小杉俊哉の名言

小杉俊哉のプロフィール

小杉俊哉、こすぎ・としや。日本の経営学者、キャリア・コンサルタント。新潟出身。早稲田大学法学部卒業、日本電気(NEC)に入社。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院でMBAを取得。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ユニデン、アップルコンピュータなどを経たのち、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授に就任。コーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム社長としてコンサルティングも行っている。主な著書に『29歳はキャリアの転機』『人材マネジメント戦略』『キャリア・コンピタンシー』『ラッキーをつかみ取る技術』『好きにやっても評価される人、我慢しても評価されない人』ほか。


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小杉俊哉の名言 一覧

居心地の良いところにいるだけでは、成長がありません。あえて違和感のある環境に身を投じることも必要なのです。


成長し続けるには原動力が要ります。原動力を持つためには、自分の将来像について明確なビジョンを持ち、そこへ向かう強い意志を持つこと。


誰にとっても絶対的に楽しい仕事などありません。捉え方次第で、楽しくも、つまらなくも思えるのです。


他人に承認を求めるということは、他人に自分のやる気をコントロールされてしまうということでもあります。


仕事に最適な心理状態に入るための自分なりのルーティンを見つけることが大切。私は、まず走ることにしています。


社内だけを見ていると、近視眼的になってしまいます。客観的で多面的な視点を持つためにも、社外のネットワークは重要です。


傍流に所属しているのだとすれば、そこで腐ってしまっては本当にもったいない。社内を客観的に見られるチャンスですから。


今日、明日の業績だけを考えていては、中長期的には評価されなくなってしまいます。


仕事ができる人は、結果のみを追い求めることはしません。「今回のプロジェクトでは、こんなことを試してみたいんです」というように、結果ではなく仕事のプロセスそのものを楽しもうとする発言が多いものです。


考えてみたが達成困難だと判断したときには、「このままでは難しいので、こうしてみてはどうでしょうか」と別の案を用意します。「できない」で終わらせない姿勢が、上司からの評価を高めます。


ものごとが上手く進んだときには、自分一人の手柄にせず、周りの人間にも感謝の気持ちを示すことが好感度をアップさせます。「おかげさまで」という言葉が自然と口に出せる人は、周囲に味方が増えていきます。


前向きな言葉を口にすることができる部下のことが、上司は大好きです。多少実力が伴っていなかったとしても、前向きで成長意欲がある部下を、上司は高く評価するのです。


上司から与えられた課題だとしても、自分の課題としてそのことに取り組み、結果にも責任を負う。そういう言動ができる人が、上司のみならず同僚からも評価を受け、信頼されるものなのです。


ものごとが失敗したときには素直に自省する姿勢を持ち、成功したときにはみんなに感謝を表す。上司や同僚から愛され、評価されるビジネスパーソンになるためには、そういう言動が大切になります。


他律的な発言も避けるべきです。私はよくセミナーの受講生に「なぜこのセミナーを受けようと思ったのですか」と質問すると、「上司から言われたからです」と答える人が少なくありません。「誰々から言われたからやっている」という類の発言は、「私は主体的に行動することができない人間です」と告白しているようなものです。


人はものごとが上手く進まないとき、他人に責任を転嫁してしまいがちです。商談が破断してしまったときに、「市場環境が……」「ライバル社が……」「先方の役員が……」などと、その理由を環境や相手のせいにしてしまうのは、典型的なパターンです。責任を相手に負わせることによって、自分を守ろうとするのです。こうした他責的な発言をする人は、失敗を糧にして次に活かすことができません。当然成長スピードも遅くなります。


「絶対に成功させます」「絶対にこの売上を達成させます」といった断定的な発言は、自分の行動を縛ることにもなりかねません。プレッシャーが強すぎると、確実に結果を求めるがあまり、リスクを伴う新しいチャレンジができにくくなります。そのため、いままでのやり方に固執することになり、環境の変化への柔軟な対応ができず、成果が出せなくなってしまうのです。


異なる視点から考えてみることができ、それを言葉にできる人は、視野が広くバランス感覚のある人物であると評価されます。


達成困難な課題や、割に合わない仕事を与えられたとき、人は「なんで自分がこれをやらなくてはいけないんだ」という愚痴がつい口をついて出てきてしまいがちです。「なんで自分が……」と思っていると、当然その仕事に対する姿勢は後ろ向きになり、結果もおもわしくないものになります。そこで多少無理があってもいいから「これは自分にとっての試練だ」とか「この試練を乗り越えることによって、自分は成長できるんだ」と、とにかく口に出しましょう。


上司から指示を受けたときに、「でも」「しかし」が出そうになったら、それを押しとどめることが大切です。その代わりに「やらせてください」「やってみます」「非常にチャレンジングな仕事だとは思いますが、やってみます」などといった言葉を口にします。こういう発言ができる人は評価されます。少なくとも、「少しお時間をください。考えてみます」くらいの発言はしておきたいところです。


人は「でも」「しかし」といった言葉を一度発してしまうと、その後に続く否定的な言葉を見つけ出そうとします。イノベイティブな仕事であればあるほど、その目標を実現できる可能性以上にできない可能性が存在しますから、否定的な言葉を見つけるのは簡単です。けれども、「できない」といってしまうと、改革や改善を成し遂げることは不可能ですし、独創性の高い新商品を生み出すことはできません。だから上司は部下のそうした発言を嫌うわけです。


職場に「笑い」を生むことも意識してください。アメリカのある研究によれば、「部下の笑いを引き出すことが上手な上司は、下手な上司に比べて3倍も生産性が高い」という結果が出ています。冗談を言ったり、とぼけた振る舞いで部下を笑わせる上司は、それだけ部下の力を引き出せるということ。


褒める習慣を持つことは、実は部下を注意したり、叱るときにも役立つ。人間には、「自分を認めてくれている人の叱責は素直に受け入れるが、自分を認めてくれていない人からの叱責は、無視したり反発したりする」という傾向がありますから。


イノベーションを起こして組織を成長に導くのは、上に言われたことをきちんとやる人ではなく、何をやるべきかを自分自身に指示して、「誰にも言われていないこと」をやる人が必要。もし上司が自分のチームで成果を出したいなら、この「セルフリーダーシップ」の習慣を持つ部下を、いかに多く持てるかがカギとなる。


「ちょっとしたことでもすぐ褒める」ことも、できる上司に共通する習慣。普段から部下の良いところに目を向け、口に出して認めてあげることが大事。たとえば、「あ、そういうふうに考えられるようになったんだ! じゃあもうこちらから言う必要はないね」というように、「結果」ではなく「行動」に対して褒めるのです。


「自分のほうが立場は上だし、経験も豊富だから」と部下の話に耳を傾けようとせず、自分のやり方を一方的に押しつける人は、今の時代においてダメ上司でしかありません。上司の指示に従うのではなく、部下が自分の頭で考えて自由に動けるようになれば、モチベーションも成長速度も上がります。


今の上司がやるべきなのは、部下を含めた周囲の人たちの知恵や能力を引き出し、チームとして成果を上げること。現在の上司の役割は、部下に指示を出してコントロールすることではなく、若い人たちが力を発揮できるように支援することなのだと理解してください。


与えられた仕事を、指示されたとおりにするだけだと、当然、マンネリになります。人間は成長し、仕事に慣れてくるからです。ですから、自分でハードルを上げるしかありません。指示されていないけれども会社のためになること、また、自分が挑戦してみたいことなどに取り組むのです。与えられた仕事以外に取り組もうとすると、与えられた仕事は早く済まそうとするようになります。仕事を早く終わらせることも、仕事に刺激を与えるチャレンジとなります。


他人がやりたがらない仕事を、自ら進んであえてやるという選択肢もあります。その仕事が自分にしかできない仕事になり、会社にいなくてはならない人材になれるからです。


私は80人ほど、各社のエースと呼ばれる人たちを人事から推薦してもらって話を聞いたことがあります。すると、ほとんどが傍流、もしくは新規事業の経験者でした。他人がやりたがらない、他人が見ていない場だからこそ、変革しやすい。変革して、傍流の部署を立て直したなら、評価は一気に好転します。最近、大手企業の社長に就任する人にも、傍流を経験した人が多い。傍流へ異動になったからといってクヨクヨする時代ではありません。


覇気のないチームにいることはある意味でチャンスです。みんなやる気がないのだから、自分でどんどん提案し、好きにやれるからです。ただし、提案が受け入れられるためには、結果をきちんと出していなければなりません。結果を出していれば、上司は提案を受け入れざるを得ません。


本当に意識するべきなのは、社内の評価よりも、世間から見たときの評価ではないでしょうか。自分の市場価値を知るためには、たとえば、転職をする気がなくても、人材紹介会社で定期的に面談するというのも一つの方法です。


多くの会社では、上司は何年かで入れ替わるでしょう。評価に不満があるなら、「今の上司の器は自分を評価できないくらい小さいのだ」と考えて、力を蓄えながら、交代を待ってはどうでしょうか。


残念ながら、日本の企業では、上司や先輩に褒められることはあまりありません。成果を他人に認めてもらって褒められるのを期待するのではなく、自分で自分の成果を認めることがポイントです。その「成果」の中の一つでも、上司や先輩に褒められたら儲けものなのです。


仕事の成果とは「自分の成長」だと考えるべきです。新入社員の頃にはとてもできそうに思えなかった仕事を、今は普通にできている。過去のある時点と今とを比べれば、誰でも何かしらの成長をしています。その成長を実感できれば、満足感を得られ、やる気が出てくるでしょう。


仕事の成果を「結果」だと捉えるからやる気が出ないのです。結果は、頑張ったからといって、必ずついてくるものではありません。どうしても、出るときと出ないときがあります。もし結果だけを成果と考えるなら、結果が出たときだけ嬉しくて、それ以外は苦しいことになります。


始める気力が出ないとき、私なら、まず難易度が低く、簡単にできそうな作業から着手します。資料を集めるなど、考えずに事務的にできる作業です。頭を使う大変な作業はなるべくあとに持っていきます。


気分というものは単純です。楽しいことがあったから、内側から楽しい気分が生じるのではありません。明るい色のネクタイを締めて出社する。女性なら、化粧に気合いを入れる。そうした外側からの働きかけでコントロールできるものです。


プロなら、たとえ多少の熱があってもパフォーマンスを上げなければなりません。私も学生時代はやる気に大きなムラがありましたが、それは周囲に甘えていたからだと思います。


私は原稿が書けないとき、まずは運動をして気持ちを整えます。それでも、どうしても書けないときは、「機が熟していない」と諦めることもあります。こうした諦めも、時には必要でしょう。


同じ部署で楽しそうに仕事をしている人がいれば、その人に話を聞いてみるのも良いでしょう。その人は、自分とは違う視点で仕事を見ているのかもしれません。一つの見方だけでなく、さまざまな視点で見ると、つまらなく感じていた仕事にも興味を持てるようになるでしょう。


仕事を細かい作業に分解すれば、頑張ればできる量なのかが見極められます。分解すると、そのそれぞれの作業の難易度と優先順位もわかり、やる気が出やすくなります。


ユニデンという会社で2年間働いたことがある。2年目、人事総務部の責任者として、外部から招かれた新社長の下で仕事をすることになった。彼は私と正反対のタイプだった。私は計画を立てるのが苦手で思いつきで動くのが好き、直感重視型であるのに対して、彼は計画ありきでデータ重視。地獄の日々が始まった。私が自分のやり方に固執すると叱責され、一日何度も電話で呼び出されては怒鳴られた。電話が鳴るたび恐怖感から毛穴が開くようになり、まずいと思うようになった。どうするか。これまでの自分を封印し、その社長のやり方に染まることにした。まず社長のことを客観的に見てみた。すると彼のやり方は、これはこれですばらしいと思えた。社長をよく知る部下や秘書にも教えを請うた。こういう場合は社長がどんな判断を下すか先回りして考え、手も打った。5カ月くらい経つと、症状も収まり怒られることもなくなった。


会社が親、社員が子であっても、親が一方的に子の面倒を見る時代は終わった。たいして成果を挙げられない、すねかじりの息子を会社は雇い続けるわけにはいかない。でも会社を儲けさせる孝行息子はいつまでも手元に置きたがるだろう。


社内起業のネタなんてそうそう見つからないと言う人は、3つの円を描いてみてください。最初の円には自分が社内でやらなければならない項目を、2つ目の円には自分がいまの役割を超えてもっとやれることを書く。最後の円には、制約ゼロという前提で、自分がいまの会社の社長だったらやりたいこと、あるいは外部コンサルタントの視点で「こうしたい」と思うことを書く。この3つの円に入る項目が重なっていれば、それは個人のビジョンと組織のビジョンが重なっているということ。その項目を事業のネタにしてみたらどうだろう。会社のためになるものなら、上司も認めてくれる可能性が高い。


運を受動的に捉えるか、能動的に捉えるか。その捉え方によって、運のいい悪いは確実に変わってきます。


仕事運を上げるには、どのような準備をしたらいいのでしょうか。第一に、世の中の先を見ようとすることです。次に、自分より上の立場から仕事を考えてみること。そして、社外に人的ネットワークを構築しておくことです。


いくら「好運」といっても、それが一回きりであったり、滅多に訪れないというのでは、それに向かって努力してもあまり意味はないでしょう。しかし心がけ次第で、連続して「好運」をつかむこともできるのです。フランスの有名な生化学者ルイ・パスツールは、「偶然は、準備のできている人を好む」との名言を残しています。つまり、好運は日ごろから準備をしている人にだけ訪れる、という意味です。


ただ口を開けて待っているだけでは、運はつかめません。自律意識をもち、いつ運がやってきてもいいように普段から準備をすることが、運を呼び込む状態をつくるのです。


利益に直接結びつかなくても、自分が人とつながり、また自分が間に入って人と人をつないでおくといいでしょう。やがてそれがネットワークとなり、思わぬところであなたを助けてくれるのです。「運のいい人」はこのようなネットワークを必ずもっています。


「自分の仕事を、部長はどう捉えているのか」「会社全体にはどういう意味があるのか」などと、大きな視点から俯瞰してみることが重要です。それによって、ビジネス全体のなかでの自分の役割や、置かれている状況がみえてきます。


クルマを運転するときのことを考えてみてください。運転中、前のクルマのテールランプだけを見つめている人はいないでしょう。前のクルマが急ブレーキをかけたら、追突してしまうからです。スピードを出しているときほど、もっと視野を広く、もっと遠くを見ようとしているはずです。仕事も同じです。これだけスピードが求められる世の中で仕事をすることは、高速道路でクルマを運転するようなもの。目の前の仕事だけをこなしているのは危険です。もっと広い世界に関心を寄せ、それといまの自分の仕事がどうつながっているのかを絶えず意識しておくことが大切なのです。最近のビジネスパーソンのなかには新聞を読まない人も多いようですが、それでは世の中全体の動きがつかめず、「交通事故」を起こしかねません。


一見して不運なことのほうがチャンスに結びつきやすく、ラッキーにみえることのほうがリスキーであることが多いのです。


いまや、この上司についていけば安泰などという世の中ではありません。逆に、ずっと同じ上司のもとで、ずっと同じ仕事をしているのは、たいへん危険なことだといえます。なぜなら、その上司が異動になったり、社内の体制が変わったりしてしまえば、いままでのやり方が通用しなくなるからです。


同じ職歴であっても、捉え方の差によって、その後のキャリアは大きく変わるものなのです。とくに、人がやりたがらない仕事、未知数の仕事をすることは、他人とはひと味違うキャリアを身につける絶好のチャンスと考えるべきでしょう。


一見して「運が悪い」ことでも、自律意識をもって取り組めば、結果的には「運がよかった」となることも、往々にしてあります。たとえば、自分の意に沿わず、会社のなかでも日陰の部署に転属されたとしましょう。これを「運が悪い」と嘆いて腐ってしまえば、そのままです。しかし逆に、「なんとか結果を出して見返してやる」と奮起できれば、異動はまたとないチャンスになります。なぜなら、そうした不人気部署には優秀な人材があまりいないため、頭角を表わしやすいからです。しかも、そういった部署は往々にして上司の管理もゆるく、好きなように仕事ができることも多い。また日陰の部署はメンバーの人数も少ないですから、多くのことを自分でこなさなくてはなりません。嫌でもマルチタスクで仕事をこなせるスキルが身につくのです。そして、結果的に社内の注目を集めることとなり、やがて本流の部署に呼び戻され、同期よりも早く出世できるといったケースも多いのです。


他律意識が強い人と、自律意識の強い人。重要な仕事を任せるパートナーとして考えた場合、どちらが選ばれるかは明らかです。「やらされ感」のある人より、責任をもって仕事をする人のほうが、一緒に仕事をして気持ちがよく、結果についても安心して任せられるのは当然です。つまり、運がいい人は「運がいいから文句をいわない」のではなく、「文句をいわないから運がいい」というわけです。


自分が関わっていたプロジェクトが失敗した場合、受動的な姿勢だと、「たまたまこんな仕事を任されて運が悪かっただけで、自分のせいではない」となります。この場合、「運」は、「会社」や「上司」といった言葉にも置き換えることができるでしょう。つまり、受け身の姿勢でいることは、他律意識につながりやすく、不平や不満を多く生み出しやすいのです。しかし、能動的な姿勢でいるならば、たとえ失敗したプロジェクトであっても、自らの意思で選んでやったことですから、愚痴よりも先に「自分のやり方のどこが悪かったか」と反省するはずです。同じ現象を前にしても、姿勢の違いによって、その解釈はまったく異なってくるわけです。


日本語で「運」というと、思いがけず天から降ってきたもののように、受け身で捉えがちです。「運がいい」というのは、偶然が重なったにすぎない。そのよし悪しは不可抗力で、自分から働きかけてどうにかなるものではない、との捉え方が一般的でしょう。では、英語で「運」を意味する「luck」はどうでしょうか。「luck」は、日本語の「運」と異なり、いいも悪いもない中立的な意味が第一義になっています。中立ですから、問題はどう能動的に働きかけるかです。つまり、「luck」を生かすも殺すも、それは自分次第であり「自分の働きかけによって手にすることができるもの」と捉えられているのです。


目標設定については、「50%ルール」がよく知られています。これは「達成できるかできないか、可能性は五分五分」というギリギリのラインで目標を設定すると、人は最も高いモチベーションで頑張るという法則です。ところが例外もあり、「誰も成功したことがないような無理難題ほどやる気が出る」というタイプが、どの組織にも1割から2割はいることがわかっています。この例外タイプには、とてつもなく高いアウトプットを求めたほうが、本人のやる気も成果もアップするわけです。よって上司は部下をよく観察し、どのレベルの目標を与えればその人の能力を最大限に引き出せるのかを見極めなくてはいけません。そのためには、最低でも週に一度、部下と一対一で話す時間を作り、仕事の振り返りと目標設定について話し合うことをお勧めします。


叱る場合に心がけるべき習慣が、アウトプットの基準を示すこと。そうすれば、部下も納得する。こちらが求めるアウトプットの基準を明確に示したうえで、それに対する「結果や行動」が不足していたら、それは上司として厳しく叱る責任がある。しかし、部下の「人格や心」を否定したり、攻撃する権利は誰にもない。間違った叱り方をすれば、部下は心が折れてしまい、知恵や能力を引き出すどころではなくなる。


時には上司が自分の弱みを見せたり、部下に助けを求めたりすることも必要です。部下の力を引き出すためには、上司がカリスマ的なリーダーシップでぐいぐい引っ張る必要はなく、むしろ周囲の人が「この人の力になってあげたい」という気持ちにさせるほうが効果的。そうすれば、部下は「チームで成果を出すにはどうすればいいか」を考え、自発的に努力や工夫をするようになるので、かえって組織は強くなる。


「できる上司」が習慣化すべきマネジメントとは、「イノベーションが生まれやすい場や環境を作ること」。ことあるごとに「君はどう思う?」などと意見を求める。どんなに忙しくても、部下から声をかけられたら、「ちょうどよかった、君の意見を聞きたいと思っていたところなんだよ」と笑顔で答える。出社したら、自分から大きな声で部下たちに挨拶する。上司がこうした行動を習慣化することで、職場の空気はガラリと変わる。


過去のビジネスモデルやテクノロジーが通用しなくなった今、組織が成長するには、新しい発想やイノベーションが必要。そのためのアイデアは、古い慣習や過去の成功事例に囚われない若い世代のほうが生み出しやすい。だからこそ、上司は「聴く」ことを習慣化してほしい。部下がいつでも上司に提案しやすいような、オープンな雰囲気を作れば、新しいアイデアも出しやすくなる。


ビジネス環境が目まぐるしく変化する今、半期に一度の面談くらいでは、部下を適切にサポートできません。こまめに意思疎通の場を設けることで、上司が部下の変化にリアルタイムで対応できると同時に、部下は「何かあればすぐ上司に相談できる」という安心感が生まれ、より円滑なコミュニケーションにつながります。一回の時間は短くてもいいので、ぜひ短期的なスパンでの部下との対話を習慣化してください。


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小杉俊哉の経歴・略歴

小杉俊哉、こすぎ・としや。日本の経営学者、キャリア・コンサルタント。新潟出身。早稲田大学法学部卒業、日本電気(NEC)に入社。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院でMBAを取得。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ユニデン、アップルコンピュータなどを経たのち、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授に就任。コーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム社長としてコンサルティングも行っている。主な著書に『29歳はキャリアの転機』『人材マネジメント戦略』『キャリア・コンピタンシー』『ラッキーをつかみ取る技術』『好きにやっても評価される人、我慢しても評価されない人』ほか。

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