徳重徹の名言

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徳重徹のプロフィール

徳重徹、とくしげ・とおる。日本の経営者。テラモーターズ社長。山口県出身。九州大学工学部応用化学科卒業後、住友海上保険に入社。米国サンダーバード国際経営大学院でMBAを取得。シリコンバレーのインキュベーション企業ビジネスカフェ・インク代表を務めたのち、電動バイクメーカーのテラモーターズを設立。

市場が黎明期のときにスピード感を持ってやることが重要。


まず非常に大きいのは、市場の黎明期であるということ。インターネットもスマートフォンもそうでしたが、市場の黎明期をいかにとらえるかは重要。


世の中に確かなものなどありません。本当にできるかどうかは、誰にも分からない。でも、絶対に必要だから、やるのです。


最終的には自分を信用してもらえるかどうかで、すべてが決まる。


失敗や苦労をとおして培われる、絶対にやってみせるという執念、使命感こそが、次なる飛躍のエネルギーになる。


ロジックで考えることには限界がある。論理の枠の中で考えている限り、従来の発想を超えるようなイノベーションが起きるはずはない。


物好きが買うだけの市場では大きくなり得ない。特に新興国は価格にシビアですので、格好良さやブランドだけでは買ってもらえない。


直接聞いた話と又聞きには雲泥の差がある。自ら現地のお客様や販売店の意見を聞いて初めて、価格設定などの感覚を持つことが出来る。


新しいことに挑戦する上で最も考えるべきは実際に需要があるかどうか。この「実需」さえあれば、ビジネスは決して難しくありません。


こちらの本気度を感じると、地元の人も積極的に動いてくれる。売れる商品をつくるときには「本気で」という言葉が大切。


本当に事業を軌道に乗せるには市場選びこそすべて。


商品を作り、事業を起こすことは新興国の企業にもできますが、継続性や徹底力などはなかなか真似できません。そこに日本の強みがある。


相手が興味のないことをいくら話しても、聞き流されるだけ。


私は常に、仕事上の課題について考えています。飛行機の中でも電車の中でも、「解決するまで絶対に諦めない」という気持ちで考え続けます。


最後は信念や覚悟・執念です。ベンチャー企業の経営は、崖っぷちの連続ですから。


自らの行動を振り返らないかぎり、成長はできません。


課題は刻々と変わっていきます。でも、課題をつねに頭に入れていることで、情報感度が高くなり、良い情報、必要な情報がどんどん見えるようになります。


成功例の裏に何十、何百の失敗例があるのですが、そもそも行動を起こさなければ、何も起きない。


アジアの若い企業家に会うと元気をもらえる。国の将来や未来のビジネスの話など熱く語る人が多く、影響を受けます。


最近、ビジネスマンはアスリートと同じだと考えることがあります。つねに自分のモチベーションをキープし、自身のパフォーマンスを最高の状態で維持しなくてはならないからです。


長い目で見たときに、企業の存続と繁栄には相手への誠実さと社会貢献が必須だ。


社員には「当事者意識を持て」と言っている。当事者意識を持った人は、たとえ失敗してもそこから多くを学ぶ。


よい言葉に出合ったら、それ感動するだけで終わらず、実行してみる。さらに、それを継続して、自分の習慣にできれば、それが自身の最高の財産となる。


ベンチャーにとっては人材が悩みのタネですが、ありがたいことに僕たちのビジョンに共感してくれる人が多く、若い人だけでなく経験者もきてくれています。


シリコンバレーでは頭のいい人ほどクレイジーで、大きなことをぶちあげるんです。一方、日本は頭のいい人ほどロジカルで、大きなことをいわない。だから優秀な人がベンチャーに流れてこない。そこが大きな違いだと思います。


経済の「新陳代謝」を起こす意味でも、ベンチャーは国のために必要。


進化力と実現力は、当社の重要な企業価値。


スピード感は我々ベンチャー企業の強み。現地に直接トップが交渉に赴くことで、その場で意思決定ができる。


本気の挑戦の結果としての失敗は、必ず自分のプラスにつなげることができるのです。自分はさて置き、過去の偉人はみんなその繰り返しで、大事を成し遂げていますから。


起業を考えている人は、一歩を踏み出して下さい。たとえ失敗してもあきらめずに前に進んで欲しい。


設立当初から、当社は世界展開を視野に入れて、日本発のベンチャーにも世界を変える力があることを示すつもりでやってきた。


目的意識を持って仕事をすることが重要です。そうすると、課題解決に対する勘が冴えてくるようになるからです。


私と同じ山口県出身の吉田松陰は「時代の変革は、情熱と狂気によってのみ成し遂げられる」と言いました。シリコンバレーでも、「クレイジー」はいい言葉なんです。


これだけ不確実な世の中で、80~90%の確度なんてあり得ません。60%もあればGOです。あとは現場が軌道修正すればいい。それに日本人が60%と感じるなら、アメリカ人なら70%、東南アジアに至っては80%くらいの感覚なんです。


いま、大企業にいる人にも変わってもらいたいし、年齢も関係ありません。50歳くらいならローンもかなり返済し、子供も成長しているはず。何かに挑戦したいという気持ちがあるのなら、むしろ動きやすくなっているのではないでしょうか。


僕がビジネスの世界で成功を収めて実績を出すことで、閉塞感のある日本に希望や新たな考え方を示し、多くの人が続くようになればいい。僕が一番やりたいのはこれなんです。


海外に行くたびに感じるのは、かつて何の実績もなかったソニーやホンダが世界で成功した功績が、いまでも日本の強みになっていること。こんなにありがたいことはありません。


みんな日本が大好きなんです。会社も製品も人も。でも大きな欠点があります。全部ご破算になってしまうくらい、日本側の意志決定が遅すぎるんです。


戦後の企業家たちは安かろう、悪かろうの日本製品を持ち寄って、欧米市場を開拓する蛮勇がありました。本質的には日本人は優秀ですから、蛮勇さえ取り戻せば必ず勝てるはず。


「いまの若者は安定志向だ」といわれていますが、違う子もちゃんといます。彼らはウチで修業して、将来は自分で起業したいと思っているようです。僕は新人でもどんどん仕事を任せる。もちろん失敗もするから、遠慮なく叱りつけるけれど、彼らも食らいついてきて猛スピードで成長する。それが評判を呼んで、今は優秀な若者から問い合わせがたくさん来ます。


僕は以前、シリコンバレーでベンチャー企業の起業支援の仕事をしていたんですよ。米国の起業家たちを見ていると、いろいろ準備をして「6割方、行けそうだ」と思ったら資金調達に動き出す。出資する側も、それを分かっているんですよ。当社の出資者の皆さんは、米国流のやり方に理解がある人たちなんです。


「この人は自分たちの考え方を分かってくれそうだ」と思ったら、直接連絡を取って会いに行くことは珍しくありません。「初めから世界を狙います」「日本から、グーグルのようなベンチャーの、大きな成功事例を出します」「東南アジアの大気汚染問題を、電動バイクで解決します」と、ビジョンを訴えて出資をお願いしています。


日本の企業は圧倒的に柔軟性、スピード感が足りません。しがらみだらけで、リスクも取らない。


日本とアジアを行ったり来たりしてるから分かりますが、すごく日本はおっとりしてるなと感じます。戦うことが悪いみたいな世の中になってるというか。


僕も、もっと日本はチャレンジしろよと思っていて、そのために(事業を)やっているようなところもあります。


僕の場合は単身乗り込んで、いきなりビジネスの話をするから、彼らも関心があれば最初から合弁の提案とかがくる。こっちもイエス、ノーをはっきり言うから分かりやすい。


僕がどこの国でも言われるのが、日本人は「NATO」だというんです。「ノー・アクション・トーク・オンリー」の略ですね。僕に言わせたら「ノー・アクション・リサーチ・オンリー」じゃないかと思うんですが。リサーチにだけ来られても、現地の人からしたらえらい迷惑なんですよ。


ボウリングに例えると、重点事項はヘッドピンに似ている。僕たちベンチャーは常にトラブルまみれだが、ヘッドピンを倒すことで、一挙に解決してしまうことがある。逆にそれに失敗すると何本かレーン上に残ってしまい、それを倒すのに神経を使わなければならなくなる。まさに、些末な仕事に忙殺されている姿だ。


仕事を進めていくうえで、事業の優先順位をどう決めていくかは非常に重要だ。


アメリカやアジアで働いていると「日本製品は壊れにくい」という声をよく耳にする。日本がつくった製品「メード・バイ・ジャパン」は必要とされている。だから、そのニーズに応えれば勝てる。明確な目標を掲げて、迷わずに自主技術で勝負していけばいい。


成功させるという思いが強いほど失敗のショックは大きいが、終わったことをクヨクヨと振り返らないことも大切だ。


僕は日本発のメガベンチャーをつくる。


いくら自分の情熱を語っても、一方的なものでは相手にとって意味がありません。私の情熱が、相手の利益につながると伝える必要があります。


相手がなにげない会話の中で発した重要なひと言をキャッチして次の提案へつなげられる営業と、そのひと言をスルーしてしまう営業がいますが、その違いはアンテナの高さです。それは意識の差とか、執念の差と言い換えてもいいかもしれません。


日本で営業というと、「まずはご挨拶に来ました」というところから入るかと思いますが、海外ではそんな前置きは必要なし。海外で信頼を得るためには、とにかく明快かつ端的に話すことが必要です。


初めて会う方に私が必ず話すのが、自分の信念や想いです。営業される相手にしてみれば、私や私の会社が、新しくビジネスを始めるにあたって信用・信頼に値するのかを判断することが何より重要。ですから営業では、ビジネスプランの提案や自社商品の説明よりも先に、まずは自分がどんな考えを持ち、何を目指しているかを語るべきなのです。


海外ではわかりにくい表現は嫌われます。ですから私は初対面の相手と会うと、まず最初に「自分は何をしに来たのか」という目的をズバッと伝えます。


よく「海外で営業するのは大変でしょう?」と聞かれますが、私はむしろ海外のほうがセールスはしやすいと感じています。なぜなら、海外では日本企業の価値が高いからです。とくに私たちが勝負をかけている東南アジアや南アジアでは、「日本製品は品質が良い」「アフターサービスも行き届いていて安心」といった好印象を持たれています。なぜ他の日本企業は、このアドバンテージを活用して積極的に海外へ打って出ないのか不思議なほどです。


よく「日本人は農耕民族だから」「日本人はハングリーさに欠けるから」といった理由で、「だから欧米やアジアの企業に勝てない」と言う人がいますが、とんでもない。かつては日本にも数多くの優れたリーダーが存在したのです。それを伝える書籍や記録もたくさん残されていますから、ぜひ大先輩たちの言葉に触れてほしい。


グローバルで勝ち抜くためにも、思いの強さは武器になります。私もアジア各国を飛び回って交渉をしていますが、最後の決め手となるのは「自分たちのビジネスであなたたちの国の発展に貢献したい」「日本から世界トップクラスのメガベンチャーを育てたい」といった使命感です。英語力を磨いたり、相手の文化を勉強するといった表面的な努力より、気持ちの部分が勝負を左右する。


本を読むだけでなく、自分も実際にチャレンジすること。仕事で失敗したり、大変な思いをしたりしなければ、良い言葉であってもその意味を本当には理解できない。


大学受験に失敗し浪人していた頃、すがるものが欲しくていろいろな本を読んだ。


新興国では、最初に開発費を安く抑えられるプロトタイプを販売し、それから2回、3回と改良を重ねるようにしました。つまり、顧客の声を聞き、「売れる」商品に変えていったのです。


従来は社員や自分に対して、単純に「これで売れるか」と問うだけでした。しかし今は「本気で売れるか」と質問しています。この「本気」が入るだけで、より突っ込んだ調査をし、より現場にも行き、より事業をリアルに考えるようになります。


実質的な需要をいかに見つけるかが重要。これさえ見つけられれば、あとは市場に望まれる商品を、従来の25%以下の価格で売り出す努力をするのみです。


文句を言っても仕方がない。当時は「天災だった」と気持ちを切り替えるしかありませんでした。
【覚え書き|受注したフィリピン政府主導の電動三輪タクシー事業が突然中止され、経営危機に陥った当時を振り返っての発言】


事業で勝つためのポイントは、一つはスピード、もう一つはグローバル。規制やテクノロジー、マーケット、競合がダイナミックに、しかもグローバルに変わっていく。そこにいかに対応できるかが極めて重要。


私のミッションは、とにかく海外の拠点、成功の事例をつくること。EVの場合は時間がかかりましたが、ドローンについては、ある国でしっかりと成功できれば、一気にグローバルに垂直立ち上げできると思っています。恐らくEVの時よりはるかに早い成長が期待できます。


事務所は狭いままでいいと考えています。僕らベンチャーはコスト感覚が重要です。いま若いやつにどんどん任せているのですが、海外で事業が拡大したときにも、事務所にお金をかける必要はないという感覚を忘れてほしくない。


既存バイクメーカーのOBの方の話を聞くと電動に移るのは難しいみたいですね。たとえばヤマハには開発設計者が1000人くらいいて、そのうち半分がエンジン関係。もしEVバイクに移行すると、社内でこの人たちの行き場がなくなってしまう。そういうジレンマがあって、簡単に電動にいけないと言っていました。


目先の目標は、まず一万台。これは春から量産が始まればすぐに達成できます。きちんと基礎固めをしながら挑戦していきたいです。


アジアは意思決定のスピードが速くて、財閥系の大きな企業でも2回目の会合で出資割合が決まったりします。何度も本社に持ち帰って条件をすり合わせるというやり方では、ついていけない。僕は1か月に1週間はインドにいるので、話は早いと思います。


インドにいる日本企業の方と話していて、よく聞く文句は3つあります。まずひとつは価格です。アジアの他の地域よりコンペティティブで、3~4割安くないと勝負できない。2つ目は、人の問題。東南アジアの人は比較的こちらの指示を聞いてくれますが、インドの方は結構文句をいってくる。3番目が夜遊び。飲みにいける場所がなくて大変だというわけです。でも、僕からすると、それが何だと。何しろインド一国で、他の東南アジア全体と同じくらいの市場がある。こんな文句が出るあたり、本気ではない証拠です。


我々としては、ぜひ大手にEVをやってほしい。大手の参入は、市場の拡大につながります。その前に「EVバイクはテラモーターズ」というブランドを確立できていれば、むしろ追い風になりますから。


僕らはベンチャー企業なので、売上が立たなければ会社がなくなってしまいます。でも、大企業からきている人に、そういう危機感は薄いですよね。もちろんなかには志の高い人もいるんですよ。でも、せっかく現地組が本気でやっていても、その思いが日本で意思決定する人たちに理解されず、悔しい思いをする。これじゃなかなか本気になれないでしょう。


日本のメーカーがアジア市場で苦戦する理由は2つあると思います。まずひとつは、日本のものを向こうに持っていこうとしていること。日本企業は、日本で売れたものをどうやって新興国向けにローカライズするのかという発想なんです。もうひとつは、現地で戦っている日本人が本気でコミットしていないこと。いま1か月のうち3週間はアジアに行っていますが、本気で市場をつくろうとしている日本人にはほとんど会ったことがない。


とにかくベンチャーをやりたかった。ベンチャーをやるのに一番おもしろい場所といえば、シリコンバレーだと考えた。ただ、僕はエンジニアではないので、いきなり行っても相手にされません。それならMBAを取るしかないと考えて、アリゾナでMBAを取得しました。そのあとシリコンバレーでインキュベーションの仕事をやりながら、起業のネタを探していました。


人生を一回チャラにするつもりで29歳のときに会社をやめました。
【覚書き|サラリーマンを辞めて起業家になることを決意した当時を語った言葉】


経営企画など面白い仕事もさせてもらいましたが、働くうちに「何かが違う」と思い始めました。そこで、親には告げずに会社を辞めることにしました。自分の気持ちに純粋に、自分の足で生きていこう、自分に力を付ける生き方をしていこうと決めたのです。


お勧めの習慣が、「誰かをベンチマークにする」ということです。存命の方でも、歴史上の人物でも構いません。自分が憧れる、かっこいいと思う人をベンチマークにして、ことあるごとに「こんなとき、あの人ならどうするか?」を考えるのです。うちの若手に、日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一をベンチマークにしている人がいます。あるとき、彼を含む数名が朝の6時半から勉強会を開くことにしたのですが、彼以外は数回出席しただけで来なくなりました。でも彼は一人になっても勉強会を続けているのです。聞くと、「渋沢栄一なら、一度決めたことはすぐに止めないはず」とのこと。ベンチマークにしている人間がいることが、彼の強さにつながっているわけです。


私は本をかなり読むほうですが、「読んで感動した」というだけの読書では、意味がないと思っています。どんなに印象に残ったことでも、単なる知識では2週間もしたら忘れてしまうからです。私は本を読むときは、折り目をつけ、黄色マーカーで線を引きます。大事なところは2カ所、折り目をつけ、ときどき読み返します。それだけでなく、読んだことを書き出し、それをどのような行動に移すかを決め、実行するようにしているのです。


私が心がけている習慣、それは「常に次のアクションにつなげる」ことです。たとえば、ある国の市場をリサーチしたとして、それを報告書にまとめただけでは、次の行動につながりません。大事なのはそのリサーチをもとに、「次、どうするか」です。


何か問題が起きた際、「自分のせいではない」と非を認められない人は、反省ができません。でも、どんな問題でも、自分の非がまったくのゼロということはまずありません。普通は6対4くらいの割合で、自分にも4割は責任があるもの。ただ、頭のいい人ほど、その4割の非を認めようとしない。無意識に自分が傷つかないようにしているのでしょう。


今まで多くの部下を見てきましたが、不思議なもので、入社時には高いパフォーマンスを誇っていたのに、途中で成長が鈍ってしまう人がいます。一方、入社時はさほどではなくても、年を経るごとにぐんぐん伸びていく人もいる。私はこのような人を「成長角度が高い」と呼んでいますが、この成長角度を決めるのは反省ができるかどうかです。


私が長年、習慣として続けていることに「1日10分、反省の時間を設ける」ということがあります。これは、私が新卒で住友海上火災保険へ入社して以来の習慣です。私は理系の学部を卒業したのですが、配属されたのは意外にも法務関係の部署でした。専門とまったく違う分野の仕事。右も左もわからないなか、とりあえず入社半年は先輩に言われたことを全部吸収しようと決めました。そして、それを日々反省して、自分の行動を改善していく、ということを繰り返したのです。このときの経験が、その後の私にとって大きな財産となりました。


多くの場合、個人投資家は経営者でもある。ビジョンを語る一方で、リスクを把握していることも伝えないといけません。資料に盛り込まなくても、プレゼンでは競合の存在など障壁になり得る要素について必ず話します。


プレゼンでは資料を作るとともにストーリーを構築しておくことは、もちろん大事。ただ、相手の発言に合わせて、臨機応変に対応できないと話が止まってしまう。話の展開によっては、事前に考えた構成を「捨てる」勇気も必要です。私はどんな展開にも対応できるよう、プラスアルファの資料も用意しています。


個人投資家に見せるプレゼン資料は、細かい数字などのデータより、ストーリーが伝わるものであることが大事。自分たちが何者で、どんなことに挑戦しようとしているのか。そのための手段は何か。市場はどこにあるのか。そして、どんな決意で望むのか。それがアピールできればいい。


アメリカでは、オラクルやIBMのような大企業に日本のような「安定」のイメージはありません。事業の状況次第では、能力に関係なく部門ごとばっさりと切られることがあるからです。だからこそ、優秀な若者ほどベンチャー企業を選び、どこにいても活躍できる力をつけようとするわけです。


これから就職する若い世代が最も意識すべきことは、「自分に頼る生き方」であると思います。今後の日本社会が不透明であるなか、給料のよさや福利厚生などの「安定」を求めて会社を選ぶと、組織から放り出されたときのリスクが計り知れません。


20代の社員にそこまで任せて大丈夫かとよく聞かれるけれど、あのソニーだって欧米で事業を立ち上げた1960年代を担ったのはみな20代でした。ところが、今の時代にもっとも優秀だとされる学生は、ほぼ全員が大企業に入ってしまっているんですね。大手の商社や銀行などで必要とされる「優秀な人材」はせいぜい1割か2割。8割以上の社員が本来は非常に優秀でありながら、その能力を活かせない仕事をしている。僕らのような企業がもっとたくさんあれば、その現状を変えることができるはずです。


日本とシリコンバレーの違いはセーフティネットの有無です。アメリカのベンチャー企業の間には、濃いネットワークがあります。事業やそこで働く人材の情報が企業同士で交換されていて、たとえ経営する企業や属する企業が潰れても、優秀な人材であれば次を見つけることができる。企業同士のつながりがセーフティネットとなり、それが失敗を恐れずにベンチャーの世界に飛び込める土壌となっているのです。


テラモーターズのやり方は、一般の企業からすれば、「クレイジー」に見える部分もたくさんあると思います。ただ、我々は大きな目標をことあるごとに表明している一方で、足下のビジネスは手堅くやっています。スピード感とともに、こうした実行力は大事にしたい。


起業するときは、自分は何が好きで、本当は何を目指したいのか――家族や住宅ローンなどの対外的な要因をいったん忘れ、ピュアに自分と向き合って深掘りすることが大切です。ただし、「解」はすぐには見つからないでしょう。でも、諦めずに考え続ければいい。それと掛け算して、明治時代や戦後の経営者たちの歴史を学び、世界のベンチャーを研究してみてください。


事業に必要な資源は大きく3つ。「ビジョン」と「人」と「資金」です。本気でわくわくする「ビジョン」があるから優秀な人材が集まり、そこに可能性を感じたベンチャーキャピタルが資本を入れる。シリコンバレーでは、儲かりそうな事業でも、ビジョンに「CHANGE THE WORLD」が感じられないと、出資は見送られます。3つの資源の中で一番大切なもの、それはやはり事業にかける経営者の志の高さと明確なビジョンでしょうね。


ベンチャーは前例のないことを形にするわけで、当社もスタートアップ期は「鶏が先か卵が先か」の問題に悩まされました。販売拠点の開拓では「メンテナンスは?」、メンテナンス拠点の開拓では「年間需要は?」と……。今、当社の電動バイクはヨドバシカメラなどの家電量販店でも取り扱ってもらっています。最初はどこも相手にしてくれませんでしたが、私のビジョンに共感してくれたヨドバシさんに採用してもらったことで、他社も扱ってくれるようになった。そんな新しい前例が生まれた結果、需要を感じたメンテナンス拠点が追随する。「参鶏が先か卵が先か」をぐるっと回すためにも、腹の底から本気で語れるビジョンが絶対に必要なのです。


テラモータースは最初からアジア市場での製品化、資金調達を目指しました。例えば、当社の実質価値が100だったとしましょう。国内では、ベンチャーだから40くらいに過小評価されますが、アジアに出れば、300の価値になる。日本企業と組みたい企業はアジアにたくさんあるし、日本人の信頼度は高い。もちろんリスクもありますが、それを超えるチャンスがあふれている。論理的に考えれば、今、世界を取るために日本のベンチャーがアジア市場に打って出るという戦略は必然なのです。


当社がスピード成長しているのは日本発のメガベンチャーをつくるという社会性の強いビジョンを持てたことと、世界の環境改善に貢献できるEV事業と出合えたこと。そして、ものづくりのプロセスが大手メーカーと下請け企業の「垂直統合型」から、複数のメーカーが得意分野を持ち寄って製品を組み立てる「水平分業型」へ大変革している時代の流れに乗ったことが大きなポイントですね。


アジアでは、台湾、韓国、中国でも、社会的な志を持つベンチャーが生まれています。彼らにできて今の日本人にできないはずがない。問題は、「世界で戦うなんて無理」と決め込む縮こまったマインドです。その意識を変えるには、成功事例をつくり、天井が突破できることを示すしかない。


シリコンバレーでインキュベーション企業の代表として約5年間、様々なベンチャー企業の経営に携わりました。そのなかで再認識したのは、ベンチャーの役割は、「世の中を変革するツール」ということ。だから、優秀な人ほど志を持ってリスクを取り、自ら挑戦する。そんな彼らは社会的にもリスペクトされる存在です。あちらでは大企業に就職する学生は「大企業にしか入れなかったのか」と言われてしまう。


徳重徹の経歴・略歴

徳重徹、とくしげ・とおる。日本の経営者。テラモーターズ社長。山口県出身。九州大学工学部応用化学科卒業後、住友海上保険に入社。米国サンダーバード国際経営大学院でMBAを取得。シリコンバレーのインキュベーション企業ビジネスカフェ・インク代表を務めたのち、電動バイクメーカーのテラモーターズを設立。

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