経営者・社長・会社経営の名言

このページは「経営者・社長・会社経営」に関する名言を集めたページです。仕事の能率、人生の質、資産状況を変えるアイデアのヒントが詰まっています。気に入った名言は、SNSにスクラップしたり、手帳などに書き写してみてはいかがでしょうか。

経営者・社長・会社経営の名言 一覧

山内溥

市場調査? そんなことしてどうするんですか? 任天堂が市場を創り出すんですよ。調査する必要などどこにもないでしょう。


ビル・ゲイツ

自分が出したアイデアを、少なくとも一回は人に笑われるようでなければ、独創的な発想をしているとは言えない。会社の価値観や報奨のシステムもこの考えを反映すべきである。


ジャック・ウェルチ

私が臆病者だって? 戦うことが目的ではない。勝つことが目的なのだ。しかし、勝ち目がなければ撤退する。ビジネスはゲームだ。そのゲームに勝つこと。これに優る快感はない。


松下幸之助

松下幸之助の商売戦術30か条

  1. 商売は世のため人のための奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
  2. お客様をじろじろ見るべからず。うるさく付きまとうべからず。
  3. 店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何。
  4. 棚立て上手は商売下手。小さい店でゴタゴタしている方がかえってよい場合あり。
  5. 取引先は皆親類にせよ。これに同情を持ってもらうか否か店の興廃のわかるるところ。
  6. 売る前のお世辞より、売った後の奉仕。これこそ永久の客を作る。
  7. お客様の小言は神の声と思って何ごとも喜んで受け入れよ。
  8. 資金の少なさを憂うなかれ。信用のたらざるを憂うべし。
  9. 仕入れは簡単にせよ。安心してできる簡単な仕入れは繁盛の因と知るべし。
  10. 百円のお客様よりは一円のお客様が店を繁盛させる基と知るべし。
  11. 無理に売るな。客の好むものも売るな。客のためになるものを売れ。
  12. 資金の回転を多くせよ。百円の資本も十回まわせば千円になる。
  13. 品物の取り換えや返品にこられた場合は、売ったときよりも一層気持ちよく接せよ。
  14. お客の前で店員小僧をしかるくらいお客を追い払う妙手段はない。
  15. 良き品を売ることは善なり。良き品を広告して多く売ることはさらに善なり。
  16. 自分の行う販売がなければ社会は運転しないという自信を持て。そしてそれだけに大なる責任を感ぜよ。
  17. 仕入先に親切にせよ。そして正当な要求は遠慮なく言え。
  18. 紙一枚でも景品はお客を喜ばせるものだ。付けてあげるもののない時は笑顔を景品にせよ。
  19. 店のために働くことが同時に店員のためになるよう、待遇その他適当の方法を講ずべし。
  20. 絶えず美しい陳列でお客の足を集めることも一案。
  21. 紙一枚でも無駄にすることはそれだけ商品の値段を高くする。
  22. 品切れは店の不注意、お詫びして後「早速取り寄せてお届けします」とお客の住所を伺うべきである。
  23. 正札を守れ。値引きはかえって気持ちを悪くするくらいが落ちだ。
  24. 子供は福の神。子供連れのお客、子供が使いにきての買い物にはとくに注意せよ。
  25. 常に考えよ今日の損益を。今日の損益を明らかにしないでは寝に就かぬ習慣にせよ。
  26. 「あの店の品だから」と信用し、誇りにされるようになれ。
  27. 御用聞きは、何か一、二の品物なり商品の広告ビラなり持って歩け。
  28. 店先を賑やかにせよ。元気よく立ち働け。活気ある店に客集まる。
  29. 毎日の新聞広告は一通り目を通しておけ。注文されて知らぬようでは商人の恥と知るべし。
  30. 商人には好況不況はない。いずれにしても儲けなければならぬ。

スティーブ・ジョブズ

すばらしい仕事をするには、自分のやっていることを好きにならなくてはいけない。まだそれを見つけていないのなら、探すのをやめてはいけない。安住してはいけない。心の問題のすべてがそうであるように、答えを見つけたときには、自然とわかるはずだ。


土光敏夫

リスクの大きさと利益の大きさは比例するものだ。リスクが小さければ、誰もがその機会を追及するから、利益も小さい。逆にリスクが大きければ、得られる利益は大きい。利益とは、リスクに対する対価だと言わねばならぬ。


土光敏夫

どんな人にも長所と短所が必ずある。ところがサラリーマンの会話を聞いていると、短所をあげつらう減点主義が横行している。これでは人の心を腐食するばかりで職場の活力も失われてしまう。


土光敏夫

行動となって現れないような思考は無用であり、時に有害でさえある。思考と行動は相互作用を積み重ねながら成熟していくもので、その中から生きたアイデアが生まれてくる。行動は思考の芽を育て伸ばす触媒なのだ。


堀江貴文

結局何をやるにしても気合と根性ということになります。ものごとを複雑に考えずにシンプルにやるべきことをやる。東大に入りたければ覚えることをピックアップして単純に暗記すればいい。商売をやっているなら熱心にものを売ればいい。成功の道は本当にこれだけなのです。


稲盛和夫

創造的な仕事とは、高度な技術を開発するということばかりではない。今日よりは明日、明日よりは明後日と創意工夫をこらし、改良、改善を積み上げていくことである。一人ひとりが自分の持ち場で、もっと能率の上がる方法はないか、昨日の欠点をどうしたら直せるか、考える習慣をつけることだ。


渡邉美樹

ワタミには「365日24時間、死ぬまで働け」という言葉がある。別に言葉の通りにそうしろというのではない。そんな気持ちで、働いてほしいということだ。そこで心配になるのは、エリアマネージャーや店長、あるいは部長が、葛藤を通じてこの言葉を語り、社員たちに寄り添ってくれているだろうかということである。人間とは、誰かが一緒に走ってくれるから頑張れる。上司は必ず部下に寄り添い、親や兄姉のような目でみつめる。そして葛藤の中で生まれた言葉として「365日24時間、死ぬまで働け」と語ってほしい。


高原慶一朗

成功は続けておさめるのは至難の業だが、ひとつ秘訣があるとすれば、それは過去の成功を捨てることから始まる。


土光敏夫

問題とは、けっして日々解決を迫られている目前の問題をさすのではない。真に我々が取り組むべき問題とは、現状にとらわれずに「あくあるべき姿」の中に見出す不足部分をさすのである。問題意識を持つことは、このギャップを意識することを言う。問題はかくあるべき姿を求めて、日々真剣に自己の任務を掘り下げ追求し続ける意欲のある人の目にのみ、その真の姿を現す。問題とは、発見され創造されるものなのだ。


小林一三

成功の道は信用を得ることである。どんなに才能や手腕があっても、平凡なことを忠実に実行できないような若者は将来の見込みはない。


小林一三

下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。


ジャック・ウェルチ

優れていること競争力があることは、正直であること誠実であることと矛盾するものではありません。


藤田田

凡眼には見えず、心眼を開け。好機は常に眼前にあり。


藤井義弘

一日一生。最善を尽くして神に祈り、神に祈り手最善を尽くす。悔いを残さないよう努力すればおのずから道は開ける。


江戸英雄

運に恵まれるには、努力が必要である。


石坂泰三

いま売っている製品を永久に売るということでは駄目で、先を見越して新製品を作ることが必要だ。


伊庭貞剛

事業の進歩発達に最も害をするものは、青年の過失ではなく、老人の跋扈(ばっこ)である。


小林一三

金がないから何もできなという人間は、金があっても何もできない人間である。


小林一三

自分の長所を磨くことを忘れて、無理からに常識にのみよる行動をとる若い平凡人が多すぎて困る。


小林一三

人に頼り、人に期待するのが一番いけない。


小林一三

乗る人がいなくて赤字になるなら、乗る客を作り出せばよい。それには沿線に人の集まる場所を作ればいいのだ。


ジャック・ウェルチ

すぐれたことを成し遂げるのは戦略ではなく、すぐれた人間だ。常に燃え上がれ。ただ進め。冷静な、理性的な言動はいらない。会社では効率という言葉を使うな!頭の固い会社人間になっては駄目だ。


ジャック・ウェルチ

スピードはきわめて重要だ。競争力に欠かすことのできない要素である。スピードがあれば、企業も、従業員も、いつまでも若さを保てる。スピードは習慣になりやすいし、アメリカ人が大好きなものだ。これを利用しない手はない。


サム・ウォルトン

安く仕入れた分の儲けは、お客に還元するのだ。すべてはお客が決める。お客様はすべて正しい。


藤田田

傍観者ではダメである。どんな仕事でも、当事者になることが肝心である。


藤田田

不景気は商売がうまくいかない原因ではなく、平等に与えられた条件にすぎない。


佐治信忠

市場調査ばかり信用するな。ヒットして初めて分かる理由がある。事業展開には数字に表れない時代の感性が必要。


佐治信忠

悠々として急げ。


佐治信忠

パソコンのキーを叩けば、過去の記録はいくらでも出てくるけど、明日のことは誰も教えてくれない。勘がなくなったら社長を辞めるべき。


江戸英雄

経営者は人間として部下と対峙できるか。その時、自分を支えるのは公私のけじめをはっきりさせた身辺の清潔さである。


早川種三

従業員の団結と協力なきところに再建はない。
【覚書き:上記は興人の再建成功後に語った企業再建の哲学】


宇佐美洵

一人で耐えねばならぬ問題は仕方ないが、何事を決定するにも、できるだけ多くの人と接触することを心掛けた。
【覚書き:5年間の日銀総裁任期を振り返っての言葉】


三澤千代治

欲のない年寄りの話に真実がひそんでいる。


井村荒喜

日に新たでなければ楽しみもなければ希望もない。人生の経営というものは、一切をかけて、ただ生涯の最後のものにつながってゆくのだろうと思う。


安藤楢六

最初から和尚はない。拭き掃除から洗濯まで、小僧の苦労を重ねてこそ大和尚になれる。


久米豊(経営者)

僕は社員にあまり同質化するなと言っているんです。同質化の強さもありますが、ひとつ狂うとすごく脆い。


小林一三

すべての事業の対象は大衆であり、どんな仕事の末端も大衆につながっている。


本庄正則

最後に頼りとなるのは神の与えてくれた運と縦横の人間関係しかない。


ジャック・ウェルチ

変化はつらい。だが、ビジネスの世界では避けがたいことだ。あなたに残されているのは、名残惜しいだろうが、過去に別れを告げることだけだ。もう終わったことなのだ。昔に日々は返ってこない。


土光敏夫

死んだあとのことは引き受けてやるから、死ぬ気でやれ。


亀井正夫

長所を見て配置する。責任をとる決断が部下を動かす。部下の家族関係を知る。公私の別は率先垂範する。常々現場の状況を把握する。


永谷嘉男

小規模な企業が生き残るには、局地戦に勝て。


エリック・シュミット

集団は個人より賢い。リーダーにとって最も重要な資質は聞いて学ぶ能力です。なぜならば誰も全てを知る事は出来ないからです。


エリック・シュミット

アイデアがあるのならやってみなよ。10人に聞いてみて駄目だったらまたやり直せばいい。


ハワード・シュルツ

どんな場合にも情熱が大切な要素であることは確かだ。いかに優れた事業計画でも、それを推進する人たちの熱意と誠意がなければ成果を上げることはできない。


エリック・シュミット

重要なのは、グーグルの文化を維持すること。グーグルの文化とは、ユーザーを最優先し、製品の質と操作性を絶えず向上させること。


エリック・シュミット

大事なのはアイディアの間違いを認めすぐに修正すること。


中條高徳

攻撃は防御の最高の在り方であるが、その逆に防御は攻撃のかわりになりえない。ビジネスの世界にもぴたりと当てはまる理念である。


五島昇

事業とは、最後は浮沈をかけた勝負である。
【覚書き:父、五島慶太の生き様から学んだ経営哲学について語った言葉】


藤田田

健全なる肉体に健全なる精神が宿るように、笑顔の店には金が宿る。


藤田田

身を粉にするな、頭を粉にせよ。最悪のあとには必ず最善がある。いかなる苦境にも屈しない強さを身につけていれば、おのずと道は開ける。


リー・アイアコッカ

商品が良ければ、優れたマーケッターである必要はない。


藤田田

世の中の動きというのは、実態はみんなが考えているよりも速い。だから現場を知らない机上の政策はいつも後手後手に回るのだ。


藤田田

人生は希望を6割達成できればまあまあいい。7割いけば上出来である。8割できれば感謝すべきなのである。


石坂泰三

日本に今一番大切なものは、経済道義の高揚である。
【覚書き:経団連会長時に、いまの財界に何が必要かと問われた時の返答】


永野重雄

ついに夜逃げするよりなくなった。話には聞いていたが、こんなにたまらないものかと、身に染みて知らされた。
【覚書き:富士製鋼再建に奮闘している最中、昭和大不況が発生し窮地に陥った時を振り返っての発言】


エリック・シュミット

クリエイティブになれ!と部下に叱咤してクリエイティブにはならない。


中内功

自ら信ずること少なき者が、他の人々に福音を説くことは不可能である。飛びくる矢にたじろがず、木石のごとき非情な精神を持たねばならぬ。


安部修仁

勝つまでやる。だから勝つ。


鈴木清一

自分に対しては、損と得とあれば損の道をゆくこと。他人に対しては、喜びの種まきをすること。


佐治敬三

いつかは誰かがやらねばならないことがある。だからうちがやる。努力しなければ会社はやがて傾く。


リー・アイアコッカ

利益しか生まないビジネスは、むなしいビジネスである。


五島昇

企業は愛されるだけでは駄目だ。尊敬される怖さを持て。


鈴木永二

毎日の生活を、与えられたものではなく、みずから創り出していくものと考えたい。


高原慶一朗

一、尽くし続けてこそナンバーワン。
二、人生の三惚れ(職縁、地縁、血縁)。
三、明・暖・和(明るくあたたかく和やかに)。


山内溥

運です。運が良かったんです。それを「この結果は俺の経営がうまかったんだ」とか「俺に力があったんだ」なんて思うと、もう駄目ですね。運です。


小林一三

出世の道は信用を得ることである。

  1. 正直でなければならぬ。あの人には気を許すことができないと言われるようでは、信用は得られぬ。
  2. 礼儀を知っていなければならぬ。粗暴な言辞、荒っぽい動作では、これまた信用は得られない。
  3. ものごとを迅速、正確に処理する能力がなければならぬ。頼まれた仕事を催促されるようでは、やはり信用が得られない。

ビル・ゲイツ

成功は、最低の教師だ。優秀な人間をたぶらかして、失敗などありえないと思い込ませてしまう。


生田正治

新入社員には「失敗しろ」といっています。ただし、同じミスを二度繰り返しているようではプロになれません。「ミスは恐れるな。ただし隠すな、繰り返すな」これがポイントです。


ジェフ・ベゾス

成功の秘訣は、他社の動向に気を取られないことだ。


藤田田

怪しげなものが売れる。ダイヤモンドがなぜ売れるかというと、ダイヤモンドの持つ妖しい光が女心を微妙にくすぐるからにほかならない。ダイヤモンドに限らず、怪しげなものは商品になる。”あやしげなもの”これを売りさばくことだ。


山内溥

世間はよく成功者を手放しで尊敬してしまうが、成功者の言葉ならなんでもかんでも金科玉条のようにあがめるのはおかしい。


江戸英雄

経営者としての肩書きを取り去ったあとの人間の中身を、部下の社員の目にさらしたとき、恥ないだけの自信があるかどうか。


大屋晋三

常に先制の妙を発揮せよ


藤田田

政治が消費の拡大に全く無能である以上、われわれは自己防衛せざるを得ない。景気循環説は通用しない時代に入っているようだ。


奥田碩

深く考えることも大切ですが、同時に日本人は動かなければならない。素早い行動と実践です。固定概念に凝り固まって動きが取れない人が多すぎる。じっと我慢して台風が過ぎ去るのを待っている。それでは何も変わりません。トヨタには「改善は巧遅より拙速を尊ぶ」という理念があります。改善は時間をかけて上手にやるより、ヘタクソでもいいからとにかく早くやるべきだという意味です。


奥田碩

上手くやろうとすればするほど、準備に時間がかかり、機会損失は拡大する。下手でもいいからやってみて、上手くいかないところは、その都度、直していく方がずっと効率的です。


奥田碩

果敢な行動を評価する価値観が作られれば、日本は大きく変わる。そうなれば、日本人はもっとアグレッシブになれるし停滞した闘争心に火をつけることにもなります。そもそも日本は競争をできるだけ避けてきました。運動会のかけっこでも順位はつけないなど、競争心を抑え込む教育をしてきました。安っぽい平等を追求した結果、やる気を失う子供が増えています。


奥田碩

私は日ごろから、「変わらないことは悪いことだと思え」と言い続けています。同時に、変わることをためらう人がいれば、「変革に加わらなくてもいいから、変革の邪魔はしないでくれ」と言っています。変革を実行するのは、企業なら従業員一人一人だし、国家なら国民一人一人です。


ジャック・ウェルチ

経営者にとって人を切ることこそ、つらい決断はない。しかし、「人を切るのを楽しむ人間」「人を切れない人間」は会社を経営すべきではない。


立石一真

ダメと決めつけるのはたやすい。しかし、改善の余地ありでなければ、創造の将来はない。「まずやってみる」が我々が築き上げてきた企業文化なのだ。


ジェフ・ベゾス

(多くの企業が上手くいかないのは)各地域の担当者がローカルのお客さんではなく、本社の上司を喜ばせようとするからです。


藤田田

儲けるとは何か。簡単なことだ。去年より売り上げを伸ばし、利潤を上げればよいのである。これを毎年繰り返していけば、企業は必ず成長していく。


都築幹彦

人間40代ぐらいが体力知力とも一番充実している。だから40代の役員や部長がドンと構えている企業ほど戦闘力も高い。


西室泰三

私は従業員を大事にしたいと思っています。それこそ縁あって東芝で一緒に仕事をしているわけですから、教育にもお金をかけています。【覚書き:東芝社長時代の発言】


サム・ウォルトン

サム・ウォルトンの成功するビジネスを築く10カ条
【ルール1】自分のビジネスに専念する。
【ルール2】アソシエート(従業員)との利益を分かち合う。
【ルール3】パートナー達への動機づけをする。
【ルール4】パートナーに対してはすべて公開する。
【ルール5】アソシエートへの賞賛と感謝をふんだんに。
【ルール6】成功の祝福する。
【ルール7】社内の声を大切にする。
【ルール8】お客の期待を越えよう。
【ルール9】経費を抑制しよう。
【ルール10】逆流に向かって進め。


藤田田

世界の冠たる商人たちは、決して「ギブ・アンド・テイク」などとは言わない。彼らのモットーは「テイク・アンド・アスク・フォーモア」である。つまり取ったうえで、「さらにもっとよこせ」というのである。これなら儲かる。


立石一真

企業は生き物で、いつも変化しているので、経営者は常にそれを見守って組織の修正を早手回しにすべきだ。
【覚書き:この発言当時、社員数が1700人を超えたため、本社の部長級の人員を専務として各工場に転出させ業務の効率化を図っていた】


山内溥

二十一世紀のソフトに大容量はいらない。そんな人海戦術を要する仕事をしていたらソフト会社はみんな沈没する


山内溥

いつまでもソフトの数がものを言う時代は続かない。数を増やすために手を広げるつもりはない。


渡邉美樹

笑顔のない店に手を打つ方法は、たったひとつ。その店をつぶすことである。何もそこまでと思う人がいるかもしれないが、ここまで来てしまった店はつぶすしかない。お客様がこの店を使って本当に良かったと思ってくれる店でなければ、ワタミの店の存在意義がない。


藤沢武夫

竹は温暖なところでは節と節の間がのんびりと伸びてしまうので、強風や雪にあうと折れやすい。しかし風雪に耐えた竹は節と節の間が狭く、がっしりと育ってたくましい。


小林陽太郎

企業は経営者次第といわれる。しかも業績がよくなる時より悪くなる時の方が経営者の占める比重が大きい。


渋沢栄一

人生の行路は様々で、時に善人が悪人に負けたごとく見えることもあるが、長い間の善悪の差別は確然とつくものである。


安藤宏基

優秀な人材を育てるには会社の機能を細分化し、その部門の責任を持たせるのが一番よい。責任を持っていろんな仕事に挑戦していくことは企業活性化にもつながる。安住していては社内が保守化官僚化する。知恵を出せ、核分裂してみんなが会社の社長になれ。


萩原吉太郎

会社の財産は人間である。自己を捨てて会社のために尽くそうという人がたくさんいることは、私としては本当に心強い。


丹羽宇一郎

自分の利益よりも、まずまわりの幸福を考える。それがリーダーの条件だ。


早川徳次

良いアイデアの生まれるのは、儲からなくて何とかしようと苦しんでいるときである。だから私は、儲かることをあまり喜んでいない。


本田宗一郎

人真似をするな。楽をしたければ人真似をするのも自由だが、そうなると企業は転落と崩壊の道をたどり始める。


本田宗一郎

技術者だからそこ自重してはならない。技術者の正装とは真っ白なツナギ(作業着)だ。


本田宗一郎

私の最大の光栄は、一度も失敗しないことではなく、倒れるごとに起きるところにある。


永守重信

私は「一番以外はビリだ」と思って生きてきました。二番でもいいなんて言う考え方は駄目です。それから、異端者を評価しない会社も問題です。ちょっと変わった人間が世の中にないものを生み出している。


本田宗一郎

資本がないから事業が思わしくないとの声をよく聞くが、それは資本がないからではなく、アイデアがないからである。


本田宗一郎

社長なんて偉くも何ともない。課長、部長、包丁、盲腸と同じだ。要するに命令系統をはっきりさせる記号に過ぎない。


本田宗一郎

やろうと思えば人間はたいていのことができると私は思っている。


本田宗一郎

私はうちの会社のみんなに、「自分が幸福になるように働け」っていつもいってるんですよ。会社のためでなく、自分のために働けって。


本田宗一郎

進歩とは反省のきびしさに正比例する。とかく他人にきびしく、自分自身に寛大なのは凡人の常だ。


本田宗一郎

嫌いなことをムリしてやったって仕方がないだろう。私は不得手なことは一切やらず、得意なことだけをやるようにしている。金をかせぐよりも時間をかせげ。


本田宗一郎

当時、一生懸命がやたらと尊ばれた。たんなる一生懸命には何ら価値がないことを為政者は教えなかった。だから国民は一生懸命が価値を持つためには、正しい理論に基づくことが前提条件だということを悟らなかった。


本田宗一郎

こんなところで遊んでないで、さっさと帰って油まみれになって働け!
(覚書き|経営者向け勉強会に講師として呼ばれたときに発した言葉。理論や勉強は大切だがそれ以上に実務の中で培われるものを大切にし、一生懸命汗水たらして自分の事業を行えと戒めた言葉。)


本田宗一郎

芸術でも技術でも、いい仕事をするには、女のことが分かってないとダメなんじゃないかな。


本田宗一郎

私の現在が成功と言うなら、私の過去はみんな、失敗が土台作りしていることにある。仕事は全部失敗の連続である。


本田宗一郎

何かを深く信じれば、誰でも自分の中に大きな力を見つけだし 自分を乗り越えることができる。


ジャック・ウェルチ

余儀なくされる前に、改革せよ。


杉山金太郎

私は学校時代から考えていたのだが、商売人は、ときとすると、駆け引きをして嘘をつくことを商売の常道と考えがちである。これはとんでもない過ちなのだ。私は世の中に立っていく以上は、士魂商才の精神をもって進まなくてはならないと考え、その信念を堅持してきた。技術面では品質の改善、営業面では優良品の薄利多売の方針で臨んできたわけである。


松下幸之助

些細なことをおろそかにしない心がけが人生を大きな成功へ導く。


藤田田

ビジネスは「勝てば官軍」である。企業は勝たなければならない。勝つことによって、社会にいろいろな主張が言えるようになる。実績を上げられない経営者が何を言っても、負け犬の遠吠えとしか世間は見てくれないであろう。敗者は滅びるのみである。


稲盛和夫

リーダーの行為、態度、姿勢は、それが善であれ悪であれ、本人一人にとどまらず、集団全体に野火のように拡散する。集団、それはリーダーを映す鏡なのである。


ジャック・ウェルチ

我々の行動のすべては、顧客の獲得か、顧客の維持を目的としている。


ジャック・ウェルチ

花を育てるには、肥料と水を両手に持って、常に両方をかけなくてはいけない。うまく育てば美しい花壇になる。育たなければ抜くしかない。経営もそれと同じだ。


ジャック・ウェルチ

人が第一、戦略は二の次と心得ること。仕事でもっとも重要なことは適材適所の人事であって、優れた人材を得なければ、どんなにいい戦略も実現できない。


稲盛和夫

先入観に基づいて経営を行ってはならない。枠にとらわれない「心の自由人」でなければ、クリエイティブな発想も高い利益率も達成できるはずがない。


稲盛和夫

製品には、つくった人の心が現れる。粗雑な人がつくったものは粗雑なものに、繊細な人がつくったものは繊細なものになる。「製品の語りかける声に耳をすます」くらいに、繊細で集中した取り組みで、製品をつくり上げるようにしなければならない。


稲盛和夫

人を動かす原動力は、ただ一つ、公平無私ということだ。天賦の才を決して私物化してはならない。むしろ、謙虚に、集団のためにその才能を使うべきなのだ。誰かと議論を行う際は、初めに相手の立場を考え、相手を思いやることのできる心の余裕が必要だ。そうすれば、互いの相違を乗り越えた、本当に建設的な議論ができる。


稲盛和夫

お客様から「尊敬」されるようになれば、たとえ他の会社が安い価格を提示しても買って下さるだろう。商売の極意とはお客様の尊敬を得ることだ。売る側に高い道徳観や人徳があれば、信用以上のものが得られる。


山内溥

日本ではブームに乗ったと思ったら執着しないほうがいい。それはもう売れなくなるという意味だと受け止めるべきで、善後策をたてておかないと手痛い目にあう。一つの価値観や目先の目標にとらわれないことこそ大切。


ジャック・ウェルチ

われわれは失敗にも報酬を与えている。機能しない照明器具を作ったチーム全員にテレビセットを贈ったこともある。そうしないと、社員は新しい挑戦を避けるようになる。


ジャック・ウェルチ

(ライバルと)差をつけることはきわめてむずかしい。それが簡単だと考えている人は組織にいるべきではなく、それができないと考える人もいるべきではない。


本田宗一郎

世の中で一番素晴らしいものは若者のエネルギーだよ。こりゃあ進歩の原動力だ。社会ってのは常に有為転変するものだ。若い連中はそれに合わせて、ちゃんとやっていけるけど、年寄りはそうはいかない。だもんだから「今の若いものは……」なんて批判する。口で言うだけならまだいいが、伸びる芽まで摘んでしまっちゃ駄目だよね。そうなったら、老害以外の何物でもないからね。そう考えたから、俺は第一線から身を引いたんだ。人間、はじめるよりも終りのほうが大事なんだよ。


ハワード・ストリンガー

私はソニーに入るまで、ソニー製品は絶対壊れないと思っていた。それは、私が買ったソニー製品が壊れたことがなかったから。


スティーブ・ジョブズ

当時は分からなかったが、アップル社に解雇されたことは、私の人生で起こった最良の出来事だったと後に分かった。成功者であることの重さが、再び創始者になることの身軽さに置き換わったのだ。何事につけても不確かさは増したが、私は解放され、人生の中で最も創造的な時期を迎えた。


スティーブ・ジョブズ

アップル社再建の妙薬は、費用を削減することではない。現在の苦境から抜け出す斬新な方法を編み出すことだ。


スティーブ・ジョブズ

iPodより高価なスニーカーもある。
(覚書き|iPodの価格が300ドルというのは高いのではないかという質問に対するコメント。商品の値段よりも、値段が高くても顧客が喜んで買ってくれるような価値を持つ商品を発売すればいいという趣旨の発言)


スティーブ・ジョブズ

あなたがテレビのスイッチをオンにするのはあなたが自分の脳のスイッチをオフにしたいからだと思います。それに対してコンピュータで仕事をするのは、脳のスイッチをオンにしたいときではないでしょうか。


スティーブ・ジョブズ

イノベーションは誰がリーダーで、誰が追随者かをはっきりとさせる。自分がクオリティの基準となりなさい。すばらしいアイデアが要求される環境に慣れてない人もいる。


スティーブ・ジョブズ

方向を間違えたり、やりすぎたりしないようにするには、まず本当は重要でもなんでもない1000のことにノーと言う必要がある。


ジャック・ウェルチ

イノベーションをもたらす二つの方法

  1. 独創的で役立つものを見つけること。新たな分子、画期的なソフトウェア、市場のルールを変えるような技術などを見つけることだ。このような通常のタイプの革新は、たとえばガレージで見つかるとか、たまたま偶然に生じることもある。企業が新たなアイデアを歓迎し、褒賞を与えるようなカルチャー(企業文化)を積極的に築けば一層多く生じる。
  2. 改善を継続的かつ積極的に行う。企業はまったく新しい概念を見つけ出して革新を遂げなくてはいけない。ベストな方法を捜し求め、採用し、それをたゆまず改善し続けることで革新を遂げることができる。

ジャック・ウェルチ

自社にぴったりな戦略を見つける5つの質問

  1. 競争する市場はどんな状況か?
  2. 最近、競争相手は何をしているのか?
  3. 私たちは最近、何をしたのか?
  4. 夜眠れなくなるような出来事あるいは起こりそうな変化があるとすればなんだろう?
  5. 以上のことをすべて踏まえて、私たちは勝つためにどう行動すればいいだろう?

ジャック・ウェルチ

組織に不可欠な三つの要素

  1. やる気を起こさせるようなミッション。はっきりとした目的を与え、部下が興奮してせきたてられるようにして働く気になるようにさせるもの。
  2. 明確な価値観。または行動規範。ミッションを達成するために、どのような行動をすべ貴下の指針を与えるもの。具体的で現実に即したものであればなんでもいい。
  3. 率直で厳格な評価システム。部下に結果を出しているか、価値観に沿った行動をしているかどうかを知らせるためのもの。

ジャック・ウェルチ

4タイプの管理職と彼らへの対処法

1)良い業績を出し、会社の価値観に基づいて行動するマネジャー
ことあるごとに褒め称えて報酬を与える。
2)業績はあげられないが、会社の価値観をきちんと実行しているマネジャー
社内のほかのポストに移動させる。別のチャンスを与える。
3)良い業績を上げるが、会社の価値観に従わないマネジャー
彼らは通常、組織を破壊する。こういうやつらを長く会社に居座らせてしまうと、社員のやる気と信頼を損ねることが多い。クビにする。
4)仕事もできないし、会社の価値観にも従わないマネジャー
即刻クビにする。

ジャック・ウェルチ

「私の会社で”選別(※)”を適用するにはどうすればよいのでしょう。うちの会社や国では簡単に人をクビにできないと思います」とよく質問される。定期的な人事考課の面談の席で、あなたの業績は下から10%に属していますよと言われれば、その社員は自発的によその会社に移っていくようになる。そしてたいていの場合、もっと自分にあった職業を見つけてくる。底を這っているような状態のまま、会社に居残りたいと思う人はほとんどいない。
(※選別=業績上位20%は昇進させ、70%は育成し、底の10%は解雇するというGEの人事制度)


鬼塚喜八郎

中小企業は資本・人材・経営者の力量などが限られている。だから大企業の隙間を探し、その小さい力を一点に集中投下し、錐(きり)でもむように市場に食い込まなければならない。


宮内義彦

欧米の経営者が、日本の中小企業経営者のように、生活のすべてをかけてビジネスをするというのは考えにくいことです。企業経営は生活の糧を得る=命を守るためにやるわけですから、欧米の経営者にとって命がけの経営というのは理屈に合いません。


宮内義彦

現在では人事評価を少しでも間違うと、優秀な人材が会社からいなくなる可能性が高くなっています。人事評価は「真剣勝負の時代」になりつつあります。正しい評価に基づいた報酬制度にしないと、他社でもっと良い処遇を受けられる自信のある社員や実際にそういう実力を持った社員は、次々と会社を辞めていくかもしれません。


宮内義彦

私は社内にはない特殊な才能を持っている人材が必要なときには、成功報酬型の条件で外部から招くことが最も有効だと思っています。プロ野球の世界では、有力な選手の獲得のために数億円の年俸を出したりするのですから、ビジネスの世界でも外部から成功報酬型で人材をスカウトしてくるのは何も驚くほど新しいことではありません。


宮内義彦

知識社会では、たゆまぬ創造性を発揮しなければ企業は存続できないことでしょう。このため、コア社員(知の創造のできる中心的な社員)には長い期間、従来の日本型雇用のように定年まで働いてもらう必要があります。連綿とした知識創造のノウハウを暗黙知として組織内で継承して、そうした作業の継続を企業の社風にまで高めるような役割が求められます。


宮内義彦

コーポレート・ガバナンスの本来の意味は「経営者が株主のために企業経営を行っているか監督する組織」のことです。もっと短く言うと「経営者に対する監視制度」ということになります。取締役は株主を代表して、業務執行にあたる経営者を監督するのがその役目です。執行当事者のほとんどが取締役を兼ねている日本の現状では、この目的の達成は難しいでしょう。


宮内義彦

グループ経営のもとでは、子会社の株式公開とは自らの一部を売却することです。株式公開が本質的に会社を他人に売る行為である以上、なぜ売らなければいけないのかを企業経営の観点から考える必要があります。上場というのはそれだけで何か素晴らしい行為というわけではありません。本質的に会社の一部を他人に売却する株式公開は、他人に株を持ってもらう、すなわちその会社の所有者になってもらうことであり、当然、その後の果実の一部はその株主に帰属します。


宮内義彦

経営者にとって自社の株価を高めることは、株主重視経営に繋がっていくだけではなく、株式交換制度の導入によってM&Aを有利に進めるという具体的な意味合いを持つことになりました。自社の株価を高めるには、健全な財務体質、高収益、高成長を実現しなければなりません。つまり中長期に高い成長のできる企業は財務内容を充実し、株価も高い評価を得てM&Aのような斬新な経営方針を実現できるようになるわけです。


宮内義彦

複数の企業によるアライアンス(提携)の基本理念は共存共栄です。企業が協力して新しいネットワークを構築し、協同することによって互いの利益総額が大きくなります。互いのコアビジネス、つまり得意技同士を持ち寄って、何かあがらしいシステムを作る企業間提携は、これまで単独の企業ごとではできなかった異業種のノウハウを結集できます。うまくいけば、斬新で参入障壁の高いネットワークも作りあげられます。


宮内義彦

私が理想かもしれないと思うのは、企業の期間利益の目標を100とすると、その120%くらいをコアビジネスで計上できる力をつけ、そのなかから20%程度を隣接分野や周縁、外辺などへ先行投資を常に行うことです。そうできればコアビジネスが万が一縮小するようなことがあった場合でも、新しいコアビジネスの芽が生まれる循環が期待できるからです。


宮内義彦

得意技を見極める基準も効率です。資本効率の高い分野は、それだけ付加価値のある仕事をしていることになります。なぜなら、市場経済においては付加価値のある商品やサービスでなければ市場で売れず、利益も上がらないからです。したがって、利益の上がるビジネスが得意分野で、儲からないビジネスは不得意分野ということになります。もちろん、儲からないビジネスの中でも中長期的な成長の糧となる先行投資分野については別です。


宮内義彦

無数の参加者がしのぎを削る中で、ユーザーに選んでもらえるものを提供しようとすると「選択と集中」が不可欠となります。選択と集中とは、得意な分野とそうでない分野とを見極めて、得意分野に特化することを意味しています。なんでもやって、しかも市場ですべて評価されることをしたらこれはもう奇跡でしょう。しかし、現実にはそうした奇跡は起こりません。


宮内義彦

オリックスでは、以前から「オリックスの経営陣は『中長期的にこの会社の成長を見届けたい』という株主を重視している」と繰り返し株主に伝えてきました。これは暗に「短期的な投資効率を追求しようとする株主の期待に応えるつもりはない」ということを意味しています。それを許せないと思う方はどうぞ株を売ってくださいという意味です。経営者が株主像を明確に示し続けることで、少しずつでも経営者の思い描く株主像と実際の株主構成とを近づけていく努力は大切だと思います。


宮内義彦

市場原理の働いている社会というのは優勝劣敗の世界です。弱肉強食の世界だとよくいわれていますが、市場経済では、強いものが弱いものを直接打ち負かすわけではありません。売り手が買い手に向かって勝負を挑み、買ってもらえれば勝ち、買ってもらえなければ負けという間接的な勝負です。


宮内義彦

市場経済では企業は常に安定性がなく、今日のチャンピオンは明日もチャンピオンであるという保証はまったくありません。たとえば、昨日は焼きたてのビスケットが飛ぶように売れたから、今日も同じ品物が同じ値段で売れるだろうと思って店先に並べても、まったく売れないということが起こります。それはビスケットの味が落ちたわけではなく、たとえば、ただ単に消費者が今日はチョコレートが食べたかっただけなのです。


宮内義彦

市場に評価される商品とかサービスを作り出す能力は、得意分野に特化することでしか養われないもののようです。個々の企業の持つ経営資源は限られており、どこにも負けない専門領域もそれほど広くはないことが理解できれば、そのなかで生き続けるには「得意技を磨くしかない」ということになります。その結果が顧客に評価されたら、それで得た利益をまた得意技のところへ集中投資していく。こういったことの繰り返しが市場経済における企業戦略の基本だと思います。


宮内義彦

収益性で得意分野を判断して、得意分野に集中して経営資源を投入する一方で、利益の上がらない分野からは撤退することは、資本効率を求める株主の要求と一致します。利益の上がる分野に集中する一方で利益の上がらない分野から撤退すれば、それだけで利益が上がるからです。市場経済と効率経営と株主資本主義は一体の関係にあるのです。


宮内義彦

「オリックスはこんなにいろいろな事業に手を広げて大丈夫か」と聞かれることがありますが、私たちは違ったことをたくさんやっているという意識はありません。元を正せば、金融サービスというコアビジネスに特化した結果が、隣接部門への進出する意欲を与えてくれたのです。しかし現時点で経営資源の大部分を投じているのは、あくまでコアビジネスであり、これへの注力なくしては多角化の芽生えはあり得ないものです。


宮内義彦

M&Aは経済全体が低成長の中でも縮小均衡せずに収益の拡大を可能とする手法のひとつです。M&Aだけに依存するのは問題ですが、経営の中にM&Aを取り込むことで戦略の幅が広がるのは間違いありません。M&Aを有利に進めるためには、経営内容に優れ、結果として高い株価が実現していなければならないのです。


宮内義彦

会計制度は財務内容を正しく伝えるものでなければなりません。なんとなくこのセグメント(分野・部門)は儲かっていないようだから、やめるべきだなどと大まかな判断をするのでは経営とはいえません。セグメントごとに一つ一つ採算性を時系列化し、それを検証しないと、どのセグメントを改善すべきかも判断できません。企業会計の基本は、企業の財務状態を限りなく実態に近づけて明示することに尽きると思います。正確な経営データは、自社の経営内容を正確に把握するためには不可欠です。


宮内義彦

経営は一つの経営指標で判断できるほど単純ではありません。それだけに、新しい経営指標を取り入れて多角的に分析できるようにしなくてはなりません。しかし、忘れてはならないのは、基礎データが正確でなければ、間違った結論が導き出されるということです。


宮内義彦

社外取締役とは、社員以外から選ばれる取締役のことです。アメリカでは、社外取締役が単に社外の人間であることだけではなく、独立していることについて詳細な要件を定めています。そのため、最近では独立取締役と言われることが多くなりました。社外取締役の任務は、すべての株主を代理してその利益を最大化するという観点から、経営の成果を客観的に判断することです。


宮内義彦

知識社会では、画一的な社員ばかりでは務まりません。従来と違って、これからの企業は多様な社員を求めています。経営者にとっても、社員全体に右向け右と言わなければならない場面は徐々に減りつつあります。仮にそう言ったとしても、左や上や後ろを向くような社員もいないと生き残れないのが知識社会です。


宮内義彦

企業の活動範囲が広がるにつれ、社会的な影響力も大きくなってきています。私たちの行動が常に社会から評価を受けているといっても言い過ぎではありません。企業行動が社会的な規範に反し、世の中から批判を受けるようなことが起これば、長い間努力し積み重ねてきたものを一気に失うことにもなりかねません。これまで以上に公正さを意識することが重要になってきています。


宮内義彦

業務が拡大して一人で手に余るようになると、人を増やすことになります。そうなると、人がただ集まっただけの烏合の衆では統制がとれませんから、互いの協力関係を想定して組織という形にまとめなければなりません。大事なことは、組織というのは止むを得ず作るものということです。あくまでも複数の人を統制するため止むを得ずなのであって、会社は組織で動くというのは必ずしも適切な表現ではありません。


宮内義彦

オリックスでは事業部門のトップが交代した場合など、いつも新しいトップに「交代してすぐに組織を変えるようなことだけはしてはいけない。組織図を書き換えるだけで上手くいくんなら、こんな簡単なことはない」と言っています。経営幹部は時として組織を変えるとそれで仕事を終えたようなように考えるからです。そういう気分になると、本当にやらなければならないことや変えなければいけないものが見えなくなってしまうからです。


宮内義彦

オリックスの社長に就任した年以来、私はいわゆるトップセールスをあまりやってきませんでした。トップセールスで成約したビジネスは、販売担当部門を結果的に弱める恐れもあり、長い目で見ると決してプラスとは思えません。私は表敬訪問は喜んでしますが、トップセールスにはあまり熱心ではありません。


宮内義彦

市場経済のもとでは、経営トップのひとつの判断ミスで会社はつぶれてしまいかねません。経営者として最も大切なことは会社をつぶさないことです。危機意識を常に持っていないと、対策が後手にまわり本当の危機を招いてしまいます。会社はつぶれるものだということを意識するのが、経営者としての出発点ではないでしょうか。


宮内義彦

いままでの日本社会で企業に求められてきたものは、企業本来の役割より大きな社会的責任です。その結果、バブル崩壊後の日本企業は、もともと企業に求められている役割も十分に果たせなくなってしまいました。これからの日本企業は、社会に対して本来の守備範囲に戻らなければ、収益の向上は望めなくなります。


ピーター・ドラッカー

誰かが勇気ある決断をしなければ、どんな事業も成功しないだろう。


宮内義彦

マスコミなどから、よく「オリックスのライバル企業はどこか?」と聞かれます。私は「市場経済では具体的なライバルは存在しない」と答えているのですが、どうも答えをはぐらかしたように思われているようです。市場経済においては同業他社の動向を見ていてもどうしようもない面があります。それよりも顧客ニーズの変化をしっかりと把握することの方が大切です。


宮内義彦

株主重視経営とは、株主から評価されることを最優先する経営のことです。どうしたら評価されるかと言えば、株主が望むことを実現すればいいわけです。しかし、ここでいう「株主」とはいったい誰のことを指しているのでしょうか。短期的に株価が上がることを喜ぶ株主もいれば、何年も株式を保有して中期的な利回りや値上がりを追求する株主もいます。重要なことは、あらゆる株主の要求にすべて応えることは不可能だということです。


宮内義彦

世界の共通言語となりつつある新しい経営手法は導入せざるを得ませんが、個々の経営手法の関連性や、実際の運用上の本質を見失わないことが肝心です。アメリカ企業の経営手法には見習うべきものが多い一方で、必ずしも見習わない方がいいものもあります。


町田勝彦

小が大を相手に戦って、勝たなければ生き残れない。しかし、小さな会社が規模という土俵の上で売り上げを武器に勝負を挑んでも、勝ち目はまずない。そこで考えたのがナンバーワンよりオンリーワンを目指すという明確なビジョンを掲げた経営方針である。オンリーワンが確立できれば、他社製品と差別化を図ることができ、同質競争や価格競争に巻き込まれずに済む。


町田勝彦

いま世界は急激に変化しつつある。厳しい経済状況の中での舵取りはかなりの困難を伴うに違いない。しかし視点を変えれば、この状況は海外に存在感を示す大きなチャンスでもある。


町田勝彦

お客さまからの苦情や意見をデータ化しただけでは、真の意味でのフィードバックはまだ完成ではない。データの裏にある悩みや怒りといった感情が伝わってこない。さっそく、各事業部の技術部長クラスが、交代で電話オペレーターをする制度を作った。技術部長たちは商品についての相談や苦情などをお客さまから直接伺い、部下に伝える。データでは伝わらなかった消費者の声を、次の商品に反映させるのだ。


町田勝彦

中途半端は駄目です。やるなら徹底的にやらせてください。ブラウン管よ、さようならです。
【覚書き:社長就任後間もないころの重役会議での発言。ブラウン管を全廃し、当時まだ普及していなかった液晶テレビに全資源を投入すると宣言した時の言葉。】


町田勝彦

終身雇用の弊害は忘れてはならない。終身雇用には、油断すると社員がぬるま湯に浸かってしまうという危険が潜んでいる。そのため成果主義、実力主義を導入して、給料やボーナスに大きな差がつく制度を確立した。生活は確保するが厳しさは必要である。


町田勝彦

シャープとはどんな会社なのかと自問した時、ハッと気が付いた。他社に真似される独創的な商品を作るのが創業以来のシャープの遺伝子であり、企業風土ではなかったか。シャープには時間をかけて培った風土があるからこそ、独創性のある技術を育てることができるのだ。経験豊富な人間がリストラによって会社を去れば、積み重ねてきたものはゼロだ。人が風土を作り、風土によってふたたび人間が醸成され、独創性のある商品が生み出される。
【覚書き:98年の大不況時の経営危機に対し、人員整理を行わない決断をした時を振り返っての発言】


町田勝彦

生産過程では採算性を高めるために1円、2円という厳しいコストダウンが強いられている。ところが、ブランド力の差によって失われる収益は、桁違いなものだった。このブランド力の差は、経営面でも大きく深刻なものだった。ブランド力を高めることがとにかく大事だ。一流ブランドといわれるものの値段が、どうして高いのか考えてほしい。


町田勝彦

生産技術は現場で長年培った経験やコツ、ノウハウがものをいう世界。生産技術はいわば老舗うなぎ屋の秘伝のタレみたいなものだ。自前でコツコツ積み上げていくものである。しかし、モノをつくらなければ生産技術は進化しない。せっかくつくりあげた秘伝のタレは本来、門外不出だからこそ商売になるはずだ。安易な海外移転は秘伝のタレをやすやすと分け与えているようなものである。


町田勝彦

シャープには創業者である早川徳次氏が提唱した「他社に真似される商品を作れ」という伝統と遺伝子が息づいている。駄目ならいっそのこと他社にないものをつくろうじゃないかという逆転の発想だ。


町田勝彦

薄膜太陽電池の生産開始にあたって、私は液晶の技術者を投入した。液晶部隊は長い年月をかけて蓄積した生産技術を持っているので、彼らの技術は太陽電池の生産に応用できると考えたからだ。液晶と太陽電池はまったくの異分野といってよい。しかし、共通する部分はあるはずだ。液晶出身の技術者は「基盤に蒸着する技術は似たようなものですから。逆に液晶の技術にとってもいい勉強になります。新しい発想が生まれるかもしれません」と涼しい顔をしてさらりと言ってのけた。


町田勝彦

スムーズに事が運ばないのが現実だ。とくに、組織の壁という目に見えない障害に阻まれる。組織の壁を低くすることが、独創的な製品開発をするためには必要不可欠となる。


町田勝彦

シャープは創業以来、世界初、日本初の商品を生み出し続けてきたが、それはすべてシャープの風土があればこそであった。四代目社長となった私が「ナンバーワンよりオンリーワンを目指す」と、ためらうことなく宣言できたのも、代々受け継がれてきた市場の変化を先取りした需要創造型商品を創出する「創意の遺伝子」のおかげだと思っている。


町田勝彦

車のハンドルは、車が止まった状態では重くて切れない。しかし、いったん動きはじめればハンドルは軽くなるから、方向転換は簡単にできるようになる。私はこれを車のハンドル理論と呼んでいるが、販売も同じだ。低迷している現状を最初に動かす原動力は、やはり販売台数だ。


町田勝彦

系列販売店に日参した。すると、あることがわかってきた。販売店には積極的にモノを売ろうという発想が、あまりないのである。高度成長期は並べているだけで商品が売れたから、販売促進という考えは、メーカーにも販売店にもなかったのだ。いままではそれでよかったかもしれないが、モノが売れない時代は確実にやってくる。そこで私は、商品情報を販売店に提供しようと考えた。
【覚書き:係長として近畿営業部に配属された当時を振り返っての発言】


町田勝彦

利益を上げるための方法は二つしかない。ひとつはオンリーワンの独創的な技術を生み出すこと。もうひとつは、トータルコストをどう最小化するかだ。


町田勝彦

株価を上げるために人員整理を行うのは会社経営ではない。メーカーの価値は生み出される商品で判断されるべきだ。私には、リストラを実行した会社の株価が上がるようなら、日本の製造業に未来はないという確信があった。株主を大切にすることに異論はない。企業にとって人材は最も重要な財産である。従業員もまた、株主と同等に大切にされるべきなのだ。


町田勝彦

個々の商品の違いがわかりにくくなり、お客様は商品をブランドで選ぶ、あるいは価格で選ぶといった傾向が強まってきたように思います。この変化の中で、当社としてはより明快な特長を持つ商品を創出すること、そしてその良さを正しく評価して買っていただけるようにブランド価値を高めることが不可欠となってきました。さもなければ、韓国や中国などの強靭なコスト力を持つメーカー相手に「価格のみで勝負」をせざるを得なくなります。


町田勝彦

それまでシャープの製品はブランド力が低いがゆえに、たとえ性能が優れていても、トップブランド品よりも安く売られていた。一年間通してその売価差を積み上げてみると、衝撃的な結果が出た。私はこの金額の大きさに愕然とした。一段下の価格で販売されるということは、ひとつの商品につき10%程度の売り上げ減にあたる。これが全商品に及ぶわけだから、全社で取り損ねた収益は莫大な金額になって当然だ。


町田勝彦

ブランドは無形の財産だ。開発技術や生産技術、デザイン、知的財産、特許などと同様、バランスシートには載ってこない。だが、この無形の財産の価値を高めなければ企業価値を高められない。強いブランド力を持たない企業は、生き残っていくことが難しい。


町田勝彦

亀山工場では、生産技術のブラックボックス化を行った。かねてより生産技術が海外流出していることに懸念を抱いていた私は、亀山工場を建設するにあたり、生産技術の要となる部分を、外からでは見えないようにした。


町田勝彦

加速し続ける海外生産にストップをかけなければ、いずれ日本の生産技術は消滅してしまうという危機感が、私の中でだんだん大きくなっていった。日本で育てた最先端の生産技術が海外に流出する懸念だ。中国をはじめアジア各国のハイテク技術がどんどん向上していく中、安易な海外移転を繰り返せば、日本が長年かかってつくりあげてきた生産技術は、彼らに習得されてしまう。そうなれば、製造立国・工業立国日本そのものが危うくなってしまう。


町田勝彦

半導体で重要なのは研究開発と設計だ。生産は優秀な製造企業に委託すればいい。君たちには、世界一流のファブレス(生産部門を持たない半導体メーカー)になって最先端の半導体を開発してほしい。
【覚書き:半導体事業を縮小し、液晶テレビに経営資源を集中させた際の発言。半導体事業は廃止するのではなく、生産部門は廃止しつつも開発のみに特化させることによって経営合理化と同時に技術の蓄積を可能にさせた】


町田勝彦

当社の経営理念は「いたずらに規模のみを追わず、誠意と独自の技術を持って」という一文から始まっています。これからのシャープの目指すべき姿は、ナンバーワン企業ではなく、オンリーワン企業であると考えます。つまり、世界の中で、独自の特長がきらりと光る企業です。


本田宗一郎

輸入規制などはとんでもない。オートバイを輸入しろ。輸入して外国製品と競争していくと日本のオートバイ・メーカーがちゃんとしたものを作れるようになる。


本田宗一郎

息子や親せきでないと社長にしないとか、東大出でないといかんとか、企業に関係のない条件で社長を選んでいるところがある。みんなが見ているというのに、それでいいと思っているんですかね。会社は大勢が飯を食うところ、大勢の生命の源泉です。そこを忘れたら会社は潰れますよ。
【覚書き:ホンダの社長は2代目以降も能力重視で現場たたき上げの人間が多数を占めている】


宗雪雅幸

(写ルンですのCMキャラクターを)デーモン小暮さんに決めたあと、たまたま経営者の集まりがあって、皆さんにデーモン小暮さんの名前を出したらほとんど誰も知らなかった。しかし、その会食の席で料理を運んでくる仲居さんたちが目を輝かせているのです。デーモン小暮は相撲好きだとか、実に詳しい。やはり、お客さまの意見が一番重要です。おじさんたちが頭をいくらひねっても、自分の経験だけでやろうとすると大きく間違う。


宗雪雅幸

経営者としては事故を起こさないように用心をするというのは当然のことだと思っています。私どもが気を付けるべきは、クリーンと順法の精神です。これしかありません。要塞の中に閉じこもっていたのでは仕事になりませんから。


宗雪雅幸

グローバルスタンダードということについて考えさせられました。協調するところは協調しつつ、争うべきところは争うという姿勢が大切なのではないでしょうか。コダック社とは、フィルム戦争の真っただ中でさえ、デジタルカメラの統一規格を作るための話し合いを続けて言いました。言いたいことをいいながら論争していく中で、初めてお互いに相手を認識することができると思います。
【覚書き:フィルム戦争とは米コダックが米国通商代表部に「富士フィルムが日本政府と共謀してコダックの参入を阻んでいる」という報告書を提出したことで発生した貿易摩擦問題。事実無根な内容だったため富士側は500ページにも及ぶ反論書とメディア戦略でコダックを退けた】


宗雪雅幸

戦後育ててきた経済の仕組みを立て直す時期に来ているのではないかと思います。戦後50年の成長と発展というのは、悪く言えば、同時に老化であり硬直化が進んだということでもあります。現在のようにグローバルな競争が激しくなってくれば、行き詰まりが目立ってくるのも当然です。やはりここは一回バラバラにして、いろんな点で仕組みの立て直しをしないといけない時期に来ていると思います。


宗雪雅幸

終身雇用とか年功序列とか、これは日本型というよりも戦後日本型と言った方がより正確かと思います。これまで通りで許される時代ではないのは確かです。役員会についてはスピードとか効率とかいったアメリカ的な考え方を取り入れていくことが必要です。戦略的な役員会にするためには、とにかく人数を少なくする必要がありました。そうしないとまともな議論さえできないのです。


宗雪雅幸

アメリカ的な経営方法と我々の方法とを比較すると、重点の置き方が少々違う。アメリカの場合は、圧倒的に株主重視です。株主にどれだけ多くの利益を還元できるかを最重要の営業課題だと考えている。しかし、会社運営の関係者というのは、株主だけでなく、従業員も取引先もさらには国家も含むと私は考えています。そういった様々な集団の利益を考えながら、企業は長期的に成長し発展を続けなければならない。


宗雪雅幸

内部蓄積は株主資本ですから、本来株主のものなのです。会社というのは持続して成長していかなければならない。それによって株主の期待に応えるというのが筋だと思います。


宗雪雅幸

我々のようにグローバルに投資する場合には一件で100億、200億すぐかかる。その意味では人間を含めた投資設備型の産業です。企業は成長と安定が大切です。そのためには次に必要なものが何かを常に考え、投資する必要がある。


高岡清

うちの社業は地味で、長年にわたって努力を積み重ねても、なかなか利益が上がるものではない。そこへ、わずかの間に荒稼ぎする部門が出てきては、会社全体の空気がおかしくなると思ったのです。いったん動き出したものが完全に止まるまでには2年かかりました。
【覚書き:バブル景気真っただ中に財務部門での投資を全廃した理由を聞かれての言葉。この決断によってバブル崩壊で損害を受けずにすみ、クリタグループは堅実に業績を伸ばした】


吉野浩行

お客様の声を聞いて、それに応えるということが大事です。またいかに速くそうした要望に応えるかが問題になってくる。結局、お客様を騙すことはできないんです。ニーズに合わなければ、車は売れないのですから。


吉野浩行

常にお客様の視点で考える企業は元気です。現在苦しんでいるのは、官との結びつきで伸びてきたとか、規制に守られて仕事をしてきた企業だと思うんです。僕らは以前から世界中のお客様の目線に合わせて仕事をしてきたから、国に頼るという気持ちはありません。


吉野浩行

GMは自動車では世界一の巨大企業です。しかし、だからといってGMの支配力がどんどん強まっているかというとそんなことは全然ない。GMのお膝元であるアメリカでもホンダやトヨタの車がどんどん売り上げを伸ばしています。お客様にアピールする商品を作ることが何よりも大事で、会社の規模はそれほど重要ではないんです。


吉野浩行

巨大合併すると会社の個性、車の個性が失われかねません。クライスラーとベンツおのおのの個性はどうなるのでしょうか。個性がなければ車は売れない。僕らの商品の個性はもちろんのこと、企業自体の個性、そして企業で働いている人たちの個性も大事にしていきたいと考えています。大きければいいというものではないのです。


吉野浩行

いやとんでもない、技術屋はそもそも入社するときからそういう発想がないんです。社長業などしているより、車を作っている方がよほど楽しいですから。
【覚書き:ホンダに入社当時、将来社長になると思っていたかと聞かれた時のコメント】


吉野浩行

国によってお客様が求めるものが違います。アメリカではサイズが大きくてゆったりと快適で、しかも丈夫でないといけない。日本だと一年間で1万キロも乗ったら大したものですが、アメリカでは2万キロ以上乗ります。一方、日本のお客様はよりファッション性があり、小回りがきくものを求めます。基本部分はもちろん共通ですが、サイズだとか細かな味付けの部分を国によって作り変えているんです。


吉野浩行

大型合併で失われかねないのがスピードです。世の中の変化が非常に早くなってきていますから、それに対応できるスピードが企業にとってなにより重要になってきています。しかし、企業が巨大化するとそのスピードも落ちる可能性が出てくる。ですから他社の合併を恐れることは全くない。


吉野浩行

二輪と四輪に発電機や芝刈り機といった汎用エンジンも加えると、ホンダ製品の売り上げは一年間に合計1050万台にも達します。ホンダは一年間に一千万人ものお客さんと接触がある。これは大きな強みです。お客さんの声をそれだけ吸収できる。芝刈り機ひとつにしても製品に満足してもらえれば必ず次につながっていくはずです。


吉野浩行

僕はそういう考え(大合併して大きな企業体にならないと今後生き残れないという考え)に与しません。マスコミの中にはそういうことを言う人もいますが、ワンパターンの考え方だと思います。自動車産業では今後大事なのは世界性と技術と個性です。
【覚書き:ベンツとクライスラーの大型合併について聞かれた時のコメント】


出井伸之

経営者が自分の後継者はいないと傲慢に言い出したら終わりです。いま私が直面している、大変だなと思うことを分析して、それを次の人がやさしくできるような仕組み作りをしたいと思っています。


出井伸之

私は経営をアメリカ型と日本型に簡単に分けられるものではないと思います。ソニーの場合、株主の45%は外国人。つまり45%の株主はアメリカ式の投資と同じ感覚でリターンを厳しく追及してきます。それに対し日本の株主の場合、銀行などの安定株主は、必ずしもリターンを厳しく追及してきません。これら二種類の株主の株主を同時に満足させる必要があるのです。アメリカ的経営と日本の企業としての在り方のふたつを共存させないといけない。


出井伸之

私は社長としての功績についてあまり考えないことにしています。社長というのは具体的に何もやらない。判断したり、会社の方向性とか空気を変えるということが仕事なんです。会社というのはひとつのことをやろうと思ったら組織で大勢の人が動くでしょう。うまくいったときは、みんなでよかったよかったと言って、心の中で俺がやったんだと思っていればいいんです。


出井伸之

ルールブレイカーというのは、アウトローという意味ではありません。古いルールを壊して、新しいルールをつくり上げるのが本当のルールブレイカーです。これはきちんと見分けないといけません。


出井伸之

社員が提言をしてくれないとがっかりですね。例えば会議をやっていまして、絶対自分はこのプロジェクトはまとまらないと思うのに、会社がやっているからしょうがないと黙って社員が聞いているとしたら、それはやっぱり企業としては非常に危険です。見えない部分でまずいなというところがあったら、それをこうしたらいいんじゃないかと体を張ることです。


出井伸之

Eメールというのは下手をすると直訴状合戦になってしまうのではないかと心配する声もありますが、それほど社員のインテリジェンスは低くありません。上司の悪口など一切なし、会社の改善点をはじめ、建設的なことを書いてきてくれています。
【覚書き:全社員から社長への直通メールアドレスを作ったことについて】


出井伸之

私は、松下と日本のマーケットで厳しい競争を繰り広げていることこそが、ソニーの強さの源泉だと思うんです。ソニーと松下は競争すればするほど、お互いに強くなります。


出井伸之

井深(大)さんをはじめとしてファウンダー(創業者)は会社の精神的支柱です。会社が生まれてきた素、DNAみたいなものですから、その精神に敬意を表さないと、会社がおかしくなってしまうと思います。


出井伸之

海外に一人で行かされると、禅問答をしないといけません。私も駐在中は本社の方針が伝わらないまま、たぶん本社の方針はこうだろうと自分で立てた仮説をもとに仕事を進めていました。何をすべきか、ソニーがどこを向いているのかを自分で考えざるを得なかったのです。
【覚書き:ソニー欧州駐在員時代について語った言葉】


出井伸之

企業には競争戦略と成長戦略の二つの戦略があります。競争戦略というのは、松下やフィリップスに対してどういう競争をしていくかを考えることです。成長戦略というのは、ソニー・グループ全体を運営しながら、会社全体としてこっちへ行くべきではないかというような将来の基本的な方向性を考えることです。


出井伸之

変化を歓迎しない会社全体を変えていくわけですから、社長の意見は社内ではマイノリティたらざるを得ない。社長に就任した三年前から、これだけの大きな会社に変化の必要性を浸透させ、方向性を示し、実際にそれに向かって舵を切りだすことに努力してきました。


出井伸之

私個人としては、やはり事業部長がいちばんやりがいがあって楽しかったですね。社長になると全体の責任を持たないといけないし、会社全体のムードを良くすることを考えなくてはいけませんから。


出井伸之

マネージメント(経営)にも様々なスタイルがありますが、私はオープンに自分の考えを打ち出して、みんなに共有してもらいたいと考えています。


早川徳次

かわいい社員のクビを切ってまで、自分は会社を存続させられない。社長を辞し、会社は解散する。社員を憂き目にあわせてまで、自分はもう、ものを言えない。残った人間で会社を続けてよいが、自分はタッチしない。
【覚書き:1950年代初頭、米国の財政金融引き締め政策ドッジ・ラインが引き金になって起こった世界不況時の発言。不況の煽りを受けシャープも経営危機に陥ったが、この発言を機に労組が自ら自主退社を募り始めるなど、経営再建の機運が社員全体から高まり、シャープは危機から脱した。以降、シャープでは首切りはしないという経営風土が作られた】


西村英俊

スピーディな対策は不可欠で重要な経営者の素質ですが、原因を突かない、性急で一方的、画一的ないわゆる合理化策というのは会社を疲れさせ、停滞させてしまいます。合理化、すなわち人員削減というのでは、優秀な人材から会社を去り、会社の戦力は一層下がります。会社の成績はいよいよ絶望的、やっぱり会社はつぶれることになるのです。


西村英俊

ご承知のように弁護士も種々の専門分野に分かれています。弁護士は専門性の合ったところで、適切なときに起用することが大切です。それには自社がある件に関してどんな問題を抱えているかという点を的確に知って選任するしかありません。


西村英俊

社長の事業上の判断以外にも、証券、金融の市場との対応という場面で会社をつぶすことがあります。いや、社長その人が会社をつぶす大きな原因になるのです。市場というのは貪欲でいろんな意味で短気ですから、自らの確信に基づいた辛抱強い説明が必要です。短気を起こして切れてはいけませんぞ。


西村英俊

成長しようとする会社は全体が大きくならねばなりません。そのためには、会社の全部の細胞がそれぞれ成長しなければ、全体も大きくなりません。大きくなれる細胞ばかりではなく、大きくなれない、また小さく萎える細胞もあります。最も弱い因子を引き抜く役割は社長、あなたです。これは社内では憎まれます。しかし、あなたがやらねば全体は助からない。


西村英俊

今日競争力がある強力な商品であっても、競合先の工夫によって知らない間に陳腐化しています。毎日、市場ニーズの変化という環境変化のリスクにさらされています。このリスクから会社を守って、大きな合理化の憂き目にあわぬためには商品に決して満足しないことです。


西村英俊

山に登ろうとしてどこが頂上なのか知らなければ、登る気にもなりません。頂上は知っていても、途中でいまはここまで来た、あと残りどれくらいかと知ることによって元気が出るものでしょう。改革も同じです。エネルギーを奮い立たせる標識が必要なのです。


西村英俊

合理化をやろうとするには、相当時間をかけて溜まった悪弊を一掃しようとするのだから、全員参加でやるしかありません。全員のエネルギーを使うしかない。社長がやらなければならないことは、独りよがりの命令を下すことではなく、全員をその気にさせ参加させるということに尽きます。合理化という非常に苦痛の伴う手段を、なぜ、どの程度、いつまで必要かを設定し、みんなに理解してもらうことが大切です。


西村英俊

社長はあらゆるリスク、危険を頭に入れ、次に起こる場面を想定しながら、いま何が一番危険な因子なのか、四六時中見張り続けなければなりません。財務的に弱いところはどこか、金融市場の変調に耐えうるのか、いまあるビジネスモデルが誰かにとってかわられないか、会社のエースに次ぐ第二第三の柱は育っているか、当社のビジネスモデルはグローバル市場で十分に闘えるか、気まぐれなマーケットは変化していないか、技術の陳腐化は当社のビジネスモデルを否定しないか、当社は社会的に有用か、違法性が出る部署はどこか、いまは違法ではなくとも社会的な指弾を受ける恐れはないか、会社内の不届きな人間が会社の評価を傷つけるようなことをしていないか。


西村英俊

突然予期せざる不慮の災厄。社長であるあなたは不慮と言ってはいけません。慮外、考えなかった、考えていなかったこと、想定しなかったそのことが、社長の罪と認識すべきです。本来こんな事象が起こることを予知する情報収集を怠っていたということにすぎません。百歩譲ってまったく予知することができないと客観的に証明されたとしても、リスク分散をせずに偏重しすぎて致命的な傷を負ったという責任は残ります。不断の努力の不足ということです。


西村英俊

どんなケースであったにせよ、つぶれたという結果の全責任を負うのが社長です。ですから、社長は今日も明日も次の日も、会社がつぶれることばかりを考えて、つぶれないように全神経を張りつめ、危険が迫っていないかを確かめながら、どんな危険の因子もこれを取り除いておかなければ安心して寝ることはできません。


西村英俊

一番大切なことは、メディアにどうやって、何を今日中に発表できるか決めることです。何が何でも今日のうちに発表しなければいけません。情報の材料が足りないとか、対応策が決まっていないとか、不足する事項はいっぱいありますが、今日中に発表すべきです。材料が足りなくてもいいんです。「社長が知っていて対応しようとしている」「社長が関与すべき問題だと会社は認識している」という二つのメッセージのおかげでメディアの反応はまるっきり変わってきます。


西村英俊

現場訪問はそれが予定された行事であっても、突然の訪問であっても、現場そのものであっても、社内食堂であっても、社長の方に意識するテーマが秘められ、またあらかじめ周到に用意された会話にならない限り、役に立ちません。社長の自己満足以上の何ものでもありません。


西村英俊

会社の成長の証は、売上高や利益という目に留まる形で表れる時期もありますが、会社の内実の充実という実力の蓄積を遂げている成長時期もあります。技術の醸成とか新しい商品の仕込みとか人材の充実とか、取引先との関係強化とか、無駄を省く仕組みの構成とか、組織が一体となって業務を積み重ねる力の育成とか、決して今期の決算書には表れないが、会社の成長としては評価されるものであって、来期、再来期には目に見える売り上げや利益となって表れるものです。


西村英俊

日本人の几帳面さ、日本人の完璧さ、日本人の求める保証、日本人の品質均一性、日本人の厳格な納期などなど、あなたの会社に課せられてきた課題、そしてこれらを解決してきたあなたの会社の商品とサービスは、グローバル市場で十二分に通用する資質を持っている。いや、グローバル市場での価値基準になるのだと理解してください。


西村英俊

大がかりな合理化に追い込まれないために、リスクの排除を常に心がけるのが社長の役目。合理化すべき事態のリスクについて言えば、毎日毎日、日頃から合理化に取り組むことによって社内のリスクや非合理なやり方が堆積し、大がかりな合理化を余儀なくされるような場面を回避することが大切です。


西村英俊

コンサルタントや金融機関の人たちは、会社の外形を見てすぐに整形をしたがる。内実の病巣や仕組みの不具合をじっくり根本から治すことなんか時間がかかってまだるっこしいと思うのでしょう。これは手術だからやったそのときは良く見えるが、根本治療ではないから必ずすぐほころぶ。


西村英俊

別の形で会社の存立を危うくする危険があります。風評のリスクはそのひとつで、会社の存在を否定されるケースです。ニュースや評論が事実に基づいていない場合もありますし、事実は正しくても著しく誇張され曲解して伝えられているケースもあります。正当に社会に貢献している会社でも、社会的規範に違反していると誤解、曲解されることによって圧死するケースもまれとは言えません。


西村英俊

会社の成長の前に、より良くする前に、まずこの会社をつぶさない。いささかも減衰させないということが出発点であるべきなのです。社長になった途端、これは忘れられがちです。


西村英俊

会社というものは、どの会社も、いつもつぶれかかっています。いや、毎日毎日つぶれています。正確に言うと今日突然つぶれることもありますし、昨日も今日もそしてまた明日も少しずつ少しずつ、部分的に傷んでいってその傷に耐えられなくなった日に破たんするということもあります。


ジェイ・エイブラハム

一番大きな取引と利益の間にはたいてい、予測可能な相関関係がある。過去にさかのぼって顧客が顧客になったきっかけを分析し、それから次のことを予測してみよう。顧客が将来、最も購入しそうなもの。購入する頻度。購入し続ける期間。以上三つの答えを知ることで、顧客それぞれの短期的長期的価値、ひいてはどのグループが他と比べてより価値があるかを分析する助けになる。


ジェイ・エイブラハム

はなはだしく景気の悪化した市場でも、売り上げが完全に干上がるわけではない。人も企業も、物を買っている。商売は完全には停止しない。これに気付くことが極めて重要だ。ライバルが苦境のあまり周囲が見えなくなり、市場に対し意味ある働きかけができないでいるときこそがあなた自身を最も信用信頼できるソースとして確立する最高のチャンスだ。


ジェイ・エイブラハム

経済危機において買い手の確信や動機の薄れとともに売り上げが落ち込むときには、たまらなく魅力的で、誰にもまねできない、断れないオファーをする必要がある。あなたのゴールは、景気のいい時も悪い時も、常に購買に対する彼らの抵抗を和らげること、初回購入のバリアを下げ、ハードルを低くする努力をすることだ。


ジェイ・エイブラハム

自分のビジネスで意味のあること、ないことを把握するための10の質問

  1. いまどんなビジネスをしているのか?
  2. 現在の対象市場はどこか?
  3. その市場にどうアプローチしているか?
  4. その市場の拡大、または市場への接触、参入の方法は現実的に他にいくつあるか?
  5. あなたが売ることのできる商品やサービスは何か?
  6. 他にどんな商品やサービスを付け加えられるか、提供できるか?
  7. そのうち実際につくれるのはどれか?
  8. 制作、生産委託するとしたら、外注先をどのように見つけるか?
  9. 自社以外に同様の潜在顧客にアクセスできるのは誰か?
  10. 顧客に最初に販売する商品やサービスの限界純資産、または生涯価値はいくらか。その次の取引や、累積収益ではどうか?

ジェイ・エイブラハム

景気が下り坂になると、経営者は一様にマーケティング予算を減らし始める。しかし、それはビジネスを拡大するための投資を減らすことであり、悪循環の種をまくことだ。


ジェイ・エイブラハム

売上不足で行き詰るのは、たいてい効果的な販売方法を知らないからだ。あなたが売っているもの、売っている相手、売っている方法を振り返り、そのやり方が市場をつかみ、初回購入とその後のリピート購入を動機づけ、納得させるもっとも効率的で生産的な方法なのかどうか見直す必要がある。


ジェイ・エイブラハム

たいていの人は、不景気になると人を裏切るような経費削減に走る。つまり、社員や知的資本といった、いまの企業のほとんどが本当は一番必要としている資産を削る。これは大きな間違いだ。あなたの周囲にいる人の活力、情熱、知性、人的つながり、起業家精神ほど大きなプラスのレバレッジを生むものはない。


ジェイ・エイブラハム

ビジネスの行き詰まりから抜け出す7つの策

  1. 数字を細分化する。
  2. 見込み客や初めての顧客を呼び込むための連続性、予測可能性、持続性のある体系化された戦略的プロセスを採用する。
  3. 毎年、足し算だけでなく、掛け算式に儲けを増やす。
  4. 自分のビジネスにとっての試練を把握する。
  5. 市場から見た競合他社の魅力、優位点、差別性を知る。
  6. あなたの商品やサービスの代わりに顧客が購入できる商品やサービスを把握する。
  7. すべての仕事に成長思考を取り入れる。

ジェイ・エイブラハム

私は不況が大好きだ。不況は、受ける痛手も大きいが、景気のいい時よりも悪い時の方が、成長分野が豊富にあることに気付かせてくれる。苦境をバネにすることができれば、一人勝ちできるのだ。景気のいい時には誰も気づかなかったビジネスチャンスや、市場、取引、発想に気付ける。


ハワード・シュルツ

ビジネスは単なるゼロサムゲームではない。このことを自覚できない経営者が増えている。社員の利益を図ることはコストが増え利益が減るどころか、経営者が予想もしなかったような大企業に発展するための強力な活性剤になることを自覚する必要がある。


ハワード・シュルツ

スターバックスの歴史は成長と成功の記録にとどまらない。一企業がどのように変わったやり方で成長したかという物語でもある。スターバックスは真心で経営し、魂をはぐくみ、しかも利益を上げられることを実証している。我々は社員の人格を尊重するという社会の基本理念を犠牲にすることなく、長期にわたって株主に利益を配当しているのだ。


ハワード・シュルツ

スターバックスが他社に抜きんでた存在となった理由を一つだけ挙げるとすれば、それはビーンストックを導入したことだろう。ビーンストックとは、スターバックスのストックオプション制度の名前である。スターバックスは株式を公開していなかったにも関わらず、ストックオプション制度を導入した。対象は経営トップからバリスター(コーヒー淹れ職人、コーヒー版バーテンダー)に至る全社員で、それぞれの基本給に応じて自社株購入権が与えられた。全社員が経営のパートナーになったのだ。


ハワード・シュルツ

事業計画などは単なる紙切れにすぎない。いかに見事な事業計画でも、社員がそれを受け入れてくれなければ何の価値もないのだ。社員が経営者と同じ気持ちになり、心底やり遂げようと決意しなければ、事業を継続することはおろか、軌道に乗せることすらおぼつかない。そして社員は、経営者の判断が信頼でき、なおかつ自分たちの努力が認められ、正当に評価されるのだと実感した時、はじめて計画を受け入れる。


ハワード・シュルツ

社内文化を変えるのは不可能ではないが、極めて困難なのである。5年間、間違った価値観で会社を運営したら、その基本的理念を変えるには時間がかかる。すでに井戸の水があふれていたら、それを飲まざるを得ないのだ。企業家は、会社の発足当初から社内文化や価値観、指導理念を組織に浸透させなければならない。それが会社の方針や雇用、経営戦略を決める基盤となる。


ハワード・シュルツ

企業と社員の間に築かれた信頼関係ほど大切なものはない。経営者から正当な報酬を受けていないと感じた社員は、疎外されたと思うだろう。社員が経営者に不信感を抱くようになった途端に、その企業の将来は危うくなる。


ハワード・シュルツ

スターバックスの創立者にとって、コーヒーの品質がすべてだった。とくにジェリーは自分の信念を貫き、決して妥協しなかった。ジェリーとゴードンは、自分たちのマーケットのことを理解していたに違いない。なぜなら、激しい景気変動にも関わらず、スターバックスは毎年利益を上げていたからだ。創立者たちは純粋なコーヒーの信奉者であり、本物のコーヒーを知る少数の顧客に喜んでもらえれば満足したのである。


ハワード・シュルツ

株主の利益だけを考える企業は従業員を道具のように扱い、コストを低く抑えようとする。情け容赦なく首切りを実行する経営者が一時的に自社の株価を上げる場合がよくある。しかし長期的に見れば、そんな経営者は社員の士気を低下させるだけでなく、革新を阻み、起業家精神を枯渇させ、会社の発展を支えてきた大切な人たちとの心の絆を断ち切っているのだ。


ハワード・シュルツ

私たちはコーヒーやペイストリー(小さなケーキ)、現金、損失などを綿密に記帳し、何が良く売れているか把握するために個々の商品について追跡調査した。そのおかげで、常に資金繰りを明確にすることができたのだ。こうした情報の蓄積によって、新製品を売り出す際に明確な目標を設定することも可能になった。


ハワード・シュルツ

どんな企業も、第一に何を基盤にするかが問われる。スターバックスは単なる良質のコーヒーではなく、創立者が魅せられた深入りコーヒーの風味を基盤にしたおかげで、他のコーヒー店とは一味違う本物になれたのである。


ハワード・シュルツ

スターバックスの創立者は、普通の経営者とは全く違っていた。大学で文学を専攻したジェリーは英語の教師をしたことがあり、ゴードンは作家だ。三人目の共同経営者ゼブ・シーゲルは歴史を教えていた。三人ともビジネス王国を築く野心など持たなかった。スターバックスを創立した理由はただ一つ。コーヒーや紅茶を愛し、シアトルの人々に最高のものを味わってもらいたかったのだ。


ハワード・シュルツ

自分が働いている会社が好きになり、会社の方針や目標に共感した社員は、会社の発展のために努力するようになる。社員が自尊心と誇りを持てば、さらに会社や家庭、社会に貢献するに違いない。経営者の立場にある者には、会社を支えるために毎日働いている人たちに対しる責任がある。それは事業を適切に推進するだけでなく、すべての社員を守るということなのだ。


ハワード・シュルツ

私がスターバックスで成し遂げた最も誇れることを一つ挙げるとすれば、会社で働いている人たちとの間に築いた信頼関係である。それは多くの企業に見られるような口先だけのスローガンではない。我々はパートタイマーを含む総合的な健康保険制度や、全社員を対象とするストックオプションなど画期的な制度を導入してきた。倉庫係も入社したばかりの小売店員も人間として敬意を持って待遇されているのだ。


岡野雅行(岡野工業)

会社を大きくしようと思ったらいくらだってできたけど、うちは小さいってのが武器なんだ。こんな威力がある武器を手放す気はさらさらない。社員が100人も200人もいてみろよ、その家族のことを考えたら、安い値段をつけられたって、それでやりますって言うしかなくなっちまうだろ?社長のわがままで、あいつは気に食わないからこの仕事はしないってわけにはいかないからな。


岡野雅行(岡野工業)

いくら値段が高くたって値段を超える付加価値があれば、それが適正価格ってもんなんだ。ノウハウってやつは値段がつけられない。いままで誰もやったことがないことをやるためのノウハウだから、まだやってもいないうちから、どれくらい価値があるかなんて判断しようがないだろ?最初はえらく高いことをいうなってびっくりするんだろうけど、終わってみたら、岡野さんと知り合ってホントによかったって言ってくれる人ばっかりだね。


岡野雅行(岡野工業)

大企業が突然、経営危機に陥るってことがあるだろ。あれは上層部が、下から上がってくる情報を鵜呑みにしているのが原因だ。下は都合の悪い情報は知らせっこねえんだから、それを鵜呑みにしちまったら、ほんとのところは何も見えない。裸の王様になるに決まってんだよ。上層部が肝心な情報を持ってなきゃ、経営危機にだってなるし、倒産だって、して当然だろ。


岡野雅行(岡野工業)

金は天下の回りものって言葉があるけど、回ってきたお金をよそさまに回すから、また自分のところに回ってくるんだよ。欲出して抱え込んじまったら、それっきり回ってこなくなるもんなんだ。周囲を儲けさせれば、皆が岡野に仕事を取らせようぜということになる。


岡野雅行(岡野工業)

「客と飲みに行くなんてまっぴら。そんな面倒なことはいやだよ」なんて言ってたら仕事なんか来やしない。人付き合いの中で相手と信頼関係を作っていかなきゃ、自分の思うような仕事はできないね。


岡野雅行(岡野工業)

間に入る調整役の役目は大事なんだ。仕事を続けていくうちには、発注元も俺に言いたいことが出てくるよ。俺の方だっていいたいことはあるさ。それを直接言い合っちゃったら角が立つよ。俺はこういう気性だから、相手の言い方によっては「もうあんたのところの仕事はやめだ。二度とうちの敷居をまたぐなコノヤロウ」ってことにもなる。間に調整役がいりゃ、そうならない。


岡野雅行(岡野工業)

自分の仕事場にデンとかまえてるだけじゃ、発想もアイディアも頭打ちになっちまうだろ。新しい技術を開発するにも、時代に即応して儲けるにも、なんてったって情報だよ。それもメーカーが持っている最新の情報を知らなきゃいけない。メーカーの人たちは、いつも5年先、10年先を見てる。時代の流れが速いってことを肌で感じてるからね。


岡野雅行(岡野工業)

相手が大企業だからって卑屈になることはないんだよ。ちゃんとした技術なら、欲しいってところはいくらでもあるんだ。大企業の看板を鼻にかけて、実績だなんだと言っているようなところと、顔色をうかがいながら仕事をするこたあないんだ。


カルロス・ゴーン

メーカーが生き延びられるか、また成長できるかは競争力にかかっています。競争力には4つの要素があって、第一はイノベーション(革新)。第二の要素はたゆみない品質の向上、つまり、クオリティの問題です。第三の要素はコストを抑えられるかどうか。第四の要素はあらゆる面で迅速でいられるかどうか、つまり、開発と生産の間をどうコントロールしてスピードアップしていくかです。


カルロス・ゴーン

新規事業の開拓自体は悪いことではありません。問題なのは、よそ見をしていると本業での競争力が落ちるということです。これまで多角化を目指したメーカーは本業をおろそかにすることが多く、その結果としてことごとく痛い目に遭ってきました。私は付帯的な事業に手を広げても構わないと思います。しかし、そのためには本業に十分な力を注ぎ続けるということが大切です。


カルロス・ゴーン

会社に大きく貢献した人、普通に貢献した人、まったく貢献しなかった人を、ほぼ同等に扱うことが公平であるといえるでしょうか?私にはそうは思えません。株主にとっても、顧客にとっても、また社員にとってもそれでは不公平です。私は公平という概念を貢献度から見た形にシフトさせていきました。


カルロス・ゴーン

一般的に言って、ある企業のイメージを決めるのは大衆であって、企業ではありません。企業にできるのは、これから進む方向を定めて、どうしていきたいかを明らかにするだけです。企業として究極のモデルを設定して「これは理想であって現実に到達するのは不可能でしょう。でも、私たちはこれを目指します」という。できるのはそれだけです。一方、大衆は企業が、そして経営者が何を考え、どんなヴィジョンを持っているかにはあまり関心を払いません。実際の商品や、経営者のパーソナリティを見て何かを感じ取ります。


カルロス・ゴーン

日産の社風を変えようとしても、おそらく変えることはできなかったでしょう。だいたい、変えようとするなどということは、はなはだしく人間の本性にもとることです。すでに存在する一つの組織に別の組織を押しつけようとすれば、結果はそれを破壊することにしかつながりません。目的が相手を征服して占領することにあるならば、そういう戦略もいいでしょう。しかし、そんなことをしたらハードウェアは無事かもしれないが、ソフトウェアは破壊されてしまいます。


カルロス・ゴーン

あの人(フランソワ・ミシュラン)のやり方は経営の本で学んだものではありません。どんなに若くても重要なポストに就けること、国籍を気にしないこと、理論よりも実践を重視すること、そういったことはすべてフランソワ・ミシュランの人間性と深く結びついているのです。


竹田陽一

継続取引型の業種では社長が売りを抜きにして得意先を定期的にまわると、お客自身の情報と競争相手の情報の二つが同時に入ってくるのです。それには何度も通う必要があるとは思います。かつてレーニンは「自ら足を使わないで情報を集めようとする者を官僚と呼ぶ」と言いました。あなたは決して役人にならないように。


竹田陽一

市場規模が小さな商品や市場規模が小さな地域でも、実際に一位になるには5から7年と長い間努力を続けなければなりません。どこの地域にも必ず競争相手がいます。しかもその中に手ごわい競争相手がいればもっと長い年月がかかるでしょう。


竹田陽一

会社経営は長期の戦いですから、最終的には社長の実力通りの結果になってしまいます。


カルロス・ゴーン

日産はよくもあんなに早く改革を進められたものだと驚く人がいますが、それは改革の計画が単に上からの号令や、勝手な宣言によって押し付けられたのではなく、下からの意見を吸収しながら、きわめて建設的で合理的な方法で練られたからです。


カルロス・ゴーン

経営には絶対的なモデルなどありません。経営というのは、実際に仕事に取り組みながら、その場その場で一番いい方法を見つけていくものだからです。その意味で言うと、困難な状況に置かれたときこそ、経営者は鍛えられます。順調なときには、教科書で学んだとおりにやっていけば、おそらくそれで問題ないでしょうが、危機に陥ったら、根本からやり方を見直さざるを得ません。


カルロス・ゴーン

よく、日本の経営者はなぜ行動しなければならないときに身をすくめているのかと不思議がる声を聞くことがあります。日本の経営者には行動するつもりがないのかと。私は決して行動するつもりがないわけではないと思います。ただ、どうやったらいいのかわからないのです。つまり、戦略的なヴィジョンが欠けている。


カルロス・ゴーン

リバイバルプラン前の日産の衰退原因

  1. 利益を大切にしていなかった。経営陣は数字も業績も知らなかった。部品の購買コストが高かった。
  2. 口で言うわりには、ユーザーやマーケットについて考えていなかった。
  3. 切迫感、緊張感がなかった。
  4. 社内のセクショナリズム(部門の縄張り主義)。部門横断的なやり方の欠如。
  5. 戦略のなさ、ヴィジョンのなさ。

カルロス・ゴーン

私はルノーから来た人々が「徒党を組んでいる」と見られることだけは避けたかったのです。もし、私が「自分に一派を率いてやってきた」とみなされたら、あとは何をやっても通用しません。私はたちまち信用を失うことになります。


カルロス・ゴーン

どういう形態をとろうとも、他社との提携には大変な労力がかかる。相手の規模が小さかろうが大きかろうが、苦労は同じだ。だからどうせ提携するなら望みを高くし、大きな企業を狙った方がいい。


カルロス・ゴーン

ミシュランは将来の幹部候補生が一日でも早く会社の一員になれるように、非常に効果的で、独特のシステムを採用していました。SPスタージュという社員研修のシステムです。このシステムでは、インストラクターの指導の下に、幹部候補生は全員三カ月間の研修を受け、寝食を共にします。そして、この間に生産、営業、販売、財務、海外業務など様々な分野に関して、その部門を率いるトップの人々から講義を受けます。つまり、研修生は会社のことや、会社を動かしているトップの人々について知ることができるわけです。


竹田陽一

小売業や飲食業のように大衆を相手にしている場合は、社長自身がお客をよく観察することが一番の情報収集です。もうひとつはクレーム。これは貴重な情報になります。クレームには会社の欠点のほかにお客の不満が入っています。逆に見ると将来情報にもなるのです。


竹田陽一

強い商品や強い有料サービスをつくるには、自分の会社の経営規模と競争相手との力関係を考えたうえで、将来どの商品や有料サービスで一位を目指すか、中心となる重点商品をはっきり決める必要があります。商品の範囲もはっきり決めておかなければなりません。調子に乗って一見儲かりそうなものに手を出す癖のある人は、これとこれには絶対に手を出さないとはっきり決めておけば安心です。


竹田陽一

会社は粗利益をエネルギー源にして生きていて、その粗利益はお客からしか生まれないということです。お客づくりと直接関係する大事なものがどれも負けていれば、利益性がよくなる根拠はまったくないわけです。


竹田陽一

一万人に一人くらいは特別に優れた人がいるものです。こういう人をマンイチの人と呼びます。マンイチの人は、まったく体験しなくても物事の本質がパッと浮かんでくる人種ですから、自分独自の考えによる経営理念が簡単にできてしまいます。しかも考えた内容と行動が一致するので業績は黙っていてもよくなってしまいます。普通の人ではこうはいきません。


竹田陽一

社長の守備範囲はとても広いので、これが狂うと組織の作り方はもちろん、従業員の役割分担まで大きく狂ってしまいます。経営全体に大きな無駄が出る。当然業績が悪くなります。組織の効率を高めて業績を良くするには、名誉上の役職と実質上の仕事内容をはっきり区別しなければならないのです。


カルロス・ゴーン

会社の規模は直接競争力にはつながりません。会社の規模は成功の鍵にはなりませんが、何かあった時にそのリスクを和らげるクッションの役割を果たしてくれるのです。


カルロス・ゴーン

経営をするなら、いま会社がどうなっているのか、そしてユーザーが何を求めているかを自分の肌で感じる必要があります。そうしなければ決断などできません。そこでは理解することと同様に、感じることが大切なのです。ですから、現場には足を運び続けるべきです。現場でこそ会社の実態がわかるのです。


カルロス・ゴーン

企業が困難に直面するのは、いつでもその企業自身に原因があります。もちろん経済環境も無関係ではありませんが、問題の根源は常に企業自身にあるのです。日産の業績が傾いたのは日本の景気後退のせいでも、競争相手が強すぎたからでもありません。その原因は社内にあったのです。企業を弱体化させる因子は、必ずといっていいほど内部の構造にあります。


カルロス・ゴーン

お互いに自分のアイデンティティを守り、相手のアイデンティティを尊重する。それがあるからこそ提携は前進するのです。この点はお互い意識して努めていかなければなりません。企業のアイデンティティがなくなってしまったら、企業としての価値は損なわれ、社員のモチベーションは大幅に失われてしまうからです。会社にとって大切なことのひとつは、社員のモチベーションを維持して、会社に対する帰属意識を高めることです。


カルロス・ゴーン

終身雇用と年功序列と同列に論じることはできません。私は、年功序列制度は企業の業績に悪影響を与えると思っています。しかし、終身雇用制度のほうは、働く人々に対して企業が誠意を示すという意味で、決して悪いことだとは思っていません。私たちは、なるべく終身雇用が実現できるよう努力していきたいと思います。


カルロス・ゴーン

ヴィジョンというものは、別に理論的なものではなく、ただ方向性を示すだけのものでもかまわないのですが、ともかく、それをもとに、物事をはっきりさせ、単純化し、優先順位を与えてやって、みんなが合意するような計画を作ってやらなければならない。


カルロス・ゴーン

会社の再建というものは、ある意味でエンジニアの仕事に似ています。あるいは、家を建てるのに似ているといってもいいかもしれません。つまり、そこには何を優先して、どんなやり方で、どの程度のレベルのものにするかといった発想が必要なのです。また、家を建てることの比喩でいえば、それと同じように基礎工事が必要ですし、スケジュールや予算の作成、そして、期限や価格についての取り決めもしておかなければなりません。


カルロス・ゴーン

正直言って、日産がどうしてこうなってしまったのか、きちんと分析して説明できる人に、社内で一度も会ったことがありませんでした。何が問題なのか、重要な順番に仕分けしてみせてくれる人は一人もいませんでした。経営に関しては混とんそのものが日産を支配していました。会社に様々な問題が起こってくるのは、それが根本の原因であるわけです。経営が方向を見失っていたら、まだ業績が悪化していないとしても、遠からずそうなることは当たり前のことだからです。


花井正八

トヨタに参謀型の経営者などいなかった。
【覚書き|ここでの参謀型経営者とは、現場に出ず机上の計算で作戦立案をする経営者のことを指している】


新井正明

いくら働いても疲れない会社にしたい。


浦上浩

会社の責任者として自分にしかできないことをやりたい。人に任せられることは任せていきたい。
【覚書き:創業者の父からリョービの経営を引き継いだときに語った言葉】


井植敏

従流 志不変
【覚書き:世の中の流れに沿って変化しても、根っこである志だけは変えてはいけないという意味の言葉。大徳寺の立花大亀老師から受け取り、井植氏が座右の銘にした言葉。言葉をもらった当時、井植氏は父が起業した時代遅れとなったフェリー会社(淡路フェリーボート)の整理に四苦八苦していた】


前田勝之助

発展途上国を含めた世界の市場に目を向ければ、繊維産業はものすごく成長性の高い産業である。
【覚書き:他社が脱繊維を目指す中、東レだけが本業の繊維を強化する方向に進んだことについての発言】


伊藤助成

他国の手本となる素晴らしい高齢化社会を実現することは、最大の貢献でしょう。
【覚書き:高齢化社会は暗いことばかりではないという見通しを語った時の言葉】


歌田勝弘

企業理念の確立は、トップ・マネジメントの仕事。
【覚書き:社長は企業文化を作ることに腐心しなければいけないという自信の経営哲学を語った言葉】


三田勝茂

仕事というものは、たとえて言うなら運動会のリレーである。次のランナーにいかにうまくつなぐかが重要なのだ。


川上源一

社長は戦国時代の大名と一緒で、すべて背水の陣でものを考えている。その都度、その都度、私自身、自分の決心に時間をかけたことはない。
【覚書き:自身の経営哲学を語った言葉】


山下俊彦

厳しい状況にあるからこそ、社内が団結し、新社長の色が出せる。花道(はなみち)論などナンセンス。
【覚書き:プラザ合意後の円高での厳しい状況下で次の社長へ交代することに対し「いま退いては社長の花道を飾れないのではないか」と問われた時の返答。自分の経歴よりも社を優先させるべきという趣旨の発言】


山田勝次

ハードが基礎にあって、それでソフトができる。ソフトだけやってればいいとなると、何か危ない感じがする。


土方武

あまりに予断を持ちすぎて、頭の中だけで人事制度や組織をいじっても、結果は必ずしも芳しいものとは言えない。


横河正三

私は一人の従業員も解雇しない。誰も犠牲者にしない。
【覚書き:オイルショック後の賃上げ交渉の場での発言】


根津嘉一郎(2代目)

世の中の変化に応ずることも大切だが、変化の中で不変のものもあるということだ。
【覚書き:長年の経営者経験から堅実さがいかに大切か語った言葉】


大宮隆

どん底からの出発で、むしろ自分に「ワンマンであれ」と言い聞かせてきた。


高木文雄

大阪梅田を皮切りにステーションビルをあちこちに展開した。「民業圧迫だ」と批判を受けたこともあったが、「皆さんの方が官業圧迫だ」と突っぱねた。
【覚書き:総裁として国鉄の経営再建にあたった時を振り返っての発言。多角化して収益回復しなければいけない時期にあった】


勝田龍夫

長い人類の歴史の中で過去と未来のつなぎ目に自分が生きているという認識を持つことがまず大切だ。そのために、歴史を学び、それが自分を知り人間を知ることになる。


岩田彰一郎

お客様の求めるままに学習し進化する。
【覚書き:小売店の販売網が邪魔をして改革が進んでいなかった文具流通を改革し、アスクルの立上げを行った。さらにオフィス用品の通販から、オフィス工事、医療通販など業務を広げたことについて語った言葉】


柳井正

SPA(製造型小売業)は調整しやすい。全部のリスクをウチが負っているので、情報が正確かつ迅速に集まってくる。従って、生産・販売・調整ができる。


久田孝

経営には「果決」が必要。果物を間引いて一つだけ残す決断の難しさをいうのだが、多くの需要のなかから一つを育て上げる選択が難しい。
【覚書き:オイルショック後に商品の選択集中とリストラを行った時を振り返っての発言】


卯木肇

日本人は円とドルだけですべてを語ろうとするが、世界にはいくつもの通貨がある。輸出の基本は、安い通貨圏から高い通貨圏へ売ることだ。
【覚書き:円高が進んで日本の多くの経営者がひるんでいた時期の発言】


高橋高見

学問の深さで、よい製品作りができるわけではない。


平田豊

人減らしのなかでも、採用は続けるべきだった。
【覚書き:オイルショック後の不況で、ユニチカの経営再建で人員整理と新卒採用見送りを同時に行った。その時を振り返っての発言】


藤沢武夫

子供にあんな思いをさせている自分が経営者として情けない。
【覚書き:ホンダの社内運動会で、社員の子供たちがツギの当たったズボンをはいているのを見た時の言葉。会社の業績をもっと伸ばし、社員にもっと給料を払ってやれれば、社員の子供たちもツギの当たったズボンをはかなくてよくなると、社員の給料に対しても自分の問題としてとらえた言葉】


相田雪雄

滅私奉公を旨とする日本の「法人社会主義」が、頻発する企業不祥事の一因です。
【覚書き:会社のために法令違反をするビジネスマンたちに対する戒めの言葉。法令を順守し社会倫理をしっかりと持てという趣旨の発言】


高丘季昭

プラザ合意後の円高時代にも内外価格差はあった。あの時期にやろうと思えばやれたことを我々はやらなかった。まず怠惰でしたと消費者に謝るべきで、今年になって半分にできましたというのはおかしい。
【覚書き:ライバル会社の価格破壊宣言に対しての発言】


小柴和正

百貨店の価値は何かと問われたら、ライフスタイルのコーディネイト能力だと答えます。
【覚書き:伊勢丹新宿本館一階に新進気鋭の無名デザイナーの商品を取り扱う解放区を設けたことについて語った言葉】


常盤文克

売れているからといって、いつまでも喜んでいると、持っていることがかえってマイナスになります。
【覚書き:大ヒット商品も頻繁に大きな改良を行った】


岸本正壽

経営トップは何よりも、新事業の育成にリーダーシップを発揮すべきだ。
【覚書き:デジタルカメラ事業の成功後、未知のデジタルカメラ分野に挑んだことについて語った言葉】


佐藤安弘

どんなに強いブランド力を誇っていても、それが永遠に続くことなどありえません。
【覚書き:発泡酒への参入を決意した時の言葉。当時、「ラガービール」は長期的に不振が続き、「一番搾り」もなかなか売り上げが伸びない状況で新たな道に進むことを決断した言葉】


立石義雄

大企業病は生活習慣病。健康体に戻るには、組織や事業の構造改革も必要だが、まずは社員の意識改革が欠かせない。


藤原秀次郎

従来は商品を集めてくる問屋と付き合えばよかった。しかし、いまは自身でリスクをはってつくるデザイン力のある問屋、デザインメーカーでなければ取引する意味がない。


磯崎叡

サービスとは「無事故、安全運転」以外の何ものでもない。サービスとは決して奇をてらった車両をつくることではない。
【覚書き:国鉄の総裁として国鉄改革を行ったことを振り返っての発言】


豊田英二

自動車は一度損をし始めたら、たちどころに泥沼に入り込んでしまう。逆に今がピークだと思ったら終わりだ。企業が発展し続けるには、少なくとも自己増殖できるだけの利益は、絶対に確保しなければならない。


原島保

売り手も買い手も対等であり、お互いにフェアに付き合うべきだ。
【覚書き:ゼネコンや政治家の圧力で不利な立場に立たされていたセメント業界を引っ張ってきた経験を語った時の言葉】


松沢卓二

経営者は自らがトップの座にすわったとき、得手不得手を離れて、いかに会社の状況を客観的に把握できるかだ。
【覚書き:富士銀行頭取時代の発言。経営トップは自分の専門分野・得意分野から離れて会社全体の状況をしっかりと見極めろという趣旨の発言】


佐古一

これからは建設業もソフトで勝負の時代だ。
【覚書き:建物を建てるハード面だけでなく、お客さんのニーズを聞いたり、それに対して技術・資金計画も含めて提案するようなソフト面が今後重要になってくるという趣旨の発言】


竹田弘太郎

会社再建も難病の治療のようなもので、どんな薬を与えても効かなかったのが、峠を越すと、めきめき解放に向かう。
【覚書き:石川県の大手タクシー会社石川交通再建時を振り返っての発言】


谷村裕

ルールは基本的に法規によるべきで、企業が自分たちの立場で話し合って作るのでは世間に通用しない。
【覚書き:公正取引委員会委員長として企業の談合カルテル体質を批判しての発言】


竹見淳一

社風というのは平穏なときにはわからない。緊急、異常時に出てくるものだ。
【覚書き:伊勢湾台風直後の社葬の時を振り返っての言葉。準備期間が取れなかったのにもかかわらず社員が力を合わせ社葬を執り行った】


大谷竹次郎

舞台は真剣で値段は安い。そしておもしろい。幕間は短い。
【覚書き:舞台・演劇の興業はこうあるべきだという大谷氏の哲学を的確に表現した言葉。以降、この哲学によって松竹は大きく成長した】


塚田公太

イギリスからもらった名目だけのタイトルなんか返上したらどうか。日本にも明治33年までは居留地があって外人から見下されていたが、日本人自身の自覚と努力によって、ついにその壁を打ち破った。
【覚書き:英国領インドで綿花取引を行っていた際、現地のインド人ブローカーに言った言葉。このブローカーはのちにインド独立運動に身を投じ、ガンジー派の幹部として活躍した】


大川博

映画といえども企業は企業である。企業の要となる経理を自分でしっかり押さえてかかるならば、映画企業も立ち直りの例外となるまい。
【覚書き:東映の新社長に就任した時を振り返っての発言。東映は東横映画、大泉映画、東京映画配給の赤字3社が合併して発足した。】


横山通夫

私は平社員の時も、社長、会長時代も常に「16番目の選手たれ」の気持ちを忘れずに過ごしてきたつもりだ。


山岡孫吉

ブローカー商売はもう御免だ。自分は汗を流さないでおいて、口先だけで中間利潤をむさぼる商売は、いわば詐欺と同類である。


井村荒喜

人の一生は短いものであるが、事業は尽きることない永遠のものであると思っている。しかし、事業を永遠のものにするためには、日に新たに、絶えず己を更新してゆかねばならぬ。もしそうでなかったら事業は人の一生よりもっと早く老衰し、短命であるに違いない。


野村与曽市

運転する工場の中で一番大切なのは、人心の安定、すなわち和、敬の精神と、場内の清潔整頓である。


久保田豊

細かいことで私欲を出したり、無理に人を押しのけたりすることは感心できません。たまに赤字覚悟、損得勘定抜きの場合があってもいい。その方が相手側の信頼を得て、結局はプラスになって返ってきます。


田代茂樹

現代の企業経営者は、社会全体に対して奉仕することを義務付けられている。
【覚書き:上記は東レ名誉会長時の発言】


池田謙蔵

経営は雪だるまを押していくようなものだ。すなわち、太く固い芯をフロンティア精神をもって作り上げていくことだ。


植村甲午郎

私の仕事は一口で言えば、国防の基盤になる鉄や石炭、その他重要資源を調査し、これを整理編成することである。私は調査課長を十年近く勤め、その間、資源調査法を立案、同胞は公布された。業務が広範なので仕事は無限にある。だが在勤十年ともなると統計の数字などちょっと見ただけで勘が働き、誤りが発見できる。


松田恒次

「IBMを使おう」と言っても、社内ではまだ誰も知らなかった。いろいろ検討した結果の採決でも、賛成3に反対7の実情だったが、私はこればかりは譲れないと、強引にワンマンぶりを発揮して導入した。研究のための施設には惜しみなく資金をかける。いわゆる無駄を省いてこそできる贅沢なのである。


砂野仁

処遇の厚薄は担当する楽器操作の巧拙と難易によって上下する。理想は楽団的事業経営体である。
【覚書き:神戸商工会議所会頭・日本商工会議所会頭などの経験を踏まえ理想的な労使関係を語った言葉】


小林節太郎

本業がおろそかになる。やはり本業が大事だ。苦労しても品質をよくすることが必要だ。
【覚書き:映画会社にフィルムが売れず、富士フィルム自ら映画製作に乗り出すべしという意見にたった一人反対した時の言葉。】


小林宏治

事業部制は組織を垂直方向でなく、水平方向に発展させようという試みである。


奥村政雄

60歳から70歳ぐらいまで勤めて自然に辞めてゆくというのが普通だった。自分自身の危険負担において自由に大空を飛んでみたいというのが希望である。誰からの制約も受けずに積極的に何かをやってみたいと思うのは当然であろう。
【覚書き:55年定年制を他社に先駆けて導入した時の言葉。余力を残し、第二の人生に踏み出せるようにとの想いから同制度を導入】


町村敬貴

よい牛をつくるには、牛の好む草をたっぷり与えなければならない。そのよい草はよい土壌に育つというのが、私の「米国で学んだ心理」だ。つまり、牛、草、土の三位一体というのが酪農本来のあり方である。


石塚粂蔵

いつも生活の設計図を会社の運命に結び付いて描いてきた。平凡なようだが、顧みて幸せな男だ。
【覚書き:日本製鋼所に入社し、社長・会長を経て引退まで勤め上げた自分の人生を振り返っての発言】


和田完二

心身ともに私はへばっていたらしい。昭和27年5月。意識を失って国立病院に入った。どん底にあって、私は人の心の美しさと温かさを知った。


安藤豊禄

事業というものは、正確に状態を把握していれば、やがては必ず成功するものである。
【覚書き:上記発言は閉鎖が予定されていた北九州の八幡と恒見の2工場を存続させた時の発言。様々な調査ののち閉鎖せずに経営再建できると判断を下した。結果、2工場は見事に再建に成功】


芦原義重

大気汚染、水質汚濁、従来の鉄道や自動車に代わる交通手段、都市の冷暖房など国民の生活環境をよくすることに役立つ技術部門を先導部門としてとりあげたらどうか。
【覚書き:日本経済新聞の取材にて日本の今後の技術開発の方向性を聞かれた時の言葉】


谷口豊三郎

事業にはひとつひとつに時間をかけて大きくしていく方法もある。これを手っ取り早く実現できるのが合併で、リスクはあっても要はやり方次第だ。
【覚書き:東洋紡と呉羽紡の合併について振り返った発言】


北沢敬二郎

妨害はかえって私の闘志をかきたてた。社員に対しては「社運を賭してこの事業を達成させなければならぬ」と決意を表明した。
【覚書き:大丸の東京進出時、東京で営業していた百貨店が仕入れ先に圧力をかけてきたことを知ったときを振り返り】


伊藤保次郎

尾去沢の事故処理は、私にとって大きな試練であった。宇宙の威力というものが、人間生活の転変と建設という事業の上にいかに大きく覆いかぶさっているということを私は身をもって感じた。


遠山元一

兜町に入って50年以上になる。過去を振り返ってみると、朝から晩まで剣の刃渡りをしているようなものだった。
【覚書き:関東大震災、昭和恐慌、太平洋戦争後の不況などを証券業界で経験してきたことに対する回想】


佐藤貢

かつて我々は占領下の集中排除法に挑んで二年間戦ったが、いまにして思えば、あれは貴重な試練であったとむしろ感謝したい気持ちですらある。
【覚書き:太平洋戦争後、各種企業の規制や分割が行われ苦しんだが、競合各社も力が弱まり、北海道から本州へ販路を広げることができるようになったことについての回想】


井上五郎

企業は地域の発展とともに発展する。したがって地域の発展に尽くすことが、そのまま事業のためになるのだ。
【覚書き:中部電力会長当時の発言。電力会社は地域の盛衰によって電気使用量・収益が変わってくる事業のため、営業地域に対し果たすべき企業責任があると理念を語った言葉】


加藤辮三郎

欲望に限りがなく、些細なことにも腹を立て、おかげさまを忘れて自分の行為には高い値をつけようとする。


中山幸市

「太平住宅」「太平火災」の組織を見ればおわかりのように、私はあくまで、利潤を追求する企業経営者とはなりたくない。私の理想とするところは、資本家も労働者もない企業形態を具現したいと思っている。その底に流れるものは、大衆に喜ばれる、大衆への奉仕である。こうした考え方は、私が貧しくして育った青少年時代の影響であろう。


堀久作

サイレント(無声映画)からトーキー(有声映画)への転換を図るが、借金は200万に膨れ上がった。なぜそんな大金を借りられたか。またなぜ貸したかというと、賃借のことで私が微塵も嘘をつかなかったということだろう。
【覚書き:日活を買収し企業再建を始めた際、千葉銀行から多額の資金を融資を得られたことについての回顧】


加藤誠之

トヨタの給料は、GM時代の半分だった。朝は7時に出社して、夜は星を抱くまで働く。しかも休みは月に二日だけである。それでも酷使されているとは思わなかった。


伊部恭之介

日本の金融市場は、遅かれ早かれグローバルスタンダードの下に機能することになるだろう。これを受け入れるには、日本の市場関係者が旧来の発想や経営路線から脱皮して、新たな市場で闘う気概とそれが国益に合致するとの考えに立たねばならない。
【覚書き:90歳の誕生日に】


杉道助

ブームの時は物が上がる一方だから商売は楽だ。会社の上役はお召の袴などはいて自動車を乗り回し、我々若いものもかなりだらけていた。この膨れ上がった取引が、戦争後の反動でグッとしぼんだのだからたまらない。
【覚書き:第一次大戦特需の好景気と、その後の反動不景気について語った言葉】


ジャック・ウェルチ

市場で4位か5位でいると、No.1がくしゃみをしただけで肺炎にかかってしまう。No.1なら、自分の命運をコントロールできる。第4 位グループの連中は合併に明け暮れ、苦しむ。第4位になると、事情が全く違ってしまうからだ。苦しむことが仕事になってしまう。だからこそ、より強大にな るための戦略的方法を見極めることが必要になる。世界でNo.1かNo.2でなければ再建か、売却か、閉鎖かのどれかだ。


樫山純三

人間とは便利なものである。いま振り返ると、いい思い出しか浮かんでこない。ちょうど負けた馬券を覚えていないようなものである。三越の店員時代のこと、独学のこと、梶山商店創業当時のこと、しんどかったことや苦しかったことは、年月による浄化作用を受けて、すべてが懐かしいものに変わっている。


五島慶太

俺はその日のことはその日で忘れる主義だ。その日に決断のつかないことを、思い悩んで明日まで持ち越すようだと、明日の戦争は負けだ。一日の労苦を忘れるには、坊主とか芸者の浮世離れしたバカ話を聞き、ぐっすり寝て仕事を忘れるに限る。翌朝は頭が爽快で、また新しい構想が浮かぶのだ。


吉田忠雄

失敗することを恐れていては思い切った働きはできない。同じ働くのなら精一杯の力をぶつけて働く。そこで失敗するのなら仕方ない。


団琢磨

自己の使命を自覚し、堅固不動の自活的精神をもって事にあたれば、天は自ら助くる者を助くること、もとより疑いのなきことである。


松下幸之助

一切のものには寿命があると知ったうえで、寿命に達するその瞬間までは、お互いがそこに全精神を打ち込んでゆく。そういう姿から、大きな安心感というか、おおらかな人生が開けるのではないかと思う。


土光敏夫

成功は次の成功への呼び水とせよ。失敗は次の成功への足がかりとせよ。この二つの相反する格言は、アフターケアの大切さを指摘している点で、共通の真理なのである。


松下幸之助

自省の強い人は自分というものをよく知っている。つまり、自分で自分をよく見つめているのである。私はこれを自己観照と呼んでいるけれども、自分の心をいっぺん自分の身体から取り出して、外からもう一度自分というものを見直してみる。これができる人には、自分というものが素直に私心なく理解できるわけである。


堤康次郎

儲けよう、儲けようと焦れば焦るほど失敗する。他人がいいぞと言ったり、上手く儲けた話を聞いて、あわてて手を付けると、もうその時は手遅れだ。いつまでも柳の下にドジョウがいるわけではない。


豊田喜一郎

一本のピンも、その働きは国家につながる。【覚書き|どんな小さなことでも大きなことに繋がっているので、細部をおろそかにすると、いつか大問題が起こるから注意しろという趣旨の発言】


ウォルト・ディズニー

私は自分の作品を「芸術品」と呼んだことはない。私の作品は「エンターテイメントを作るビジネス」である。


松本望

まったくの新製品なのだから、売れなくて当たり前だ。あわてるな!
【覚書き|レーザーディスクを発売した当時、売れ行き不振が続き弱気になっていた社長を激励した言葉。】


黒田善太郎

商売の利潤というものは、追求するものではない。利潤は、その事業が社会に貢献することによって社会から与えられる報酬である。


牛尾治朗

社会のために役立ちたいという志を持っている経営者が成功する。


カルロス・ゴーン

いつも失敗の口実を探す。これが日産の一番の敵だ。


飯田亮

企業は潰れるからいいんだと思う。経営に失敗しても救済されるというのでは、緊迫感がない。


小林陽太郎

仕事は常に人間によって行われ、人間のつながりによって進行していくことを忘れてはならない。


出光佐三

君たち、店員(従業員)を何と思っておるのか。店員と会社はひとつだ。家計が苦しいからと、家族を追い出すようなことができるか!
【覚書き:太平洋戦争敗戦で出光の海外部門をすべて失い、海外部門で働いていた従業員たちをどうするか社内で話し合った時の言葉。出光はこの後、一人もリストラせずに経営再建を成し遂げた】


平岩外四

組織が人を動かす企業は活力を失い、衰退していく。人が組織を動かす企業は発展成長する。


アンドリュー・カーネギー

自分で仕事をするのではなく、仕事をさせる適材を見つけることが大切だ。


松下幸之助

松下電器は人を作る会社です。あわせて電気製品を作っています。【覚書き:松下電器創業直後に従業員から、この会社は何を作っているのかと問われた時の返答】


松下幸之助

どんなに完備した組織を作り、新しい手法を導入しても、それを活かす人を得なければ成果も上がらず、企業の使命も果たせない。企業が社会に貢献しつつ、自らも隆々と発展していけるかどうかは、一にかかって人にある。


御木本幸吉

誰もやったことのない仕事にこそやりがいがある。世界の何人も成功しなかったような仕事をなし遂げるのが、日本の新事業家の栄えある使命じゃあるまいか。


櫻田武(桜田武)

先人の踏を求めず、求めしものを求む。
【覚書き|先人が踏みしめた道・方法・先例などに答えを求めず、自分の信念に解決策を求めろという趣旨の発言】


諸井貫一

マジョリティ(多数派)が現在を作り、マイノリティ(少数派)が未来を創る。全員反対したものだけが一考に値する。経営者はこうしたマイノリティの理論を駆使しなければならない。


豊田佐吉

人間のやったことは、人間がやれることの100分の1にすぎない。


井深大

なぜ、そういう考え方をするのか。そんな数年後ではない。1990年や、2000年でもなく、2010年、2020年にはどうなっている、どうなるべきだから、という考え方をしないといけない。


渋沢栄一

有望な仕事があるが資本がなくて困るという人がいる。だが、これは愚痴でしかない。その仕事が真に有望で、かつその人が真に信用ある人なら資金ができぬはずがない。【覚書き|渋沢氏は第一銀行頭取時代に借り手の人物を見て金を貸すという哲学を持っていた】


鈴木修

発展途上国への進出はメリットがなく、オールデメリット。アメリカのおかげで日本は戦後の焼け跡から立ち上がることができた。発展途上国へモノづくりを伝えるのは、その恩返しなんです。【覚書き|早くから発展途上国に工場を展開した理由を聞かれた時のコメント】


大原総一郎

企業のあり方の中で、官僚主義ほど発展を毒するものはない。


大谷竹次郎

同じ事業をやるなら、人間は自分が好きな事業に手を出すべきだ。


岡野雅行(岡野工業)

いまの日本のモノづくりを見ていると、大丈夫かなと思うところはたくさんあるけれど、トヨタは凄いと思う。あの会社はものの考え方が違うからね。うちには難しい仕事ばかり持ってくる。それで失敗してもいいからっていって、本当に失敗してもちゃんと対価を払ってくれる。ただし、失敗の過程を全部レポートにしてくれと言うんだ。


吉田忠雄

わが社が100億円の損失を被ります。だから、皆さんは出し惜しみや値上げをしないでください。【覚書き|オイルショックの影響を消費者に負わせないため取引先を集め宣言した言葉。結果、40億円の損失を被ったが、取引先から大きな信頼を得ることになる】


ピーター・ドラッカー

驕るな。企業は社会に存在させていただいているものだ。


ビル・ゲイツ

あなたの顧客の中で、一番不満を持っている客こそ、あなたにとって一番の学習源なのだ。


ビル・ゲイツ

マイクロソフトにはたくさんの素晴らしいアイデアがあるが、それらは皆、トップの人間から来たものである印象がある。残念ながらそれは間違った印象だ。


スティーブン・コヴィー

企業においても、しかるべきプロセスを踏むことを嫌い、近道しようとして迎えた結末は悲惨である。経営者は檄をとばすような演説や、従業員の態度を改めさせるための研修、外部のコンサルタントによる改善計画や買収合併などによって、高い生産性や品質、あるいは顧客満足を確保できる新しい企業文化を購入しようとする。しかし、そうした行動が職場の信頼を低下させてしまっていることに気づこうともしない。


トマス・J・スタンリー

1年で500万ドル稼ぐ人は、アメリカ一億世帯に5000人いるかどうかだ。すなわち二万世帯に一世帯の確率だ。大半の億万長者の年収は、その一割の50万ドルにも達しない。また、50歳前に億万長者になることも少ない。そしてみんな倹約家だ。湯水のようにお金を使いながら億万長者になることは、ほとんどない。


トマス・J・スタンリー

資産のある人は、次の三つの質問にイエスと答える率が高い。(1)あなたの両親は倹約家でしたか?(2)あなた自身は倹約家ですか?(3)あなたの妻はあなたより倹約家ですか? この最後の質問は重要だ。蓄財優等生の家庭では、妻が輪をかけた倹約家であることが多い。


トマス・J・スタンリー

炭鉱業者の中には、少数とはいえ、業界の趨勢に左右されず、辛抱強く努力を重ねてきたおかげで報われた人がいる。「短期間、業界が苦しい時期に入ってくれたからこそ成功できた」というセリフを、成功成功した人からよく聞かされる。厳しい時期には、競争相手が自発的に戦線離脱していってくれる。


トマス・J・スタンリー

自営業者は、いいときがいつも続くとは考えない。ある程度の年齢の自営業者なら、景気の良い時も悪い時も経験してきているはずだ。だから収入が減るときに備えて、貯蓄投資の計画を立てる。年金計画も自分で立てる。彼らにとって頼る相手は自分しかいないのだ。考えてみれば、自制心が強く、自己管理の上手な自営業者が、経済的な成功を手にするのは当然と言えよう。


桜井正光

ニーズがはっきりとわからない時代には、あれこれ議論するより、経験則からニーズのありそうなあたりに(商品・サービスを)撃ち込んでみろ。反応がなければやめ、反応があれば正式にプロジェクトを進めていけばいい。


青山五郎

常識的な考えに染まらない。社員が働いているときには遊ばない。いつも社員と一緒に仕事をする。それが私の信条だ。


鮎川義介

古来、事業をなすには天のとき、地の利、人の和と言い伝えられているがこれを貫くに至誠をもってしなくては事業の成功を期することはできない。


岩切章太郎

世の中に必要なものなら、きっと世の中が拾い上げてくれるであろう。だから私どもは自分のしていることが、世の中に必要なことかどうか、私自身がその組織の中で必要な人間かどうかを、常に厳しく反省してみなければならない。もし必要でないなら、自ら進んで身を引くべきである。もし必要なら、世の中が大事にしてくれるはずである。


鬼塚喜八郎

志あるところに道は開かれ、求めるところに師は現れる。


藤原銀次郎

人間、欲のない人間になったらおしまいです。欲の出しすぎはよろしくないが、欲のなさすぎも困りものです。「欲がない」とは大変キレイに聞こえますが、その実、骨を折ることを嫌い、精を出すのが嫌いで、つまり、人間がナマケモノの証拠です。


三木谷浩史

ビジネスで成功するかどうかのカギは、結局のところ、仕事を人生最大の遊びにできるかどうかだ。


土井正治

人の助けも借りなければならないが、自分がしっかりしていてこそ、他人の力も借りられるというものだ。


グラハム・ベル

ときには踏みならされた道を離れ、森の中へ入ってみなさい。そこではきっと、あなたがこれまでに見たことがない、何か新しいものを見出すに違いありません。


山岡孫吉

私に取り柄があるとすれば、ただエンジンが好きで好きでたまらず、それに没頭できたことだ。


菊地庄次郎

堅固な戦略を背景に、計画をきちんと立てて経営する時代は終わったようだ。いまや出たとこ勝負で、積極的に試行錯誤をやる方がいいのではなかろうか。


西山弥太郎

社長のあいさつというものはあまり流暢にやっては駄目だよ。もうすこし、訥々(とつとつ)とやれ。君のように棒暗記では軽くていけない。


樫尾忠雄

電卓競争で得た最大の教訓は、「メーカーは業界トップになること」であった。そうしないと、技術競争をリードできる立場になれないのである。


坂口幸雄

危機を乗り切れるかどうかは、優れた人材がどれだけいるかによって決まる。経営のポイントは人材の教育にある。私は社内教育を優先した。毎年1、2名を留学させている。エリート人材が活躍するには、学閥は大変に障害となるので、大学の指定はしていない。今でも社員の出身校はバラバラである。


弘世現

生命保険と言うのは、他の商品と違って効用を直接訴えにくい目に見えない商品なので、これをセールスする苦労は大変なものである。表彰に値する優績セールスマンと言うのは、単に契約高という量的な面ばかりでなく、日常の地道な活動の実態などを加味したものである。


伊藤雅俊(イトーヨーカドー)

日本は官僚主導の統制・規制が好きな社会で、自由競争社会でも市場経済でもない。


賀来龍三郎

国際収支は本質的にゼロサムゲームであり、一人勝ちする者があれば大負けする者も出てくる。ところが日本は黒字国になった後も真剣に黒字減らしを考えずに大勝を続け、その結果、あちこちで経済摩擦を引き起こしてしまったのである。


小倉昌男

嘘をついた管理職には降格などの罰を与えた。このころ、管理職の人事評価は人格を基準にすべきだと思うようになる。成果主義は考え方としては正しいが、測定が難しい。ある時期に上がった成果が、現任者の功績か、前任者の種まきによるものか、はっきり分けられないからだ。それなら誠実、部下の面倒見がいいといった人間性を重視した方がいい。


椎名武雄

日本にはなかなか資本主義が根付かない。金儲けを罪悪視する風潮が今も残っている。誤解を恐れずに言えば、悪しき平等主義がはびこったために、日本社会がしなったものも大きいように感じる。


盛田昭夫

人は誰でも種々様々な能力を持っているものなのに、自分がどんなに優れた能力があるかを知らずにいる場合が多いと思う。どの世界でも、偉人というものはたいて、自分で自分の能力を発見し、育てていった人であろう。


砂野仁

しみじみと思うことは、いかなる名案であっても時期が到来しなければ現実は困難であり、タイミングさえよければ非常に困難に見える仕事も案外スムーズに運ぶということである。古人はこれを天の時と言った。


竹田弘太郎

復旧が一段落してのち、被災中、鉄道の全線が寸断され通信もまったく不通の中で、緊急の措置によって、旅客の安全をはかった従業員を表彰することになり、労務部で調査したところ、表彰を受けるものの多くが日ごろ上司の付けている人事考課が良くないのに気が付いた。


和田恒輔

スウェーデンは高度の福祉国家である。しかし老人たち、とくに夫婦のうちいずれか一つが欠けた場合、彼らは孤影悄然としており、また、いわゆる「かぎっ子」が多く、両親の子供教育が行き届かないために不良化することが多いそうで、青少年の非行問題がこの国の悩みのひとつだという。【覚書き:孤影悄然=こえいしょうぜん。ひとりぼっちで寂しそうなさま】


鈴木治雄

かつて生涯を昭和電工で仕事一筋に働いた方々を配慮する気持ちがなければ、結局、会社は衰退するだろう。会社は過去から現在、将来にわたって人間関係の中にあるわけだし、広い世間の一角を占めており、孤立しては存在できない。このことを忘れて独善に陥り、自己に誇ることは許されない。


市村清

ははあ、女というものはトイレなんかで秘密のことでもなんでも話すんだなと私は感じた。銀行会社のトイレは無数にある。ここから戦後の若い働き方を探れば何か出てくるなと私は思った。


岩谷直治

事業は三代かかって完成すると思っている。一代で何でもやろうとしてはいけない。会社を早く大きくしようとして、無理をすれば初代でつぶれる。仮に続いたとしても、子や孫の代に滅びる企業は実に多い。


櫻田武(桜田武)

企業の盛衰は商品の持つライフサイクルに影響を受けるものであって、いかに優秀な経営者でも、商品のライフサイクルが悪い状態のときにはいかんともしがたい。


倉田主税

わが社の製品はこのように優れているのだから、これを使用するのは当たり前である。売れないのは、非はむしろ需要者の側にあるといった思い上がった態度も、技術屋の側になくはなかった。これではいかに口先で経営を論じてもしょせんは机上の空論であり、企業を伸ばしていくことは不可能である。


小坂徳三郎

私は軽い経営が理想だと思っている。軽い経営とは従業員全員の肩に水圧を感じさせない会社のことだ。職制とか人事権とか命令系統とか、何か一つの権力構造を頼りにして、権力をチラチラさせながら下を押しまくっていくような経営は重い経営だ。


伊庭貞剛

もしその事業が本当に日本の為になるもので、しかも住友のみの資本では到底成し遂げられない大事業であれば、住友はちっぽけな自尊心に囚われないで何時でも進んで住友自体を放下し、日本中の大資本家と合同し、敢然之を造上げようという雄渾なる大気魄を絶えず確りと蓄えて居ねばならない。


土井正治

会社経営の要諦は社長個人としての能力がいかに優れていても限界があり、多数の部下にその力を十分に発揮させ、その総合力をいかに結集し、活用するかが大切なのである。最終の責任を負う覚悟を堅持すればいいのだ。


西川政一

近年、戦後の荒廃から日本が立ちなおり、日本経済の順調な成長に沿ってトップ層も交代し、若返りをはかる時期が来たわけだが、社長が代わっても本当の意味での若返りと言えるかどうか疑問に思っていた。日本独特のいわゆる実力会長制がはびこり、せっかく後進に道を譲ると称して交代しても、代表権のある会長に収まってしまって、いわば奥の院的な法王的存在になって二頭政治の機運を醸成しかねない。


石井久(立花証券社長)

どんな商売でも、創業者は人並み外れた才覚と努力で成功を勝ち取った人であり、その子供が二代続けて創業者と同等かそれ以上の資質を持っている確率は皆無に等しい。


岩切章太郎

宮崎に帰って地方のために働いてみよう。中央に向かう人はたくさんあるから、私一人くらいは地方に埋もれた方が意義があるのではないかと思うようになっていた。


鬼塚喜八郎

ヒントは釈迦の教えから得た。インドには三億人の民がいる。うち一億が私の教えに共鳴してくれたら立派な国になると説いたという。なるほど三分の一か。三割がしっかりしていれば、どんなに悪い者がいても残りの三、四割はついてくる。この考えを実践しよう。私は全株式の三割を持つだけにし、残りはすべて社員に分けよう。


岩崎弥太郎

無駄をなくすということは、口に出して言うのは簡単でも、実行するのは難しい。これは昔も今も、人々のひとしく悩みとするところである。余分な人員を整理し、無駄な費用を省き、精魂を尽くして本社の基礎を固め、相手に負けないだけの体制を築いてこそ、はじめてこちらの勝利が期待できる。


池田謙蔵

私は常々こう言ってきた。「企業経営は雪だるまを押していくようなものだ」と。雪だるまは最初に芯を作るときは骨が折れるが、あとは転がしておれば、だるま自身がふくらむ。押す時よりも、芯を作るときの方が力はいる。


神谷正太郎

経営者には六段階の時期がある。

  1. 社長個人でお金を儲けようとする時期。
  2. 会社として利益を生み、蓄積を考える時期。
  3. 売上高や社員を含めて、会社全体を大きくしたいと願う時期。
  4. 人や組織作りに一生懸命になる時期。
  5. 業界や、世の為、人の為に尽くす時期。
  6. 死んだとき悪口をいわれないように努める時期

神谷正太郎

私は決して経営の多角化を目指していたわけではない。モータリゼーションが進展しやすい環境を作ろうとしただけである。需要の拡大は潜在需要の開拓にあるが、その潜在需要層が存在しなければいかんともしがたい。つまり、需要開発の出発点は潜在需要層の育成にあるのだ。


田口利八

業界のムードとしてはまだ雲助根性をだして、荷主の顔色をうかがいながら、どんぶり勘定で運賃を適当にふっかける風潮がなくはなかった。その中で、適正な運賃、早い運送、客の親切を守るだけで評判は上がったのである。とくに大垣は城下町として堅実、保守的な土地柄だったから、なかなか入り込めないかわり、一度信頼を得ると絶対の強みになった。


宇野収

天に向かって誠実ならば、人がどう思おうと自分の信念に従えばよいと佐藤一斎は言う。しかし、他人や組織に受け入れてもらえなければ、実業の世界では理想も信念も実現できない。天に向けた理想、信念、誠実を裏付けにしながらサラリーマンは大いに自分を人に示す必要がある。


法華津孝太

若き日の山地土佐太郎(極洋捕鯨初代社長)はブラジルから帰りの船賃が足りない。彼は子豚10頭ばかりを移民船に積み込んだ。豚は戦中の移民の食料として買い取ってもらうように三井物産と契約しておいた。2・300人の移民のなかには船に弱くて少し揺れると食欲をなくす人が多かった。思惑通り、豚はその残飯を食べて丸々太っていった。彼が豚のえさを積み込んでなかったことは断るまでもあるまい。


小原鐵五郎

だいたい、担保を取って金を貸すのとそうでないのとでは、受け取る側のありがたみに雲泥の差がある。「そこまで、この私を買ってくれるのか」この気持ちが事業に大きな作用をもたらすのである。


稲葉興作

研究資料が乏しいので、必要な文献や論文を回し読みする「輪講」はかなり続いた。大学時代からそうだったが、先端の技術研究書は欧米のものばかりだった。日本の学者のものは、理論的なものばかりで、やはり経験の多い欧米のものが実際的であった。


川勝傳

私は、知的能力であれ、行動的能力であれ、さらに人間的能力について、限界を人様より敏感に意識するという性格が強いのである。私は過ぎ去った日々の中で、しばしばそういう孤独感にさいなまれながら歩いてきた。それだけに、私はものごとに当面して、私の出る幕であるかどうかを考え、その渦中から去っていったものである。


井上五郎

資材について馬鹿げた話がある。資材の獲得には誰も苦心したが、軍関係の倉庫に電線が保管されてあると聞いて、もらいに行った。応召の若い将校がいて、あるにはあるが保管に不便だから50メートルずつ切って保管してあるという。


松尾静磨

企業というものは社長一人が優れていても、たいしたことではないんです。全社員がそれぞれの能力を十分に発揮できるような、一人一人が気持ちよく働けるような職場づくりをしなければ業績は上がりません。


安川第五郎

小さな規模で大工場を向こうに回して、何でも来いと言ったところで、大工場には勝てるものではない。この工場として何を作るのが一番適しているのか、またそれが将来性があるかと品目を定め、その方に一路力を注ぎ、他の雑多な方面はいっぺんに整理すべきだと考えたのである。


奥田碩

最近はROE(株主資本利益率)重視に走る企業が多いと感じています。ROEでしばられて、ROEが悪くなるから投資はやめようという考えではなく、成長とバランスを考えることが必要だと思う。うちのやり方は、先に網を張っておいて、よしんば下がっても、網を張った会社が元気に成長してくれて、結果的にROEが上がってくれればいい。ROEにあまり拘泥すると矛盾が生まれます。


奥田碩

トヨタの連結ROE(株主資本利益率)は7%で、ビッグ3と比較すると低いと言われますが、そんなに高く持つ必要はないのではないかと考えています。もちろん、高く持つに越したことはないのですが、会社の発展の度合いによって数字は違ってくるものではないかと思います。


出井伸之

ソニーでも足し算の文化のごとく、オーディオ・ビジュアル・ビジネスの上にITビジネスを乗せてしまおうというわけです。この両業種を合わせて、いままさにはじまったデジタルの爆発的な成長に貢献していけるようなモノづくりをしていこうということです。


出井伸之

日本という国は足し算の文化だと思うのです。アメリカの文化は、Aがあって次にBに変わったら、Aはなくなってしまう。でも、日本の文化は違います。AプラスBという形で変わっていくことができるのです。AからBになっても、Aはなくならない。それが足し算の文化なんです。


島正博

規模が大きければ画一的になってしまいますが、小さければ相手の立場を理解したり、どう創造性を高めていくかなどを考えることができます。買う人の満足が得られるようなモノづくりをしていかなければいけない。


島正博

これまでの量産時代はベルトコンベヤーの習慣があった。しかし、いまは心の時代へと移りかわっていますから、小さくて小回りの利く経営ができるほうがいいのではないかと思います。


福井威夫

結果として販売台数が一番になれば、それに越したことはないんですけれど、それを最初に考えちゃいかんのです。まずは中身です。会社の中には販売の現場など、数を追う人がもちろん必要ですが、企業のトップから従業員の一人一人まで全員が数を追っては駄目だということです。


福井威夫

商品の質でいえば、生産のプロセス、開発段階や生産工程までさかのぼって、品質を作りこんでいく。商品を作り終えた完成車検査で、いくら厳重なチェックをしても、しょせん水際作戦です。そんなことをしていては、必ずどこかで落ち度が生じるのです。


福井威夫

ホンダではこれからの方向として「源流強化」をテーマに掲げています。これは現場・現物・現実の三現主義に基づき、開発・生産・購買・営業・品質・管理といったあらゆる領域で、ものごとの本質を追求していこうということです。ホンダを含めて、世の中の全体がビジネスにおいて目先の利益にとらわれすぎていると思うんです。販売台数や利益をがむしゃらに追いすぎる。多少の時間はかかってもいいから、もっと根底にある部分をしっかりやっていこうということです。


古川一夫

情報が変質する中で、コンピュータは省力化マシンから、価値を生むシステム、マシンへと変わってきているんです。我々はメインフレームがバリバリの時代を経てきましたが、その後、ユビキタス時代の到来など、いろんな環境の変化に応じてコンピュータシステムそのものが省力化マシンから、バリュー・クリエイション・マシンになっています。こうした変化を我々は事業の中で本質的にとらえていかなければいけないと思っているんです。


浜田広

製品のイノベーションのために最適地生産の段階に入ると、グローバリゼーションがさらに複合的な意味を持つようになります。最も効率的な生産、最先端のテクノロジーの獲得、時代を先取りするニーズの把握など、さまざまな観点からグローバリゼーションを考えていく必要性が生まれます。最大の効率で、最強のモノができる仕組みをつくり上げていかなければ、グローバルな競争力を持てない時代に入っていうのです。


浜田広

製造業は生産コストを引き下げて競争力を強化するために、海外へ生産工程をシフトさせるのですが、そのことは同時に市場に最も近い場所で生産し、販売するというもう一つの競争力を生み出すことになります。いってみれば、世界中で最も安くて品質のいいものを作るのに適した土地で生産を進める、最適地生産によって競争力をつけることができるのです。


浜田広

我々製造業にとって、グローバリゼーションへの対応は競争力を左右する重要なポイントですから、グローバリゼーションを三段階に分けて考えてみたいと思います。

  1. メイド・イン・ジャパンの商品を海外に輸出して販売するという段階
  2. 海外で製造するという現地生産の段階
  3. 世界中で最も安くて品質のいいものを作るのに適した土地で生産を進める最適地生産の段階

三好俊夫

知的生産性を高めることが、競争力確保につながるのです。21世紀は知的生産の競争が繰り広げられるわけですから、企業は早急に知的改革に取り組まなければならないのです。


三好俊夫

これまでの組み合わせ技術、システム化技術を追求するのみではなく、まったく新しい発想で製品を開発しなければ、競争力を持つことはできません。有望なのはたとえば遺伝工学やバイオ技術などを駆使したクリエイティブな製品であり、求められるのは知的商品や知的サービスを開発・創出し、新たな市場価値を作り出すこと。


三好俊夫

多くの国が工業化し、世界中で同じような工業製品が生み出されるようになりますから、クリエイティブでなければ、新しいビジネスチャンスをつかみ取ることはできない。いずれにしても、クリエイティブなくしては競争優位性を確保することはできないのです。


三好俊夫

知的生産に重みを置いた経営をしていくことが求められます。とくに、モノづくりにかかわる企業は絶えず新しい利益の源泉を生み出しながら、新商品の開発に取り組まなければならない。つまり、クリエイティブでなければ成長できなくなります。その背景には、基本的な技術がほぼ解明されつくした現在、工業生産技術に依存した輸出国家では生き残れない。


吉野浩行

すべて完璧にやってもらうのは難しいことです。ほぼ無理でしょう。調子の悪い時もあるし、不慣れな人もいる。ミスは必ず起こります。だから、それを見逃さないことが大切なんです。自分の担当でないところでも、他の人がミスをしていたら、何か変だぞと気付けるかどうか。その感度を高めることが製造の品質になるのだと思います。現場で働く人たちの感性をいかに高めることができるか。モチベーションをいかに上げることができるか。現場のマインドがモノづくりの質を大きく左右する。


吉野浩行

1日500台の車を作るために関わる人の数は5000人にのぼります。その5000人が完璧に仕事をしてくれないと、完璧な車ができない。誰か一人がボルトをゆるく締めたとしても、すぐにはわからないでしょう。しかし、出荷され、お客さんのもとで走っているうちにどこかで変な音がし出したり、やがて調子が悪くなったりするわけです。ミスは必ず起こります。だからそれを見逃さないことが大切なんです。


井植敏

いままで日本人は中国からもらうものは何もないと思っていた。だけど、行ってみたら教えられるものがたくさんあった。それでハイアールさんと提携したんです。学ぼうと思えばどこででも学ぶことはできる。日本人は70、80、90年代とうぬぼれてしまった。中国に行ってみても悪いことしか見て帰ってこない。それで自己満足している。


坂根正弘

日本と中国のように開発と生産の距離が離れてもやれるような商品があったとしたら、そういう商品について日本に勝ち目はないです。たしかに、米国のデルみたいに、開発と生産の密着度がなくてもやっていける商売はあります。でも、その商売には日本は長けていないんです。


坂根正弘

うちの会社では、開発部門と生産部門が同居している工場を「マザー工場」と呼んでいます。ちなみに、アセンブリ(最終的な組み立て)だけをやっている工場はチャイルド工場です。栃木県小山市にエンジンや油圧のコンポーネント(個別部品)の工場があり、そこから車で30分ほどの真岡市に車両生産工場があります。小山に開発部隊を置いていたのですが、この30分の距離が大きかった。ほかの工場に比べアクションが遅いんです。だからすぐに開発部隊を真岡に移しました。


坂根正弘

日本が強いのは開発力と生産力の組み合わせです。開発と生産が一体になってコンスタントに改善を積み重ねることによって、製品の特長を作ってきた。その意味で、開発は日本でやるけれど、作るのはコストが安いところでというのはおかしいわけです。本当にそうなったら、果たして日本に勝ち目はあるのか。


武内勇

我々はメッキの液の開発から前工程、後工程の必要なプロセスの開発を全部やります。それらをやらないとモノにならないですから。それから、メッキで構造体をつくり上げる技術も持っていますから、立体構造も作れるんです。加えて、常温で接合する技術を使って非常に強固な結合を可能にしていて、用途に向けた開発の可能性が広がっています。


中野克彦(経営者)

社長に就任してからの十年間、毎月、川崎の研究所に通い続けました。所員の話を聞くと、このテーマが商売になるのか、事業になるのかということはすぐわかるんです。「君、これ、どこから聞いてきたの」「コストはどうなの」「市場はどのくらいあるの」と聞くと、意外に答えられない。研究のための研究だからです。そこで、「学生が教室で研究しているんじゃないぞ」と言うわけです。


中野克彦(経営者)

これからの会社はMOT(技術経営、技術版のMBA)ですよ。技術経営ができなければ駄目です。したがって、研究所を変えたいと思いました。当時、うちの研究所はブラックボックスでした。技術の総帥が「研究のことは俺に任せておけ」というから、みんな任せるけど、一向にいいものが出てこないわけです。だから私は、社長に就任してから十年間、毎月、川崎の研究所にヒアリングに通い続けた。


桜井正光

技術屋さんのよいモノを作ろうとする世界一強いこだわりがあります。だから日本はもっと自信を持ってもらいたいと思うんです。新しい、いわゆる高付加価値商品を生み出す市場は日本そのものなんですから。


桜井正光

商品を評価する視線の厳しさは、日本人に共通するものです。そうした厳しい国内マーケットからの要望に対して、我々は改良を加えるなどして応え、新たな商品を提供していく。それによって前工程の技術開発は強くなる。


桜井正光

お客様の指摘にも二段階あります。新商品を最初に購入するのは、新しいものに敏感なお客様です。このお客様の興味は機能に集まります。それから、その商品がだんだんと一般の人々の間にも浸透し始めると、彼らからは新しいものに敏感なお客様層とは異質の要求が出てきます。一般のお客様はデザインなど外観的な要素や、どれだけ長持ちするかという信頼性にこだわる傾向がある。


桜井正光

前工程は間違いなく国内でしっかりできる。なぜかというと、日本は世界で一番厳しい市場だからです。日本ほど新しいもの好きの国民は、世界中を見渡しても他にいません。日本国民の厳しい視線が、日本製品の品質を鍛え、世界に冠するものに仕立て上げているのです。


桜井正光

モノづくりは日本では駄目だなんていう人がよくいるけれど、人件費の高さを考えると、確かに後工程である組み立て加工は駄目かもしれない。けれど、加工・組み立てはモノづくりの中の一部分でしかない。あとの部分、すなわち前工程の力をつけ、商品の高付加価値化でほかの国に勝っていかねばならない。研究開発や商品開発の前工程については絶対に譲ってはいけないのです。日本のメーカーはもっと前工程を大事にしなければいけない。


深谷紘一

パイプだけを作り続けていて、他には何もやっていないけれどパイプだったら世界を相手にしても負けない企業ってあるでしょう?そうした技術の深掘りをしている企業が今後、強さを発揮すると考えています。安さだけを求めて、きょろきょろしながら生産地を移していくようなモノづくりは長く続かないと思います。とくに自動車産業は高い品質が求められますし、常に新しい付加価値が求められますから、何かに特化し、深堀できる企業が強い。


深谷紘一

部品メーカーが生み出す付加価値に利益がつくのは確かです。部品メーカーが自動車産業を支えていると言われることもその通りだと言えます。このことは100人、200人規模の中小企業でも、この分野なら負けないという技術を持っていれば大企業と組んで大きなプロジェクトを動かせることを意味しています。


町田勝彦

他にはない独自のオンリーワン技術を磨いて、オンリーワン・デバイスをつくり、オンリーワン商品を作らなければいけない。そして、オンリーワンを積み重ねることで、ナンバーワンになれと言っています。技術や商品に限らない。コーポレートガバナンス(企業統治)も、販売の仕方でもオンリーワンを目指したい。あらゆるところで独自性を出していきたい。


町田勝彦

ナンバーワンになろうとして規模だけを追うのは簡単です。しかし、それでは利益が取れるだろうか。薄利は目に見えていますし、商品の特徴も生まれない。もちろん、企業の顔も見えない。しかも、利益を上げようとして開発投資を減らしながら、2番手製品を作っているのでは、いつかは中国などに飲み込まれてしまいます。


金川千尋

コストからいえば、生産能力の大きな生産拠点に一極集中した方が安くなります。しかし、ひとつのバスケットにすべての卵を入れたのでは、万一、バスケットを落とした時に卵はすべて割れてしまいます。だから、リスクは分散しなければいけない。コストは高くても、それは保険料です。大切なのは生産拠点を複数にして、いかにコストを最低限に保つかを考えることです。


金川千尋

たとえ、リスクを踏んででも時期が来たらいつでも取り掛かれる用意を常にしておき、普通なら一年半かかるところを半年で完成させる。そこに決定的な差が生まれるんです。立ち上げに一年半もかかっていてはブームは過ぎてしまう。


金川千尋

リスクには「踏んではいけないリスク」と「踏まざるを得ないリスク」の二つがある。カントリーリスクやPL(製造物責任)リスクを侵したら企業にとって致命的になります。しかし、リスクを恐れてタイミングを逸しては、勝てないビジネスがある。投資が大きいビジネスは、早く立ち上げたものだけが勝者になれる。


長谷川武彦

他社が左へ行くのなら、うちは右へ行って成功しようと考えるくらいの余裕がなければいけない。ビジネスモデルは一つではありません。みんなと同じ方向へ行けば、横並びから抜け切れないし、同じ軸の上で競争していては、最後は資本力の勝負になりますから、いくら本物を持っていても勝負することはできません。


長谷川武彦

中国でビジネスをするのであれば、現地の感覚や価値観を理解しなければいけない。彼らには彼らの考え方があることを勉強しました。コピーしてけしからんと繰り返していても仕方ないんです。市場が違えば、求められるニーズも異なる。他社が一斉に中国に進出したとしても、あわてる必要はない。


長谷川武彦

私は中国から学んだことがあります。彼らはバイクをコピーして半値以下で作ります。最初、私はこんな半値以下の製品はバイクとは呼べない、そのうち駄目になると思っていました。ところが一向に駄目にならないんですね。なぜか。我々が考えているCS(顧客満足)と中国のCSは異なるからです。安いコピーバイクは品質が良くないから簡単に壊れます。日本人だったら不良品だと文句を言うでしょう。ところが中国では最初から高品質の壊れないバイクなど期待していない。壊れたら直せばいいと考えている。


林原健

ソニーは井深大さんがモノを作り、盛田昭夫さんがそれを売って歩いたからうまくいった。ホンダも本田宗一郎と藤沢武夫のコンビで成功した。得意な分野は得意な人が手掛けた方が、両方が良くなるじゃないですか。


進藤晶弘

工場はもとより、場合によっては販売チャンネルを持つ必要もありません。アウトソーシングでできることはすべきです。最も大事なのは、市場にエントリーすることですから。土俵に上がらなければ、相撲も取れないということです。


進藤晶弘

「生産性を競う時代は終わった。これからは創造的な技術を競う時代である」と思ったんです。実際、米国では工場なんか持たなくても立派に会社を立ち上げている。国際的にもアライアンス(業務提携)を組み、お互いに補完しあいながら、一刻も早く市場にエントリーすることこそが、ベンチャー企業には大事ではないかと考えたんですね。


進藤晶弘

ベンチャー企業は大企業と違ってパッと集まって、すぐに意思決定ができます。これは強みなんです。つまり、無駄な人を経由しない。それから、いくらスピードだと言っても、独断に陥ってはいけません。みんなで必ず議論して、ものごとを決めることです。


進藤晶弘

ハイテク分野の何よりの武器はスピードです。大企業は人を育て、開発をし、生産して、販売やサービスをするというプロセスをすべて自分のところでやります。そうすると、たいへんなお金がかかる。事実、工場を持ったり、販売チャンネルをもったりすると、大量の人を抱えて大量の投資をすることになる。これは大変な負担です。


松井道夫

30年ほど前、私が社会に出た時には、時代に大きな変化はなく、過去の延長線上に未来があると信じることができました。しかし、当時大企業と言われていたところは、現在凄まじい競争の渦中にあり、のたうちまわっています。みんなが思い描いていた将来のイメージとは全然違い、予想もしなかった変化が起きているのです。


松井道夫

いまは革命期の真っ最中です。世の中の風景は、大きく変化しています。これに気付いている人と、気付いていない人とでは天と地ほどの差が出てきます。たしかに、過去の延長線上に歴史が続いているのは事実です。しかし、必ず100年か200年に一回、世の中の様相がガラッと変わるエポック・メーキングな時代があるんですね。いま私たちが立っているのは、まさにその地点です。


西田厚聰

事業に応じたスピード、経営の判断基準があるということです。現在進行している事業には、私の任期中には実を結ばない長期の事業もたくさんある。直近の事業も、もちろん力を入れて取り組みます。しかし、自分の任期中に成功させる事業だけを考えていては駄目なんです。自分の任期を超えて、事業を持続的に成長させなければいけない。5年先、10年先を常に考え、結論を導き出し、決断することができるのは社長以外にいませんから。


西田厚聰

リスクは冒します。でもビジネスは賭けではありませんから、決して無謀なことはしません。たとえば、長年やってきたパソコン事業について言えば、とくに半導体は三年で投資が回収できなければ成り立たない事業ですから、三年で間違いなく回収できるかどうかが決断の決め手になります。また、今回の米国原子力プラント大手ウェスチングハウス社の株式買収について、原子力は20年から30年のタイムスパンで収益性を考えなければいけない事業です。


西田厚聰

競争原理のもとでは、つねに一歩先を読み、先手を取らなければいけない。後ろ手に回った途端、コストは倍に膨らみます。ビジネスとは言ってみれば市場環境の変化など、時代が作り出す状況と相関関係にある関数です。時代の状況が変われば、経営の重要なポイントも変わってくるのです。状況が変われば事業の優劣関係もコロッと逆転するかもしれない。


西田厚聰

企業の成長にスピードとタイミングは必要の条件です。グローバリゼーションとは、日本から世界へ市場が広がったと同時に、日本市場にも世界の企業が参入することを意味します。つまり、グローバリゼーションによって市場の競争原理が導入され、日本の伝統的な組織の動かし方が通用しない時代が到来したということです。


諸井虔

経営トップは同業他社の動きが気になるものですから、ある企業に改革の成果が表れはじめた、などという記事が新聞に出れば、追随するに違いありません。これは、横並びを改革するための最後の横並びであると、私は思っているんです。


諸井虔

恐れる必要はありません。管理職集団の側も、自己否定をしなければ会社が生き残れないことがわかってきています。そこが大きな変化であり、チャンスです。経営トップが自分の職をかけて強いリーダーシップを発揮すれば、改革はできます。仮に業界のトップ企業の経営者が決断して改革を始めれば、同業他社にも改革の動きは広がっていくでしょう。


諸井虔

トップの決断次第です。日本企業のトップは管理集団の中から選ばれたエリート中のエリートですから、基本的に管理職と同じ体質なんですね。したがって、管理職集団のことを最も大切に思い、彼らの利益を優先して経営のかじ取りを行ってきた。言うなれば、管理職集団の代表のようなものです。逆に言えば、経営者にとって一番気になる存在は管理職集団なんです。


諸井虔

改革はボトムアップでは絶対に成功しません。トップダウンでやるしかない。トップみずからが腹を切る覚悟でやるしかありません。


水口弘一

リスクがないところには、チャンスがない。チャンスがあるところには、必ずリスクがあると言ってもいい。もちろん、リスクヘッジ(危機回避)について考えなければいけないのですが、いつも石橋を叩いてばかりいて渡らないのでは、展望は開けないのです。


水口弘一

旧野村財閥の創始者・野村徳七が昭和16年に日本で初めて投資信託を手がけた時も、役員会では全員が反対しました。そのとき、野村徳七は「新しい事業はみんなが賛成してはうまくいかない。少なくとも八割が反対するくらいの事業に価値がある。もし、元本保証ということが引っ掛かるのなら、私財を投じて保証する」と言い切って、投資信託に乗り出しました。この気概と度量が大切なのではないでしょうか。


町田勝彦

98年、私は社長に就任しました。当時はパソコンの市況に左右されて、なかなか利益が安定しない液晶事業を何とかしなければいけない状況にあり、そのためには液晶テレビに使って、社内需要のウェイトを高くする必要がありました。韓国、台湾、中国の各社も勢いを増していましたし、半導体や液晶は本格的なグローバル競争に突入し、強い危機感を持ったのです。そんな中、例の宣言をしたのです。それは「2005年までに国内で売るすべてのテレビを液晶に置き換える」というものです。


桑野幸徳

技術がわかっていることと経営がわかっていることとは、フェーズが異なると考えています。経営とは大きくて深くて、全人格的なものが要求される世界ではないか。技術の分かる人は、何も社長でなくてもいい。たとえば、副官のような立場の人でもいいと思う。社長と副官が絶えず議論ができる体制を作るなど、分業体制で技術を高めていくという方法もあるわけですから。


大賀典雄

私が望んでいるのは、ソニーが「スマートな会社だな」「お、やるじゃないか」と思われることです。英語にアドマイアー(感嘆する)という言葉があるのですが、見た人からアドマイアーされる、つまり認められ、称賛される会社になってほしい。これが私の究極の願いなのです。そのためにはどうしたらいいのか。私はずっとそのことだけを考え続けて、商品企画も、広告宣伝もしてきました。私の関わったすべてのデザインの根底にあるのは、この発想です。


荒川亨

ネットワークの時代には、みんなで知恵を出し合いながらモノを作っていくことが大切だと思います。その意味でゼロサム・ゲームではなく、プラスサム・ゲームでネットワーク時代にふさわしい実績を作っていきたいとそんなふうに考えているんです。【覚書き:プラスサム=全体が広がり、かつ各部分も広がっていく状態のこと】


柳井正

いまの若い人は豊かになったからか、他人に学ぶ心がないし、物事を多面的に見る力が欠けているように思います。モノの見方が教科書的だし、常識的なところも気になります。若い人にはもっと日本の先人たちに学んでほしいと思います。


柳井正

僕の好きな経営者は松下幸之助です。松下さんは経営に必要なことをほとんど経験し、そこから多くを学び、現代に通じる経営哲学を伝えています。どんなに技術が進歩しても経営の基本は松下さんの時代と変わることはありません。僕は松下幸之助や本田宗一郎の本をほとんど読んでいます。経営ってこういうことなのか、とずいぶん教えられました。


福井威夫

どうして世界に先駆けてCVCCのようなエンジンができたかと言うと、物事の本質を考え抜いたからだと思います。考えに考えて、ようやく最後に行きついたのです。とことん考えているから、これと決めたら後戻りしない。これが本質論です。


大塚陸毅

民になるということはすべてが自己責任になるということです。旧国鉄時代のように親方日の丸は許されないわけで、完全民営化と引き換えに重い責任が課せられたわけです。当然、一つ一つのビジネスにしろプロジェクトにしろオウン・リスク(自分のリスク)で進めなければいけない。リスクをどうとるか、失敗を恐れないでチャレンジする意識をどう身につけるか、それとともに収益を上げられる仕組みをつくらなければいけないわけです。


岡野雅行(岡野工業)

自動車を作るというのは大変なことだと思う。同じモノづくりでも、家電とは全く違う世界だ。なぜなら自動車は一度作り始めると、4年か5年は同じものを作り続けなければならないからね。試作して走らせて、問題点を改善していく作業には、ものすごい時間を要する。その余裕がなければ、自動車は作れないし、その実績のもとに、走る、止まる、曲がるという基本が蓄積される。そうでなきゃ100%安全な車は作れない。


岡野雅行(岡野工業)

「どこで失敗したのかすべて教えてくれ、図解して説明してくれ」と(トヨタは)言う。それを見てトヨタはここで失敗したのなら、次はああやってやろうとまた注文が入る。二度と同じ失敗はしないし、失敗はトヨタにとっての財産になる。ほかの会社はそうはいかない。失敗のリスクを取るのは俺たちで、儲けは自分たちだけで取る。


岡野雅行(岡野工業)

うちは「誰にもできない仕事をする」をモットーにしている。プレス加工のポイントになる深絞りという技術では抜きんでていると思う。深絞りは一枚の平らな金属の板をいくつもの工程を経ながら順に筒状に加工する技術だ。30年以上間にステンレスを深絞りで加工し、ライターケースを作ることに挑戦した。以来「誰にもできない仕事をする」という信念のもとに仕事をしている。


鈴木幸一(経営者)

日本のインターネットとアメリカのインターネットは、日本のフォークソングとボブ・デュランくらいの違いがある。アメリカはベトナム戦争の重荷の中で国としての存在基盤を作ろうという筋金入りのインターネットを作った。日本はそこまで大きな思いを持っていない。


安達稔

本当に世界で通用する経営、世界に通用する技術をどのように創造していくのか。そのことを次代を担う若者にしっかりと引き継がないことにはどうにもならない。それならばひとつ、自分自身の思いで会社を作ってみようと思ったのです。


安達稔

いまの日本はどうでしょう。松下幸之助、本田宗一郎、井深大、盛田昭夫といった志のある立志伝中の経営者はいなくなっている。中小企業のオーナー社長も、贅沢することに腐心して志を忘れてしまっている。管理職にしてもそうです。私が社会に出たころは「人の嫌がることでも進んでやれ」と父からよくハッパをかけられたものです。


安達稔

過去何度となく襲われた厳しい状況を乗り越えられてこられたのは、経営者に志があったからです。その志のもとに全社員が結集し、一丸となって難局を乗り切っていく。そうした機運が会社の中にみなぎっていましたし、日本の企業社会全体がそういう空気に満ちていました。


牛尾治朗

従来のトップはみんなが同じ楽器を演奏する、たとえばマンドリンクラブのプロデューサータイプでよかった。しかし、これからはオーケストラのプロデューサーでなければならない。異なった種類の楽器を演奏する団員をまとめるためのプロデューサーとしての素質が求められている。もっと言えば、会長がプロデューサー役、社長が演出家、そして主役は現場のトップであるといった組織が理想でしょう。


牛尾治朗

従業員が多様性を持つようになると、経営者のリーダーシップがますます必要になります。そのためには、やや遠めの10年後、15年後のビジョンを打ち立てることが求められる。さらに言えば、企業のキャラクターも問われる。いってみれば、ビジョンとそのビジョンを実現するための方法論が必要になります。


和地孝

私は社員に「人は財産だ」と訴えました。人の価値はバランスシートには直結しませんが、人の努力の結果は必ずバランスシート上の数字に表れます。社員の半分をクビにすればたしかに人件費は半分になるかもしれない。しかし、社員のモチベーションが上がれば2倍3倍の価値を生むんです。いってみれば人は固定費ではなく含み資産なんです。


和地孝

4200人の社員全員と直接対話をしました。社員が社長室の外に出ないで間接話法で話をしたのでは伝言ゲームのように、間違った内容が社員に伝わってしまいます。それに、私が直接現場に出向いた方が、改革に対する本気度が社員に伝わります。社員に私の話を「間違いなく、この社長が言っていることだ」と信じてもらうことが大切なんですね。


和地孝

テルモ再建にあたってやるべきことが山積みしている中で、まず着手した課題は企業風土改革でした。企業風土が悪いとどんなにいい戦略を立てても組織に浸透せず、経営改革は立ち行きません。企業風土を変えずにリストラだけして、前進させようとしても無理なんです。根本から変えなければ、テルモ再建はできないと思いました。


三好俊夫

情熱だけでは説得力は生まれません。様々な尺度や角度で自分を分析しながら、国際的か競争に負けない経営体質をつくり上げていくことも大切です。しかし、単に計算ずくで説明するだけの経営者は経営者ではない。ただの専門家にすぎない。


三好俊夫

経営者は専門分野で生き残るために、何が必要でないかを的確に見極めなければいけない。資源を集中しなければ世界大工業生産時代に生き残ることはできないからです。どの事業が収益性が高いのか、どの事業に対して投資を行うべきか、あるいはどの事業について撤退や縮小を考えるべきか。経営者は資源の投入の優先順位を判断し、より効率の高い経営資源の文お会いをしていくことです。


御手洗冨士夫

たまにうまく行動に移してくれていない場合がありますが、自分のポリシーに無理があったから受け入れられなかったと反省して、現場の人とどこに無理があったか、どういうふうに変えればよいかをとことん話し合います。


御手洗冨士夫

いまも自分のポリシーが現場に伝わっているか、現場で正しく実行に移されているかを確かめなければやはり不安です。それで現場に行くわけですが、行ってみると私のポリシーの上に現場の人が知恵を加えて期待以上によくやってくれている。それを見た時はうれしいです。だから現場では感謝しながら歩くわけです。


御手洗冨士夫

経営ポリシーとか経営戦略はトップが作るものだし、それはトップダウンで現場に下していくべきものです。仮にも間違っていたら集団を誤って導くことになりますから、その責任もまたトップが取らなければいけない。キヤノンの経営計画はもちろんディスカッションを重ねてリファインしながら作りますが、コアとなる考え方は自分で責任を持って作ります。


町田勝彦

私は商品がものすごく好きだから、四六時中、あの技術を使ったらこんな商品ができるのでは、などと考えています。大切なのは日々考えるということではないでしょうか。


町田勝彦

細かい技術まで知る必要はないけれど、技術の筋の良さを見分ける能力が必要です。それは技術の匂いをかぎ分ける能力と言っていいかもしれない。幸い、社長には社内の情報だけでなく国際情報や社会の動きなど多くの情報が上がってきますから、その中で社会的ニーズによる選別を行うことができる。


鈴木敏文

かつての売り手市場の時代であれば、ソニーの盛田さんが言う「おみこし経営」でよかった。しかし、いまはそういう状態ではない。これだけ変化対応を考えていかなければいけない時代には、トップダウンでないと物事を迅速に変えられないからです。ですから、企業が上手くいかないのはトップの責任であると考えています。


奥田碩

現在日本は第二の敗戦を迎えたといわれていますが、それならば経営者が本当にその責任をとったらいいのではないか。戦後、公職追放と言う形で多くの経営者がパージ(追放)を受けました。それによって経営陣が若返り、30代、40代の経営者が生まれて戦後の経済を支えていったのです。第二の公職追放をとまでは言いませんが、自ら取るべき責任をうやむやにしたまま、新しい経営体制を築くことには無理がある。


奥田碩

バブルの影響で消費が落ち込みましたが、それは経営者の責任で社員には責任はない。それなのにその反省はまるでされていません。逆に言えば経営者に責任を取るつもりがないからバブルになってしまったのです。経営者がもっと侍的な精神を持っていたら、自ら腹を切っているはずです。土光敏夫さんや石坂泰三さんの世代にはまだそうした責任感があったように思います。


平田耕也

私と言う人間は世界でただ一人です。他人より少し違ったところがあるはずだ。それを表現する方法はないかとずっと考え続けて事業をしただけです。リーダーシップとは何かといいますが、経営にはその人の生き方そのものが表れるのではないでしょうか?


平田耕也

うちはコンベア技術のほか、自動化技術を持っています。ロボット技術も持っています。コントローラーとか電子デバイスの技術もあります。ソフトウェアの能力もあります。こんな会社は世界にないでしょう。しかも、平田機工は日本より世界で有名ですから。


中野克彦(経営者)

私は経営のファンダメンタルズを大事にしようと思っています。一人一人の力は微々たるものだけれど、一人一人が知力、創造力、やる気を高めれば大きな力になる。それを可能にするのはグレート(偉大な)リーダーの存在です。グッドなリーダーじゃだめで、グレートリーダーであることです。組織の各層に部下の創造力と勇気ある行動を引き出せる優秀なリーダーがいるかいないかが、これからの企業の勝ち負けを左右すると思います。


西田厚聰

力をすべて出しきらず、来期に残したからといって、来期にその力を使うチャンスがあるかどうかわかりません。だから社内には、最後までギブアップせず、とにかく今期のことを頑張ってほしいと言っています。東芝にはそれだけの潜在力がある。それを引き出すのが私の仕事です。


西田厚聰

私の経営哲学は「余力を残してはいけない」ということです。競争が熾烈化を極めている中で、今期は標準並みの業績で利益も出たから残りの力は来年に残しておこう、という考え方では駄目なんです。


尾崎元規

いまの時代、企業はどのように情報を収集し、どう発信するかをきちんとコントロールする必要があります。だからこそ、トップが責任を持って決意を示し、その活用についてトップが旗を振らなければいけない。組織内で情報の温度差が生まれることは絶対に避けなければいけない。そのためにもITに関する基本的な考え方やコアの部分について責任を持って進める必要があると思う。


横山進一(経営者)

道元は「自分を習うことは、自分を忘れることだ」と言っています。なかなか自分を捨てることができないのが人間です。しかし、自分を捨てる覚悟がなければ社長は務まりません。住友生命には5万人の職員がいるわけですから、軽微なことまで含めれば、社内には常に何か問題が起こっているのです。禅の精神はそういう時に役に立ちます。


横山進一(経営者)

私が修羅場を生き抜いてこられた秘訣をひとつだけ挙げるとするなら、「自分を捨てる」ことです。修羅場では生命の危機だってあるかもしれない。そういう腹をくくって取りかからなければいけない場面に直面した時に、怖がって逃げずに立ち向かっていけるかどうか。北九州で苦情処理をしているときは私は生きて帰れるとは思っていませんでした。


松井道夫

今後、会社の中でビジネスを担っていくには、自由な発想ができる人間じゃないとだめです。そうはいっても、松井証券でいえば、社員に「私の決断に従え」と言っておきながら、彼らに「自由な発想をしろ」と言うのは矛盾のように思われるでしょう。でも、これはいわば二律背反の関係です。私が決めるんじゃない。私が決めるのは方向性だけ。それを理解したうえで、あとは社員が自分たちでやる。そのためには今の常識を一回捨て、自由な発想をしてくれと言うことなのです。


松井道夫

そもそも経営とは会社の進む方向と、時代の潮流とのギャップを埋める作業だと思います。その上で社長の仕事は、社長室で座禅を組んで考えることです。つまり、世の中がどういうふうに変わるのか、何が本質なのか、とことん考え抜くことです。本当はいくら考えたって真実はわからないんです。でも、考えなくちゃいけない。社長が考えて世の中の流れを判断して、それを前提にビジネスをやるんです。


金川千尋

自分の判断が少しでも間違っていると思ったら、すぐに修正しなければいけません。朝令暮改でいいんです。経営を取り巻く環境は時々刻々変化しています。周囲の事情が変わっているのに、自分の判断を変えないのはただの石頭です。


金川千尋

経営者に必要な資質は、「現状を正しく認識できる判断力」と、「将来の姿を洞察できる先見性」、「現状を将来の姿に導く執行能力」です。執行能力がなければ進む方向を間違えます。そして他人を陥れたり策略を弄することなく真正面から戦うことです。


生田正治

課長時代に当時の永井社長の政策秘書を2年間勤めた経験があります。そのときに自分の次元を超えた大きな政策判断を目の当たりにし、政財界の付き合いに同行したことで思考回路の幅を広げてもらったと思っています。


西田厚聰

人間は非合理的な感情を持った動物ですから、体系的な手法では解決できない非合理的な側面をたくさん持ち合わせている。できなければ恥ずかしいとか、負ければ悔しいといった人間の原初的な感情が強靭なバネとなって、物事に邁進する強い情熱を掻き立てるんです。目的を達成しようとする強い意志を備えた情熱が、事業を遂行し、競争を勝ち抜いていく力になるのだと思います。


宮脇富子

父は「お前が全部の責任をもってするならええけども、それやったらわしはもう引退する。だからお金の調達からすべて自分の責任のもとにやるんやったら致し方ない」と決断してくれました。それで私は40歳の時に銀行に3000万円借金して300坪の店舗を建てたんです。


宮脇富子

大きな店でないと十分な品揃えができないと思い、父に進言したら「本屋と屏風は広げたら倒れるで。広げることはわしは賛成でけん」と言われました。「25坪のところを50坪くらいの木造建てにするんならええけども、あんたがいうような300坪の店舗はいかん」と父は尻込みしたんですね。だけど私はそのくらいしとかんといかんと思った。


福井威夫

レースではシリーズチャンピオンや年間チャンピオンなどの大きな成功のみならず、予選の勝利など小さな成功をいくらでも体験できます。ですから若いエンジニアは、レース活動に参加することでそのような成功をいくつも味わい、感動を得ることによって、普段の数倍の力を発揮するようになるのです。


中野克彦(経営者)

リーダーの理想は部下の積極的協力と参加を引っ張り出す力を持っていることです。こうした力を持つリーダーを各部署に配置すると企業は大きく伸びるんです。


和地孝

私にも嫌な上司はいました。でも現在の私があるのは、その人から何かを学ぼうと思ったからです。せっかくこの仕事に就いたのだから、いずれ辞めるとしてもこの人から何かを学んで辞めようと思ったんです。そういう視点でその上司を見ると、彼にはビジネスマンとしての洞察力があることに気が付きました。ここを学ぼうと思った瞬間に、ものすごく気が楽になりました。


西田厚聰

経理を学んで一番大きかったのは、事業というのは頑張れば利益が出るし、成長するものだという会社の根本的な原理を教えられたことです。実際、イランでは頑張った分だけ工場が拡大しましたし、売り上げもどんどん上がりました。たとえ市場が緩慢になったとしても、他社のシェアが減ったから、結果として自分たちのシェアが増えたというのでは駄目なんです。自らの力で成長して業績を上げなければいけないし、そもそもどんなビジネスでも頑張れば成長できるんです。そういう信念を持つようになりました。


西田厚聰

私の原点はイランの現地法人時代です。社長補佐としてイランに行きましたので、何でも自分でやらなければならなかった。まず実感したのが数字が理解できなければ会社というのは何も理解できないということ。東芝本社で6カ月間研修を受けた後、イランに赴任したのですが、経営の実習は受けませんでしたし、そもそも東芝本社とイランでは経理のやり方が違った。これでは駄目だと思って、すぐ本屋に向かいました。財務の動きや原価計算など英語で書かれた経理関係の本を5冊買って、その日から通読しました。


福原義春

会社というものは株主の投資によって資金をいただいておりますので、それに対して適切なリターンをお返ししなければいけない。これは当然のことですが、本当にそれだけで動いていていいのでしょうか?そういうことだけで動いている会社で、失敗している会社がいくつもある。そうじゃなくて昔から有名な会社で立派なお仕事もされて、経営もよくて、世の中に名前もよく知られていて、社会のためにいいことをしている。そういう会社もあるわけです。


福原義春

あるところまでは生活水準の向上は絶対に必要です。だけどそこから先はお金だけじゃなくて、何ものかがないと心が豊かにならない。それは何かということをずっと考えていくと、結局は人間が作るもの、人間が考えるものであり、文化であるということに気が付く。


福原義春

日本は経済成長の中で豊かな生活を実現してきました。どんどんお金を儲けて、どんどんいい家に住みたいと。その先に何があるかというと、もう自分は豊かになったのだけれど、なにか気持ちとして豊かではない。もっと豊かなものがあるはずじゃないかというふうに思い始めている人が出てきたというのが私の心の底にあるわけです。


寺澤芳男

自己顕示欲の強い、目立ちたがり屋になれと言っているんじゃないのです。そうじゃなくて、本当に本当に最後の大事なことは自分で決めなきゃいけない。自分の価値観じゃなきゃいけない。何が自分にとって一番大切なのかということを常に持っていなければいけない。


寺澤芳男

日本は世界第二位の経済国になっているにもかかわらず、いまだに個々の人が自分意見を持とうとせず、なんとなく流されて、しかもなんとなく個々の人が自分の主張を持つのはよくないという風潮がある。「チームプレーOK、スタンドプレーNO」という国だから、どうしても隣の人は何をしているのだろうと辺りを見回す。それでも自分の意見が決まらない。でも、これはどうしても変えなきゃいけない。


森本昌義

女性は男性に比べると完璧にキチキチキチと仕事をなさるんです。これは素晴らしい。しかし往々にして、森の中に入って木ばかりを見て森を見ないことが多い。これは男性もそうですけど、この辺はやっぱりきちんとせないかんと僕は思うんです。そうすると部分最適になってしまいますからね。


青木豊彦

ある人に「本業をほったらかしで社員に申し訳ない」という話をしたら、「青木さん、立派に社長業してまっせ。おたくの社員かて社長がどこにおるんかみんなわかってる。それで十分やろ」と言われました。僕が外に行くことで「ああ、あのアオキですか」と言ってもらえるようになればいいのかなと思っています。


青木豊彦

社員のモチベーションのバロメーターは、社員が自宅で会社の話をするかどうかだと思います。会社の話をすれば、家族も応援してくれるし、家族の力を借りんと何ができますか?それがモチベーションを上げ、現場力になっていくと思います。


吉野浩行

いつも他人ばかり頼っていて、自主性というのがなくなった企業はやがて滅びる企業だとおとっつぁん(本田宗一郎)は言っていました。人真似をした者は、いつでも戦々恐々としていなければいけないってね。だからおとっつぁんはいつも頭を使えと言っていたし、そこに独創性が盛り込まれれば、企業は安泰だと言っていた。


寺澤芳男

僕は日本語の自己責任と言う言葉は曖昧で好きではありません。日本語の自己責任は何か事が起こった場合、その責任を自分で取るという狭い意味になってしまっています。マーケットエコノミーでいう自己責任は、日本語の自己責任と言う言葉では十分に言い表せないと思います。


寺澤芳男

マーケットエコノミーはすべて民が主導し、マーケットがすべてを決めていきます。したがってマーケットエコノミーには、どうしても次の二つのことが必要です。ひとつは自由競争です。競争がフェアで、ちゃんとした情報がディスクローズ(公開)されていて、誰もが同じような情報を手に入れることができて、はじめて自由な競争ができるということです。もうひとつは自己責任です。競争に勝っても負けてもその責任は個々の人にあることを知らなければならない。


寺澤芳男

失業者が出た場合、それを救済する責任は、むろん政府にありますが、IT時代においては民間が新しい産業を興し、つまりベンチャーですね。それによって新しい雇用を確保するべきだし失業者も自らのスキルを高めて、新しい労働市場に能力をかわれるようにしなければいけない。これがマーケットエコノミーであり、自己責任の原則です。


寺澤芳男

この自己責任と言うことは大変重要な問題です。たとえば、アメリカでは学生が学校を卒業して、どこかの企業に入った場合、マーケットエコノミーを意識させられる。マーケットエコノミー、市場経済と言うのは、マーケットがすべてを決めるエコノミーです。現在の日本経済は官主導の経済と言って、多くを国や官僚が決めていく経済です。民間の力で経済を再生しようとするのではなく、国家が予算を付けて経済再生をはかる戦後の経済復興と同じやり方です。


寺澤芳男

アメリカはまったく逆で、個人が個人の責任において何かをする。だから、ビジネスの場合では、個人が大きな仕事をゲットしてくれば、それに見合うような大きな報酬がある。そこに日本とアメリカのはっきりとした違いがあります。


寺澤芳男

日本とアメリカの会社の違いは、一言でいうと「個」の確立の問題と言ったらいいでしょうか。どうも日本では個人主義の隣に利己主義があって、セルフィッシュと言う受け取られ方になってくる。あるいは個人プレー、スタンドプレーはいけないことと考えていて、チームプレー、団体行動をとる。


金丸恭文

異質の条件は自分の判断を貫き、他人の意見に左右されない自分のオリジナリティを持つことです。話し合いをしていると、みんなと同じ意見にしておこうかなとか、毎日いろんなところに普通になる誘惑がある。「普通」と「成功する異質」の違いは、第一にインプット情報のクオリティにある。


金丸恭文

ヘテロジニアスと言うのは日本語にすると「異質」とか「異端」の意味です。私が親しくしている社長に、社長だからいいものの、一社員だったら彼を引き上げる上司はいるのかなと思うくらい、異常に近いというか、狂気の世界にいるという感じで非常にパワフルな人物がいます。異質であるとか、異端児と言う呼び名は褒め言葉だと思います。最後に勝ち残るのは、どんな失敗をしても成功するための執念やこだわりがある人、エネルギーが多い人なんです。


林文子

人に関心を持つことから仕事も人生もスタートするんです。すべての原点は人なんです。人と接することから生まれる勘当や感謝の気持ちが、ひいては人の心を動かすのだと思います。


福井威夫

安易な間違いはしないよう厳しく伝えてはいますが、必死に考えてもどうしようもない間違いはある。だから、思い切ってやってほしい。お客様に迷惑をかけなければ、会社に多少の損害があっても、それは将来のための投資だと思っています。


福原義春

よく自分探しと言いますけど、あんまり自分探しに深くのめりこんじゃって、何が何だか分からなくなっちゃうような必要はぜんぜんない。自分は社会に対して何をしてあげられるのか。もしボランティアをしてそれが役に立てばそれでもいいじゃないですか。そのうち、さらに自分が何であるかということをもっと深く知るようになると思う。そうすると自分らしい自分を考えていく。そして人と付き合っていく。さらに社会の中で成長していく。そう考えることが大事だと思うんです。


北嶋一甫

人に教わるのではなく、何としてでも自分で解決していこうと一つ一つ一生懸命に取り組んできました。一つのハードルを越えると、目の前にさらに高いハードルが現れる。その繰り返しです。


武内勇

汗水たらして働くことや世の中に役立つものを作ることを馬鹿にするような風潮がまかり通っていることは非常に残念です。汗をかかず涼しい顔をして、やすやすと金儲けをする人をスマートでかっこいいと評価する。そもそも汗と知恵を別物とする考えは間違っています。汗と知恵がそろってはじめて、本当の価値が生まれる。肥沃な大地をつくることに手をかけずに、おいしい実のなる木が育つわけがない。


坂井宏先

気の合う人のところに行くのは簡単だから、気の合わない人のところに行って、その人を自分のものにするというのが最高ですね。


坂井宏先

社員に言っているのは、嫌な人のところにまっさらな心で行けば理解してもらえるということです。普通の人は嫌な人のところに行くのは避けたがるじゃないですか。嫌な感じっていうのはわかる。お互いに気が合わないというのはわかりますよね。だけど、気が合わない人のところにこそ率先して出かけていく。


堀場厚

うちの社是は「おもしろおかしく」ですし、人と人とが接することが大事なんだと常に言っているんですが、結果的には組織的かつシステマティックに人を評価して正しくフィードバックするというのを意外とやってこなかった。日本人って「あなた、ここ悪いよ」と上司でもよう言わないですね。


堀場厚

十年くらい前からいろんなイノベーションをやっています。そのなかで、マインドイノベーションというのがあります。技術開発の人たちに「困っていることは何か」とアンケートを取った時に、一番の不満はベースアップでも、ボーナスの月数でもなく、誰に評価されているかということなんです。


大塚陸毅

私は、グループ会社の社長を集めて「もう身内主義は取らない」とはっきり宣言しました。親の傘の下で安穏としていられる時代は終わったのだから、グループ各社がそれぞれの役割や使命に応じた業務の仕組みを築き上げ、グループ全体の収益力、利益率向上を実現するマネジメントを実践しなければいけないと言いました。こうしたなかで、グループ会社内部でも意識改革が進み、自律的に新しい取り組みが始められています。


大塚陸毅

ほとんどの人は何かにチャレンジした結果を見てほしい、評価してほしいと思っています。そこにどう火をつけるか、それが経営の最も大切な仕事ではないでしょうか?


大塚陸毅

若手の成長が事業創業の大きな力になったのは確かです。民営化後に入ってきた社員は「何か変わるんじゃないか」「何か面白いことが起きるんじゃないか」という意識を持っていますから、自分もそこに飛び込んでやってみようと思ってくれたんじゃないでしょうか?そんな若い人たちを次々とグループ会社などに出向さえて、成長の機会を作りました。若手社員の成長は、旧国鉄時代からの中高年社員への大きな刺激になりました。


木村皓一

ある日、柔道全日本選手権で何連覇もした経歴を持つ女性が面接にやってきました。「柔道を続けたくはないの?」と聞くと、学校の先生に柔道の話はするな、したら採用してもらえないぞと言われているらしく、もじもじして、よういえへん。でもその目は柔道を続けたいと訴えているんです。「本当のことを言わなあかんで」といったら、「できたら続けたい。でも、仕事との両立は無理だと思います」と言う。「それなら午前中だけ働けばいい。昼からは練習したらいい」と言って入社させました。当時、女子柔道はまだオリンピックの種目にはありませんでしたが、僕は頑張っている若い人を応援したいんです。


張富士夫

偉い人たちは製造現場というのは、設備を買って、人を放り込んで、材料を渡したら次から次へとモノが出てくると思っているようですが、そうではなく、どれだけうまいやり方をするか、あるいは働く人がどれだけ心を合わせてやっていくか、歯を食いしばってやっていくか。その意味で今、モノづくりをめぐって企業の間では大きな差が出てきていると思います。


張富士夫

トヨタ生産システムは人の意識で成り立っているということです。だから人を大事にする。人を生かすという基本がなければ、トヨタ生産システムは生きてこないんです。それが人間尊重、すなわちトヨタウェイです。日本のものづくりのよさもそこにあります。人に生き生きと働いてもらうためには、人を大事にしなければいけない。そこにものづくりの強さが生まれてくるからです。


永守重信

人間は3つのタイプに分かれていると思う。自分でマッチを擦って火をつけられる人。マッチは持っていないけれど、人が擦ったマッチで燃えられる人、マッチを擦られても燃えない人です。自分でマッチを持っていて自分で燃えることのできる人は100人中3人くらいしかいない。


横山進一(経営者)

お客様にじかに接しているのは営業職員ですから、彼らが感じたことはお客様の声でもあるわけです。その要望の中にマネジメントのヒントがあるのです。たとえば、この間(お客様に過去の病歴などを告知していただく書類)告知書を変えました。職員からの要望もあって文字を大きくし、内容も簡素にしたんです。


横山進一(経営者)

現場も頻繁にまわります。地方の小さい支社の営業職員の大会や懇親会にもよく出席します。第一線の営業職員とじかに話ができますから。トップは現場に近くないとだめです。現場の営業職員から聞いたことが、私のエネルギーになっている。だから私は彼らの要望を聞くんです。要望を聞くからには実行しなくてはいけません。現在も、何十という宿題を抱えています。


横山進一(経営者)

経営に対する私の信念は「衆知を活かす」ということです。役員ばかりと話をするのではなく、部長はもちろん、課長や一般の職員の中に入り込んでいって意見を聞く。私の部屋には毎日ひっきりなしに職員がやってきます。私が八時半に会社に着きますと、もう部屋の前で待っているんです。


林文子

何気ない日常生活には、人生を豊かにするサプライズが至る所に転がっています。個を執拗に押さえ込んでいると、それに気づけなくなってしまう。人と出会い、接することで、人は育成されるのです。


林文子

紙に書いてあることは単なる情報にすぎず、人の気持ちを動かすような強烈なインパクトや感情を与えないでしょう?人生の妙味とはサプライズです。思わぬ展開があるのが人生です。いちばん大事にしなければいけないのは、人の心の部分だと思います。知識ももちろん必要ですけど、人に関心を持つことから物事はすべてスタートするんです。


林文子

小さな挫折はありますよ。たとえ会社の業績は上がったとしても、女性差別や嫉妬の対象になったとか、苦い経験が山のようにあります。でもそういうことは、これまであえて語らずに生きてきました。生々しい人間の感情は、どんな世界にいても、常に付きまとうものです。だって、嫉妬心のない人なんていないでしょう?嫉妬心があるのは、人間として普通のことなんです。


林文子

ビジネスの現場では、個を出すことはあってはならないことだという暗黙のルールが出来上がっていると思うんです。でも、そうやって個を封じ込めることによって、本来、人間が兼ね備えているはずの潜在的なビジネスの能力まで押さえ込んでいるのではないかと考えます。どこまでがビジネスマンの自分で、どこからが個の自分か明確に線引きができればいいのですけれど、そんなことできるはずがないでしょう。私たちは皆、感情を持ったひとりの生きた人間ですから。


林文子

私はお顧客を「個客」という言葉で呼んでいるのですが、社員に対してもお客様に対しても「個」として向き合うことが大切だと思うんです。私自身、日々、笑ったり、泣いたり、悩んだり、一人の人間として人生を送っています。それは誰でも同じです。


深谷紘一

間違いのないしっかりとしたモノづくりに対する現場の努力に常に気を遣い配慮して「ごくろうさん」「ありがとう」という言葉で報いることです。百万個をノーミスで作るのはすごいことです。その持続性に対して、ありがとうと言わなければならないと思います。所詮モノづくりの現場は地味ですし、光が当たらないことが多い。それに対して新製品開発などの部分はカッコいいし、注目を集めますよね。拍手を浴びることも多い。でも、けっして派手ではないモノづくりの現場にこそ、目を向けていかなければいけないと思うんです。


深谷紘一

ミスは完全に防げません。だからミスが起きても小さく止めることです。もちろんノーミスを目指していますが、それでもミスがあったときは、いち早く手を上げて処置することです。我々が午前中に作って納入した部品は、午後には完成品となって自動車工場から出荷され、名古屋の埠頭から船に乗ってしまいます。いったん積載されたらもう手も足も出ません。サンフランシスコ、ニューヨーク、シドニーまで追いかけなければいけない。


深谷紘一

きちんと反省し、現場のチェック体制などを見直していきたいと思います。基本の徹底ができているかどうか、採算改善を強く意識しすぎて現場が我慢しすぎている部分がないかどうか、それから、社外工の人たちに任せていい部分と、トレーニングを受けた社員がやらなければいけない部分とが混在していないかどうかなどです。そのあたりをしっかりと評価しなおさなければいけない。


深谷紘一

モノづくりの現場力が低下していると言われています。日本は80年代の終わりまで「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われて、世界から見学者がいっぱいやってきた。そこでちょっと格好をつけちゃったんですかね。我々も、もう一度きちんと反省し、たとえば、現場のチェック体制などを見直していきたいと思います。


牛尾治朗

これからの企業は人の心を大切にする経営を考えなければいけないと思う。レイモンド・チャンドラーのハードボイルド・ミステリーの古典的作品「PLAYBACK」の中に「たくましくなければ生き残れない。優しくなければ生き残る値打ちがない」という有名なセリフがあります。企業もまた「ハード&ジェントル(たくましく、そして穏やかな人)」である必要があります。


中村邦夫

若い社員が前向きに仕事に取り組む効果は大きい。会社全体の活気にもつながるし、何よりも新しい創造性が育まれる。多様性をもち、上意下達によらないフラットな組織になってこそ、日本の製造業の生命線である独創性が磨かれるのです。ニート問題を批判的にとらえるだけでは、時代の変化に合った経営はできない。むしろ彼らを取り込むような改革を考えるべきだろう。


中村邦夫

一部の若者が仕事に就かないのは、やりがいを感じる会社が見つからないのも理由のひとつでしょう。個々の社員が得意分野で才能を発揮できるような企業が多くなれば、ニートやフリーターも前向きに働ける社会になるのではないでしょうか?私はその点で、日本の若い力を信じています。


中村邦夫

「プラン(計画)、ドゥ(実行)、チェック(確認・検証)、アクション(検証を踏まえて再実行)」を任されれば人は総じて意欲的になるものです。勉強にしろ仕事にしろ、親や上司に強制されてやっているうちは本物ではない。本来は誰でも好きなジャンル、得意分野を持っているはずだ。


山本卓眞

基本的にはっきりと評価制度を確立することだと思います。評価的インセンティブ(報奨)について言えば、それは人間の自己実現欲求の基礎になるものだと思います。評価が与えられることによって、ヒトは尊厳欲求を満たすことになるからです。そのためには、仕事の達成や組織の貢献に対し、満足感が得られる状況を作ることです。


山本卓眞

万人がいれば、万人の力をいかに生かすかを考えていかなければならないと思うのですが、それにはさまざまな仕組みが必要です。実際、独創性を発揮できるような会社にするにはどうすればいいか、これはトップが最も頭を悩ます問題と言っていいのではないでしょうか。


福井威夫

米国でのスピーチの構想を立てる際、過去の様子を聞きました。すると、日本人の英語は聞きづらいというのです。ですから、スピーチを聞こうとしないんですね。スピーチはまず聞いてもらうことが重要です。そのためには、ビジネスプランの話はいっさいやめて、明るい話題とか、社員個人のベネフィット(利益)など、もっと身近で聞きたくなるような話をしなきゃいかんと思いました。


福井威夫

HAM(ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチュアリング。ホンダの米国生産子会社)では毎年1・2回、アソシエート(従業員)の代表1・2名がプレジデント(社長)と会話する機会があるんです。大勢の中から選ばれるのでしょう。嬉々としてやってくるんです。なにより話すことが大切なんです。彼らは私の思いが聞きたいのです。コミュニケーションも含め、信頼関係の大切さを実感しました。いくらいい話をしても、信頼してもらえなきゃ終わりですから。大切なのは、お互いの信頼関係だと思うんです。だから現場にもなるべく行きました。


御手洗冨士夫

年に二回の賞与時期の幹部会では、800人の幹部を一人一人壇上に上げて「ごくろうさん」といいながら握手をして、賞与を手渡しします。そのときに、ちょっとした会話をするのですが、心が通じ合うのを感じます。「顔色悪いけど大丈夫か?」「ちょっと風邪をひきまして」とか、「お世話になりました。定年なので最後になります」と言われれば感極まって思わず両手を握ってしまいます。目と目を合わせ、言葉を交わし、手を触れ合う。その数秒のことが信頼関係の土台になり、経営意思を受け入れてくれる信頼の土壌になると思うんです。


御手洗冨士夫

キヤノンでは毎朝一時間ほど役員たちが朝会を開いています。50年ほど前から続く伝統です。ざっくばらんな議論の中で、互いの考え方を知ることができます。お互いを知ることによって信頼関係も生まれます。海外の出張先から相談の電話がかかってきても、普段のコミュニケーションが土台にありますから、相手の考えや問題意識を即座に把握することができる。スピーディに意思疎通が図られ、答えを出すことができるんです。


兼子勲

5・6年前から、あえて不具合をホームページに出しています。とくに技術部門の人というのは、トラブルがあると自分で何とか解決策を見出したいと思って閉じこもることがあるんです。だからそうじゃないと。悪いことをみんなで共有しよう、外に開示しようということをやってきたわけです。


角田雄二

米スターバックスコーヒー会長のハワード・シュルツさんは、貧しい家庭で育ち、父は健康保険にも入れないような仕事をしていました。彼自身、惨めな思いもしたようです。その経験から、すべての従業員を尊重し、みんなで一生懸命に成功しようという哲学を持っている。それは私も同じでしたから、初めて会ったときに、この人とは波長が合うなと思いました。


大橋洋治

攻めの経営への具体策はグループ社員が一丸となって新しい全日空を作ることに尽きます。言ってみれば、いまほど危機感を抱えているときはないわけで、みんな緊張していますから、一丸となって危機を乗り越えるチャンスだと言っています。「ピンチはチャンス」全員が企業家精神を持ち、危機に立ち向かって競争力をつけていかなければいけない。


三好俊夫

日本企業はこれまで、仲よくやろうとか、和の精神が一番だとか、集団主義の象徴のようなスローガンを出していました。しかし、これからはもっと競争社会であることが意識され、その中で生き残って発展していくという意欲を示した理念でなければいけない。


田宮俊作

アメリカのプラモデルメーカーがなぜだめになったかというと、創業者が会社を売ってしまうからなんですね。新しい社長は新しい開発については知識があまりありませんから、アメリカのプラモデルメーカーは面白い製品ができないんです。私の場合、父親もそうでしたが、儲けは後からついてくるという考え方なんです。


福井威夫

人間はそうとう高等動物です。だから本当のところ、成果主義では一生懸命働かないわけです。もう少し上位概念の意義が必要です。組織の中で自分は認められているんだという存在意義がないと、一生懸命に働くことはできません。給料、つまり数値で差は付くんですよ。しかし、これがすべてじゃない。もっと重要なことがあるということです。


福井威夫

新入社員が「志」を持っていると思うのは間違いで、そういう方向に会社が引っ張っていかないといけないのだと思います。そういうホンダの企業風土に馴染みながら、また新しい風土を作っていってほしいですね。


秋沢志篤

企業文化を構築するには、社員の共感が不可欠です。オーナー経営じゃありませんから、想いを風にし、社内を盛り上げていくことが求められます。ですから、できるだけ多くの社員と共通体験を積み重ねていきたいと思っています。


秋沢志篤

外の風に吹かれて、未知の世界と出会ったり、異なる言葉、文化に触れたり、考え方の違う人と語り合う中でいろいろと考えさせられることが出てくる。そこから得ることは、お金には換えられない満足感だし、社員の一人一人がそうした満足感を得ることによってジョブ・サティスファクション(職務満足感)にもつながっていく。だから、毎月のお給料の中から、少しずつ積み立てをして、世界のイベントにみんなで行くんです。そして、人と人とが触れ合う中で生まれる熱い思いを共感しているんです。


秋沢志篤

お祭りに乗ることです。それを企業の文化にどうやって置き換えていくか、言ってみれば各種のスポーツイベントの主催や協賛は、社員はもとより生活者の方々、取引先の方々とさまざまな共感、共鳴を得るための一手段なんですね。私はリオのカーニバル、マスターズ、ワールドカップ、オリンピックなど、あらゆるイベントに顔を出しますが、それらのエネルギーを仕事に持ち込みたいと考えているんです。


秋沢志篤

私はいわゆるお祭りと言いますか、そういうものが大好きです。要は人間の情熱、魅力というのは1+1が2ではなくて、もっと大きいものだと思うんです。1+1がどこかで何乗かにならないと風が吹きません。一緒に働いている仲間が、よしこれをやろうと場を盛り上げてくれたり、こういう凄い人がいるんだけど一緒に仕事をしたら面白いと思うよと紹介してくれたりしたとき、わかったとばかりに共感、共鳴を持つことが大切だと思うんです。


桜井正光

ビジョンを全社員で共有し、社員一人一人がそのビジョン達成のために頑張ることです。ファイヤー(構える前に撃て)文化が社内に根付き、常にお客様からも新しい価値を提供し続ける企業として評価を受ける会社にならなければいけません。そうすれば、その企業の未来は決して暗くない。そのような企業が多く出てくれば、日本の未来もまた明るくなるはずです。


桜井正光

これからの日本企業はもっと前工程に力を注いでいくべきです。そして、この部分では行動第一のファイアー(構える前に撃て)文化に基づいたトライ・アンド・エラーを徹底しないといけない。また、より大きな視点から日本の再生を考えれば、まず現在置かれている環境をしっかりと認識し、それから今後どうしていくかという将来に対するしっかりしたビジョンを持つ必要があります。


桜井正光

まずとにかくやってみようじゃないかという姿勢が求められる。やればやっただけのリアクションがお客様から、あるいは開発の結果から必ず返ってくる。つまり、仮説を立てて検証していくトライ・アンド・エラーというやり方ですね。そういった行動様式を社員一人ひとりが身につけなければいけない。


桜井正光

ファイヤー(構える前に撃て)が求められるのは、前工程においてです。前工程は、技術開発やソフト開発あるいはマーケティング分野などです。つまり、新しい価値や技術を創造する分野です。新しい価値を生み出す、あるいは新しい技術を開発するためには、まだ誰もやっていないことをやる必要があります。そのためには行動が第一でまずとにかくやってみようじゃないかという姿勢が求められます。


桜井正光

新しい技術のもとに新しい価値が生まれる時代には、顧客が求める価値を見つけ、顧客に提案できるかどうかが重要な経営戦略になります。このことは、技術が先行していた時代とは大きく経営戦略が異なることを意味します。私がファイヤー(構える前に撃て)を提唱する理由は、まさにそこにあるわけです。お客様が気付いていない価値観を見出すためには、行動様式そのものを変える必要がある。それがまず行動してみようという意味のファイヤーです。


桜井正光

私が96年の社長就任後、真っ先に取り組んだのは「ファイヤー(FIRE)文化」をリコーに根付かせることでした。READY AIM FIRE(構え、狙い、撃つ)の順で取り組んでいては潜在ニーズは掘り起こせない。獲物がわからなくてもとにかく撃つ。そうすれば藪から雉子(キジ)が飛び出してくるかもしれません。


町田勝彦

社内には常時10チームくらいの「緊プロ(緊急プロジェクトチーム)」が動いています。技術者はしばしばI型人間と言われて、一つの技術には精通しているけれども専門技術以外のことを何も知らないと言われますが、緊プロの経験者は自然と専門分野を深めたうえで、さらに幅広い知識やスキルを身に着けたT型人間になります。


木村皓一

僕がいつも言っているのはファンづくりです。「あなたのアドバイスを受けて買いたい」と思われるようになろうということです。やさしさや親切、丁寧な心、そういうものを大事にしたい。それはマニュアルで管理できるものではありません。マニュアルにあるからするということであれば、むしろしないほうがいい。


木村皓一

サービス産業というのは人がすべてであり、人を管理するということは不可能だと思います。髪の色や長さなど、軽いルールはありますが、僕が言う必要はないんです。そういう表面的なことよりも、もっと大事なことがあると思います。重要なのは、内面、つまり心です。せっかく子供に関わる仕事をしているのですから内面を大事にしたいんです。仕事に関わらず、何でも一生懸命に心を込めてやれば気持ちは必ず伝わる。そんなに難しいことではないはずです。


前田晃伸

下から上にどれだけ自由にものが言えるか。それが自由闊達の尺度だと思う。上から下にモノを言うのは当たり前で、それは命令しているだけですから。実際、僕は若いころから部長会の席で、次長の立場でいろいろと意見を言うなど、ずいぶん積極的に発言してきました。でも、それに対し「お前、立場をわきまえずに何を言っているんだ」などと上司に自分の発言を抑えられた経験はありません。


齋藤正勝

社長室を使わないのは、牢屋じゃないんだから何で牢屋に入らなきゃいけないんだよという感じです。うちはお誕生日席も何もないんですよ。みんな机も椅子も同じ向きにしちゃいました。いやなんですよ。意味ないじゃないですか。だから、あっちこっちチョコチョコと動いています。落ち着きがないくらいに。


古川享

オーナーシップと言っているのですが、最終的な判断は担当者が下す。その意味で一番偉いのは担当者と言っていい。つまり、その瞬間にピラミッド構造は完全に崩れて、同じ目の高さで決断がされるんです。縦の構造の中、延々と会議をして決断をしていくのとはスピード感がまったく違います。電子メールやグループウェアなど組織を結合的に管理できるものを使うことによって、会社の組織がピラミッド構造を保ちながらも、効率の良い風通しが良いものになっていくわけです。


古川享

提案メールに対する応答は同時に返ってきます。大切なのは、帰ってきたメールは全部同じ目の高さ、同じ一票であるということです。普通だと、トップの人が発言すれば自分には出る幕はないと考えて、腰が引けてしまいます。うちではビル・ゲイツ会長に対して「その考えは間違っていると思います。」と直接言えます。現に「そうか、間違いかもしれないな」という返事が会長から返ってくる。


古川享

ビル・ゲイツ会長に何かを提案するため、企画書を作り、上司にハンコを押してもらっているようでは駄目なんです。重要な案件があったら同時に何人もの人にメールを出す。たとえ新入社員であっても、これは会社の生命線にかかわる情報だと分かり、この人まで耳に入れてもらう必要があると判断したら、ダーンとメールがそのレベルまで届く仕掛けになっています。その際、間に立っている人を一人としてスキップしてはいけないというルールがあります。


吉野浩行

ブレーンストーミングを大事にしています。立場や年齢の違いなどには構わず、闊達な議論を行う。もっとも、ホンダもそれなりに大きい組織なので経営的な面ではそうとう慎重にならざるを得ないです。しかし、技術分野などでは異質なもの同士のぶつかり合いが大切です。


大橋洋治

現場とのダイレクトメール(直接的なやり取り)を行っています。一人一人の社員と対話をし、コミュニケーションを図り、なぜ変えなければいけないのかを訴えている。新しいANAグループの骨子となる理念や行動指針、戦略の基本方針などを繰り返し語り、徹底してお客様にこだわることの大切さを説いています。本音を言えば同じことを何度も言うのは難しいし、骨の折れる仕事なんですが、言い続けなければいけない。


大橋洋治

社員の一人一人がお客様にこだわるとはどういうことかを考え、部門横断的に議論すれば、お客様の声やニーズを商品やサービスの改善につなげることができます。それは企業体質を変え、起業家精神あふれる企業風土を作ることになる。このことは、お客様に徹底的にこだわるANAブランドを確立するステップと言っていいと思います。


江口克彦

会社の仕事を公の仕事だと社員の訴え続け、理解してもらうことは経営者の極めて重要な責務です。会社が公のものであるならば、私たちは個人のためだけに仕事をするのではありません。社会の人々のため、社会の発展のため、人々の幸せのために仕事をするのだということになります。経営者がそのことを訴え続ければ、社員の人たちも自分たち自身のためだけではない、社会のために働いているのだと考えるようになるでしょう。いわば公に尽くす心意気というものが社員の中に生まれてくるのです。そのような会社であればこそ一段と発展するでしょうし、当然不正や不祥事など行わず、社会的な尊敬も得られることでしょう。


江口克彦

経営の基本であるヒト、モノ、カネ、情報、これはすべて公のものです。そうであるとすれば天下のヒト、モノ、カネ、情報をあずかって営む企業というものは、これまた天下のものと考えるのが当然ではないでしょうか?法律上は個人のものと言えるかもしれませんが、しかしその本質はとうてい個人のものとは言えません。公のものです。そうであるなら、企業は社会のため世間の人々の役に立つような働きをしなければならないのは自明のことです。


渡辺捷昭

デザインに欠陥があるなら設計部門に指摘する。製造方法に注文があるなら生産部門に掛け合う。サプライチェーンに問題があるならそこにも改善を求める。こうして企画段階から部品メーカーさんも交えて開発するスタイルは他社にはあまり見られないトヨタの強みだと思います。


渡辺捷昭

技術開発は日進月歩で進んでいるのだから、まず何よりもスピード化が大事です。リードタイム(作業着手から完了までの所要時間)を少しでも短くすることが不可欠となる。そのためには各部署がバラバラに動くのではやっていけません。開発、設計、生産技術、製造、サービスという各部署が結集してチームとしていかに機能させるかがマネジメント上最も重要になるでしょう。


金川千尋

組織は放っておくと、いつしかセクショナリズム(縄張り意識)が生まれ、工場や事業部が競い合って人を増やしたがるようになる。そうなってしまったら最悪です。私は日ごろから「仕事を作ったうえで、人を採るのがものの道理だろう」と言っています。今現在、仕事がないのに将来のために人材を採ってどうするのかということです。要はいらない組織は作らない。いらない人は採らないということです。徹底しなければいけないのは、このように単純なことなんです。


朝香聖一

経営は最後は人で決まります。従業員一人一人がやる気になり、レベルアップすることです。そういう会社は猛烈な底力を発揮すると思っています。それを地道に、愚直に、徹底的に、粘り強くやっていく。モノづくりは「ここまでやれば100%完成」ということはないんです。どこか視点を変えれば、もっといいアイデアや技術が生まれるかもしれません。


朝香聖一

同じようなスタイルで経営をやっていれば制度疲労は必ず生じます。90年間先輩たちが築きあげてきたものは尊重しなければいけません。しかし、時代の潮流に合わない部分は思い切って変えていく必要がある。


御手洗冨士夫

現場には自慢話をしてくれと言っているんです。だから私に自慢話をしようと、現場は私が来るのを待ち構えている。戦略を出し、仕組みを作り、何回もコミュニケーションをして、自分のやり方にも修正を加えながら、現場を指導していく。そして実行を確かめ、実行した人たちの苦労話を聞いて評価する。その繰り返しによって現場のモチベーションは格段に上がる。


御手洗冨士夫

大切なのは正しく評価するということです。私も工場にいたことがありますから、お題目を唱えるだけでは駄目なことはよくわかっています。わかるまで何度も説明し、お題目が実行されるような仕組みを作ることも大事です。


松井道夫

新しい日本を作るには、会社と個人の主従を逆転させればいいんです。個が自由に組織をつくればいいんです。私は社員みんなの「好き嫌い」で組織を作っていこうと思っています。いくら理屈を並べても、最後の最後に組織のベースになるのは、感情なんです。もっともらしい基準を設けて体裁を整えるのはやめてもっと人間的なことで評価しようと考えたのです。人間は結構本質を見抜くものです。松井証券は社員数が156人の会社です。感情を前提に作り上げた会社が一つくらいあってもいいじゃないでしょうか。


松井道夫

戦後日本の社会システムのもとで、サラリーマンは会社の成長とともに自分も大きくなったような幻想を抱きました。しかし実態はというと、成長がストップしたとたん会社は個人を切り捨てはじめた。組織が主で、個人が従という会社全体のシステムのもと、組織に裏切られ、個人が責任を取らされるケースまで生じています。組織に従属した個人というのがいかにないがしろされているか。彼らの気持ち、彼らの家族の気持ちを考えると、正直言ってたまらない気持になる。


柳井正

会社組織の進歩はコンピュータの進歩と同じだと考えています。かつては中央の汎用コンピュータにいくつもの端末がぶら下がっていましたが、今日ではパーソナルコンピュータがインターネットにつながり、世界中のコンピュータが同時に動く。インターネットは時間や距離を圧倒的に短縮しましたが、組織も同様に進化しなければいけない。


柳井正

大多数の日本企業は、いまだにクライアントサーバー型にとどまっていて、作業や仕事を同時進行し、同期化する感覚を持てずにいます。ですからリーダーについても柔軟に考えることができない。リーダーはその仕事にふさわしい人がなればいいし、これからは一人一人が全体最適を考えながら自立し、その力が有機的につながっている会社を目指すべきだと思います。


林原健

人と同じことをしなくてもいい環境が生まれている。かつては新製品が売れるようになるまでに5・6年かかっていましたが、いまはみんなが新しいものを探し求めていますから、新製品を出したとたんにワーッと売れる。売れるようになるまでの時間のリスクを省くことができるようになったんです。そのぶん独創にかけることができるわけです。


林原健

インフレの時代はモノが足りないわけですから、モノをつくれば売れました。仮に売れなくても、安くすれば売れました。ところがデフレの時代を迎えた今日は、良いものでなければ売れない。安くしても売れません。独創的でなければリスクの塊です。人真似ほどリスクの高いものはありません。


大塚陸毅

お客様がお寄せになるご意見は非常に有益なマーケティングのツールにもなるということです。ネガティブな要素から目をそらすのではなく、正面から受け止め、お客様のおっしゃることに一理あるなと思えば、それをどのように取り入れるか。そこにこそサービスの充実を図るヒントがあると思うんです。


木村皓一

1000円のものを1000円で買ったら、五分五分ですよね。でも、1000円のものを1000円で買って、いい接客をしてもらったなと思ってもらえれば6対4になる。それが8対2になればもう一回行こうかなと思うでしょう。相手に自分より多くわたるようにすれば次につながる関係が生まれてくる。五分五分では一回限りの関係しか成り立たず、あとには何も残りません。これは商売に限らず、人間関係でも同じです。


木村皓一

企業と顧客の関係性について、私は8:2の原則を打ち出しています。8がお客様に行き、自分の取り分は2でいいじゃないかと。


伊藤雅俊(イトーヨーカドー)

どれほど一生懸命に作られたものであっても、売れない物は売れないというのが商売の世界です。商いというのは自分たちが作ったもの、提供したものに対して、お客様が価値を認めてくれて初めて成り立つ。お客様が認めてくれなければパッとダメになってしまう。それが原点です。


小倉昌男

消費者の知恵とバイタリティが新しい需要を生み出し、市場が育っていく。そこで市場の変化についていけない会社はつぶれてしまっても仕方がない。会社を潰したくなければ、消費者の動向に常に敏感にならなければいけないし、逆にそうした行為が会社を成長させ、さらには日本経済の活性化につながっていく。そこにはもはや、護送船団方式などといった役所の論理が不要であるということはいうまでもありません。


小倉昌男

96年度に配送された郵便小包が4億個なのに対して、宅急便は7億300万個と郵便小包の約1.8倍ものご利用があった。正直なところ、なぜこんなにたくさんのお客様にご利用いただけたのか自分でも不思議でしょうがなかった。しかしよく調べてみると、わが社が提供するサービスを利用してお客様がありとあらゆる使い方をされているんです。


小倉昌男

旅行先の朝市で新鮮な魚を買ってすぐに市場からクール宅急便で自宅に送れば家に着いた時には新鮮なままの魚が食べられる。お客様の知恵とバイタリティがわが社のビジネスの幅をさらに広げてくれているわけです。これからもお客様の知恵とバイタリティに応えられるような新しいサービスを提供し続けなければ、競争の激しい市場の中では生き残っていけません。


浜田広

不足の時代は消費者のニーズが明確でしたから、いかにして安くてよいものを提供するかが競争力になりました。その上「もっと小さく」「もっと静かに」「もっと速く」というように、商品開発の方向性もはっきりしていました。ところが充足の時代を迎えると、欲しいものが何なのか、不足しているものが何なのか、消費者自身にも提供する側の我々にもわかりにくくなってきたんです。つまり充足の時代は市場から新しい不足を探し出し、それを満たすものをどれだけ提供できるかが競争力になるといっていいと思います。


浜田広

市場にはモノがあふれていますから、新たに何を改造して提供すれば買い替え需要が生まれるかを考える必要があります。たとえば、商品のレベルを上げたり、使いやすくしたりしていかにお客様の満足度を上げていくかを考えていくことです。さらに、イノベーションによって、新市場を開拓していくことも求められます。


浜田広

従来は「コピーのスピードが速い」「壊れにくい」などというハードの性能が競争力でしたが、デジタル化以降はソフトの性能が競争力となっています。デジタル化によって、どういう性能が発揮できるか。いわばソフト力がイノベーションを生み出し、新しい利益を創出するようになったのです。


卯木肇

サムシング・ニュー(何か新しいもの)、サムシング・ディファレント(何か他と違ったもの)がセールスの第一義なのです。これは、今流にいえばニッチです。ただ、トランジスタラジオのように最初はニッチ商品であっても、次第に大きく成長し、ニッチではなくなる商品もあります。


卯木肇

ソニーには自由闊達な空気が流れていて、常にサムシング・ニュー(何か新しいもの)、サムシング・ディファレント(何か他と違ったもの)を追求してきた歴史があります。自分なりの商売の王道に手を入れることができたのも、そうしたソニーの風土が大きく影響していると思うのです。


鈴木敏文

顧客の動きを見続けることです。なぜ市場が変わってきているのか、それを顧客はどう受け止めているのかを考えていかなければならない。ところが、人間はたいてい過去の成功事例で問題を解決しようとします。この際、過去の経験は捨てないといけない。


鈴木敏文

変化に対応するのは簡単ではない。例えば自動車を運転するとき、自分が先頭に立って運転するのは難しいことではありません。自分のペースで運転できるからです。けれども、後からついていくのは結構大変なんです。前の車が信号を通過したとたんに信号が赤に変わるかもしれないし、急に渋滞が始まるかもしれない。相当な技術が必要になります。


鈴木敏文

先手を打つという言葉があります。しかし、本当に先手なんて打てるのでしょうか?世の中が変わることがわかっていたら、誰もバブルなんか引っかからない。先手を打つことはばくちを打つのと同じ。世の中の変化を至近距離でとらえて対応していくしかないと思います。


鈴木敏文

価格訴求から価値訴求の時代への移行。バブル時代はお金がどんどん入ってきますから、使い捨ての時代が続き、モノが売れました。安売りが一種のファッションになり、一着5千円とか1万円のスーツが売れたのもこの時代です。しかし、バブルが崩壊して、「安さ」=「価値」ではなくなると、物の価値を意識するようになります。そうした消費者の変化に敏感にならなければいけないのです。消費者も変わり、売れる商品も変わっているということを知らなければいけない。


尾崎元規

情報提供と情報収集をダイレクトにやろうという発想のもとに販社制度をつくりました。そのとき、マーケティングをやっていた佐川という副社長がいました。彼は消費者とインテリジェンスを交換するという言い方をしていました。いわゆる情報ではなく、あえてインテリジェンスと言ったのは、書かれたものとか出てきた数字データに何を読み取るか、データに秘められた物事の本質を読み取らなければいけないと考えたからです。読み取った本質を処理して返す。このインテリジェンスの交換が非常に大切というわけです。


伊藤直彦

鉄道コンテナの輸送には非効率な手作業が数多く残っていました。コンテナひとつひとつに手書きの荷票を差し、手でコンテナ番号を拾い、機会に入力する。また、急ぎの荷物とそうでない物の振り分けも人手によっていたため、平日の人気列車からは荷物があふれる一方、土日の列車には空きが目立つ。大きな駅では、配達コンテナを見つけるのに数十分かかることもある。国鉄時代から何十年もこうした扱いをしてきて、それが当たり前のようになっていました。【覚書き:JR貨物に入った当初を振り返った発言】


水野明人

選手たちと話をすると、ここは残しながら、ここはこうしてほしいとかそういう話はしょっちゅうです。無理難題を克服すると、他との差別化できる一段階上の商品ができる。それは難しいことだけれど、いい商品を作るためには必要な部分です。


水野明人

二律背反の中にビジネスチャンスがあると思います。一つのことをクリアするというのであれば、ちまたにあふれている商品と同じものしかできない。これをやったらこっちが立たず、これを立てればこちらが立たずというものはたくさんある。とりわけ、スポーツ品にはそういうものがいっぱいある。


松井忠三

ご存知のように成熟化が進んでいますから、ものすごく心地いいとか、つけたら気持ちいいとか、肌ざわりがいいとか、同じシャツでもデザインを含めて素晴らしくお値打ち感があるねという時代になっちゃったでしょう?これは、心が満足しないとダメな時代になったんです。その心の満足を具体的な商品で表すとするとどうするか。これが今の時代のキーワードです。


松井忠三

無印良品のコンセプトが進化したのは、最初の6年か7年です。そこで終わっているんです。100円ショップができて、ユニクロができてというなかで、どちらかというと暴力的な安さのほうに動いて行った。僕らの「わけあって、安い。」というのは、百貨店のクオリティを七掛けでというコンセプトですから、今後はそれに合った商品にしなければいけない。


池田弘(経営者)

サッカーが不毛の県と言われた所で、一生懸命採算を合わせるべく、みなさんに応援してもらうべくやっているうちに、これだけの盛り上がりの結果が出たんだと思います。


池田弘(経営者)

コミュニティということがよく言われていますが、たとえば家族旅行に年に二回行っているのであれば、アルビレックスの試合に合わせて周辺の温泉を予約し、温泉を楽しみながら試合に来ていただく。みなさん湯布院に行って、別府の試合を見ているみたいなんです。おじいちゃんが「アルビレックスを応援に行こう」というと、孫が一緒に来てくれるみたいなこともある。あるいは町内会を通して申込書が回覧板で回ると「隣のおばあちゃんが行くんなら、私も行くわ」みたいな誘い合わせて来てくださるとか。家族をコアにして、町内が一緒に盛り上がる。勝った時は地元に戻って町内で酒盛りするとかね。


松井道夫

顧客第一主義という言葉があります。じつは、これは顧客を「集団」としてとらえた企業中心の考え方です。これでビジネスをやっていてはだめです。顧客一人一人を中心に置くことが重要なんです。お客さんは我々にお金を払ってくれる側。我々はお金をいただく側。そういう立場ですよ。我々商人というのは、選ばれるか選ばれないかという存在にすぎない。


松坂敬太郎

消費者には欲求があります。しかしその欲求は本人たちには言葉でも形でも説明ができません。でも、気持ちの中では必ず何かを欲しいと思っている。それを形にするのが、モノづくりの会社の使命なんです。


松坂敬太郎

私が「売れない物を作れ」と言っているのは、そっちの方が楽しいからです。売れているものはもうすでにあるものです。今あるものをいくら安く作っても、仕方がないでしょう。売れないものは、今は誰も売れると思っていないものです。今売れているものというのは、すなわち競争社会にある。これからは競争というものはあまり経済を活性化する要因ではないと思います。それは、競争は経済を無駄にする可能性があるからです。


松坂敬太郎

消費が伸びているときというのは、競争はよりいいものを作ったんです。しかし、消費が止まってしまったらどうなりますか?余りが出てしまったら、誰かが負担しなければならないでしょう。余分に作って赤字を作ったらどうなりますか?リストラをして、会社を再編しなければならなくなります。こういう安定成長の時には、競争ではなく、新しい価値を創造するモノづくりでなければいけないんです。


坂根正弘

何かを犠牲にしてでも、競争相手が5年は追いつけないような特色を織り込めと開発に言ったのです。原価を10%下げそのコストの余裕を商品価値アップに使うようにとも言いました。環境、安全、IT、それからコスト。4つのキーワードを挙げて、そのなかで何か特色を持った商品を作るようチャレンジさせる。そして出来上がったものがダントツ商品なのです。


坂根正弘

プロダクトアウトは駄目だ、マーケットインだと言われます。つまりお客様の声を聞くということです。そしてお客様の声を代弁しているのは「営業」ということになります。新商品を作って評価会を実施すると、参加している営業の連中が「競争相手にここが負けている。ここを改善しなければいけない」と指摘するわけです。そのような意見に従うと、なんとなく優等生な新商品が出来上がるんです。ところが、1・2年もたつと、もう競争相手はその上を作ってしまいます。こんな競争をしてはいけないと感じました。


金川千尋

製品のブームは株式の相場と同じで間違いなく崩れます。だから皆が有頂天になっているときに、ブームの質を第六感で感じ取り、景気が悪くなった時の手を打っておくことです。


柳井正

商売とは成功したと思った時点でダメになります。成功はマンネリ、保守化、形式化、慢心を生むからです。だから企業の存続発展のためには、小さい失敗をどんどんすべきだと思います。致命的な失敗をする前に、ちいさい失敗を何回もして、それを財産にとらえて次に生かすのです。失敗して、転んで、起き上がる。その繰り返しの中で学んでいかなければいけない。最悪なのは失敗を恐れて立ち止まったり、ためらって何もしないことです。


柳井正

私が撤退の決断を急ぐのはできるだけ早く失敗し、致命的な失敗に至る前に早く対処したいからです。ですから、エフアールフーズも、かすり傷程度の失敗で、骨折までには至っていない。ところが、多くの企業は失敗に気付かず、骨折をしてもまだ行けると思って突き進み、どんどん傷口を深くしてしまう。大切なのは、失敗で会社を潰さないことです。ですから私は、かすり傷の時点で撤退を決めます。【覚書き:エフアールフーズは高級野菜を販売する事業を展開したファーストリテイリングの子会社。ユニクロが野菜販売を始めたと当時話題になったが数年で撤退】


柳井正

自分のやっていることが間違っているのではないかと、いつも考えるべきです。経営、店舗、商品、人事などについて日頃から根本的に否定していくことです。ずっと自己肯定が続くと、時代とズレていき、ある日、気づいたら手遅れだったということになりかねない。昨年売れた商品が、今年も売れるという保証はない。もちろん、経営の本質的な部分は通用しますが、表面的な方法は変えなければなりません。


柳井正

2002年9月に設立したエフアール・フーズの撤退について一言でいうと、我々にとっては大きすぎる仕事でした。エフアール・フーズのトマトなどの農作物は、水や肥料をできるだけ与えずに農作物が持つ力を引き出して育てる永田農法で生産し、品質や味への高い評価をいただいたのですが、手間暇がかかるため残念ながら生産効率と販売効率が合わなかった。当時、フリース・ブームが終わり、何度目かの停滞期に入っていたことから、行き詰まり感を打破する意味でも、チャレンジを試みたのですが、慢心があったのかもしれません。


吉野浩行

誰もやったことがないからこそ意味がある。失敗を繰り返すなかで独創的な技術に至るものが出てきます。すぐに商業化にはつながらないけれど、非常に価値のあることなんです。


吉野浩行

ホンダの子会社の本田技術研究所は「Dプロジェクト」「Rプロジェクト」「基礎研究所」に三組織からなっています。「Dプロジェクト」はディベロップメント(開発)、つまり生産・販売の計画と密接したより市場に近い開発を行う。これは失敗しないでやってくれと言っています。「Rプロジェクト」はリサーチ(研究)で、天衣無縫に研究に取り組んでもらっています。失敗しても構わないからと。誰もやったことがない未知の部分に挑戦するのだから、それは失敗しますよ。


菊川剛

失敗といっても、さぼっていたわけではなく、一生懸命やった結果なんです。だからその過程を経営者が見ていて、これ以上続けてはだめだと思ったらスパッと止めるのは当然です。見極めを付けられないでいると、どんどん傷口は大きくなってしまう。あのとき、早く止めてよかったとつくづく思います。
【覚書き|第一営業部副部長時代、担当していたビデオ事業の撤退が決まったときを振り返っての発言】


菊川剛

これまでのビジネスマン生活でつらかった経験というと、日本でビデオ事業から撤退した時のことです。85年に日本に帰国して、第一営業部の副部長に就任後、ビデオ事業を担当したんです。ビデオ事業は他社からOEMを引き受ける形で行っており、オリンパスとしての付加価値がつけられず、差別化ができなかった。当然、価格競争にも勝てなかった。最後はもう、叩き売るしかなくなったんです。


菊川剛

社長以下常務の面々が顔をそろえる常務会議の席上、各部のビデオ事業担当者が順々に撤退理由を述べましたが「本当はやめたくない」「続けたい」という気持ちが捨てきれず、私は無念さと悔しさに涙しました。当時の下山社長に「泣くな。この経験は必ずあとから生きてくる」と言われました。でも、あの時にやめておけばよかったんです。止めるときはスパッと止めなければいけません。そこで情を入れたら駄目なんです。
【覚書き|第一営業部副部長時代、担当していたビデオ事業の撤退が決まったときを振り返っての発言】


菊川剛

大切なのは、苦い思いや失敗をしてもまた違う仕事に就くわけですから、経験を生かして新しい仕事で必ず頑張るということです。マイナスをバネに変えて、励みにする。そうすれば必ず機会は与えられる。次のチャンスに頑張ろう。リベンジしようという意識を持たなければいかんのです。


生田正治

失敗の解決策を上司に一緒に考えてもらうだけでは、ただの負け犬です。自分のミスは自分の責任で修復させる努力をして、勝ち組に入る努力をすべきです。私の場合120億円の損失でしたから、社長のところに出向いて「責任を取って身を引かせていただきます」といいました。そうしたら「何を言っているんだ。できるだけ早く修復することで責任をとれ」と言われました。失敗の当事者が修復の責任を持てということです。2年かかりましたが失敗したシステムを拡大修復して、現在の定期航路部門のシステムの基本となりました。


生田正治

何事につけ果敢にチャレンジすべきであり、もし失敗に気付けばすぐに失敗を認め、責任は回避しないでできるだけ多くの人から修復の知恵を借りることが必要です。当然、これは職責によって違います。課員が失敗しても、課長レベルだけで修復できることは山ほどあります。同じように課長レベルで取り返しがつかなくても、部長や取締役など、職責が上がれば比較的容易に修正できることもあります。自ら最善の努力をすると同時に、まず上司に事実を知ってもらって修正法を一緒に考えてもらうのです。


生田正治

取締役で北米部長のころに120億円の損失を出す大失敗をしたことがあります。北米航路のコンピュータシステムの開発を日本本社のシステム部に任せていたのですが、世界最先端のロジスティックス(物流)が必要とするシステムに対する理解が得られないし、間に合わないと思ったから、定期航路部門の部長である自分自身がやるって言ってしまったんです。アメリカ人のエキスパートを集結してアメリカに会社を作って、アメリカの最先端技術で北米航路のシステムを作ろうと考えたのです。ところがニューヨークで1000人以上の専門家が二年かけて最先端のシステムを完成したつもりだったのに、テストランしてみるとうまく動かない。結局元のシステムに戻す結果になってしまいました。


生田正治

後悔先の立たずですが、最先端の技術にチャレンジする際の事前の能力の検証に問題があったと反省しました。過度に信頼したのが原因でしょう。失敗だと思った瞬間に素直に失敗を認めました。【覚書き:北米部長時に北米航路のコンピュータシステム開発をした際の言葉。約120億の損失を出すこととなる】


御手洗冨士夫

終身雇用の良さは、社員が長期的に物事を考えられることです。こうした環境は、流動的でぷっつんぷっつんと切れるアメリカ型の環境より優れていると思います。日本のジャーナリズムは、日本のコアコンピタンス(競合他社に真似できない核となる能力)を古臭いと言ってけなすけれども、あまりに自虐的で嘆かわしいですね。もっと日本の企業風土の特徴を肯定し、誇りを持たなければいけないんじゃないですか。


御手洗冨士夫

新卒採用で入って長く会社にいるからこそ愛社精神が育つ。日本の愛社精神は、不正を防ぐコーポレートガバナンスの機能を果たしていると考えることもできます。ひとりが自分の家族を思うように会社を愛せば、ルールがなくても不正は自然となくなる。それから、役員と社員の距離が近いことも経営のチェック機能になる。流動性の高い社会ではありえないことです。


御手洗冨士夫

会社の理念こそが、コーポレートガバナンスだと思います。昭和17年、キヤノン初代社長に就任した御手洗 毅(叔父)は、従業員が安心して幸せに暮らせる会社を作りたいという思いで経営しました。今日まで、この理念をずっと通してきましたが、なんの不都合もありません。


御手洗冨士夫

いま、仮に社外役員を連れてきたら、逆に企業理念が理解できないために不都合が起きると思います。少なくとも、仕事の内容を教えなければいけないだろうし、自分が教えておいて「どうですか」なんて聞いてもしょうがないじゃないですか。会社について何も知らない人が来て、仮に報酬として600万円もらうこと自体が公平じゃないし、だいたい、そんな人に経営指南を受けなければならない会社は、そのうち潰れます。


八城政基

日本企業は従業員経営ではなく、スローガン経営だと思います。従業員のために経営をしていると言いながら、業績を上げて、他社より高い給料を払うことはできない。それから、余剰人員をじっと抱えて、生産に貢献していない人たちの給料まで払わないといけないということは、一生懸命働いている人にとってはマイナスになります。しかし、それはあくまでも現象です。雇用の根本問題は労働の流動性がないことだと思います。


八城政基

秩序と安定を大切にした日本社会が、いかにして変化を再生に生かしていくかが重要になってきます。あくまでも変化を避けて通ってはいけません。むしろ、みずからが変化を起こすくらいの気概を持つべきだと考えています。


小林陽太郎

企業が健全な利益を生むためには、顧客・従業員・社会・そして株主に対する責任を果たしていく必要があり、そのことがひいては、長期的な株主の利益を実現することになる。それが、ステークホルダーズ・マネジメント(利害関係者経営)に徹するということだと思います。


和地孝

人を財産と考え、長期雇用を維持することが経営の合理性だと思うのです。ただし、年功序列は違うと思います。かつては、評価システムも発達していませんでしたし、農耕民族的なマネジメントで会社は成り立っていました。つまり、経験を積んだ年長者のほうが、お天気の読みは上手なんです。しかし、現在のグローバルな経営環境の下では、狩猟民族的な経営が求められるようになりました。狙う獲物はなにかにのって、リーダーを選ぶ時代になったのです。年功ではなく、適材適所でないと生き残れない時代です。


奥田碩

日本の経営者は通勤に使う自動車も会社もちなら、昼飯も会社が払う。ゴルフの会員権まで会社が負担している。日本では経営者まで会社に依存しているわけです。そのもう一つのいい例が、日本では会社を退いた後でも、いろいろな秘書をつけてもらって会社の金で出勤してくる。これでは何のために退職金をもらったのかわかりません。会社にしがみつくなら、退職金はもらうなと言いたい。アメリカの経営者は会社を辞めて退職金をもらったら、もう会社へは来ない。


長谷川武彦

人事にしても、会計にしても、基準のとり方がグローバル・スタンダードの方向へ行っているのは確かです。日本国内だけでなく、世界を相手にビジネスをしている以上、会計基準などを国際基準に合わせることは必要です。ヤマハも売り上げの八割は海外で上げていますから、海外の投資家に理解を求めるために、国際会計基準の導入は不可避です。マネジメントの透明性や情報開示も、当然実行すべき事柄です。


長谷川武彦

私は、和魂洋才が日本企業の生き残る道を見つける際のヒントになると思います。日本人はある種の完璧主義、潔癖主義を持ち、細かいところまで神経が行き届きます。そうした日本人の特性をモノづくりに活かすことです。そうすれば、日本独自の製品が必ず生み出されるはずです。


長谷川武彦

日本は落ち着きを取り戻すべきです。勝ち組競争に翻弄されて、仮に勝ち残っても次の展開が保障されているわけではないという認識を持つべきだと思います。


長谷川武彦

国際会計基準やグローバル・スタンダードの導入は国際競争を勝ち抜くための「必要条件」ではあっても、「十分条件」ではない。必要条件だけを懸命に実行して満足しているようでは、横並びの域を出ないと思います。必要条件は当たり前のこととして迅速に取り入れたうえで、もっと上の本来の目的を追求しなければ次の時代を勝ち抜くことはできません。


西室泰三

東芝という会社が、電球から原子力まで何でも作ることが安定と成長のもとになっていたという時代は過ぎたと考えています。我々は、何でも作るという発想から、得意なものを作る、上手にできるものを我々がやる。足りないところはよそから補うということを果敢にやらなければいけない。我々の力が足りないとか、よその力を合わせればもっと良くなるというのなら、そういう選択もある。アライアンス(共同事業)の話は当然出てきます。


金川千尋

日本企業には古いしがらみが多く、それが本来シンプルなはずのマネジメントを複雑にしている。リストラクチャリングという言葉が、まるでファッションのように流行していますが、はじめから人を採らなければ、人員の整理という敏感な問題は起こらない。当社の米国子会社シンテックには、財務の専門家は一人もいません。一週間に一時間だけ財務を見ている人間が一人いて、私は十分だけ財務に時間を費やします。財務戦略なんて必要ないんです。格式を重んじて、意味のないことをやってもしょうがない。


松井道夫

利益を上げて経営状態が良くなってくると「うちの会社はいま何百人の社員がいる。将来は、何千人にするんだ」といって、買収を繰り返し、組織を拡大していく経営者がいます。つくづく疑問に思います。みんな規模を拡大しようとする。足し算の発想をするのです。しかし僕は、もう徹底的に引き算の発想をしようと思って、有無を言わさず本社を移転しました。余計なものを排除する。つまり、規模を捨てたんです。徹底的な引き算の発想を、社員に示したつもりです。


松井道夫

社員の首切りをしない一番いい方法は何かというと、人を増やさないことです。ある程度の新陳代謝は必要だけれど、もう組織を拡大するのはやめようということ。会社の利益はだれが作るのかというと、社員、すなわち会社の仲間たちです。であるならば、利益は株主と会社の仲間たちに分配するのが当たり前でしょう。だったら、人数は少ない方がいいに決まっている。


林原健

弊社がメセナ(企業が芸術・文化活動にカネ・ヒト・モノを支援提供すること)に力を入れているのも、実は全社規模で異分野の経験をし、異分野の知識を持ちたいと考えているからなんです。たとえば、漆に関わる職人さんを社員として抱え込んでいますが、それは彼らとの交流から社員一人一人が知識的にも、文化的にも豊かになればと思うからです。


林原健

社員が心豊かな人間になればその個人はもとより、会社にとってもプラスになります。メセナといった場合、多くの人がお金を出しておしまいですが、うちはそういうことをしない。いまいったように、かかわった文化事業では、たとえば関係の職人さんごと抱え込んでしまいます。メセナ(企業が芸術・文化活動にカネ・ヒト・モノを支援提供すること)は社員の頭を柔軟にし、組織を柔らかくするためにも必要です。本業だけに関わっていたら、新しいアイデアは生まれません。創造とは、頭をひねって難しいことを考えることではありません。


坂根正弘

この15年間、日米欧の経済規模はお互いを経済圏として膨らむだけ膨らんできました。こういった日米欧中心の経済循環だけでは成長できないところまで来ました。自国の経済規模の拡大にお金が全部行ったものだから、その他の世界にお金が行かなくなったということもあります。


坂根正弘

この15年間、貧富の差も開いてしまったし、日米欧が経済規模を拡大するためには周辺マーケットを入れないとどうにもならないということになって、アメリカは中南米を、ヨーロッパは拡大EUに政治のリーダーシップで取り組んでいますが、日本はアジアとの共栄をもっと政治のリーダーシップで進めていくことが重要だと思います。


藤田弘道

バブルの時代には、本業以外絶対に手を出しませんでした。それでバブルがはじけて本業以外に手を出した企業は相当痛い目にあいました。でも、わが社の進むべき道はデジタル化を迎えて印刷というコア技術をどのように利用して、その市場の変化に対応するか。ほかの事業に手を出さずに、印刷会社は印刷技術をどう利用して、事業を確立するかということが経営の基本だったと思うんです。


出井伸之

二年前から私は、複雑系の経営ということを言っています。グループの企業価値の全体和は、その部分となっている事業ユニットの足し算よりも絶対に大きくなければいけない。この複雑系の経営は、ボーダーレス時代にふさわしいと考え、会社の部門を独立させる社内カンパニー制を強化しました。各事業ユニットであるカンパニーは執行役員に任せ、本社の十人の取締役会がグループ全体の経営の基本方針を決める形にしました。これは事業ユニットを切り離してソニー全体の価値を上げていく持ち株会社的な分散型モデルの第一歩です。


出井伸之

私のビジョンとしては、まずカンパニー制でAV・エレクトロニクスの経営を適切に進めていく。その上で、グローバルなネットワーク環境に備え、各カンパニーがより独立してビジネスが進められるように、適切な本社を備えた分散型の体制を整えておくということです。競争を優位に進めていくための準備を進めています。


古川享

幸せの訴求ポイントがモノ中心ではなくなったこと、一人一人の幸せの価値観が違ってきているというこの二つを考えあわせていかなければならないのですが、ソフトウェアを中心に考えていくと、その答えは出しやすいんです。パソコンでいえば、ソフトウェアが目に見えない一人一人の価値観を実現してくれます。ソフトウェアに盛り込まれているコンテンツそのものが幸せをもたらしてくれるんです。


古川享

テレビを例に挙げれば、誰もが同じチャンネルで同じコンテンツを見るのではなく、ひとりひとりの主義・嗜好に合わせてチャンネルとコンテンツを選択する。それによって一人一人の幸せが実現されるんです。見たい時に見たい番組が見られるということは、時間の束縛から解放されることになります。そこに新しいビジネスチャンスが生まれると言っていい。


古川享

これまでNHKが有料で民放は無料と思ってきましたが、それは間違いで、じつは我々の消費財のコストに民間放送の広告宣伝費が上乗せされているに過ぎないんですね。ただ、これからはコンピュータの発達によって、その放送が売り上げにどれだけ貢献したかということも見えるようになってきますから、お金を払うメカニズムが変わってくるでしょう。メディアのパラダイムが大きく変わった瞬間、新しいビジネスモデルも生まれてくる。


中内功

時代の流れから言って、かつてのような需要過剰、売り手市場の時代は二度と来ないと思います。景気は今、デフレ局面にあると言われていますが、これからは供給過剰、買い手市場が常態になる。そのような中で企業が存続していくには、買い手市場を前提とした新しいシステムを構築して、徹底的に消費者の理論に立って経営を推し進めていく以外にはありません。


中内功

いままでは売り手側、作り手側の理論が工業化社会を支えてきたわけですから、ある意味ではやむをえません。しかし、生活者が自分の価値観で商品を選択するようになったからには、発想を転換しなければ生き残っていけません。時代はレディ・メイド(既製品、大量生産)から、オーダー・メイド(特注、少量生産)を基本とするポスト・インダストリアルの時代に移っています。その認識の立って、買う側の理論、使う側の理論を優先する時代を作っていくことは、企業に課せられた使命ではないでしょうか。


坂根正弘

再建の目途を区切るとすれば、二年だと思います。三年というのは長い。一年では結果が出ません。丸二年で結果が出なければ、会社全体が疲弊してしまいます。本当のところ、三年くらいはほしいのですが、三年は結構長いんです。それだけの時間は、なかなか待てません。再建は二年だと思います。


中野克彦(経営者)

MOT(技術経営、マネジメント・オブ・テクノロジーの略)の一番のポイントは、経営方針と研究方針が一致することです。二番目は市場と研究の融合です。三番目は上下左右の壁をなくすことです。上下は社長と担当です。入社して5・6年の人が私の前で説明する。「それは君、いいテーマだからすぐ投資審議会に回しなさい」というわけです。昔はいいものをつくっても、上司のハンコをもらって、投資審議会にかけて、常務会にかけてから社長の決裁となるから時間がかかった。いまは私が「投資審議会に回しなさい」といえば、社長決裁をもらったようなものです。私は話を聞いたら即断即決します。MOTはスピード経営でなければいけない。


立川敬二

従来のNTTの風土からすると、ドコモは企業風土がガラリと変わったと言われる。まず、きわめて時間が凝縮されていたということがある。NTTの技術開発なんて、それこそ十年もかけてやればよかったのが、いまは一年で開発することが求められる。臨機応変にやらなきゃだめなわけです。電話の進歩は今考えれば、ちんたらやっていたわけですよ。だけど、いまはドッグイヤーと言われるくらい速いわけだから、それに対応せざるを得ない。だから、外から見たら柔軟にやっているように見える。


立川敬二

規制機関は昔はきわめて慎重だったでしょう。独占ということは失敗が許されないわけだから、入れるにあたっては、本当に石橋を叩いて渡らなければいけなかったんです。そういう時代背景もあります。規制機関は、だめでも自分たちの責任にならないからいい。だけど、いまは競争でしょう?出してダメならつぶれるだけ。業者が勝手にやって、利用者からウケなければなくなるだけ。選別要素が利用者側にできてしまった。自由に発想できるようになったと言えます。


山之内秀一郎

科学技術の世界では無茶をしてでもトライする時期と、慎重にふるまう時期を見極める必要がある。日本の宇宙ロケットは短期間に成功が続き、そのまま短期間で高い技術レベルに到達するものだという「イケイケドンドン」的体質になっていた。無理をするのが普通になってしまっていたんです。私は逆に、いまは慎重に舵を切ろうと考えました。だからH2A(国産ロケット)はトラブルが見つかった時点で、ただちに打ち上げ延期を決めました。


山之内秀一郎

宇宙開発事業団の場合、二回連続で失敗する前、じつは29回連続で成功している。これは凄いことであると同時に、不幸なことでもあるんです。失敗体験の蓄積が少ないから、背伸びをしていたところもあったのではないかと思います。日本の宇宙開発技術は、歴史も浅ければ、失敗体験も浅い。これは大きなハンディキャップです。


張富士夫

燃料電池車ではホンダがカナダのバラード社の電池を使っているのに対して、トヨタは内製化しています。その辺はトヨタの「モノづくり屋」としての伝統でしょう。自分たちで作っていきたいという思いが強いんです。うちの技術者たちがよくいうのが、「どれだけ失敗しているかが大切」ということなんです。人が開発したものを持ってくるのでは、失敗のノウハウが自分たちのものにならない。ですから、できるだけ自前主義を貫いていこうという気持ちを持っています。


柳井正

自分のお金で会社を経営して、100%自分でリスクをとってきたので、責任が自分以外の人間にあるとか、他の要因にあると思った瞬間、僕は自分に負けるような気になるんです。言い訳をせずに全部自分に責任があると割り切った方が気持ちがいいんです。だいいち、失敗を直視し、かつ客観的に原因を分析してこなければ、生き延びてこられなかったでしょう。


柳井正

自分に対しても相手に対しても、厳しい目を持って見ることが大切です。それは、商売をするうえで欠かせない視点だと思います。客観的な分析、評価ができるということは、経営者としての大切な資質です。自信過剰になることもないし、不必要に卑下することもない。自分に対して厳しすぎると言われることもありますが、その方が居心地がいい。


和田一夫(経営者)

私の場合、89年の天安門事件の後に中国に進出したので、あれ(ヤオハンの中国進出)は素晴らしい決断だったと思います。だけど海外で世界の和田なんていわれると、こちらもその気になってしまう。しかも、社員がみな国際企業になったような気持ちになってしまった。ほんとうに、いいときというのは一番危険だと思います。


渡辺捷昭

私が昭和39年の入社、奥田(碩)にしても昭和30年入社ですから、労働争議そのものは生で経験していません。でも、若いころに諸先輩方たちから辛酸をなめた時代の話を集中豪雨的に聞いていますから、身にしみついているんです。ただ、いまは豊かな時代に育って入社した世代ばかりです。苦労性と言われるかもしれませんが、語り部として危機感を後進に語り継いでいるつもりなんです。


那須翔

もはや戦後ではないといったあたりから、日本人はこれでいいんだと思い始め、思い込んでしまったのです。戦後何十年間でできつつあった日本型システムのようなものを、これでいいんだと思いすぎた結果、我々は本当の意味での多様性をなくし、どんどん画一的になっていったんです。政治システムのなかでの政党の役割、経済システムにおける企業の役割、官の役割、民の役割、そういったものが次第に固まっていきました。


小倉昌男

戦後50年という一つの時代が終わり、時代の潮流がその流れを大きく変えようとしている。まさに時代の大きな変わり目に来ていると思います。過去100余年の歴史を振り返ってみますと、日本はこれまでに2度、時代の激変を経験しています。ひとつは明治維新。つぎに昭和20年の終戦のときです。現在はそれらに匹敵するぐらいの規模で時代が大きく変わろうとしています。


小倉昌男

幕府という牙城が崩壊したからこそ、近代国家・日本が誕生した。ところが、いまは旧来型の官僚組織を残したまま新しい時代に突入しようとしている。これが今の時代の最大の不幸だと思っています。日本全体に「時代の大きな変化の中にいる」という意識が希薄で、構造改革の重要性がいまひとつ理解されていない。ですから行政は構造改革はするが自分の既得権は守るといった中途半端な政策しか打ち出せないわけです。


小倉昌男

時代の変わり目にあるということが、実感として世の中にあまり伝わっていません。そこに問題があると思うんです。明治維新では幕藩体制が解体するという大事件があって、新しい国を作ろうと若い下級武士や公家たちが立ち上がった。昭和20年には敗戦によってアメリカの占領という大事件を経験した。そして公職追放で20万人以上の人が公職から追放され、かわって30代、40代の若手が行政や経営などの第一線に立ったわけです。「俺たちがやらなければ日本の国はどうなってしまうのだろう」という強い危機感があった。ところが今の時代は人々を立ち上がらせるための起爆剤となるような事件がない。


坂根正弘

事業というのは必ず苦しい時があるわけです。経営者の判断能力を問われるのは「一時耐えることで再び上昇に向かうのか?」の判断です。「3年で雇用を増やせたのだったら、頑張って人数を減らさずにしておけばよかったじゃないか」とおっしゃる人がいると思うんです。でもそれでは危機感が生まれないんです。危機感を持ったから、会社が再スタートして、雇用を増やせるところまで来たんです。危機感がなければ再生はあり得なかったんです。


坂根正弘

日本の建設機械市場はバブルのころと比べると3分の1になってしまいましたが、それでも必死になって多角化を目指したり、雇用を維持してきたわけです。でも、それでは結果が出ず危機感も生まれずジリ貧状態でした。そこで私は早期退職者を募ったのです。


大塚陸毅

常に危機感を持ち続けるとともに、サクセスストーリーを作ることが大切だと思います。サクセスストーリーは次の変革を推進するバネになるからです。いい芽は出始めてきたという実感はあります。この調子で行くと、各グループ会社は外に出ても十分に競争力を持つ存在になっていくと思います。


和地孝

どの業界でも、国内ナンバーワン企業は上がありませんから世界を見るしかないんです。そのため、意外にもナンバーワンの企業こそ危機感がありますし、社員もそれを感じて勤勉に働くわけです。


和地孝

私は54歳の時に、富士銀行取締役からテルモに常務として転身しました。そのときのテルモの第一印象は、名前と業種しか知りませんでしたが、最初に感じたのはあまりにも企業文化が違うことと、財政的にギリギリのところまで来ているにもかかわらず、危機感がまったくなかったことです。


和地孝

どの業界でも、国内ナンバーワンの企業は危機感を持っています。それは、世界を視野に入れているからです。しかし、ナンバーツー以下の企業は自分より一つ上の企業しか見ていない。一つ上の企業に追いつこう、追い越そうということにどうしても意識が向いてしまう。その先のより広範囲を見渡せば、本当はもっとたくさんの敵が存在するのにもかかわらず、目の前しか見えない。あまり危機感がないのです。


和地孝

会社が危機に直面していたとしても、社内に危機感があれば危機に立ち向かって乗り越えることができるのですが、そもそも危機感がまったくないということ自体が一番の危機なんです。意外にも社内の人間には危機感がないものなのです。内向きの思考では、なにもかわらない。鎖国状態で組織の内部だけ見ていては、危機感は生まれません。


西田厚聰

私がアメリカでパソコン事業を担当してた当時の競争相手は、日本やアメリカに追いつこうと必死に攻勢をかける台湾メーカーでした。彼らの猛烈なハングリー精神に対抗するためには、かつて日本人が高度成長時代に持っていた、ガムシャラなハングリー精神に代わるだけの、物事に立ち向かっていく姿勢が必要でした。


西田厚聰

生活のレベルが上がり、ライフスタイルもワークスタイルも大きく変わった現代において、日本人やアメリカ人に、以前のようなハングリー精神を持てと言っても、もはや通用しない。三か月程度の短期間ならばガムシャラにできるかもしれない。でも何年にもわたってやってくれといっても無理なんです。


西田厚聰

毎日の仕事の中で、いかに従業員全員がハングリー精神に対抗できるだけの姿勢をとれるか。私は「危機感」というより「センス・オブ・アージェンシー」、つまり、緊迫感、緊張感、焦燥感といった危機意識を持つことが大事だと言い続けている。つねに全員が言われた通りの仕事だけをやるのではなく、もっと視野を広げて事業ごとの業界の動きを把握しながら、2・3年後の将来に向けたベンチマーキング(定期測定)をするということです。


西田厚聰

よく、組織のベクトルを合わせると言いますが、ベクトルだけを合わせても、各々のベクトルを構成するスカラー(量)そのものが大きくなれば、組織のトータルの力はさほど変わらないんです。各々のベクトルのスカラー、つまり従業員一人一人が成長したうえで、ベクトルを合わせれば、その組織の力というのは格段に大きなものになるでしょう。


町田勝彦

経営とはリストラだとよく言われますが、私の場合、日々リストラをしているようなものです。どこに無駄があるか、あれがおかしいじゃないかと毎日言っている。毎日、リストラしているようなものだから、改めてリストラする必要もない。工場閉鎖や人員カットといったことをまとめてやらなくてすみます。


鈴木正誠

日本社会というのは、非常にあいまいで、過去のしきたりに従って、昨日やったように今日もやるというところがあります。そうやっているうちに、プロセスがどうなっているかがわからなくなってしまう。プロセスというのは、毎日確認する必要はないことから、だんだんとおかしくなっていることに気付かないんですね。


鈴木正誠

インターネットをサービスするのに、これまでの電話の時代と同じプロセス(手順、過程)では駄目なんです。どうやってサービスを作りこんでいくか。いかにお客さんに喜んでもらうか。海外の仲間と仕事をする機会も増えます。そうなったときに、プロセスを明確にして仕組みをシェアしてもらう必要がある。プロセスの明確化、新しいプロセスの創造は、日本がグローバル化するための必須事項だと思います。


鈴木敏文

セブンイレブンは、商品開発、発注、物流、販売のシステム、店舗設備の充実、経営指導、情報処理などをトータルに駆使することによって、売り上げを伸ばしてきました。お客様の立場に立って、変化に対応していくためには欠かせないことです。


出井伸之

私自身はすぐに組織に限界を感じて働きたくなってしまう性分で、これまでも三年に一回は動くという主義でやってきました。三年過ぎたらポジションをかわる、それを三回やったら次は全く違うところへ行くという具合に、どんどん動いてきましたね。


大橋洋治

敵は内にいる。自分自身に勝たなくてはいけない。自分が変わらなくては何も変わらないと言っています。怖いのは、企業風土を風化させる内なる敵なんです。


加藤千麿

新しいことにチャレンジするとき、止める場合もあります。とにかく試みて試みて、軌道に乗らなければ、早いうちに止めていく。いったん手を打つ。でも、最初からノーノーノーでは駄目なんです。言葉は悪いけど、役所の発想はそうでしょう。最初からノーノーノーで、できないという前提で行っちゃうんですから。ノーが一番楽なんですよ本当は。ああ止めとけっていうのが一番楽なんですね。


柳井正

組織は大きくなると安定を求め、保守的になります。それは、日本の企業の多くが直面する課題です。だから、常にぶち壊して一番いい組織に造り替えていかなければなりません。一つ成功すると、達成感のようなものがあって、これでいんじゃないか、このままずっと続けられるのではないかという錯覚に陥る。しかし、世の中は動いていますからそのままではいけない。


柳井正

組織は仕事をするためにあるのであって、組織のために仕事をするのではない。組織が大きくなると、どうしても初めに組織ありきで仕事を作ってしまいがちですが、いい仕事をするためにどういう組織を作るべきかを、常に考えていかなければいけません。


柳井正

チェーンストア理論では、店長は出世のステップにすぎず、店長の次はスーパーバイザー、ブロックリーダー、本部というように出世の階段を上がっていきます。しかし、それじゃあまるで官僚システムでしょう?店長を生涯の職として極めることなどできないし、自己実現につながっていきませんよね。99年2月にスーパースター店長制度を設けたのも店長の見本を示したかったからです。店舗と本部は双方向の関係性にあり、対等です。むしろ商売の場面では、店舗が主役で本部がサポート役にならなければいけないと思います。


奥田碩

人間は生まれながらにして異なる個性と才能、環境を持つわけですから、すべて平等ということはあり得ない。平等は確かに尊重すべき価値観ですが、努力の過程を無視して結果だけを一律にそろえることがいいとは思えません。


奥田碩

努力した人が報われる社会にしなければ、閉塞感は増すばかりです。「平等」に価値が置かれた結果、社会から変わろうとする意欲が失われてしまったんです。それによって、日本はすでに周回遅れのランナーになってしまった。1980年代、アルビン・トフラー氏は「第三の波」で、本格的な情報化社会の到来や、ボーダーレス社会の到来を予言しました。日本の場合、戦後の成功とは言っても短期間な成功にすぎなかった。だから第三の波がやってくるや、知らず知らずのうちに周回遅れになっていた。


横山進一(経営者)

ローマ帝国があれだけ長い間繁栄したのは、環境に応じて根本的なインフラから変革させているからだと思うのです。塩野七生さんにいわせると「平家物語」にある「盛者必衰の理」の理とは、環境の変化のことだというのです。つまり、繁栄したものが必ず衰えるのは、環境は変化していくものなのに、過去に成功したシステムをそのまま使い続けているからなのです。右肩下がりになったとき、本来ブレーキをかけなければいけないにもかかわらず、アクセルを踏み続けていたら転落してしまいます。


横山進一(経営者)

組織の継続は環境が変わった時にシステムを変えられるかどうかにかかっているんです。日本が苦しんできた「失われた十年」は結局、「変えられなかった十年」だと思います。組織を変えるのが難しいのは既存のシステムの中で恩恵を受けている人が多くいるからです。その分だけ抵抗がある。


横山進一(経営者)

現状維持を望む人がいるんです。でも、明らかに日本の環境は変わったんです。保険会社を巡る環境も大きく変わりました。少子高齢化や規制緩和、外資の参入など競争が激化しました。まさに、思い切った変革を行わなければ生き残れない時代になったのです。


細谷英二

企業経営にとって大事なポイントは、新しい変化に対してどれだけ対応できるかです。ある意味では、変化への対応能力そのものが経営の本質だと思います。新しい時代に対応できた企業は生き残る。対応できなかった企業は撤退や倒産をしていく。


細谷英二

進化論で有名なダーウィンは「知恵のあるものが生き残ったわけではない。強いものが生き残ったわけではない。変化に順応したものが生き残った」と言っています。


和地孝

必要不可欠な条件は、社員たちが何を考えるかを感じ取る感性と、彼らの発言を聞いたらできることは必ずやるということです。現場には「経営者が来てくれたのだから、何かが変わるだろいう」という期待感があります。ところが、経営者が現場に来て話をしたものの、実際には何も変わらなければ、社員は意見を言っても無駄だと思います。社長に言って変わらないものを、他の誰が変えられるのかとバカバカしく思うでしょう。


和地孝

社員から話を聞いたなら「違うことは違う」「できないことはできない」とハッキリ伝える必要があるし、「君の話はいいな」と言ったのであれば、必ず実現しなければいけない。それができないのなら、経営者が現場に行っても意味がありません。


和地孝

よく現場主義と言いますが、ただ単に現場に行っただけでは散歩をしているのと同じです。だから、経営者は日ごろから自分で本を読んだり、人の話を聞いたりして、問題意識を高めなければいけない。経営は真剣勝負です。会社は経営者一人ですべて変わりますから、トップに適材の人が来れば組織は変わります。


長谷川武彦

創造という言葉を考えてください。創造の「創」には、「つくる」という意味と「きず」という意味がある。時代劇にあるように、刀で切られた刀創(かたなきず)は焼酎をパッと吹いてサラシを巻き、死んでたまるかと言っているときれいに治ります。死んでたまるかという思いが、生命力になり、肉を噴くのです。


横山進一(経営者)

私が若い人たちに言いたいのは、「ノーから入るのではなく、イエスから入れ」ということです。これはイエスマンになれという意味ではない。物事を変えなければいけない時に、若い人たちは「変えるには、これだけの問題点があります」と言ってきます。問題点を発見するのは上手なんです。でも、問題点を挙げるということは、要するに「私はやらない」ということなんですね。


横山進一(経営者)

問題点を明確にできるのならば、それをできない理由とせずに解決策を一緒に考えるべきだと思います。つまり「どうやったらできるのか」という「イエス」の方向から入るべきだということです。実践するより、批判する方が楽です。それに、問題点は指摘しやすい。問題点は必ずあるものですから。


長谷川武彦

傷がなければ、人は楽で痛みもありません。けれども、傷を負わなければ、そこからは何も発想することはないし、何も創造することはできないんです。うまく機能していた既成の秩序に傷(問題)が入ると、こんなにうまくいっていたのに傷が入ってしまったとみんな落胆します。しかし、傷が入ることはこれまでのやり方を見直すきっかけになってくる。


木村昌平

捨てる戦略を展開するには、まったくビジネスモデルを変えてしまうくらいの決断がなければできない。普通の会社がなかなかその決断ができないのは、過去を捨てられないからです。過去にしがみついてなかなか捨てきれない。だから変えきれない。破壊できない。だから革新できないということです。


木川田一隆

事業に課せられた思い社会の負託に答えるためには、企業としては、常に長期的見通しの上に立って、効率経営に努め、直接的にも間接的にも生活福祉の向上に積極的に参加することである。すなわち企業の社会的責任を果たすことである。


駒井健一郎

メーカーとして最も大切なことは、製品の性能、品質が良く、事故がないことと、新しい技術を開発して次代の要求に答えていくことである。【覚書き:技術開発を尊ぶ日立の理念を語った言葉】


嶋田卓彌(嶋田卓弥)

私は出世なんてことを考える必要がなかった。功が誰に帰しようが、失敗をこちらでかぶろうが、どちらでもかまわない。【覚書き:上記発言は自身の上司論について語った言葉。功は部下に与え、責任は自分が取るという心構えを語った言葉】


佐伯勇

失敗が続くと次第に社員の間でトップを見る目が変わってくる。その孤独に耐えながらリカバリーショットを打つ。それが経営者の生きがいであり、喜びである。


櫻田武(桜田武)

自由競争と自己責任主義こそ今の日本の経済力の源泉だ。ルールと節度を守って自由競争し、勝ち負けの結果には経営者としての責任をとる。ところが、その自己責任と競争原理が忘れられかけている。【覚書き:上記発言は日経連名誉会長のときの発言】


日向方齊

いかなる困難をも乗り切って、目的を成し遂げようとする強靭なる精神力。それを実行するための頑健な肉体。そして部下を統合していく統率力。これらなくして社長の職を務めることはできないと言っていい。


槇田久生

社長になって気負った気持ちはなかった。「長い日本鋼管の歴史のひとコマを私なりに務めていこう」と、社長の椅子に深く身を沈めながら、一人静かに決意した。【覚書き:前任社長が急死し、突如社長に抜擢された時を振り返っての発言】


大山梅雄

経営者は会社の株を握っておけ。給料でなく配当で生活するのが経営者本来の姿。配当は家賃のようなもので、人の家(企業)を借りておきながら、家賃(配当)を払えないのなら、さっさと家から出ていけばよろしい。【覚書き:企業再建家としての経営者観を語った言葉。配当は業績が悪くなれば無配になり、逆に業績が良くなれば配当も増やせる】


北裏喜一郎

およそ世の中のリーダーたるものは、共感を呼ぶ何かを生むべく、常に腐心していなければならない。経営の決定にも、情緒的要素が必要であって、みんなに通じ納得がゆくためには、いかなる数字もこれに及ばない。


佐々木秀一(経営者)

トップの座にあるものは、腹の中で静かに自分を戒めるべきである。現役を退いたときに皆さんにこれまで同様のお付き合いをしていただきたい、そういう人間でありたいと思っている。【覚書き:上記は会長就任年の発言。自分が退任したとき、部下とどんな関係を築いていたいかあらかじめイメージしながら日々接しろという戒めの言葉】


水野健次郎

普通、オーナーはいいなと思われるが、本当はつらい。従業員、株主、お客さんに対して無限責任を負っているから。
【覚書き:上記発言は父から受け継いだ会社をスポーツ用品のトップメーカーに成長させた経験を振り返っての発言。発言時期は会長時。法的にはオーナーが出資額以上の責任(無限責任)を負うことはない。しかし道義上どこまでも責任を負っていると忘れてはいけないという経営者の覚悟を語った言葉】


中山善郎

会社が大きくなるほど、誰かが手抜きをしても分からなくなる。しかし、手抜きはいずれ必ず悪影響が出る。【覚書き:上記発言はコスモ石油発足5年目に語った言葉。コスモ石油は大協石油と丸善石油の合併で誕生した】


横河正三

なんであれ目的をきちんと認識して、目的に合った行動をとる。これが、まさに「はかる」ということ。「目的に合ったように動いているか」と常に自問することが必要だ。【覚書き:計量器メーカーの社長としての独自の経営観を披露した言葉。経営にも、目的と言う基準、ものさしや測りが必要だという趣旨の言葉】


亀井正夫

人事で難しいのは、潜在能力を見抜くことだ。課長で優秀でも部長で優秀とは限らず、部長で優秀でも役員で優秀とは限らない。軍隊でいえば、連隊長は任せられるが、司令官は務まらないということだ。


戸田憲吾

みんなの意見を努めて聞くようにしている。そして「社長についていきさえすれば」という安直なムードが生まれるのも警戒している。【覚書き:日本電装創業時からのメンバーから社長になったため、ぬるま湯組織にしないようにするための自分に対する自戒の言葉】


春名和雄

社員教育には社内に一つ、怖い存在がいなければならない。社員に直言する悪役だ。【覚書き:丸紅の会長就任時の言葉。日々の業務に忙しい社長に代わり、社員に敢えて厳しい意見を投げかける憎まれ役をかって出た時の言葉。】


塚本幸一

どんな業界にあってもトップ企業は、リーダーとしての責任を負うべきだ。【覚書き:(社)日本ボディファッション協会を立ち上げた時の発言】


永野健

今日と同じことを明日やるな。問題がないからと安心するのではなく、その日その日に新しくものを考えながら、積極的に対応してほしい。


小倉昌男

理論だけじゃ利益は出ない。しかし経営に筋道を立てないと利益が出ないことも事実。過当競争で構造不況だという。しかし儲けている企業もある。なら、どうして自社がだめなのか、どうすればいいのか。トップは汗を流すことだけじゃ十分ではない。【覚書き:理屈が多い経営と揶揄されたときの返答。理論と行動の両輪が必要と言う趣旨の発言。】


賀来龍三郎

人のためになることであって、なおかつ自分のためになることをやっていかなければ、企業は成立しない。自らの繁栄を求めながら、真の社会的責任を果たす企業を目指せ。【覚書き:利他と利己のバランスをうまく取りながら、なおかつ社会に貢献する企業活動をせよという趣旨の発言】


内藤明人(内藤進)

貸借対照表が経営者の顔だ。
【覚書き:貸借対照表(バランスシート)は資産状況を表し、調達した資金をどのように運用し、どんな結果になったかを表す。借金を先送りしている企業、キャッシュを蓄え有事に備える企業、不良在庫が多い企業、営業外の株式への資金分配が多い企業、銀行よりも投資家からお金を集めることが好きな企業など経営者の癖や考え方が如実に表れる。そのことを端的に表した言葉】


椎名武雄

何もせずに社長室に座っていると、悪い話は入ってこない。そうなると、経営判断を間違ったり、遅くなったりする。経営者は現場を歩き、積極的に生の情報を集めなければならない。【覚書き:IBM社長室の伝統「オープン・ドア・ポリシー(社長室のドアは常に開けておかなければいけないルール。IBM創業時からの風通しの良い社風のシンボル)」について語った言葉。社長室の扉があいていても、社長が部屋に籠っていてはオープン・ドア・ポリシーも無意味なものになってしまうという趣旨の発言】


福原義春

一般論では司令官は有事の時と、平時のときとでは、違った方が良いと言われる。だが、これからの経営者は有事に対応することを常に求められる。【覚書き:社長就任9周年の年に語った言葉。価格破壊と業界再編成が始まり、化粧品業界で今後も生き残っていく意気込みを語った際の発言】


足立正

謙虚に。思い上がったり、出しゃばったりしないこと。そして人の立場を理解しること。お互いに他人を認め合って物事に処したなら、たいがいのことはうまく運ぶ。【覚書き:処世訓を聞かれた時の返答】


和田恒輔

要は人事を尽くし、そうすることが相互の利益であるということを繰り返し説明していると、そのうちにだんだんとわかってくる。交渉ごとで短気は禁物。真情を吐露して、しかも粘ることが肝要である。【覚書き:ドイツのシーメンス社との提携関係の中で起こった問題についてどう対処してきたかを語った言葉。富士電機とシーメンスは50年以上にわたる長期の提携関係を持っている】


伊藤保次郎

労使間の協調を基本にする以外に道はない。現状を甘く見たら、取り返しのつかない不幸を招くこと必定だ。【覚書き:三菱鉱業社長だったころを振り返っての発言。当時、エネルギー産業革命が起きており、石炭産業が大打撃を受けていた。氏はその石炭産業の立て直しを行っていた】


本田弘敏

数多い人間の中から相集まり、同じ釜の飯を食って、苦楽を共にするのも何かの因縁である。とすれば、みんなが気持ちよく、仲よく働いていける環境。つまり人の和がなによりも大切である。


砂野仁

処遇の厚薄は担当する楽器操作の巧拙と難易によって上下する。理想は楽団的事業経営体である。【覚書き:理想的な労使関係について語った言葉。】


市村清

私は過去の体験から、従業員を使用人でなく事業の協力者だと思っているし、物心両面からできるだけの待遇を実行している。そしていつも彼らが勤めを楽しい面白いこととして愛するようにと導いているつもりだ。働くことに何の心配もつきまとわない、世界のどこにも類例のない独特の市村産業団というものをつくりあげていきたい。


小川栄一

自然の姿は林であり、森なのだ。木が二本で林、三本で森と書く。集団で移せば必ず根付くものだ。これは植物の世界だけでなく、動物の社会でも、人間の社会でも同じことだ。


奥村綱雄

ダイヤモンドは中央の面を囲み、多くの面が多角的に集まって底知れぬ光を放つ。会社経営もまたかくありたい。一人の独裁でもいけないし、多数の悪平等でもいけない。個が集まって全を形成するが、個は全あっての個であり、個あっての全ではない。


井上薫(銀行家)

企業は採算本位だけではうまくいかない。会社合併の成功のカギは、人事に配慮し、社員の気持ちを重んじることだ。【覚書き:第一銀行と勧業銀行の合併を成功させたことを振り返っての発言】


湯浅祐一

上から与えられるのでは駄目だ。若い人たちが自分たちで獲得するものでなくては、エネルギーは出ない。労使関係は信頼関係によって成り立つもので、それは労使交渉を通じて、労使双方が真剣に切磋琢磨することから生まれる。


吉田忠雄

他人の繁栄を図らなければ、自らも栄えない。私はそれを善の循環と呼んでいる。個人や企業の繁栄が、そのまま社会の繁栄へとつながっていく。池に石を投げると、波紋が大きな輪になって広がっていくように。


石本他家男

トッププレイヤーと言うのは、トップレベルのユーザーである。その優れたユーザーが着用して満足する機能性の高いものであれば、一般化しても安心。優れた開発は優れた人間との共同研究から生まれる。


素野福次郎

家庭も学校も当てになりませんので、企業で教育をしなくてはね。企業は道場ですよ。
【覚書き|TDKが急成長していたころに成長の秘訣を問われた時の言葉。当時管理職の40%が他者からのヘッドハンティング組であったため、一致団結を図るため社員教育に力を入れていた】


三好俊夫

取締役会については、より実質的にすることが大事でしょう。議論を活発にするように議長が誘導することが重要です。少数意見を尊重することです。日本の経営はゲマインシャフト的な立場が強くて、ゲゼルシャフトとしての利益共同体の色彩が薄かった。一方、米国はゲゼルシャフト的色彩が濃厚です。つまり、根本的異なっているわけです。【覚書:ゲゼルシャフト(利害関係に基づいて人為的に作られた社会)、ゲマインシャフト(地縁・血縁・友情などで結びついた共同体)。ドイツの社会学者天ニースが提唱した共同体論】


三好俊夫

グローバルスタンダードと言っても、日本の国があって、日本の民族があるというところからスタートしなければならないと思います。日本の文化、風土の上に建てられた経済構造があって、その上に経営制度がある。このことを踏まえて、日本の経営を考えなければいけない。日本人のものの考え方は、欧米のアングロサクソン人とは違います。民族ごとに、体の中に異なった経営の遺伝子のようなものを持っているのです。


三好俊夫

日本の経営体制は、いずれも日本の文化、風土を背負った一人一人の人間によって支えられています。日本型経営の特徴ともいうべき、企業内組合、終身雇用制度、年功序列賃金制度などは、集団主義から自然ににじみ出ていた経済体制なのです。


根本次郎

経済的、社会的問題と並んで、これからはコインの裏側に潜む問題、つまり心の問題が重要になってくるでしょう。一つは人間性の尊重、すなわち人道主義です。もうひとつは、長期的な視野に立った経営です。実際、日本の経営はこの二つの哲学があったからこそ成功してきたと言っても過言ではありません。この経営哲学は普遍的なものであって、簡単に変えてはならない。


根本次郎

欧米企業は業績が悪化すればドラスチックに従業員のレイオフ(一時解雇)を行いますが、日本企業はこれまでそのようなことをしてきませんでした。それは従業員がいちばん大事だからです。その意味で、終身雇用は人道主義的な立場に立った素晴らしい制度であり、日本が世界に誇れる経営システムだと断言できます。


根本次郎

終身雇用や年功序列賃金体系は、人道主義的な立場に立った経営を行う中から生まれてきたものだといえます。その意味でいえば、経営環境や産業構造が変わったと言って、これらのシステムをすべて捨て去っていいのかと言えば、答えはノーです。考えてみてください。企業が労使協調路線を維持できたのは、経営が終身雇用を保障してきたからではありませんか。


根本次郎

日本型経営と言った場合、戦後の高度成長の中で生まれた制度であるかのように思いがちですが、その萌芽は戦前、戦中の国家総動員体制の中にすでにみられました。戦後、経済復興を目指した傾斜生産方式がとられる中で、これを支えるシステムとして終身雇用、年功序列、労使協調などの日本型経営システムが浸透していったわけです。一口に日本型経営の見直しと言っても、このように今日の繁栄が先達の血のにじむような努力によって築かれたものであることをよく認識したうえで、新しい方向を探ることが必要でしょう。


根本次郎

確かに欧米人から見れば終身雇用という日本的な制度はエキセントリックに映るかもしれませんが、それは短期雇用であるのか、中期雇用であるのか、長期雇用であるのかという違いにすぎません。終身雇用は長期雇用のたくさんある中の一つなんです。


町田勝彦

だめだと思ってあきらめてはいけない。人件費が高いというのなら、工程を短くするとか、生産技術を進化させて、人件費がかからないようにすればいい。たとえば十工程を五工程にすれば人件費は半分になる。そうした努力の余地はまだまだある。


町田勝彦

人を辞めさせない、何としても雇用を守ってみせるという強い意志を、経営の歯止めとして明確にしておくことです。安易な人員削減に流れてしまったら、経営に対しても甘くなってしまう。経営は安易に流れたら終わりです。


鈴木洋

社外の人がボード(会議、取締役会)に入って会社運営をすることに違和感はありません。会社はだれのものかという議論をすると、結局のところ株主さんのものであるというところに行きつく。私が株主だったらどういう仕組みが安心できるかを考えると、永続的にガバナンスが効いた運営の仕組みが必要だと思います。


奥田碩

市場がマネーゲームの場である以上、短期的な利益を追求することは、致し方の内面もあります。しかし、株主のとっても長期的な投資という観点からすれば、一時的な配当を求めて人材を削減することにメリットがあるとは思えません。この二つをよりどころとする企業経営、それを私は「人間の顔をした市場経済」と名付けました。


奥田碩

いま流行の「リストラすれば企業の競争力が上がる」という主張には、二つの重要なポイントが欠落していると言えます。その一つは「人間尊重」。すなわち、あらゆる経済活動の中心にあるのは人間だという素朴な信念です。市場経済が合理的で優れたものであることは言うまでもありませんが、株式市場に翻弄されて、人々が生活の基盤を失ったり、家族が離散せねばならなかったり、自殺者が極端に増加するようでは何もならない。人間尊重は近年流行している市場原理主義よりもはるかに普遍的な考え方のはずです。


中山善郎

明るい会社にするために不可欠なのは、公平な人事である。適材適所、一番合った人を登用するのが、理解を得るうえで最善の道なのである。【覚書き:大協石油と丸善石油との合併でコスモ石油を創設した時を振り返っての言葉。両社とも赤字企業で、合併時は企業内の雰囲気が沈み込んでいた。そこで適材適所の人事を行い、組織の立て直しを行った】


岩村英郎

トップたるものに必要なのはバランス感覚だ。それはブレーンを置き、人を生かして使う、度量と言う意味でもある。【覚書き:川崎製鉄会長時の発言。自らの経営哲学について語った言葉】


片岡勝太郎

日本人社員の海外勤務は最低五年以上でなければ意味がない。二・三年では現地の従業員と人間的な関係ができない。管理職やエンジニアも現地の人間になりきらないと経営はできない。【覚書き:アルプス電気はアジアなどへの工場移転を他社に先駆けて行った。海外に拠点をシフトする心得を語った言葉】


黒田暲之助

今日の姿になったのは、企業と社員が共通の目的を持ち続けたからだと思う。現代風に言えば企業理念の共有。私なりの言葉を使うと「共感と共鳴の経営」ということになろうか。【覚書き:それほど先進的商品を取り扱かわず、また大きな宣伝も打っていないのに、文具メーカーとして日本屈指の企業になった秘訣を聞かれての答え】


村田昭

社長に自由にものを言える会社の雰囲気が、経営にとって一番大切なことだ。


伊藤昌寿

モノは作るだけでは売れない。メーカーは、マーケティングが前輪、研究開発が後輪の前輪駆動車たるべし。【覚書き:メーカーが成功するには何が必要かと問われた時の返答。ものづくりは売れるものを作ることが前提という誰もが知っているのに忘れがちになることを戒める言葉】


原礼之助(禮之助)

企業経営でもリズム、メロディ、ハーモニーの三つはポイントだ。リズムとは事業の勢い、メロディは事業の継続・流れ、そしてハーモニーは開発・生産・営業など各部隊の調和のとれた活動のことを意味する。【覚書き:経営理念を趣味の社交ダンスに例えて表現した言葉】


佐藤研一郎

オーケストラでいえば社長は指揮者、聴衆はユーザー。経営者はユーザーが何を求めているか正確に知り、従業員に伝えて需要に合った製品を提供する。工場の作業標準は楽譜だ。誰かが音程を外せば演奏はぶち壊しだ。【覚書き:佐藤氏は若いころプロを目指すほどのピアニストだった。自分の経営観を音楽になぞらえて表現した一言】


黒沢酉臓

健土建民とは、健やかな土地の上に健やかな民が育つということである。土の尊さ、ありがたさ、大切さを十分に教わり、健全な国家と国民はその土にのみ成り立つことを知らなければならない。


高碕達之助

事業の目的は第一に人類の将来を幸福ならしめるものでなければならぬ。第二に事業と言うものは営利を目的とすべきではない。自分が働いて奉仕の精神を発揮するということが、モダン・マーチャント・スピリット(近代商人魂)だ。


竹鶴政孝

ウィスキーの仕事は私にとっては恋人のようなものである。どんな苦労でも苦労とは感じない。むしろ楽しみながら喜んでやるものだ。
【覚書き:京都の山崎に日本初の本格ウィスキー工場を建てた当時を振り返っての発言】


松田恒次

マツダの成長の背景には、我が国の自動車産業が発展期にあったという時の利があった。そればかりか、過去の先輩社員、経営者がまじめに積み重ねてきた努力の結晶が素地にあった。


田嶋一雄

皆は一様に「こんな常識はずれの物は売れませんよ」と、すげない態度。「売ってみなければわからないじゃないか」と言ってくれたのは、たったひとりだった。
【覚書き:ヒット商品ミノルタベスト発売当時を振り返っての発言。ミノルタベスト(Minolta BestもしくはMinolta Vest)は一風変わった形をしており現在でもカメラコレクターの間で高い評価を得ている】


田中文雄

派遣した人材は困難に挑んできて苦労し、腕も人物も一層磨いて帰ってくる。こうして利他が自分の利益となって結実していくのを見るのは楽しいものだ。【覚書き:中越パルプ工業、東洋パルプなどの業界他社再編のために自社の優秀な人材を派遣したことを振り返った発言】


山中宏

私は初心忘れるべからずを座右の銘にしている。私の言う初心とは百年前の創業者の志のことである。創業者の精神をみずみずしく持ち続けてこそ、発展の機会がある。


福川伸次

ソフトパワーが問われるようになって以来、日本人は自信を喪失しています。その自信の喪失が今回の不況からなかなか脱却できない理由でもあるのです。


福川伸次

新しい分野に挑戦して、文化面で精神的充足を図り、国内はもとより国際的にもネットワークを広げて、好ましい関係をつくっていくことが最も重要なソフトパワーなのです。


伊藤雅俊(イトーヨーカドー)

いまの日本経済は明らかに肥満体質になってしまって、動きが取れない。どこを見ても過剰設定になってしまったわけです。そう考えれば、給料が三割減になるか、人数が三割減になるか、銀行や証券会社が三割減になるか、それくらいでバランスが取れるのではないでしょうか。


伊藤雅俊(イトーヨーカドー)

不況だ不況だと言っても、昭和二年の不況からすればまだまだ経済に余力はありますし、終戦のときのことを思えば、いまの生活がどれだけ豊かになったかがわかるでしょう。むしろ豊かになりすぎてしまい、その豊かな生活からモノの価値を考えるようになってしまった点にも問題があるんです。


伊藤雅俊(イトーヨーカドー)

世の中の経済というのは、作りさえすれば売れるものではないのです。あくまでも需要と供給のバランスでモノの価値は決まるのです。好況が永遠に続くはずはないわけで、好況の時から不況の時の用意をしておかなければいけないのではないか。糖尿病になってから改善するよりも、なる前に体質を整えるべきであって、それができないのが人間なんです。


福地茂雄

日本は国家という形は立派にあるけれど、国家としてのアイデンティティがない。日本という国に対する心がぜんぜんない。企業も、世界に冠たる大企業であっても、CSR(企業の社会的責任)をどこかに置き忘れている企業が多い。企業に心が求められていると思うんです。


福地茂雄

日本人は立派な家に住むようになったけれど、家族は崩壊している。家族の絆というものがない。てんでばらばらです。ある外国人が本に書いていましたけれども、台湾や中国の家庭では、おじいちゃんの誕生日には世界中から家族が十人、二十人と集まってくるという。だけど日本では、おじいさんとおばあさんが二人で誕生祝の食事をしている。心の問題というものを、今一度考えるべき時に来ていると思うんです。


鈴木洋

93年くらいから94年くらいに、これからは日本国内での商売の機会が減っていくのだという危機感をかなり持ちました。要するに、日本の商売にこだわっていてはだめだぞと。もうグローバルだと。国内の売り上げナンバーワンに向けて努力をするなら、その労力を海外に向けて、海外から売上ナンバーワンを出さなければいけない。海外にビジネス機会を探さない限りは、会社の成長はないという意識を持ちました。


奥田碩

大混乱も起きるかもしれません。それを乗り越えなくては次の時代というのは来ないと思います。飢え死にする人や凍死者もいた戦後間もなくの日本ならば、確かに格差は認めにくい側面もあったかもしれません。しかし、いまの日本のような豊かな社会では、ある程度の格差は認めていかなくてはいけない。そういう時期に来ていると思います。


松田昌士

高度経済成長以後、日本は自然との調和という大切なことを、ほとんど意識せずに来てしまったと思うんです。日本において開発とは、自然を破壊して道路を作り、近代的な施設を作ることなんです。田舎には田舎の素晴らしさがあるにもかかわらず、都会の理論をそのまま田舎に持ってくるのが開発だと思い込んでいる。


戸田利兵衛(二代目)

建設産業はある面からみれば受注産業の枠から出られない宿命的な産業であり、経営規模もいたずらに大を望むべきではない。【覚書き:建設業界に対する持論を語った言葉。この後に時流が変化した場合、この考え方に固執するのは成長機会を逃すことに繋がるとも語っている】


時国益夫

一工場の生産量に見合うだけ売れるようになった時点で、初めてその地域に工場を建設する。すると、完成すると同時にフル操業が行われるのであって、設備が遊ぶことはない。【覚書き:工場建設に関する持論を語った言葉。一般の企業の場合、商品が売れる前に大きな工場を作って生産を増やし大量に売ろうとするが、それではリスクが大きく、商品が売れなかった場合に大きな損害が出るので避けろという戒めの言葉】


中安閑一

コストダウンは企業の大原則ではあるが、同時に質的大転換も忘れてはならない。質的大転換が、やがては量的大発展を導く。【覚書き:宇部興産が石炭からはじまり、セメント、化学工業へと発展していったことを振り返っての発言】


広瀬経一

私の考える頭取の三つの条件とは、第一に私欲がないこと。第二に内剛外柔の人であること。そして第三に最低十年以上頭取を務められる若い人であることである。【覚書き:頭取辞任にあたって後継者の条件を語った言葉】


西川政一

企業の全責任はあくまでも社長の双肩にあり、社長が思い切って手腕を発揮できるように、会長や相談役は意見を具申しても絶対に命令すべきではない。【覚書き:会長に就任した時の発言。どのような会長を目指すか表明した言葉であり会長観でもある】


川勝傳

私は「不況のときはぬるま湯に入ったつもりでじっとしておれ」と言い続けた。難問にぶつかった場合、焦ったり、気にしすぎたりせず、じっくり問題の本質を見極めることが必要なのである。


井植歳男

一つの仕事を守るための厳しさ、苦しみを味わうくらいなら、むしろ事業をより安定させるための苦しみを求める方が賢明ではないだろうか。【覚書き:ニッケル輸入制限が制定され、主力製品の発電ランプが作れなくなってしまった時の言葉。決まってしまったことはしょうがないので別製品へシフトすべきと主張】


宮崎輝

いかなる大企業といえど、五年間なんら思い切った手を打たず、現状に満足し続けていれば、あっという間に傾いてしまう。【覚書き:25年の社長生活を終了させ会長に退いた時の言葉】


勝田龍夫

長い人類の歴史の中で過去と未来のつなぎ目に自分が生きているという認識を持つことがまず大切だ。そのために歴史を学び、それが自分を知り人間を知ることになる。


池谷太郎

日本の経営者の発想は狭い地域に発生した寄合の延長。自分たちが作った秩序を広い市場を相手に保っていけると考え、厳しい現実を見失っている。【覚書き:東京製鉄会長時の発言。鉄鋼業界のぬるま湯カルテルを批判した言葉。】


盛田昭夫

欧米の批判には的を射ていない部分も多々ある。集中豪雨的輸出と言われるが、実態は集中吸引的輸入なのだ。【覚書き:日米経済摩擦に対するコメント。日本が経済黒字になっているのは、強い需要があるところに商品を供給した結果、大きな利益が生まれただけだという趣旨の発言】


中内功

もはや手本はない。いまこそ主体的に変革を実行していくときである。企業家精神を大いに発揮し、痛みを伴いながらも、創造的で活力のある新時代を切り開いていく。それが日本経済を再生し、透明度の高い経済社会を作ることになる。


鈴木修

十年先のことを考えるなんて、昔でいえば百年先を考えるようなもの。会社のあるべき姿を描くと現実から大きく乖離する。最小限、何を今なすべきかを考えていくことだ。
【覚書き:鈴木氏は売り上げが一兆円を超えてもスズキが中小企業であると定義している。小回りの利く、時流に合った経営を行っていくことが第一と語っている】


島正博

作り手が自分勝手にこんなものでいいだろうと決めて、一方的に大量生産するという手法はもう通用しない。【覚書き:顧客の価値観やニーズが多様化し、画一的な大量生産では対応できなくなってきた現状を語った言葉。】


瀬島龍三

世界二千年の歴史を振り返ると、守りだけでも、攻めだけでも勝利したためしはない。時に守り、時に攻める。ある方面は守り、ある方面は攻めるのである。そのタイミングこそが重要だ。【覚書き:特別顧問時の発言。大本営参謀として過酷な状況で指揮を執ってきたことを踏まえて企業経営について語った言葉。】


菊地庄次郎

いまの時代に老人があまり張り切るのは、よろしくないと私は思う。老害と呼ばれる年寄りたちは、いずれも高度成長期にバリバリ仕事をしてきた連中だ。だから俄然、昔を思い出して、ああしろこうしろと言いたがるのだ。【覚書き:会長時代の発言。若手に仕事を任せよという経営哲学を語った言葉】


八尋俊邦

身動きできない状況の中で、体を少しずつ、しかし絶えずゆすぶり続ける。そこに、事態打開の糸口が見えてくる。
【覚書き:IJPC(イラン・ジャパン石油化学プロジェクト)清算問題での苦悩と葛藤を振り返っての発言。IJPC問題とはイランと日本の石油化学開発プロジェクトで三井物産が主導で行っていた。しかしイランイラク戦争が起き、施設が破壊されるなどしたため撤退。一兆円近い損失が出た】


服部謙太郎

国内の時計業界は、長年積み重ねられた古い体質が残っているが、時計自体が変化しているので、それに対応できるような身軽な体質づくりを要求される。【覚書き:商品の低価格化が進む中で改革の意気込みを語った言葉】


藤田田

小売業で成功するには、小さな改善活動を毎日重ねるしか手はない。いまは逆転ホームランを狙ったら失敗する。【覚書き:中堅以下の外食企業が相次いで倒産していた時期の発言】


久田孝

企業体質を転換するには、経営の方法を変えるだけでは駄目だ。可能性のある新事業に挑戦してこそ、新しい企業の風土が生まれる。


藤本秀朗

我々は円高を追いかけるために働いているのではない。長い年月の間には、十分な利益を出すことができないこともあるし、時にはこれまで積み立ててきた利益を取り崩す必要も出てくるだろう。今はそういう時期だ。【覚書き:日経新聞の円高対策に関するインタビューに答えての言葉。ユニデンは早くから開発は日本、生産は人件費の低い海外でという体制をとっていた】


平塚常次郎

世の中は刻々と変化し、個人の力でどうすることもできない場合もある。だが、どんなに変化する世の中でも、自分から落後してはだめだ。


高杉晋一

私は常に「人生は最後の一線において勝負する」と考えている。どんな人でも、運命を決めるような最後の一線があると思う。その時はまずハラを決めて、断固たる決意で立ち向かうことだ。


牛尾治朗

日本が本当の豊かさを実現するためには、豊かさの意味を問い直すことが求められているように思います。そこに、日本の進むべき方向性が見えてくるのではないでしょうか?


牛尾治朗

大切なのは、質素な生活をしながら、贅沢な心を失わないことだと思います。日本にはそれができる精神風土がありますし、今日の日本には、それを実現していく環境もあります。たとえば、企業競争の激化は、標準品の価格低下をもたらし、標準品と言えども、品質が高く、生活のための必需品としては十分に満足がいくものが身近にあふれている。


牛尾治朗

吊るしの(既製品の安い)スーツを着ているけれども、靴だけ贅沢をしたいとか、スカーフだけはいいものを身に着けたいという気持ちを持つことが大切だと思うんです。日常は髪を振り乱して仕事をしているけれども、月に一回は歌舞伎を観に行くというのが、「素にありて贅を知る」ということではないか。


牛尾治朗

求められるのは、精神的な高さです。人間関係や生活の場面などで、高い精神性が尊ばれるようになる。昔は、備長炭で鍋を炊いてその薫りを楽しんだりしたものですが、そうした心を豊かにするような日々の暮らしを重んじる。あるいは、手作りのぬくもりや自然との調和に価値を見出したりすることではないでしょうか。


奥田碩

戦後の日本は物質的、経済的豊かさばかりを追求して、心の豊かさを求めてこなかったけれども、ここで心の豊かさを取り戻さないと、日本の社会のバランスはおかしくなります。その意味で、生きること、死ぬことの両方を考えて、人生を見つめなおしていくことだと思います。死について考えることが、人生をよりよく生きることになると私は思っています。


奥田碩

これまでの日本はあまりにも価値観やライフスタイルの画一化が目立ちました。その意味で、人が最後をどう迎えるかについても、改めて考えなければいけないと思います。私たちはこれまで死の問題を直視することを避けてきたところがある。膨大な費用のかかる終末期医療に対しても、戦後の物質的価値への偏重の中で技術的な議論が先行しがちです。死そのものへの本質的な議論がなされているとは思えない。楢山節考のおりんさんは、最後、山に死ににいきます。そこには、貧困の中での人間の尊厳があります。人が死ぬということの尊厳について、今一度考えなければいけないのではないか。


奥田碩

物質的価値に偏重しすぎたあまり、カネで命が買えると思うようになってしまった。寝たきりになっても植物状態になっても、医学の進歩によって生き続ける。これが人間の幸せにつながるとは思えません。日本では「リビング・ウィル(尊厳死の宣言書)」は、まだ法制化さえていませんが、自分らしい最期を迎えるためにも考えるべきです。そのためにも、死をタブー視することなく、共通課題として議論することです。


福原義春

現在、実際の経済はどうかというと、計り知れない事態が発生してきています。分離が経済をむしろ自己破壊的な方向へ導いていると言っていいかもしれません。そこで出てくるのが「非分離」です。モノには経済性だけでは計れない多元的な価値があり、経済とは、画一的なものではなく、個々の活動それぞれが、個性を持った具体的な事象なのです。これからは、周囲の自然環境や社会環境を踏まえた「非分離」な経済の構築がされていくでしょう。


福原義春

学者の方々にブレーンをお願いしてディスカッションをしているんですが、そのブレーンの人たちは、すべて物事を「非分離」で考えていかないといけない時代になるのではないかというようなことを言っています。これまで我々の経済はまわりの自然であるとか、社会であるとかそういったものから分離して、その自由を推進力として、物質的展開を遂げてきたわけです。純粋な利益追求が経済発展へのよりよい手段であると多くの人が考えてきました。


福原義春

21世紀になると、人間とその他の物事、たとえば商品とか環境とか、そういうものごととの関係が変わってくる。いままで、全部人間を中心に考えていたわけですけれど、これからはそうではなくて、環境の中に人間がいるのだというふうに考えていかなければいけないと思っています。


中内功

日常の生活の中にギラリと光る断面で、繰り返しのきかない場面にこそ人生がある。人間が生命をかける事業がそうである。自分を進んで危機に追い込んでいき、持てる全力を投入する。これが本当の人生である。


松下幸之助

経営者に最も大切なことは、正しい自己評価と、その経営理念がどこに置かれているかということだ。その理念が、何が正しいかという人生観に立ち、かつ世界観さらには自然の摂理から芽生えてこなくてはならない。


櫻田武(桜田武)

社会にはびこっている「甘えの構造」を叩き直さない限り、21世紀の日本はない。国民が安逸に慣れ、活力を失えば、資源も乏しく、国土も狭い我が国は世界に立ち行かなくなる。【覚書き:日経連名誉会長時の発言】


鈴木治雄

迷ったときは、十年後にその決断がどう評価されるか、十年前ならどう受け入れられたかを考えてみればよい。【覚書き|第二次石油危機後、不採算部門だったアルミの国内精錬から撤退した時を振り返っての言葉。合理化案に社内全体から不満の声が上がったが、先行きを見て廃止を決断する。】


平岩外四

決断の結果に対する毀誉褒貶に惑わされず、「耐える」ことで自らの行動と精神を律していく。これは経営者にとって非常に大切なことだ。 【覚書き|経団連会長を辞任するときに語った言葉。毀誉褒貶(きよほうへん)は褒めることと謗ること】


大塚正士

役員全員が賛成する商品は売れないことが多い。それは判断力の問題である。


樫尾忠雄

私たちは需要があるから開発するというのではなく、新しい技術があれば市場が作り出せると考える。俊夫(忠雄氏の弟、カシオの社長・会長)は「必要は発明の母」ならぬ「発明は必要の母」とよく言っていた。【覚書き|電卓・時計の次に楽器市場に乗り込んだ時の発言。この後、電子楽器が大きく発展することとなる】


佐治敬三

現職の社長がしなきゃならんのは、トップの心得を後継者に説くことじゃなくて、下からのイノベーションの種がどんどん出てくるようにしむけることです。それがサントリーの社是である「やってみなはれ」です。【覚書き|甥の鳥井信一郎氏に社長を譲った時の発言。自身の経営哲学を濃縮して短くまとめたもの】


春名和雄

経営は、上り坂のときには、下の者が上を持ち上げていくボトムズ・アップのやり方がよいが。いったん環境が悪くなってみんなが迷うときには、トップが主導権を発揮するトップ・ダウンのやり方が良いと思う。


三井孝昭

できそうもないことをできるようにするからこそ、製品が当たる。そこに飛躍のチャンスがある。できない理由を考える前に、できるための方法をとことん考え抜くのが経営だ。【覚書き|頭のよい社員が「できません」と言うのを聞いての発言。】


石井久(立花証券社長)

「致命的かどうか」の判断と決断が経営の大きな差となって表れる。相場も同じことである。


永谷嘉男

そのまま下請けで行くか、ブランドメーカーになるかの選択を迫られ、商標登録して後者を目指すことにした。これは難しい決断だったが、経営者とは時々こういう選択肢を意識的に設定し、選んでいくべきだと思う。【覚書き|お茶漬海苔がヒット商品になったころ、一本立ちしていくか、このまま下請けでほかのメーカーの商品を作っていくかの選択を迫られたときを思い返しての発言】


志岐守哉

消費地の近くで生産するというのが基本理念。日本で生産しているものを海外生産に切り替える発想が時代遅れ。海外だけでしか生産していない製品があってもおかしくない。


鈴木哲夫

新しいことをやれば最初は必ず損をする。だが、方向が正しければ、時間がかかるかどうかの違いはあっても、最終的には成功する。しかし筋の悪いものはいくら努力しても駄目だ。

【覚書き|上記の発言はHOYAがメガネレンズに参入した経験を語った言葉。参入後5年は大赤字で30億円の赤字を出してしまう。しかし、その後の5年間の業績を加えると、トータルで70億円の黒字に事業が成長していた経験を語った言葉】


岡田卓也

成功体験を捨てろというのはたやすいが、実行は難しい。「新しく創る」ことよりも、大事なことは「捨てる」ことだ。【覚書き|自身の企業二十年周期説を説きながらの発言】


内藤明人(内藤進)

ゴーサインを出す基準は成功の可能性が七割以上のとき。ただ、残りの三割は「経営者のロマン」と考えている。【覚書き|手堅い経営で知られる内藤氏の経営理念を語った言葉。】


高橋高見

ビジネスはバーゲニング(駆け引き)でもある。単なる対話でうまくいくと思えば大間違いで、これには限界があるのだ。【覚書き|上記は日経産業新聞で読者のベンチャー企業経営者から受けた質問に対しての答えの一節。質問者が提携交渉の進め方で悩んでいることに対してのアドバイス。】


三村起一

生産は社会のためになるものを作るのだ。生産者の生命身体を犠牲にしてはならぬ。災害なき生産こそ真の生産だ。【覚書き|石油資源開発の初代社長として活躍し、日本の石油鉱業の発展に貢献してきた三村氏が一貫して大切にしてきた哲学を語ったもの。事故が起こらないよう安全運動に力を入れた】


飯田亮

経営のトップにある者が最も嫌うべきことは「逡巡」ではあるまいか。決すべきことを決せないで逡巡し、一日延ばしにすれば、そのツケは後輩に回って、結局は経営を危うくしかねない。


稲垣平太郎

敵対国企業とはいえ、契約は守らなければならない。日本人は約束を破るような卑怯なことをしてはならない。【覚書き|第二次大戦中、当時専務を務めていた横浜ゴムが、米グリッドリッチ社と戦前に結んだ技術契約の技術料を、戦中も借り勘定としていたことについて語った言葉。】


早川徳次

社会に対してお返しもしない事業を持って、「事業は趣味ではない」などとは言ってもらいたくない。
【覚書き|シャープ創業からの経営哲学を語った言葉。次代の経営者に儲けを出し、しかも社会に貢献する事業を経営してもらいたいという思いを語ったもの】


エリック・シュミット

究極的に検索は、ウェブだけでなく、文字通りあらゆる情報、メール、関心のあるものをあなたの了解の下に対象とします。これはパーソナルな検索で、あなたのため、あなただけのためのものです。私たちは、あなたが次に何をすべきか、何に関心があるかをお薦めできます。私たちは、あなたがどこにいるか、何が好きかを知っています。


ビル・ゲイツ

ゴールドラッシュは猛烈な投資を引き起こすことが多い。そのうちの一部は成功するが、熱狂が終わって振り返った時、失敗に終わった企業の山を見て、首をかしげることになるだろう。「いったい誰がこんな企業を設立したのだろう」「何を考えていたんだ」「熱狂だけでここまで馬鹿なことをしたのだろうか」と。


馬渕健一

自ら市場に耳を傾ける。市場の教えに従う。本来当たり前のことを抵抗なく、素直に行えること。それには、市場を熟知しなければならない。【覚書き:町工場からスタートし30年で世界シェア60%の小型モーターメーカーをつくり上げた秘訣について語った言葉。】


松田伊三雄

のれんは磨いて初めて値打ちが出る。先人たちは、過去を踏まえながらも、絶えず時代を先取りする先見の明を持っていた。


中山幸市

商売の基本は、まず大衆に喜ばれるもの、時代の要求を反映したものは何かと考えることである。次に商品がかさばらないで、重くないこと。すなわちカタログで商売できることである。


樫山純三

実行力があるというだけでは、競争相手に差をつけることはできないし、第一、大きな潮の変わり目で、自らの馬力を過信していると、流れに残される。実行力に増して先見性やアイデアが重要なのだ。


伊藤次郎左衛門(16代目)

百貨店は大衆のものであるはずだ。小売店はもっと専門化して、大きな資本のものは専門的な小売店になっていかなければならない。


岩谷直治

ヒトマネでない事業を求め続けるのが私の経営の信念。本当に人々の生活に必要なものなら、必ず事業化できる。


江戸英雄

企業経営の基本は、人の心を大切にすることである。肩書や財産などを基準に相手を判断するのではなく、相手の人間そのものを見極めて対応することが重要になる。【覚書き|上記は三越事件直後に事件についてコメントしたもの。三越事件は当時の三越社長岡田茂が行った汚職・背任事件。企業を私物化し、愛人とともに19億円以上の特別背任を行った。】


森泰吉郎

一度取り掛かったら途中でやめない。どんな状況下でもチャンスはある。必ず成功すると信じてやり抜くこと。【都心の再開発やデベロップメントでの成功の秘訣を問われて】


弘世現

悪いと思われるものの中でも、時代の価値観の変化によって、新しい生命を持つ良いものがあるかもしれない。経営でもそうした物差しを持たなければ、良いものを発見することはできない。【覚書き|日本生命社長30年目に自身の経営哲学を語った際の発言】


川崎大次郎

これはと思う人に少しずつ仕事を与え、力を探ると同時に、あれは出世頭だなと納得するように地ならしをしてから役員に登用する。【覚書き|役員人事のあり方について問われた時の発言。まず仕事を与え鍛えることの重要性を語った言葉】


田口連三

私は社長時代、次期社長から、十年後、二十年後の経営者候補リストを常に持ち、絶えず修正を加えていた。【覚書き|石川島播磨重工業会長時代の発言。後継者選びは長期スパンで行い、早いうちから適性のある者にトレーニングを積ませるという主義をとっていた】


中山素平

私利私欲の人、自己顕示の人は全然評価しない。大きなスケールでものを考える人は、右であれ、左であれ、共感を覚える。
【覚書き|交友関係が広く、主義や立場を超えた人付き合いを行っていたため、ゲテモノ食いというあだ名がつけられていた。そのことについてどう思っているかと問われての発言】


三島海雲

事業は金がなければできないが、正しい確固たる信念で裏付けられた事業には、必ず金は自然に集まってくる。


五島慶太

人間は知と行だけではダメである。そこには必ず誰にも負けないという信念が必要だ。それには信仰で人間の意志というものを絶えず鍛錬していく必要がある。事業で成功するにしても、利殖するにしても、不可欠なものは信念である。【覚書き|東京市長選に伴う疑獄事件で6か月間獄中生活を送った経験から得た哲学についての発言。大審院(大日本帝国憲法時の最高裁)で無罪が確定した。】


早川徳次

昭和24、5年の苦しさは私の骨身に徹した。こんなことは2度と繰り返したくない。普段からあらゆる場合に対処できるよう、石橋を叩いて渡る経営に踏み切ろうと固く誓った。【覚書き|戦後まもなくの頃、営業不振で銀行取引停止寸前まで経験した時を振り返った時の言葉。なんとか乗り切るも経営危機はつらい経験だったため、以後シャープは健全経営ひとすじで会社を切り盛りする体制が形作られた】


中安閑一

世の中には、ほんとうに使いようがないというカスはほとんどない。カスをいかに有用に生かすかが経営成功の秘訣だ。【覚書き:工場廃液、煤塵などの公害対策を研究した過程で得た教訓。廃液などには、まだ使える金属や資源が含まれていることが多い】


鈴木剛(経営者)

たとえてみれば木綿着のようなホテルにしてほしい。木綿でも、織とか染め柄によって、高価な絹織物よりも、遥かにいい効果が出せるのだから。


大山梅雄

入るを量って出(い)づるを制す。無駄を省き出費を抑えてカネを作り、それを有効に活用する。そのために当然、勉強やアイデアが必要となる。この必要という肥やしがあれば、カネという名の種はぐんぐん育つ。【覚書き|企業再建の最初歩を尋ねられたときのコメント。再建した企業の多くが前オーナーの放漫経営が原因だったためコスト増になっていた】


金森政雄

弱点を認識したうえで舵取りを誤らないのが現実の経営だ。絶対に世界一の効率で物を作るぞ、という執念を持ちそれを追求し続けるのが日本企業の神髄だと思う。【覚書き|上記は相談役になってからの発言。造船不況時に社長に就任したため、企業経営において基礎体質を健全に保つことの重要性を思い知った教訓を伝える言葉】


末永聡一郎

経済環境の変化の中で常に生き残っていくのが企業というもの。世界を股にかけてのさばり歩く人がどんどん出てきてほしい。


樫尾忠雄

メーカーは、業界トップになること。そうしないと、技術競争をリードできる立場になれないのである。


佐治敬三

スコッチはスコッチの道を行け、サントリーはまた我が道をゆくであろう。
【覚書き|上記の発言はスコットランド訪問時にスコッチとは別の進化を遂げたウィスキーを作りたいという思いをつづった言葉。その後サントリーはあっさりとした飲み口の香り高い日本人の舌にあったウィスキーを開発していった】


石橋信夫

私は経営を耳で学んだ。これこそ生きた経営学である。私は学問はないが「聞学(もんがく)」は習得した。これが何よりの武器なのである。
【覚書き|上記発言はたたき上げの創業社長の経験からの経営哲学を語ったもの】


服部禮次郎(礼次郎)

企業の顔は内部からの絶えざる自己革新の中から生まれてくるものでしょう。【覚書き|自社のブランド構築について語った時の言葉】


江頭匡一

忘れてはならないのは企業らしさだ。個性という一本の筋が通っていなければならない。創業者というのは頑固で、判断を間違えてお客さんが離散してしまうあぶなさもある。それでも、「らしさ」を維持する頑固さが必要だ。


重光武雄(辛格浩)

基本を忘れるな。非常に簡単な言葉だがこの一言に経営のカギが集約されていると思う。(奇をてらった企画商品が少しくらい売れたとしても)本業に対する興味と愛着を忘れないことが大切だ。
【覚書き|ビックリマンチョコの爆発的なヒットに対して言った言葉。ひとつの企画が当たっても気を緩めず本業に邁進しろという趣旨の発言】


大西実(大西實)

しっかりした志を持って事に当たり、柔軟な思考と創意工夫を凝らして懸命の努力をすれば、必ず事は成就する。【覚書き|平成不況の中、事業拡大を敢えて行うことを年頭のあいさつで社員各位に伝えた言葉】


伊藤雅俊(イトーヨーカドー)

最初から出来上がったものを持つのではなくて、いつも改善し直していきながら、ひとつのものをつくり上げていく。そういう気持ちを捨てなかった。【覚書き|イトーヨーカ堂創業時を振り返っての言葉】


樋口廣太郎

経営者は体力と気力で心の中の発電機を回し続け、エネルギーを持って事に当たることが大切だ。エネルギーを伝えることで、まわりに活力が生まれ、その活力が強い運勢を招く。そして強い運勢が自然に良い結果を生むと思う。


賀来龍三郎

歴史や業種が違う優等生企業のシステムを、劣等生が真似しても効果は期待できない。よそのアイデアを借り、そこに自社の独創を加えて新しいシステムを作り上げねばならない。 【覚書き|経理担当常務の時、上場以来初の赤字決算に転落。当時の前田社長とともに再建を目指すべく、社員に改革の志を伝えた言葉。】


河島喜好

商売としてみればレースは決して安くない。勝ってもそんなに車が売れるわけではないし、負ければ確実に売れ行きは落ちる。しかし、技術革新や技術者の育成のためにはなる。


中山隼雄

創造こそ生命。頭をさぼらせてはいけない。創造は模倣から生まれるともいうが、それ以上に常に無理をしてでも頭を働かせることが大切だ。


久田孝

お客様第一という商人の心を大切にするのが商魂。それを心にとどめながらも、流行に振り回されず、経営の基本となる企業の精神、経営哲学を確立しておかなければならない。それが士才。【覚書き:上記は同じく同社の会長だった父から贈られた言葉。孝氏自身の経営哲学となった】


伊奈輝三

我々が目指すのは生活文化の創造。自分たちが作り出す文化に共感してもらうのだという意識が大切だ。【企業理念を刷新し、INAXのCI(企業イメージの統一)を行った際の決意表明】


久保徳雄

なぜミドル(中堅・中年社員)が大切か。職場の若い人たちにとっては、どういう人のもとで仕事をするかが非常に重要になる。若いときにいい上司につけば能力を伸ばすことができるし、そうでなければなかなか伸ばせないところがある。若い人にとっては、ミドルが社長なのです。【覚書き|ミドルのマネジメント教育の重要性を訴えた言葉】


原安三郎

会社も古くなると、よほど思い切った手術をしなければならない。【覚書き|上記発言は金港堂という出版社の経営再建を引き受けた時の言葉。金港堂は当時有数の教科書に重点を置いた出版社で、原氏が経営再建にあたって7つの不採算雑誌を即座に廃刊にした】


島正博

「不可能ですよ」と言われると、「やる気がないだけでしょう?」と言い返す。【覚書き|上記発言は島氏の「研究開発型企業にとって不可能という考え方は自殺行為に等しい」という経営理念を具体的な例でわかりやすく表現したもの】


河合良成

何事も最初に道を開くのは難しいが、私が保険の合併を実行した結果、その後の保険界の合併は円滑に発展し、大いに貢献したと思っている。 【覚書き|太平洋戦争前、日華生命(第百生命の前身)勤務時代に、保険会社の合併を手掛けたことを振り返っての発言。発言時期はコマツ社長時代。】


古川爲三郎(為三郎)

金というものは一見無駄と思えるところにかけると、まわりまわって大きな果実になって戻ってくるものなんですよ。 【覚書き|当時米国経済誌フォーチュンにも紹介された資産家だった古川氏が名古屋市に一千万円寄付した時の言葉(1984年)。この5年後に同名古屋市に3億円の寄付を行っている】


佐々部晩穂

放送事業は海のものとも山のものともわからない新事業であったから、私もこれを引き受けて100%成功できるという自信はなかった。しかし、中部地方の産業文化の発展のためにとにかくやり抜こうと決心して、引き受けることにした。【覚書き|上記発言はCBC(中部日本放送)の社長を引き受けたときの言葉。CBCはこの後、日本の民間会社初のラジオ放送を行う】


福田千里

石橋をたたいて渡るような細心の注意は必要であるが、いったん安全だと見極めたら、思い切って渡るべきである。 【覚書き|上記発言は社長就任スピーチでの言葉。先輩で元大和証券社長の平賀敏氏に教えを受けた「細心大胆」を社訓とすると宣言し、その後につづけた言葉。】


司忠

ワンマン独裁を宣言したのは他意があってのことではない。すべてをまかせてもらって、思い切りやれるという体制でなければ復興はできぬと判断したからである。


諸井貫一

過去における経験から考えて、競争が激しく市価の安いときほど進歩がある。技術でも経営でもそういうときにはいろいろ工夫や改良をして対抗するし、また行きがかりや習慣を捨てて何でも実行しやすいのである。それゆえ私は常に不景気にいかに処するかが経営の値打ちの分かれるところで、不況を乗り切るものは必ず成功すると考えている。不況に際しては、不況をありのままに受け取って、みんなでこれを合理的に克服することである。


大野勇

事業を拡大するときには、どこの社も同じことを考えているものだ。即断即決が必要なゆえんである。 【覚書き|上記発言は四国高松のアイスクリームメーカーを買収した時を振り返っての発言。同業大手の雪印も、そのメーカーの買収を狙っていた。競り合い末、森永が買収に成功する】


西川政一

企業の合併には綿密な現状分析と周到な準備、そして確固たる将来の見通しに立脚した経営責任を負う者の勇断が不可欠だ。【覚書き|日商と岩井の合併について振り返った時の発言。商社間の合併は企業文化や制度が違うため難航した】


駒井健一郎

企業の最高の意思決定は社長に一元化しないと、ゴタゴタが起こったり、決定が不明確になる。また、社長が先輩に遠慮して経営をやるようでは、はっきりした経営体制はとれない。【覚書き|日常業務は後任の社長にすべて任せ、自由にやらせるという日立製作所の会長就任時からの哲学。船頭多くして船陸に上がるを防ぐための考え方】


佐伯勇

十人の役員のうち、九人までが反対したとしても、あくまでそれは決断するための「ひとつの判断材料」に過ぎない。


樋口廣太郎

いまの世の中ではクオリティが問われています。クオリティとは何か。企業でいうと、いい製品を作ることであり、他にないようなサービスをしていくことであり、そう難しく考えることではありません。従来は規模が大きい、収益が大きいということで企業を評価しましたが、そうではなく、いいものをつくれる、いいサービスを提供できる会社が評価される時代になってきました。


樋口廣太郎

会社にとって本当に良い情報とは何かということなんですが、私の経験では課長よりも次長、次長よりも部長、部長よりも取締役、そして常務、専務とだんだん良い情報が多くなるんです。自分の立場あるいは会社にとって良い情報が多い。しかし、それだけでは何にもならないと私は思うのです。良い情報はありがたく頂戴するけれども、悪い情報にこそ経営の資源です。ここに宝があると思うからなのです。


樋口廣太郎

SLのようにトップが引っ張るのはもう無理ではないでしょうか。みんなに気持ち良く楽しく仕事をしてもらうためには、引っ張るのは良くないということです。ひところの企業の経営は、社長が引っ張らなければならない、あるいはトップのマネジメントが必要という過酷な時代でした。これからの経営は全車両、つまりあらゆるセクション、あらゆる部、あらゆる工場、あらゆる配送センターなどに、発言権のある徹底的な権限を与え、それぞれがその地域、環境に応じて最善と思われるものをやるようでなければ成り立たないと思います。


樋口廣太郎

プロダクトアウトからマーケットインへ。そういった考えを現実のものにしていくためには、常にお客様の声に耳をそばだて、それを謙虚に聞き入れるという企業風土が必要になるでしょう。それにはまず、社員のみんなが礼儀正しく、常に低い姿勢を保つ必要があると私は考えています。そこで私は社員のみんなに、日々の仕事の中で「私も含めて皆さんが礼儀正しい社員になろう。そして常にお客様の声を聴かせていただいて、それを商品づくりに生かしていこう」と訴え続けてきました。


樋口廣太郎

私の持論の一つに「メーカー大根役者論」というのがあります。メーカーというのは役者でなくてはならない、役者でも、二枚目でわがままが通るような役者ではなく、大根役者でなくてはならない、というわけです。監督はお客様です。演出は流通のみなさん、小売店さんです。こういう味、こういう商品があればいいということを言ってもらい、いただいた役柄を忠実にやるのがメーカーです。そういう感覚でお客様の求めておられるものを敏感にキャッチし、それを演じる、こういった姿勢にならなければいけないということです。


樋口廣太郎

なぜ、アサヒビールがまずかったかというと、ズバリ古かったからです。アサヒビールは売れないものだから、ついつい長く置かれて古くなってしまう。おいしく飲んでいただけるのはせいぜい製造後三カ月までのものです。ビールは日光に当たるところに半日おいたら、たちまち飲めなくなってしまいます。お客さんたちは古いビールを飲んでマズイと言う。これじゃますます売れなくなる。完全な悪循環だったわけです。だから、三カ月以上たっている古いビールを全部回収することにしたんです。


樋口廣太郎

私はビール業界素人だから人に聞くのが一番だということで、厚かましくもまずライバル会社のキリンビールの小西秀次会長や山本英世社長のところに行って、「ビールには何が一番大事なんですか」と聞いてみました。すると、小西さんは即座に「品質第一」と答えてくださった。そこで、「品質第一の根本は何ですか」と聞いてみたら、「それは原材料に金を惜しまないこと」とおっしゃる。そして今度は、サッポロビールにも出かけてみた。


樋口廣太郎

早く対応する、礼儀正しい、謙虚であるということは、一般の社会通念や金融機関などにおいては美徳とされるわけですが、メーカーの場合は、肝心の商品の品質、評判が良くないと、みんな逆にとられるのです。つまり、ビールメーカーにとって大事なのは一にも二にも商品の質であり、それが原点でもあるのです。簡単に言えば「うまい」と言って飲んでいただけるビールでなければならないということなんです。


樋口廣太郎

最初はずいぶん惨めな思いをしましたね。現在ではどこのお店でもアサヒビールを置いていただけていますが、そのころは首都圏でアサヒビールを扱っていただける小売店さんは二軒に一軒しかなかったんです。私はジャンパーをはおって、小売店回りをしたんですが「アサヒの樋口ですが」といっても、一介の営業マンのように扱われました。そんなことはありましたが、とてもエキサイティングなことが多かったし、実にビール業界は面白いところだと思いました。義理人情があって、毎日が感激感動で本当に楽しかった。


樋口廣太郎

社長に就任した当初、業績的には最悪の時でしたが、ところが社内を見まわしてみると、驚いたことに、社員たちはとにかく猛烈に明るかった。これは大きな発見でした。それは結局、前社長の村井さんが社内ムードを変える準備を全部しておられたんですね。村井さんも苦心されてマツダの再建を成し遂げた後、昭和57年からアサヒビールの社長をされていました。


樋口廣太郎

私が就任した当時のアサヒビールは「夕日ビール」とまで酷評されるありさまで、シェアもかつては36%強あったものが、「ナイアガラの滝のように」9.6%まで落ちていました。私が来る前の15年間、赤字になってはいなかったのですが、この間ずっと資産の売り食いで何とか食いつないでいたんですが、その額は毎年30から40億円にもなっていました。


樋口廣太郎

「樋口さんがアサヒビールを立ち直らせたポイントは何ですか?」とよく聞かれます。でも秘密などないのです。ただ私は、アサヒビールをせめて世間並みの会社、世間で存在価値を認められるような会社にしたいと願っていただけでした。世間から、「あの会社はいい商品もできない、活気もない、活力もない」といわれたから勢いが落ちてきたわけですから、それを世間並みに持っていけばいいということだったのです。


樋口廣太郎

私が社長に就任した当時は、ギョッとするような報告もいろいろありました。当時はお客様に自信を持って売れる商品がなく、その悪循環から販売店では在庫がたまって仕方がなかった。だから「お宅のビールは古すぎる」とよく怒られたものです。でもその声に謙虚に耳を傾け、正直に対応することが大切なのです。【覚書き|この苦情で賞味期限内でもビールの味が落ちることを自覚することができ、ビール業界初の3ヶ月間売れなかったものは即回収という損切り経営の原点となった】


樋口廣太郎

いい数字はありがたく聞くけど、それは要するにそれだけのことです。異常値をどう発見するか、異常値がどうやって吸い上がってくるかということが一つのポイントになるのです。企業は常に健康でなければなりません。健康診断が必要です。それを診断するには、バッド・インフォメーション(自社にとって悪い情報)を途中で消音することなく集音する装置を持っていなければいけない。


小川善美

M&Aをするにあたっては、まず自分たちの事業ドメイン(領域)に合う会社であることが前提です。もちろん、財務内容やその会社が属する産業の中でのポジショニングなどを考慮しますが、選択の最大のポイントは、その会社の経営者の方ですね。その会社の産業内容について私たちは詳しく知りません。ですから、その人が自分の会社の仕事に関する知識があって、なおかつ経営者としてリーダーシップを張れる人なのかどうかというところで判断します。


小川善美

通販専業者はすでに紙メディアやテレビショッピングといったロジスティック(物流システム)のノウハウを持っています。それに対抗するには、インターネットや携帯になんとなくお店を開いて商品を並べれば売れるというわけにはいきません。


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