関戸正実の名言 一覧

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関戸正実のプロフィール

関戸正実、せきど・まさみ。日本の経営者。セキドの社長・会長。東京出身。中央大学法学部卒業後、父が創業したセキドに入社。取締役、常務取締役ファッション事業部長、副社長などを経て社長に就任。同社の創業事業である家電小売事業からの撤退や多角化を推進し、第二の創業を行った。

何かうまくいっていることがあっても、同じ形でやっていたら、なかなかその状態は続かないものです。


体調を崩し社長をいったん退いた後、それまで当然のこととして目もくれなかったような基本的なことも、はたと立ち止まり、考え直すことができるようになりました。自分の体験、失敗から学ぶことはケタ外れに大きいと実感しています。


家電量販事業からは撤退しましたが、経験を通じて学んだことは、当社の中から消えてなくなるわけではありません。


当社では今年から、毎週の経営幹部の定例会議で6枚つづりのPL(損益計算書)を見るようになりました。会社全体と、各事業のものがひとまとめになったものです。その上から3枚目が家電量販事業のPLでした。幹部は毎週この紙を確認するわけですが、誰の目から見ても、その3枚目がなければ会社全体が黒字になるのが明らかなわけです。当社の幹部は全員、できれば家電量販事業を継続したいという思いがあったと思います。それでも最終的に、撤退することに反対する人は誰もいませんでした。数字を見れば、悩むこともないほど当然の判断でした。


事業を多角化していたからこそ、経営環境が悪化した家電量販事業を手放すことが可能になったとも言えます。効率化のために今回、事業を「選択と集中」するわけですが、新規事業に挑戦することの重要性を忘れることがあってはいけません。事業を絞り込んだがゆえに、変化に対応することが難しくなってしまえば、いつかは行き詰まります。ある一時点での判断が、いつまでも正しいとは限らないわけですから。


いま、日本の電機メーカーは苦境に立たされています。日本流の進化が「ガラパゴス」と呼ばれ、海外の企業に比べて業績が芳しくないことから、その弱点にばかり焦点が当たっています。私はこの時代がずっと続くわけではないと思います。単純な技術だけでなく、経営手法など、日本企業にはいまでも先進的な要素がたくさん残っています。日本の強みを大切に持ち続ければ、独自の進化を遂げたガラパゴスの時代が必ずもう一度来ると思います。


言葉は違いますが、先代の創業者がよく使っていた「周囲に尽くす」という理念が、自分の中にも生きているのだと思います。そういった有形無形の財産は今後も、経営を続けていくうえで必ず支えになってくれるでしょう。家電量販事業の経験は、今後の事業展開でも必ず生かせるはずです。


撤退の決断に当たって、私は「迷惑をかけない」ということを重視しました。お客様にも、取引先にも、社員にもできるだけ迷惑をかけない。そのために、無理に事業を継続することはやめようと決断しました。


私は2年前、体調を崩した際にいったん社長から退きました。生活習慣病の固まりみたいな体になっていましたが、体調を崩すまでは、自分の状態が変化していっていることに気づいていませんでした。病気を経験したことで、いまは食事や様々なことに気を使うようになりました。体重も当時からすればだいぶ落ちました。すると不思議なものですね。自分の体調管理をするようになって、経営についても今までよりさらに細かな気配りができるようになりました。


家電量販事業から撤退することで黒字化が実現できれば、将来的にはまた新たな投資をすることができます。当面は、早くその余力を生むことを目標に考えていきます。


生き残っていくためには、企業体として一番強い形になっている必要があります。当社は家電とブランド品以外にも、日用品やカー用品、スポーツ用品なども手がけてきました。そして、時宜(じぎ)に合わせてそれらの事業から手を引いてきた経緯があります。立ち上げと撤退の繰り返しです。でもその経験があったからこそ、事業の内容や構成を柔軟に変化させていくことの重要性を学んでいます。創業の家電販売といえども、その経験則の例外にはなり得ません。


約10店残っていた家電店の運営コストは、週に2000万円ほどかかっていました。売却するにしても、交渉ごとになればこちらは1円でも高く、相手は1円でも安くしたいと考えるのが当然です。妥結に時間がかかることは当然考えられます。それを避けて、自社の資金繰りの範囲で身の丈に合った整理をすることを選びました。業界の先行きが不透明なのであれば、自社で確実にできることをベースに、決断を下していかなければならないと感じていました。


実は当社の中でも、家電量販事業の存続を巡り、他社とフランチャイズチェーン契約を結んだり、提携したりするという案は議題に上りました。事業売却も考えましたし、撤退を発表した後に、いくつかの同業から「店舗や人はどうするの」と打診を受けたことは事実です。ですが、提携すれば経営の自由度は失われます。いまならば、早期退職者の退職金に色をつけたり、再就職を支援したりすることができます。ですが今後、現状よりもさらに業績が悪くなれば、そういったこともできなくなる。家電市場の先が見通せない状況では、早めに止血をすることが重要だと考えました。


家電事業の整理は、まだテレビ特需が残っていた2年前くらいから重要な経営課題として認識をしていました。体力に勝る大手企業が熾烈な低価格競争を繰り広げる中、当社は価格よりも「地域密着」「サービス向上」を旨に営業を続けてきました。しかし消費者の低価格志向も強まり、当社の営業スタイルではなかなか需要を取り込めなくなっていた。デフレマーケットに適応した、大手のビジネスモデルの前にはなす術がありませんでした。


「ライフスタイルセグメンテーション」とでも言いましょうか。今後は、個々人のライフスタイルに合ったものを、総合的に提案するような流れが強まるでしょう。いま、家電量販店と呼ばれている小売店の品揃えは、もっと多彩になっていくと思います。


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