金川千尋の名言 一覧

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金川千尋のプロフィール

金川千尋、かながわ・ちひろ。日本の経営者。信越化学工業社長。日本統治下の朝鮮大邱出身。東京大学法学部政治学科卒業後、極東物産(のちの三井物産)を経て、信越化学工業に入社。海外事業部事業課副長、海外事業部事業課長、海外事業部長代理、海外事業本部長代理、海外事業本部長、取締役、常務、専務、塩ビ事業本部長、副社長などを経て社長に就任。日本経営者団体連盟常任理事、経済団体連合会理事、経済団体連合会常任理事なども務めた。藍綬褒章受章をはじめ、テキサス州名誉州民、テキサス州ヒューストン名誉市民、ルイジアナ州名誉州代表、ルイジアナ州名誉州務長官などに選ばれる。13期連続最高益を達成した。

苦労するからこそ力がつく。


当社では以前から複数の拠点で同種のものをつくる生産体制を構築しています。「想定外」という言い訳はしないでやっています。


当社は時代とともに事業構造を変えてきました。世の中のニーズは変化しますから、作る側も事業を変えていかなければいけないことがある。


経営は自己責任が基本ですから、事業の根幹にかかわるリスクは、出来る限り避けなければいけません。


世界経済がどうなるかは、正直よくわかりません。ただ、いかなる状況でも、企業は成長しなければなりません。


事業は本来、単純明快なもの。


常日頃から考えていたら、直感の決断は間違っていないことが多い。


企業のトップは最終責任者として、決断をしなければならない。私は長年社長をやりましたが、いつもその場ですぐに決断してきました。


私はいつも「値段を切るセールスマンはいらない」と公言しています。営業マンの仕事は商品を売ることです。ただし最高の価格で売らなければなりません。できる限りのいい条件で売ることが、会社に対する一番の貢献です。


商売は人と人とのつながりです。メーカーの製品は大きく「特殊品」と「汎用品」に分けられますが、品質で差別しづらい汎用品は価格競争に陥りがちです。それでも汎用品を他社より高い価格で売ってくる営業マンがいます。そういう人間は、取引先に「多少の差であればこの人から買いたい」と思われているはずです。


見落とされがちな点は、不況期には我々と同じく、相手(顧客)も困っているということです。相手の立場に立つ営業ができていれば、そのことに気づきます。そうすれば、友人に接するように、困った相手を助けられるはずなのです。


私は、営業とは「賽(さい)の河原」だ、と悲哀を込めてぼやくことがあります。河原で石を積むように、どれだけ努力を積み重ねても、それが絶対に強固である保証はないのです。実際には悲哀を感じる余裕もありません。営業は、次々に変化する不特定多数を相手にする仕事です。変化に対応していかなければなりません。ときにキーマンが異動したり、力をなくしたりすることもあります。周囲の人間とのチャンネルを閉ざし、キーマンとの交渉を続けてばかりでは、変化に対応できません。


自分自身が上の立場にいるとすれば、心がけるべきことは援護射撃でしょう。自分が前に出るのではなく、担当者同士がやりやすいように仕向けます。たとえば「いつも○○さんのおかげで大変助かっています。今度、ぜひ当社の担当者を連れてお礼に伺いたい」と切り出します。立場のある人間が訪問すれば、相手もキーマンを出してくるでしょう。そこでは需要家(顧客)の担当者を徹底的に褒める。相手の顔を立てることで、組織同士のつながりも深くなります。そうなれば上司は昼寝していても大丈夫ですよ。


結局は商品を売るのが営業の仕事なんです。商品が売れなければ、何を言っても言い訳にしかなりません。


需要家(顧客)と議論してはいけません。大上段に振りかぶって、「お言葉ですが、私はこう思います」とは言わないことです。経験上、そうなれば7から8割はしくじります。言い負かされるために、議論を吹っ掛ける人はいませんから。「太鼓持ち」だと言われればそれまでですが、つまらないことで突っ張っても仕方がありません。


私は神様ではありません。目の前に、「どうしても売れない。どうしたらいいだろうか」と困り果てた営業マンがいても、どう声をかければいいのかわかりません。しかし、酷な言い方になりますが、こうした不況期にこそ、平時の努力の結果が表れるのです。


好況の時に需給がひっ迫しても、顧客に商品が提供できずに迷惑をかけるようなことが絶対にないように努める。その結果、ロイヤリティの高い需要家を多く確保することができました。好況期に積み上げてきた努力が不況期に生きるのだ。


この不況下でもシンテック社(信越化学工業子会社で世界最大の塩化ビニル樹脂メーカー)は同業他社が軒並み赤字や大幅減益に陥った中で増収増益を達成しました。それが可能だったのは、操業開始以来35年間、需要家との強い関係を世界規模で積み重ねてきたからです。


不況期の場合、決断の中には同業他社との徹底した戦いも含まれます。景気の悪化とともに商品の相場が下がるのは供給が需要を上回るからで、同業他社の中にはなりふりかまわず、安売りを仕掛けてくるところもあります。アタックを仕掛けられた以上は受けて立ち、相手の顧客に対してより安い金額で売り、カウンターパンチを返します。体力勝負となり、経営力の弱い企業は市場から消えることになります。その後、市場は適正価格での取引に戻る。そこまで戦い抜かなければ、不況期には生き残れません。


投資計画などの複雑な課題は私にもすぐには決められません。時間をかけて考えます。ただ、ややこしい課題はせいぜい2から3割程度です。課題の7から8割は即決即断を基本原則にすれば、日々のほとんどは速やかに決断できるでしょう。


ひとつひとつの判断に時間をかけてはいけません。直面する課題の7から8割は、その場で決めます。2、3日検討するくらいなら、すぐ決断し、必要に応じて修正していく方がはるかに好ましい結果が得られると考えるべきです。


我が社の場合、業績が落ちた理由を不景気と結びつけて会議で長々と説明しはじめようものなら、その場で私にきつく叱責されます。いま求められているのは、言い訳探しではありません。不景気は1から2年は続くと覚悟したうえで、それをいかに克服し、いかに結果を出していくかです。そのためには、日々変わる市場環境の中で真の情報をつかみ、その都度、最も現実的な最善の判断に積み上げていかなければなりません。


手に入れた情報が正しかったかどうかは、結果にすぐ表れます。間違っていたら修正し、新たな判断を加えればいいのです。中長期的には良い方向へ収斂していきます。前回行った判断が100点満点で60点だったら、問題を検討し、次は120点の判断を目指す。これを繰り返し、ならして100点に近づけていくという判断の技術が必要です。


社内の会議で、私は参加メンバーをポストやポジションに関係なく、「誰が顧客に直接接し、生の声を知り、必要で正確な情報を持っているか」を基準に選びます。情報は人を介せば介すほど、人の解釈や都合によりバイアスがかかりやすいものです。組織内では良い情報ばかりが上がり、悪い情報は滞ることも多い。数字になって初めて事態の深刻さを知ったのでは対応が後手に回ります。


あふれる情報の中で、私が最も重視するのは営業マンが集めてくる需要家の生の声です。毎日の仕事もそれを起点に始まります。朝、私は出勤途中の車中から、アメリカにある子会社で世界最大の塩化ビニル樹脂メーカー、シンテック社の現地駐在幹部へ電話をかけます。アメリカにはこの人がこんなことをいうなら、市場のサインであると察知できるようなキーパーソン需要家が何人かいて、その言葉はまさに神の声です。それを毎日確認するのです。


未曽有の不景気が続く中で状況を的確に把握し、判断するための第一の基本は、「真に価値のある情報」と「雑音」を聞き分けることです。


日々の課題については真の情報をもとにその都度、最善の判断をひとつひとつ積み上げていく。同時に、中長期課題については、不況を突き抜けたときの出口に向かって準備を整える。それが100年に1度の不況を克服し、最後まで勝ち抜くための私流の戦い方です。


不況の真っただ中にあるいまも、景気回復後を想定した努力を怠ってはいけません。シンテック社は昨年秋、米ルイジアナ州に新工場を稼働させると同時に、第二期工事にも着手しました。タイミング的には決してよくはなかったですが、体力の弱い企業が市場から去ったあと、需要家に商品を安定的に供給し、勝ち続けるための投資として決断しました。むろん、いまは残業をしてまでも建設工事を急ぐ状況ではないので、最低のコストで完成させるつもりです。


いまは困っていても、この先立ち直り、伸びていくと思った需要家には、私は思い切って経済援助や技術的支援をしました。本当の信頼関係は需要家が好調な時よりも、苦境に置かれたときにこそつくられていくものです。


特定の需要家に過度に依存すると、状況が一変したとき大きなダメージを受けます。困難でも他に有望な新しい需要家を見つけます。将来、状況が変化したとき、その有望なところが支えになります。鉄則は「易きにつくな、狭き門より入れ」です。楽な道ではなく、あえて困難な道を選ぶのが本当に強い営業です。


需要家は営業マンが何を言ったかよりも、何をしてくれたかを見ていて、それが信頼のベースになります。うまいことを言って契約が取れても、難しい問題が生じると、さっさと逃げてしまう営業もいます。需要家も好調なときは誰もがチヤホヤしますから、そうでないときに誰がどう動くかをしっかり見ています。何かと口が上手いだけの人間は、一時的な関係しか作れません。


需要家の要望が本当に現実不可能なものであるなら、初めからできない契約はすべきではありません。その判断力も営業マンには必要です。一方、要望が的を射ていて、やるべきだと思ったのに実現できず、約束を守れなかったら責任を取って会社を辞めるくらいの気構えがないと会社は動かせません。


営業には車の両輪があります。ひとつは、良い需要家と信頼関係を結べるかどうか。もうひとつは、同じ関係を自分の会社との間につくれるかどうかです。いざというとき全面的にバックアップしてもらえるよう、それだけ会社に信用してもらえる力量を持てるかどうかです。口先ばかりの人は会社からも信用されません。体を張って実績をひとつひとつ積み上げられる人は会社にも信用されます。営業マンは目先の数字に目を奪われますが、数字は両輪が回った結果としてついてくるものです。


需要家に約束したことは、体を張って守らなくてはいけません。体を張るとは、絶対に逃げないということです。需要家から品質を直してほしいという要望があったら、クレームこそ信頼関係を結ぶチャンスととらえ、会社を説得し、研究所や工場を総動員して直します。初めからどこかで逃げようという気持ちがあったらできません。


事業の成功の7割は営業で決まります。ただし、営業に奇策はありません。


コモディティ商品は値段と営業マンの人間関係で決まります。値が下がっても苦しさを耐え抜けば、他の会社が脱落して供給が減るため、価格が締まっていきます。はじめは利益が出なかったのが出るようになる。この間を支えるのが営業マンの力です。需要家に、この会社のこの人から長期的に安定的に買いたいと思ってもらえる信用力です。


もし、安易な道が成功への正しい方向であれば難しいことをする必要はないでしょう。ただ、私の経験では、困難な道を選んだときの方が、結果的に成功に結びついてきました。


右のものを左に流すだけの、当時の商社の商売に興味を失いました。事業は自ら投資をして、自らのリスクでモノをつくって売るのが本来の姿だと思いはじめ、そういう事業を自分でやりたくなったのです。
【覚書き|極東物産(のちの三井物産)から信越化学工業に移ったきっかけを語った言葉】


信越化学工業を世界の優良企業にすることが最大の生きがいです。人ができないことをやらなければ、私が社長である必要はありません。


コストからいえば、生産能力の大きな生産拠点に一極集中した方が安くなります。しかし、ひとつのバスケットにすべての卵を入れたのでは、万一、バスケットを落とした時に卵はすべて割れてしまいます。だから、リスクは分散しなければいけない。コストは高くても、それは保険料です。大切なのは生産拠点を複数にして、いかにコストを最低限に保つかを考えることです。


たとえ、リスクを踏んででも時期が来たらいつでも取り掛かれる用意を常にしておき、普通なら一年半かかるところを半年で完成させる。そこに決定的な差が生まれるんです。立ち上げに一年半もかかっていてはブームは過ぎてしまう。


リスクには「踏んではいけないリスク」と「踏まざるを得ないリスク」の二つがある。カントリーリスクやPL(製造物責任)リスクを侵したら企業にとって致命的になります。しかし、リスクを恐れてタイミングを逸しては、勝てないビジネスがある。投資が大きいビジネスは、早く立ち上げたものだけが勝者になれる。


自分の判断が少しでも間違っていると思ったら、すぐに修正しなければいけません。朝令暮改でいいんです。経営を取り巻く環境は時々刻々変化しています。周囲の事情が変わっているのに、自分の判断を変えないのはただの石頭です。


経営者に必要な資質は、「現状を正しく認識できる判断力」と、「将来の姿を洞察できる先見性」、「現状を将来の姿に導く執行能力」です。執行能力がなければ進む方向を間違えます。そして他人を陥れたり策略を弄することなく真正面から戦うことです。


決裁すべきことは無数にあります。だから明日やるなんて言って、一つのことに時間をかけてぐずぐずしてはいられないんです。調べなければわからないものは別にして、90%以上、その場でどんどん決めます。うかつな判断をしてはいけないけれど、ほとんど間違いはないですね。即決即断です。


目の前の利益を上げられないのに夢のような長期計画を語っても私は信用しません。しかし、どんな人でもみんな仕事に打ち込んでいれば、そこには雑念のない夢があります。


組織は放っておくと、いつしかセクショナリズム(縄張り意識)が生まれ、工場や事業部が競い合って人を増やしたがるようになる。そうなってしまったら最悪です。私は日ごろから「仕事を作ったうえで、人を採るのがものの道理だろう」と言っています。今現在、仕事がないのに将来のために人材を採ってどうするのかということです。要はいらない組織は作らない。いらない人は採らないということです。徹底しなければいけないのは、このように単純なことなんです。


製品のブームは株式の相場と同じで間違いなく崩れます。だから皆が有頂天になっているときに、ブームの質を第六感で感じ取り、景気が悪くなった時の手を打っておくことです。


日本企業には古いしがらみが多く、それが本来シンプルなはずのマネジメントを複雑にしている。リストラクチャリングという言葉が、まるでファッションのように流行していますが、はじめから人を採らなければ、人員の整理という敏感な問題は起こらない。当社の米国子会社シンテックには、財務の専門家は一人もいません。一週間に一時間だけ財務を見ている人間が一人いて、私は十分だけ財務に時間を費やします。財務戦略なんて必要ないんです。格式を重んじて、意味のないことをやってもしょうがない。


当社は「想定外」という言い訳は一切しないでやってきました。想定外の事態が起きた時にもビクともしない経営、バックアップするシステムをつくるのが経営の基本。


「想定外」に備えるのがリスク管理で、リスク管理は経営の基本。リスク管理には多少のコストもかかりますが、普段から対応をしていなければいけない。


外部に丸投げするほうが簡単ですが、当社は部分的に仕事を頼むことはあっても、丸投げは一切しない。苦労して、経験やノウハウを自社に蓄積することに意味があるからです。


ノウハウというのは、人が代わると、どこにあるのかわからなくなってしまいますから、信頼できる自社の社員が持っていなくてはいけない。本当に大事なものは自分で持たなければいけない。


重要なのは、工場の建設も自分たちの手で行うということです。当社のエンジニアリング部門の人たちが、これまで何十年という間に先人として現地に行き、経験を積んでくれたことが大きいです。どんなに高い授業料を払っても、なかなか得られない経験ですし、こうした経験は大変なチャンスになります。


国家の支援を受けるような状態になったら事業はおしまいです。国の指示を受けていては、仕事になりません。やはり自立自助でやっていくことが大切。


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