岩田松雄の名言 一覧

このエントリーをはてなブックマークに追加

岩田松雄のプロフィール

岩田松雄、いわた・まつお。日本の経営者。スターバックスコーヒージャパンCEO(最高経営責任者)。大阪出身。大阪大学経済学部卒業後、日産自動車に入社。工場での生産管理や営業、財務など様々な業務を経験。カリフォルニア大学ロサンゼルス校アンダーソンマネジメントスクールでMBAを取得。ジェミニ・コンサルティング・ジャパン、日本コカ・コーラなどを経て、コカ・コーラビバレッジサービス常務執行役員、ゲーム会社アトラス社長、タカラ取締役常務執行役員、イオンフォレスト社長などを歴任。その後、スターバックスコーヒージャパンでCEOを務めた。著書に『スターバックスCEOだった私が社員に贈り続けた31の言葉』『ついていきたいと思われるリーダーになる51の考え方』『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』ほか。

経営には、人間の「情」への洞察も不可欠。


言葉は、いったん伝わると、相手に強い足跡を残す。


スターバックスの社員である前に、人間として正しい判断をして欲しい。必ず私はその判断を支持する。


本当に信頼につながるのは目の前の仕事を完璧に仕上げることです。たとえ会議の資料作りでも、きっちりとこなせばもう少し次元の高い仕事やチャンスを与えられる。


仕事で信頼を得るには、まずは会社での役割をしっかり果たすことが重要です。


30代は「才」、40代は「徳」を学ぶ時期。才とは仕事に直結するスキル。徳とは人間的魅力、自己修養のこと。


今の仕事でその道のプロを目指す意識で取り組むことが重要。


自慢話は事実を淡々と、失敗話はむしろおもしろおかしく大げさに。


何事によらず交渉事で心得るべきは、最終的な意思決定者が誰かを把握すること。


クレームを受けたときは、まずは平身低頭、真摯に謝ること。そして相手の言い分を最後まで聞く。間違っても言い訳などしてはいけない。


おまえが失敗しても会社はつぶれない。思い切ってやってみろ。


カリスマ性や大きな声は必要ありません。大事なのは「素直さ」や「謙虚さ」です。


権力と責任はセットで考えることが大事。大きな権力には、それ相応の大きな責任が伴います。


一隅を照らす気持ちで、自分ができることからやってみる、そんな真摯な姿勢は、きっと誰かが見ています。


最初の一歩が踏み出せない人が多い気がします。その理由は、考えすぎではないでしょうか。


仕事での基本動作は、若いうちのどこかで叩き込むべきもの。


できるだけ二者択一で考えるのではなく、「両方を満たすにはどうすればいいのか」という考え方をする必要があります。


ライバル会社の立場で考えると、その会社がどう攻めて来るのか、どう攻められると嫌なのかという、競争に勝つポイントが見えてきます。


場合によっては、意思決定をしないことを決定する場合もあり得ます。不十分な情報で自信が持てない場合は、そういう選択肢も用意すべきです。


経営者には、一見相矛盾することの両方に折り合いをつけることが大切です。「長期か、短期か」「品質か、コストか」「利益か、ミッションの実現か」など、一見相矛盾しそうな選択肢同士の折り合いをどうつけるのかが経営者の仕事だと思います。


どんな仕事にも本質がある。


限られた時間で、大量の仕事を抱えたら「これだけはやっておかないと」という部分をまず終わらせようとするはず。それが仕事の本質です。


若い人には無限の可能性があります。自分はこの程度と思わず、積極的に自らのミッションを持ってそれに挑んでほしいと思います。


大半の業務は、それを一生やるわけではありません。ですが、次にどんな仕事をするかは、いまの仕事の実績が左右します。私自身の経験を振り返ってみても、無駄だった経験はひとつもありません。仕事の報酬は仕事なのです。


「好きなこと」「得意なこと」「人のためになること」という3つの要素の重なる部分を追求すれば、自分が追求すべきミッションが見えてきます。定期的に自分を見つめ直し、それぞれのミッションを早い段階で見いだしてほしい。


社会や企業など、自分以外のものにやりがいを求めるのではなく、物事を「自分起点」で考えてほしい。自分のやりたいことを実現するにはどうすればいいか、常に頭を動かすことが大切です。


週に1度、せめて2週間に1度、半日くらい自分を省みる時間を作ってみることをお勧めします。定期的に自分の人生について思いを巡らすことはとても有益です。


離職率の高いときは人への投資をしにくいものですが、あえて先行してそれに取り組むことで、好循環を生むことができました。


企業の経営理念には美辞麗句が並び、ただのお題目に過ぎないというケースは少なくありません。それを実のあるものにするためには、理念に合った行動を取る社員に対する、明文化された評価軸が必要です。


本は多く読むことに越したことはありませんが、それよりも「いい」と思った本は何度も繰り返して読むことをお勧めします。良書は読むたびに新たな発見があるものです。そういう礎となる本に出合えば、人生は豊かになります。


何にせよ、与えられた仕事に打ち込み結果を出せば、自信につながり、思わぬところで後のプラスになります。社内留学制度に合格し、MBAを取得できたのも、社長賞猶得の実績が、大きく後押しをしてくれました。


私が経営者として招かれるのは、何らかの問題解決を求められてのことです。どの会社も、それぞれに違った問題を抱えていましたが、まず最初に行ったことは企業理念、ミッションに戻ることでした。


どんなフィールドで起業するにしても、次の3つを確認してほしいと思っています。(1)自分の好きなこと(2)自分の得意なこと(3)人のためになること。この3つの輪が重なるところに起業のヒントがあるはずです。きっと成功します。あなたなら。


誰しも一度きりの人生。やらない後悔よりも、やった後悔をすべきです。


できるだけ早い時期に、自分で手を挙げてリーダーのポジションに就き、多くの失敗を経験しておくことが大事です。そして、会社員のうちにその失敗を乗り越える胆力を鍛えて、人格的にも成長しておくことが大切です。最後は「人間力」なのです。起業し、ひとたび経営者になれば、そこは自己責任の世界。もうあなたを守ってくれる会社や上司はいないのです。給料日に、誰もお金を振り込んではくれません。


日本にはまじめなフォロワー(追随者)たる人材は多いけれど、真の経営者・リーダーが少ない。だからこそ、これまでの経験、ノウハウを惜しみなく提供しながら、真のビジネスリーダーを育てる活動に注力したいと思っています。今、私がこの世に生かされている意味、ミッションをこれからも考え続けたい。


素晴らしい技術・商品と資金があれば、ビジネスはうまくいくと、多くの人が考えていますが、それは大間違い。事業にかける熱いパッションと、明確なビジョンを持つリーダー=経営者がいなくてはダメなのです。


私は「企業は世の中をよくするために存在している」と信じています。会社には存在理由がある。その存在理由がミッションです。THE BODY SHOPは化粧品を通じて、スターバックスはコーヒーを通じて世の中に貢献するミッションを持っている。ですからこのパートナー(スタッフ)はスターバックスのミッションを体現してくれたわけです。企業は株主のためだけにあるのではありません。


経営は人がすべてである、と実感していましたから、社員のモチベーションを高める施策を数々実施しました。初めてお店に自由裁量予算をつくったスターバックスでは、こんな出来事もありました。ある雨の日、店舗の目の前で交通事故が起こりました。それを目撃したスタッフが、事故を起こし茫然と立ちつくしている女性に、一杯のコーヒーをお渡ししたそうです。その後私は、女性からいただいたお礼の手紙で、そのことを知りました。


経営をするときは、できるだけ多くの店舗を訪問するようにしました。それでも頻繁に訪問することは不可能なので、店舗のリーダーあてにメールで「社長からの手紙」を送り続けました。社長室とお店との距離を縮めることで、理念、ミッションの深化、浸透を図りたかつたのです。


アトラスの再建のときに一番腐心したのは、各事業部の次の成長の種を育てること。経営に取り組み始めてから、社員たちが徐々に自主的に動き出し、外部の人からも「アトラスはいい方向に変わり始めた」と言ってもらえるようにと。


スタッフの前で、初めて社長就任演説をした際、MBAで学んだ「キャッシュフロー経営」や「企業価値向上」の重要性を伝えました。でも、それが全く響かなかった……。そこから、率先垂範を徹底することにしました。小さなことですが、会社の受付周りが汚かったんですね。社員に「きれいにしよう」と言うだけではなく、まず自分が雑巾を持って掃除する。そして、アトラスのリバイバルプランを作成し、不良在庫の一掃や子会社の整理などをしました。


ビジネススクールでは、ファイナンス、マーケティング、ヒューマンリソースなどを勉強します。しかし、数字がすべてという授業に、私は疑問を感じていました。人を動かすためには、「情」も大事なのではと。このときに、東洋哲学をはじめ、孟子や孔子の中国古典、司馬遼太郎さんの歴史小説などを読みあさり、自分なりに心のバランスを取っていました。


20代後半の頃、自宅の近くに、ハンバーガーチェーンA社と、B社の店舗がありました。ほぼ同じ商品、時給なのに、片方はスタッフが楽しそうに働き、片方は嫌そうに働いている。なぜ店員さんのやる気に差があるのか?これがまさしくマネジメントの差であると気づいて経営に興味を持ち、後にMBA取得を目指したのです。


学校では学級委員、野球部ではキャプテン。いつの間にか、チームのリーダー的ポジションについていました。日産では、入社時に「社長になる」と大それた宣言をしていましたが(笑)。志だけは高かったですね。


スターバックスに入ったとき、レジで注文を受けた後、パートナー(店員)がバーカウンターでお客さまに商品を手渡す時が、この仕事の火花の散る(付加価値が発生する)瞬間であるはずです。偶然にも、スターバックスのコミットメントに、「Moments of Connection(顧客とつながる瞬間を大切にする)」があります。全社員の意識をその火花の散る瞬間(Moments of Connection)に向けなければならないと感じました。それが「経営者の一番大事な仕事」と言っても過言ではないのです。


日産の後、私はコンサルティング会社や世界的飲料メーカーに勤務していますが、やはり生産管理や営業での現場経験が生きました。コンサル会社や外資系企業には私より頭のいい人材がたくさんいます。でも、彼らには「工場の経費を1円削るのがどれほど苦しいか、クルマ1台を売るのがどれほど大変か」なんて話はできません。社内でもクライアント先でも、現場の話は興味を持って聞いてもらえました。そういう意味で、必死でやりきったこと、そのとき得た経験は、異なるフィールドでも通用する。そんな原理原則を、身をもって学んできたと思っています。


日産ではMBA取得後には、財務畑も経験し、3兆円の資金管理もしました。日産では、実に多彩な業務を経験させてもらいましたが、振り返ると、目の前の仕事すべてに、常に全身全霊をかけて当たっていた。そして失敗も含め、無駄な経験は、ひとつとしてなかったと断言できます。30年前の経験が、今の仕事にも大いに役立っています。


日産では自動車のセールスもやりました。ちなみに当時、新車1台を売った報奨金が1500円。私は報奨金狙いではなく、販売記録をつくって社長賞を獲得すると決め、飛び込み訪問、チラシの投げ込み、何でもやりました。まず目標を定め、実績を出すために必要な戦略を考える。そして、決めたことを一所懸命とことんやる。結果、断トツの結果を出し社長賞を獲得しました。


大学卒業後に入った日産での最初の配属は、追浜工場の生産管理部です。その後、協力会社の生産管理・指導を担当する部署へ。工場で、ストップウォッチとにらめっこしながら、100個の問題点を洗い出す。そんな仕事に明け暮れていました。当時の上司は、私の「心の師」的な存在で、尊敬していました。一緒に車体組み立て工場に出向いた時、その上司が言ったのです。「車体のパーツが最終的に組み合わさる瞬間、火花が飛ぶ。この瞬間だけが付加価値を生み出し、それ以外の工程はすべて無駄だという目で見なさい」と。どんなビジネスにも火花が出る瞬間、つまり付加価値を生み出す「本質」がある。まず、それを見極めることが、マネジメントの出発点。その上司は、仕事人としての真髄を教えてくれました。「火花の瞬間が大事」という教えは、どこの会社のCEOになった時でも、最初に考え、実践してきたことです。


女性は敵に回せばこんな手強い人たちはいないです。逆に味方になってもらえば、損得を抜きにして大きな力を発揮してくれます。


「資料を作って」と上司から指示されたときに、「資料を作る」という作業にだけ意識が向いて、「何のためにこの資料を作るのか」ということを意識していないと、良い仕事をすることができません。「午後のブレインストーミングの資料」という目的がわかれば、詳細なものを丁寧に仕上げるのではなく、簡潔に素早く作ることが必要だと判断できます。あるいは、「来週の役員会で5億円の投資を決定するため」だとわかれば、精度が高く見やすい資料を用意すべきだとわかります。


40代からの仕事は、人に任せる、人を育てることで成果を出す能力が求められる。優れたスキルを持っていても、人の協力なしに大きな成果は出せません。人が力を貸すかどうかは、最終的にその人の魅力(徳)にかかる。そうなれるよう自分を磨くことです。


30代は、社内の処世術を覚えて出世を得ることを目標にせず、履歴書に堂々と書ける「実績」を残しましょう。他社でも通用する力をつけるのです。


ザ・ボディショップ時代に採用の最終面接で出会った女性に「君は声がとても素敵だから、広報などの仕事が向いているね」と言ったのを、彼女は十年近く経った今でも覚えていてくれて、「あのときの言葉が自信につながった」と言ってくれました。


ミッションや経営理念というものは、世のため人のためといった、日常業務とかけ離れた内容であることが多い。それだけに、形骸化、陳腐化しやすいものです。だからこそトップは、繰り返しミッションを語り、常に組織全体に浸透させ、行動化できるよう働きかけ続けなくてはならない。


私は日々の仕事の中で、何度もミッションについて自分の考えを語りかけました。朝礼で語り、マネジメントレターに書き、日々の会議やミーティングで触れる。また、ミッションに適う行動をしている人を朝礼などで褒めました。こうしてミッションの浸透を図った結果、業績が好転していきました。


ハワード・シュルツの退任後、外部から迎えた後任のCEOが効率を優先させ、コーヒーの味やサービスの質が低下しました。当然、業績も低迷していきました。そこで、復帰したシュルツが最初にしたのが、7項日からなる新しい行動規範の発表でした。「コーヒー」というスターバックスの原点に立ち返るためです。


スターバックスのミッションは、「人々の心を豊かで活力あるものにするために――ひとりのお客様、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」という言葉。これをパートナー(従業員)一人ひとりが意識することで、店頭に立つことが単なる労働ではなく、大きな喜びになっています。お客様を笑顔にすることが自分たちのミッションなのですから。


スターバックスの成長を支えているのは、なんと言っても、そのミッションです。


その都度自分に「越えられるか越えられないか」というハードルを課してきたことが、経営者への道につながったのだと思います。


留学したときに勉強になったのはMBAの理論もさることながら、日本ではみることのできない多様な価値観でした。キャリアも多様で、アフリカで看護師をしていた女性がビジネスに目覚めてMBAを取得し、シリコンバレーで起業するといった事例が、そこかしこにありました。「会社のレールを踏み外さないことが大事」という日本の感覚とは大きく異なる世界を知ったのです。のちに転職を決めた際、当時はまだ珍しかった外資系企業を選んだのも、この体験が背景にありました。


何となく元気が出るような本というのも持っておくといいでしょう。社会人生活をしていれば挫折を味わうことは何度もあります。元気なときと、そうでないときに読みたい本は違うものなので、意識して作っておくと、いざというときに役立ちます。私は気に入った言葉を集めた冊子を自作していました。


若い頃は、私も「時間術」「整理術」といった類のハウツー本をよく読みました。妻には「またそんなもの読んで」などとバカにされたものですが、こういうテクニックは、一度吸収したら長く役に立つものもあります。若いうちは、そうしたことを身につける努力をするのも悪くないでしょう。


意外と自分が何にどれだけ時間を使っているかは意識できていないものです。調べてみると、1日のうちメールチェックに2時間も使っていたり。機会を見つけて見直してみると、能率が上がることは多いでしょう。


つき合う友人を選ぶということが大切です。非情なように聞こえるかもしれませんが、「敬して遠ざける」という言葉のように、つき合いたくない人とはそれとなく距離を置いた方がいい。一緒にいて文句ばかり言う人や、自分の元気がなくなる人とは、無理につき合わない方がいいでしょう。その代わり、パワーをもらえるような人とはしっかりと向き合うべきです。ほかの部署でも構わないので、尊敬できる上司や先輩を見つけて、その人のようになることを目指して頑張るというのも有効です。


新人時代は社会人として、あるいは人間としての基礎ができる時間と言えます。人事部や、教育に当たる直属の上司は「人生を左右する重要な時期に接している」という自覚を持って、新人が自身のミッションを築いていけるように適切にサポートすることが求められます。


いわゆる「イエスマン」は上にいる人間にとっては扱いやすいものですが、そういう人は得てして自分の部下にもイエスマンであることを求める傾向があります。そうした人がどんどん昇格していけば、上司の言うことに若手が異議を唱えなくなり、社内はイエスマンばかりになってしまいます。


会社側のメッセージを従業員に伝えるには、座学の研修なども大事ですが、最も効果的なメッセージは人事です。どんな人を昇格させ、どんな人を昇格させないのか。これほど会社の方向を如実に示すものはありません。


豊富なモノに囲まれて育ったいまの世代は、お金の量と幸せの量が必ずしも比例しないことをよく分かっています。生活に支障がないなど、一定の水準を超えていれば、給与は直接仕事のやりがいには結びつきません。それよりも、やりがいのある仕事や役割をどれだけ与えられるかが、企業にとっては重要です。


「ただ計算しておいて」と言われれば、仕事を受ける側もそれ以上、仕事の質を改善する余地がなくなります。ですが目的が分かれば、そのために「間違いが許されない資料ならば、3回チェックしよう」、あるいは「急ぎの資料ならば、調べるのに時間がかかる正確な数字は概数で済ませよう」といった判断を自分でできます。細かなことですが、こういったことがやりがいにつながるのです。


明確なミッションを持つ必要があるのは、新人を受け入れる先輩社員や経営陣も同じです。自分たちは何のためにこの業務、この事業をしているのか明確に説明できなければ、人はなかなかついてきません。例えば簡単な表計算の仕事を新人に頼むとしましょう。その際に「これは役員会で使う資料だから、間違いがないようにして」とか、「現状を大まかにつかみたいだけだから、できるだけ早めに仕上げて」などといった言葉をつけ加えるだけで、依頼される方の印象は随分と異なります。


目の前の仕事で実績を出すというのは、大抵の場合は非常に苦しいことです。だからミッションが必要になります。「いま頑張るのは、将来こうするため」という意識があれば、自分が前に進んでいる実感が持て、仕事にも意欲がわいてきます。


実績が出ないのを「仕事内容が自分に合わないから」と言っても、そんな人はどこにも相手にされません。希望の仕事でなくても結果を出すことで、周囲の評価が高まり、「じゃあ、あいつに仕事を任せてみよう」となります。転職する場合でも、実績を上げてこそ履歴書に言ける内容が増える。


何かしらのミッションを実現するには、我慢しなければいけないことや、乗り越えなければならない壁が当然あります。私自身、何度も転職をしてきましたが、いたずらに転職を勧める気はありません。なぜなら、目の前にある仕事で実績を上げることがすべての前提だからです。


「起業して何をしたいのか」がはっきりしていなければ事業はうまくいきません。既存の企業組織に対する反発として、起業自体が目的化している人も見受けられますが、それではダメなのです。


私は研修で話す際、従業員に「必ずひとつ質問をしろ」と求めていました。そうすれば同じ話でも懸命に聞くからです。ピント外れの質問をすれば恥をかくので、どうすれば的確に相手の意図を捉えられるか考えもするでしょう。意識を変えるだけで、得られる効果は劇的に変わるものです。


明確な目標を持って業務に取り組むのと、漠然と頑張ろうとするのとでは、表に出る結果は大きく異なってきます。


ミッションを適切に進化させていくために、どうしても自分のことをその都度深く内省する必要が出てきます。それをするには細切れのスキマ時間ではダメです。ある程度まとまった時間が必要になります。若いうちは目の前の業務に追われて、なかなかそういった時間を確保しにくいでしょうが、意識してつくっていくべきです。


ミッションは立場や経験によって変わっていくものです。進化すると言ってもいいかもしれません。若い頃は自己実現や家族の幸福などのウエートが高いでしょうが、出世して立場が上がれば、部下のことや部署全体のこと、取引先のことなども含めて、「何を成すか」を考えなければなりません。経営者ならば企業全体のこと、そして社会にどう貢献するかといったことも視野に入れることが求められます。


大企業に入ったことに安住し、組織の「歯車」になってしまえば、社外で通用するキャリアは何も積み上がっていかない。


個人のキャリアという視点で捉えると、いまは大企業に勤める方がリスクは高いと考えることもできます。大企業の仕事は、関わる金額の規模などは大きくとも、業務内容などは細分化されていることが多いからです。事業のほんの一部分しか分からない人材は、外部に出ればほぼ役に立ちません。


過去には、いい大学に行って大企業に入り、そこで実績を上げて出世していくというモデルコースがありましたが、いまでは崩れ去っています。価値観は多様化し、ある意味で画一的な人生から人は自由になったとも言えます。ですが、その自由の裏返しとして、個人が自分なりの答えを見つけなければならなくなっているのです。


いま社会の変化は激しく、自分が就職した企業や業界が30年後にどうなっているかなんて誰にも分かりません。慎重になるのもうなずけます。ですが、そんな不確実な状況だからこそ、「自分はいったい何をしたいのか」という根源的な問いに対する答えを見つける努力が重要だと思います。


大学を出たあとに入った日産自動車の入社後の挨拶で、私は「社長になりたい」と言いました。当時は社長がどんな仕事か全く分かっていませんでしたが、「どうせ目指すなら最も高いところ」と単純に思っていました。根拠なんて何もなかったのですが、そうした夢を持つことは若者の特権だと感じていたのです。


日産自動車の新入社員時代、私は大きな目標を持とうと「社長を目指して頑張りたい」と公言していました。日産では実現しませんでしたが、3社の社長を経験することができました。高い目標を掲げ、公言し、自分を追い込んで努力したからだと思っています。


偉業を成し遂げるリーダーは、壮大なミッション(使命)を持っています。ビジネスパーソンの場合、「自分がこの世に生かされている理由」「何のために働くのか」といったことを考え、自分のミッションを再確認してください。


「あの人についていきたい」と言われるリーダーが持つ5つの共通点。

  1. 壮大なミッション(使命)を語る。
  2. 無私で働く。
  3. 何をすればいいかわからないときは小さな行動を起こす。
  4. 自らの権力に対して畏れを持つ。
  5. 素直な心を常に持つ。

日産の販売会社に出向したとき、トップセールスの人が書いた本を20冊以上読んだ。どの本も8割は同じことが書かれていて、この8割こそ「営業のエッセンス」。ならば、8割の本質を守りつつ、自分に合った戦略や手法を工夫すればいい。


日産自動車入社3年目、大阪の販売会社に出向になりました。一般家庭に飛び込み営業を繰り返す泥臭い仕事。腐りかけましたが、心機一転、「トップ営業になって社長賞を取る」という目標を立てて、自分を鼓舞しました。


新着Tweet


おすすめ名言


岩田松雄の経歴・略歴

岩田松雄、いわた・まつお。日本の経営者。スターバックスコーヒージャパンCEO(最高経営責任者)。大阪出身。大阪大学経済学部卒業後、日産自動車に入社。工場での生産管理や営業、財務など様々な業務を経験。カリフォルニア大学ロサンゼルス校アンダーソンマネジメントスクールでMBAを取得。ジェミニ・コンサルティング・ジャパン、日本コカ・コーラなどを経て、コカ・コーラビバレッジサービス常務執行役員、ゲーム会社アトラス社長、タカラ取締役常務執行役員、イオンフォレスト社長などを歴任。その後、スターバックスコーヒージャパンでCEOを務めた。著書に『スターバックスCEOだった私が社員に贈り続けた31の言葉』『ついていきたいと思われるリーダーになる51の考え方』『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』ほか。

ページの先頭へ