猪瀬直樹の名言

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猪瀬直樹のプロフィール

猪瀬直樹、いのせ・なおき。日本の作家、政治家。長野県出身。信州大学人文学部経済学科卒業後上京。出版社勤務などを経て、明治大学大学院政治経済学研究科政治学専攻博士前期課程にて日本政治思想史を研究。ビル清掃員、国鉄労働組合書記等を経て作家となる。『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞、ジャポニスム学会特別賞受賞を受賞。『日本国の研究』で文藝春秋読者賞を受賞。行革断行評議会委員、道路関係四公団民営化推進委員会委員、地方分権改革推進委員会委員、東京大学大学院人文社会系研究科客員教、国際日本文化研究センター客員教授、東京工業大学世界文明センター特任教授、石原慎太郎知事の下で東京都副知事などを経て東京都知事に当選した。

先入観を持たず、素直に「あっ、面白そう」と思えたかどうか。その感性が大事。


普段はニーズがなくても、それを必要とする人は必ずいる。


急激な変化の時代、みんなと同じものを目指さなくたっていい。むしろこれからのビジネスマンに求められるのは、他の人とは違う、自分だけの才能を磨くこと。


自分の得意とする分野なら、人は積極的に関わってくれる。周りから協力を得られない人は、相手の適性を無視して頼んでいる可能性が大。


現在のようなスピード優先のビジネス環境では、じっくりと人間関係を築いている余裕はない。人間関係ができていなくても、いかに人を動かせるかが重要。


自分のキャリアに傷がつく恐れがある仕事にも、果敢にチャレンジする。その姿勢が逆に自分のキャリアを築くことにつながる。


失敗する確率が高そうな仕事でも、過去の事例をヒントにすれば、きっと打開策が見つかるはず。まずはそう信じて自分の体を動かすことが、最初の一歩。


毎回、簡単なテーマを設定することが大事。毎回テーマを持つと、マンネリ感がなくなっていつも新鮮な気持ちを保てる。


相手の心を動かすには、駆け引きやテクニックは必要ありません。大切なのは、相手の心に響く言葉が自然に出るかどうか。


動く気のない人を無理に動かそうとするのは時間のムダ。それよりも、動かしやすい人から攻めていったほうがずっと効率的。


挑戦する価値があるのは、最初は周りが反対するような斬新な提案。「慣例だからダメ」といった空気の壁を破ってこそ、ビジネスマンの評価が高まる。


大切なのは、逆風のなかで空気に流されずに自分の意見を主張し続けられるかどうか。それを貫ける人こそが、優れた人材。


流行は常に未来からやってくるもの。過去の経験だけを見て判断していては、ヒット商品は作り出せない。


自分に理解できないからといって目を背けていては、新しいものは生み出せない。


作家だってビジネスマンと同じ。どんなに優れた作品を書いてもアピールしなきゃ、埋もれちゃうんだから。


似たような種類の仕事はひとかたまりにしてスケジュールを組むと、集中力が持続して効率的に予定をこなせる。


同じことを繰り返しているだけでは経験も増えない。経験が増えなければ成長もストップする。


組織の歯車になっちゃダメ。歯車を動かす存在にならなきゃ、どこの会社に行っても、どんな仕事をしても、使い減らされちゃうんだよ。


大丈夫。キミなら絶対にこの苦境を乗り越えられる。なぜなら、これまでさまざまな困難を越えてきたからこそ、いまここにいるのですから。


どんなに苦しい状況でも、「自分なら必ず解決できる」と、ムリやりにでも思い込む自信がなかったら、仕事は見つからない。


横にプロジェクトチームをつくることが重要です。縦の組織に対して、どうやって横串を刺すかが重要な組織運営の在り方。


経済の主役は民間ですから、あくまでも行政というのはキャッチャーで、きちんと民間がプレーしやすい環境をつくっていくべきだ。


カネはかけなくとも、ハードとソフトが一体となった発想で、新しい市場は創れる。


自信を持つということが大事であり、目標があれば自信が持てる。


プレゼンや交渉の場において、数字による裏付けは強力な武器になる。その意味で、数字を読み解く力はビジネスマンに必須の能力。


大人には理解しがたいからといって若い感性を無視している人に、未来は見えてこない。大人が新しいものを生み出すには、若い人をフィルターにして未来をのぞくしかない。


仕事をスムーズに進めるためには、周囲の協力が欠かせません。それには、自分の仕事の成果をみんなにわかりやすい形で確認して、実績として認めてもらうほかない。


一見して難しいと思えることでも、視点を変えてみれば、自分の能力や経験値、持ち時間の範囲内でできる解決策があるはずです。それを考え出すには、「できない、どうしよう」というネガティブな思い込みを捨てる頭の切り替えも必要でしょう。


よく、「準備が足りません」と言い訳する人がいますが、準備が足りないのは当たり前。準備があり余っている人などいません。準備不足のギリギリの状態のなかで、どうやって事態を切り抜けるかを考えることが大事だと思います。


「時間不足で練習できなかったから、完走できませんでした」というのは、言い訳にしかならない。何事も結果がすべてです。


冷静さを失う大きな要因は、焦りです。焦ればパニックに陥るし、そうなったら最後、冷静さを取り戻すことは非常に難しくなります。


上司に叱られたとき、落ち込んだり、反発したりするのは、小さい自分にこだわっている証拠。小さな自分のプライドが邪魔して、上司からの注意や助言に対して素直に「あ、そうか」と思えない。僕からすれば、「あなたにはそこまでこだわる自分があるの?」といいたいですね。


普段の仕事においても、納期までに仕事を終わらせたり、期日までに物事を決めたりするには集中力が必要です。徹夜してでも、「今晩中にやっておかないとマズイ」という状況もあるでしょう。何事も結果がすべて。それに向けて集中すれば、おのずと心の乱れは消えていく気がします。


震災時など想定外の事態に直面すると、既存のルールでは対応できないことばかりなので、何を基準に行動すべきか迷いが生じます。そこで私が心したのは、危機対応でもっとも大事である人命と、人々の安全を見極め、そこに意識を集中させること。そうすることでひとつひとつの物事に優先順位をつけ、走りながら決断し、対応していったのです。


集中力を研ぎ澄ますことで、不安や迷いといった雑念をふり払い、目の前の事態に向き合いやすくなります。


誰かに文句をいわれるからやるとか、締め切りに追われているからやるのではなく、自分が主導権を握り、自分で決めて物事に取り組むことです。そのようにして、やるべきことや決めるべきことのひとつひとつに決着をつけて、自分の状況をコントロールしておくことが、心を冷静に保つための秘訣でしょうね。


若いころ、原稿の締め切りに遅れそうになり、焦って集中力を欠くという悪循環に陥ったことがありました。一度締め切りに遅れてしまうと、それが次の原稿の締め切りにも悪影響を及ぼし、まるで雪崩のように段取りが崩れてパニックに陥るのです。二度とこんな経験はしたくないと思って、それ以降は、前倒しで仕事に取りかかるようにしています。前倒しで進めることで、心に余裕をもって仕事に取り組むことができる。だから、週刊誌の連載の原稿は一度も遅れたことがありませんでした。


昨今の教育では歴史をあまり教えてこなかったこともあり、若い世代は歴史知識に乏しい傾向にあります。いまのように尖閣諸島の問題などが起きていても、歴史的背景を知らなければ、それに対する意見ももち得ないでしょう。これからの世の中を強く生きるには、自国の歴史を知り、己のよりどころとすることも必要なことだと思います。


自分たちは何者なのか、いま一度ふり返ってみるとよいと思います。自分が何者かを知ることこそ、己のよりどころとなるからです。それには歴史の知識が役立ちます。過去から現在まで続く時代の流れのなかで、自分たちはどこに位置しているのか、歴史軸にピン留めすることで自分たちのことをより理解することができるからです。


平常時に冷静に事態を切り抜けられる人は、緊急時でも同じ対応ができます。なぜなら、緊急かそうでないかが問題なのではなく、普段から事態を切り抜けようと努力していることが大事だからです。普段から「○○だからできませんでした」と言い訳している人が、緊急時の大一番で力を発揮できるはずがありませんからね。普段からの習慣が緊急時の対応に表われますから、常日頃から困難なことを避けずに、場数を踏んでおくことが大事ですね。


事態が刻々と変化する震災のような状況下では、あれこれ思い悩んでいる時間はありません。ときには、すべての情報が集まるのを待たずに動き出し、その都度軌道修正していくことも必要です。


事態をどうやって切り抜けるかという意味では、緊急時も平常時もやるべきことは同じです。土壇場を切り抜けるための解決策を考えようとすることで、一歩ずつ前に進んでいくことができるのです。


近年の日本人のメンタルが弱くなったとすれば、歴史をあまり教えなくなったせいではないか。


いつまでも愚痴をこぼしていても仕方がありません。そこでいかに頭を切り替えて、不本意な状況でも「何かいいことがあるかもしれない」と思って、新天地を見つけられるかどうか。これが、どんな状況でも心を乱さない、ネガティブな感情に引きずられないためのコツですね。


上司から叱られるとすぐに落ち込んだり、不機嫌な顔をする人がいますが、叱られたら「あ、そうか」と気づくことが大事。叱られるには叱られるだけの理由があり、部下のことを考えている上司なら「お前のこういうところがよくない。こうしてみたらどうだ?」といった助言があるはずです。なぜ叱られたのかを考えて、自分の間違った考え方や行動を改善する方向に目を向けられる人が、平常心を保てる人ですね。


先入観を壊すには、言葉の使い方をプラスに変えるのもひとつの方法。これがすべてのものごとに対してできるようになったら、しめたもの。目の前に広がる世界は、ガラリと変わるはず。


数字の表面だけをなぞっても、次のヒット商品は予測できません。市場環境はどう変化しているのか。他社の動向はどうか、そうした背景の知識があってこそ、数字が持つ本当の意味が浮かび上がり、現場で活きる知恵がわく。


諦めたらそこで終わり。たとえ周りから認められなくても、誰にも負けないものを何か一つ持っていれば、いつか必ず日の当たるときが来る。そのときこそチャンス。そのときを信じて、自分の強みを磨き続けることが大切。


原則的に、仕事はすべて周りに任せるつもりで割り振ってください。自分が抱えられない部分を周りにカバーしてもらうのではなく、周りができない部分を自分がカバーしつつ全体をコントロールする。これがリーダーの役割。


人には得意な仕事とそうでない仕事があります。それを考慮しなかったら、積極的に取り組んでくれるわけがない。相手の適性を見極めたうえで、それに合った仕事を振れば、たとえ深い人間関係が築けていなくても進んで協力してくれるはず。


会社は、難しい仕事ほど優秀な人材の力を頼ります。ダメな社員は最初からアテにしません。だから、避けられないお鉢が回ってきたときは、ビジネスマンとしての真価が問われていると思ったほうがいい。


成功の糸口が見つからないのは、頭だけで解決しようとしているから。知恵がなければ、汗をかいて突破口を探せばいい。その手間を惜しんでいる限り、不可能はいつまでも不可能なまま。


ベストを尽くしても失敗するケースはある。しかし、恐れて逃げ回っていては、周りからの信頼を失うだけ。あえて火中の栗を拾う覚悟を持つ。どんな試練も必ず自分の糧になる。そう信じて、腹をくくれば道は拓ける。


モチベーションを保つコツのひとつは「記録」です。記録すると自分の成長を定量的に把握できる。今日は何キロを何分で走ったのか、具体的な数字として把握すれば、自分の成長の度合いが目に見えて、次は上のレベルを目指そうと頑張れるのです。


成果に若干のバラツキがあるのは仕方ないにしても、悪いときに合格点を下回る人は決して一流にはなれない。苦しいときでも最低限の合格レベルを維持できるかどうか。そこが一流と二流の差。


締め切り、納期、納品、アポイントメント、出社時間……。これらの時間について、多少は遅れても問題ないと考えるのはいかにもアマチュアの発想。一流のビジネスマンは、時間を確実に守ることの大切さをよく知っています。


安定感こそが一流のビジネスマンの最大の条件。納期やアポイントも同じです。約束にほんの5分遅れただけで、実害がなかったとしても、周囲には不安感をまき散らすことになります。こういう小さなことに配慮できない人は、まず成功しないでしょう。


誰かを動かそうとするあまり、目の前の人しか見えなくなっている人は多いかもしれない。でも、目の前の人にこだわらなくても、別の人を攻めることで早く同的を達成できることもある。人を動かしたいときは、意識的に視野を広げて、まず誰を動かすかを考えるべきです。


ハナから買う気のないお客さんに対して、セールストークを連発して相手の心を動かそうとしている営業マンがいますが、あれは典型的なダメな例。デキる営業マンは、その間に見込みのあるお客さんにアプローチして、より多くの契約を取っています。


空気を変えるときは、若い人たちを味方につけろ。部長とか常務といった肩書きのある世代は、しがらみがあるせいで、正しい意見を正面からは言えないことがある。その点、20代30代はしがらみが少ないので、正しいことは正しいと、自由にものが言える。


1人目の味方は、論理とデータで説得していくべきです。1対多数の場合は空気にはね返されてしまうことがありますが、1対1では、論理とデータで攻めたほうが相手を納得させやすいのです。


場の雰囲気に流されて、主張を曲げてしまっては、いつまでたっても新しい提案は通りません。そもそも、最初からみんなに歓迎されるような企画は、わざわざ自分が言い出さなくても、これまでにも誰かが提案していたはずです。そんな二番煎じなど、ビジネスとしての価値は低い。


「若い人が作り出した流行はレベルが低い」「大人だから流行に飛びつくのは恥ずかしい」という思い込みを捨てること。それだけで、流行の中にある次の時代の片鱗を見つける感性が養える。


新しい現象が出てきたら、アタマで判断をくだして否定する前に、まず試してみる。たとえば話題の新商品があったら、実際に買って使ってみる。人気のスポットがあったら、ひとまず足を運んでみる。こうやって自分から流行の中に入れば、新しい何かが見えてくるはず。


一般論としては、朝のほうがいいのでしょう。しかし、それが万人に通じるとは限りません。少なくとも僕の場合は、夜のほうが効率的に勉強できた。巷には脳の働きをよくする勉強術や思考法があふれていますが、盲信するのは危険。実際に試したうえで、自分に合ったやり方でいくべきです。


「頑張ったのに上司に認めてもらえない」と嘆くビジネスマンもいますが、そういう人にかぎって、自分の成果を確認してアピールする作業を忘れている。黙っていてもわかってくれるというのは、評価される側の甘え。


わかっていないなら、わからせる。それが自分の評価を高める唯一の方法。評価は自分ではなく周りの人が決めるもの。自分にできるのは、周囲に認めてもらう工夫をすることです。その努力を放棄して、「上司は何もわかっていない」と不満を漏らしたところで、何の解決にもなりません。


すべてにわたって効率最優先という人は要注意。時間には、「なくすべきムダ」と「なくしてはいけないムダ」があります。この2つの違いを無視して何でも排除していると、長い目で見たとき、かえって仕事人生をダメにする恐れがあります。


ときには、あえて時間をムダにしてもいい。たとえそのときには意義を感じられなくても、マンネリから脱して自分の経験の幅を広げることができれば、それは必ず将来の糧になるはず。


効率を追い求めるあまり、チャレンジまで削ってしまうと、人生はやせ細る一方です。それは仕事においても同じ。ムダをなくすことは大切ですが、ムダを恐れて新しいことへの挑戦までやめてしまうと、永遠に進歩しないままです。


日本が経済大国に発展した背景には、働く人たちの心に「お天道様が見ている」という感覚があったからです。そばで人が見ていなくても神様が見ていると思うから、たとえネジ1本締めるにしても絶対に手を抜かない。その結果、品質のいいメイド・イン・ジャパンが世界を席巻したのです。


タブーの根源には、神や自然といった超越的な存在への畏れがある。わかりやすくいうなら、「お天道様が見ている」という感覚。それが失われると「なんでもあり」の混沌とした社会になってしまう。


報酬を意識しながら仕事をすると、「もう給料分は働いたから、このくらいで切り上げよう」という発想になりがちです。ですから、いったん給料のことは脇に置き、目の前の仕事に全エネルギーを注いでみてください。


売上が落ちて窮地に追い込まれたとき、ごまかしに走るか、逆に仕事の質を上げようと努力するか。ここで明暗は大きく分かれる。「こんなもんでいいか」と妥協したら、この不況下ではすぐに淘汰される。


どんな優秀な人でも、ミスを犯すことはあります。が、実力が問われるのは、そのあとの対応です。ただ「すみません」と謝るだけの人は三流。セカンドベストでその場をしのごうとするのは二流。全体を見渡して、最善の策を講じられるのが一流。


「大丈夫、オレならできる!」メゲそうになったら、自分で自分を励ましましょう。これを毎日100回唱えれば、言葉の力で元気が出てきます。さあ、顔を上げて、前進あるのみ。


オーナー社長は簡単に意思決定ができます。しかしオーナーから何代も経たサラリーマン社長がいる会社がほとんどですから、意思決定をいかに行うかというリーダーシップは非常に重要。


重要なのが言葉の使い方。いくら「面白そう」と思っても、頭でそれを打ち消しては、行動に移せないからです。みなさんは、「35歳過ぎたら転職はムリ」「小さい会社だから大手に勝てない」といった言い方に慣れてしまっていませんか。それを「35歳だからこそできる転職もある」「小さい会社だからこそ勝てる分野がある」と、言い換えてみてください。なんとなく、新しいものが見える気がするでしょう?


僕は、未体験の物や情報、現象に出会ったとき、「ノー」ではなく、まず「イエス」から入ることを心がけています。人は未知のものに出会うと、否定的な反応を示して、これまで自分が積み重ねてきたものを守ろうとします。しかし、最初から拒絶すると、新しいものに対して正しい評価を下せません。そこで一度、アタマの中のバケツをひっくり返して水をぜんぶ捨て、新しい水を入れてみるのです。そのうえでやはりおかしいと思ったら、否定すればいい。このプロセスを踏まずに「前例がない」「どうせムリ」と思っていると、いつまでたっても固定観念に縛られたままです。


数字の読み方にはいくつかコツがあります。まず必要なのは数字の単純化。たとえば101という数字があったら、「100という大きなおにぎり」と「1という小さな米粒」といったように、自分にとってわかりやすい単純化したものに置き換えて、全体をざっくり把握します。ケタが増えたり端数が細かくなっても、同じ。数字そのものではなく、イメージや立体としてつかみとります。数字がたくさん並んでいる資料も、こうして単純化すれば、数値がどのような推移で動いているのか、数字同士がどのような関係にあるのか、シンプルに把握できます。


本当に強いのは、同じタイプの人材ばかりで固められた企業ではありません。みんなが同じ発想しかできない会社は、イザというときに脆い。会社が困ったとき、何か新しいことを始めるときなど、ここぞというときに独自の力を発揮するニッチな人材がいてこそ、時代の急激な変化にも柔軟に対応していけるんです。


仕事を依頼をするときは、アウトプットの目標を明示するのも大切。「資料を作ってほしい」という漠然とした言い方では、要点をまとめた1枚の資料でいいのか、それとも詳細なデータが揃ったものでいいのかよくわかりません。その結果、相手は作業負担が多い分厚い資料を思い浮かべ、逃げ腰になる。相手が悪い想像を膨らませる前に、こちらの求めるレベルを示さないと、即座に断られるハメになります。


やってほしい作業は、過去の成功事例の洗い出しです。新規事業はゼロから構築するものだと考えがちですが、そんなことはありません。いま成功しているビジネスの多くは、既存のアイデアを取り込んで発展させているものがほとんど。他の業界のやり方を、自分の業界に応用したり、すでにあるAという方法とBという方法を組み合わせたり……。こう考えれば、これまでの自分の過去の成功体験や他業種の事例が参考になるはず。


我流で通用するのは中級レベルまで。その先に進むためには、一見遠回りに見えても、基本を固め直すことが近道。仕事がうまくこなせないと悩んでいる人は、もう一度、基本に立ち返ってみてはどうでしょうか。お客さんのニーズ、それに対するサービス、アフターフォローなどを再点検し、適切でないものは学び直してみてください。


営業マンにも、カンがよくて最初からそれなりに成績を出せる人がいます。しかしそういう人ほど、ある一定のところまでいくと成績が頭打ちになってしまう。伸び悩むのは、カンに頼って基本を学ばなくなるからです。我流では、結局は、基本を固めて実力を蓄えてきた人に追い抜かれてしまいます。


物事を継続するために重要なのは「技術」をマスターすること。技術を知らないまま何かを始めると、つまずいたときに「どうせ自分には向いていない」という思いが湧いてきて、すぐにやる気がなくなります。しかし、それは間違い。単に正しいやり方を知らなかっただけの話なのです。やり方さえちゃんと覚えれば、一見、難しいようなものも必ずできるようになります。とくに大切なのは基本的な技術です。


期日どおりに仕上げて80点の仕事をする人と、期日に2日遅れても200点の仕事をする人。どちらが優秀なビジネスマンだと思いますか。じつは、これはひっかけ問題。そもそも期日を2日も過ぎて200点の仕事なんてありえません。たとえ中身が優れていたとしても、期日に間に合わなかった時点で大きな減点。プロの仕事としては、せいぜい50点の評価がいいところ。


上司に企画をプレゼンするとき、あるいは部下に何かを依頼するとき、あなたは借り物の言葉で人を動かそうとしていないだろうか。誰にでも通用する万能の殺し文句なんてありはしない。そんなものに頼るより、きちんと相手に関心を持ち、感じたことを自分のありのままの言葉で表現する。それが、相手が心を開く第一歩になるんじゃないかな。


おべっかやお世辞の言葉では、けっして人は動かせません。つけ焼き刃の一言葉は、すぐにメッキがはがれてしまい、逆効果になる恐れもある。相手の心を動かそうと思うなら、まず相手に対する興味や好奇心を持つべきです。そうすれば、どこかにおもしろいと感じたり、なぜだろうと疑問に感じる部分が出てくるもの。そこから自然に発せられた言葉なら、必ずしも褒め言葉じゃなくても人の心を揺さぶるはずです。


いきなり全体の空気を変えようとするのではなく、まずは1人の味方を作る。そうすれば空気の支配力が弱まり、さらに味方が増やしやすくなります。1人また1人と仲間を増やして半数までいけば、こっちのもの。もともとなんとなく反対していただけの人は、風向きが変わったことを敏感に感じ取り、風見鶏のようにコロッと態度を変えます。


本当は、誰でも若いときは時代を敏感に感じ取るアンテナを持っていたはずです。ところが、大人になるにつれて経験が積み重なってくると、前例主義に陥って、新しいことに挑戦して失敗するリスクを避けるようになる。経験を積むのはいいことですが、多くの人は新しいものを排除していくうちに、感性が摩耗してしまう。じつにもったいない。人はもっとミーハーになって流行を追うべき。


脳の動きをよくするキーワードは「貪婪(どんらん)な探求慾(たんきゅうよく)」。貪婪な探求慾とは、本能に近い好奇心のようなもの。人間の脳は、脳神経細胞(ニューロン)同士が結びついてネットワークを形成しています。刺激を与え続ければ、いくつになってもニューロンは成長することがわかっています。では、どうやって刺激を与えればいいのか。そこで役に立つのが貪婪な探求慾です。子供は目につくものすべてに好奇心を持ち、「なぜ?」「どうして?」を連発します。それと同じように世界を眺めることで、脳には刺激となるのです。


なくしてはいけないムダの中でとくに意識してほしいのは、「新しいことへのチャレンジ」です。従来と違うことを試すと、結果が出なかったり、手間や時間が余計にかかったりします。でも、それは意味のあるムダですから、排除してはいけません。新しいことへの挑戦をやめるとマンネリや停滞を招き、モチベーションを低下させます。


アポの予定が散らばっていると、そのたびにウォーミングアップとクールダウンを繰り返すことになりますが、これが積み重なると大きなムダになる。なるべく同じ日の近い時間帯に固めれば、テンションを維持したまま一気に予定をこなせます。相手の都合があるのですべて思い通りにはいきませんが、自分でコントロールしたいという意識を持つだけでもかなり違うはずです。


僕はダラダラとした会食を防ぐために、帰る予定時刻の30分前に話の締めに入ることを意識しています。早めに場をクールダウンさせれば、たいていは予定通りの時刻に切り上げられる。ギリギリになって、いきなり「次の予定があるので」といって席を立つより、相手の印象もいいはずです。聞きたかった情報をその時点で入手していなければ、残りの30分で聞き出せるよう話を運ぶこともできます。


不況でみんなのテンションが下がっているいまは、むしろチャンス。みんなが「給料分でいいか」という、そこそこの仕事で満足しているときに、「そこまでやるか!」と給料以上の働きをすれば、必ず評価されます。実際、トップ営業マンやヒットメーカーといわれる人たちは、給料を度外視して「そこまでやるか!」と驚くほどの努力をしています。


僕は原稿を書くとき、ギャラのことは一切考えません。「この雑誌は原稿料が安いから、この程度でいいか」などと思ったら、読者にたちまち見透かされてしまいます。力を抜いたら、読者はすぐに離れていく。原稿料がいくらであろうが、一文一文に魂を込める。それが僕の作家としての矜持です。


ビジネスにも畏れの感覚が不可欠。畏れを失うと、あとで必ずしっぺ返しがきます。食品の偽装問題がいい例。詐欺や不正でウマイ汁を吸えるのはほんの一時のこと。発覚したとたん、何十年もかけて築いた信頼が一瞬で崩れ去ります。いくら競争が厳しく、追い詰められた状況に陥っても、「自分に誇れる仕事をする」という意識だけは忘れてはいけません。


「悩んでいる自分」が主人公のドラマを思い描き、映画館のスクリーンに、ピンチのシーンが映し出されているところをイメージします。そして観客の立場から、この主人公にどういうアドバイスが相応しいかと考えてみる。この作業をすると、問題を外から客観的に眺めることができ、具体的な解決策を導き出しやすくなる。これは心理学的にも証明されているテクニックであり、ビジネス上での問題に直面したときにも効果的。


実際、誰にでも問題解決力は備わっているのです。試しに、これまでに自分が乗り越えてきた小さなピンチをすべて紙に書き出してみてください。次に、それらの小さなピンチをどうやって切り抜けてきたのかを振り返ります。すると、自分の中に問題解決力があることに気づくとともに、ピンチを切り抜けたときの感覚が蘇ってきます。これで一歩前進です。


猪瀬直樹の経歴・略歴

猪瀬直樹、いのせ・なおき。日本の作家、政治家。長野県出身。信州大学人文学部経済学科卒業後上京。出版社勤務などを経て、明治大学大学院政治経済学研究科政治学専攻博士前期課程にて日本政治思想史を研究。ビル清掃員、国鉄労働組合書記等を経て作家となる。『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞、ジャポニスム学会特別賞受賞を受賞。『日本国の研究』で文藝春秋読者賞を受賞。行革断行評議会委員、道路関係四公団民営化推進委員会委員、地方分権改革推進委員会委員、東京大学大学院人文社会系研究科客員教、国際日本文化研究センター客員教授、東京工業大学世界文明センター特任教授、石原慎太郎知事の下で東京都副知事などを経て東京都知事に当選した。

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