから。


脳にとっては、言語も一つの運動です。とにかく一度出力しないことには、自分が本当に考えていることや、潜在的な可能性も見えてきません。情報のインプットとともに、アウトプットも恒常的に行わないことには、その考えが真に自分のものとなることはないのです。


トーク・スルー(他人にアイデアを話すことで、そのアイデア洗練させたり新しいアイデアを生み出す方法)のポイントは、生煮えでいいという点です。人に話す前に完ぺきでなければと思う必要はありません。マーケットを把握していなくてもいいのです。とにかくアイデアを人に話すことが重要です。


人間は自分の脳内にどのような情報が詰まっているか、意外と把握していないものです。それが、人に話している過程で浮上してくることもあれば、逆に相手から質問されることで新しい発想に誘導されることもあります。


グーグルのCEOエリック・シュミットは、新規のアイデアを募るために、まずは人の意見を徹底的に聞き取るそうです。30人のアイデアを集めて、そこから取捨選択するのが、彼流の仕事術です。他者というフィルターを通過することで、隠されていた創造性の原石が発見されることは、よくあることです。


創造性を生み出すのに適した作業は、メタファー、つまり隠喩です。日本では、あまり日常的に用いられることはありませんが、欧米では会話においても文章においても、メタファーを駆使できるかどうかが、その人の創造性を判断する決め手となっています。発想を置き換える、その行為こそが創造性と大きく連動しています。


日本はいま、社会的にも経済的にも厳しい状況にあります。従来経済をけん引してきたはずの製造業も、いまは苦しい立場に陥っています。この局面を乗り越えるには、創造性のスキルを身につけることが何より大切になってきているのです。


ビジネスマンにとって必要な資質とはなんでしょう。受験時代までは記憶力が重視されてきました。多くの知識を詰め込み、必要に応じて引き出していく能力です。しかし、いまの時代、単なる情報ならコンピュータで検索収集できます。問題は、いかにして、その集めた情報をアウトプットしていけるか。どれだけそこに新たな付加価値を付け加えられるか。創造性がかつてないほど必要とされる時代になってきました。


私の周辺でも、「あいつは欠かせないな」という人物が何人かいる。そのような人物は、ある特定の問題の専門家であるというよりは、「場」をつくることができる人物だというケースが多い。単純なようだが、宴会のときに注文などを仕切ることができる。話題を絶やさずに、その場にいる人を楽しませることができる。その人がいると、何とはなしに安心で、楽しい。姿が見えないと、あいつはいないのかと探してしまう。そういう人は、必要な人だ。人と人との関係を、潤滑油として触媒することができる。そのような人は、結局、会社に求められる。


これからの会社にどうしても必要な人材とは、「点」にこだわる人ではなく、「点」と「点」をつないでいくような人であろう。逆に言えば、そのようなイメージで自分の能力を高め、人脈を築いていけば、いつまでも会社にとって必要な人材でいられる。


ひとつの仕事を成し遂げるために必要な能力は多様化している。会社の業務がうまくいくためには、それらの要素の組み合わせを、迅速かつ柔軟に設計、実装していく人材が不可欠である。


IT関連の仕事をするためには、コンピュータのプログラム能力があったり、最新の技術を知っていなければならない、というのは単なる思い込みである。実際、世間で注目されるIT関係のベンチャー企業の創業者と会って話していても、ITオタクでない人はたくさんいる。むしろITの細かい点については、「えっ、こんなに緩いのか」「いい加減なのか」と驚くくらいの人のほうが、優れたベンチャー経営者になっているように思う。仕事を進めるうえで必要な能力は、ひとつひとつの「点」にではなく、その「間」にこそあるのである。


自分ができなくても、できる人を知っている。あるいは、誰に任せることができるか判断できる。このような能力は、管理職はもちろんのこと、一般社員でも必要な能力とまっている。


現代の社会は、人々が結びついて、協力しあうことで仕事が進んでいく。以前からそうであったが、特に、インターネットの発達によって、その傾向が強くなった。このような時代に必要とされる人材は、特定の能力に長けていることはもちろんだが、むしろ、人と人とを結びつけることができる人だろう。


立場が違うからといって、コミュニケーション自体を断ってしまうのは愚かである。反対の立場の人との対話を続けることが、プロジェクトの成功に欠かせないことも多い。


知識やスキルは、置き換えることができる。一方、人間関係は、簡単には入れ替えられない。「あいつがいると、チームが何となく円滑に動き、盛り上がるんだよな」というような存在は、会社に一番欠かせない人材であると言える。


人間の脳の使われ方の中で、最も高度なものの一つは、コミュニケーションである。知識やスキルは、人工知能やロボットに置き換えられてしまう時代。関係性や、絆こそが、ビジネスで最も大切な「人的資源」となる。


市場は常にオリジナリティを望んでいる。もちろん、オリジナリティがあるだけでは足りない。その独創性が、人間の普遍的な感情、価値観に訴えかけたとき、大きなヒットにつながる。


僕にも長期的な夢や目標がありますが、とにかく目の前の仕事を誠心誠意一生懸命やる。そして、そのなかで小さな快感(達成感)を得るようにしています。小さなステップを着実にクリアしていくことで、ある時にグンと能力があがり、大きな目標に近づくことがあるんです。


脳を活発化するには弱点を克服したという成功体験を持つこと。私の弱点は人見知り。克服した頑張った結果、いまでは初対面でも普通に対応できるようになりました。


自分の目標がわからなくて悩んでいる若いビジネスマンが意外に多い。そういう人は尊敬できるビジネスマンに会うといいでしょう。そして彼らの本物の言葉に触れて感動することが大事。そうすれば大きな夢を持つことができ、その夢に向かってどうすればいいか、考えられるはずです。


哲学は、人生という樹の根っこのようなもの。根っこがしっかりしていれば、枝葉もしっかりと伸びていく。逆にいくら枝葉のことばかり気にしても、根っこがしっかりしていなければ十分な成長は期待できない。


「やる気」って贅沢品なんです。「やる気がわいてきたから、一気に仕事が片づく」なんて、人生の中でそう起こることではないですから。逆に言うと、いつもやる気がある状態だと疲れてしまいます。そうではなく、やる気がなくてもやれるように習慣化することが大事。


朝型を習慣化するには、やる気が必要なのだと思っているかもしれませんが、習慣にやる気って必要ないんですよ。私は何十年も朝型を続けていますが、朝からやる気満々のときなんてほとんどありません。やる気がなくても、習慣になっているからできているだけです。


もし、ある法則に従ってものづくりをすれば必ずヒットするのであれば、世の中にはもっとヒット商品があふれていそうなものだが、そうでないのは、物事がそれほど単純ではないということを示している。


いわゆる悪い意味での「意識高い系」の学生に共通した問題点は、実力以上に自分を大きく見せようとするところであろう。本当は、長い時間をかけて、粘り強く実力を培うべきなのに、表面だけ取り繕おうとする。その結果、上滑りしてしまう。


スマホは手軽に知への扉を開いてくれるが、同時に「単なる暇つぶしの娯楽を提供する」という麻薬のような側面も持っている。たとえばいま流行のオンラインゲームをダウンロードすれば、いくらでも暇をつぶせてしまう。いわばパチンコ屋的な刺激を与えてくれるものでもあるのだ。一台のスマホをハーバード大学にするか、ただのパチンコ店にするかは、あなたの志にかかっている。


いま日本では「裕福な親の子供しか、いい教育を受けられない」という教育格差が話題になっている。しかしインターネットは万人が平等にアクセスできるものだ。ということは、勉強するかどうかは本人のやる気次第。勉強しようという「志」があるかどうかである。


日本では「インターネットで勉強する」という発想があまりないが、本気で学びたい人にとっては宝の山である。試しにカントの『純粋理性批判』やダーウィンの『種の起原』を検索してみてほしい。原文がすべて無料で読めることに驚くだろう。あるいはグーグルの「Google Scholar」で検索すれば、興味のあるキーワードを入れるだけで論文がPDFファイルで読めるようになっている。ということは、勉強したい気持ちがあるなら、もはや大学へ行く必要はない。僕はインターネットだけで勉強してノーベル賞をとる人も、いずれ現れると思っている。


「まとまった時間がなければ勉強できない」というのは幻想にすぎない。僕はいま、朝から晩までわずかな時間の隙間を縫って何かしら勉強するようにしているが、その結果、いまや瞬間的にフロー状態(深く集中した状態)に入れるようになった。意識の切り替えが素早くできるおかげでストレスとも無縁である。


通勤電車の中で、あるいは注文した料理が出てくるまでの数分間でも、集中して知識を吸収しようと努める。ほんの2、3分でも、累積すればかなりのものになる。また、このようなスキマ時間の集中勉強法は、脳の特性にマッチした学習法でもある。なぜならインターバルをあけて何度もインプットを繰り返すことで、学んだことが記憶として定着しやすくなるからだ。


人間は最高に集中すると雑音も聞こえなくなり、まったく疲れを感じない「没我」の状態になる。このようにリラックスしていながら、なおかつ集中している状態のことを、脳科学では「フロー状態」という。このフロー状態に自分を持っていくのが、多忙な社会人が勉強するときのポイントだ。


自分は若いからまだ大丈夫と油断していると、将来、高齢になってから後悔することになる。脳も体も、鍛えるほど強くなる。若いうちにさぼっていると、加齢とともに、急に衰えがくることもある。


脳の「アンチエイジング」においてもっとも大切なのは、「新分野」に挑戦することである。自分ができるかどうかわからないことに取り組んで成功すると、脳の報酬系のドーパミンが前頭葉を中心とする回路に放出される。ドーパミンが放出されると、脳は喜びを感じるとともに、そのきっかけとなった行動の回路が強化されるという「強化学習」が起こる。


日常の中で、仕事をしたり、勉強をしたりしているときに、ある意味では本番以上のプレッシャーを自分にかける。そのプレッシャーの中で練習していると、本番ではむしろリラックスできる。


頑固な人は、それだけ取れば短所だが、一つのことをやり遂げるという意味では長所である。優柔不断な人は、決断できないという意味では短所だが、さまざまな角度からじっくり考えるという意味では長所である。


自分の長所や短所は、他人という鏡に映って初めてわかる。面と向かって「君はこうだ」と言ってくれる場合もあるし、ちょっとした言葉、仕草、表情に、自分の姿が反映されることもある。


脳も筋肉と似ていて、確実にできることをやっているだけでは成長しません。できるかどうかわからないギリギリのところを成功させて、初めて脳内の回路は強化されます。


脳は、少しでも進歩すると、喜びを感じます。すると、ドーパミンという物質が脳内に放出され、喜びを感じた脳内の回路が強化され、成長するのです。これを「強化学習」と言います。こうした脳の学習メカニズムは、歳を取っても衰えることはありません。だから、いくつになっても脳は成長するのです。


外国を旅した人が、日本の良さに目覚めるように、他者との出会いがあって初めて、身近にある幸せの泉に気付くことができる。


「隣の芝は青く見える」という。他人を羨ましく思うことが、明日への活力につながることもあるし、国全体としての経済成長を促すこともあるだろう。しかし、それがいきすぎると、こだわりや執着を生む。何よりも日々の生活が、「いつか幸せ」になるためのプロセス、手段になってしまう。


幸せとは、「気付く」ことであると、さまざまな研究結果が示している。自分の人生の中の、ごくあたりまえの恵みに目覚めることが、汲めども尽きぬ幸せの泉となるのだ。


小学生の頃、早くできた人から先生に提出する計算問題のテストがありました。1番に済ませようと必死に問題を解いた結果、高い持続力を生み出す原動力になりました。


仕事がデキる人は、コミュニケーション力と、新しいものを生み出す創造性に秀でています。どちらの能力も数値化できない不確実なモノにどう対処するかという判断力や直感が必要。なにが起きるかわからない人生の現場に飛び込むことが必要になってきます。そこで脳の強化学習が必要。


脳の強化学習を支えるドーパミンという物質は、「100%できる」という状態よりも「できるかできないかの不確実」な状況の方がより分泌される傾向にあります。向き合う学習問題が簡単でも難しくてもダメ、ちょうどその中間あたりの学習をすることで脳が活性化されるのです。つまりドーパミンが分泌されるような学習法がベスト。


「朝起きられない」という人は、話を聞いてみるとほとんどの人が部屋を暗くしたまま起きている。これは良くないですね。まずは朝起きたら、部屋の明かりをつけるか外光を浴びる。できれば太陽の光がいいです。理由は太陽光の波長が脳の覚醒スイッチを入れるのに効果があるからです。脳は環境の変化に非常に敏感。朝、目を覚ましても部屋の中にいると、「これはまだ休んでいてもいいのかな」という判断をしてしまいます。反対に、外に出ると「もう朝だ。目を覚まさなきゃ」と脳が判断するので自然に目覚められるのです。


習慣化させるということを難しく考えすぎなのです。たとえば何か勉強するにしても、最低でも30分はやらなければと考える人は多い。でも、5分でも1分でもいいんです。英単語を一つ覚えるなら1分でできますよね。1分やれば脳の活動としては十分。1分単位でものを考えると、ハードルが下がりやれることがたくさんあることに気づくでしょう。


1日のワークスケジュールは、ハンググライダーをイメージしてもらえばいいと思います。朝起きた瞬間が飛び立ったときで、そのときが一番高いところを飛んでいます。つまり朝はトップスピードで仕事をこなしていくわけです。そして時間の経過とともに降下していくグライダーは、夕方に向かうにつれて仕事の効率が落ちていくのと同じ。このようなイメージでスケジュールをこなすのが脳科学的にも理にかなっています。


私たちは日中の活動を通して、目や耳から様々な情報を得ています。その情報は大脳辺縁系の一部である海馬に集められ、短期記憶として一時的に保管されます。その後に、大脳皮質の側頭連合野に運ばれますが、この段階では記憶は蓄積されているだけです。睡眠をとることで、記憶が整理され長期記憶へと変わります。すると朝の脳は前日の記憶がリセットされるため、新しい記憶を収納したり、創造性を発揮することに適した状態になります。この脳の仕組みが、朝の時間がゴールデンタイムだと言われる理由です。


なぜ、ヒット作の法則を見出し、事前に予想することが難しいのか。根本的な原因は、「ヒット」の背景に、人間の脳に「新奇性選好」という性質があるからだと考えられる。人間は、今までに見たことがないもの、「新奇性」があるものを好む。生まれて初めて見るものに対して、脳のドーパミンなどの報酬系は特に強く活動する。ヒット作の背後には必ず、この「今までに経験したことがない」という要素が存在する。


茂木健一郎の経歴・略歴

茂木健一郎、もぎ・けんいちろう。日本の脳科学者、理学博士、コメンテーター。東京都出身。東京大学理学部物理学、東京大学法学部をそれぞれ卒業。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了、理学博士号を取得。理化学研究所国際フロンティア研究システム研究員、ケンブリッジ大学生理学研究所研究員、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチー、東京藝術大学非常勤講師、東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻連携教授、早稲田大学国際教養学部非常勤講師、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別研究教授などを務めた。脳科学についての一般向けの解説書を多数執筆。また、テレビ、雑誌、新聞などのマスメディアで積極的に活動し、様々な社会問題について評論活動を行った。

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