高倉豊の名言 一覧

このエントリーをはてなブックマークに追加

高倉豊のプロフィール

高倉豊、たかくら・ゆたか。日本の経営者。兵庫県出身。自由学園男子最高学部卒業後、博報堂に入社。中東、欧州に計11年間駐在。博報堂を退社し、外資系高級化粧品メーカー「パルファム・ジバンシイ」「イヴ・サンローラン・パルファン」「シスレー」、外資系高級時計メーカーの「タグホイヤー」「ウブロ」などの日本法人社長を歴任しブランド再生を行った。その後、ブランド再生アドバイザーとして多くのブランド再生に携わった。著書に『口紅は男に売り込め! 有名ブランド再生人の非常識な3原則』ほか。

いまはどの会社もヒト、カネ、モノのリソースに余裕がないが、だからこそアイデアが大事になる。お客の心をつかめるかどうかを予算のせいにしてはいけない。発想を柔軟にすれば、いまからでもやり方はあるはずだ。


私はプロジェクトが終わると、どれほどいい結果が出たものでも一度忘れることにしている。景気がよくて売上が伸びているときは、成功した戦略を繰り返す意味があったかもしれない。しかし、成熟市場では過去の成功事例が通用しない。むしろ発想を狭めることにつながるので、意識的に忘れたほうがいい。


まず「自分が商品に惚れないとお客の心は動かせない」という人もいるが、私は反対だ。自社の商品に愛着を持つと、「あばたもえくぼ」で欠点までよく見えてしまい、冷静な判断ができなくなるからだ。


マーケティングは戦略が重要だが、戦略に固執するのはよくない。自分で立てた戦略だからといって、変更を躊躇してはいけない。お客の心をつかむには、朝令暮改ならぬ、朝令朝改のスピード感が必要だ。


完璧主義でアクションが遅くなりがちな人は、ブリコラージュを意識してほしい。ブリコラージュとは、手持ちの材料でものをつくる手法のこと。献立を決めてから買い物に行くのではなく、冷蔵庫の中のもので料理をつくるイメージだ。考えてからつくるのではなく、つくってから考えるのだ。


企画書を書く時間ももったいない。企画書は、議論のためのたたき台でしかない。「あのデータがほしい」「もっときれいに見せたい」と努力する余裕があるなら、不完全でもいいから外に出すべきだ。


アイデアを思いついたら、どのような形でもいいから、人に見てもらうことが大事だ。「もう少し磨いてから」と出し惜しみする人もいるが、1週間座禅を組んで考えたところで中身は変わらない。それよりも人の意見を聞いた方が、アイデアに深みが出る。


真面目な人は、もとのコンセプトが変わることを嫌がるだろう。たしかに、マーケティングは、まず戦略を固め、戦略に沿って戦術を考える手順が一般的だ。ただ、いい戦術があるなら、戦略を戦術に合わせて変えてもいい。大切なのは商品を売ることであり、戦略にこだわることではない。


単なる思いつきのままでは、周りを説得することは難しい。仮説をデータやロジックで検証して、説得力を持たせることが重要だ。最初は根拠のない思いつきであっても、「別の業界だが、このようなデータがある」「この企画には心理学の理論的な裏付けがある」と、後付けでも構わないので理論武装すれば、社内で企画を通しやすくなる。


意識してほしいのはアブダクションという思考法だ。論理的な思考法としては、法則からロジックを重ねて結果を導く「演繹」と、事例の積み重ねで結論を導く「帰納」が有名だ。一方、アブダクションはいきなりひらめきで仮説を立て、それを検証することで結論づけるというやり方をする。演繹でも帰納でもない、第三の思考法だ。非論理的であり、悪くいえば根拠のない思いつきに過ぎない。しかし根拠にとらわれないからこそ、既存の枠を飛び出す自由な発想ができる。


データベースマーケティングといえば、POSを最大限に活用しているコンビニ業界が思い浮かぶ。しかし、セブンイレブンのおでんはPOSから生まれたわけではないだろう。元々存在しなかった商品については、データを元にロジカルに考えても答えを導き出すことはできない。誰かが「おでんを置いたら売れるはずだ」とひらめいて、はじめてアイデアとして浮かび上がってくる。


データを収集し、マーケティングに生かそうとしている企業は少なくない。しかし、私はデータベースマーケティングに懐疑的だ。データを元に論理的に考えていくことで可能になる施策もあるが、ロジカルに導き出した答えは、遅かれ早かれライバルもたどり着く。


もちろん現場のスタッフやお客から素晴らしい意見が上がってくるケースはゼロではない。しかし、それらは宝くじに期待するようなもの。現場に頼らず、自分で考える習慣を身につけておくべきだ。


じつはお客の声もあてにできない。たとえば新商品についてフォーカスグル-プにインタビューを行っても、聞こえてくるのは「もっと安くしてほしい」といった月並みな意見ばかりだ。「○○の機能が欲しい」など、もう少し突っ込んだ声を拾えることもあるが、消費者が自分で意識しているレベルのニーズは他社も容易に把握できるため、差別化にはつながりにくい。


商品が売れないときに現場の意見を参考にするのは、得策ではない。伸び悩んでいるときほど、現場は目先の売上を欲しがって、「もっと値下げしたほうがいい」「広告を増やすべき」と即効性のある解決策を求めてくる。そうした施策で売上が回復しても、一時的なものに過ぎない。多くの場合、売上不振の原因はもっと本質的なところに潜んでいる。根底から戦略を見直さなくてはいけないときに、現場の声はかえって邪魔になる。


ブレストの質は、メンバーで大きく左右される。毎日顔を突きあわせている社内メンバーは発想が似通っているので、同じようなアイデアしか出てこない。可能であれば、社外から人を招き、ブレストに参加してもらったほうがいい。化粧品を手掛けていたころ、私は女性誌の編集者に声をかけて、意見をもらっていた。女性誌の編集者はファッションのプロフェッショナル。別の角度から専門家の視点を取り入れることで、いい刺激になった。会議に直接参加してもらうことが難しくても、後日意見を聞くなどして、積極的に外の視点を取り入れたいところだ。


アイデアを採用する側も、土壇場まで追い込まれたほうが思い切った決断ができる。余裕があるときはアイデアの欠点ばかりに目がいくが、時間的に追い込まれてくると、多少のリスクがあってもやるしかないという覚悟ができる。腹をくくれば企画の実行にもドライブがかかり、うまくいく確率も高まるだろう。


ブレインストーミングで参加者にアイデア出しを迫っても、最初は批判を恐れて無難なものしか出てこない。しかし、数時間かけて粘り強くブレストすると、しだいに頭が煮詰まってきて「ダメで元々だけど、いっそのことこんな売り方をしてみればどうですか」と突拍子もないアイデアが出てくることがある。こういうアイデアが本質を突いていることが多い。


お客をあっといわせるアイデアは、「開き直り」の中から生まれてくることが多い。完璧に練り上げられたプランよりも、いろいろ欠点があっても目をつぶって推し進めたもののほうが、エッジが利いていてお客の心に深く刺さるのだ。


いい商品かどうかを判断するのは、あくまでもお客だ。戦略を考えるときは、自分に都合のいい先入観は捨てて、「こんなものは売れない」という前提からスタートすべき。そのほうがいいアイデアを出せる。


私は広告代理店から外資系の化粧品や高級時計の日本法人社長に転職したが、化粧品も高級時計も個人的にはまったく興味がなかった。しかし、興味がないからこそブランドや市場環境を客観的に分析することができた。もし憧れの目でブランドを見ていたら、「こんなにいいブランドなのだから売れないはずがない」と安易に考えて、詰めの甘いアイデアしか出せなかったに違いない。


夜中に書いたラブレターを翌朝に読むと恥ずかしくなるが、ビジネスでも同じ。商品への思いが強い状態でマーケティングのプランを練ると、たいていは独りよがりなものになってしまう。


成功事例があると、人はそれに寄りかかり、自分の頭で考えなくなってしまう。それに慣れると、いざ新しいアイデアを求められたときに対応できなくなる。私は人から「また同じことをやっているぞ」と指摘されることを恥だと考えていた。成功事例への執着を捨てるためだ。


過去の事例を学ぶのは「こういう考え方もあるのか」といった発想の幅を広げるためであり、事例そのものは参考にならない。状況が異なるところに過去の事例をあてはめても、99%はうまくいかないだろう。


ライバルと差別化するためには、細かな違いを強調するより、ゼロベースで戦略を立てていったほうがいい。いまロクシタンという化粧品メーカーをお手伝いしている。新ブランドについては、まず化粧品であることを忘れることにした。そこで浮かび上がってきたのが、雑貨として販売するという戦略だった。日本の化粧品市場は約2兆円で、すでに頭打ちになっている。その中でシェアの奪い合いをしている状況だが、各社似たりよったりで差別化は難しい。一方、ギフト市場は十数兆円、パーソナルギフトにかぎっても7兆~8兆円あるといわれている。それならば雑貨として売ったほうが可能性は広がる。新ブランドを雑貨として売ることにしたら、取り扱ってくれる店舗が増えた。おかげさまで滑り出しは上々だ。


お客の心をつかむには差別化が大切だ。ただ、商品やサービスはどこも同じようなものなので、ライバルを基準にして考えると、結局はわずかな差を大きく見せる針小棒大型のマーケティングになってしまう。


いまは非常にやりがいのある状況だといえる。独自の商品開発をしても競合がすぐにキャッチアップしてくるので、各社似たような商品やサービスで勝負せざるをえない。そうなると、差がつくのはマーケティングの部分だ。


フランスのイブ・サンローラン化粧品部門の日本法人社長をやっていたときの話だ。化粧品にはメークアップとスキンケアの二種類がある。売上を安定させるにはスキンケアの比重を高めたほうがいいが、現場の販売部員からは「イブ・サンローランはメークアップブランドのイメージが強く、スキンケアは売れない」、という声しか上がってこなかった。直近の売上を伸ばすには、たしかにメークアップ商品を売ったほうがいい。しかし、それでは安定的な成長は見込めない。結局私は現場の声を無視することにした。マーケティングスタッフと議論を重ねた結果、導入したのが「スキンケア・アナライザー」だった。これはいくつかの質問に答えると、肌診断の結果とそれに合った商品を提案してくれるマシンだ。ゲーム感覚で自分に合った商品を選べることがうけて、1年後には売上シェアが10%伸びていた。このアイデアは、現場の声を聞いていたら絶対に浮かばなかっただろう。


人名ランダムピックアップ


経営・ビジネス・投資・仕事・お金・経済的な分野で成功を収めた人たちの名言を収録しています。

ページの先頭へ