桑原豊の名言|叱って嫌われるのは叱り方に問題がある

褒めるだけでは、どんな小さな組織でも運営できません。注意すること、ときには叱ることも、リーダーには必要です。最近は叱ることができないリーダーが増えているようです。スタッフに嫌われたり、辞めてしまったりするのが怖いからでしょう。しかし、スタッフに嫌われてしまうのは、叱り方に問題があるからだと私は思います。

桑原豊(経営者) の経歴

桑原豊、くわばら・ゆたか。日本の経営者。居酒屋チェーンなどを展開するワタミの社長。東京出身。高校卒業後、すかいらーく、藍屋を経て、ワタミフードサービス(のちのワタミ)に入社。営業本部長、常務取締役営業本部長、ワタミダイレクトフランチャイズシステムズ社長などを経て、社長に就任。

経営・ビジネス・仕事・お金・経済的に成功した人たちの言葉

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最もやってはいけないのは、感情的に叱ることです。そうやって叱られたとき、相手はあなたに対して心を閉ざしてしまいます。なぜなら、そのスタッフのためではなく、自分の怒りを吐きだすために叱っている、ということを見抜くからです。そういう叱り方をした場合は、叱った本人にも後味の悪い思いが残りますから、結果として誰のためにもならないのです。

叱るときは直接伝えるべきです。間接的に伝えようとすると、言葉だけが一人歩きして真意が伝わらないおそれがあります。直接なら表情や言葉遣いも含めて表現できるので、誤解が生じにくいはずです。

叱り方も重要です。よく上司が「お前はバカか!」とどなりつけたあと、「君のことを思って言ったんだ」なんて言い訳しますね。私に言わせれば、あれは怒っているだけです。もっと言うなら、自分の不満と不安を、仕事という隠れみのとセットにして部下にぶつけているだけです。どなって相手の尊厳を踏みにじるやり方は、「叱る」とは言えません。私は、「心配しているけど、何か手伝えることはないか」と声をかけます。

叱るという行為は、人間の活動の中でももっともエネルギーを使う行為の一つです。新日本プロレスでも、プロレスラーの真壁刀義さんや他のコーチが若手を厳しく指導していますが、あれは「お前と一緒に歩いていくぞ」という覚悟がないとできません。

お兄ちゃんを弟の前で叱ると、そこで兄弟関係に微妙な変化が生じます。子供はその辺にとても敏感です。奥さんの前くらいならば、まあ、いいのでしょうが、できれば二人きりになって、子供の言い分もしっかり聞いて、じっくりと言って聞かせましょう。

うるさい人、細かい人、しつこい人。優秀なチームリーダーの条件はこの3つです。どう考えても部下から好かれるタイプではありません。むしろ鬼軍曹と陰口を叩かれるような人です。小さなミスでもうるさく叱る上司なら、部下もミスを犯さないよう、慎重になります。重箱の隅をほじくるように細部をチェックされれば、大きな失敗を起こしません。また、しつこく確認する上司なら、部下の報告・連絡・相談も完ぺきになります。それで仕事は上手くいくのです。

叱り方にもコツがあります。ここでも「お客様のため」を意識して、何がダメなのかをきちんと伝えないとダメです。ただ理不尽に怒られたと曲解されかねませんから。自分をなくし、お客様の立場に立って叱る。これが鉄則です。

今でこそ苦労は買ってでもやろうと勧めておりますが、中学の時には、マラソン大会を逃げようとした経験があります。当時、太っていた僕は「どうせビリになる。かっこ悪いし、女子の前で恥をかきたくない」と敵前逃亡を企んだのです。その僕に、親父は「絶対出ろ」とも「出なくていい」とも言わなかった。フンと鼻で笑って「まあ、アゴを上げるなよ」と言ったんです。アゴを上げるとは「音を上げる」って意味ですね。そう言われた僕は、バカにしやがって見下すなとイラッとしました。同時に、逃げようとしたこと自体を叱るでもなく、うまくかわしてくれたのがありがたいとも思いました。それ以来、「アゴを上げない」が、僕の信条になったんです。

大事なのは、部下の「人格」と「行動」をきちんと切り分けること。もっと積極的になってほしい部下がいても、「そんなに大人しいとリーダーは務まらないぞ」と人格を叱るのはNG。「君にこのプロジェクトを引っ張っていってほしいんだ」というように、あくまで「どのように行動してほしいのか」に置き換えて話すようにしてください。

叱り方に自信がなく、あえて部下と距離をとる上司もいますが、これは感情任せで叱るより悪いことです。最近は指導とパワハラの境目がわかりにくく、リスクをとるより放置しようと考える心理もわかります。しかし、部下と向き合わず、陰で愚痴をこぼすような上司がはびこる組織はもはや存続の危機です。部下のタイプに合わせて叱り方を変えることなどは必要ですが、とにかく対処することです。

社員が気付いていないことを指摘し、なおかつそれを血肉にして成長してもらうために、ときには徹底して叱る姿勢が必要です。

全社員は新年に書初めをして、それを目の届く自宅に飾っています。目標を意識づけるためです。したためる内容は、仕事だけでなく生き方の目標です。社長室にも全社員の書初めを飾っていますが、結果の追及はしません。会社全体ではなく、あくまでも個人の目標だからです。とはいえ、必要なときには、我が子を叱るように指導しています。

何度も連続して大失敗をしたら、話は別かもしれませんが、1回の大失敗で責められることはありません。これはアーリン(創業者のアーリン・パーション)が社長だった時代、腕利きのバイヤーが仕入れたニットがまったく売れずに、多額の損失を出したことがありました。さすがにバイヤー本人はクビを覚悟していたのですが、アーリンから呼び出される気配はない。とことが、忘れたころに突然呼び出しがかかったそうです。アーリンは責めるわけでもなく「次のシーズンは何が来ると思う?」と尋ねたそうです。そして、ひと通り話したあと「あのニットが売れていたら、きっと大きな利益を生んだに違いない。私はそれを理解している」と言いました。

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