青木高夫の名言 一覧

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青木高夫のプロフィール

青木高夫、あおき・たかお。日本の交渉専門家、ビジネス書作家・翻訳家。本田技研工業総務部長。東京出身。オーストラリア、イギリスに駐在し販社開発、企業合併、多国籍部門のマネジメントに携わる。また、ホンダの交渉部門で税制・通商など国内外の自動車産業に関わるルールづくりに携わった。そのほか、ビジネス書の執筆・翻訳を行った。著書に『ずるい!?なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか』『成功のタネを蒔く人』ほか。

自身が関わっている製品やサービスのルールが、何のために決められたものかは知っておいて損はない。誰が、どういう背景で決めたのか理解することで、ルールをつくった団体のレベルがわかるし、おかしいと思うルールも出てくる。多くの事例を学ぶことで視野が広がってくる。


欧米企業は、商品開発と同時にルールづくりに着手する。ドイツはEV用リチウム電池を完全に製品化する途上で、先行して国際規格案を提出したように思う。製品化してから規格提案をする日本とは発想が違う。日本企業もそれくらいのスピード感を持たないと、勝てない。


個々の企業もルールづくりに関与する姿勢が大切だ。日本企業は市場原理に則って戦う「市場戦略」に十分な関心を払っているが、市場外の力を使う「非市場戦略」については無頓着だ。ルールづくりへの参加は、企業にとっても重要な非市場戦略のひとつ。業界団体への協力や公的機関への働きかけといった非市場的な動きも、仕事の一環として位置づけて積極的にやっていく必要がある。


ルールづくりで大切なのは、ルールとプリンシプルの違いを意識することだ。ルールは明文化された「規則」であり、考え方が異なる人や組織の間に適応される。一方、プリンシプルは自らの行動の基になる「原理や流儀」のことで、ルールと違って自律的なものだ。ルールは可変でも、プリンシプルまで容易に変えてはいけない。大切なのはプリンシプルをルールに反映させることだ。


既存のルールに関しては従来通りに尊重しつつ、おかしなものについては異を唱え、ルールづくりや変更にも積極的に関わる。国際競争を勝ち抜くには、その姿勢が大切だ。


日本人は、「ルールはお上がつくるもの。自分たちは粛々と従えばいい」と思っている。ルールを変更することは、フェアではないとすら感じているのではないだろうか。しかし、それでは「ルールは随時変えるもの」というスタンスの欧米人には太刀打ちできない。


日本の自動車が世界中で愛されたように、かつては各国のローカルルールに素早く順応する日本人の特性が、ビジネス上の強みになっていた時代があった。しかし、グローバル化によってルールが統一される時代になると、ルールへの対応力より、ルールづくりへの参画度が勝負を分けるようになる。


ルールづくりで欧米人に後れを取るのは、そもそもルール観に違いがあるからだろう。私がホンダに入社したとき、日本と欧米のメーカーの戦略の違いを知って驚いたことがある。排ガス要件や衝突要件など、自動車の規制は各国で異なる。そのためホンダは各国の規制に合わせて仕様を変えた。おそらく当時は、1車種につき仕様が10近くあったはずだ。一方、アメリカは1車種ほぼ1仕様。日本に売るからといって仕様を変えず、左ハンドルのままだった。日本人は自ら進んでルールに従うが、欧米人は自分の都合に合わせてルールを変えようとする。根底から考え方が違うのだ。


ルールづくりの主導権を握ったほうが有利なのは、スポーツにかぎった話ではない。ビジネスの世界では国や企業間で規格競争がよく起きるが、規格争いが起きるのも、ルールを決める側になったほうが市場で有利に戦えるからだ。残念ながらビジネスでも、ルールづくりについては圧倒的に欧米人に分がある。


なぜ、日本柔道は五輪で勝てなくなったのか。よく指摘されるのがルールの変化に対応できなかったということだ。では、ルールに対応できるようになれば、日本柔道は復活するのか。私はそれほど甘くないと見ている。日本柔道が抱える真の問題は、ルール対応以前に、ルールづくりに参加できていないことにあると考えるからだ。


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