山本梁介の名言

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山本梁介のプロフィール

山本梁介、やまもと・りょうすけ。日本の経営者。スーパーホテル創業者。大阪出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、家業の繊維業を引き継ぐも、上手くいかず数年で売却。その後、シングルマンションの管理運営事業で成功を収めたのち、低価格ホテルのスーパーホテルを創業。また、シルバーホーム事業にも進出した。そのほか、社会福祉法人聖綾福祉会理事長を務めた経営者。

人を惹きつける人間力を養うには、感謝の気持ちを持つことが大切。


人の喜びが自分の喜びにならなければ一流のサービスマンとは言えません。


私どもの経営方針は拡大よりもエクセレント。まずはナンバーワンを取るというのが目標です。


サービス産業で大切なのはお客様のニーズに応え、感動していただくこと。


理念が浸透し、価値観が一致してモチベーションが上がってくれば、自然に売り上げや利益がついて来る。


人を感動させるためには、自分で考えて自分で行動しなければならない。


不満を取り去っただけではダメ。満足へつなげなければ。


逆境の際に逃げずに乗り越えようとする人だけに、ピンチをチャンスに変えるアイデアがひらめく。


人間力をつけるには、相手の立場に立って考え、感謝できる人になることです。


お客様からのクレームを「ラッキーコール」と呼び、次の戦略や戦術を生み出すための大切な要素だと位置づけています。


人に対する感謝の気持ちが強い人ほど、お客様を喜ばせることに積極的で、感動を与える人でもある。


理念を唱えているだけでは不十分で、それを実践できるようになって初めて理念が浸透したと言えるでしょう。


感性を磨くには、逃げたらダメです。他人任せにしたりせず、苦しくても自分で考え、自分から行動する。自律型であるべきだということ。


仕事でスキルを磨くことが夢の実現につながると、モチベーションが上がるものです。


バブルが崩壊したとき、どんなホテルにすればお客様に喜んでいただけるか、徹底的にヒアリング調査し、必死で考えました。


夢がないと言う人がおりますが、「夢は自分で描いていくもの」「自分探しとは自分作り」ということから伝え、夢を持つ意味を明らかにしていきます。


クレームが無くなることはありませんが、そこからヒントを得て日々改善改良に尽くしています。


仕事で自分自身を磨くことで、個人的な夢をかなえられたら一番いいでしょう。そんな仕事と夢のウィンウィンが理想的です。


客室アンケート・ワースト20以下のホテルへは本社からゴールドチームが赴いて、相談・底上げを図ります。


お客様を感動させるおもてなしマインドは「ここまでやってくれるのか、ここまで考えてくれたのか」という程のサービスを提供しようとする意識。


結局、一人では何ともならない。失敗した時に、周囲が心配して何とかしてやろうと思うかどうかが重要。そう思わせる人は成功している。


安かろう悪かろうではリピートしてもらえません。ほかのホテルの追随を許さない独自性がなければやる意味がありません。


コスト削減と顧客満足度は二律背反で、生産性を上げれば顧客満足が下がるのが経済原理ですが、私は大阪商人の気概として両方追いたいと思ったのです。
【覚書き|ノーキー、ノーチェックアウトというホテルのビジネスモデルを考案した原点を語った言葉】


ホテル業界のボトルネックはチェックアウトの仕組みでした。通常ホテルでは朝8時頃に集中するチェックアウトでお客様が嫌な思いをしないようにベテランのホテルマンを配置します。ただ10時になるともう暇になってしまう。チェックアウト業務を全部ITで自動化したことで人件費は3割コストダウンできました。


不満の除去はマニュアルでできますが、感動を与えることは、従業員が自分で考えて行動しなければできません。「自律型感動人間」を作るのが私の経営理念で、エネルギーの6~7割を費やしています。


闇雲な拡大は考えていません。ITを駆使して低コストを実現することと、自律型感動人間を育てて顧客満足を高める、という理念に沿わなければ、店舗を増やしても意味がないからです。


顧客満足度ばかり追い求めてもいけません。同様に重要なのが社員満足度だと考えています。


どうすれば社員満足度が上がるのか、それは社員に自己実現してもらうこと。


創業の精神を一言で表すと「やるからには、どこにもないことをやる」。もっと正確に言うと、「どこにもない組み合わせ」をつくり出すということ。


成功する人は、繰り返し訪れるピンチをチャンスに変えている。それには自分で運を運んでくる力が必要であり、その力を養うには「感性」と「人間力」を磨くことだ。


部屋に電話を置かず、冷蔵庫の中に飲み物を入れるのを止めたのも、100人中1人しか困らない程度のサービスはあえて切り捨てるという、徹底した無駄の削減を行なったからです。


自律型感動人間を育てるために最も重視しているのは、上司と部下との対話です。新入社員を例にあげると、まずその人の長所を明らかにします。笑顔が素晴らしいとか、声が大きいとか、そんなことでもいいのです。上司はそれを伝え、大いに伸ばしていくことで、部下の自信につなげるのです。自分に自信を持って初めて、自律型で動けるようになるからです。


社員にとっては、給料や休暇の多さ以上に、自分の成長を実感できることが一番の喜びであり、幸せです。それを実現することで組織も幸せになり、ひいてはお客様に感動を与えられるようになります。ですからCS(顧客満足)の前に、ES(従業員満足)が大事なのです。


自分自身の感性を磨き、人間力を高めるにはどうすればいいか。まず大切なのは自分で考え、自分で行動することです。それによって周囲の人に感動を与え、自分もまた感謝し、感激する。この繰り返しで感性や人間力は高まっていくのです。


20代半ばで継いだ家業を数年で手放すことになってしまった反省から、仕事に成功している人は何が違うのかを探ることにしました。同じことをしているのに、成功している人もいれば、失敗する人もいる。単純にいえば、ツキがあるかないかの違いなのでしょうが、よくよく見てみると、成功する人というのは感性が豊かで、人間力にもあふれている。それを見て、事業に成功するだけではなく、人間的にも成功する人を目指さなければならないと気づきました。


最初に家業の繊維会社を継いだのは大学を出て3年目、25歳のときでした。経営書などに学んで、得意先を格付けしたり、生産性向上を追求したり改革に取り組みました。しかし、周りの社員は全然ついてきてくれませんでした。やったことはいまでも間違っていなかったと思いますが、振り返ってみると態度が傲慢だったんですね。結局は数年で家業を手放すことになりました。


バブル崩壊後、資産価値が下がって事業が窮地に陥り、1日で円形脱毛症になってしまうほどのストレスを味わいました。仕事をしていても面白くないし、気持ちは暗くなる。でもある日、夜遅くに会社に戻ってみたら、社員が一生懸命に働いていました。ボーナスも満足に支払えないのにです。自分は周りに生かされているんだと思うと、感謝の気持ちが生まれ、再び使命感が湧いてきました。そしてそれが「やるぞ」というエネルギーとなり、ピンチをチャンスに変えるアイデアも生まれてきました。


いまでは、自分の感性と人間力を磨こうという姿勢が会社の芯となっています。それが外部機関の調査で満足度1位という評価につながっているのだと思います。


今後はアジアでの展開に力を入れたいと思います。ITによるシステムは万国共通でも、日本の経営陣と現地スタッフとのあいだでの理念の共有が最も大事だと痛感しています。


「感動を与える」という点が、リピーターの多い理由であると思われます。高級なシティーホテルが非日常の感動を提供している一方で、我々スーパーホテルが目指すのは、「日常の感動」。たとえば暑い日には、「いらっしゃいませ」ではなく、「お帰りなさいませ」という言葉とともにすっとタオルを出す。スーパーホテルの自律型感動人間は、そういうおもてなしが自然とできるのです。


スーパーホテルのお客様の7割超がリピーターです。「安全・清潔・ぐっすり眠れる」ことを心がけてきたからだと思います。もしこの点に不備があれば、宿泊料金をお返しすることにしています。実際かつては年に100万円近く返金したことがありました。今は数万円程度ですから、「安全・清潔・ぐっすり眠れる」ことが徹底されているということです。


スーパーホテルでは採用後、50日間の研修で支配人になれます。通常なら支配人になるのに10年はかかるので、「50日とは非常識」と言われそうですが、経営理念さえきちんと理解していれば支配人をやっていける仕組みができあがっているため、50日でも大丈夫です。


スーパーホテルの支配人には、自律型感動人間であることが第一に求められます。経験の有無は、当社がきちんとバックアップしているので、大きな問題ではありません。実際、ほとんどのスーパーホテルでは、ホテル業界以外から応募してきた夫婦の支配人・副支配人によって運営されています。彼らの多くは将来独立するという夢を持っているため、経営的な思考をし、自律型感動人間としての潜在能力が高い。だから採用後、50日間の研修で支配人になれます。通常なら支配人になるのに10年はかかります。


成功している人にはもちろん、なかには失敗した人にも、直接会いに行って、話を伺いました。その結果、成功と失敗を分かつのは究極のところ「運」だということが分かったのです。成功者はとにかく運がいい。偶然いい人と出会ったりして、ピンチをチャンスに変えることができるのです。運がいい人というのは、感性がいい。第六感が冴えているのです。それに、人が寄ってくるような人間力がある。


対面式のおもてなしが基本とされているホテル業界からすれば、チェックインの自動化などは非常識。異業種出身の私だからこそ、できたことです。


そもそもホテルでは、特にチェックアウトの集中する朝の時間帯、フロントに精鋭の人員をそろえねばならず、人件費がかかる。チェックイン機導入で、こうしたチェックアウトにかかるコストの問題も解決しました。お客様にとっても、チェックアウトの混雑を気にせずに済むため、朝早めに起きる必要がありません。


宿泊代を相場より低く設定しつつお客様に満足していただけるにはどうしたらいいか。考え出したのが、チェックインの自動化。チェックイン機を通して宿泊代を支払ってもらい、チェックアウトを不要にしました。部屋の電話や冷蔵庫のドリンクなど有料のサービスを導入せず、あらためて精算する手間を省いたのです。


ビジネスホテル事業を始める前に、マンション経営で培った経験とノウハウを生かせることに気づきました。宴会や飲食といったサービスは伝統あるホテルに敵わないけれども、宿泊に特化すれば強みになるのではないかと。それまでシングルマンションのお客様からは、1年以上の長期間入居されていることもあり、非常に多くのクレームを頂戴しました。そうした反省をふまえ改善の努力をしてきたので、ホテルにおいても、お客様にとって安全で清潔でぐっすり眠れる宿泊施設を提供することには自信があったのです。


ビジネスホテルの経営も始めたとき、最初は水俣や倉敷、宇部などの工業地帯。アメリカに研修旅行に行った際、工業地帯にホテルがあることに気づいたからです。不思議に思って調べてみると、工業地帯には出張や営業の人がたくさん来るので、ホテルに対する需要があることが分かりました。


私の生まれは、大阪の船場。山重商店という繊維商社の末子長男として育ちました。父の話で印象的だったのが、「関西人はケチだと言われるが、けっしてケチではない」ということ。「ドブに捨てるようなお金は一銭でも惜しむけれど、これが生き金だとあらば、身銭を切ってでも出すんや!」とよく言っていました。こうした父の考えは、今の私の経営にも息づいています。


目指すは、「お客様に満足を超えた感動をお届けすること」。そのために、従業員の感性と人間力が必要だと考え、その双方を兼ね備えた「自律型感動人間」の育成を提唱しています。


個人の夢と組織の目標は必ずしも一緒ではありませんが、自分のスキルを磨くことで夢に近づいていけるので、両者両得の関係になります。そのように考えると、仕事が体に入ってくるようになります。


私たちはフェイス(携帯型経営理念書)という経営誌を作り、毎朝読んでいます。しかし読むだけでは定着しませんので、スタッフの皆さんにこれをどのように取り組んでいるか発表していただき、それに対してコメントを付けることでフェイスの浸透を図っています。発表をすることでまず人の話を聞く、自分でこの意味を考える、実行するという一石三烏の方法です。本社では私、各店舗では支配人が中心となってこれを繰り返すことで、理念の共有を行っています。


私たちには、「最高峰のおもてなしやお客様を元気に明るくする対応は他者の追随を決して許さない」「料金当たりの顧客満足度は日本一である」という自負がありました。それを証明しようと思い、スタッフ一同で日本経営品質賞の受賞に挑戦しようということになったのです。1回目は落選してしまいましたが、2回目にして、4年越しで日本経営品質賞を勝ち取ることが出来ました。


クレームは一次と二次に分けられます。一次クレームとは、すなわちクーラーが効かないといったタイプの苦情で、直せばすぐに解決できます。しかし、適当に処理するなどお客様への対応が悪いと、二次クレームになります。二次クレームになってしまうとお客様は二度と来てくれません。苦情を一元化すると、二次クレームの発生を防ぐことが容易となるのです。


クレーム対応の一環として、ホテル業界初、お客様相談室を設置しました。お客様の苦情を素早く処理することも大切です。次の「カイゼン」に結び付けるため、苦情を全て本部に集め、次のクレームを引き起こさないように努力しています。


お客様がぐっすり眠れなかった場合、代金をお返ししています。以前は毎月100万円以上お返ししていましたが、今ではその額も100万円を切りました。枕が原因で眠れないというクレームが多々ありましたので、枕も様々な開発を試みましたが、なかなかご納得いただけませんでした。最終的には、硬いものから柔らかいものまで数多くの種類の枕を取り揃え、自分に適した枕を選んでいただくことで枕のクレームはゼロになりました。


ビジネスマンのホテル滞在時間は10時間ほどです。その7、8割はベッド及びその周辺で過ごされます。私たちはここを徹底的に高級化しました。


頻繁に出張をするビジネスマンに客層を絞り、そうした方々に最も必要なものを「安全、清潔、ぐっすり休める」の3点だと考え、この3点では絶対に他のホテルの追従を許さないよう努力しているのです。このように客層を絞り、コンセプトを絞って、低価格高品質で、料金当たりの顧客満足度日本一を目指しています。


ホテルの営業を開始するからにはひとつの分野を築くくらいの覚悟が必要だと思い、ホテル業界を調べてみると、宴会や飲食のことはどうしても伝統あるホテルに勝てっこない。しかし、宿泊に関してはまだまだ甘いところがあると思いました。


大阪府立大学との共同研究で「ぐっすり研究所」という睡眠の研究所も立ち上げ、室音や照明などの標準を決めて設計・施工しています。客室で一番問題になるのは廊下から入ってくる音。そこで扉の周りにはゴムパッキンを貼って防音効果を高めています。これで客室には40デシベル以上の音は入ってこないようになりました。これは図書館レベルの静かさです。


顧客が一番何を喜ぶかという感動の座標軸を考えます。するとそれは「自分のためにここまで考え、ここまでやってくれるのか」ということだとわかります。これはマニュアルや集団研修では教えられない各人の感性や人間性の部分。そこを磨く「自律型感動人間」の育成に全精力の半分以上を割いてきました。


客室に置いてあるアンケートを1週おきに集計して社内で一元化し、ランキングにしています。自分の勤めるホテルが何位に位置するかわかれば、反省材料にして改善することができるのです。


ライバルを意識するというよりも、人材育成などで他に先駆けて特色を出し、各地域で一番泊まりたい地域顧客満足度ナンバーワンを目指します。


お客様の不満要因だけならば、仕事のマニュアル化で取ることができます。ただ、私たちが目指しているのはそれ以上のおもてなし、お客様に感動してもらうこと。それが一番大切な部分。


現時点では、海外店舗は広告塔の役割です。海外での知名度を上げて、日本に訪問した時に使ってもらえればいいと考えています。スーパーホテルは、地価も人件費も高い場所に店舗を置いて、ローコストで運営するところに強みがあります。まだアジア諸国は人件費が安いため、こうしたビジネスモデルは早すぎるのです。ただ、新興国も早晩、経済成長と人件費高騰のジレンマに陥ると思っています。そうなればチャンスが来ます。


身だしなみ、接客、清潔感、朝食の4つをキーワードにしてお客様にアンケートを実施しています。月に1万通弱集まるのを10日ごとに集計し、全社で共有して各店舗に点数をつけています。105店のうち下位20位に2カ月間とどまっていると、ゴールド作戦チームというのが派遣されて研修します。それでもダメなら本社の研修センターで問題点の洗い出しをします。


ラグジュアリーは脳で感じるものです。高級ホテルに泊まって豪華な料理を食べると、脳が自分に良いことをしたと感じて快感になる。同じように環境に良く、健康に良いホテルに泊まったということで脳から至福のホルモンが出てくる。さらに言えば、自分のためでなく世の中に良いことをした時に最高の至福のホルモンが出るのです。


当社にはベンチャー支配人という制度があって、社員ではなく、将来独立や開業を目指す夫婦やカップルの方などに支配人、副支配人を務めてもらっています。105店のうち、小型店を中心に全体の85%程度がベンチャー支配人制度を導入しています。契約期間は4年間で、延長もできます。ここで頑張れば、数千万円の自己資金をためることができます。その後、支配人業務で得たノウハウを基に、ワイン店やカフェを運営したり、訪問介護ステーションをしたりして、成功した人がいます。


ボーナスは成果主義にしてあり、3割はどれだけ自律型感動人間に沿ったサービスをしたか、で支給しています。通常ビジネスホテルの支配人は現場で10年働いてなれるものですが、当社では50日の研修で支配人になってもらいます。自律的に人を感動させることを考えている人であれば支配人の仕事はそう難しくありません。支配人には4級から1級までライセンスがあり、例えば3級ですと月に20万円のインセンティブがつきます。


お客様がシティーホテルに行くのは非日常の感動を得るためです。ふわふわのベッドでミニバーがあってジャグジー風呂もある。枕も本当は3つ4つもいらないがラグジュアリーな王侯気分を味わえる。一方で我々は日常の感動を作っていこうと思っているんです。感動とは、ひと言で言えば「ここまで考えてくれているのか」「ここまでやってくれるのか」と思っていただくことです。


今年の夏は新潟県の新井の店舗でテントウムシが異常発生して大騒ぎになったんですが、どうしようかと思っていると、滋賀県・南彦根の店舗が虫の駆除のやり方を教えてくれたんですね。実はその数カ月前に琵琶湖でも虫が発生し、南彦根の店舗が退治法を蓄積していたんです。こういう横の連携が実現すると従業員のモチベーションはぐんと上がるわけです。


ITは生産性を上げるだけでなく、顧客満足も上げることができるんです。例えばうちの青森の店舗をいつも利用されている方がたまたま大阪に来たとしても、顧客情報を共有していれば「いつも青森の店舗をご利用してくださってありがとうございます」と一声お礼ができます。お客様の嗜好もデータベース化してあり、言われなくても角部屋を用意したり、寒がりなら毛布を1枚多めにセットしておくこともできます。


私は、大阪・船場の繊維問屋の3代目だったんです。母が跡継ぎで親父が養子に入るという典型的な大阪商人の家で、いつも家では商売の話が飛び交っていました。印象に残っていたのは、「関西人はケチと言われるがそうではない。お金の価値を知っているのが関西人だ」という教えです。どぶに捨てるカネは惜しむが、必要なカネは蔵を潰しても惜しくない。「生き金、死に金」ですね。生き金ならば、投資は惜しまずやっていますね。


当社はお客様のリピート率が70%を超えています。最初こそノーチェックアウトを実現するための設備投資や、お客様に仕組みを説明するための人員配置が必要でしたが、リピート客はいずれ説明の必要がなくなります。最終的には運用コストが減って、元が取れました。


ホテルを始める前、他のホテルとどう差別化するかを考えました。まず安全で清潔ということは外せません。その次が何かと考えた時に快眠にたどり着きました。ビジネスホテルを利用するお客様は、だいたい午後10時にチェックインして翌朝8時にチェックアウトします。10時間の滞在のうち寝ているのが7~8割ということになります。安全、清潔、快眠の3点にはお金をかけて、そのほかは大胆に切り捨てようと思ったのです。


ホテルを始める前はシングル向けマンションを展開しておりました。シングルマンションは賃貸期間が最低でも1年、長ければ10年と借りるわけですから、お客様からは音がうるさい、安眠できないなどと厳しいクレームを頂きます。ところがビジネスホテルは通常は1泊か2泊でしょう。お客様は不満足があってもただ黙って帰り、次からは使ってくれなくなるだけです。真摯なクレームを吸い上げにくいのがビジネスホテル業界の構造的な問題点なのです。ここに顧客満足度を高める余地があるなと思ったわけです。


私も仕事で世界中の一流ホテルチェーンに宿泊します。とても豪華で落ち着きますが、「眠る」ということだけならばビジネスホテルも同等に戦えるのです。乱暴な話と思われるかもしれませんが、ベッドに入って電灯を消せば真っ暗で何も見えません。体が感じるのは枕とベッドの感触だけです。


うちは、「ぐっすり眠れる」というところに力を入れさせてもらっています。空調や照明もある一定の基準を決めて導入しています。シティーホテル並みの静けさにしようということで、窓はもちろん二重サッシにしています。問題はドアの方でして、外を歩くお客様の足音などが結構聞こえたりします。 そこで接合部には上下左右4面すべてにパッキンを施して遮音する仕組みになっています。


一人ひとりの社員に自分の夢を描く機会を持たせるようにしています。社員は皆、必ず上司と部下の関係にあります。課長であっても、自分の下には部下がおり、部長と言う上司が存在します。当社では、上司と部下のコミュニケーションは「話し込み」と呼び、対話する時間が設けられています。上司は部下が自分の夢を書く「チャレンジシート」と行動計画を記した「ランクアップノート」というツールを使っています。部下の長所を知り、目標を明確化し、自分の目標と会社の目標をどのように近づけていくか考えるようにサポートします。


当社はホテル業界でIT化を先駆けて導入し、顧客満足度を上げる取り組みをしています。自動チェックイン機で宿泊費を支払うと部屋番号と鍵の代わりとなる暗証番号が印字された領収書が発券されます。この前払い式の自動チェックイン機を導入することで、ルームキーは不要になり、チェックアウトもスムーズになりました。朝のフロントの込み合いがなくなり、顧客満足度は上がり、さらに人件費も抑えられるのです。


事業ですから、利益を上げることは大前提です。業績を上げていくための目標数値を決めていますが、なぜその数字を追うのか、現場に経営理念が浸透していなければ、顧客満足を与えることは出来ません。


些細なことでも上司が長所として認めてあげれば、社員に自信が芽生えてくるはず。自信ができれば夢を持つことにつながり、仕事への腰の入り方も違ってくる。自律型感動人間の素地は、ここから生まれてくる。


感性が磨かれていればアイデアが浮かびます。そして、自分をサポートしてくれる人がいることに深い感謝が湧き上がる。それが大きな力となって、人に感動を与えられる人間へと成長させる。


私は、ビジネスで最も強いのはハングリー精神だと思っていました。でも違いました。人にとって、感謝ほど強いものはありません。それがパワーの源となり、結果としてスーパーホテルのアイデアに結びついて、お客様や地域のために取り組んでいくことができた。


スーパーホテルはおかげさまで、世界的な調査会社の「ホテル宿泊客満足度ナンバーワン」を獲得していますが、費用をかけて贅を尽くしたナンバーワンを目指したのではありません。当初から、「1円あたりの顧客満足度ナンバーワン」を目指そうと考えていました。


昨年、人口3万人に満たない市にスーパーホテルを開業しました。おそらく、通常のホテルチェーンでは収支が合わないでしょう。しかしスーパーホテルは、ローコスト運営ができるので、客室数を100以下に抑えても採算が合うのです。お陰様で、稼働率は88パーセントくらいに達しており、観光目的のお客様が増えています。


以前は経営理念をわかりやすくまとめたカードを唱和していました。しかし、唱和だけでは不十分だと思い、「話を聴く・発表する・実行する」の一石三烏の人材育成法を新たに取り入れました。それは、朝礼で毎朝一人ずつ、理念に関して自分が取り組んでいることを人前で発表してもらい、それに対して上司がコメントを返すというものです。みんないつか自分の発表の番が回ってくるので、他の人の発表をよく聴きますし、深く考え、一つでも多く実践して発表のネタを増やそうとします。これを繰り返しやっているうちに、理念が浸透するようになりました。


正直なところ、「ホテルがエコなんてケチくさい」と、私は当初尻込みしていたのですが、市民が一所懸命に取り組む姿を目の当たりにし、その熱心さに心を打たれました。町がきれいになるにつれ、市民の表情まで明るくなっていく。「エコというのはすごいパワーを持っている。人の心まで元気にする」。そう痛感させられました。


私がホテル事業を始めた二十数年前、多くのホテルは多大なマンパワーを投入し、ホスピタリティをいかに高めるかを競っていました。ところが私は、そこにITを導入し、徹底したマンパワーの省力化を図ったのです。当時のホテル業界にしてみれば、それはとても非常識なことでした。ITを導入するという発想はどこからきたのか。それは、私がスーパーホテルを開業する前に手がけていたシングルマンション事業にあります。ホテル業界の非常識に、マンション業界の常識を刷り込んだわけです。それからも小さなイノベーションを積み重ねて、徹底的に実行していきました。その結果、「どこにもないスーパーなホテル」ができあがったのです。


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山本梁介の経歴・略歴

山本梁介、やまもと・りょうすけ。日本の経営者。スーパーホテル創業者。大阪出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、家業の繊維業を引き継ぐも、上手くいかず数年で売却。その後、シングルマンションの管理運営事業で成功を収めたのち、低価格ホテルのスーパーホテルを創業。また、シルバーホーム事業にも進出した。そのほか、社会福祉法人聖綾福祉会理事長を務めた経営者。

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